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1947-12-06 第1回国会 衆議院 本会議 第73号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十二月六日(土曜日)     午後三時五分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第七十二号   昭和二十二年十二月六日(土曜日)     午後一時開議  第一 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律案議院運営委員長提出)  第二 石油配給公團法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 会社利益配当等臨時措置法案内閣提出)  第四 未復員者給與法案内閣提出)  第五 建設院設置法案内閣提出)  第六 警察法案内閣提出)  第七 食品衞法案内閣提出)  第八 医藥部外品等取締法案内閣提出参議院送付)  第九 あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法案内閣提出)  第十 船員保險法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十一 昭和二十年度歳入歳出総決算昭和二十年度特別会計歳入歳出決算  第十二 自由討議(前会の続)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 諸般報告をいたさせます。      〔参事朗読〕  委員会付託された議案は次の通りであります。  (内閣提出船員保險法の一部を改正する法律案   十二月四日 厚生委員会付託  (内閣提出食糧管理法の一部を改正する法律案   十二月四日 農林委員会付託  (予備審査のため参議院から送付参議院議員鬼丸義齊提出青年補導法案   十二月四日 司法委員会付託  (内閣提出経済力集中排除法施行に伴う企業再建整備法特例等に関する法律案  (内閣提出船員保險特別会計法案  (内閣提出労働基準法施行に伴う政府職員に係る給與應急措置に関する法律案  (内閣提出金融機関再建整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出)旧日本銀行券の未回收発行高に相当する金額の一部を國庫に納付するに伴う日本銀行への交付金に関する法律案  (内閣提出勧業債券割増金等に対する所得税の課税の特例に関する法律案  (内閣提出貿易資金特別会計法改正する法律案  (内閣提出物品無償貸付及び讓與等に関する法律案  (内閣提出大藏省預金部特別会計國有鉄道事業特別会計通信事業特別会計並びに簡易生命保險及郵便年金特別会計保險勘定勘定及年金勘定昭和二十二年度における歳入不足補填のための一般会計からする繰入金に関する法律案  (内閣提出政府職員に対する一時手当の支給に関する法律案    以上十件 十二月五日      財政及び金融委員会付託  (内閣提出参議院送付昭和二十二年法律第六十五号(裁判官の報酬等應急措置に関する法律)等の一部を改正する法律案    十二月五日 司法委員会付託  (内閣提出市街地建築物法の適用に関する法律案  (内閣提出)國が施行する内國貿易整備に関する港湾工事に因り生ずる土地又は工作物讓與又は貸付及び使用料徴收に関する法律案   以上二件 十二月五日    國土計画委員会付託  (内閣提出昭和二十二年法律第百二十一号(國家公務員法規定が適用せられるまでの官吏任免等に関する法律)の一部を改正する法律案   十二月五日 決算委員会付託  (内閣提出地方税法の一部を改正する法律案   十二月五日    治安及び地方制度委員会付託  (内閣提出船舶法及び船舶安全法の一部を改正する法律案   十二月五日    運輸及び交通委員会付託  (内閣提出理容師法案  (内閣提出栄養士法案   以上二件 十二月五日    厚生委員会付託  (永井勝次郎君外四名提出農林省官制の一部を改正する法律案   十二月五日 農林委員会付託  昭和二十二年度一般会計予算補正(第十号)  昭和二十二年度特別会計予算補正(特第五号)   以上二件 十二月五日    予算委員会付託  昭和二十二年度一般会計予算補正(第十一号)   本日 予算委員会付託     ━━━━━━━━━━━━━
  3. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) これより会議を開きます。      ————◇—————  第七 食品衛生法案内閣提出)  第八 医藥部外品取締法案内閣提出)  第九 あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法案内閣提出)  第十 船員保險法の一部を改正する法律案内閣提出)  理容師法案内閣提出)  栄養士法案内閣提出
  4. 安平鹿一

    安平鹿一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、日程第七ないし第十の四案とともに同一委員会付託した、内閣提出理容師法案及び栄養士法案を、この際一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  5. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 安平君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  日程第七、食品衞法案日程第八、医藥部外品等取締法案日程第九、あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法案日程第十、船員保險法の一部を改正する法律案理容師法案栄養士法案、右六案を一括議題といたします。委員長報告を求めます。厚生委員長小野孝君。   —————————  食品衛生法案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————  医藥部外品等取締法案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————  あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————  船員保險法の一部を改正する法律案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————  理容師法案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————  栄養士法案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————     〔小野孝登壇
  7. 小野孝

    小野孝君 ただいま議題となりました六件に関しまして、簡單に御報告申し上げます。  まず、食品衞法案について申し上げます。食品衞生に関しましては、從來明治三十三年法律第十五号飲食物その他の物品取締に関する法律及びそれに根拠を有する一連の省令をもつて取締つてまいつたのでありますが、本年末日をもつて、これらの取締法規が失効いたしますので、これらの命令にかえて、この法律を制定することになつたものであります。  次に、法律案内容概要を申し上げます。第一に、食品添加物について、腐敗しもしくは変敗したもの、または有毒、有害なるもの等人の健康を損うおそれのあるものを初めとしまして、器具、容器、包裝等につきましても、公衆衞生上の見地から必要な取締りをいたしまして、飲食に起因する衞生上の危害を防止しようとするものであります。  第二に、公衆衞生上必要な標示製品檢査営業許可並びに営業施設について必要な規定をいたしまして、飲食による危害を防止しようとするものであります。  第三に、食品衞委員会に関する規定を設けまして、食品衞生行政の民主的運営を期しようとするものであります。大略といたしまして、單に飲食に起因する衞生上の危害防止だけでなく、さらに積極的に公衆衞生の向上と増進をはかろうとする趣旨を内包するものであります。  次に、医藥部外品取締法案につきまして申し上げます。從來医藥部外品については、昭和七年内務省令第二十五号医藥部外品取締規則化粧品については、明治三十三年内務省令第十七号有害性着色料取締規則によつて取締つておりましたが、これは本年十二月末限り失効いたしますので、これにかえて、新たな法律を制定する必要がありますために、提案せられたものであります。  その内容といたしましては、医藥部外品製造業については、都道縣知事許可を受けなければならず、化粧品製造業については、都道縣知事に届け出でなければならないことを骨子といたしまして、標示の義務、販賣の禁止営業禁止臨檢檢査等規定を設けて、監督に遺憾なきを期しております。  次に、あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法案について申し上げます。御承知通り、これらの業につきましては、從來按摩術営業取締規則鍼術灸術営業取締規則柔道整復術営業取締規則等をもつて取締つてまいつたのでございますが、これらは、先ほど申しましたように、本年十二月三十一日限りその効力を失いますので、それに代る法律案提出する必要があり、この機会に、公衆保健衞増進見地から、從來取締内容に若干の変更を加えたものでございます。  第一に、これらを業とする者は、必ず公認の学校または養成施設を卒業した上で、都道縣知事の行う試驗に合格し、その免許を受けなければならないということにいたしております。しかして、その学校または養成施設における修業年限は、あんまにつきましては二箇年、はり、きゆう及び柔道整復術につきましては四年となつております。  第二に、一定欠格條件のある者には免許を與えないことといたしております。  第三に、業務、廣告等一定の制限を附し、さらに都道府縣に一定監督権を與えて、その監督指導に遺憾なきを期しております。  第四に、從來各都道府縣において適宜取締りを行つておりましたところ、いわゆる医業類似行爲につきましては、種々の弊害もあり、存置の根拠にも乏しいというところから、新しくはこの業を行うことを禁止いたしたのでございます。  第五に、これらに関しまする諮問委員会を設けて、指導監督適切妥当を期しております。  最後に、從來これらの業を営んでおりました、いわゆる既得権者の問題でございますが、これらにつきましては、一應その既得権を尊重してまいるという建前から、これについて必要な経過規定を設けております。すなわち、あんま、はり、きゆう、柔道整復術につきましては、すでに免許を得ております者は、本法規定による免許を得たものとみなし、また免許を受ける資格をもつておりながら、やむを得ない事情で今まで免許を受けておらない者につきましては、昭和二十三年六月三十日までは免許を與えることができます。また、先ほど申しました、いわゆる医業類似行爲を業とする者につきましては、本法公布の際に引続いて三箇月以上営業を継続いたしておりました者につきましては、本法施行の日から三箇月以内に都道縣知事にその旨を届け出れば、昭和三十年十二月一日までは從來通り営業を継続することができることになつておるのであります。  次に、船員保險法の一部を改定する法律案について申し上げます。本案は、船員保險制度の中において、船員に対しまするところの失業保險ないし失業手当制度を創設実施せんとするものであります。その目的は、船員が失業いたしました場合に、失業保險金または失業手当金を支給いたしまして、その生活の安定をはかるとともに、その運営にあたりましては、職業紹介機関と密接な連絡を保持することによりまして、失業船員に対して能う限りの就職の機会を與えようとする点にありますことは、陸上労働者に対しますところの失業保險法及び失業手当法目的とまつたく同一でございます。これを失業手当法から特別に引離しまして、船員保險制度の中に織りこんで実施いたそうといたしますのは、船員海上労務者として、陸上労務者とは異なる特殊な事情を有しておりますし、船員保險制度は、かかる事情のもとに船員に対する総合的な唯一保險制度として從來実施運営されてきております点に鑑みまして、むしろ、その中に失業保險失業手当制度をも織りこむことが適当であるからでございます。改正案内容、すなわち制度内容は、大体陸上労働者に対する失業保險失業手当制度内容に準じて立案されておりますので、その説明は省略いたしたいと思います。  以上四案は、昨五日厚生委員会において審査いたしまして、委員側政府当局との間に質疑應答行つたのでございますが、ただちに討論に入りまして、日本社会党、民主党及び國民協同党を代表して田中松月君、日本自由党を代表いたしまして大瀧亀代司君より、それぞれ原案賛成の旨を述べられました。ただ両君とも、食品衞法案及びあん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法案につきましては、原案は必ずしも完全なものとは思われぬので、適当な修正を加えたいが、本國会の会期も切迫しておる今日であるから、來國会において適当な改正を行う必要があるということを強調せられた点を御報告申し上げたいと思うのでございます。かくしまして、四案を一括して採決いたしましたるところ、全会一致をもつて、四案とも原案通り可決いたした次第でございます。  次に、理容師法案について申し上げます。理容師取締りについては、從來各都道府縣において、それぞれ都道府縣令をもつて取締つてまいつたのでありますが、これまた本年末をもつて効力を失うことになりますので、これらの命令にかえて理容師法の制定を必要とするに至つたために、提案となつたのでございます。その内容は、理容師免許に関する事項理容師及び理容所開設者が講ずべき衞生上の措置に関する事項等でございます  最後に、栄養士法案について御報告申し上げます。栄養士に関しましては、昭和二十年厚生省令第十四号栄養士規則によつて必要な取締りをなしてきましたが、これまた今年末日をもつて効力を失いますので、これに代る本法案提出を見るに至つたのでございまして、内容は、栄養士免許欠格條件及び栄養士試驗等につき必要な規定を織りこんでおります。  以上二件に関しましては、本日午前の委員会において審査をいたしまして、簡單質疑應答の後、討論を省略して採決いたしましたところ、両案とも全会一致をもつて原案通り可決いたした次第であります。右、御報告申し上げます。(拍手)
  8. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) まず、日程第九及び第十の両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告通り可決いたしました。  次に、日程第七、第八及び理容師法案栄養士法案の四案を一括して採決いたします。四案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて四案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  隠退藏物資等に関する特別委員会中間報告
  11. 安平鹿一

    安平鹿一君 隠退藏物資等に関する特別委員会中間報告を求めるの動議提出いたします。
  12. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 安平君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて隠退藏物資等に関する特別委員会中間報告を求めます。 委員長加藤勘十君。     〔加藤勘十君登壇
  14. 加藤勘十

    加藤勘十君 私はここに、隠退藏物資等に関する特別委員会を代表いたしまして、委員会における調査経過概要を中間的に御報告申し上げたいと存じます。  本委員会は、隠退藏物資等に関する調査のために、去る七月二十五日院議をもつて設置せられまして、今日まで四箇月余り、その間委員会を開きますこと二十数回に及びまして、あるいは報告並びに記録の提出を求め、あるいは証人出頭、あるいは委員現地派遣、あるいは法律案起草等隠退藏物資等に関する諸問題について、諸般調査を進めてきたのであります。  私は、その調査経過を御報告申し上げるに先だちまして、特に最初に一言いたしたいと存じますことは、本委員会調査の対象及びその根本方針についてであります。すなわち、本委員会設置されました当時の情勢は、御承知通り、いわゆる世耕事件なるものが廣く世間に喧傳せられていたのでありまして、本委員会設置に至りました契機の一つも、その問題に関連していたことは事実であつたのであります。     〔副議長退席議長着席〕  かかる事情から、本委員会の任務や活動について、あたかも世耕事件調査目的を有する檢察的委員会であるかのごとき感を世間に與えるおそれなきにしもあらずであつたのであります。そのために、本委員会としましては、隠退藏物資等に関する調査のために設置された院議の精神に立脚いたしまして、委員会一致意見をもつて、まず調査範囲並びに調査基本方針を確立いたしたのであります。すなわち、本委員会目的は、いわゆる世耕事件等のごとき隠退藏物資等に関連する派生的問題の調査にあるのではなくして、あくまで、終戰当時わが國の混乱状態において厖大軍需物資の放出に端を発した隠退藏物資等の全貌を明らかにするため、終戰当時保有されていた軍需物資全般的状態を把握し、その後におけるこれら物資の移動及び処分の経緯をたどることによつて、現在におけるいわゆる隠退藏物資、あるいは廣く遊休物質実態を明確にし、もつてこれらの物資を速やかに正当なる流通過程に上せ、じり貧状態にあるわが國経済再建に大きく貢献することをもつて委員会調査の主眼とし、その他の問題は、あくまで派生的、末梢的事件として、この基本方針の基く調査参考として調査するに止むべきものであるとの調査根本方針を明確にしたのであります。爾來今日まで、この当初における基本的な調査方針を堅持しつつ委員会運営に努力してきた次第であります。  しかして、この根本方針の基きまして、隠退藏物資実態を明らかにいたしますため、最小限度必要と認められました基本的資料として、委員会一致の決議に基きまして、 一 終戰当時における部隊部隊名配置状況並びに部隊長経理主任氏名、右の現住所。 二 終戰当時における軍需物資蓄積状況品種別数量別廠別。 三 終戰当時軍関係海軍関係を含む)より民間工場への発注状況会社別品種別数量別金額。 四 終戰当時より現在に至る期間における軍所有物資兵器を除く)の処分状況拂下を受けたる者の氏名品種数量價格。 五 兵器処理委員会兵器処理状況(各廠別)。イ、兵器委員会構成。ロ、処理物件数量。ハ、処理方法廃棄処分とか拂下げ処分とかの区別。二、拂下げたる場合における拂下げを受けたる者の氏名品種数量價格。 六、終戰当時より現在に至る期間における摘発物質連合軍より引渡を受けた物資を含む)の処分状況。イ、内務省調査部(のちに局を改む)の構成並びにその権限。ロ、品種別数量價格。ハ、拂下方法。ニ、拂下を受けた者の氏名。 七、終戰当時より現在に至る期間における軍関係不動産処分状況。イ、大藏省國有財産部構成並びにその権限。ロ、処分したる物件の種別、所在地價格。ハ、拂下方法。ニ、拂下を受けた者の氏名。 八、日本官公衙拂下品統制組合構成定款)、主要幹部氏名並びにその機能政府期間との関係。 九、日本特需産業株式会社構成定款)、主要幹部氏名並びにその機能政府機関との関係。 十、終戰当時における各種重要物資統制機関保有物資品種別数量價格等(さらにその物資処分したる場合は処分方法具体的内容)。 十一、終戰後新設されたる商事会社構成定款)、主要幹部氏名、その所在地。 十二、摘発物資及び軍需物資にして現在政府保有にかかる物資品種別数量價格所在位置。 十三、隠退藏物資処理委員会委員長としての世耕弘一氏の発したる摘発令書及び仮令書数量。イ、令書を受けた者の氏名專門委員氏名及びその採用方式)。ロ、令書に示されたる隠退藏物資所在位置。ハ、令書に示されたる品種別数量價格。ニ、令書を発したる者の物資合法的偏在物資のために摘発不可能なりし場合における右偏在物資品種数量。 十四、経済安定本部内の隠退藏物資処理委員会設置前における隠退藏物資摘発状況。イ、機関。ロ、方法。ハ、摘発物資品種別数量。ニ、右物資処分したりとせば、その処分具体的内容。  これらの十四項目にわたる資料内閣に要求することにいたしたのであります。これらの基本的資料整備をもつて、はじめてさきに申し述べたような本委員会としての本格的な調査が開始し得るものであると考えたのであります。  これらの資料の急速かつ的確な整備については、特に内閣においても全幅的協力をすることを、総理大臣もみずから確約されたのでありますが、いずれにしましても、相当厖大資料であり、かつまた終戰当時資料の中には、すでに二箇年を経過した今日、散逸したものもあつて、これが整備に若干の日時を要しますことが考えられましたので、資料提出のありますまでの間、將來の本格的調査の上にも多大の参考となり、かつ示唆するところも少くないものと考えまして、隠退藏物資摘発にからむ問題につきまして、前隠退藏物資等処理委員会委員長であつた議員世耕弘一君の出席を求めて、その副委員長として在職中の経驗に基きまして、隠退藏物資に関連する諸般事情について意見を求めたのであります。  この世耕君の発言に関連して、各委員からも熱心なる、そして活発な議論が展開せられたのでありましたが、委員会といたしましては、この世耕君の意見開陳に関連して、 一、現閣僚にも関係者なしとせずと傳えられた靜岡縣大仁東洋醸造株式会社所有にかかる砂糖処分に関する事件。 二、隠退藏物資摘発の伴う官憲妨害有無を中心に、栃木縣における隠退藏物資摘発に関する経過。 三、いわゆる世耕情報の輪郭を把握するための東京都目白における水あめ事件。 この三つの問題について調査をいたしたのであります。  第一の問題につきましては、過去の隠退藏物資処理その他について種々参考とすべき点が得られたのでありますが、閣僚にも関係者なしとせずと傳えられた点につきましては、このことが有村某の提供せる情報に基いたものであることは、世耕君自身も認められたのでありますが、これについては、檢察当局取調べの結果に基きまして、鈴木司法大臣から、この事件の原因をつくつた者は、甲府刑務所收容中の矢島松朗というものであつて、彼が一面識もなかつた和田、木村両大臣の名前を使つて砂糖事件にからみ十万円を詐欺し、永田某がその被害者なつたわけでありまして、それが有村某を通じて世耕君への連絡なつたわけであります。從つて有村某情報に基く限りにおいて、閣僚関係なしとせずとのうわさは眞実ではないことが、右矢島某の自白により明かにされたという報告説明がなされたのであります。しかし、砂糖数量がなお明確を欠いておりますので、砂糖最後の一片の行方が明白にならなければ、事件眞相を明らかにしたとは言えないのであります。この点に関し鈴木司法大臣は、檢察当局活動によつて、極力砂糖行方を明白にして疑惑の一掃に努めると、この問題に関する最終報告を留保されておるのであります。  第二及び第三の問題に関しましては、それぞれ必要な資料提出を求め、また現職官吏情報提供者その他の民間人証言を求めるために、前後二十七名の証人出頭を求めて、これが調査に当たつたのであります。しかして、これらの事件のうち、問題が刑事事件に関連し、本委員会調査範囲外にある問題については、司法官憲取調べに委ねることといたした次第でありますが、これらの調査の成果として、次のような点を御報告できると思います。  第一に、数字的には本格的な調査の結果をまたねばならないにしても、委員会の一方における現地調査の結果とも照應して、終戰後厖大物資がやみに流され、これに基いて、なお現在相当大量の物資が隠退藏され、あるいは遊休状態において潜在していること。第二に隠退藏物資に関するほとんど唯一法規である隠退藏物資緊急措置令規定が明確を欠き、從つて檢察当局官憲取締り摘発の態度が、積極的妨害有無は別としても、法規にとらわれる結果活発を欠き、またきわめて緩慢であつたということ。第三に、この法規に関連して、いわゆる隠退藏物資というべきものに該当する物資は、法規的には少い結果となり、從つて、いわゆる情報根拠が薄弱になつていること。第四に、隠退藏物資等処理委員会なるものの法規上の権限が必ずしも明確でなく、從つて過去の隠退藏物資の摘発処理が円滑を欠きがちであつたこと。從つてこれに関連して、法規上の明瞭な権限を有する機関設置活動が痛感されたのであります。  なお、これらの調査につきましては、いわゆる世耕情報なるものに関連して、隠退藏物資をめぐる事件については、現に檢察当局取調べが進行中でありまして、この進展状況ともにらみ合わせて、本委員会として、あらためて御報告する機会があるものと存じます。  次に、この調査の過程におきまして出頭した証人証言は、現職官吏を初め、その他の証人を通じまして、極めて遺憾の点が多く、その証言にもまつたく信をおきがたい点がありましたことは、委員一同の認めたところでありまして、そのために、これらの事件調査にあたつて何か不明朗な後味を残したことは、否定できなかつたのであります。このことは、証人に関して何ら罰則規定のない現在の國会法の規定と関連して、議院における証人証言について、大いに運営上の問題として反省すべきものがあつたのでありまして、現行のままでは、ほとんどこの種調査証人証言を求めることの意義が認められないことを痛切に感じたのでありますが、この経驗をも考慮されてか、証人に関する規定改正議院運営委員会において檢討されておられることは喜びにたえないところでありまして、本委員会としては、その実現の一日も早いことを、今後の本格的調査に関連して、深く期待しているのであります。  なお私は、この間における本委員会隠退藏物資をめぐる活発な議論に應じて、一般輿論がこの問題に関して強く喚起されたこと及び本委員会委員の幾度かの現地調査により、その都度多量の物資が発見されたこと等に刺激されて、安定本部における隠退藏物資の摘発が活発に行われるとともに、一方、檢察当局取締りも一層強化されてきたということが言い得ると思うのであります。以上が、三つの派生的問題の調査経過とその結果であります。  一方におきまして、ただいま調査の結果についても申し上げましたように、隠退藏物資緊急措置令がきわめて不備であつて、これをもつてしては容易に隠退藏物資を把握し得ないことが、從來の実績に徴しましても明らかでありまして、隠退藏物資の全貌を明らかにする前においても、急速に法令を整備することが痛感されたのであります。また他方、隠退藏物資処理機関の不完全なため実績をあげ得なかつた過去の経驗に鑑みまして、かかる機関設置は、委員全体の強く要望するところであつたのでありますが、この委員会意見に対應いたしまして、九月十七日、政令により、政府部内に隠退藏物資活用委員会が設けられたのであります。しかしながら、その権限といたしますところは、單に隠退藏物資調査、活用に関しまして経済安定本部長官に建議し、また物資処理について報告を聽くという程度のことであつて、とうてい厖大にしてしかも急速なる捕捉を必要とする隠退藏物資の摘発処理の不可能なことは明らかであります。  委員会としては、これらの諸点に鑑み、かつまた経済査察官に臨檢檢査の権限を附與する法律案の審議状況ともにらみ合わせまして、去る十月三日、十一名よりなる隠退藏物資活用に関する法律案起草小委員をあげまして、起草に当つてきたのであります。小委員会は、回を重ねることすでに十回、ほぼ起草を終りましたので、近日中に本委員会の正式の決定を得まして、できる限り速やかなる機会に本会議に上程、皆樣の御審議に委ねる運びとなるものと存じております。  以上が大体の経過でありまするが、本委員会の本來の目的である隠退藏物資の徹底的且つ本格的なる調査、すなわち軍が戰爭中國民のあらゆる犠牲のもとに集積した軍需物資の状況、その後の処理経過及び現在の隠退藏物資の全貌を明らかにするという点におきましては、はなはだ遺憾の点なしとしないのでありまして、調査に必要なる資料の蒐集につきましては、あらかじめ片山総理大臣の出席を求め、その後も機会あるごとに政府に積極的な協力を求めましたにもかかわらず、四箇月を経ました今日においても、未だ資料提出されないものが多々ある状態であります。從つて、この資料の整理のために、特に去る九月二十六日、一、軍並びに行政官廳関係に関する小委員会、二、民間統制團体に関する小委員会、三、兵器処理に関する小委員会、四、特殊物件処理に関する小委員会、以上四つの小委員会を設けまして、その整理に当つているのでありますが、なお整備を完了することができないのであります。委員会としましては、資料整備を完了次第、その結果によりまして、さらに証人出頭を求め、資料提出を要求いたします等本格的徹底的調査に努める予定であります。これらの基礎資料に基く本格的な調査は、むしろ今後に残されているのであります。  なお、本委員会が設けられまして以來、民間人から三百通以上の情報が提供されたのであります。しかしながら本委員会は、みずから執行力をもつておりませんので、これを整理し、確実性ありと思はれるものを安定本部にまわしておるのでありますが、安定本部の手不足と、情報提供者の意思を尊重して、本委員会に相当多数の情報が停滯しておる有樣であります。本委員会に執行力があるかのごとく考えて情報を提供された方々にはお氣の毒でありますが、右のごとき事情で、はかばかしく進展いたしません。よつて情報に基く現物現地調査に関する小委員を設け、安定本部とも打合はせ、できるだけ急速にその整備に当り、情報提供者の熱意におこたえいたしたいと存じます。  また今日まで、本委員会が確実な情報に基いて委員を現地に派遣し、安定本部の摘発状況の調査に当りましたことは、東北地方から九州地方にまたがつて十回にわたつておるのでありますが、その都度、相当量の物資の発見に常に貢献しておりますとともに、この現地調査経驗が、ただいま申し上げました遊休物資活用に関する臨時措置法案の起草にあたりまして、きわめて貴重な体驗となつて寄與しておりますことを、一言申し添えておきます。  以上、本委員会調査経過につきまして、中間的にその概要を御報告いたしました次第でありますが、本委員会設置された眞の使命を果し、本格的な調査を行い、もつて委員会本來の面目を明らかにするのは、むしろ今後における委員会活動にまたねばならないのであります。しかるに、今期も余すところ僅少でありまして、今会期中に本委員会設置の任務を終了することは、とうてい不可能でありますが、さりとて、このままに中断するがごときことは、その影響するところがはなはだ大きいので、私は委員会の意思を代表しまして、來る通常会の初めにおきまして、再び院議をもつて特別委員会設置せられ、本委員会調査を実質的に継続せしめられるよう特に切望し、もつて委員会の使命を果して、日本経済の再建と國民生活の安定のために貢献するところあらんことを、深く期待する次第であります。  以上をもつて隠退藏物資等に関する特別委員会調査中間報告といたします。(拍手)      ————◇—————  昭和二十二年度一般会計予算補正(第十号)  昭和二十二年度特別会計予算補正(特第五号)
  15. 安平鹿一

    安平鹿一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、昭和二十二年度一般会計予算補正(第十号)及び昭和二十二年度特別会計予算補正(特第五号)の両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  16. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  昭和二十二年度一般会計予算補正(第十号)、昭和二十二年度特別会計予算補正(特第五号)、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。予算委員会理事稻村順三君。   —————————  昭和二十二年一般会計予算補正(第十号)に関する報告書  昭和二十二年度特別会計予算補正(特第五号)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————     〔稻村順三君登壇
  18. 稻村順三

    ○稻村順三君 ただいま議題となりました昭和二十二年度一般会計予算補正(第十号)並びに特別会計予算補正(特第五号)について、その内容および委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。この両予算は、政府職員に対する一時手当支給のために必要な予算であります。  まず、一般会計について申し上げますと、この補正予算の歳入歳出は、おのおの十五億千二十余万円の増加でありまして、これを既定の予算額と合計いたしますと、本年度の一般会計予算総額は、二千八十七億六千三百余万円となります。この補正予算の内訳は、一時手当支給に必要な経費として、一般政府職員に対する手当並びに地方公共團体職員、警察職員、教員に対する手当補助合わせて十億四千八百余万円、特別会計所属職員に対する一時手当支給の財源として諸特別会計への繰入れ十六億八千余万円、一時手当支給に伴い増加する所得税收入の一部を地方公共團体に分與するため地方分與税分與金特別会計への繰入れ一億七千五百余万円、以上合計二十九億九百余万円の追加であります。このうち、既定の予備費より十億円を支出し、なお政府職員の増加抑制の趣旨から、既定の人件費予算を三億九千八百余万円節約いたしますので、差引純増加額は十五億千余万円であります。この歳出増加の財源といたしましては、所得税收入の増加、公共團体工事費納付金および分担金、間接國税犯則者納金の増加、その他病院收入の増加、電力超過加算料金等がそのおもなものであります。  次に、特別会計予算補正について申し上げますと、今回の予算補正は、地方分與税分與金特別会計ほか十九の特別会計に関するものでありまして、その予算補正額は、各会計を会計して、歳入歳出ともおのおの二十一億七千四百十余万円の増加となつております。この内訳は、一時手当支給の経費、他会計または他勘定、この一時手当の財源としての繰入れ、地方分與税分與金の増加、合計追加二十三億三千八百余万円となつておりますが、既定の予備費予備等を一億六千四百余万円修正減少いたしますので、差引二十一億七千四百余万円となつたわけであります。この財源は、前に申し上げました通り、合計十八億五千五百余万円を一般会計からの繰入れによつておるのであります。なお、鉄道、通信両会計の建設勘定所属職員への一時手当支給のための経費の財源は、公債金收入によつておりまして、その金額は、両会計を合わせて一億百余万円であります。  以上が、両予算の内容であります。  次に、委員の質疑に対する政府側の答弁のうち、おもなものをあげますと、先ず政府は中労委の調停案をこれで打切る意思は毛頭ない、残余の金額は何とか早く出したいと思つている、またこの特別手当は、官公吏の給與が民間よりも低い結果支給するのであるから、これは官公吏に限るべきであつて、民間会社が借入金等をもつてこれと同樣な手当を支給するのは望ましくない、なおまた特別会計への繰入金は將來償還する予定であるとのことでありました。  質疑を終り、この両予算について採決した結果、全員一致をもつて可決いたしました。  以上、簡單ながら御報告いたします。(拍手)
  19. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり]
  20. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  第一 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律案議院運営委員長提出
  21. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第一は委員長提出法律案でありますから、委員会審査を省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。  よつて日程第一、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律案議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員長淺沼稻次郎君。     〔淺沼稻次郎君登壇
  23. 淺沼稻次郎

    ○淺沼稻次郎君 ただいま議題となりました、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律案について、提案の理由を御説明いたします。  日本國憲法第六十二條によりまして、各議院は證人の出頭および証言並びに記録の提出を要求することができることになつておりまするが、これに関する國会法の規定には足りない点がありまして、今会期中における各委員会での証人証言と実情を見ておりますと、憲法及び國会法が予期した効果をあげることができず、証拠力において欠けるところがあると思われまして、まことに遺憾に存じます。このことは、先ほど隠退藏物質等に関する特別委員会委員長加藤君から中間報告の際に述べられた点でも明らかであります。この観点から、証人がその義務に反した場合には、何らかの制裁を加えることが必要となつてきましたので、ここに本案を提出いたしまして、諸君の御賛成を得たいと考えたのであります。  本法律案は、議院運営委員会において数箇月の間研究に研究を重ねて得た案でありまして、その間、委員諸君は非常に熱心に審議せられ、案の改廃も数回に及んだのであります。今、本案の内容について簡單に御説明申し上げます。  まず第一に、証人として出頭を求められたるとき、または書類の提出を求められたときは、何人もこれに應じなければならないことを明記いたしました。こうして証人証言する場合においては、裁判所における例にならい宣誓をさせることとし、その形式をも定めました。ただ証人本人、証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族、承認の後見人または証人の後見を受くる者に刑事上の訴追または処罰を招くおそれあるとき及び医師、歯科医師、藥剤師、弁護士その他宗教または祷祀の職にある者については、民事訴訟法第二百八十條及び第二百八十一條の例によつて証言を拒み、または宣誓を拒み得ることといたしました。書類の提出についても同樣であります。但し、これらの拒絶の場合には、その理由を疏明させることとして、民事訴訟法第二百八十二條の規定を準用いたしました。  次に、証人が國務大臣以外の國会議員を除いた公務員である場合には、その者が知り得た事実について、本人または当該公務所から職務上の祕密に関するものであることを申し立てたときは、当該公務所またはその監督官廳の承認がなければ証言または書類の提出を求めることができないことといたしました。この場合におきましても、やはりその理由は疏明させることといたしました。但し、その理由をその議院もしくはその委員会または合同審査会において受入れられる場合には、証言をし、または書類を提出する必要がないこととし、他面その理由を受入れられないときにおいては、内閣に対して、その証言または書類の提出が國家の重大な利益に惡影響を及ぼす旨の聲明を要求することができることといたしました。しかして、その聲明が十日以内になされないときは、證人はやはり証言をし、または書類を提出しなければならないことといたしました。  次に、罰則であります。以上の趣旨により宣誓した証人が虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処することといたしましたのは、刑法の僞証罪の例によつたものであります。なお、本人が当該事件審査または調査の終る前で、かつ犯罰が発覚する前に自白したときには、その刑を減刑または免除し得ることといたしました。  次に、正当の理由がなくして証人出頭しなかつた場合、あるいは要求された書類を提出しなかつたとき、または証人が宣誓もしくは証言を拒んだ時には一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処することとし、この場合には、情状により禁錮及び罰金を併科することができることといたしました。  なお最後に、以上の罪につきましては、各議院もしくは委員会または両議院の合同の審査会は、これを告発しなければならないこととし、ただ先刻申し上げました当該事件審査または調査の終了前で、かつ犯罪の発覚する前に自白したときには、その議院において告発しないことを議決することができることといたしました。もつとも、合同審査会の事件であれば、両議院の議決が必要であります。  以上が、本法案の趣旨でございます。何とぞ御賛成あらんことを希望いたします。  なお、会期も余すところニ、三日となりましたので、私はこの機会をかりまて、今会期中における議院運営委員会の審議の成果につきまして、簡單にとりまとめて御報告を申し上げたいと存じます。  委員会は、今日まで四十九回にわたつて開会いたしましたが、その間にあつて國会関係法規の立案、改正並びに議院運営上の諸問題について、多数の案件を解決してまいりまして、議院機能を発揮し、議院運営を円滑ならしめます上に、及ばずながら多大の努力を拂つてまいつたものでありますが、今日まで本委員会において審議決定いたしましたものは、第一に國会関係法規については、裁判官彈刻法案議院出頭する証人の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案國会議員の歳費旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案、ただいま上程の議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律案、議員の特別手当に関する法律案、衆議院規則、両院協議会規程、両院法規委員会規程、常任委員会合同審査会規程等々をおもなるものとし、その他約十件であります。新憲法、新國会法に即應する國会関係法規は、本会期中におおむね整備し得たと存じております。第二に、議院運営に関しましての諸問題について議長より諮問されました案件は、主要なものだけで自由討議、國政調査、公聽会、特別委員会設置國会法第三十九條の承認、会期の延長、國会の休会等に関する問題等を初めといたしまして、百件を超えております。これらにつきましては、十分審議檢討の上、その都度適当なる答申をいたしてまいりました。  なお、議院運営上の重要な問題として、本委員会において調査、研究、決定の上、皆樣の御承認により、すでに運営上その実をあげておりますものは、さきに一度御報告申し上げたのでありますが、議院の全機能発揮に関する件のほか、委員会提出法律案の取扱いに関する件、請願及び陳情書の取扱いに関する件、今会期中における委員派遣に関する件等でありまして、委員派遣については、今期切迫と議案山積の現状より、今会期中は原則として眞にやむを得ざるもの以外はこれを認めないこととし、委員派遣を承認する場合には、天災地変等の突発事項にして調査研究を要するもの及び立法上現地調査を絶対必要とするものに限ることとし、または委員会審査調査が、派遣調査以外の方法によつては不可能と考えられる場合に限定することといたしましたのでありまして、これは今会期のみならず、今後の委員派遣の場合の準則を定めるに際しても、この線に沿うてなさるべきものであると考えておるものであります。  次に、本委員会の今後研究しなければならない問題はなお多々あるのでありまして、常任委員会制度全般の運用及びその改善に関する問題、自由討議の再檢討の問題、議院の秩序及び規律の確立の問題、國会附属諸施設整備促進の問題、議院事務局の拡充、法制部の充実の問題、議院運営委員会と交渉会の運用上の調節の問題、議員並びに國会職員の待遇改善及び福利施設の問題等は、いずれも議院運営上急速に解決、実現をはかるべき重要課題として、第二回國会において十分研究をいたしたいと存じておる次第であります。  以上、簡單でありますが、本委員会における今会期中の活動概要を御報告する次第であります。(拍手)
  24. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決せられました。      ————◇—————  第二 石油配給公團法等の一部を改正する法律案内閣提出
  26. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第二、石油配給公團法等の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。商業委員会理事笹口晃君。   —————————  石油配給公團法等の一部を改正する法律案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————  [笹口晃君登壇
  27. 笹口晃

    ○笹口晃君 ただいま議題となりました石油公團法等の一部を改正する法律案について、商業委員会経過並びに結果を概要報告申し上げます。  まず、本案の趣旨につきまして御説明申し上げます。石油配給公團、配炭公團、貿易公團及び肥料配給公團は、おのおの根拠法令に明確に規定されております通り、経済の安定を見るまでの臨時機構であります。従つて、各公團が今後新たに施設することを必要とする固定施設につきましては、公團がみずから所有することは、その解散に際して事務処理を複雜ならしめますので、政府がこれを施設し、公團は政府からこれを賃借することが適当と認められます。從つて、各公團の基本金中、固定施設の購入に引当てられている次の金額を減額いたしまして、これを國庫に納付させることとするのであります。すなわち石油配給公團につきましては、総額六千万円より三千万円を減じて三千万円とし、配炭公團は三億円より一億円を減じて二億円、貿易公團は三千万円より一千万円を減じて二千万円、原材料貿易公團は二千万円より五百万円を減じて一千五百万円、肥料配給公團は六千五百万円より千五百万円を減じて五千万円としたわけであります。また現行法には、主務大臣は石油配給公團、産業復興公團及び肥料配給公團の業務を行うため必要があると認めるとき、運輸大臣の同意を得て、輸送施設の所有者、占有者等に対して必要な協力を命じ、または求めることができる旨の規定がありますが、これにつきましては、本年三月臨時物資需給調整法を一部改正したる際に、輸送に関する規定が加えられており、これに基いて、業務上の必要な輸送に関して万全の措置を講ずることが可能かつ適当であると考えられますゆえに、この規定を削除したのであります。以上申し述べました点が、この法律案提出の理由並びに改正の要旨であります。  本案は、十一月四日内閣より提出されまして、十一月七日付託されました。本委員会におきましては、十二月一日に農林委員会、鉱工業委員会とともに連合審査会を開き、政府より提出理由の説明を聽取いたしまして後、ただちに質疑にはいり、十二月三日本委員会におきまして、前会に引続き質疑を継続いたしまして、各委員政府側との間に熱心な質疑應答が行われました。  次に、本案の審議経過と質疑の主要なるものを申し上げます。公團の独立採算性に関し、社会党大作委員より質問あり、いわゆる所要資金に関しては、復金より借入れることと相なり、不動産、家具、叶器等の減資を行ひ、加うるに、人件費、事務費の全額を國庫負担とするにおいては、公團自体に何ゆえに基金資金を必要とするかとの趣旨にして、これに対する政府当局の答弁によりますと、理論上まつたく御説の通りではあるが、ランニング・ストツクに対する所要資金を若干見積る必要あり、かつ公團の資金的な信用維持の観点よりして、若干の資金を計上するもまたやむを得ないものと思料する、但し、御趣旨の資金減額並びに公團経費の節約に関しては、今後とも十分に趣旨に副うように努力するとのことでありました。  以上、本改正案は別に異論もなく、大体において適当なものと認めましたので、質疑を終了いたしました後、討論を省略いたしまして、ただちに採決に入りまして、採決の結果、全員一致をもつて可決いたしました。  以上、簡單でございますが、御報告を申し上げます。(拍手)
  28. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  第三 会社利益配当等臨時措置法案内閣提出)  第四 未復員者給與法案内閣提出
  30. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第三、会社利益配当等臨時措置法案日程第四、未復員者給與法案、右両案は同一の委員会付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長報告を求めます。財政及び金融委員会理事梅林時雄君。   —————————  会社利益配当等臨時措置法案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————  未復員者給與法案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————     〔梅林時雄君登壇
  31. 梅林時雄

    ○梅林時雄君 ただいま議題となりました二案について、財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、会社利益配当等臨時措置法案について、原案の要旨を御説明いたします。会社の利益配当については、昨年四月制定施行された会社配当等禁止制限令により、資本金二十万円以上の会社であつて、戰時補償の請求権、在外資産等を有するもの及びいわゆる制限会社は、現在配当を年五分以下に制限されているのであります。これは戰時補償等の処理いかんによつては、これらの会社の中には経理に大なる影響をこうむるべきものを生ずることが予想せられましたので、あらかじめ会社の経理内容をできるだけ健全ならしめておこうという趣旨のもとに制定せられたものであります。しかるに、昨年いわゆる戰時補償の打切りが行われ、これに伴い損失をこうむる企業については、会社経理應急措置法及び企業再建整備法規定によつて、これらの損失の適正な処置がはかられることとなつたのであります。從いまして、現行の会社配当等禁止制限令は、その制定の趣旨に顧み、これを今後に継続して施行する必要を認めないようになりましたのみならず、他面、今後経済の民主化をはかるため、きわめて多額の有價証券を廣く國民の間に分散させることが必要であり、また経済の復興再建のためには、多額の新規資本の蓄積をはからねばならない状況にあり、この見地からいたしますれば、会社の配当を一定限度以下に制限することは、活発なる有價証券取引を阻害し、國民の証券投資に不利なる影響を與えるものと考えられます。以上のごとき理由から、政府関係方面に対し、会社配当等禁止制限令の廃止について懇請いたしておつたのでありますが、今回同令を廃止することといたしますとともに、会社の利益配当につき若干の措置を講ずることといたし、ここに会社利益配当等臨時措置法案提出された次第であります。  次に、この法案内容について、大要御説明いたします。  まず第一に、この法律の適用を受ける会社の範囲については、從來の会社配当等禁止制限令が、金融機関以外の資本金二十万円以上の会社となつておりましたのと異り、資本金額の大小を問わず、また戰時補償請求権等を有すると否とにかかわらず、すべての会社が例外なくこの法律の適用を受けることになるのであります。  第二に、会社の配当率については何ら制限を設けておりませんが、配当金総額が、その事業年度の総益金から総損金を控除したいわゆる純益金額を超えて配当することを禁止いたしております。また会社は、借入金によつて配当してはならないことといたしますとともに、その事業年度末までに支拂期日の到來した金銭債務を完全に支拂つたあとでなければ会社は配当をしてはならないことにいたしのたのであります。  第三に、特別経理会社及び経済力集中排除法により指定を受けた会社につきましては、整備計画または経済力集中排除法による決定指令の内容を全部実行するまでは、原則として配当してはならないことといたし、ただ大藏大臣許可を受けた場合に限つて配当をなし得ることといたしたのであります。なお制限会社及び金融機関につきましては、この法律には同樣の規定を設けておりませんが、制限会社につきましては、いわゆる制限会社令によつて利益配当をしようとする場合には、すべて事前に許可を要することはもちろんであります。また金融機関につきましては金融機関再建整備法規定によつて整備の完了までは、利益の配当をなし得ないことになつております。  第四に、会社は配当をなした場合には、株主総会の承認その他適法の手続を経て、利益配当が確定したときから三十日以内に決算に関する報告書と準備金及び利益の配当に関する報告書を作成して、大藏大臣提出しなければならないことといたしました。  本案は、去る四日提案の理由を聽取し、五日質疑に入り、この法案の適用を受ける会社の数等に関して質疑があつた後、討論省略、全会一致をもつて可決いたしました。  次に、未復員者給與法案について御紹介申し上げます。本案は、元陸海軍に属し、未だ復員していない同胞の給與について、從來は戰爭中の階級によつて差異があり、特に兵の身分にある者の給與額がきわめて低かつたこと等について、所要の改正をはかつたものであります。  その内容は、俸給については一律に月百円とし、原則としてこれを帰還のとき支拂うこととなし、また扶養家族のある者には、一人当り月額百五十円の扶養手当を留守家族に支拂うことといたしたのであります。なお、從來留守家族に支拂われていた給與の額が新しい俸給と扶養手当の合計額より多い場合には、本年三月の手取額まではその実績を確保することとするほか、復員のときの帰郷旅費三百円及び死亡時における遺族に対する遺骨の引取及び埋葬費五百八十円等、從前の取扱いをそのまま併せて法律化されたものでありまして、これらは、昭和二十二年七月分の給與から適用されることとなつております。  委員会におきましては、十二月四、五の両日にわたり、未復員者の概況等について質問があり、それぞれ政府委員より答弁があつた後、討論省略、全会一致原案通り可決いたしました。  以上、簡單でございますが、御報告申し上げます。(拍手)
  32. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) まず、日程第三、会社利益配当等臨時措置法案につき採決いたします。本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。  次に、未復員者給與法案につき採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告通り決するに賛成の諸君は起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  34. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  第五 建設院設置法案内閣提出
  35. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第五、建設院設置法案議題といたします。委員長報告を求めます。國土計画委員長荒木萬壽夫君。   —————————  建設院設置法案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————   〔荒木萬壽夫君登壇
  36. 荒木萬壽夫

    ○荒木萬壽夫君 ただいま議題となりました建設院設置法案に関し、國土計画委員会における審査経過並びに結果の概要を御報告いたします。  まず第一に、政府提案の理由及び法案内容を御説明申し上げます。政府はさきに、内務省廃止に関する法律案とともに地方自治委員会、公安廳及び建設院設置法案提出し、委員会において審査中であつたのでありますが、その後予期せざる情勢の変化によつて、これを撤回するのやむなきに至つたのであります。政府においては、その後さらに檢討を加えました結果、あらためて内務省及び内務省の機構に関する勅令等を廃止する法律案提出し、これに続いて本法律案提出する運びとなつた次第であります。前法律案撤回以來今日まで種々の経緯があつたとはいたしましても、再提出が遅れましたことは、はなはだ遺憾千万としているところであります。  本法律案は、内閣総理大臣の管理のもとに新たに建設院を設け、その権限としては、國土計画、地方計画、都市計画、河川、道路、砂防、公有水面、住宅、宅地、建築等に関する事務を掌らしむものでありまして、大体において、現在の戰災復興院及び内務省國土局の所管に属しております事務を合わせたものであります。建設院の長は國務大臣をもつてこれに充てる場合もあることに定められていますが、その内部組織といたいしましては、官房のほか総務局、水政局、地政局、都市局、建築局及び特別建設局の六局を設け、おのおの事務を分掌せしめることとし、なお土木出張所、建築出張所、特別建設出張所、技術研究所及び地理調査所を置き、出先機関または附属機関として、それぞれ事務を分掌せしめることになつています。なお、建設院の職員について必要な事項は、政令に譲つてあります。  以上のごとく、本法律案は、さきに撤回されましたる地方自治委員会、公安廳及び建設院設置法案中の建設院に関する部分と大体において同じでありますが、御参考までに、前案と相違するおもなる点を簡單に申し上げます。  その一つは、建設院の所管事項に関し、主として特別調達廳との関係において若干の調整を加えたことであります。すなわち、前の法律案では、建設院の所管事項中に連合國最高司令官の要求にかかる建造物および設備の営繕等のことを掲げておりましたが、これらのことは主として特別調達廳で所掌しているところであり、また今後とも特別調達廳に任せてよい事柄でありますので、今回の法律案では、この関係の事務としては、國費の不当支出を防止するため建設工事の技術的監督及び監視にあたることに止めてあるのであります。  第二は、撤回案の審査中における経過に鑑み、先の法律案において政令に任せてあつたところの建設院の部局及び土木出張所その他の機関に関する事項を、法律案にとり入れることにしたことであります。前にも申し述べましたごとく、本法律案の骨子については、先の地方自治委員会、公安廳及び建設院設置法案中建設院の部分に関する決算委員会、治安及び地方制度委員会國土計画委員会連合審査会の建設院小委員会として、さる八月十五日以降法律案撤回前の八月末日までに、前後五回にわたりまして、内閣総理大臣、行政調査部総裁、内務大臣経済安定本部総務長官、法制局長官、戰災復興院総裁等との間に相当論議が盡されたのでありまして、本法律案としては、主として大局的見地より内閣総理大臣に対する質疑がなされたのであります。以下、政府側との間に行われました質疑應答のおもなるものを要約して御紹介申し上げます。  委員会質疑の第一は、建設院案を建設省案に変更したらどうかという問題でありまして、連合審査の劈頭から、終始ほとんど全委員により最も熱心に質問された点であります。すなわち、今次戰爭中種々の公共事実はほとんど中絶忘却せられて、國土の荒廃は言語に絶するものがある、これに加えて、近時各所に頻発する大風水害は、さらにこれに拍車をかけているばかりでなく、一方戰災地の復興は遅々として進まず、数百万の國民は住むに家なく、食うに食なく、民心は、この國土とともに荒廃の一途をたどりつつある、この窮状を打開するための重大使命を担うべき行政機構としては、建設院案を一擲して、建設力を結集したる一省を興すことによつてのみ國民の負託にこたえ得ると思うが、政府の所見はどうか。また敗戰によつて與えられたる客観條件は、狹小なる國土と過大なる人口であり、敗戰國特有のインフレの重圧である、この窮乏の諸條件を克服するためには、國土の徹底的開発利用をはからねばならない、治山治水の対策も、開拓も、電力開発も、ともに総合的に一切のセクシヨナリズムを去つて、新日本建設のための國土の開発利用という見地から強力に推進することが國家民族を救うゆえんであり、このことを担当させるために建設省の設置が必要であると思うがどうか。また政府は失業者の数を約八百万と推定しているが、この失業救済は、消極的手段ではとうてい解決されるものではなく、國家的に大規模な公共事業を政府が中心となり、強力に遂行することによつて初めて解決の曙光が見出されるのであつて、戰勝國たる英帝國の復興大臣が、完全雇用の問題をみずからの責任において解決せんとしておることを思うべきである、この見地よりしても、建設省の設置は焦眉の急務であると思うがどうか。  これに対する政府側の答弁は、國家復興再建の途上において、建設事業の推進が重大問題であることに関しては、まつたく同感である。政府としても、その重要性を十分に認識し、政府機構の上にも最大の関心を拂つているが、要は國の財政能力と資材の関係が問題である。現在の財政及び資材能力の見地よりしては、建設院のままでその全能力を発揮させることにより、十分復興事業に推進できると信ずる。また現在建設事業が各省にまたがつていることは事実であるが、今これをにわかに一箇所に集中することは、各省間にいくたの摩擦を生じ、容易に解決することはできない。要は各自の働きと努力と誠意である。建設省ではやれるが、建設院では復興事業はやれぬという理窟はない。政府としては、現在のところ、建設院でも一省と同樣の実力をあげ得るものと確信している。また失業対策も國土計画の樹立も重大問題であるが、これはまず産業復興、経済復興より着手して、逐次建設事業を樹立していきたい。  質疑の第二は、政府として建設省の必要性を認め、所要の法案を次の國会提出する意向ありや。また、最も近い機会において建設省設置法案を議員より提案した場合、これに対する政府の意向はどうか。これに対する政府の答弁は、行政機構の調査が根本的に完了するまでは建設院でいく方針であるから、來國会に建設省設置法案提出する考えはない。しかしながら、國会みずからこれを決定することありせば、これを尊重すべきは当然であろう。  質疑の第三は、建設院は本來の性質よりして、高度の科学技術の粹を十分に発揮すべき見地より、これが職員の人選にあたつては、從來の官僚万能、法科万能主義を廃して、その総裁には政治家を充てるとしても、その次長には建設技術に最も練達なるものを充てるよう考慮されたい。これに対する政府側の答弁は、官僚主義は極力これを廃したいと考えている。法科万能のため技術官は下積みとなり、各所でその弊害は叫ばれている。建設事業には高度なる科学的知識と経驗を必要とするという御意見は十分尊重したい。  質疑の第四は、開拓行政は当然建設省に一元化すべきであるのに、農林省内で建設廳または建設局を設置せんとする意向があるに聞くがどうか。これに対する政府側の答弁は、そこまでは考えていない。  質疑の第五は、建設院と特別調達廳との関係いかん。これに対する政府側の答弁は、特別調達廳は建設院と同格の官廳として、連合軍最高司令官の要求にかかるすべての建設物及び設備の営繕並びに備品の調達に関する事務を戰災復興院の特別建設局より引継ぐことになり、建設院の特別建設局には、單に國費の不当支出を防止するため、これらの建設工事の技術的監督と監視に関する事務のみが残ることになつた。  質疑の第六は、何ゆえ國費支弁の営繕に関する事務を建設院に一元化しないか。また営繕事務を在來の建築局より今回建設院の特別建築局に移したる理由いかん。さらに、各省大臣の所管に属する営繕については昭和二十三年五月二日まで有効としたる理由いかん。これに対する政府側の答弁は、右営繕に関する事務は、原則として戰災復刻院で所管していたが、今後さらに進んでそのすべてを一元化することは、実際問題としては困難である。しかし、今後他省にて管理するものは、すべてこれを法律で定めることになつた。また本事務を特別建設局に移した理由としては、建築局と特別建設局の業務量を調整すること、建築局は建築監督行政を、特別建設局は工事施行を主として担当する建前より、営繕事務は主として後者に属すると認めたからである。有効期間は、行政官廳法の有効期間が來年五月二日であるから、それまでには遅くとも法律で他の各省大臣の所管に属するものを決定し得ると考えたからである。  質疑第七は、住宅拂底の折柄、もと軍の所有した各所の厖大なる土地、建物、遊休施設等をより有効に活用するために、これらに関する事務を大藏省より建設院に移管する意思なきや。これに対する政府側の答弁は、理想的にはそうであるべきであると思うが、種種の事情から、未だその運びに至つていない。  質疑の第八は、第十三條第一項及び第三項により、職員に関する事項を政令に、部局の所掌事務の一部変更を建設院の長にそれぞれ委任をしているが、扱い方いかんによつては、立法の趣旨に影響するおそれがあると考えるがどうか。これに対し政府側の答弁は、職名とか定員とかを政令で規定するつもりである。また当分の間、建設院の部局の所掌事務は、相互に一部変更を要するような場合が考えられる。しかしながら、これが濫用は極力避けなければならぬと思う。以上が質疑應答のおもなるものでありまして、詳しくは、本年八月十五日以降建設院小委員会を含めての速記録に譲りたいと存じます。  次に細野三千雄君より、各派共同の提案として修正意見が述べられました。すなわち、第十條の「ことができる。」を削る。換言しますれば、「建設院の長は、國務大臣を以てこれに充てる」とありまする末尾の「ことができる。」を削りまして、「建設院の長は、國務大臣を以て充てる。」ということに修正する点であります。第二点は、第十一條中の「土木出張所」を「地方建設局」に改めるというのであります。修正理由の要旨は、会期の関係上やむを得ず建設院のままで一應進むとしても、建設省としての理想に一歩でも近づけるためには、その長を必ず國務大臣をもつて充てるとすることは絶対的に必要である。また、土木出張所は明治三十八年以來の古い名前であつて、現在の土木出張所の所掌事務の重大性と、その厖大なる建設力等よりして、その名と実を合致せしむるために、これを地方建設局と改めることが適当であるというのであります。  かくて、本委員会は十二月五日午後討論に入り、日本社会党を代表して松澤一君より、日本社会党は本法律案に対しては多大の不満がある。その機構を拡充し、國家再建に寄與すべきであるが、会期の関係上、時間的に余裕がないから、建設省設置の問題としては近き將來に譲ることとし、修正意見及びその他の原案に賛成する。次に、民主党を代表して村瀬宣親君より、内務省廃止に伴う緊急立法として、本案並びに修正意見に賛成する。しかしながら、総合的國土計画を一日も早く樹立し、もつて失業対策にも併せ備えられんことを切望する。なお第十三條の運用については、極力これが濫用に注意されんことを望む。次に、日本自由党を代表して松浦東介君より。内務省の廃止が延期されたので、今度は建設省案が提出されると思つていたのに、再度建設院案が提出され失望したが、これはあくまで臨時的法律案と認め、その見地より本案に賛意を表する。建設省ないし國土省の設置は万人の熱望するところである。二百日の長期にわたる國会中に、ついにバラツク建の建設院しかつくり得なかつたのは遺憾千万である。しかしながら、本日片山総理大臣は、國会の意思は十分尊重すると申されたことを諒とし、われわれに最も近き將來に建設省ないし國土省設置法案提出する決意である。最後に、建設院の運営は科学技術の活用にまつべきもの多大なる点に鑑み、建設院の次長としては練達なる技術官を充当されんことを希望し、かつこれに対する片山総理の賛成意見に対して絶対の信用をおくものである。以上のごとく、それぞれ賛成意見の開陳がございました。続いて採決に入り、細野三千雄君提出の修正案及びその修正部分を除く原案に対し採決の結果、いずれも全会一致をもつて可決いたされた次第であります。  以上、簡單ながら御報告申し上げます。(拍手)
  37. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案の委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  38. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り決しました。      ————◇—————  第六 警察法案内閣提出)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出
  39. 安平鹿一

    安平鹿一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、日程第六とともに、同一委員会付託した、内閣提出地方税法の一部を改正する法律案一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  40. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  日程第六、警察法案地方税法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。治安及び地方制度委員長坂東幸太郎君。   —————————  警察法案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————     〔坂東幸太郎君登壇
  42. 坂東幸太郎

    ○坂東幸太郎君 ただいま議題となりました警察法案につきまして、治安及び地方制度委員会における審議の経過並びに結果を御報告を申し上げます。審議の経過を御報告申し上げるに先だちまして、本法律案内容に関しまして、簡單に御説明申し上げます。  この法律案は、日本國憲法の精神に則り、新たな民主権威のもとに民主的警察を確立することをもつて、その根本方針としているものでありまして、その重点は警察運営の民主化の徹底と地方分権の強化とにおいておりますが、また同時に、警察本來の使命である法律及び秩序の有効な執行という面にも考慮を拂つているのであります。  まず第一に、警察の責務といたしましては、國民の生命、身体、財産の保護、犯罪の捜査、犯人の逮捕及び公安の維持に限定いたし、しかもその運営は、憲法の保障する人権保護の範囲を超えてはならない旨を規定いたしております。  第二は、國家地方警察に関する事項でありまして、國家公安委員会、國家公安委員会の事務部局及び都道府縣公安委員会都道府縣國家地方警察に関する規定であります。内閣総理大臣の所轄のもとに國家公安委員会及び定員三万人を超えない國家地方警察隊を置くことになつておりまして、國家公安委員会の職務内容を申し上げますと、 一、警察通信施設の維持管理に関する事項。 二、犯罪鑑識施設の維持管理に関する事項。 三、警察教養施設の維持管理に関する事項。 四、その他國家地方警察の行政管理に関する事項。 五、犯罪鑑識及び犯罪統計に関する事項。 六、國家非常事態に対処するための警察の統合計画の立案及び実施に関する事項。 七、皇宮警察の管理に関する事項   並びに当該機関の要求のあつた場合において、東京都内における國会内閣、各省、会計檢査院及び最高裁判所の使用する建物及び施設の警備に関する事項。 これがその職務内容であります。  國家公安委員会の組織について申し上げます。本委員会は五人の委員をもつて組織せられ、委員の任期は五年であつて一定の資格要件をもち、かつ警察職員または官公廳における職業的公務員の前歴のない者の中から、國会の同意を経て、内閣総理大臣が任命するのであります。國家公安委員会委員長は、委員の互選によりこれを選任いたすのでありまして、委員長の任期は一年であつて、再任が許されております。  次に、國家公安委員会の事務部局といたしましては、中央に國家地方警察本部、地方に六つの警察管区本部を置くこととなつております。  都道府縣公安委員会は、都道府縣國家地方警察の運営管理を行うものでありまして、三人の委員をもつて組織せられ、委員の任期は三年でありまして、その都道府縣の議会の議員の被選挙権を有する者で、警察職員または官公廳における職業的公務員の前歴のない者の中から、都道縣知事が、都道府縣の議会の同意を経てこれを任命することといたしているのであります。  都道府縣國家地方警察は、その本部を各都府縣廳所在地に置き、その他必要な地に支所及び警察署、駐在所、派出所を置き、もつて都道府縣の区域内における警察の事務を行うのであります。  第三は、自治体警察に関する事項であります。自治体警察は市及び人口五千以上の市街的町村に認められ、その権限は完全独立なものであつて、國家地方警察から何らの干渉を受けず、行政的にも運営的にも自主権をもつものであり、従つて、経費も原則として当該市町村が負担すべきが当然でありますが、ただ当分の間、地方自治財政の確立するまでは、現在通り國庫及び都道府縣の負担といたしております。  市町村公安委員会について申し上げますと、市町村の区域内における警察を管理せしめるために、市町村長の所轄のもとに市町村公安委員会を置くのでありまして、市町村公安委員会の組織、運営等につきましては、都道府縣公安委員会に準ずるものといたしております。  次に、市町村警察について申し上げますと、市町村警察には、市町村警察長、市町村警察署長及びその他の吏員を置くのでありまして、その定員は、地方的要求に應じて、その市町村がこれを決定するのでありますが、その数九万五千を超えてはならないことになつております。なお、市町村警察長は公安委員会がこれを任命し、その他の警察職員は、公安委員会の承認を受けて、警察長がこれを任命することになつております。  第四に、特別区に対する例外規定でありまして、特別区については、その実態に適應して警察の機能の発揮に遺憾なきを期するため、特別区が連合して警察の責に任ずることとし、その公安委員会は都知事の所轄のもとに置き、委員の任命は都知事が都議会の同意を経て行うことにしているのであります。  第五に、國家非常事態の特別措置に関する規定でありますが、國家非常事態に際して、治安維持のために特に必要があると認めたときは、内閣総理大臣は國家公安委員会の勧告に基き、全國または一部の区域について國家非常事態の布告を発することができ、内閣総理大臣によつて、一時的に全警察の統制が行われるのであります。  第六に、管轄区域外における権限行使についての規定であります。國家地方警察及び市町村警察は、おのおの独立してその職権を行うのでありますが、そのおのおのの管轄区域の境界外五百メートル以内の区域及びその管轄区域外においても、おのおの管轄区域で行われた犯罪行爲または管轄区域内に始まり、もしくはその管轄区域内に及んだ犯罪行爲の個々の場合について、その鎭圧、捜査または被疑者逮捕のため、その管轄区域外にもその職権を及ぼすことができるといたし、警察の細分化による犯罪捜査上の不便を補わんとしたのであります。  なおこの法律案は、警察民主化を急速に実現するため、法律の成立後九十日以内に施行することといたしてあるのであります。  以上が本法案概要であります。  本委員会におきましては、去る十一月十日本法律付託せられ、十三日内務大臣及び政府委員より提案理由の説明を聽取いたしまして以來、委員会を開くこと八回、連日にわたつて質疑應答を行い、愼重審議いたしたのでありますが、その詳細なる点につきましては、何とぞ委員会議録によつてごらんいただくことにいたし、その質疑應答のうち、おもなるものニ、三を御報告申し上げます。  第一は、今回の警察改革は警察の弱体化を招來し、犯罪の予防鎭圧上憂慮すべきことではないか、こんなことで治安が保てるかとの質疑に対し、政府の答弁は、それは一應もつともとも思うが、今回の制度改革は、戰後日本再建の根本理念として、大きな民主的警察の確立という観点に立つて行わんとするものであつて、御心配な点は、警察官を十二万五千人まで増員し得ることと、國家地方警察と自治体警察との連絡協調を完全にするとともに、各個人の自粛自衞、眞に民主主義に徹底することによつてつていきたいとのことであります。  第二は、公安委員の選任條件として職業的公務員の前歴を有する者を除外しているが、かくては人選に困難を生じ、運営に支障を來すおそれはないか、またその任用方法を公選にしなければ民主的でないということにならぬかという質疑であります。これに対して政府の答弁は、今回の警察改革は、この機会にあらゆる古いからを脱皮して、新生日本に発刺たる民主主義を実現することを目途としたものであるから、職業的公務員の前歴ある者を除外したこと、また公選の方法をとらなかつたことは、警察に関する主義政策を掲げて立候補するというよりか、すでに公選によつて任命された長が推薦する方が適材を得られると信じたからであるとのことであります。  第三に、警察管区の区分について、名古屋のごとく、交通、通信、経済、金融その他諸施設等あらゆる面から見て東海地方の中心をなすところには、管区本部を置くべきではないかとの質疑であります。これに対して政府の答弁は、法案の別表所定以外に管区の増設をはかることは、諸般の情勢から考えて困難であるとのことでありました。  その他経済警察について、または特別区についてなど種々質疑應答が行われたのでありますが、特別区については、特別区のゆえをもつて連合して警察の責に任ずることは、地方分権の確立という観点からいつて妥当でないという論、第五十一條に、特別区が連合して警察の責に任ずるとあり、第五十二條には、特別区公安委員会委員は、都知事が、都の議会の同意を経てこれを任命するとあるのは、費用その他に関し明瞭でなく、統一がとれていないという論、あるいは特別区に関する規定が明瞭でないから、第五十一條の「特別区が連合して」を「特別区の組織した組合」とし、第五十二條の「都知事が、都議会の同意を経て」とあるのを「都知事が、組合の議会と同意を経て」に改める方がよいという意見等、活発に論ぜられたのであります。  以上が、大体本法律案に対する質疑應答の概況であります。  かくして、質疑は十一月二十二日終了いたし、爾後修正案について種々協議いたしたのでありますが、十二月五日討論に入りましたところ、民主党中島茂喜君より、各派共同提案たる修正案が提出せられたのであります。以下、簡單に修正案についてその概要を御説明申し上げます。  第一に、経済関係に対する取締りは別個に独立の経済警察を設けるとのことであるが、経済事犯についてまつたく警察が手を触れることのできないように誤解せられることは、警察の責務を遂行する上からいつて、いかがかと思われるので、「この法律にいう犯罪とは、経済法令に関する違反を含むものであり、かつこれに限定せられるものではない」旨を第二條第三項に加えたものである。  第二に、都道府縣公安委員及び市町村公安委員に対し、住民より解職請求することができないことは、公安委員の職務の性質上不適当と思われるので、解職請求を行い得ることを第二十四條第二項及び第四十四條但書に明記したのであります。  第三に、都道府縣公安委員に適当な人材を求めるため、公務員法第百三條及び第百四條に規定する兼職に関する制限は、都道縣知事において委員の勤務に支障があると認める場合のほか、これを行わないものとし、委員の勤務については、都道府縣公安委員会でこれを定めなければならぬ旨、第二十二條第二項に但書として加えたのであります。  第四に、市町村が警察の責に任ずることとなつた場合、國有財産または國の所有に属する物品のみでなく、都道府縣有財産及び都道府縣の所有に属する物品も、市町村警察に必要な場合は無償で譲與されることが適当と考えられるので、その旨附則第九條に加え、さらにこれに伴う負債のあるときには、その処分については、相互の協議によりこれを定めることといたしたのであります。  第五に、恩給法の適用の際、市町村警察の職員となつた者がさらに地方國家警察の職員になつた場合には、その市町村警察の職員としての在職期間は、これを公務員としての在職年に通算することとし、自治体警察の警察官となることをいとうようなことのないようにいたしたのであります。  その他第四條、第十五條、第四十條第二項、第四十四條、第四十五條第三項、第四十六條第二項、第四十六條第三項、第四十八條、第四十九條、第五十條、第五十五條、附則第十五條第四項の十二箇所にわたり字句の修正を行い、規定の趣旨を明確にせしめたのであります。  以上が、各派共同提案の修正案の大要でありますが、続いて社会党の門司亮君、自由党の松野頼三君、社会党の松澤兼人君、同久保田鶴松君、國民協同党の石田一松君から、それぞれ討論が行われた後、採決の結果、修正案は起立総員をもつて提案のごとく修正するに決し、ここに本警察法案は修正議決せられた次第であります。右、御報告申し上げます。(拍手)  続いて、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につき、治安及び地方制度委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、先日提案いたされました地方税法の一部を改正する法律案が、十二月一日本院において可決いたされました後、再び府縣民税及び市町村民税の一人当り賦課額を引上げる緊急の必要が生じました結果、再度十二月五日に内閣より提出され、即日本委員会付託されたものであります。  まず、本改正案の要旨を簡單に申し上げますと、最近の社会情勢に鑑み、政府は、官公吏について、いわゆる一時手当金として、とりあえず給與の一箇月分、総額約二十七億三千余万円を年末に支給するものとし、これがため近く補正予算案第十号を提出することとなりましたが、これに伴い、地方職員についても、また一般官吏と同樣、とりあえず給與の一箇月分、総額約二十三億五千万円の特別手当を支給するものとし、これが地方費負担額約十八億四千万円の所要財源として、やむなく、さきに上程可決されました、内閣提出、第五十七号、地方税法の一部を改正する法律案の、府縣民税及び市町村民税の納税義務者一人当りの平均賦課額「百八十円」及び「百二十円」を、それぞれ「二百四十円」及び「百六十円」といたし、また特別市に関しては、「三百円」とあるのを「四百円」と引上げたものであります。本法施行期につきましては、急を要する事項でありますので、公布の日よりこれを施行するものとし、昭和二十二年度分からこれを適用することとしているのであります。  以上が本案の要旨でありますが、委員会で論議せられました中心点は、地方住民に多大の負担をかけている現在、さらに府縣市町村民税の増額をせず、國庫においてこれを支弁することはできないものかという質問に対しまして、政府の答弁は、國庫において支弁することは財源上不可能であり、やむを得ずこのような措置に出たものであるというのであります。従つて委員会は、今六日本法案の趣旨を了承し、本改正案を総員起立、満場一致をもつて原案通り可決した次第であります。  以上をもつて、治安及び地方制度委員会における地方税法の一部を改正する法律案に関する審議の経過及び結果の報告といたします。(拍手)
  43. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。日程第六の委員長報告は修正でありまして、地方税法の一部を改正する法律案委員長報告は可決であります。両案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  44. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告通り決しました。      ————◇—————  第十一 昭和二十年度歳入歳出総決算昭和二十年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十二年法律第百二十一号(國家公務員法規定が適用せられるまでの官吏任免等に関する法律)の一部を改正する法律案内閣提出
  45. 安平鹿一

    安平鹿一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、日程第十一とともに、同一委員会付託したる、内閣提出昭和二十二年法律第百二十一号の一部を改正する法律案一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  46. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  日程第十一、昭和二十年度歳入歳出総決算昭和二十年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十二年法律第百二十一号の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。決算委員長竹山祐太郎君。   —————————  昭和二十年度歳入歳出総決算昭和二十年度特別会計歳入歳出決算に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————  昭和二十二年度法律第百二十一号(國家公務員法規定が適用せられるまでの官吏任免等に関する法律)の一部を改正する法律案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————     〔竹内祐太郎君登壇
  48. 竹内祐太郎

    ○竹内祐太郎君 ただいま議題となりました昭和二十二年度歳入歳出総決算昭和二十年度特別会計歳入歳出決算につき、その審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  申すまでもなく本二十年度決算は、終戰を挾み、前半は戰災激甚の中、後半は終戰後の混乱状態の中の決算でありまして、その審査にあたつても、委員各位がもつとも困難苦心をいたしたところであります。決算審議の方式についても、新國会の性格よりして、ただ従來のごとき方法の継続は根本的に檢討の要あるものと認め、まず決算審査方針に関する小委員会を設け、竹谷小委員長のもと十名の委員諸君より愼重檢討が加えられました結果、一應昭和二十年度の審査方針を決定し、根本的に参議院とともに新たなる審査方式によることについては、関係法令改正等なお愼重なる研究を続ける必要を感じまして、一應今國会においては、改正案の決定は留保いたした次第であります。なお今國会より、決算審査にあたり、國会の要請に基き、会計檢査院当局が直接意見を開陳してもらい得ることに法令の改正を見、終始審査に協力を得たことは、多とするところであります。  審査は、会計檢査院の報告資料とし、政府当局及び会計檢査院の説明を求めて質疑應答を重ね、愼重審議を続けた次第でありまして、その詳細は会議録及び報告書についてごらんをいただくこととし、ここに、その結果の要領につき簡單に御報告申し上げます。  前に申し述べました通り、この二十年度の決算をここまで取まとめることにつき政府の労は想像し得るところでありますが、その内容において、会計檢査院が遂に決算確定をなすことができなかつた、いわゆる未確定金額が、総決算において歳入一億八千八百余万円、歳出において三億六千六百余万円、同じく特別会計中通信、鉄道両会計において、歳入に四万余円、歳出に三千三百万余円に上つておるのであります。毎年多少の未確定金額のあることは不思議としませんが、この厖大なる額は、事態が特別のものであつたことは認める次第でありますが、官廳機構の運営上將來考慮すべき重大問題がここに潜んでいることを痛感し、終戰の混乱を好機としての官紀の緩みをこの際將來に延長せざるよう、政府及び会計檢査院の努力を望むこと切なるを感ずる次第であります。  なお、確定金額の中においても、戰災等による證拠書類亡失のため證明不能の金額が、総決算において歳入に九千五百余万円、歳出に二億五千六百余万円、特別会計において歳入に三億八千百余万円、歳出に十億余万円、またこのほか款項不明のものが相当にのぼつております。これらは、檢査院ができるだけ実地檢査の結果を参酌し、諸般事情を勘案して、檢査を済ましまたは済ませたこととして檢査確定をいたしたものでありました。一應会計檢査院の努力を信頼した次第でありまして、はなはだ遺憾とする次第であります。  從つて、会計檢査院の批難事項も、おそらくその全部は相当多量に上るべきものと考えらるるも、本委員会としては、最後にその提出されたる事項中、違法と認めるべきもの八件、措置不当と認めらるべきもの十一件、注意の周到を欠いたものと認められ、將來の注意を促すべきもの十五件、以上三十四件につき、その内容説明は省略いたしますが、その内容は大体檢査院と同樣の見解の下に、全員一致決定いたした次第であります。政府当局もまたそれぞれ遺憾の意を表し、すでに当時の責任者に対して、大方それぞれ処分をしている次第であります。  なお、二十年度として特殊の問題は、終戰に伴い生じた特殊物件処理に関する問題でありまして、決算と重要なる関係を有するのでありますから、これも審議の中において審査を続けましたが、本院にも、さきほど加藤委員長より詳細述べられました特別委員会設置をみておりますので、詳細はこれに譲ることにいたしましたが、政府の手にある物件だけについても、その後の処理きわめて不十分にして、國家財政今日窮乏のときにおきまして、それの歳入に対する政府の努力はなはだ遺憾な点を感じ、引続きそれが経過を見て、委員会としても審議を続ける所存であります。  以上が、委員会経過並びに結果の御報告でありまして、委員全員の熱心に述べられました結論は、政府官僚全員が、國民の膏血を使用するにあたり、誠心誠意國民の信頼にこたえておるかどうかが最も重大問題でありまして、一日も早く官廳の整備刷新をはかり、國民、國会の期待に副われんことを、政府に対しここに嚴粛に要請して、決算の報告といたします。(拍手)  次いで、ただいま議題となりました昭和二十二年法律第百二十一号國家公務員法規定が適用せられるまでの官吏任免等に関する法律の一部を改正する法律案について、審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、さきに御決定をいただきました法律中第一項に、「その他政府職員」の七文字を加え、明年一月一日施行せんとするものでありまして、前の法律案審議の当時、政府國家公務員法施行に伴い、官吏給與に関し、憲法に基き國家公務員の暫定給與法案を本國会に提案をする本格的な準備を進めておつたのでありますが、その後諸般都合上、これが法案提出の運び困難と相なりました結果、このままでは諸給與、殊に雇用員、待遇職員等の給與根拠に適当なる法律根拠を有せざる結果となるおそれがありますので、とりあえず経過的処置として本改正を行わんとするものであります。  事項きわめて簡單でありますので、本日委員会において政府説明を求め、委員一同これを了承いたしまして、討論を省略全員賛成原案通り決定いたしました次第であります。(拍手)
  49. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) まず、日程第十一につき採決いたします。本件を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  50. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本件は委員長報告通り決しました。  次に、昭和二十二年法律第百二十一号の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  51. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。     —————————————
  52. 安平鹿一

    安平鹿一君 自由討議はこれを延期し、本日はこれにて散会されんことを望みます。
  53. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後五時九分散会