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1947-11-27 第1回国会 衆議院 本会議 第67号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十一月二十七日(木曜日)     午後三時十七分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第六十六号   昭和二十二年十一月二十七日(木曜日)     午後一時開議  第一 戸籍法改正する法律内閣提出)  第二 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 家事裁判法施行法案内閣提出)  第四 失業保險特別会計法案内閣提出)  第五 企業再建整備法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 企業再建整備法の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 國有林野法の一部を改正する法律案内閣提出)  第八 郵便法案内閣提出)  第九 北鮮に残留中の邦人釈放に関する請願(第九〇七号)  第十 自由討議(前会の続)     —————————————  一、自由討議の問題   臨時農業生産調整法案内閣提出)について     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 諸般の報告をいたさせます。     〔参事朗読〕  委員会付託された議案は次の通りであります。  (内閣提出内務省官制度廃止に伴う法令の整理に関する法律案   十一月二十四日          決算委員会付託  (内閣提出財閥同族支配力排除法案  (内閣提出食糧管理特別会計法等の一部を改正する法律案  (内閣提出関税法の一部を改正する法律案   以上三件 十一月二十五日      財政及び金融委員会付託  (内閣提出)國の利害関係のある訴訟についての最高法務総裁権限等に関する法律案  十一月二十五日         司法委員会付託  (内閣提出消防法組織法案  十一月二十五日   治安及び地方制度委員会付託  (内閣提出都会地轉入抑制緊急措置令改正する法律案  (内閣提出横須賀港を開港に指定する法律案   以上二件 十一月二十五日        國土計画委員会付託  (内閣提出参議院送付郵便貯金法案   十一月二十六日          通信委員会付託  (内閣提出食糧輸入税を免除する法律案  十一月二十六日      財政及び金融委員会付託  昭和二十二年度一般会計予算補正(第九号)  昭和二十二年度特別会計予算補正(特第四号)   以上二件 本日 予算委員会付託  (内閣提出簡易生命保險等の一部を改正する法律案   本日     通信委員会付託  (内閣提出)副檢事の任命資格の特例に関する法律案   本日     司法委員会付託     〔朗読を省略した報告〕  一、昨二十六日次の法律の公布を奏上し、その旨参議院に通知した。    金融機関再建整備法の一部を改正する法律  一、茨城縣第一選出議員葉梨新五郎君は、去る十月二十九日、昭和二十二年勅令第一号に基く同令第四條の覚 書該当者と指定せられ、十一月二十六日退職者なつた。  一、去る二十五日衆議院規則第十四條但し書により議長において議席を次の通り変更した。             二七一  古賀喜太郎君       二七二  長尾 達生君       二七三  岡部 得三君       二七六  愛知縣第一選出議員       二七七  東京都第六区選出議員       三〇三  寺本  齋君       三二九 長野重右ヱ門君       三八五  押川 定秋君       三九二  荊木 一久君       三九三  細川八十八君       三九四  鈴木彌五郎君       四〇三  吉田  安君       四〇九  矢野庄太郎君 一、昨二十六日財政及び金融委員葉梨新五郎君は退職された。 一、昨二十六日水害地対策特別委員葉梨新五郎君は退職された。 一、去る二十五日議員から提出した議案は次の通りである。  臨時石炭鉱業管理法案内閣提出)に対する修正案松本七郎君外二名提出) 一、去る二十五日内閣から提出した議案は次の通りである。  財閥同族支配力排除法案  國の利害関係のある訴訟についての最高法務総裁権限等に関する法律案  消防組織法案  食糧管理特別会計法等の一部を改正する法律案  都会地轉入抑制緊急措置令改正する法律案  関税法の一部を改正する法律案  横須賀港を開港に指定する等の法律案 一、昨二十六日内閣から提出した議案は次の通りである。  地方税法の一部を改正する法律案修正  食糧輸入税を免除する法律案 一、去る二十五日参議院に送付した内閣提出案は次の通りである。  臨時石炭鉱業管理法案 一、去る二十五日議員から次の議案委員会の審査を省略されたい旨の要求書を受領した。  議長信任に関する決議案         吉田  安君外六名 一、昨二十六日参議院から受領した内閣提出案は次の通りである。  郵便貯金法案 一、昨二十六日参議院において、本院から送付した次の内閣提出案可決した旨の通知書を受領した。  金融機関再建整備法の一部を改正する法律案 一、去る二十五日議員から次の議案を撤回する旨の申出があつた。  議長不信任に関する決議案小澤佐重喜君外三名提出)  議長信任に関する決議案吉田安君外六名提出)     ━━━━━━━━━━━━━
  3. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  4. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 有田二郎君より、議事進行に関する発言を求められております。この際これを許します。有田二郎君。     〔有田二郎登壇
  5. 有田二郎

    有田二郎君 すでに衆議院を通過して、目下参議院において審議中の臨時石炭鉱業管理法案について、はなはだしい錯誤のあつたことは、昨日の参議院鉱工業委員会において問題になつたと承つておるのであります。すなわち、第十八條の第四行目の「炭鉱管理者は、前項の原案を作成する場合には、生産協議会の議を経なければならない。」この項につきまして、提出者は單に「案」と言つておられるのでありますが、この印刷物によりますと、「原案」となつておるのであります。さらにまた第三十三條、すなわち改まりまして第二十九條でありますが、この説明について、提出者は何ら触れていないのであります。さらに第六十一條におきましては、「第八條規定による当該の官吏その政府職員檢査を拒み、」という点がありますが、説明者説明によりますと、「その他の政府職員」というのは削除されておることになつておるのでありますが、この項におきましては、削除されていないのであります。さらにまた、その次の「檢査」は、説明者によりますと、「監査」と改めておられるのでありますが、これまた「檢査」になつておるのであります。さらに第六十二條の第六項に、「第十八條第一項」とありますが、これは「第十七條」の誤りであります。さらに第六十四條におきまして、「この法律規定の全部が施行された日から、」と書いてありますのは、「この法律施行の日から、」の誤りでありまして、説明者の「規定の全部が」というのは消されていないのであります。すなわち、元來本法案は三千万トン増炭が主要目的であります。にもかかわらず、政府與党は、本法案党利党略のため、われわれ少数党の愼重なる審議を阻止して、もつぱらその通過を強行し、かかる錯誤を生じたものであります。これは與党責任である。(発言する者あり)だまつて聽け。從つて、この一事をもつてしても……     〔発言する者多し〕
  6. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  7. 有田二郎

    有田二郎君(続) 本法案によれば、石炭三千万トン達成は至難と考えられるのであります。けれども、本法案審議については、錯誤を訂正しなければならないと思います。     〔発言する者多し〕
  8. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  9. 有田二郎

    有田二郎君(続) この錯誤は、早々の際、われわれに十分の審議の機会を與えることなく……     〔発言する者多し〕
  10. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 議事進行の……     〔発言する者多く、聽取不能
  11. 有田二郎

    有田二郎君(続) 強引に本案通過をはからんとした政府與党責任であると思うのであります。すでに参議院に移管されておるこの際に、この錯誤をいかに処理せられんとする方針であるか。議長並びに議長を通じて提出者所見を質さんとするものであります。(拍手
  12. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 有田君にお答えいたします。一昨日議席にとりあえず御配付いたしました臨時石炭鉱業管理法案修正案には、松本君外二名提出修正案相違の点のありましたことは、事実であります。御承知の通り、時間の関係印刷物との照し合せ、校正が十分でなく、そのため、議長提出されました修正案相違の点があつた次第であります。よつて議長は、ただちに該印刷物の正誤の手続とつたわけであります。右、御了恕を願います。(拍手)なおお聽き及びの通りでありますから、松本七郎君からお答えがありますれば、この際お願いいたします。     〔松本七郎登壇
  13. 松本七郎

    松本七郎君 お答えいたします。私が修正案につきまして御説明申し上げますにあたりましては、時間の制限もございましたので、多くの点を省略いたしました。議長のもとに提出したしました修正案には、全部正確に書いてございます。      ————◇—————
  14. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) お諮りいたします。昨二十六日内閣から、地方税法の一部を改正する法律案修正したいとの申出がありました。これを承諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて修正を承諾するに決しました。(拍手)      ————◇—————  第一 戸籍法改正する法律案内閣提出)  第二 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 家事審判法施行法案内閣提出
  16. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第一、戸籍法改正する法律案日程第二、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案日程第三、家事審判法施行法案、右三案は同一の委員会付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長報告を求めます。司法委員長代理井伊誠一君   —————————  戸籍法改正する法律案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————  訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————  家事審判施行法案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————     〔井伊誠一登壇
  17. 井伊誠一

    井伊誠一君 ただいま議題と相なりました、戸籍法改正する法律案訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案及び家事審判法施行法案の三案について、司法委員会における審議経過及び結果の概要を、委託によりまして私から御報告申し上げます。  第一に、戸籍法改正する法律案について御報告申し上げます。まず、政府原案要旨について御説明いたします。  本案は、民法親族相続両編の改正に伴い必然的に戸籍法全面的改正が必要となり、提出せられたものでありまして、その要旨をあげますれば、第一に、民法改正による家の制度廃止に伴い、新たに戸籍編製の基準として夫婦親子を單位とする方法をとつておりますが、現行法による戸籍全部をただちに編成替えすることは無用の混乱を來すので、経過的にはこれを本改正案による戸籍とみなし、ただ、今後十年を経過したときこれを改正することになつております。  第二は、戸籍の表示は、戸籍筆頭に記載した者、すなわち夫婦の称する氏のいかんにより、夫または妻の氏名及び本籍で表示することになつております。なお、この戸籍筆頭に記載した者が除籍になつても、同籍者のある限りその戸籍はそのままとし、全員除籍になつて初めてその戸籍除籍簿に移すことになつております。  第三に、民法上の入家、一家創立に関する規定の削除に伴い、入籍、新戸籍編製または除籍の事由は、それぞれ戸籍法上に列挙的に規定しております。  第四は、新憲法施行及び民法改正に伴い、家に関する規定をすべて削除するとともに、他方、後見監督人姻族関係の終了、推定相続人廃除及び分籍に関する諸規定が新たに設けられております。  第五に、人口動態統計の改善に即應し、出生届に医師、助産婦その他の者の証明書を添付させ、なお省令の規定を織りこみ、出生または死亡届はそれぞれ事件発生地届出ることになつております。  第六に、当用漢字制定の趣旨に副うため、新たに子の名に常用平易な文字を使用せしめる規定を設け、かつ改姓名を比較的容易ならしめるための所要改正が加えられております。なおまた、太政官布告「御歴代の緯及び御名の文字の使用に関する件」は、新憲法の精神に反するとの理由から、これを廃止することとなつております。  最後に、戰時立法たる委託または郵便による戸籍届出に関する法律廃止するとともに、同法中の郵便による届出死亡後到達したものの効力を認めている規定は、本案中に織りこむことになつております。以上が、政府原案要旨であります。  委員会は、本月二十日政府説明を聽き、二十二日質疑にはいり、浩翰なる本案の各條にわたつて質疑がなされたのでありますが、ここには、その主なるものと思われます二、三の点について御紹介申し上げます。  第一に、戸籍記載事項中、その他命令で定める事項とは、具体的にいかなる事項を予想せるものであるかとの質疑に対し、政府より、たとえば子の認知があつた場合の認知や、相続人廃除を受ける場合の、その廃除に関する事項等を記載する考えである旨の答弁でありました。  第二に、市町村長は、届出を怠つた者のあることを知つた場合は、いかなる場合にも催告義務を有するものかとの問に対し、解釈上、職務上知つた場合であるから、個人的に知つたとしても催告義務はないと考える旨の答弁でありました。  第三は、嫡出子出生届出について、父を第一次義務者とした理由いかんとの問に対し、両性の本質的平等の見地からすれば父母双方義務者とするのが適切ではあるが、すでに届出書には父母双方氏名を掲げねばならないのであるから、届出は便宜上どちらからでもよいと考え現行法の建前を踏襲せる旨の答弁でありました。  第四に、棄子に対する市町村長調書作成によつて届出とみなされる場合の戸籍取扱いかんとの問に対し、調書届出に該当し、これにより戸籍が編製され、將來父または母ができれば、調書に基く戸籍廃止し、父母戸籍に記入されるのである。もつとも廃止といつても、実質上は除籍により保存されることになるのであつて、いかなる場合にも戸籍廃棄ということはあり得ない旨の答弁でありました。  以上、質疑の主なるものについて御紹介申し上げました。  次いで同日討論に入り、各党委員より、それぞれ党を代表して原案賛成意見が述べられ、採決の結果、本案全会一致をもつて原案通可決いたしました。  次に、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。まず、本案要旨について御説明いたします。  本案は、昨年九月本法改正時に比し物價がさらに三倍の高騰を示し、現行手数料等の額が実情に副わなくなつたので、さらに暫定的に手数料等の額を増額して現状を打開するために提出せられたもので、その要旨といたしまする点は、第一に、民事、刑事の訴訟費用及び執行吏手数料現行の約二倍半ないし三倍程度に増額いたしております。第二に、執行吏の差押及び競賣手数料の計算の標準となる債権額または競賣金額について、從來の一万円以下六段階の分類を、五万円以下六段階としております。第三に、新憲法及び裁判所法施行に伴い、字句その他の点で若干條文整理を見ております。以上が、政府原案要旨であります。  委員会は、二十一日説明を聽き、二十三日質疑に入り、次のような質疑が交されました。以下、かいつまんで御紹介申し上げます。  第一に、現下刑罰法規官濫発の傾向に鑑み、年少者行刑保護施設に対する具体的計画行刑局長人選上の方針及び神会的行刑保護事業從事者の処遇に対する所見いかんとの問に対し、一括して政府より、近く監獄法改正により、より文化的、教育的かつ合理的行刑への方向に進むものと考える、少年保護については、將來最高法務廳に三局を設け、特別制度の上で改革するだけでなく、從來民間私設保護團体は弊害があると考え、全部官公立のものに改組する考えである、行刑局長行刑部門から迎えることとし、なお民間経驗をも活用する途をとりたいと考える、なおまた、行刑保護事業盡瘁者のごときは、社会的、文化的功労者として新しい栄典を考慮すべきである旨の答弁でございました。  第二に、訴訟提起者あるいは裁判を受ける者等費用負担増加に伴い、貧困者に対する訴訟費用救助制度あるいは少額の債権者に対する権判救済に関する政府考慮いかんとの問に対し、貧困者に対する訴訟費用救助法においては、勝訴の見込みというような疏明を要するので、容易に救助を受け得ない憾みはあるが近き將來最高法務廳人権擁護局ができれば、訴訟救助あるいは官選弁護を主管することになつているから、何らかの効果をあげ得るものと考える、なおまた、本案訴訟を起すための印紙についてはまつたく触れていないから、訴訟を起すのに不都合はなく、敗訴になれば、相当の負担はかかつても正当な権利に影響はないと考える旨の答弁でございました。  以上、質疑のおもなものについて御紹介申し上げました。  次いで討論の際、各党委員より党を代表して原案賛成意見が述べられ、採決の結果、本案全会一致原案通可決いたしました。  次に、家事審判法施行法案について御報告申し上げます。まず、政府原案要旨について御説明いたします。  本案は、家事審判法施行等に伴い提出せられたものでありまして、その概要を御説明いたしますれば、第一に、現行人事調停法において処理されていた調停事件は、すべて家事審判所において取扱うこととなりましたので、現行人事調停法廃止しております。第二に、現行人事訴訟法によつて処理されていた事件のうち、夫婦の同居に関する事件、親権及び財産管理権の喪失の宣告に関する事件禁治産及び準禁治産宣告に関する事件失踪宣告に関する事件等は、家事審判所において取扱うこととなり、また推定家督相続人廃除に関する事件隠居の無効及び取消事件等がなくなつたので、これらの事件に関する規定を削除し、その他民法改正に伴う所要改正が加えられている。第三に現行訟事件手続法によつて処理されていた不在者等財産管理に関する事件、子の懲戒に関する事件相続の承認及び放棄に関する事件、遺言の確認及び執行に関する事件等は、家事審判所において取扱うことになり、また離籍、隠居廃家等許可事件親族会に関する事件等がなくなつたため、これらの事件に関する規定を削除し、その他改正民法施行に伴う所要改正が加えられております。第四に、以上の法律廃止及び改正に伴う必要な経過規定が設けられております。以上が、政府原案要旨でございます。  委員会は、二十一日政府説明を聽き、二十三日質疑にはいつたのでありますが、別に問題となる点もなく、身分関係事件についての審判及び裁判請求権につき質疑のあつた後、ただちに討論に移り、各党委員より、それぞれ党を代表して原案賛成意見を述べられ、採決の結果、本案全会一致をもつて原案通可決いたしました次第でございます。  以上、三案についての報告を終ります。(拍手
  18. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) まず戸籍法改正する法律案につき採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  19. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  次に、日程第三及び第三の両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  第四 失業保險特別会計法案内閣提出
  21. 松岡駒吉

  22. 北村徳太郎

    北村徳太郎君 ただいま議題となりました失業保險特別会計法案について、財政及び金融委員会における審議経過及び結果を簡單に御報告申し上げます。  まず本案要旨を申し述べますと、失業保險法案に基く失業保險事業に関する歳入歳出は、政府管掌の各種の保險事業におけると同樣、これを特別に経理いたしまして、その收支を明確ならしめるのが適当であり、從つて、新たにこれに関する特別会計を制定しようとするものでございます。なお、失業手当法に基き政府の行う失業手当金及び失業保險金支給事業につきましても、その歳入歳出の経理は、その性質上本特別会計において併せ行うこととしようとするものであります。  本案は、去る九月二十三日本委員会付託されたものでありまして、政府より提案理由説明を聽取した後審議いたしましたが、本月二十五日討論に入りまして、社会党の中崎委員より、附則第十七條を「この法律は、昭和二十二年十一月一日からこれを適用する。」と修正するようにとの意見が述べられ、本修正案について採決の結果、全会一致をもつて可決いたしました。修正部分を除く原案に対しても、総員の賛成を得ました。よつて本案修正議決されました。  以上、簡單でございますが、御報告申し上げます。(拍手
  23. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  25. 安平鹿一

    ○安平鹿一君 日程第五及び第六の両案は延期されんことを望みます。
  26. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程第五及び第六は延期するに決しました。      ————◇—————  第七 國有林野法の一部を改正する法律案内閣提出
  28. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第七、有林野法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。農林委員会理事大島義晴君。   —————————  國有林野法の一部を改正する法律案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————     〔大島義晴登壇
  29. 大島義晴

    大島義晴君 ただいま議題となりました、内閣提出農林委員会付託にかかる國有林野法の一部を改正する法律案に関しまして、その審議経過及び結果の概要について御報告申し上げます。  本改正法律案の内容は、國有林野法の第二十六條を削除するにありますが、その理由は、およそ次の二点に盡きるのであります。  すなわちその第一点といたしましては、從來北海道國有林野は、その特殊性に鑑みまして北海道廳管理に属し、その適用法規としては、北海道國有林野及び産物処分令があつたのでありますが、この勅令は旧憲法のいわゆる独立命令でありますので、昭和二十二年法律第七十二号日本國憲法施行の際現に効力を有する命令規定効力等に関する法律の第一條により、本年十二月三十一日限り失効となるのであります。そこで、この勅令に代るべき法律を必要とするというのであります。  次に、第二の理由といたしましては、北海道國有林野は、本年四月國有林野事業特別会計法の施行と、五月の官制の改正によりまして、旧御料林とともに農林大臣の所管に移り、内地府縣所在の國有林野と同一方針のもとに運営する必要があり、國有林野法改正して、北海道にもこれを施行しようというのであります。  なお、本法の改正前、本法に基いて行つた國有林野に関する契約は、本改正施行後においても当然有効であることはもちろんでございまして、附則において、その旨をうたつておるのでございます。  本改正法律案審議に関連し、北海道林政上の諸問題に関し委員並びに政府側との間に行われた質疑應答中の主要事項について、これを御報告いたします。  質疑の第一点といたしましては、北海道の森林は戰時中はなはだしい濫伐を受け、殊に輸送に便利な所から手をつけたので、民有林、公有林の過伐が行われたのに対して、奥山にある國有林は、比較的その林力が保存されている、しかるに、本法によつて公有林を北海道に残し、無きずの國有林を國家の手に移すということは、はなはだしく不公平の処置である、從つてこの際、両者の交換分合をなす必要があると思うが、政府所見いかんというのでありまして、これに対する政府答弁は、原則として廃置分合には賛成であるが、法律上の手続を必要とするから研究を進めたいというのであります。  次に、民有林について財閥が廣大な地積を占有し、地價の値上りと樹木の成長を待つている状態であるが、政府は森林経営の合理化をはかるつもりがあるかとの質問に対し、森林利用の効率を高めるために調査を進めていると答弁したのであります。  次に、本法によりいわゆる特賣権が依然継続されることになるが、北海道では種々の弊害を釀している、政府はこれに対していかに考えるかという質問でありますが、年期特賣の制度があつて、資力の点で拂下げを受ける者がおのずから固定化される傾向はあるが、いわゆる特賣権は、これを一つの権利と認めている訳ではないとの答弁であります。  次の質疑といたしましては、森林に関しては國有林野事業特別会計が設置されているために、営林署の経理が地賄いであり、最近の経済状態から、赤字補填のため職員の給料も拂えぬ状態である、政府はこれをいかに見るかというのであります。政府はこれに対しまして、完全な地賄いでやつているわけではない、林野局長官が支出官となり、各営林局間の財政を調節しているのであるが、北海道は交通不便のため、全体の收支が崩れているきらいがあるのは事実であつて、近く係官を派遣して調査を進めるつもりであるとの答弁を受けたのであります。  以上、質疑應答中の主要事項をかいつまんで御紹介申し上げた次第でありますが、なお、社会党佐竹委員より緊急動議の提出がありまして、本改正法律案の上程せられたこの機会に、  一、政府は農林委員会に対して、立木千石以上の拂下先に関し本会期中に調査資料を提出すること。  二、林産特賣内容を調査するため特別調査小委員会を設置すること。 の二点を提案されたのであります。第一点につきましては、政府より速急に要求資料を提出するよう手配する旨の確約を得、第二点に関しては、農林省内に行政監査委員会が設けられていて、本問題を監査するようになつているので、衆議院農林委員会は該監査委員会と連繋をとり、かつ独自の立場をもつてこの問題を処理することとし、右緊急動議を可決いたしました。次いで、特別調査小委員会として永井、佐竹、野原、萩原、圖司の各小委員の決定が、全員の賛成を得て行われたのであります。  本法律案は、十一月八日農林委員会付託となり、十一月二十二日政府よりその提案理由説明を受け、爾後二回にわたつて審議を行い、十一月二十五日質疑を終了して討論にはいつたのであります。社会党を代表して永井委員より、本法律案趣旨は至つて明白であり、北海道林政の基本方針が決定した今日、これを可決するのは当然であると思うが、北海道の森林が有する特殊性に鑑みまして、  一、國有林と公有林との交換分合を行うこと。  二、公有林に対する國庫補助の特別措置を講ずること。  三、奬励苗圃費の金額國庫負担を行うこと。  四、町村有財産の賣拂に対する特別措置を講ずること。 以上四点の希望意見を述べ、原案への賛成が表明されたのであります。よつて、ただちに採決を行いましたるところ、全員起立原案通りこれを可決されるに至つた次第でございます。  以上、本法律案可決するにいたつた経緯について御報告申し上げましたが、御賛成あらんことを希望する次第でございます。(拍手
  30. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  32. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第八は、都合によつて一時後回しにしたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めまして、さよう決しました。      ————◇—————  第九 北鮮に残留中の邦人釈放に関する請願(第九〇七号)
  34. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第九、北鮮に残留中の邦人釈放に関する請願を議題といたします。委員長報告を求めます。外務委員長安東義良君。     〔安藤義良君登壇
  35. 安東義良

    ○安東義良君 ただいま上程に相なりました請願につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  去る十一月十三日、本請願を議題といたしまして委員会を開きました。紹介議員川合彰武君より請願の要旨及び目的を説明せられました。  その説明によりますれば、終戰後北鮮に居住しておりました同胞、特に総督府関係、司法、警察関係の官吏及び民間地方有力者の多数が、政治犯あるいは惡質前職罪としてすでに刑を執行され、または現在もなお未審理のまま抑留されておる者もあります。これらの人たちは、きわめて惠まれない環境の下にあつて、加えて獄舎内の給與の不良、衛生、防寒設備の不備のため、罹病、栄養失調により、つぎつぎと獄死するという悲惨な現状にあるのであります。また受刑者本人の肉体的、精神的の苦痛は申すに及ばず、これらの家族の人たちは一家の柱石を失い、かつ冷たい世情の現在、これらの人たちに対する救済も意のごとくならず、衣食住は極端に窮迫を告げ、一家離散、罹病、発狂、病死と、次々に悲惨な事実が山積している現状であります。よつて政府は速やかに、これらの人たちが不法なる措置を受けざるよう、また刑の執行に際しては、でき得れば身柄を日本に送還し、日本の行刑機関に委任されるよう特に努力されたいとの説明、要望があつたのであります。  これに対し政府委員の説明を求めましたところ、政府委員よりは、ソ連管下の北鮮居住していた同胞中、特に総督府関係その他各官廳に勤務していた官吏は、惡質前職罪として逮捕され、主として朝鮮側の裁判所において起訴され、服罪せしめられている、それで政府としては、これらの人たちがいかなる権限に基いて、またいかなる法律を根拠として裁判をせられているのか、また一般残留者の速やかなる内地送還、拘禁中の者の速やかなる審理、また可能なれば受刑者の内地服役をなし得られるよう盡力方を正式に総司令部に申出でたのであるが、これに対しては、いまだ回答に接していないこと、また北鮮地区には推定八百名の技術者が残留しているが、これらの人たちは比較的優遇されている、しかしながら、これらの人たちの残留は形式上は自由契約になつておるが、引揚者の報告によると、実際は必ずしもそうでない、よつて政府としては、これらの人たちを速やかに帰還せしめられるよう、これまた正式に総司令部を通じし要望しておるのであるが、不幸にして、未だこうした件に関しては回答に接していないという説明がありました。  なお、右に関連して種々質疑應答が行われましたが、これらの詳細につきましては、会議録に讓りたいと存じます。  かくて委員会といたしましては、本請願につき政府の善処を要望し、本院においてこれを採択し、かつこれを内閣に送付すべきものと認めた次第であります。右、御報告申し上げます。(拍手
  36. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 本請願は委員長報告通り採択するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本請願は委員長報告通り採択することに決しました。      ————◇—————  所得税法の一部を改正する等の法律案内閣提出)  非戰災者特別税法案内閣提出
  38. 安平鹿一

    ○安平鹿一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、所得税法の一部を改正する等の法律及び非戰災者特別税法案の両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  39. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加されました。所得税法の一部を改正する等の法律案、非戰災者特別税法案、右両案を一括して議題といたします。財政及び金融委員長北村徳太郎君。   —————————  所得税法の一部を改正する等の法律案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————  非戰災者特別税法案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————     〔北村徳太郎登壇
  41. 北村徳太郎

    北村徳太郎君 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する等の法律案、非戰災者特別税法案について、委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、所得税法の一部を改正する等の法律案についてでありますが、政府は、最近における財政需要の増大に対應し、收益の均衡をはかり、財政の強化に資するとともに、また一面経済諸情勢等の推移に應じ、國民租税負担の公正を期する等のため、所得税法等の一部を改正することといたしたのであります。いわゆるインフレ利得者等の重課の問題等をも考慮し、課税所得金額が七万円を超える所得者については、現行の税率百分の五十五を百分の五十七に引上げ、順次税率の引上げを行い、百万円を超える所得については、現行の税率百分の七十五を百分の八十五といたしたのであります。但し所得金額は、これを課税所得金題の百分の八十に止めることといたしてあるのであります。  次に、勤労所得者及び扶養親族を有する者の負担の軽減をはかるための措置としては、第一に、給與所得の計算については、その收入金額から控除する金額の割合を、現行の十分の二から十分の二・五に引上げるとともに、控除額最高六千円を一万二千五百円に引上げたのであります。第二に、扶養親族の控除額を、現行扶養親族一人につき年二百四十円すなわち月二十円から、年四百八十円すなわち月四十円に引上げたのであります。しこうして、給與所得に対する源泉徴收につきましては、七月分の給與から遡つて十分の二・五の勤労控除及び月四十円の扶養控除を行うことといたしております。これに対應して、昭和二十二年分の課税にあたりましては、前に述べました給與所得の控除割合は十分の二・二五、その最高額は一万千二百五十円、扶養親族控除額は年三百六十円といたしておるのであります。今回の改正により、昭和二十二年分の課税について申しますと、扶養親族三人の場合においては、勤労所得者については給與年額十六万四千円程度以下の者、また事業所得者については所得年額九万二千円程度以下の者の負担は、すべて相当程度軽減されることとなるのであります。  その他、所得税につきましては、今回課税所得の範囲を拡張して、一時所得といえども原則として課税することといたしましたほか、簡易税額表の適用を受ける者の範囲を、所得金額五万円以下の者から八万円以下の者に拡張し、大多数の所得者の税額計算の便宜をはかるとともに、予定申告書及び確定申告書の提出を要しない者の範囲を若干拡張する等の改正を行つたのであります。  次に法人税につきましては、所得税の税率の引上げに対應せしめるため、同族会社の加算税の税率のうち十万円を超える金額に対する税率を、それぞれ百分の五程度引上げることといたしたのであります。  次に酒税でありますが、清酒については、一升壜詰の小賣價格一級酒現在百三十二円を二百五十円程度に、二級酒現在百二円を二百円程度に、またビールについては、壜詰一本の小賣價格現在二十三円を四十円程度にそれぞれ引上げる程度の増徴を行うとともに、その他の酒類についても、品質に應じ税負担に差等を設けて、これに準ずる増徴を行うこととし、これにより税額において十三割程度の増收をはかることといたしたのであります。また特定の酒類につき加算税を徴收し、清酒第一級酒の一升瓶詰一本当り五百五十円程度、ビール瓶詰一本当り百円程度の特別價格で販賣せしめることといたしました。清涼飲料税につきましては、第二種サイダーの税率を、一石について現行二千三百円を六千九百円に引上げ、その他の清涼飲料についても同程度の税率の引上げを行うことといたしました。  次に物品税につきましては、最近における物價の状況等に即應して、從量課税の税率を引上げることとし、マツチについては十割程度、あめ類及び蜂蜜については二十割程度、サツカリン及びズルチンについては四十割程度の税率の引上げを行うことといたしました。  次に入場税につきましては、現在におけるこの種消費の性質に鑑み、現行税率百分の百を百分の五十に、また特別入場税についても、現行税率百分の四十を百分の六十にそれぞれ税率を五割程度引上げることとし、これに伴い、課税最低限現行一円を三円程度に引上げることといたしたのであります。  以上のほか、登録税のうち定額税のもの、印紙税、骨牌税及び狩猟免許税についても、それぞれ相当の税率の引上げを行うことといたしたのであります。  以上のほか、所得税、法人税、酒税等各税にわたり、それぞれ罰則の強化を行い、特に所得税、通行税等の源泉徴收義務者が徴收すべき税金を徴收しなかつた場合または徴收した税金を納付しなかつた場合における罰則を新たに設けたのであります。  その他、租税の賦課徴收につき適正な運営をはかるため、所得税法の團体諮問に関する規定及び物品税法等の徴收補助團体に関する規定につき所要改正を加えるとともに、この際納税施設法を廃止することといたしたのであります。  次に非戰災者特別税について、その大要を申し上げます。戰災者と非戰災者との間の経済的な懸隔は、最近における経済事情によりますます助長されている実情でありまして、これが犠牲の均衡化をはかるべしという論議も相当強く、臨時緊急な財政需要が著しく増大しつつある現状に顧み、この際戰災を免れた者に対し、一回限りの特別課税を行わんとするものであります。本税は、非戰災家屋税と非戰災者税の二本建になつております。まず非戰災家屋税でありますが、その納税義務者は、昭和二十年八月十六日現在において、いわゆる非戰災家屋を所有していた個人及び法人であります。家屋には、住家、店舗、工場、倉庫等すべての家屋が含まれるのでありますが、國、都道府縣、市町村等が所有していた家屋、公用または公共の用に供していた家屋、國宝または史跡名勝として指定されていた家屋、私立の幼稚園、中等学校、大学等において直接に教育の用に供していた家屋、賃貸價格が三十円未満の家屋等には課税しないことといたしております。非戰災者家屋税の課税標準は、家屋の賃貸價格でありまして、百分の三百の税率で課税することにいたしてあるのであります。  次に非戰災者税でありますが、その納税義務者は、昭和二十二年七月一日、すなわち課税時期に法施行地で家屋を使用していた非戰災者たる世帶主及び非戰災者たる法人であります。ここで非戰災者とは、戰時災害により家屋または動産につき受けた損害額が三割程度を超えない世帶の世帶主または法人といたすことになつております。しかして、非戰災であるかどうかは、個人については世帶ごとに、法人については本支店、工場等を通じて、これを制定することといたしております。非戰災者税につきましても、國、都道府縣、市町村等の公共團体、海外からの引揚者が世帶の生計を主として維持している場合における当該世帶の世帶主、賃貸價格が三十円未満の家屋を使用していた世帶主等には課税しないこととしたほか、國宝または史跡名勝として指定された家屋、私立の幼稚園、中学校、大学等において直接に教育の用に供していた家屋等の賃貸價格は、本税の課税標準に算入しないことになつております。非戰災者税の課税標準は、課税技術を考慮いたしまして、課税時期における家屋の賃貸價格といたしております。しかして税率は、非戰災家屋税と同樣百分の三百となつております。  非戰災家屋税及び非戰災者税は、いずれも申告納税で、期限は來年一月三十一日であります。但し、一時に納付することが困難な場合には、六箇月以内を限り延納を認めることといたしました。なお、調査時期後、災害により家屋が滅失または損壞した場合等には、非戰災家屋税を軽減または免除し、また調査時期以後、災害により家屋または動産が滅失または損壞した場合等には非戰災者税を軽減または免除することといたしておるのであります。  以上二案は、去る十一月十四日本委員会付託されましたが、各界に及ぼす影響も大きいので、公聽会を開くこととし、十九、二十日の両日にわたり、学識経驗者並びに一般公述人より忌憚なき意見を聽取いたし、二十一日より四回にわたり、政府委員に対し質疑を行いました。詳しくは会議録に讓ることといたしまして、そのおもなるものについて二、三御紹介申し上げます。  まず委員より、課税は直接税中心であるべきだが、間接税中心になつているのはよくないではないか、また單なる税率引上げよりも、完全なる納税をめざすべきではないか、さらにそれには最低生活費を必要経費として控除する考えはないか等の諸点について質疑を行いましたが、政府よりは、國民所得に対する税額は、わが國では二割、米國では三割、英國では四割になつており、直接税と間接税の比重は、わが國では現在半々であるから、本案の税率引上げで完納が必ずしも不可能とは考えられない、なお現下の労働情勢等を考え、また一般納税思想の低下等もあり、直接税に重点をおきかねる点があるので、その点から間接税を勘案したのであり、また基礎控除は必ずしも最低生活費を対象とすべきものではないと考え、その金額は問題となるが、諸般の事情から見て本法のごとくにしたとの答弁がありました。  また物品税については、從價課税をやめて從量課税とすべきではないかとの質疑があり、これに対しては、從價課税にしたのは今日のやむを得ない事情による旨の答弁がありました。  次に非戰災者特別税に関しては、一概に戰災地といつても、地域によつてはその破壞程度が惨事を極めており、残つた家屋といえども、ほとんど使用に耐えない状態である、そうした所においても、形だけ残つたというために非戰災者税を課せられるということは、少しくうなずけないところがあるように思うが、対策はないかとの質疑がありました。これに対して政府は、それらに関する特別な措置は本法案の第八條第二項及び第十一條の第二項にそれぞれ規定してあり、また実際の運用にあつては、十分善処したいとの答弁がありました。  かくて、本二十七日討論に入り、社会党を代表して中崎委員、民主党を代表して大上委員、自由党を代表して塚田委員、國民協同党を代表して井出委員より、それぞれ賛成意見並びに希望の意見を述べられ、採決の結果、全会一致をもつて可決いたしました。以上、御報告を申し上げます。
  42. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決に入るに先だち、この際暫時休憩いたします。     午後四時十六分休憩      ————◇—————     午後四時十九分開議
  43. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 休憩前に引続き審議を開きます。  所得税法の一部を改正する等の法律案、非戰災者特別税法案、右両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  44. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  第八 郵便法案内閣提出
  45. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) さきに後回しにいたしました日程第八、郵便法案議題といたします。委員長報告を求めます。通信委員長岡田勢一君。   —————————  郵便法案内閣提出)に関する報告書  [都合により最終号附録掲載]   —————————     〔岡田勢一君登壇
  46. 岡田勢一

    ○岡田勢一君 ただいま議題となりました郵便法案に関し、委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。     〔発言する者あり〕
  47. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  48. 岡田勢一

    ○岡田勢一君(続) まず、本法案制定の理由について御説明申し上げます。現行郵便法は、明治三十三年の制定にかかるものでありまして、その後時勢の推移に伴い、料金、罰則等に部分的改正が加えられて今日に至つたのでありますが、新憲法施行の現情勢に適合しない部分が相当にあるばかりでなく、現在の社会事情に照らして、郵便の取扱制度並びに罰則その他についても若干改正を要するものがありますので、政府現行郵便法を廃止し、新たに新憲法の精神に即し、時代の要求に合致した郵便法を制定することを適当と認めて、本法案提出するに至つたのであります。  本法案の特色とも申すべき要点をあげれば、 一、冒頭に法律の目的を掲げて立法の精神を宣明するとともに、各條に頭註を設け、かつ法律用語の平易、明確化をはかつていること。 二、從來官制その他の法令で定められていた郵便事業管理者及びその具体的な職責を規定したこと。 三、國民の自由及び権利を尊重する新憲法の精神に鑑み、現行法中國民の基本的権利を制限する規定は、原則としてこれを廃止するとともに、國民に義務を課することは郵便事業遂行上必要欠くことのできない場合に限り、かつその範囲は法律で具体的に規定することにしたこと。 四、國民は法のもとに平等であらねばならないとする新憲法の原則に基き、何人も郵便の利用について差別されることがない旨の規定を設けるとともに、現行法中一部の國民に特別な法的利益を與える結果となるものは、原則としてこれを廃止したこと。 五、新憲法の保障する檢閲の禁止及び通信の祕密の不可侵について規定を設けたこと。 六、郵便は國の行う独占事業であるから。その利用條件のいかんは國民に多大の利害を及ぼす関係上、各種の利用條件は原則としてこれを法律規定し、手続的な規定その他軽易な事項に限つて省令の規定に讓ることにしたこと。 等であります。  郵便取扱制度の内容、料金及び罰則は、一部に若干の改正が加えられましたが、大体において現行のものをそのまま踏襲しているのであります。なお、この法律施行期日は、第十條の運送営業者の郵便物運送義務に関する規定を除き明年の一月一日となつております。  以上、本法案概要につき御説明申し上げたのでありますが、去る十一月一日本案付託以來、委員会は数次にわたつて会議を開催し、政府提案理由並びに内容の説明を聽取した後、引続き質疑に入つたのであります。質疑應答の詳細は会議録に讓ることにいたしまして、以下、その二、三につき要点をかいつまんで申し上げます。  第一に、郵便の業務を業とし、または信書の送達を営業とすることは、本法案第五條によつて禁止され、これに違反する場合は、第七十六條罰則の適用を受けるのであるが、今日巷間には、諸種の名称で事実上信書の送達を営業とするものが続出している現状である、これに対する政府の対策いかん及び右に関連して、郵便の定義を本法案中に規定してはどうかという質疑に対し、政府は、速やかに実情を調査して、もし信書の送達を営業とするものがあれば、断固取締りの方途を講ずる、郵便の定義については、むしろ法律研究の対象とすることを適当と認めて、この法律規定することを避けた旨答弁しております。  第二に、郵便事業收支の現状からすれば、通信特別会計の独立採算制をとる以上、將來料金の値上げは必至と思われるが、政府所見はどうかという問に対しては、政府は、遅くとも二十三年度予算においては郵便料金の値上げをしなければならない情勢にあるが、諸般の経済情勢を考慮して、本國会には値上げの問題を提出しなかつたので、本法案郵便料金も原則として現行のものを踏襲した旨答弁がありました。  第三に、將來郵便事業に労働爭議の手段として怠業等の事態が発生し、利用者が損害をこうむつた場合、逓信大臣は賠償の責に任ずるかとの質疑に対し、政府は、本法律案の建前上、質疑のような場合に、その爭議行爲が正当なものであれば、逓信大臣は賠償の責任に任じない、不正当なものであれば、賠償の問題を生ずることもあると思われるが、賠償の要否は個々の場合に判定しなければならなぬと考える旨を答弁いたしました。  第四に、本法案第七十九條の罰則は、労働爭議によつて郵便の取扱いをせず、またはこれを遅延させた場合に適用があるかどうかという質疑に対し、政府は、その爭議行爲が正当と認められる場合には、労働組合法第一條第二項の規定により違法性がないので犯罪は成立しないという旨の答弁があり、右に関連して、政府は爭議行爲の正当不正当の認定につき愼重を期し、第七十九條の濫用に陷らないよう留意ありたい旨の希望が委員より述べられたのであります。  以上のほか、第三種、第四種、第五種郵便物の料金の適否、小包郵便料金の現行均一制を距離制に改めることの可否等につき質疑がありましたが、右に対し政府は、郵便料金については、ひとまず現行踏襲主義をとつたが、なお各委員の意見を参考として將來全面的に檢討する旨の答弁がありました。  かくして委員会は、十一月二十日本法案に対する質疑を終了し、同二十五日討論を行つたのでありますが、討論の際、日本社会党を代表して重井鹿治君、民主党を代表して長谷川政友君、日本自由党を代表して多田勇吉君より、それぞれ原案賛成意見が述べられ、併せて政府に対し、本法案施行の上は、その運用の適実を期するとともに、逓信從業員の待遇の改善、生活の安定に意を用いて、郵便事業の健全な発達に努力されるよう要望するところがございました。次いで、日本共産党を代表して林百郎君より、本法律案第七十九條削除の修正案提出され、右修正案に対し賛否を諮りましたところ、少数をもつて否決され、引続き原案について採決の結果、大多数をもつて原案通り可決した次第であります。  以上、簡單でございますが、これをもつて報告を終ります。(拍手
  49. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  50. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)     —————————————
  51. 安平鹿一

    ○安平鹿一君 自由討議はこれを延期し、明二十八日定刻より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  52. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議の如く決しました。  議事日程は公報をもつて通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十一分散会