○前田正男君 私は、第一
議員倶樂部の
反対側を代表いたしまして、
修正案及び
原案に対して
反対の
討論をいたすものであります。先ほど
社会党の村尾君から、
反対派の者には
反対同盟ができて、いろいろのうわさがあるということのお話がありましたが、私は別に
経営者側でもあるいは
労働者側でもありません。私は、今まで自分が産業に
関係してきましたところの経験からみまして、本
法案は
管理上から言
つて決して
能率的なものではないということを考えるものであります。(
拍手)そういうようないろいろなデマを飛ばされて、私どもの
鉱工業委員会がいろいろ
運営されております最中に、私どもはそういうような話を飛ばされたということに対して、われわれ
委員の権威に対しまして、はなはだ遺憾に存ずるものであります。(
拍手)
少くとも私たちの
委員会は、五月の終りごろから、ほかの
委員会に比べまして、非常に熱心に討議してきたつもりであります。また私も、できるだけまじめに出席して、眞劍な
意見を述べてきたつもりでおるのでありますが、この
國会の中にまで、そういう
反対側の
意見の者はどうであるとかこうであるとかいうよなうわさを飛ばされるということは、私たち
國会のために、またわれわれ常任
委員会の
委員の一人として、はなはだ遺憾とするものであります。(
拍手)
この
法案の
討論をいたすにあたりまして、私たちが日本の産業の再建のためには、この原材料の
増産が必要であるということは、まことにもつともなことであります。しかしながら、こういうふうな原材料の
増産方策につきましては、私は少くとも、これを
國家管理というような立場から取上げるにつきましては、もつと眞劍な、総合的な
計画というものが必要であると思うのであります。私は少くとも、こういう重大なる産業を—日本の再建の基礎になるところの重大なる産業を
國家が取上げるという以上は、これからわれわれが再建に必要であるところの行政整理でありますとか、企業整備であるとか、あるいはどういうふうな経済体制でいくべきであるとか、こういうような、私たちの將來描くべきところの産業のあり方というものをよく考えまして、それにはどういうふうな年次
計画をも
つてや
つていくべきかということをよく研究してから、私たちは
國家的に取上げるべきものじやないかと思います。もし、この
管理を
國家的に取上げ得ないでいくならば—臨時的にやるというように、この紙に書いておりますが、そういうふうにやるものならば、何もこれは
國家管理にする必要はないのではないかと思うのであります。
私はこの点につきましても、
委員会で
商工大臣によく聽いたのでありますが、これは一時的な、臨時的な案である、こういうようなことをおつしや
つたのであります。もし一時的な、臨時的な案であるならば、私たちは、こういう將來の日本の総合的な
計画が立
つていないときにおいては、やはり
増産の助成案というものを出すべきではないかと思うのであります。これがためには、私たちは決して
政府の今や
つておられることについてとやかく言うのではないのでありますが、
政府がさきに発表されましたところの
石炭非常
増産対策要綱というものは、これは
大臣のお話を聽きましても、労資とも相当の了解を得たということを聞いております。この対策要綱の一番しまいに、この
所期の成果をあげ得ない場合には必要な法的措置を講ずる決意があるというふうに書いてあります。この必要な法的措置をとるような、そういう
増産対策をどうして立てないか、そういう助成案をどうして立てないか、私ははなはだ、その点を不思議に存ずるのであります。
このことにつきまして、皆さん御存じのように、
マッカーサー元帥からも手紙をいただきまして、それにも具体的な政策を緊急に取上げるようにというふうに
指示が書いてあります。私たちは、決してこの
生産を
増強するために
國家的に必要な
法案を取上げる必要がないと言うのではないのでありますが、私は、この
管理案という立場で取上げる必要はないと思うのであります。少くとも
管理というものは、その
責任の伴わないような
管理を考えるということは、はなはだ不明瞭なものでありまして、決して
能率的のものではないともいます。
この
法案を読んでいただきましたらわかりますが、一体どこに
責任があるのか。
政府は官僚統制をしておるようでありながら、その
政府自身は、全然
責任がありません。
官吏自身には何ら
責任がないのであります。しかも、
経営者はこれによ
つて非常な統制強化を受けるだけでありまして、こういうことでは、私はほんとうの
増産にはならぬと思います。
現在日本が非常に困
つているときに、
國家から優先的に
資金であるとか
資材であるとかいうものを
重要産業にまわしている以上は、これに対しまして、
社会党が言われるように、
國家的に監査をするということの必要性は認めます。しかしながら、その監査に伴うところの企業のいろいろやりにくいことに対しては、
政府といたしましても、十分に効果の上るような対策を講じなければならないと思うのであります。たとえば、非常
増産対策に書いてあります二十四時間体制を確立するとか、あるいはまたでき高拂い制をとるとか、あるいは所得税の免税点を引上げるとか、あるいは職場規律を確立するとか、こういうような問題を
政府自身も
責任をと
つて取上げていく、あるいは労働者も、労調法に書いてありますように、公共
事業としての
責任をとる、こういうことで初めて、
國家から監査を受けることに伴うところのいろいろな
経営上の
主張に対しても、プラスされるところがあるのであります。
私は、
経営者だけに
責任を負わさないで、
経営者も、
政府も、労働者も、三者が皆
責任を負うような
増産案を考えなければならないと思うものであります。(
拍手)これを
國家管理というような形式でやるならば、やはり総合的な
計画でやるべきでありまして、こういうふうな具体策をもつたところの助成案として取上げていくべきものではないかと思うのであります。(
拍手)すなわち、こういうようなことでは、先ほど來労働意欲が向上されるというお話もありましたが、私ははなはだ疑問をもつものであります。私は労働意欲の向上のためには、所得税の免税点の引上げであるとか、あるいはまたでき高拂い制をとる方が、よほど労働意欲が向上されるのではないかと存ずるのであります。
いろいろお話もありましたけれども、工場等におきまする労働者の方からも、ほとんど全部、この案にありますところの官僚統制的な空氣に対して
修正の
意見が出てお
つたのであります。よくこの御
意見を聽いていただきましたならば、はたして労働者が産業意欲を向上できるかという疑問がわかると思います。
私は、こういつた点についていろいろ考えたのでありますが、たとえば、官僚統制は強化されない、それを防ぐためには、
石炭局に民間人を採用する、こういうような
社会党の弁明がありましたけれども、私は決して、民間人を
石炭局の役人にしたらそれで官僚統制が免れるというものではないと思います。皆さん御存じの
通り、この
石炭局のうしろには、商工省、安本というような官廳がついておる。そこから
命令がくるが、一旦
官吏になれば、これは
政府の
命令に從うのであります。すなわち、これを官僚統制でないということは、私もはなはだ疑問とするものであります。(
拍手)しかもこの
法案には、そのうしろに
罰則がついております。官僚のやる手は、必ずこの手であります。皆さんがよくお考えになりましたならば、これで官僚統制の強化でないとは言われないはずであります。(
拍手)
以上のように、いろいろ
生産の制限をつけられ、さらにこの案の内容を読んでいきましたならば皆さんおわかりのように、
炭鉱の特殊性といつたようなものが無視されております。しかも、
会議がいろいろと殖え、これがために時間が浪費されるようになります。
〔発言する者多し〕