○成瀬喜五郎君 私は
社会党の立場から申し上げます。
今日各地にわたる電力制限により、來るべき冬季の渇水期におきましては、
國民は大きなところの不安にさらされるのであります。今日日本産業の復興のために、この制限が致命的な状態にまで進展しつつあることは、何と申しましても見逃すことができないのでありまして、同僚議員が今までに申しておりますように、本院におきましても、十月の二日、この電力危機突破のための強力な
決議案を採択いたしたのであります。私は、かかる意味におきまして、ここにこの内容が、
決議いたしましてより四十日の今日、いかほど進展しておるかということを
政府関係当局にお尋ね申し上げたいのであります。
まず第一におきましては、電力危機突破のための
委員会を新設するということに相な
つておるのでありますが、聞くところによりますと、商工省におきましては危機突破の対策本部を設置するかのように言われておりますけれども、その構想はどういうものであるか。電力
委員会等に対しましても、何ら今まで話合いもありませんが、この内容のいかんによりましたならば、民間におきまして憂えておるところの官僚
統制によ
つて臨むということがあり得るであろうということを憂える次第であります。
昨日も銀座のオリエンタル・ホテルにおきまして、東京都及び神奈川、茨城、九州各地にいたるまでの全國代表者が一堂に会しまして、この危機突破に対するいろいろ眞劍なる
討議が交わされたのであります。從
つて、この
委員会の内容について十分お伺いいたしたい。
また右
委員会は、電力
事業が経済復興のために果す役割の重要性に鑑みて、他の産業に優先して次のような緊急対策を講ずるというようなわけで、以下三つの
項目にわたりましての解説をいたしてあるのでありますが、この他の産業に優先するということは、石炭べース、また肥料及び食糧等のこういう重要産業と同等より以上に取扱うべきところの意思表示をいたしておるものである。かように本員は
考えるのでありますが、しかし、今も
つてこの電力ベースをいたしましての重要性を認識いたしておるようにも
考えておりません。從
つて、この点に対しまして
政府はこの
國会の意思を尊重いたしまして、そしてあらゆる資材、資金等の優先的
確保のために努力するところの熱意があるか否やということをお伺いいたし、過去四十日の間この獲得のためにどれほどの努力が拂われておるかということをお尋ね申し上げたい。
また労働の生産性の
確保についてでありますが、これらは労働者の生活の安定のために、食糧及び繊維製品、嗜好品等の獲得のために努めなくちやなりませんけれども、労働者の能率を高めるためには、少くとも経済外的な社会的優遇方法を労働者特に技術者に対して講じなくてはなりません。過日潮田の火力発電所を視察いたしました際におきましても、口をきわめてこの点に言及いたしておりました。
政府のかかる方面に対しましての御
見解を伺いたいのであります。
またその次には火力発電所の有効活用でありますが、これらは高炭價の石炭の獲得ということは言うまでもありませんが、普通年間五百万トンないし五百五十万トンの使用をいたしておりますこの石炭を、せめて五千カロリー程度のものを四百万トン配給を受けることとなりますならば、今日即刻に電力制限は撤廃されて、危機は突破されるものである、かように
関係方面からも聞き及んでおりまするが、こういう方面に対する石炭の
確保のためには、どれほどの熱意をも
つておられるか。殊に今日火力の方面に、これらの電力の獲得のために、非常なるところの脅威を與えつつありますことは、
政府が予算
関係の面もあるでありましようが、これらの発電のためにコストに対する補償が打切られておるというようなこと、また石炭のこれらの配給がないということが、今日商工当局に対する——動力のキロワツトの倍額以上三倍、四倍の発電能力をも
つておるにかかわらず、それらがほんとうの力を現わしていないということが、口をきわめて
関係者によ
つて暴露されておるのであります。この際商工当局におきましては、これらの自家発電の施設をフルに強力に発電するところの方針ありや否やという点をお尋ね申し上げたいのであります。
またその次におきましては、今日それらの結果、特に九州方面におきましては、週に二回しか配電がないということが、それらの方面の中小
企業に殺人的な影響をもたらしつつある。火力は四十八万キロワツトに上
つておるが、その中のわずかに三分の一、十四万八千キロワツトしかの能力を発揮しておらない。最近において二十万キロワツトの能力が発揮し得るようになりつつあるけれども、これをも
つてしても、まだまだこれらの方面から大幅なる発電の能力があるということを申されておるわけでありますが、この際月産三千トンに上る重ソの生産が停止されておる三井化学及び三菱化成の両工場が、こういつたことによ
つて、近くは重ソの危機を生ずるということを言われております。また肥料の製造におきましても、少からぬ悪影響を與えるものであるというようなことも、私も心配をいたしておる次第でありまするが、これらに対する商工当局の今日の製造過程における見透しを御
報告ありたいのであります。
また第三におきましては、電力の合理的使用を勧奨いたしまして、そうして壇用及び盗用を防止し、産業動力源としての電力を
確保するための
國会及び
政府を中心とするところの電力使用合理化運動、すなわち
國民運動を急速に展開することを
決議いたした次第でありまするが、これらの案の内容は、当面せる電力配分に対しまして合理的になすべきことが含まれておるのであります。同僚議員から申しておりますような負荷配電、壇用、盗用に対してのこれらの弊害を除去するために、どれほどの施設がなされておるかというような点をお伺いいたしたいのと、特に全國澎湃として民主的に
組織化されつつあるところの、あの山の電力協議会におけるそれらの
機能を
政府はどういうように
考えられておるか。
東京都の方面におきましても、大石屋の協議会、これらの地区におきましては、民主的な節電の方法が予想以上の成績を收めつつあるのであります。これらに対しましては、かえ
つて商工当局、安本等が何だか非民主的な、一般に悪影響、悪感情を與えておるようでありますが、いかなる指導方針でありましようか。かような方法をも
つていたしましては、
國民の協力を得ることは、とうていおぼつがないのであります。かような協議会の発展に対しましては、むしろ
政府が保護助成するところの方法をも
つて、眞に
國民の密接なる協力にまつという熱意をこの際はつきりと現わすことをわれわれは必要とするのであります。
また、それらの
委員会におきましての
活動が——私どもはその点におきまして、いろいろの点において言及するのでありまするが、官僚
統制によ
つてや
つていくものであるか、あるいはまた民主的な方法によ
つてこの危機を突破するものであるかということにつきましての大きな疑問を今日投げかけておるのでありまするが、少くとも全國津々浦々にわたるところのこの電力
関係におきましては、末端に至るまでの
國民の強力な支持がなくては、一部的な
法律、いくら多くの
法律を制定いたしましても、徹定的の眞の効果をあげることはおぼつかないのであります。從
つて眞の協力を得るためには、どうしてもこれらの
國民的運動といたしましての協議会、これらの発展のために
政府は意図しなければならないと
考えておる次第でありまするが、かような点は、言うまでもなく民主的なる
統制によらずんば、その効果がありません。かような点につきまして、十分
政府の意のあるところを御発表願いたいのであります。
またその次におきまして、総合燃料対策は同僚におきましてもいろいろ申されておりまするが、これは生産の面におけるところのいろいろの隘路を打開するためにも必要でありまするが、この際安本当局から——これは昨日の
会議におきましても、安本の計画せるそれらの薪炭の配給の計画は何ら信用するに足りないというような不信の言を述べられておりますが、輸送
関係等によ
つて、單なる作文的な、空文的なことに終ることになりましたならばたいへんであります。ために、本
國会を通じ、
國民に対しまして、九俵の家庭配給の内容をさらに明らかにしていただきたいのであります。私どもは、かかる点と、運輸大臣を通じて、今日計画量の倍額を滯貨せるところの薪炭輸送のために、この緊急輸送にどういうような具体的な熱意をも
つて、抱負をも
つてやられるものであるかということを、さらに再びお伺いいたしたいのであります。
以上の見地からいたしまして、ぜひこの際、私どもは
國会の
諸君とともに、
政府及び
國会が一体となりまして、この危機を突破するための大いなる熱意を高揚し、併せて
國民の心からなるところの協力を得まして、そうしてこの危機を突破していきたい。さらに私どもは、この
電氣事業の民主化に対しましても、
私的独占禁止法及び経済力集中排除法等々の
関係もあり、全國的なこれらの
電氣事業に対しましては、超党派的な立場から、眞に國家
再建のための熱心なる
研究によ
つて國民にこたえるところがなくてはなりません。かような点等々を併せて、
関係各大臣に対しまして所見をお伺いする次第であります。以上をもちまして終ります。(
拍手)
〔
國務大臣水谷長三郎君
登壇〕