○野坂參三君 私は、
日本共産党を代表しまして、
追加予算に対する
質問を試みたいと思いますが、時間が非常にないので、大体重要な一般的な問題についてだけ
質問したいと思います。
この演壇に立
つて私は、歴史は繰返す、あの
言葉を思い出さざるを得ない。と申しますのは、今から八箇月前に、この同じ演壇で、自由党の石橋前
大藏大臣が健全
財政について滔々と弁説をふるわれたのであります。
予算の面では收支が償
つておる、これは健全
財政である、絶対にこれからインフレは起らないということを保証された。これに対して、私たちの代表の徳田君が追究して、絶対にそうではない、この
予算自体がすなわちインフレの因素を含んでおる。同時に今日の
日本の
状態のもとでは、必ずここからインフレが出てくる、必ず
追加予算が出てこなければならない、こういうことを主張した。これに対して
大藏大臣は、言を左右にして否定されたが、事実はどうかといえば、徳田君の方が正しか
つた。石橋
大藏大臣は
うそつきであ
つた。栗栖現
大藏大臣も、やはりこの演壇から健全
財政を御
説明に
なつた。
私がこの
予算を見ました場合に、同じく形は違いますが、本質においては石橋
財政と変らない。すなわち、ここには明らかに不健全なものがはい
つている。一体健全ということは何かというと、私はどうしても三つの
條件が必要だと思う。第一にはインフレを起さないこと、第二には
國民生活の最低
生活だけでも保障するようなものあること第三のには経済の破壊ではなくて、経済の再建に役立つような性格をも
つたもの、この三つの
條件のない
予算は、健全
財政ではないと思う。さて、この現
追加予算を見ますと、遺憾ながらこの三つの
條件が
一つもはい
つてない。言いかえれば、羊頭を掲げて狗肉だけではなしに、羊頭を掲げて毒を盛
つてある。こういう結論をわれわれは見出さざるを得ない。
第一にこの
予算の中には、
予算自体がインフレの要素を含んでおる。また今日のインフレの
状態のもとにおいては、この
予算は必ずインフレを生まざるを得ない。インフレを促進する。これをたとえば
國民所得の面から見ましても、七月に
政府の発表された
國民所得の額として、大体われわれの承知しておるところでは約八千五百億円。これについて私たちが千八百円
基準に基いて
國民消費資金というものを計算してみますと約六千百五十七億円。さらに
政府の大体予定しておるらしい産業資金が一千二百三十億円。合計しますと七千三百八十七億円。
國民総
所得の約八千五百億円からこれを引きますと残
つておるものが一千百億円内外。これが
財政資金として使われなければならない。ところが、今日出された
追加予算一般のものだけを見ましても二千億円ある。どうしても一千億は
不足する。これをどうするかといえば、結局この
不足、
財政面に載せられたものは拂わなければならぬ。しかし金がない。結局一千億円の
赤字が出る。これはインフレを生む。これについて、私は和田安本長官の御
答弁を願いたい。
最近では、この八千五百億円が九千億円に、五百億円ばかり急に増しましたが、これは
物價騰貴とかいろいろな点もありましようが、今私が掲げたこの率は、九千億に
なつでも大なる相違はないはずであります。そうしますと、安く見積
つても一千億円インフレというものは、どうしても私は見込まざるを得ない。これについて、私は和田安本長官の御
答弁をお願いしたいと思います。
さてこういうふうに、この
國民所得及び
財政、この二つの面から見ましても、これだけの大体インフレというものが予想されるが、実は安本の最近発表された総合計画というものを見ましても、すでにインフレ自体を認めておる。これは新聞に発表されましたが、これでは千九百二十億円という、大体この年末には通貨の膨脹がある、こういうことを
言つておる。これはすなわち、
政府自体がインフレを認めておる。これは一般に過小に見積られたものである。実際には年末には二千億円ということは大体
言つております。これについても、私は和田安本長官のお
答弁をお願いしたいと思う。
さらにもう
一つ大藏大臣にお聽きしたいことは、このようにしてインフレ、
從つて物價騰貴——大体今の見積りでは、四五%
物價騰貴というものを見積られる。そうしますと、私は
大藏大臣にこの壇上から
日本の
國民の前にはつきり
言つていただきたいのは、この年度内に
物價の騰貴というものは見透しがないのかどうか、この
予算の中には
物價の騰貴というものが見積られそおるかどうかということ。もし見積られてないならば、
物價体系というものはどうなるのか。必ず崩れざるを得ない。この点について、
大藏大臣の御
答弁をお願いしたい。
さらに、昨日ここで自由党の
青木議員その他からも申されましたが、今度のこの
予算面を見ましても、單に今私の申し上げた点だけではなくて、個々の具体的の
予算面を見ても、たくさんインフレの要素を含んでおる。たとえば、しばしばここで申されましたから私はここではこれ以上触れませんが、復金の問題、あれからでも明らかにインフレが起らざるを得ない。また千八百円のあの問題もあります。これも必ず崩れざるを得ない。これもやはりインフレの重大なる因素にな
つてくる。ここでもまたしばしば申されましたように、租税未納ということも、これは現実の事実であり、必ず
將來も続かざるを得ない。ここからもインフレが起る。
しかし、もう
一つ申し上げたいことは、それは
終戰処理費の問題、これが大きな
負担であることは私が申し上げるまでもありません。この中で
一つ問題にしなければならないのは、土木費がマル公でやられておる。もし今日の
状態においてマル公でやるということでは、これは実際土木業者はや
つていけない。やろうとすれば、強権によ
つて物資と労力を結局徴発するより
方法はない。土木業者はや
つていけない。そこで土木業者は、土木以外のところでどうしてももうけなければならない。
從つてどうなるかと言えば、土木以外の他の面においては、どうしてもここでインフレを起さざるを得ない要素をも
つておる。この点について私は
大藏大臣にお聽きしたいのは、この
終戰処理費の影響についていかなる
考えをも
つておられるのか。私たちは、この
終戰処理費がマル公であるというただ
一つの点から見ても、インフレが促進されるということを
考えざるを得ない。
ついでに、ここでお聽きしたいことは、
終戰処理費の中からを見ますと、これは昨日の新聞に発表されていますが、朝鮮向け
資材の資金が四十七億はい
つています。私はこの点についてお聽きしたいのは、まず第一に、この朝鮮の
費用について
日本の
國民はなぜ自己の
負担において支拂わればならないか、この根拠をお聽きしたい。第二には、こういうものをなぜ貿易の形でやられないのか、なぜ
日本國民の
負担にしなければならないのか、寄附の形にしなければならないか、これをお聽きしたい。第三には、この問題について、大藏
当局としては
当局といかなる交渉をなされたか、これについても私はお聽きしたい。なぜこの問題をここで申すかというと、四十七億円と言えば、決して今の
日本にと
つては小さい額ではありません。ここでしばしば問題に
なつたように、六・三制の問題にしても、初めの文部省の予定では三十一億ということにな
つておる。しかし今七億にな
つておる。もしこの四十七億があ
つただけでも、この六・三制の当面の必要なものだけでもまず解決できる。その意味におきまして、私はこれについて
大藏大臣の御
答弁をお願いしたいと思う。
今申しましたように、この
予算自体を見ますと、明らかにこれはインフレを起さざるを得ない要素をも
つておること、これが第一の性格である。第二に申し上げたいことは、ここでもしばしば申されましたが、この
予算は
國民生活をますます窮迫化すということ、これについては時間がありませんから詳しくは申し述べません。千八百円ベースの問題がここで言われましたが、とも
かくもこれで食えないことは個々の大臣諸君も明らかにそれを認めておるはずです。また
大藏大臣の
予算演説の中に含まれたところを見ましても、昨年の
物價が今三倍半ないし三倍上
つておる。
物價はこれほど上
つておるが給與はどうか。千二百円から千八百円、僅かに五〇%、
物價の方は二倍半、三倍上
つておる。この
大藏大臣の
演説の中から見ただけでも、いかに今度の
予算が、千八百円ベースというものが、労働者を圧迫しておるかがよくわかると思います。
しかも、この千八百円ベースがどうしても維持できないということは、
政府自身も実際認めておる。認めるだけではない、実際や
つておる。たとえば、最近逓信職員組合の方で爭議が起
つておる。そのときに
政府は、大学その他へ行
つて、いろいろストライキ破りを呼んで來た。そのときの
條件を見ますと、一人三合の主食附で、一日百二十円ほ
どもらうことにな
つておる。もちろん、これは臨時雇ではあります。多少普通よりは高いのは認めますが、しかし、主食と百二十円の給與を與えること自身が、すなわち千八百円を
政府自体がもう目の前で破
つている。これでもまだ
政府は千八百円、千八百円と、こういうことを一体固持されようとするのか。これを私は労働大臣に、お聽きしたい。社会党出身の労働大臣としまして、私は今まで
質問もしましたが、この際ここではつきりしていただきたい。あくまでこれをやろうとしておるのかどうか。
これについて労働大臣は、新聞の報道によりますと、大阪でこういうふうに言われている。官公職員の給與の問題について今紛議があるが、彼らの要求そのまま容れれば百億円支出が必要である、これではや
つていけないが、しかし半分くらいは何とかなろう、こういうことを言われたということが新聞に載
つていますが、はたしてこれが事実であるか、もし事実なら、この
予算面のどこに出ておるのか、出てなければ、これをいかにして解決するか、
將來再び
追加予算として出されるつもりであるかどうか、これについて私はお聽きしたいと思う。この点を見ましても、今度の
予算の性格が大体わか
つてくる。
さらに私は大衆課税という問題について申し述べたいのでありますが、時間が非常に切迫しておりますので、ただ
質問の点だけに止めたいと思います。
大藏大臣はここで、
所得税の中で給與
所得税や事業
所得税の税率が低くな
つている、いかにも今度は前よりも大衆に
負担をかけない、こういう性格の
予算であろということを言われましたが、しかし、これをよく見ますと、それは欺瞞です。この反面に專賣益金とか間接税の引上がある。これによ
つて、減税されたものの数倍、ある場合においては数十倍の増額にな
つておる。一例をあげれば、扶養家族三人で月約三千円、これは千八百円ベースですが、そうしますと、これの減税が百四十円になる。ところが、たばこだけを
一つ見ましても、夫婦合わせてこれまで月百五十本。これが今度百本に減される。五十本どうしても
不足である。これを買わなければならない。これはいくらかと申しますと、月二百五十円の余分の金を出さなければならない。一方で百四十円減税という形をとるが、実際においては、片一方では二百五十円よけい出すということになる。すなわち、百円よけい出させるということになる。これを見ましても、いかにこの
財政というものが、大衆に
負担をかけているかということがわかる。表面だけではいかにも
負担をかけないようなことを
言つておるが、しかしながら実際においては、こういうような大衆
負担をかけておる。こういう点について、私は
大藏大臣の意見をお聽きしたいと思う。
また先ほ
ども、ここで
大藏大臣は、今どこでももうからないと
言つている。利潤があがらないと
言つておりますが、しかしながら、われわれの調べたところのいろいろな材料によりますと、明らかにある。たとえば、電力会社だけ見ましても……。