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1947-10-29 第1回国会 衆議院 本会議 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十月二十九日(水曜日)     午後六時六分開議     —————————————  議事日程 第五十号   昭和二十二年十月二十九日(水曜日)     午後一時開議  第一 自由討議(前回の続)     —————————————
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ————◇—————  第一 自由討議(前会の續)
  3. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 前会に引続き自由討議会議を開きます。  水野實郎君の前会の発言を継続せしめます。水野實郎君。
  4. 水野實郎

    水野實郎君 私の発言は都合によりまして延期いたされまして、次の機会にいたされんことを希望いたします。      ————◇—————  議員叶凸君の議場内における不穏当なる言辞につき、懲罰委員に付せられたいとの動議古島義英君外二十四名提出
  5. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 古島義英君外二十四名より、成規賛成を得て、議員叶凸君の議場内における不穏当なる言辞につき懲罰委員会に付するの動議提出されました。右動議議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。提出者石田博英君。     〔石田博英登壇
  6. 石田博英

    石田博英君 私は、日本自由党日本農民党、第一議員倶樂部を代表いたしまして、社会党所属議員叶凸君を懲罰委員会に付するの動議提出いたすものであります。動議提出理由を御説明申し上げます。  諸君承知通り、昨二十八日本会議において、臨時農業生産調整法案自由討議議題に供せられ、日本自由党所属岩本信行君が討議を行つておりまする際、岩本君は、臨時農業生産調整法案に規定さられてありまする生産割当擬装民主的方法であると断じ、農民は一週間以内に異議の申立はできるけれども、それを承認するかしないかということは、その元締が農林大臣である以上、絶対に納得するわけはないのであると非難されたに対し、社会党所属であり議事進行係である叶凸君は、議席より高声にて、きわめて不穏当なる発言をせられました。この発言は、当日出席せられた議員諸君はあまねく承知せられるところであることは、岩本君の発言終了後、議長は明瞭に叶凸君の名前をあげて注意せられ、続いて私が議事進行に関し発言を求めて登壇いたし、叶君の発言をそのまま繰返して、在席議員諸君のすべてが承知せられる通りであると申し上げましたのに対し、諸君の間に一言異議の表示がなかつたことによつて明瞭であります。(拍手)また速記録にも明確に記載してあります。必要があれば読み上げてもよろしい。事実は確認せられておるのであります。  叶凸君のこの発言は、もちろん許可を得た正規の発言ではありません。やじであります。この一議員やじをとらえて、片言隻句を問題にいたしますることに対し、種々御議論があるかもしれません。しかし片言隻句といえども、その発言内容によつて看過できないのであります。(「ヒヤヒヤ」)叶君の発言は、内容きわめて重大であり、單に不用意かつ軽卒なる発言として、一片の謝辞をもつて解決し得る性質のものではないのでありまして、一は國会権威を傷つけ、議員みずから國会の威信を失墜いたすばかりでなく、國際関係にも重大なる影響を及ぼすものであつて國会は、現下の國際関係に深く留意し、さらに國会の神聖を護り、その権威を保持いたしまするために、ここに断乎たる処置をとり、泣いて馬謖を斬つてその所信を明らかにせねばなりません。  もちろん、わが國は目下連合軍占領下にあります。しかしながら、われわれは許されて、日本政府はその責任において國政を執行し、國会はその責任において立法に当つておるのであります。行政の一切の責任日本政府にあり、立法の一切の責任國会にあるのであります。(拍手)この際強くこのことを申し上げておかねばなりません。  近時諸般の問題に関し、ややもすれば責を他に轉じ、顧みて他を言う弊風一世をおおつております。特に片山内閣成立以来、あるいは公約の履行を迫られ、失政、惡政を追究せられるや、政府與党諸君……     〔「自由党はどうだ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然
  7. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願いします。
  8. 石田博英

    石田博英君(続) 往々にして、非公式ではありますが、責任を他に轉稼し、一時を糊塗し、自己の立場を弁護せんとする意図が、私どもにはしばしば感得せられるのであります。(拍手)しかして、敗戰後國家の安危に任ぜんとする民主政治家信條として、きわめて遺憾に存ずるところであります。(拍手)私は、叶君今回の発言は、今まで潜在しておりましたこの意図、この思想が、とつさの間に言外に現われたものと断定するものであります。  ここにおいて、問題は、單なる失言として軽々に扱い、同君が單に陳謝の意を表するだけでこの問題を葬り去りますことは、外、國際間の信用を失い、内、國会権威を冒涜する結果を招くものであつて、私どもの断じて容認し能わざるところであります。  われらは、ここに叶凸君を懲罰委員会の議に付し、嚴正公平冷靜に問題の本質を究め、その処置を誤らざらんことを提議するものであります。  なお、われわれは本問題に対し、議員動議をもつて同僚叶君を懲罰委員会に付するよりは、議長國会法の規定により、議長職権をもつて叶君を懲罰委員会に付せられんことを希望したのでありまするが、議長は昨日、叶君のこの発言がありました直後、私が議場内交渉係として、場内において、ここの議長席に対しまして、同君発言が不穏当である、議長において適切なる処置をとられんことを申し出たのでありますが、これに対し議長は、議長議員の一やじに対し一々処置はいたしません、と色をなして拒絶せられたのであります。その後、諸君承知通り叶君の名をあげて注意いたしましたけれども、同時に一般の他のやじを併せ制する内容はきわめて模糊たるものでありまして、また今日まで議長職権をもつて叶君を懲罰委員会に付する意思は表示せられません。ここにおいてわれわれは、この動議をやむを得ず提出せざるを得なくなつたことを遺憾に存ずるものであります。(拍手
  9. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 懲罰動議討議を用いずして採決をいたすのであります。よつてただちに採決いたします。古島義英君外二十四名提出動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  10. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立少数。よつて……     〔「現実に数を調べろ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然
  11. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) よつて古島義英君外二十四名提出動議は否決されました。     〔「数を確実に調べろ」「議事進行」と呼び、その他離席する者、発言する者多く、議場騒然
  12. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。      ————◇—————
  13. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 叶凸君より発言を求めらております。この際これを許します。叶凸君。     〔叶凸登壇
  14. 叶凸

    叶凸君 私が昨日の本会議岩本信行君の演説中に……     〔発言する者多く、議場騒然
  15. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  16. 叶凸

    叶凸君(続) 議席で行いました不用意にして軽率なる発言は、議員としてまことに恐縮の至りであります。ここに謹んで陳謝いたします。(拍手)     〔発言する者多く、議場騒然
  17. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) この際一言いたします。ただいま叶君より陳謝意思を表明せられましたが、昨日の岩本君の発言中における叶君の不規則の発言は、眞に遺憾に存じます。今後同君の自重を要望いたします。(拍手)  なお、將來は、不規則な発言といえども不穏当な場合には、議長職権をもつて懲罰委員に付する用意があるものと御了承願います。     〔角田幸吉君「議長議事進行」と呼び、その他離席する者、発言する者多く、議場騒然〕     —————————————
  18. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 角田君より議事進行について発言を求められておりますので、適当な機会発言を許します。     〔「議長々々」、「議事進行について発言を求めます」と呼び、その他発言する者多し〕      ————◇—————  叶凸君の不穏当なる発言に関する緊急質問綱島正興提出
  19. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 山花秀雄君。     〔発言する者多し〕
  20. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。     〔発言する者多し〕
  21. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。山花秀雄君。
  22. 山花秀雄

    山花秀雄君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際……     〔発言する者多く、議場騒然聽取不能
  23. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 山花君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」、「異議あり」「採決」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然
  24. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。記名投票を行います。(離席する者、発言する者多く、議場騒然動議賛成諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。     〔離席する者。発言する者多く、議場騒然
  25. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 山花君の動議を徹底せしむるために議長動議を読みます。山花君の動議が、あまり騒々しくて徹底を欠く憾みがありましたので、読みます。山花君の動議は、叶君の不穏当なる発言に関する緊急質問を許可すべしとの動議であるのであります。これに対しては……(「議事進行が先だ」と呼び、その他離席する者、発言する者多し)靜粛にお聽取りを願います。先ほどの山花君の動議は、叶君の不穏当なる発言に関する緊急質問を許可すべしとの動議であつたのであります。その動議採決にあたりまして、御異議あるもののごときことになりましたので……     〔議長と交渉する者あり〕     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) この動議については御異議がないことが明らかになりましたから、投票の宣告は取消しまして、ここにその動議は成立したものと認めます。よつて日程は追加せられました。議場開鎖。  叶凸君の不穏当なる発言に関する緊急質問を許可いたします。綱島正興君。     〔綱島正興登壇
  27. 綱島正興

    綱島正興君 今日、かくのごとき事案に対しまして政府の御所信を質しますことは、最も遺憾とするところでございます。特にわが國の現状が、その思想上、経済上その他國際上の関係等諸般事情から鑑みまして、実に一歩を誤ることが千年の憾みを買う事情にございますところから、私どもは、かようなことで議場に臨みますことをはなはだ遺憾とするものでございます。しかしながら、事すでに起りました以上は、特にこの際政府の御所信を質しておきますことが適切なりと考えるのであります。  その理由は何ゆえであるかと申しますれば、これがひとり議場だけで起りましたことに止まりまして、そのまま日本國から全部消え去ることであるならよろしゆうございますが、実はあらゆる事柄に対して、某方面よりの指令であるとか、いろいろな必要以上の言葉によつて彎曲されておるようなきらいなしとしないのでございます。(「その通り拍手)そこでこの際、特に実はその性質がすでにポツダムの宣言の受諾あり、またわが國においてはわが國の憲法が炳乎として存しておるのでございますから、政府がいかようなることをすることが正しいか正しくないかのことを伺う必要はないのでございますが、ただ総理大臣御自身がいかような御所信をもたれるか。すなわち、叶凸君の不穏当なる言葉の裏にございますところの、臨時農業生産調整法案の立案、施行、運行等に関し、日本政府以外の関係より支配される完成にありや否や。さようなことを、実は政府ははつきりこの際ここで御聲明を願いたい。なぜそのことが必要であるかといえば、実は議場内においてさような疑いを醸すがごときことが発生いたしましたからでございます。そこで私どもは、ここに総理大臣ほんとうの御所信を質しておかねばならぬ。  さらに、私どもが大切なことは——特に大切なことは、この國際事情において、われわれは非常なる責任ある立場において、しかも、われわれが最も困難となすところの日本國の再建をなし遂げなければならぬ実情にございますので、この点に関する政府の御所信をはつきりしておいていただきたいのでございます。政府がこのことに対しての御所信を明確にしていただくことは、実は内外の事情に鑑みまして非常に重大なるのみならず、そのことが実は今日起りましたるこの不祥事に対する総結末をつける上において最も妥当なる線を引くならば、これは最もよい結果を得ると申さねばならぬのであります。これが、私ども質問をどうしてもしなければならぬ最もおもなる理由でございます。(拍手)  さらにもう一点申し上げておきます。私どもがこの議会をもつております上において、ややもいたしますると施政の那辺にあるかをうかがいかねるようなかどがたくさんございますし、はなはだしく政務に澁滯を來しておると考えられる節もあるのでございます。これらに対しても、併せて政府はどういう御所信をもつておられるか、特に政府がかつて施政方針として述べられた線に沿うたる確信をもつてなお進みつつあられるや否や。これらの点も、併せて御言明願いたいと思います。  事はまことに簡單でございます。政府ほんとうに自分の責任をもつてかくのごとき臨時農業生産調整法案のごときものに対してのいろいろな施政をされるかどうか。政府責任においてされるかどうか。政府以外の立場よりこれがされるかどうか。こういう点を特に明確にしておいていただきたいのであります。これをもつて私の質問の大要に代える次第であります。(拍手)     〔國務大臣片山哲登壇
  28. 片山哲

    ○国務大臣(片山哲君) 綱島君にお答えいたします。政府提出法律案予算案は、政府は全責任をもつてこれに当るものであります。また政府が立てております諸政策の遂行につきましては、全力を傾倒いたしましてその邁進に努力いたしておるのでありまして、その実現を期しておる次第であります。以上をもつて答えに代えます。(拍手)      ————◇—————
  29. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 角田君よりの先ほどの議事進行発言を、この際許可いたします。角田幸吉君。     〔角田幸吉登壇
  30. 角田幸吉

    角田幸吉君 私は、日本自由党を代表いたしまして、昨日以來議長のとられました態度に対しまして、遺憾の意を表せざるを得ないのであります。昨日岩本信行君の発言中に叶凸君のやじられたその言辞は、明らかに日本政府を否認し、國会を侮辱する行爲であつたのであります。しかるに、その制止にあたつて議長は、うるさいのはこつちの方だという偏頗なる態度をとつたのであります。單なるうるさいのと、日本政府を無視し、國会を侮辱する言動といずれがよいか。かかるごとき行動をとられたのであります。しかもその言動たるや、明らかに日本政府を否認し、國会を侮辱する行爲に対しましてとつ行動は、議長として國会権威を失墜し……     〔「ノーノー」、「何を言つているのだ」「それが議事進行か」と呼び、その他発言する者多し〕
  31. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  32. 角田幸吉

    角田幸吉君(続) われわれ議員権威を失墜せしめるものであつて、きわめて遺憾の意を表せざるを得ないのであります。(「ノーノー拍手)  これに対して自由党、第一議員倶樂部農民党から、叶凸君に対する懲罰の請求をなしたのでありますが、議長はかかる重大なる事案に対しましては、議長みずから進んで懲罰の議に付すべきであつたのであります。しかるに、かくのごとき態度に出ざることは、一党一派に偏した、きわめて偏頗なる態度と言わざるを得ないのであります。     〔発言する者多し〕
  33. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  34. 角田幸吉

    角田幸吉君(続) しかも、昨日のごとき行動がとられました場合におきましては、議長國会法第百十六條に基づいて退場を命ずるか、取消しを命ずべき職権を有しておるにもかかわらず、これを默過いたしたということは、われわれは議長としてこれを信任することはできないのであります。私はこの際におきまして、今後議長においてかかる態度なきことを一言警告を発しておく次第であります。(拍手
  35. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 議長は、昨日不穏当なりと認めまして、叶君に注意をいたしたのでございました。爾來御承知のごとき方法をもつてつてきたのでございます。
  36. 山花秀雄

    山花秀雄君 本日の自由討議はこの程度にとどめ、明三十日……     〔発言する者多く、議場騒然聽取不能
  37. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 山花君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後六時四十分散会