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1947-10-09 第1回国会 衆議院 本会議 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十月九日(木曜日)     午後二時五十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十二号   昭和二十二年十月九日(木曜日)     午後一時開議  第一 経済力集中排除法案内閣提出)の審査を付託するため特別委員会設置の件     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) これより会議を開きます。      ————◇—————  食糧増産並びに供出促進に関する決議に対する平野國務大臣発言
  3. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 一昨日の食糧増産並びに供出促進に関する決議に対し、農林大臣より発言を求められております。これを許します。農林大臣平野力三君。     〔國務大臣平野力三登壇
  4. 平野力三

    國務大臣平野力三君) 去る七日本院において、各派共同提案にかかる食糧増産並びに供出促進に関する決議全会一致をもつて可決いたされました。私は食糧所管大臣といたしまして、この御決議に対し、満腔の誠意をもつて尊重いたしたいと思うのであります。  なお、この際一言申し上げたいと思いますことは、去る五日、政府は今年の米及び甘藷割当に関しまして、米について三千五十五万石、甘藷について五億七千七百万貫の割当を敢行いたしました。この数字たるや、今年の作柄から申しまして、かなり容易ならざる数字であるということを感ずるものであります。しかしながら、世界の食糧事情、殊に來米穀年度に思いをいたしますならば、政府といたしましては、万難を排してこの割当の百パーセント供出を速やかに完遂しなければならない重大なる責任があるのであります。しかして、この重大なる責任を果たしますには、單に政府努力のみによつてなし得ることではないのでありまして、本院各位の、各派の一致せるところの御盡力と御支援がなければ、とうてい不可能であると考えるものであります。政府はこの意味におきまして、米價問題、肥料問題、農機具、地下たび、自轉車、ゴムぐつ等、農村の必要といたしまするところの物資に関しましては、全力を傾倒いたしまして、農家の要求に應ずべく最善の努力をいたしますることは万々でありますが、これとともに、本院の各派共同のもとに、この政府の施策に対して満腔の御支援を賜わりまして、來米穀年度において、わが日本民族が食糧問題に関するところの難局を打開いたしまするよう、御盡力を懇請する次第でございます。  ここに簡單でありまするが、本院における決議を尊重いたしますとともに、併せて各位の御支援を希望いたしまして、一言申し述べた次第であります。(拍手)      ————◇—————  第一 経済力集中排除法案内閣提出)の審査を付託するための特別委員会設置の件
  5. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 日程第一、経済力集中排除法案審査を付託するため特別委員会設置の件を議題といたします。     —————————————
  6. 叶凸

    叶凸君 本案の審査については、特別委員会を設置せず、財政及び金融委員会に付託せられんことを望みます。
  7. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 叶君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。      ————◇—————  経済力集中排除法案に関する和田國務大臣提案理由説明
  9. 叶凸

    叶凸君 この際、経済力集中排除法案について國務大臣提出理由説明を求むるの動議を提出いたします。
  10. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 叶君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  この際和田國務大臣より、経済力集中排除法案について提案理由説明を求めます。國務大臣和田博雄君。     〔國務大臣和田博雄登壇
  12. 和田博雄

    國務大臣和田博雄君) ただいま問題になりました経済力集中排除法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  政府連合國の対日占領に関します基本方策に則りまして、すでに財閥等に解体に着手し、また、いわゆる私的独占禁止法を制定実施いたしまして、國民経済の民主的で健全な発達をはかりますために、その障害となる不当な行爲排除し、独占的企業集中体の発生を防止する等の措置を講じている次第でございます。しかしながら、わが國経済の現状を見ますと、過去の残滓ともいうべき、いわゆる経済力集中が堆積いたしておりまして、まずこの堆積をできるだけ速やかに排除するのでなければ、私的独占禁止法等によります恒久的な措置につきましても、とうてい所期の効果を期待し得ないと存ずる次第でございます。言いかえますと、目前に堆積しましたこの経済力集中排除しまして初めて、わが國がすでにとつておりまする、またこれからとろうとしますいろいろな民主化のための措置がその実効をあげることができ、ほんとうの経済民主化基礎がつくられるのでございます。從いまして、経済力集中排除しますことは、國家民主的再建を熱望いたしますわれわれといたしましては、最も緊要で重要なことであると考えます。この点につきましては、連合軍の総司令部全体の態度も同樣であると察せられるのであります。  しかし、経済力集中排除は、その目的から申しまして、いたずらにわが國の産業経済をこまかに解体分割しようとするものではなくして、國民経済を平和的に、かつ民主的に再建するための基礎をつくろうとするものでございますから、それはまた將來の民主的な秩序に相應する経済の合理的な再編成を行うという積極的な作用をもつものでなければなりません。この意味におきまして、この法律は、民主的で健全な國民経済再建基礎をつくることをその目的といたすものでございます。  もとより経済力集中排除は、わが國産業経済廣汎な変動を與え、國民権利に重大な影響を及ぼすものであり、また相当大きな権限を政府機関に委任しようとするものでございますから、その実行につきましては、きわめて愼重でなくてはなりません。そのやり方いかんによりましては、経済界不安動揺に陷り、企業は萎微し、生産は沈滞し、金融は梗塞するというおそれがないとは言えないのでございます。政府といたしましては、経済力集中排除について、あらゆる角度から種種檢討を重ねてまいりましたが、なかんずくこの法律運用面檢討には、最も愼重を期した次第でございます。政府は、あらゆる手段を盡して経済界に悪影響を及ぼすことを防ぎ、あくまで國民経済の合理的再編成を行うという建設的な趣旨において、この法律を運用していかねばならぬと存ずるのでございます。この点につきましては、連合軍司令部見解も、またわが政府見解とまつたく一致していることが明らかになりましたことは、まことに仕合せであると存ずる次第であります。從いまして、この法律をできるだけ速やかに実施いたし、できるだけ速やかにわが國経済再建を実現しますことが、当面喫緊の要務であると痛感いたします。  次に、法律案の内容の要点につきまして、簡單に御説明を申し上げます。第一に、この法律目的は、平和的かつ民主的な國家再建するための方策の一環としまして、できるだけ速やかに経済力集中排除し、國民経済を合理的に再編成することによつて、民主的で健全な國民経済再建基礎をつくることにあります。  第二に、本法により指定せらるべき経済力集中は、第一は独占的性質企業、第二に関連性のない事業を兼営する企業、第三は役員の兼任、株式の保有等の方法で他の企業を支配する企業、四番目は、カルテル、シンジケート、トラスト等の制限的もしくは独占的な協定契約等、五番目は、個人または家族の富の集中独占的企業を支配するもののいずれかに該当するものであつて、かつこの法律施行の日において現に存するもの及び昭和二十年八月一日からこの法律施行の日前において存したものでございます。なお、國、地方公共團体公團労働組合については指定しないことになつております。この指定を行うのは、特殊会社整理委員会でありまして、必要な各般の事項を考慮し、指定具体的基準を定めてこれを公示し、公示したその基準に從いまして、昭和二十三年九月三十日までの間に指定を行うのでございます。  第三は、指定された経済力集中排除でありますが、持株会社整理委員会は、この法律目的を達するのに必要な排除措置をとらねばなりませんので、その措置に関し必要な範囲内において、いろいろな機能をもつこととなつております。持株会社整理委員会指令案については、聽問会で利害関係人異議申立や意見の具申を聽くこととなつており、また同委員会決定指令につきましては、利害関係人は原則としまして、内閣総理大臣に対しまして不服の申立をすることができることになつております。  第四は、他の法律、特に私的独占禁止法及び企業再建整備法との関係でございます。この法律は、私的独占禁止法とその目的上密接な関係をもつものでありまして、そう発動の対象において実際上競合する場合がございますので、本法私的独占禁止法との関係及び持株会社整理委員会公正取引委員会との関係につき、数箇の規定を設けてその調節をはかつております。  次に、この法律企業再建整備法との関係につきましては、本法中に企業編成計画による債権者株主等権利変更に関する規定を置いてありますが、本法による再編成計画による債権者株主等権利変更に関する措置その他企業経理面措置は、すべて企業再建整備法または金融機関再建整備法に任せるのを適当と考えております。政府といたしましては、この際末節に拘泥せずに、できるだけ速やかにこの法律を制定実施しますることが、当面至大の要求である経済民主化を非常に促進するものであり、かつまた國家大局のためであることを確信している次第でありまして、何とぞ御審議の上、速やかに御賛成あらんことを切望いたします。  最後に、この法律担当機関ともいうべき持株会社整理委員会の改組につきましては、同委員会改正法律案として近く國会提案いたし、御審議を煩わすことに相なつております。(拍手
  13. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 次会議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後三時九分散会