○小島徹三君 ただいま
議題となりました
昭和二十二年度一般会計予算補正第一号に関する
委員会の審議の経過並びに結果につきまして御報告申し上げます。
本案は八月八日予算
委員会に付託されたものでありまして、十三日、十四日、十五日の三日間にわたり審議いたしまして、本
委員会といたしましては、十五日、後に述べまするところの附帶
決議を附して可決いたしたのであります。
御
承知のように、今度新しく厚生省から
労働関係の行政事務をわけまして、
労働省を設けることになりましたので、それに必要なる経費を支出するために、この補正予算案第一号が
提出された次第であります。從いまして、本予算案につきましては、次の諸点が注意さるべきものであります。第一に、この予算は
労働省新設について生じた本年度予算の変更だけを取扱
つておるものであります。これは出來るだけ早く
労働省の仕事を開始したいため、今度
提出されるはずの一般会計、特別会計全般にわた
つての追加予算と切り離して、第一号として
提出されたのであります。第二の点につきましては、とりあえず
労働省の設置だけについては剩余金で間に合いますので、この点からも、この予算案だけを切り離して先に出したものと考えられます。
さて、次に本案の内容でありますが、新設
労働省の本年度予算総額は、六億四千四百十一万円九千円であります。このうち
労働省災害補償保險特別会計の二億六千八百五十四万九千円を控除した三億七千五百五十七万円が、
労働省の一般会計予算額になるのであります。この
労働省の一般会計予算額三億七千五百五十七万円の内訳を見ますと、
昭和二十二年度一般会計本予算の実行上の
措置によ
つて、厚生省所管から
労働省所管に移しかえられました予算額が、二億六千六百二十一万円であります。これを前述の一般会計予算額から控除した残額の一億九百三十五万八千円が、今回
昭和二十二年度一般会計予算補正第一号として計上せられておるのであります。これは從來の厚生省所管事務の一部が
労働省に移管されるに伴
つて、修正増額の上、
労働省所管に計上された五千九百三十五万八千円と、新規に
労働省予算として追加要求された五千万円との合計額であります。このように今度
提出された
労働省
関係の補正第一号予算そのものは、同省の一般会計予算総額の約三分の一強を占めまして、かつ事務移管に伴う修正増加額を除けば、新規要求額は五千万円にすぎないのであります。
他方におきまして、厚生省の所管事務が
労働者に移管されるに伴いまして、厚生省の既定経費が修正減額された金額は、五千九百三千五万八千円、厚生省所管において不用と
なつた経費の減少額は、千三百五十九万一千円であります。この厚生省所管経費の減少額合計七千二百九十四万九千円を、前述の
労働者の補正予算額一億九百三十五万円余より差引いた三千六百四十万九千円が、補正第一号予算の純増加額に当た
つておるのであります。
次に、右の三千六百四十万円余の歳出増加分は、
昭和二十一年度剩余金の受入れによ
つて賄うことにな
つておるのであります。
次に、予算
委員会の審議の経過について
簡單に御説明申し上げます。本予算案の内容につきましては、大体承認されたのでありますが、それよりも、今度
提出されました補正予算の全体について、一番問題となるのは人件費であります。これに関しましては、新物價体系と賃金千八百円基準の上に補正予算が成立し得るかどうかということについて論議が出たのでありまして、この点につきましては、あらゆる角度から、各委員と
政府当局との間に熱心な質疑應答が繰返されたのでありますが、その詳細は
会議録によ
つて御
承知おき願いたいと思うのであります。
本提案につきましては、前述のように、第一に
労働行政の革新強化のため至急に本予算案を承認する必要があること、第二に右補正予算の財源を新しく求める必要がなく、とりあえず前年度剩余金で間に合うこととの二つの理由から、これを可決いたした次第であります。
なお、本案可決に際しまして、共産党の野坂委員より、全予算が
提出されず、一部
労働省の予算だけを
提出したのは正しくない、
提出された
労働省の予算は、大要だけで細目が不明のために十分これを審議することができなかつたという理由で、これを本日上程することについては反対意見が述べられたのであります。
なお、審議の中途で問題となりました新物價体系と
國民生活、特にその給與賃金との
関係、並びに地方
労働基準局、同基準監督署等各種の
政府機関を設けることは、地方行政一元化の
趣旨に背くおそれもあり、またこれがために地方において寄附金を募集する等の財政的の負担を地方に與えるおそれがございますので、これらの点につきましては、次のごとき社会党、民主党、自由党並びに
國民協同党四党の共同提案によりますところの附帶
決議を可決いたしました次第であります。今その附帶
決議を読み上げます。
附帶
決議
健全財政を堅持し経済
再建の基礎を確立するため、補正予算編成に当
つて政府当局は、左記の三党に関し適当な
措置を講ずること。
一、勤労者の主食配給を確保すること。
一、酒類、煙草類等勤労者の
生活に重大な
関係をもつものの値上げについては、
國会の愼重な審議を経た後これを行うこと。
一、
政府は地方
労働基準局及び地方
労働基準監督署の設置に際しては、地方行政一元化の
精神に則り充分な考慮を拂うと共に、これが設置については地方的負担を來すことのないように注意すること。
以上、
簡單でございますが、
委員会の審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。(
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