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國務大臣(平野力三君) まず第一に、戸叶君からの御質問でありまする野菜の問題について、お答えをいたしたいと思います。野菜の
統制をどうするかという問題は、現在きわめて重大なる問題にな
つておりまするが、私
どもといたしましては、野菜の
統制を撤廃して自由にしたらよいではないかという巷間の議論に対しては、賛成するわけにはまいらぬのであります。野菜の
統制は、あくまでこれを堅持する。かようなる
方針であります。しかし、その
統制の
方法については、從來の権力的意識をも
つて、
生産者、
消費者、あるいは中間の機関を恐怖さしたり、あるいは中間の機関その他が威圧を受けるというような感じのために、出荷が停頓するような
統制は、嚴に戒めていきたいと思うのであります。
次に、野菜の問題については、依然として、現在野菜の全体の
生産量を、現在の
消費量で割りますると、足らないのであります。ここにおいて、野菜に対しても大なる増産計画を立てなければならぬのでありまして、約一千万貫の増産計画というものを立て、菜園地といたしまして、約三万一千町歩に対し、特に硫酸アンモニア千トン、藥剤百トンを、この際前渡しをするということによ
つて、野菜の増産計画を今回立てたのであります。かようにいたしまして、なお出荷のときにあたりましては、月間硫安約五百トンを野菜とリンクすることによ
つて、出荷を相当促進するところの
方法を
考え、なお、
消費地におきましては、約百五十台のトラツク、及びそれに関する燃料等を用意いたしまして、かようなる増産と肥料をリンクすることによ
つて、出荷の奬励と、及び輸送機関を完備することによりまして、容易に
消費地に対して野菜が流れ込むところの
方法を
考えたのであります。
從
つて、現在大
消費地と
考えられまするところの京浜、名古屋、京阪神等のこの需要都市においては、大体七月から十月までの間の野菜の
配給量を、一人一日三十匁平均にできるよう準備をいたしておる次第でございます。具体的には、東京におきましては、月に約四百万貫、大阪におきましては、約二百万貫の野菜が流れてくるような
方法を
考えておりまして、しかも、これらの大
消費地に対するところの野菜の特産地というものを、野菜の種別によ
つて決定をいたしまして、これらの方面と大
消費地との連絡を密にするところの
方法を
考えておるのであります。かようにいたしまして、
統制はあくまで堅持するのでありまするが、その
統制のわく内において、
消費者に対して十分
配給のできる方途を
考えておりますので、この点、御了承願いたいと思います。
戸叶君の第二の質問は、だいずの輸入に関する問題でありまするが、だいずは、みそ、醤油の原料といたしまして、主食に次ぐ最も重大なるところの材料であるということは、多言を要しないのであります。從いまして、私
どもといたしましては、滿州より、あるいはアメリカ本土よりの、このだいずの輸入ということに関しましては、非常に熱心にその懇請をいたしておるものであるということを、御了承願
つておきたいと存じます。
次に、松本一郎君の御質問でありまするが、百パーセント供出をいたしました農家に対しては、自由販賣制をとつたらどうかという御質問であると思います。この問題は、今回
供出制度の
根本改正をなすにあたりまして、
一つの課題として研究をいたしておるのであります。しかし、百パーセント供出したからというて、あとは自由勝手に賣買をしてもよいということを、ただちに承認するかどうかという点については、相当議論のあるところであります。しかし、百パーセント供出いたしました農家の、その余の供出に関しては、
國家といたしましては、相当これを高く買うなり、あるいはこれに対して相当なる報奬物資を提供するという
考え方については、大体同感であります。この点に関しましては、現在
供出制度の
根本改革の上において檢討を加えておるのでありまするからして、さよう御了承願いたいと思います。
次に、カリ肥料に関する御質問であつたと存じまするが、現在カリ肥料に関しましては、必要量を大体二十万トンと踏んでおります。ところが、このカリ肥料は、最近におきましては、ドイツからの輸入の途が相当に開けておりまして、現在
政府が手持といたしておりますところのカリ肥料としては、約十一万トンを所有いたしておるのでありまして、このカリ肥料に関する限りは、現在必要量の約半数をも
つておりまするということは、もとより農家の必要量を滿たすわけにはまいりませんけれ
ども、肥料不足の今日においては、相当なる好轉の状況であると御了承願いたいと思います。
次に、山村君の御質問でありまするが、縁故米を送るにあた
つての包裝の紙などの用意が十分であるかというお問いであつたと思います。もとより、これらに関しましては、十分であるとは申されないのでありまするが、この制度を設けましたる意義は、あらゆる方面から檢討いたしまして、十分これらの資材については、便宜をはかりたいと思います。同時に、縁故米及び救援米制度を設けました暁においては、われわれは、この問題が、現在の
危機突破の上におけるところの、きわめて重要なる
政府施策の要点にな
つておりまするから、全力を傾倒して、この
方法によ
つて米を吸い上げ、も
つて危機突破の
対策といたしたいと
考えておるのでございます。
薪炭問題についての御質問でありますが、薪炭の
生産者から
消費者まで参りまする間の中間マージンが高過ぎるという点については、まつたく同感であります。私
どもも、その中間利潤が多過ぎると
考えております。しかし、この問題を具体的に檢討してみますると、現在、小運送の運賃というものが非常に勝貴をいたしておるのでありまして、実際問題といたしましては、中間の運送料が相当かかるために、中間利潤が多く見えておりまするという点については、
政府といたしましても、
考えていきたいと思
つております。しかし、何と申しましても、薪炭問題は、薪炭業者が原木を得る上において相当便宜を得なければならない問題でありまするから、原木
價格の問題と、原木入手の点において、薪炭業者に対して、十分の便宜をはか
つていきたいと思
つております。
次に薪炭需給の見透しでありまするが、昨年におきましては、
政府の計画いたしましたる、約六〇%より、炭は間に合いませんでした。薪におきましては、
政府が計画いたしましたるわずか三〇%より間に合わなかつたのであります。今年は、相当の計画を立てておるのでありまするけれ
ども、ここに薪炭に対しましては、大なる矛盾が起
つておるのであります。それは、戰爭中荒廃に帰しておりまするところの百数十万歩の山の、綠化ということをはからなければならない。一方においては、薪炭用の原木を相当に伐
つていかなければならない。また家も建てなければならない。言いかえますると、山を青くするということと、薪炭を豊富にするということは、ここに矛盾いたしておるのでありまして、この点、
政府が最も苦慮いたしておるところであります。從
つて、私
どもといたしましては、薪炭問題に関しましては、薪炭以外の石炭、れんたん、あるいは電氣、ガス、こういうものによ
つて、実際上の薪の問題及び炭の問題に関しまして、われわれの方の
生産量が追つかない場合においても、
消費者諸君のご迷惑にならないようにいたしていくべく、各省ともに連繋をして、
対策を立てたいと
考えております。
中島君の御質疑でありまするが、肥料に関して、現在
政府がどういうような
考え方をも
つておるかという
お話でありまするが、大体におきまして、肥料の問題は、過般もこの議場において申し上げました通り、硫酸アンモニアの
生産が、現在におきましては、ある
程度上向いておるということは、
食糧政策の上において非常に喜ぶべきことであります。從
つて、米については、昨年においては一反平均四貫の割当でありましたものが、今年は大体五貫五百の基礎の割当が出來るという数にな
つておりますることは、重大なる肥料問題の好轉であります。麦につきましては、昨年においては三貫目でありましたものが、今年におきましては四貫以上を
配給することができるようになりました点も、これまた相当の好轉であると
考えていただきたいと思います。現に六月におきまする硫酸アンモニア及び石灰窒素の
生産は、
政府の計画でありまするところの約七万トンの計画を、いくらか上まわ
つておる状況であるのでありまして、硫酸アンモニアが、現在の
農民の
消費を十分滿たすということはできませんが、これまたある
程度の好轉をいたしておるという点については、明らかに肥料の問題は明るみをも
つておると申し上げたいと思います。
過燐酸に関しましては、燐鉱石の輸入は非常に豊富であります。從いまして、現在輸入されておりますところの燐鉱石によ
つて、過燐酸石灰の製造の原料には困らないという
程度にな
つておりますることは、これまた非常に喜ぶべきことであります。