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1947-07-03 第1回国会 衆議院 本会議 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年七月三日(木曜日)     午後二時十三分開議     ―――――――――――――  議事日程 第九号   昭和二十二年七月三日(木曜日)     午後一時開議  一、國務大臣演説に対する質疑(前会の続)     ―――――――――――――
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――  一 國務大臣演説に対する質疑(前会の続)
  3. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 國務大臣演説に対する質疑を継続いたします。吉田茂君。     [吉田茂発壇
  4. 吉田茂

    吉田茂君 時局きわめて困難のこの際、政局を引受けられたる片山首相の決意を、私ははなはだ多とするものであります。(拍手)わが党は連立内閣にははいりませんでしたが、現下時局に鑑み、かつこの難局に立たれたる首相に敬意を表しまして、閣外にありて、わが党の主義主張の許す限り、極力協力を辞せざるものであります。(拍手從つてまた施政方針に対し、かれこれの批評は、しばらくこれを差控えまするが、なお今後における施政の実績につき、あるいはあらためて所見を開陳いたして、首相の御意見を伺うことになるかもしれないのであります。しかしながら、過日の首相施政方針が、現下のこの窮迫せる経済事態に対して、やや抽象的に流れて、現下の諸問題に対する実質具体的の御方針については、いささか聽くこと能わざりし感がございますので、この機会に私は、現下の諸問題について二、三所見を述べて、首相の見解を質したいと考えるのであります。  第一に、貿易再開のことであります。貿易再開なき限り、インフレ防止國民生活の安定は、期すべからざるものがあるのであります。マツカーサー元帥は、ここに見るところがあつて、來る八月十五日より貿易再開を許可し、また今回諸外國実業家を招いて、貿易の促進をはかられるに至つたものと、私は想像いたすのでありまするが、これは眞にわが國に対する非常な好意であります。この好意に対しましても、はたまたわが現下経済危機突破のためにも、この実業家招待の目的を完全に達成せしむるに足る、十分の準備を政府においてもせらるるように要望いたしたいのであります。すなわち、その滯日期間を最も有効に利用し、すぐにも現場において商取引にも入ることのできるだけの用意を、わが官民においてあらかじめ完備しておきたいものであると考えるのであります。この点については、すでに首相に過日親しくお話をいたしたこともあり、また首相施政演説の中にも、言及せられておるのでありまするが、しかしながら、この事態において最も緊要のことと考えまするから、再びここに一言いたす次第であります。  次に、企業合理化についてであります。官公私の企業を通じ、現在のごとく過剩人員を抱きおりましては、生産を質的にも量的にも増進せしむることは、はなはだむずかしいのみならず、生産費増嵩のために輸入を阻害するに至らんことを憂うるものであります。勤労大衆理解を有せらるる首相におかれては、よく現下経済実相國民大衆理解せしめられ、産業合理化、過剩人員整理等につきましては、失業対策とともに、適宜適当なる措置をとられるように希望いたす次第であります。(拍手)  さらに、輸入政策についての再檢討のことであります。終戰直後の窮迫せる食糧事情によりまして、食糧輸入政府は主力を盡すのやむを得ざる事態にあつたのでありますが、世界今日の食糧事情は、昨年よりも一層惡化し、米國政府も、欧州その他の救援のために、わが國のみに力をいたしがたい状態にあるそうであります。すなわち國民食糧輸入に依存せんとするは、國民生活上安心のいたしがたいことは申すまでもなく、わが産業復興輸出増進のために、今後は工業原料及び質材輸入に最も力をいたさなければならないわが國の事態にあるのであります。從つて今日の食糧危機を突破するため、必要なる食糧輸入を懇請するは、まことにやむを得ないことではありまするが、國民食糧は、最も近き將來において自給自足を目標として、あらゆる方策を総合的に樹立すべきものであると私は考えるのであります。(拍手)  由來わが國は、戰前千数百万石の輸移入をなしておつたのであるから、漫然國民食糧がいつまでも現在のごとく多量の輸入を必要とするというのは、あまりにも安易な考え方であると思うのであります。(拍手)今や食糧事情は最も愼重に再檢討を要するときと私は考えるものであります。今日は、かつて軍役に服せる多数の壯丁を轉じて農業生産に從事せしめ得る事態にあり、また肥料増産、その他科学技術進歩應用によつて農業、漁業の改善進歩をはかり、あるいは農・畜・水産その他の食物の活用等によりまして、積極的に食糧問題の解決に、さらに別段のくふうをいたさなければならないものであると考えるのであります。そして食糧自給度相当高めたいものであると、私は希うのであります。  要は、食糧問題に対する國民理解であります。すなわち生産者側には、増産及び供出につき一段の協力を求むること、また消費者側に対しては、從來米食偏重を改め、食生活改善合理化を奬励すべきであると思うのであります。食糧窮迫のため、やみ市場の活動となり、また生産者消費者との間に対立意識の激化を生じ、社会問題として、現にまことに憂うべき事象を呈しつつあるのであります。もし食糧輸入の減少をはかることができましたならば、工業原料資材輸入の増加を見るに至りまして、よつてつて産業復興を推進し、ひいては輸出増進インフレ防止をすることができ、ここに初めて生活の安定、政治経済明朗化を招來し得ると考えるものであります。  最後に、新憲法のもとにおける政党政治形態について、首相に要望いたしたいものがあります。議会政治は、小党分裂に堕せず、一國一党政治に落ちず、健全なる二大政党によつて運用せられることが、理想であると私は思うのであります。しかして國家國民の利害を中心として、政党政治家主義主張によつて進退してこそ、ここに正しき政党政治が確立せられるのであります。(拍手)  政党政治確立の反面には、官僚制度の完成もまた考えなければならぬと思うのでありまするが、政策方針は、政党これを決定し、官僚は、その方針從つて誠実公正なる事務当局となつて行政上の知識経驗をもつて奉仕し、忠実にその施行に遺漏なきを期してこそ、議会政治は健全に発達するのであります。しかるに敗戰後の今日、政治道徳の衰頽、吏道の頽廃、眞に慨嘆にたえぬものがあるのであります。(拍手首相におかれては、まずもつて憲法下における議会政治の健全なる発達のために、特に深く思いをいたされんことを切望するのであります。さらに國際情勢について考えまするのに、今後は國際連合その他の関係より、國際相互依存事態は、一層緊密になると考えられるのであります。わが國の政治経済、また孤立を許さないのであります。世界潮流に直結交流せねばならぬと思うのであります。私は、日本の政界が極右極左に偏せず、中道を堅持する眞正なる民主主義の線に沿うて、内は國内態勢を整え、外は自由なる國際協調主義をとつて世界潮流に直結交流いたしまして、世界文化経済日本國が今後ますます貢献いたしますようにありたいものだと思うのであります。  以上私の所信に対して、さいわいに首相の率直なる御所見を伺うことができましたならば、仕合せに考えるのであります。(拍手)    [國務大臣片山哲発壇
  5. 片山哲

    國務大臣片山哲君) 前内閣首班である吉田自由党総裁が、難局に処して危機を突破しようといたしまする私どもに対しまして、激励されたことについては、感謝いたします。(拍手)前内閣経驗より、またわれわれに対しまして、幾多の傾聽すべき御意見を吐露いたされまして、なお自分に対しまして質問をされましたので、その点についてお答えいたしたいと思ひます。  政府は、貿易重要性世界経済への参加については、細心の努力を拂い、十分檢討いたしておるのであります。まずそのためには、國内経済の充実が必要であり、國内産業発展をぜひともやらなくてはならないと考えておるのであります。從いまして、國内におきましては、民主主義経済発展民主主義による経済の隆盛をはかりたいと考えまして、いろいろの機構にも考慮を拂い、ほんとう勤労大衆が脂汗を流すその効果が産業の上に十分に現われるような機構をつくつていきたいと考えておるのであります。(拍手)また國家が、ほんとう國民のために産業発展せしめなければならない、世界経済日本が参加していきやすいように、日本経済を隆盛ならしめたいために、國家産業に対する建前をも考慮していかなければならないと考えまして、今後國家管理案をきわめて健全に、充実した建前でやつていきたいと考えておるのであります。これ一に日本民主化を促進し、世界の信用を回復いたしまして、眞に日本民主主義的に建直つたのである。平和主義を標榜し得るにふさわしい國となつたのである、経済また今までのようなやり方から非常に発展したのであるという、この三点を明らかにすることが、最も必要であると考えまして、この点に十分に力を入れておるのであります。世界経済情勢に順應いたしましたる対策をとりまして、貿易に対しましては細心の注意拂つてほんとう國際社会に仲間入りをなし得るようにいたしたいと、極力努力しておる次第であります。(拍手)  産業合理化の問題につきましても、きわめて重要なる問題でありまするから、愼重なる考慮を拂いまして、文字通り合理的にこれを解決する方向に努力しつつあるのであります。いたずらに整理に名をかりまして、多くの失業者を路頭に放り出すことは、できるだけ避けたいと思つておるのであります。このやむを得ず生じました失業者に対しましても、失業手当法あるいは失業保険法、その他國家公企業政策によりまして、餓死するものなき方策を立てようと、努力しつつあるのであります。機構整備につきましても、細心の注意拂つて努力するつもりであります。  食糧問題につきましては、農林大臣から御答弁があると思います。  最後政党政治のあり方についての御意見であります。なるほど二大政党対立いたしまして、主義主張によつて議会政治運営の妙を發揮することが、最も必要なことと思うのであります。但し現下情勢は、いわゆる民族危機経済危機でありまして、その二大政党対立に至るまでに、まずわれわれ國民解決しなければならない経済問題の横たわつておることを、考えていかなければならないと思うのであります。(拍手)その意味におきまして、私ども挙國態勢が必要であると考えたのであります。國民一体となり、挙國一致の強い力を出して、しばらくは政治休戰をいたしましても、この民族難局を打開しなければならぬものであるということを考えたのであります。(拍手)しかし一應の危機を突破いたしまして、順調なるルートに乘り、軌道に乘ることができましたるときにおいては、政党政治建前によりまして、議会政治の上において、十分主義主張を論戰する二大政党対立は、望ましいことであると考えておる次第であります。(拍手)  なお、官吏の廃頽はまことに嘆かわしいことであると考えまして、綱紀粛正官紀粛正を断行しなければならないということを痛切に私どもは考えて、その意味において、官吏機構改廃官吏道刷新昨日も申しましたように、ほんとう官吏國民の公僕である、政府國民から選ばれたる政府であるという意思に徹して、いかなければならぬということを、考えておるのであります。國民大衆諸君も、おそらくはこれに協力せられまして、官吏刷新と相並んで、國民また政治の衝に当つていかなければならぬ建前に進まれることであると思いまして、國民運動と相並んで展開しなければならないと考えておる次第であります。  以上をもつて答弁にかえたいと思う次第であります。(拍手)     [國務大臣平野力三発壇
  6. 平野力三

    國務大臣平野力三君) 吉田自由党総裁の御演説中、私の所管に関する事項に対しまして、お答えいたしたいと思います。  吉田さんの御質問の第一点は、日本食糧問題の解決にあたつて輸入食糧のみに頼らずして、國内の自給体制をはかるの方向に進むべきものであるという御所論であります。この点に関しましては、もとより私ども同感であります。從いまして、政府といたしましても、この國内食糧増産の根底でありまするところの肥料増産に関しましては、目下もつとも力を入れておるのであります。さいわいにいたしまして、この月におきましては、肥料予定計画でありまするところの約七万トンを突破する見込みが立つておるのでありまして、この点に関しましては、政府は大いに盡力をいたしておるつもりであります。  なお、肥料生産配給等に関しまして、從來商工農林当局の間において、いろいろの問題のありましたのも、速やかにこれを解決いたしまして、配給方面におきましては、肥料公團制度を設くることによつて、その横流れあるいはやみ等を根絶いたしたいと考えておる次第であります。  なお、増産対策といたしまして、耕地の拡張に関しましては、これまたいわゆる未開墾地開墾に対しまして、最も大いなる力を注ぐ覚悟でありまして、これが計画に関しましても、從來の五箇年計画等を、でき得るならば相当に切り上げて、実行いたしたい所存をもつておるものであります。  なお、農業上の技術、あるいは農業形態改善等に関しましては、現在の時勢に即應いたしますところの方途をもつて、これに善処したいと考えておるのであります。  第二の御質問は、食糧問題の解決國民理解の上に立つことが前提であるという御所論であります。これまた、まつたく御同感であります。從いまして、われわれといたしましては、その供出の部面におきましては、供出制度根本改革を断行いたしまして、今年の出來秋の米からは、供出の任に当るところの農家が、欣然政府政策に賛成するよう、きわめて綿密なる、きわめて周到なるところの供出制度対策を、目下立案中であるので、御了承を願いたいのであります。なお、消費者方面に関しましては、重要なる食糧に関しましては、食糧公團制度を設置いたしまして、これが横流れあるいはやみ等に関しまして、嚴にかくのごときことがないことを期するとともに、配給制度について改善をいたしたいと存じます。  なお、國民食生活に関しましても、單に從來米偏重のみの食生活ではなくして、あらゆる栄養上の観点から勘案いたしまして、國民栄養の問題も、政府といたしましては、十分に考えていきたいと思うのであります。以上、お答えいたしたいと思います。(拍手
  7. 松尾駒吉

    議長松尾駒吉君) 吉田さん、これでよろしゆうございますか。――星島二郎君。     [星島二郎発壇
  8. 星島二郎

    星島二郎君 片山首相に対しまして、憲法運営に関しまして、二、三の御質問を申したいと思うのであります。  先きほどお話の出ましたように、二大政党が対立するような場面が來ればともかくも、現在の政治状況におきましての小党分立からいいますれば、やはり第一党が組閣のイニシアテイーブをとり、できるならばその第一党の長たる人内閣首班となるということが、最も望ましいことであると思います。自由党は、今回の選挙に鑑みまして、第一党である社会党に、すなおに、氣持ちよく政権を渡す、(拍手片山内閣組閣を容易ならしめたことにつきましては、お認めくださることと思うのであります。  しかし憲法六十七條の総理指名は、一昨日の当議場におきまして、片山君が感激の言葉をもつて申されたごとく、総理指名は、議会大多数をもつて、ほんとんど全会一致ともいう言葉をもつて評されるごとく、指名されました。しかしこの指名は、旧憲法におきまする大命降下である、それに類するものでありますが、この指名があつたからといつて、ただちに総理任命を受けるということは、どうであろうか。  憲法六十六條は、内閣総理大臣とその他の國務大臣とによつて成立されることになつておるのでありますが、それで文字の末に拘泥しますならば、新憲法も、もちろん総理大臣任命各省大臣との間においては若干の間隔のあることは当然、間隙ありましよう。けれども各省大臣が揃つた上で任命式に出られ、認証式に出られることが、憲法運用上においてよろしいではないか。片山内閣は、約一週間たつた一人でもつて各省大臣を兼ねられたということがあることは、私は憲法運用におきまして、必ずしも新憲法の精神ではなかろうと思います。さいわいにして片山内閣は立派に成立いたしましたからよいものの、もし片山内閣が不幸にして流産しました場合には、この一週間の間は、いかなる責任問題が起るでしよう。これは私は新憲法の……     [発言する者多し]
  9. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  10. 星島二郎

    星島二郎君(続) よい慣習法を作りたいために申し上げるのでありまして、願わくば、これに対しまする片山首相の率直なる御所見を承つてみたいと思うのであります。(拍手)  第二点は、やはり憲政運用上、ただいまも総裁総理との質疑應答の間に話が出ましたが、この危機突破、この非常時に、祖國再建の、救國のためには、率直に申しますれば、私もこれは連立でいくべきだろうと当初考えておつたのであります。しかし無條件でいくと申したのではない。それには一定の條件があります。むろん議会政治はある程度まで妥協であります。しかし妥協ばかりが能ではない。やはり典型的野党があつて、嚴正なる批判をいたすことが、憲政運用のために(「ヒヤヒヤ」拍手)かえつてよいのではないかということを――諌臣なくんば國滅ぶということがある。しかしながらわが党総裁の申されたごとく、救國済民のためには、われわれはどこまでも片山内閣を支持して、この危機突破のために協力することは厭はないが、しかし吉田内閣は、社会党に対して、野党として相当注意深く処し得たことは、やはり私は野党としての十分の存在價値があつたと思うのであります。  但し、ゼネストを指導されたり、ストライキの指導や、あるいは労調法反対運動のときには、若干迷惑はいたしたけれども、やはり野党としての御注意があつたことによつて注意深く処したことに対しましては、そういう意味から、今日は成ほど非常時ではあるけれども一つ野党があつて、嚴重に監視、批判する。東條式挙國一致体制は、もう少し古いではないでしようか。今日自由党が、政策協定の範囲内におきましてはどこまでも御支持申すけれども野党として立つたことに対して、世論はこれを支持します。党員は、むしろよく野党なつたと言つて激励してくれます。一昨日の施政方針の御演説中におきまして、片山総理は、なお四党連立を望んでおられるのであるか、片山首相のこれらに対する御所見を承りたい。  次にお伺いしたいと思いますのは、一昨日の御演説中、高度の民主主義ということを高調いたされました。片山平素の蘊蓄を、われわれは十分承ることができたのでありますが、この高度の民主主義ということにつきましては、ややもすれば明瞭を欠いております。なるほど御説明中、これは人道主義であり、議会主義であり、社会民主主義であるとは申されておりますけれども、ただいまも吉田総裁の御演説中に触れられておりますように、現在の社会は、何と申しましても二大潮流のありますことは、皆さまお認めの通りであります。一つは健全なる民主主義と申しましようか。あるいは一つは、全体主義的社会主義とも申しましようか。前者は、経済的に自由主義を伴い、政治的には議会主義をとるものでありまするが、後者は、経済的にはどこまでも計画経済統制経済政治的には一党独裁の弊に陷るものであるのであります。  われわれ自由党は、極右に偏せず、極左に偏せず、中道を歩んで、國際協調で、遺憾ながら日本は今日世界に孤立いたすことはできませんので、世界の多くの國々と協調して進まなければならぬと思うのでありますが、私は片山君個人の御思想、御意見はほぼ想像できるのであります。殊に先般ロイター通信によりますというと、英國労働党を兄として学んでいきたい、かようなお言葉は、多分これは片山君の平素の御思想からみれば誤報ではないと思うのであります。おおむねそれで察知できますけれども、君の率いる社会党は、このいずれに行かんとするか、承りたいと思うのであります。(拍手)  次に、企業整備と失業問題とに関しまして、いささか所管大臣より承りたいと思うのであります。傾斜生産企業の再整備を伴います。それにつきましては、ただいま首相仰せのごとく、企業合理化のためには、ある程度まではやむを得ない失業者を出しましよう。これらに対しましては、親切なる、できるだけのことをいたさなければなりませんが、在野以來、喧々囂々、吉田内閣に迫つて見えたその社会党諸君が、將來労働省を設立されて臨まれるからには、必ずやこれに対しては相当なる御意見があると思うが、それを承りたいと思うのであります。(拍手)  殊にこれに関連いたしまして、ちよつとお伺いしたいことは、去る七月一日、いわゆる七・一禁令が発布されました、飲食営業緊急措置令です。これは一面高級料理店等に対しましての措置としてはやむないことでありましようが、この問題はさておきまして、現在議会会期中に、多くの失業者を伴うごとき、かかる大変革をひき起すような措置を、ポツダム勅令――今日は政令、これによつて議会会期中出されるといふことは、一体いかなる御所論であるか。(拍手)  反動内閣と言われて非難された吉田内閣でさえ、金融非常措置令のごとき、実はポツダム勅令によりたかつた。けれども議会を尊重して、各党派に御理解を得て――この法案は、ほんとうに審議すれば一週間もかかるでしよう。けれども、こういうことであるからというので、内情を吐露して話した上で、一日のうちに、かかる大法案を突破した事実があるではないか。民主主義を高調される現内閣は、この挙に出ず、突如として七・一禁令を出されるごときことは、はなはだ非立憲と批評されても、御弁解の辞はないと思うのであります。(拍手)  なお労働問題に関連いたします上に、もう一つお尋ねしてみたいことは、労働調整法であります。労働調整法を前内閣が提案の当時は、この議会の周囲は、社会党の率いたる人が十重、九重に囲んで、反動内閣打倒すべしとか、かかる惡法は葬れと絶叫されたのでありますが、これを支持したる國民協同党、この両党は、今日この労働調整法――諸君が唱えて反動なり、惡法なりと唱えたこの案は、今日その政策協定わく外であります。これに対する改廃はなさるのであるか。これに対する御所見を伺いたいのであります。  次に、食糧問題に対しまして、いささか申し上げたい。すでに昨日以來いろいろ御所見があつたのでありますが、われわれは党派を超越して、この問題ははかつていきたい。吉田内閣時代にも社会党諸君は、食糧問題については、在野であつて眞劍な態度をもつて、いろいろ各種委員会において御協力賜わつたことは、当時の当局者としても、感謝しておる次第でありまするが、昨日平野農相の、これを政爭の具に供するごときことは――あとでその御意見を承りたいと思うが、かかる言葉がつい出るということは、はなはだ遺憾千万と思うのであります。(拍手)案ずるに、在野時代の多くの言責が頭にあつて、それを責めらるるの恐ろしさに、好ましからざる言が出たと思うのであります。(拍手)  実は農林行政の第一人者をもつて任じておられる平野農相が、その局に当られたがゆえに、あるいは選挙のときに、あるいは平時に、社会党内閣が実現したならば、三合はもらえるだらう、食糧は増配できるであらうと、皆國民の多くは期待されますけれども、昨日発表になりましたが、これに対して與えられたものは何であります。いわゆる計画遅配だ。縁故米である。そうしてこの料理店の禁止である。この三つ以外にはないのであります。これは要するに、パンを求めて石を與えられたと批評されても文句はないでしよう。(拍手)  私は殊に残念に思いましたことは、和田農林大臣に決定されましたる二合五勺の配給に対しまして、やや非難がましい御口吻を聞いたことは、まことに意外とするところであります。吉田内閣当時の和田農相は、苦心を重ね、世間、殊に社会党諸君の大多数から三合要求のある声に應えて、二合五勺を決定されたように私どもつております。もし二合五勺の不合理を責めるならば、その前に、それを要求したる三合論を責めるべきであります。(拍手)殊に二合五勺の中に、副食物のカロリーを含めるようなことが、巷間傳えられておりまするが、こういう結果になりましたことは、非常に驚くのでありまして、願わくば平野農相より、昨日の失言と並びにこれに関する御所見を明瞭に承りたいと思います。  次に、たびたび議論はされましたけれども、私どもも、一言インフレ問題について論ぜざるを得ません。生産面を偏重いたしますことによつては、金融の機能がゆるんでまいります。金融を偏重しますと、生産面は窒息をいたしまするし、生産の減少があつては、惡性インフレを防ぐことはできません。こういう際には、実は社会党の財政政策に対しては――片山内閣のできることに対しては、欣然われわれは推したのでありますけれども、その財政面に対しては、多大の危惧をもつておりましたところが、今回われわれと思想系統を同じゆうする栗栖藏相ができたので、若干安心はいたした。(拍手)  しかし昨日の御所見によりますと、新円所得者に高額の課税をいたすというその方法として、ただ税務官吏を殖やす程度では、はなはだ心細く思うのでありますが、願わくば、石橋財政を正面より攻撃された社会党は、栗栖君を助けて、ここに國民が要望するインフレ対策を発表していただきたい。それは諸君政治道徳上の責任者といたしまして、われわれは要求する権利があろうと思うのであります。(拍手)  企業整備につきましては、当然失業者を伴いますが、私の恐れますところは、また今回の企業整備で、中小工業者が傷められることです。中小というよりも、今日はもう中もありません。小及び零細商工業者、これを保護いたすことに、万全を期せられたいと思います。金融方面につきましても、事業の助成におきましても、殊に見返貿易品の振興にいたしましても、格段の御注意を願いたいと思いますが、水谷商工大臣、新しき政策ありや否や、承りたいと思うのであります。  次に石炭問題について、一昨日の施政方針演説の中で、片山首相は水力電氣の開発を高調されました。まことに同感であります。しかし水力電氣の開発には、セメントが要ります。セメントをつくるには、石炭が要ります。結局すべての産業は石炭に起因すること、皆樣御承知の通りでありますが、われわれは、この石炭増産第一主義で、経営形態はまず二の次にして、何とかして三千万トンを出したいということに全力苦心をいたしてきたゆえに、私は水谷新商工大臣が、みずから石炭大臣と号して、裸でもつて飛び込んだことは――その水谷君の熱意に対しましては、壇上より敬意を表するものであります。しかし昨今首相の口より漏るる國管、あるいは昨日來議場にある水谷君の國管の根本に、國有國営のイデオロギーが存しておつて、今日の國管は次の國有であることを意味するならば、それは政策協定を逸脱したものであつて自由党は断じて賛成できないものであります。(拍手)  われわれは、目下の急務といたしましては、何とかして三千万トン出したい。それには経営形態をいろいろいうよりも、経営者も労務者もともに励む心になつて、一生懸命になつて働きよいようにすることこそ、増産の第一義であつて、今日石炭復興会議等に、労資協調いたされまして、労働組合の方も参加されまして、いろいろ熱心に御審議があり、その結論に、結局炭價の前きめ制、あるいは生産資材のために、いろいろ御考慮のあることをいたしまするならば、私は何もここで國有國営をイデオロギーとして、國家管理という大なたを振わぬでも、いたずらな機構いじりのために石炭が出なくなつたならば、かえつてそれこそ、日本は由由しい結果になることを御記憶願いたいと思うのであります。(拍手)  私は鉱区の分合整理のごときは必要と思います。これは重要鉱物増産法でできることです。あるいは生産資材は、石炭生産公團のごときものをつくられるという噂もありますが、それも結構。あるいは生産議会、水谷君の仰せられたこういうことをもつてほんとうに労資が相和して一生懸命になりまするならば、何もこの際國有のイデオロギーを出されぬでも、石炭は出てくることと思うのであります。(拍手)殊に三千万トンを出すための、遂行するための國管方式といふことを言つておりまするから、このことを水谷商相より承りたいのであります。  最後に、これは誤解を受けては困りまするから、愼重言葉で申し上げたいと思いまする一点は、賠償問題です。昨日もこの壇上で、加藤君よりこれに触れられました。製品をつくつて、これにかえることはできないか等の問題もあつて、これは聽きようによつては、いろいろな噂を生みまして、賠償問題には、むしろ公の席で触れない方がいいだろうという御注意も承つたのでありまするが、しかし今日の日本の現状よりいたしますれば、衷心よりこの問題を懸念しておる者が多いことは、その声が議会の正面まで現われること、これまたやむを得ないことであります。  そこで当局にお伺いしたい点は、賠償は、戰敗國の軍備の再備を許さない。これは当然である。それと同時に、平和的経済を破壞する範囲であつてはならぬといふことは、ポツダム宣言にもその趣旨が出ておることであります。一昨年の十二月、ポーレー案が新聞紙で発表され、あるいは昨年の五月、極東委員会において若干修正が加えられ、あるいはまた昨年の十一月、司令部の委員会等におきまして、いろいろ案が出まして、おいおいとお互いの眞の要求を忖度されまして、ある程度緩和され、日本産業が再建されるために、よほどの御好意を受けておりますことに対しましては、この壇上より厚く御礼申すものであります。  われわれは、何とかしてできるだけ少くしてもらいたいということ、これは率直な話でその通り。その代り一旦出すものと決定いたしました以上は、われわれは住宅資財を節約してまでも立派な箱をつくつて、完全にこれを送り届け、そうしてその機械が完全に運轉するように、技師さえもこれにつけて送りたいと思うものであります。講和会議も近づき、その前に賠償実施もだんだん近づいておるのでありますが、これに対する政府の御用意、お心構えはどうであらうか、最後に承つてみたいと思うのであります。以上に関する関係諸大臣の御答弁を促します。(拍手)    [國務大臣片山哲君登壇]
  11. 片山哲

    國務大臣片山哲君) 星島君の、憲法運営に対する御質問に対して、お答えいたしたいと思います。旧憲法によりますと、前の内閣が辞職いたしまして次の内閣ができますまでに、幾多の時日を要し、またその間にこみいつた事情が世間にも流布されまして、國民に非常な疑惑を投げ與えておつたことを、遺憾に思つてつたのであります。新憲法によりまして、内閣首班は國会で指名せられることになりまして、その関係は非常に明瞭になりました。私はこの点をたいへんよいことである。憲法運営上も非常によき点であると考えておつたのであります。私はその意味において、諸君によつて諸君のほとんど滿場一致に近い御指名によつて内閣首班指名せられたのでありました。  私は、その意味におきまして、一週間あるいは二週間時日を遷延するよりも、諸君指名に應えるために、ただちに内閣総理大臣任命式を受けた方がよいと考えたのであります。(拍手)また他の解釈によりますならば、ただいま星島君の言われましたように、全閣僚がそろつた後に、一緒に任命の形式を受けることも、一つの方法でありますけれども、それはその時の情勢に應じて、最も適当なりとする方法をとることが必要と思うのであります。私はその意味において前者を採用いたしました。  但し、不幸にして内閣が流産する場合にどうなるか、こういうような御意見がありましたが、不幸にして流産いたしましたる場合においては、一人で内閣総理大臣任命を受けました私の全責任として、処理いたしたいと考えております。なお内閣法によりまするならば、一人の内閣総理大臣任命せられた場合においては、他の各大臣の仕事を兼ね行い得る規定があるのでありまするから、何ら支障を來さないと考えておるのであります。  次の御質問は、四党連立の問題についての御質問であつたと思います。四党連立が、民族危機突破に必要であるということは、自由党諸君もお考えになつておつたと思います。その意味において、四党政策協定というものができたのであります。われわれは、この四党政策協定に敬意を拂つておるのであります。その点、十分に御考慮願いたいと思うのであります。しかし今日自由党諸君が野にあつて、閣外にあるけれども経済危機突破のためには協力を惜しまないと言われておるのでありまするから、その点に対しまして、われわれは多大の期待を拂つており、この状態に滿足をいたしておるわけであります。  次の御質問は、私の言いましたる高度民主主義について、さらに内容を明らかにしろという御質問でありました。これは別に奇をてらつて、かような言葉を使つたわけでは決してありません。現在最も必要なることは、民主主義の徹底であるということは、全國民の認めるところであろうと思うのであります。これをあらゆる方面に徹底せしむることが、また憲法の精神に副うことであると思うのであります。政治のみならず、経済においても、社会方面においても、これを強く徹底せしめなければならないと思うのであります。  政治上における封建思想官僚機構を一擲いたしまして、眞に民主主義体制を確立し得るのも、民主主義の徹底であります。また産業上の問題におきましても同樣でありまして、今日の産業機構において、改正すべき点多々あります。汗水滴らして働く労働大衆に、眞に働きがいのある立場をつくつていかなければならないのであります。(拍手)また労働大衆が働いた結果が、きわめて筋道通つてよくわかるようにせしめなければならないのであります。そういう点について、産業民主主義が、発展上において、産業隆盛を來さしむる上において、これまた最も必要なる機構改革の途であるということを感じておるのであります。  またわれわれは文化を発展せしめなければならない。文化日本建設をしなければならないということも主張いたして、これまた國民の共鳴を博することと思うのであります。日常生活、家庭生活、あらゆる生活部面に、民主主義の透徹をはからなければならないのであります。憲法に明らかにせられておりますところの、男女同等の立場につきましても、今日民主主義の透徹を家庭生活のなかにしみこませることによつて、初めて明らかになつてくるのであります。藝術を樂しむ者は、金のある者に独占せられておつてはいけないのでありまして、眞に國民大衆のうちに高尚なる藝術がしみわたることが、最も必要であると私は考えておるのであります。この民主主義の透徹、民主主義の浸透、言いかえるならば高度民主主義であつて、これが憲法の要求する、日本國民に対するところの使命であると感ずるのであります。(拍手)私の申し上げておりまする点は、この点であつて、きわめてわかると思います。しかしてこれはただ政府が唱えて引きずつていく、これについて來いと、旗を高く掲げたり、たいこをたたき、ラッパを鳴らしたり、もつて快哉を叫んでおるのでは決してないのであります。國民全体に約束をいたすのであります。  私は吉田内閣当時におきまして、この壇上において質問演説をいたしましたときに、吉田内閣の性格は、どういうことを主張されるかということを質問いたしたことがあります。その責任上から申しましても、現内閣はいかなることを指導精神とするかということを、明らかにしなければならないと思うのであります。指導精神の根本策といたしまして、高度民主主義をとるのである。現内閣の発しまするところの政治経済産業、各般にわたりまする政策は、この高度民主主義から発するものでありまして、その基本原理に從いまして、実際政策を行うということを明らかにいたしておるのであります。(拍手)以上をもちまして、私の御答弁に代えたいと思う次第であります。     [國務大臣米窪滿亮君登壇]
  12. 米窪滿亮

    國務大臣(米窪滿亮君) 星島さんの御質問のうち、私に関係のある点は、まず第一に、企業整備及びこれによつて生ずる失業者の救済その他の対策はいかん、こういう点にあつたと思うのでございます。御指摘の通り、今日の経済危機を突破するためには、労働者の生産性を高揚するということは、もちろん必要でございまするが、それと相並んで、産業合理化もまた必要でございます。この産業合理化を断行するためには、当然ここに企業整備を行わなければならないことは、これまた当然のことでございます。そこでこの企業整備を行うがためには、その前提として、まず労働の配置轉換に極力意を注ぎまして、そうしてなおかつこの失業者を救済し得ない場合において、さらに第二段、第三段の対策を講じたいと思うのでございます。  政府は、この企業整備につきましては、今日はなはだ残念ながら、わが國の政府にしつかりした労働統計がございませんので、どのくらいな失業者があるということにつきましては、この席上からはつきり申し上げられないのでございまするが、大体昨年初頭の統計によりまして、顯在失業者が二百七十万、さらに潜在と認められるものが――これは人によつて数が違いまするが、大体五百二十万、合計約八百万人とふんでおるのでございます。  このうち、しからば労務の配置轉換によつて、どのくらいな失業者が救済されるかということについては、これまた國家がこれに対して一貫した計画的の手段を講ずるわけにまいりませんのでございまするが、大体において、昨年度の例をあげればおわかりになると思うのでございまするが、昭和二十一年度における全国五百四十ヶ所にわたる職業安定所において、これに求人を申し込んだ者が約三百万人――これを総延数でございます。求職の方は、反対に二百二十万人、ここに八十万人求人の方が多いという、今日の時代から見て、少しおかしい現象が起つておるのでございます。これはもちろんノーマルな状態ではないのでございまして、これは、やみその他の方面に使われている人が多いと思うのでございまするが、ともかく全國の職業安定所によつて取扱われた数が、こういう数でございまして、それによつて就職の成立した者が、百二十八万人あるのでございます。大体これを基礎としてわれわれは労務の配置轉換を行い、さらにそれを助長する意味において、全國四百三十ヶ所にわたるところの職業補導所において、あらゆる施策を講じて、この配置轉換をしていきたいと思うのでございます。  さらにわれわれとしては、公共事業を起しまして、昨年すでに九十五億円の予算を計上しまして、これに失業者を吸收する方策をとつておりまするが、本年はさらにこれを追加予算によつて、その額を殖やして、そうして輸出産業、あるいは先ほど星島さんの言われた電源の開発等の新しい事業を起して、これに失業者を吸收したいと思つておるのでございます。かくのごとくにして、いろいろの積極的な対策を講じまして、なおかつ吸收されないものに対しては、先ほど総理大臣から御説明があつたところの、いわゆる失業保險法あるいは失業手当法というものを制定して、速やかにこれによつて失業者を救済したい。もちろん今日実施しておりまするところの生活保護法による救済も合わせて、三本建で進んでいきたいと思つておるのでございます。  次に、料理飲食店の閉鎖によつて生じてくる失業者をどうするかというお尋ねでございます。この料理飲食店の閉鎖ということは、窮迫した食糧事情によつて、今日政府がとつたのでございまして、これによつて犠牲になつた業者及び從業員に対しては、まことに同情にたえないのでございます。しかしこれは御承知の通り、六ヶ月の期限でございまして、六ヵ月後に、もしそのとき事情が好轉しましたならば、許可申請によつて許可することの途が開かれております。またこの料理飲食店のほかに、喫茶店及び外食券食堂、旅館等は、許可を申請すれば、これを再認可することになつておるのでございまするから、料理飲食店がこういう方面へ轉業し得る途は、開けておると思うのでございます。從つてこれによつて若干の業者及び從業員は救われるのではないかと考えております。この方法で救われないところの從業員及び業者に対しては、やはり先ほどの一般失業対策のあの方針に基きまして、極力配置轉換あるいはその他の方法によつて救済してまいりたいと思つております。  これは確かな数字ではございませんが、大体業者が十八万三千、從業婦が二十三万、男の從業者が二十万、合計六十二万が、一應閉鎖したときに出てくると認められる失業者でございますが、これらは、先ほど申し上げた方策によつて、救済し得るものと思うのでございます。  最後に星島さんの御質問は、労働関係調整法に関する御質問だと思うのでございます。この労働関係調整法が、昨年の議会において相当問題になつたのは、われわれはこの労働関係調整法が、労働組合法、労働基準法と相まつて、健全なる労働組合の育成に当る、さらに労働委員会の活躍によつて國家公共の福祉と労働組合の目的とを調整する法律であることは、われわれこれを認めたのでございまするが、しかしこの法規の中に、一部官吏の罷業を禁止する條項があつたので、当時の情勢によつてこれに反対したのでございます。しかしながら、その後この労働関係調整法の内容が、だんだんとその所期に目的を達するというその眞相が、國民一般に理解され始めてまいりました。また來るべき近い機会において、官吏制度を根本的に改正する機運に向つており、また綱紀肅正についてわれわれは相当の考えをもつている。こういうものとにらみ合わせまして、労働関係調整法が改正される必要があると認められた場合は、その処置をとるのでございますが、今日においては、労働関係調整法を改正する意思はもつておりません。     〔國務大臣和田博雄君登壇〕
  13. 和田博雄

    國務大臣(和田博雄君) 飲食店の禁止を、法律によらずして、ポツダム勅令によりましたところにつきまして、私から御答弁をいたします。  新しい憲法のもとで、ポツダム命令をそのままにおきますということは、まことにわれわれといたしましても、忍びないところでありますが、これが今日われわれの置かれておりまする特殊な地位であるということは、ご了解願えると私は思うのであります。委任命令の性質からいいまして、國会の活動中でございましても、命令をもつて処置できますとことは、法理的に言いますならば、許されるところではありますが、政府といたしましては、新しい憲法の精神に從いまして、國会の活動中におきましては、特別の事情が條件がありません限りは、極力法律案によりまして処置する所存であることには、変りはないのであります。この議会におきましても、法案の形で提案する予定にいたしているものもございます。  ただ飲食店の一時の休止につきましては、日本食糧の事情を考えますときに、横に流れていく温床ともなるべき料理店を、徹底的にほんとうにやるかやらないかが、日本國民日本政府に対しまする、外國の信頼をはかる一つの試石になるのであります。(拍手)この意味におきまして、施行の時期が客観的にきまつておりました関係で、また関係方面の意向もございまして、この措置に出ましたことを、御了承お願いいたしたいと存ずるのであります。(拍手)     〔国務大臣平野力三君登壇〕
  14. 平野力三

    國務大臣平野力三君) 星島さんの御質問に関しましてお答をいたしたいと思います。  星島さんの御意見は、食糧問題を政爭の具に供すべからずという御所見でありまするが、私もまつたく同感であります。(拍手)昨日、この本会議の議場におきまして、北村徳太郎君に対する答弁が終りました際、私は國務大臣として、特に発言をいたしたのは、食糧問題に関しましては、きわめて正確なる数字の上に立つて行いたい、それを政爭の具に供したくないという趣旨のことを申し上げましたので、ただいま星島さんのおつしやつたことと、私の意見はまつたく同感であります。(拍手)  次に星島さんは、私どもが今日考えておりますところの食糧政策に関して御所見がありましたが、われわれは、かつて衆議院食糧対策委員会におきまして、野党にありまする当時におきましても、きわめて建設的なるところの意見をもつて今日までまいつたのであります。ただ食糧問題は、御承知の通り、たとえば十一月というような月と今日の七月というような月とは、その対策が違うのであります。時と場合によつて食糧政策の変化は、これは食糧行政に関するところの專門家の定評でありますので、この点に関しましては、われわれのとつておりまする態度に対して、十分ひとつよく御檢討の上――しばらくわれわれの政策をよく御檢討願わんことを申し上げまして、御答弁にかえたいと思います。(拍手)     〔國務大臣栗栖赳夫君登壇〕
  15. 栗栖赳夫

    國務大臣(栗栖赳夫君) 星島さんの御質問に対し、当大藏大臣の関係する二点について、簡單に御説明いたしたいと思うのであります。  まず第一は、金融統制、殊に金融と生産の関係であります。この危機突破対策の定むるところによりまして、金融統制を強化し、これを徹底的にするといふことは、すでに昨日申し上げた通りであります。殊に赤字金融を極力抑止するということも、同樣であります。しかしながら、危機突破のために必要な産業に対しての金融は、これはぜひ必要でありまして、これがためには、あるいは今回自由融資の範囲を拡大するとか、あるいは復興金融金庫を活用するとかして、極力不足のないようにいたしたいと考える次第であります。金融機関には、産業を助け、産業協力してその実をあげるように、求めておる次第であります。(拍手)  さらにインフレ対策の点であります。これは昨日申し上げました通り、極力これも徹底して防止をいたしたいと考えるのであります。そのうちでも、財政の健全化といふことが一番大事であります。これを極力いたしまして、そうして財政を健全にいたしますと、それによりまして、財政に信用ができ、通貨の信用ができ、そうして金融機関から資金が出れば、また金融機関に還るというような、このインフレを脱却した平常なる状態に歸することに邁進いたしたいと思うのであります。これはやはり危機突破対策の線に忠実に沿いまして、実行いたしたいと考える次第であります。  なお、ここで一言申し上げておきたいと思いますが、昨日、新円階級に対しても極力課税をいたしたいということを申し上げたのでありますが、本日の一つの新聞に、どう誤りましたか、新円に課税するという言葉があつたのでありますが、これは間違いでありますから、ここで申し上げておきたいと思います。元來通貨の信用を維持するということが、インフレ対策のまた一つの大きな要素でありますので、この新円に対する最封鎖というがごときことは、私はただいまのところ考えておらぬ次第であります。簡單でございますが、答弁といたします。(拍手)     〔國務大臣水谷長三郎君登壇〕
  16. 水谷長三郎

    國務大臣(水谷長三郎君) ただいま星島さんの私に対しまする質問は、第一は石炭の問題であり、第二は中小企業、特にその金融の問題であり、第三は賠償の問題でございます。特にこの石炭の問題に関しましては、星島さんのきわめて熱誠あふれる御演説の中におきましても、特に重点をおかれた問題でありまするから、私はこれに対して、若干の時間をいただきまして、詳しく答弁したいと思うのでございます。  星島さんは、われわれが考えておりまするところの石炭に関する臨時國家管理法案をもつて、これは國有國営を前提とするところの法案であり、從つて四党政策を逸脱したものであると、きめつけられましたが、一体どこを証拠としてこういうような議論を吐かれるのでありましようか。(拍手)われわれは、本議場におきましても、未だかつて、この法案はあくまでも臨時的な國家管理法案でありまして、國有國営を前提とした法案であるということは、断じて言つたことはございません。  われわれは、さらにまたこの問題に関しまして、それでは何ゆえこのように臨時的に國家管理を行わなくてはならないかという点をば、説明いたしたいと思います。これは、星島さんも前に商工大臣をしておられましたから、おわかりであらうと思いますが、第一の点は、現在の炭鉱経営の状況を見ますと、企業資金の不円滑な事情もありまするけれども、新しい炭鉱の開発や、規模の大きい新しい企業はほとんど著手できないような状態になつているのでございます。これがいわゆるわれわれが、現在の減産防止とともに、將來の増産に備えなくてはならない立場の上におきまして、まず最初に國家管理を断行したい第一の理由でございます。さらにまた第二の理由は、炭鉱資金の問題でございます。現在炭鉱の資金はきわめて不円滑でございまするが、その原因は炭價のあとぎめのために生ずる赤字金融の不円滑な点に大半ございますが、実際炭鉱に資金を貸出す場合におきまして、最も困る点は何であるかと申し上げますると、それは炭鉱の経理内容がきわめて不明確な点と、所要の資金を融資いたしましても、はたしてそれがその目的に使われているかどうかという判定が、きわめて困難でございます。これがいわゆる國家管理を行う第二の点でございます。  さらにまた第三の点は、資材の面でございます。現在の炭鉱の資材は、この二月、三月より比較的順調にいつているようでございますが、今後の見透しには、決して樂観は許されません。わが國の國力から見て、いかに炭鉱に最優先といつても、なすべき限度があるのでございます。從つて政府としては、炭鉱の内容を十分管理して、必要なところには、迅速かつ適確に資材を送り届けるとともに、これらの資材が最も有効に使用されるように、極力努めねばならないと思います。これが國家管理の第三の理由でございます。  さらにまた第四の理由は、生産能率と経営能率の問題でございます。このたびの臨時國家管理法案というものは、政府は、何もみずから進んで炭鉱の管理経営を行うというものでは、断じてないのでございます。生産現場の管理者を中核といたしまして、協力一体の関係を制度化して、常時炭鉱の能率向上について、あらゆる面から見た指導と協力を行うようにしたいというのが、これがいわゆる炭鉱國家管理を行う第四の理由でございます。  申し述べるまでもなく、以上四つの理由は、あくまでも増産のための國家管理でございまして、あるいは國有國営を前提とし、あるいはイデオロギーのための國家管理では、断じてございません。それにもかかわらず、このわれわれの案をもつて、國有國営を前提とする國家管理案としいるがごときは、その昔徳川家康が、豊臣秀頼が彼の歓心を買うために、國家安康のつり鐘を妙法院に奉納したのを口実にして、これは家康をのろうものであるといつて、大阪城攻撃の材料にいたしましたが、その議論よりもまだひどい議論といわなければならぬと思うのでございます。(拍手)大体石炭問題に関しましては、以上お答えをした次第でございます。  さらにまた中小企業の問題でございますが、この中小企業の問題に関しましては、きのう、私は民主党の北村君に答えた通りでございまして、ほぼ御了解であらうと思います。すなわち中小企業振興の必要なるは、いうまでもないのでございまして、それがために、政府といたしましては資材・資金等、現下の國情の許す範囲で、これを支援するとともに、また同時に技術の向上、経営の合理化を強く望む次第であります。さらにまた星島さんは、水谷商工大臣は何かその振興策に対して具体的な案をもつているかというお尋ねでございましたが、これも昨日答えましたように、右のような目的に関して、さいわいに成案を得ることができますならば、このたびの議会にその案を提出したいというぐあいに、お答えしたような次第でございます。  ただ附け加えて申し上げておきますのは、金融の面でございますが、中小企業に対する金融の必要なるは、これはいうまでもございません。われわれは、復興金融金庫、商工組合中央金庫等に対してはいうまでもなく、その他一般金融機関に対しても、これが協力を求めている次第でございますが、特に中小企業金融の重要性に鑑みまして、これを目的とする特殊の金融機関の新設についても、目下商工省としては愼重考慮しておるような次第でございます。  さらに、最後の賠償の問題でございますが、これは星島さんも申されたように、きわめて微妙なる問題でございますから、具体的に多くの言葉を発することを差控えたいと思うのでございますが、御承知のように、ポツダム宣言によりますれば、日本産業より再軍備能力を拂拭するとともに、日本が平年経済を維持するために必要な産業規模は許にれることになつておるのでございますが、賠償が確定いたしましたならば、敗戰國として、日本は誠実的確に実施すべく、最善の努力をいたすことは、当然の義務でありまして、これを完遂することによりまして、國際信用を回復高揚することができるものと、われわれは考えておる次第でございます。現在賠償に予定されている工場中には、わが國平和産業の再建維持に相当の影響を免れない部分も認められますがゆえに、この実情につきまして、十分理解を深められるよう、関係方面に連絡をいたしておる次第でございます。さように御了承を願います。(拍手
  17. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) もうよろしいですか。     〔星島二郎君登壇〕
  18. 星島二郎

    星島二郎君 水谷さんの平素の御議論は、國有國営の議論を、野党時代にもなさつたことがあります。また片山君の著書を見ましても、石炭國有のことを論ぜられておりますので、水谷君が当局になられまして、そうしてこの強度の國営をなさるならば、われわれは常識的に、國有國営をイデオロギーとされるだらうと、かように考えました。しかしこれは新聞に出ておりました、あるいは水谷さんが、熱心に先般來常磐地方をおまわりのときにも、挨拶にされたことを、間接に聞いたのでありますが、これが間違つておつたというのは、まことに笑止の至りであります。政策協定を重んぜられて、國有國営は、この際增産のためには相ならぬという意味において、これを放棄されたることを認めて、滿足する次第であります。(拍手
  19. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 船田享二君。     〔船田享二君登壇〕
  20. 船田享二

    ○船田享二君 私は國民協同党を代表いたしまして、現政府に対するわが党の態度を明らかにすることに努めつつ、できるだけ簡單に質問を試みたいと思います。  いうまでもなく現内閣に対するわが党の態度は、一般的には、この内閣成立のためにわが党のとつた立場によつて示されているのでありまして、また現内閣組閣の後に発表した経済対策、精神的な方面に対する対策、さらに今回の片山内閣総理大臣演説等は、いずれもいわゆる政策協定を尊重しているものとして、大体においてわれわれはこれに賛意を表し得るものと考えるのであります。  ことに現在の危機を切り抜けるためには、國民食生活の安定を求めるための政策に重点を置いて、それを中心として、他の各種の施策の確立と実行とに努めなければならない、こういうこと。しかもそれとともに、政策が物質面にのみ偏るべきではなくて、物質面とともに精神面を重んじて、國民の道義心の高揚を促すための政策を確立して、物心両方面政策を総合的に進めるのでなければ、この重大な危局を乘り切つて祖國を再建することはできない。こうした点は、われわれがあらゆる機会に強く主張し、ことに政策協定にあたつて主張したところでありまして、こうした点が片山内閣によつて確認され、また強く主張されたことは、われわれの特に喜びとするところであります。現内閣がこうした方向をとつて進む限り、われわれはその政策の実現に協力するに止まらず、さらにみずから進んでその実現に努めることを、われわれの責任と考えるものであります。  しかしながら、この政策協定にせよ、これまで現内閣の発表いたしました政策にせよ、また片山内閣総理大臣演説によつて示されたところの施政方針にせよ、これらすべては、なおきわめて抽象的、一般的なものでありまして、それだけに、かなりの彈力性をもつており、これを実際にいかに具体化するかに関しましては、なお多くの問題を残しております。そうして問題は、むしろ抽象的、一般的な政策の羅列や宣傳ではなくして、それをいかにして正しく実行に移すかにあるかということ、これはいうまでもないと思うのであります。  從つてわれわれが、これまで政府によつて示された一般的な政府の態度について、これに協力する責任を感ずるということは、必ずしも政府の実施する具体的な政策のすべてについて、全面的にこれを支持し、これに追從せねばならないと考えているという意味のものでは、決してないのであります。われわれは、どこまでもわが党と現内閣との一般的な関係を十分に考慮しつつ、わが党はわが党として、独自の立場をもつていることを顧みまして、かかる独自の立場において、政府の態度については嚴重な監視もし、批判も加えていかねばならないと考えておるのであります。そうしてかくすることが、むしろ現内閣成立の異議を明らかにし、またこの目的達成のために協力するゆえんであることを疑わないのであります。こういうような立場から、私はすでに同僚諸君によつて触れられた問題との重複は、できる限りこれを避けることとして、次の諸点に関する質問をいたしたいと思います。  第一に、政府はいろいろな食糧緊急対策を立てて、その実行に移つておりまして、私は組閣早々かのような綿密な対策の確立に努めた内閣の労苦に対して、深い敬意を表すものでありますが、この発表された対策が、ほとんどまつたく供出・配給の面、消費面の統制に関しておりまして、それに比すれば、主食糧増産に関する対策が、あまりにも貧弱であるという感がいたすのであります。  もとより眼前の食糧不足を克服するために、現存の食糧供出・配給に主力を注がねばならないということは、当然のことと思われるのでありまするが、食糧不足は、決して現在だけに限られておるものではありません。相当長期にわたつて、わが國が食糧不足に悩まねばならないということは、予想せられるのでありまして、われわれは、食糧の消費面を規制するとともに、その生産の増強の方面にも、同樣の注意と努力を傾けねばならないものと信ずるのであります。殊に増産に関する対策が確立し、將來に対する安心した見透しがつくという程度にすることによつて、初めて農村の現存の食糧供出され得るという状態になる。こういうふうに考えるのでありまして、政府がこういうような食糧増産方面についても、もつと詳しい対策を確立し、発表して、供出や配給の面に関する政策とともに、総合的にこれを実行することを、要望せざるを得ないのであります。そういうような立場に関連いたしまして、一、二の点について、政府の所信を伺いたいと思うのであります。  その一つは、未墾地の開拓と、既耕地の改良の問題でありまして、すなわち前内閣において、すでに未墾地開拓のために相当大規模な計画が立てられまして、これが実行に移つておるのでありまするが、その実績は、必ずしも計画通りにあがつていないという状態にあるのであります。われわれは、かような開拓計画が机上の計画に終ることをおそれ、むしろ食糧増産のためには、既墾地の改良というものに重点をおくべきものと考えるし、またそのために必要な費用というものは、失業人口吸收の問題と関連せしめて処理すべきものと考え、またこれを主張して來たのでありまするが、一体これまでに、いわゆる開拓計画というものは、どの程度に進捗してきたのでありまするか。また先ほど平野農林大臣は、同樣の開拓計画を進めていかれるような方針を明らかにされたのでありまするが、それとともに、耕地の改良という問題に関しては、どういう方針をとろうとしておられるのであるか、その点を伺いたいと思うのであります。  次は、これと関連いたしまして農業技術員の問題でありまして、われわれは、現在の技術員制度が壞滅に瀕する状態にあることを憂えて、この制度を根本的に改革して、その俸給を全額國庫負担といたしまして、待遇を改善することによつて技術員が單に生産についてばかりでなく、農村の生活一般について、いわば農民のよき伴侶となり得るようにいたしまして、農村の生活と文化を高めるとともに、生産を増強すべきものであるということを主張し來つたのでありまして、そのための予算につきましては、去る第九十二議会におきまして、前内閣はわれわれの要請に対して、將來十分にこれを考慮すべきことを約したのでありまするが、現在の政府は、この問題についていかに考えるかを、お聽きしたいと思うのであります。  次に第二に、右の食糧供出配給等の問題とともに、さらに他の重要な物資につきまして、政府は徹底的統制を必要とする重要物資につきましては、公團公式によつて配給を確保するということを決定いたしておりまするが、こういうような公團方式は、ものによつては、必ずしも適当とは考えられないのでありまして、ことに食糧あるいは肥料につきましては、相当考慮の余地があるものと考えるのであります。公團方式による配給統制が、少なくとも現在の状態におきましては、ともすれば官僚統制の幣に流れることは、否定し得ないのでありあまして、われわれは、むしろできる限り國民の自主的な立場を尊重して、國民の良識を信頼し、無用な摩擦を避けるべきであると信ずるのでありまして、こういうように、でき得る限り國民を信頼するという態度をとることが、國民の間に盛り上る力によつて危機突破の運動の発展が助長されるゆえんであると信ずるのであります。政府はこういうような公團方式による配給統制を必要とする物資として、どの範囲のものを考えているのであるか。あるいはまたその配給につき、一々公團をつくるにあたりまして、きわめて嚴重な、愼重檢討を加えねばならないと思うのであるまするが、現政府は、この点についてもう少し具体的に、いかなるものを考えているのかというようなことを、お伺いいたしたいと思うのであります。  次に第三に、食糧その他生活必需物資の配給につきまして、それと関連して、町内会、部落会等を速やかに廃止して、協同組合的な組織を拡充すべきであるということは、われわれがつとに主張してきたところでありまして、そうして町内会、部落会等が解体せしめられたということは、まことに結構ではありまするが、これに代る配給の機構及び方法が、まだ確立されたとは言い得ないために、現在各方面に多くの支障を生じ、ことに不足した食料の配給及び消費には、かなりに不合理な、無駄のある状態が生じておるのであります。政府は速やかにこの混乱状態を除いて、正常な配給によつて、消費生活合理化をはかるために、必要な処置をとらねばならないことと思うのでありまするが、こういうような方面に必要な方策について、政府はどういう方針をとつておられるのか、この点を明らかにしていただきたいと思うのであります。  第四に、食糧の不足とともに國民生活の安定を脅かしつつあるものが、物價高騰にあるということは、申し上げるまでもないことでありまするが、今やなんとしてでもこの物価の高騰を抑えて、これを安定せしめるということは、たとい不可能に近いくらいに困難なことではあつても、ぜひとも行わねばならないところと考えるのであります。われわれは、現内閣が新物價体系の樹立に努めていることに対して、その労を多とするのでありまするが、その新体系による物價は、相当に高くなるものと、思われるばかりでなく、他方におきましては、鉄道運賃を急に大幅に引上げようとしているというようなことも、傳えられておるのでありまして、かくては、新物價体系の樹立は、單にいろいろな物價相互の間の不均衡を是正するという意味を有するに止まつて國民は相変わらず、あるいはむしろ今までよりも、いよいよ強く高物價に悩まされて、その生活の不安を増大するおそれが十分にあるように思われるのでありまして、政府は、かような鉄道運賃の値上その他のことを、できるだけ阻止して、できるだけ低い物價体系の樹立に努めなければならないと思うのでありまするが、新物價体系の樹立にあたつて政府の考えている目安はどの程度のものであるか。でき得る限り具体的にお示しを願いたいと思うのであります。  轉じて第五に、教育の問題、殊に新学制の実施に伴ういろいろな問題につきましては、既に昨日の本会議における同僚諸君質問と、これに対する文部大臣の答弁があつたことでありまするから、できるだけ簡單に申し上げたいと思うのでありまするが、私はこの新学制実施のために必要な経費を、どんなことをしても捻出するに努めるということが、教育優先主義を認め、文化國家建設のために努力するという現政府の態度を、最も簡明に表現する具体的な方法でありまして、こういうような方法によつて、実際に政府方針を示すことが、間接に、しかも非常に有効に、精神運動のために重要な意義を有することを、指摘しておきたいのであります。  但し、この新学制の実施につきまして、殊に新制中学につきましては、國民の間に一般にその性格が明らかにされていないと思われる節があるのでありまして、現在までの官公立の中学と同樣な施設を、一時につくり上げなければならないというような考えが、行はれておるのではないのか思うのであります。しかしこの新たな中学は、むしろ今までの高等小学校、中学校、女学校、あるいは実業学校等を打つて、一丸としたような、國民の最低限度の常識を養うための新たなものであつて從つて各地の状況に應じ、生活に即した教育を施す方向に進むべきものでありまして、施設等も、かような立場から考えるべきものであるかと思うのです。  一般的に言つて政府は速やかにこの新制中学の新たな意義と性格とを、國民の間に徹底的に周知せしめることに、努めなければならないと考えるのであるまするが、これについて政府はいかに考えておられるか。さらに義務教育を終えた青年の教育をどうするか。なかんずく働きつつ学ぶ、希望をもつ、まじめな、純眞な勤労青年の教育をどうするかということが、特に重要な問題となるのでありまして、これまでの青年学校に代る組織をどうするか。また勤労青年は、いわゆる時間制による教育について、強い要望をもつておりまするし、かつ、かかる方法をとらなければならないと思うのでありまするが、こうした点について、いかなる方針をとるのか。こういうようなことは、何とかして一刻も速やかに政府の態度を周知せしめて、これによつて、青年のために將來の計画を確立せしめる必要があるのであります。いずれにいたしましても、これら新学制の実施につきましては、政府は速やかに継続的な年次計画を確立発表して、國民の不安を一掃すべきものであると考えるのでありまするが、政府にその準備があるのかどうか。これをお伺いいたしたいと存ずる次第であります。  続いて第六には、在外同胞引揚げの問題について申し上げたいと思うのであります。傳えられる引揚げ完了の見込みなどに関する報道は、ときに樂観に過ぎて、実際にはそう短期間に引揚が完了し得ない状態にあるとも言われるのでありますが、これについて、眞相はどうなつているのか。言うまでもなく、相手のある問題でありまするから、必ずしもわれわれの希望通りにいかぬということは、やむを得ないことであると考えるのでありまするが、私はここに引揚げ完了の時期の見透し等について、政府がもう少しはつきりところを明らかにしてくれるように、要請せざるを得ないのであります。  それとともに、残留者の家族の保護について、從來政府のやり方は、必ずしもわれわれの納得のいくものではなかつたと考えるのでありまして、殊に軍人、軍属等の遺家族について、たとえば保護が、將校と下士官の遺家族に限られていて、兵の遺家族には及んでいなかつたというような点につきまして、政府はこれから先いかに処置していこうとしているのか、この点をお伺いいたしたいのであります。  最後に第七に、新しい憲法の実施とともに、地方自治法も実施されまして、地方自治制度が根本的に革新され、確立されるに至り、民選知事が活動を始めるに至りましたことは、民主國日本建設のために大きな一歩を踏み出したものとして、まことに喜ばしいことでもありまして、この上は、つくられた制度の精神を活かして、実質的に地方自治制度を確立するための具体策を実施することを必要といたすのであります。  ところが、この地方自治制度の形式的な確立と並行して行われた政府の各種の処置には、すでに昨日も同僚議員によつて指摘されましたように、かような精神に矛盾するものがあるのでありまして、從來府縣知事の権限に属していた重要なものは、続々と知事の手を離れて中央の直轄となつて、各地に相次いで中央からの出先機関が新設されつつあるのであります。もとより地方分権制、殊に民選知事の制度は、ともすれば府縣割拠主義を促すおそれがありまして、殊に現在のような物資不足の際には、物資の偏在を來して、國全体の復興が妨げられる危險があるのであります。從つてある程度において、國全体の立場からする統制と監督とは、必要ではありましようが、現在行われているような処置は、その必要の限度を逸脱しているおそれなしとしないのであります。そうして急激に知事の権限を縮小し、出先機関を増設するときは、かかる出先機関と地方機関、あるいはさらに地方民との間に摩擦を起しまして、物資の円滑なる需給関係を阻害して、かえつて統制本來の目的に反するおそれが十分にあるのでありまして、かつ現に各地において、かような摩擦が起りつつあるのであります。  われわれは、これまでのような中央集権政治の幣を打破し、地方政治の充実に力を注いで、府縣の民選知事に各種の権限を大幅に委讓して、地方自治制度を名実ともに確立するということが、民主國建設のために特に重大な意義を有するものと考え、しかもこれによつて生ずるおそれのある府縣割拠主義を是正するためには、公開の知事会議を法律的に確立すべきものと考えまして、これを主張しきたつたのであります。われわれは、こういうような方法によりまして、各地方がそれぞれの特徴を発揮しつつ、相互に緊密な連絡をとつて、自主的にしかも相協同して、協同体的な國全体をつくりあげるという体制を整えまして、初めて中央と地方との均齊のとれた民主國がつくられるものと信ずるのであります。  ところが、現に行われておるところは、逆に、あまりにも多くの権限を知事から剥奪して中央に集中し、せつかく確立せられた地方自治制の実質を奪うおそれのあるものであるばかりでなく、急を要する実際の問題といたしましても、その土地の事情に疎い出先の機関が、その土地の機関との間に摩擦を起しつつ、各種の権限を行使するにおきましては、重要物資の出まわり、殊に食糧供出は、決して円滑には行われ得ないのでありまして、結局政府の考えた食糧危機突破対策も、その実施のために、大きなる障害に当面せざるを得ない結果となるのであります。  一体、ある階級ではなくて、全國民が、闘爭でなくて納得ずくで、相互に協同し、政府の施策に協力して、祖國再建に努めるべきであるということが、社会党を中心とする現内閣によつて、強く要望されておるということにつきましては、われわれは重大な意義を認めるものでありまするが、しかも政府の要望するような國民協力は、單に政府から呼びかけるだけでなく、國民が納得して協力し得るような体制を整えることによつて、初めて可能なのでありまして、そのためには、あらゆる方策を具体的に個別的に実行することを必要とするのであります。  私はそういう意味から、一般的にいつて、地方自治制度の確立、中央と地方、國全体と各府縣との関係の問題につきまして、政府がどういう構想を有するのか、また緊急の問題としては、いかにして中央と地方とが一丸となつて危機突破のために努力すべきかの問題につき、政府がいかに考えておるかというようなことについて、御答弁を願うことを望んで、私の質問を終ることにいたします。(拍手)     〔國務大臣平野力三君登壇〕
  21. 平野力三

    國務大臣平野力三君) 船田君の御質問は、第一点は、國内の食糧増産の見地から、開墾事業というものをどう見るかという点であります。增産対策として、開墾事業がきわめて重大でありますことは、言うまでもないのであります。從來開墾事業の実績に関しましては、今日われわれがこの跡を考えてみますると、必ずしも実績は上つておらないのであります。具体的に申しますと、昭和二十一年、二十二年を通じまして、内地、北海道を通算いたしまして、わずかに二十二万町歩程度になるのであります。百五十万歩以上の開墾事業といたしましては、なお前途遼遠であると言わなければならないのでありますが、私といたしましては、今期議会に開拓法案を上程いたしまして、この開墾事業に関するところの徹底を期したいと考えておるのであります。  御指摘になりました、未開墾地を開拓するよりも、すでに開墾されておるところの耕地の改良事業に重点をおいてはどうかという点でありますが、これはまつたく同感でありまして、両方の途を進みたいと思つておるんでありまするが、特に現既耕地の改良事業を完全にいたしますことは、とりあえずの增産政策といたしましては、きわめて適切でありますので、この点に関しましては、全面的にその計画を進める予定であります。  次に、農業技術員の問題についてお述べになつたのでありますが、できるならば農業技術員の俸給を、全額國庫負担にいたしたいという希望をもつております。しかし実際におきましては、昨年の予算、今年の予算におきましては、年額わずか三千万円程度より計上されておらないのでありまして、これが全額國庫負担ということは、今なお実現困難であります。しかし私といたしましては、この点に関しましては、農業技術の重大性に鑑みまして、とくと考えてみたいと思つておるのであります。  次に、農業技術員を農村生活と結びつけて、日本農村の指導に当らせてはどうかという御意見があつたのでありますが、この点に関しましては、議論のわかれるところがありますが、大体において技術員は、その本來の技術というものを中心といたしまして、農業の指導に当ることが正しいのではないかと、かように考えておるのであります。  次に、公團方式の問題に関しまして、お尋ねがあつたのでありまするが、大体現在意図いたしておりますところの公團方式は、從來の弛んでおりますところの配給方式に対して、徹底したるところの國家統制を加えて、いやしくも公團において扱おうといたしますところの重要物資の横流れとやみに関しましては、徹底的に、かようなことのないことを期して行きたいと思つておるのであります。  その他、船田君の細かい農林省に関しまするところの建設的なる御意見につきましては、追つて委員会等におきまして、よく御懇談をいたして、その場合において善処いたしたいと考えます。簡單に御答弁いたします。(拍手)     〔國務大臣和田博雄君登壇〕
  22. 和田博雄

    國務大臣(和田博雄君) 私に関しまする船田議員の御質問にお答えいたします。一つは、公團方式による統制の問題ではありますが、公團方式は、私たちもあらゆる物資に適当であるとは考えておりません。しかし、ただ割当だけで十分に物資の流れというものを確保することのできませない、しかも基礎的な資材、生活物資につきましては、これは公團方式によつてつていこうと考えておる次第であります。  それから末端の配給につきましては、これは今までのような、動きのつかない組織を使うに止めるということではございませんで、やはり自由登録制でありますとか、あるいは消費者の自由選択を尊重いたしまして、生活協同組合といつた自主的な組織の発達にまちまして、これらのものを使つていく考えでおります。それを個々の具体的なものについてどう使うかということについては、それぞれの商品について檢討してみたい、かように考えておる次第であります。  それから物價の改訂がインフレを促進するかという点でございまするが、物價が次第に高くなつていくということが、インフレを促進していくという点については、疑いはありませんが、こんどの價格改訂は、すでに高くなつておりまするものを、ある程度認めておるのであります。すでに高くなつてしまつたものを、不合理に引下げるということになりますならば、正しい企業、まじめにやつている企業というものは、とうてい成り立つていかないようになるのでありまして、これはやみを助長し、かえつてインフレを実質的に促進していくということになると思うのであります。そこで今回の物價改訂におきましては、物價と賃金とを同時的に改訂いたしまして、物價をある安定体の中に止める。たとえば、戰前の六十五倍程度というところに止めまして、それ以上にはね上つてつておりますものには、これらの影響を考えまして、補給金によりまして、安定体までおろしてくる。こういう操作をいたしたい考えであります。  運賃等につきましても、以上の物價改訂の全面的な見地から、これを当然物價政策の一環として考えて、改訂いたしておりますので、これによりまして、ただちにインフレを促進するおそれはないと、かように考えておる次第であります。(拍手)     〔國務大臣一松定吉君登壇〕
  23. 一松定吉

    國務大臣(一松定吉君) 船田君からの御質問のうち、海外に在留いたしておりました人々の引あげの状況について、私からお答えをいたします。引揚者の状態は、現在まで、東アジア、南方各地域におりました者が、総数五百四十三万人がすでに引あげを完了いたしました。しかして残存いたしておりまする者が九十六万人、これは五月末の調査であります。これを少しこまかに申し上げまするならば、千島の方面には、まだ邦人が一万人ばかり残留いたしておる模樣であります。樺太の方は、二十七、八万の者がすでに引あげたのでありまするが、なお、二十万ほどが残留いたしておる模樣であります。シベリヤ地区は、七万二千名がすでに引あげまして、五十九万ほどが、まだ残留いたしておる状況であります。朝鮮は、南と北とにわけまして、南の方は、軍関係が十八万、一般人が四十三万でありましたが、これはすでにことごとく引あげを完了いたしました。北鮮の方面が、二十六万ほどが引あげを了しまして、なお、一千九百名ほどが残つております。満州の方は、ただいま百二十万二千名ほどの者が引きあげてまいつたのでありますが、なお、三万五千人くらいの者、それからそのほかに在留いたしておる者を加えますると、合計七万名ほどの者が、まだ残留いたしておる状況であります。(拍手)     〔國務大臣森戸辰男君登壇〕
  24. 森戸辰男

    國務大臣(森戸辰男君) 船田君の御質問にお答えいたします。第一に、文化國家を目ざす日本の國費のうち、教育文化に対する費用が割合に少いが、これはもつと重視されるべきものではないかという御意見でありましたが、これは私としては大いに賛成であります、ただ日本の今日の事情がありまするので、その間において、できる限り私は、教育文化が、この日本の立つておりまする國の理想に照らしつつ実現されることに、努力いたしたいと存じております。  第二点は、新制中学の意義と性格についての御質問でありました。新制中学は、在來の中学であつてはならぬ。これは上級の学校に行く踏台であつたのであるが、しかし性格は変つて高等小学、青年学校、実業学校の卒業生たちも、これにはいつておるのであります。かようにして、あたらしい義務教育の新制中学といたしましては、よい人間、よい市民のための普通教育とともに、各地方に應じた、働く國民をつくらなければならぬ。この二つのものを併せつつ、新しい中学は教育を行うていく建前になつておるのであります。ただ、できてまだ日が短かいところから、十分にその趣旨が徹底いたさない点もありまするので、この点は將來大いに努力いたしたいと存じております。  第三の点は、義務教育を卒えた青年大衆に対する今後の教育はどうなるのであるかという問題であります。勤労青年大衆に対する教育は、將來の日本にとつては、この上なく大事な問題であると存じます。そうして青年学校においては、これらの人々を、今日まで義務のもとに行つてきたのでありますが、その義務を続けていくことはできなくなりました。しかし私どもは、新しい高等学校に從來の青年学校を轉化いたしまして、そこでパート・タイムのもとに、これらの人々に、勤労者としての、そうして國民としての教育を授けていきたいという制度をとつておるのであります。  しかしこれには、働きながら勉強するので、いろいろな障害をもあります。殊に雇われた青年にとつてはいろいろな障害がありますので、私どもは、できるだけこの障害を除いて、働いておる大衆がほかの人々のように、義務教育を卒えましても、高等の教育を受け得るようなふうに、あらゆる努力をいたしたいと存じております。なお、この教育課程が終りましたときには、それらの人々が大学に行くような途も、十分開きたいと存じております。学校の教育とともに、社会教育においても、勤労大衆の青年の教育というものは、特に重視いたしまして、社会教育のあらゆる場面、殊に労働者教育を通して、あるいは通信教育という制度も設けまして、これらの人々の教育に十分な力点をおいていきたいと存じております。  第四点におきましては、新しい教育制度を実行するについては、年次計画があるはずである、順次に計画的にこれを実行していかなければならぬが、文部省はその用意があるかというお話でありました。至極ごもつともなことでありまして、当局といたしましても、かような年次計画をもつております。順次この大きな教育制度を実行していく用意があるのであります。ただ、皆樣も特に御承知のごとき窮乏日本の状態でありますので、その間にこの教育の途を切り開いていくのは、決して安易な途ではありませんので、どうか皆樣の御協力を得つつ、この年次計画を誤りなく実行いたしたいと念願いたしておるのであります。     〔國務大臣西尾末廣君登壇〕
  25. 西尾末廣

    國務大臣(西尾末廣君) ただいま船田君から、近來政府の地方官廳がだんだん多くできてくる、このことに対して、地方自治の関係はどうなるのであるか、あるいは地方と中央と一つになつて今後この難局を切り抜けていくためには、どういうふうに政府は考えておるかという御質問でありますが、この御質問にお答えする関係大臣が、ただいま出席しておりませんので、代つて私よりお答えいたしたいと思います。  今回は、新憲法に基きまして、それぞれ地方によつて選挙せられたる地方團体の首長が中心になつて、地方行政が行われることになつてきたのでありますから、政府はもちろん、この地方自治の発達のために努力をいたしたいと考えておるのであります。從つてこの地方自治の発達を阻害するがごとき地方官廳を、中央の官廳が設けておるという現状は、決して好ましいものとは考えていないのであります。ただしかし、地方の自治制度というものが、まだ発足したばかりでありまして、十分なる発達をしていないということと、中央の政府におきまして、統制経済をやつていかねばならぬというこの現実の必要から、過渡的な現象として、地方官廳が今日設けられておるわけであります。從つてこのことにつきましては、現在必要な程度に止めまして、できるだけ地方に特別官廳を新設するということにつきましては、いたさないばかりでなく、また漸次これを整理いたしていきたいと考えておるのであります。殊に行政官廳法が新しく施行せられまして、この行政官廳法によりまするならば、地方の特別官廳を新設する場合におきましても、またこれを廃止せる場合におきましても、國会の承認を得なければならぬことになつておるのでありますから、今後は國会に諮つて、これを決定していきたいと考えておるのであります。(拍手)     〔國務大臣笹森順造君登壇〕
  26. 笹森順造

    國務大臣(笹森順造君) ただいま船田議員からの御質問中、復員関係についてのお尋ねについて、私からお答えをいたします。  この関係におけるお尋ねの第一は、復員完了の見透しいかん、第二は未復員者の留守家族の待遇いかん、こういうことであつたように伺つたのであります。外地からの復員の促進につきましては、從來とも政府において努力をしてまいつたばかりでなく、議会においても熱心なる御要望があり、また連合軍最高司令部の理解ある御措置によりまして、著々進捗してまいりまして、現在までは、約八割終了したという状況にあるのであります。なお引続きこのために努力をいたしておるのであります。  その見透しといたしましては、ビルマ地区においては、遠からず帰れるものと確信をいたしております。ビルマ以外の南方諸地域におきましては、今年の秋ごろまでには帰れるものと思うのでありますが、さらにこれが早期引きあげに関して、せつかく努力中であります。ソ連地域における関係におきましては、今日の速度の現状におきまして、すなわち元の軍人軍属関係の約二万、一般の三万、加えて約三万が、毎月帰還の実情でありますが、この速度をもつて今後持続するといたしまするならば、さらに二つの冬を越さなければならぬということになり、まことに憂慮すべき状態にあるのであります。從いまして、なんとかして月十五万人ずつ帰してもらいたいと思いまして、関係方面に懇請をいたしておるのであります。これができるといたしますれば、明年の二十三年七月ごろまでに終ることとなるでありましよう。  次に、未復員者の留守家族の待遇改善の点についてお答えをいたします。現在のごとき物價高の、またその他の諸事情を考えまするときに、特に未復員者の留守家族に対しましては、まことに御同情にたえざるものが多々ある向きがございます。よつてこれら留守家族の全部に対しまして、公平に給與を改善いたしたいということに関しましては、なるべく速やかにこれを実現したいという考えのもとに、目下せつかく努力中であります。以上、お答えを申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  27. 土井直作

    ○土井直作君 國務大臣演説に対する残余の質疑は延期し、明四日定刻より本会議を開き、これを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  28. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 土井君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十六分散会