○
松原(一)
委員 この小
委員會は、一〇月十一日成立いたしまして以來、七囘にわたり、主として
教員養成制度に關しまして會合を重ねてまいりました。そして特に、
野老君、
久保君、
水谷君、黒岩君の四名の起草
委員を設けまして、審議の結果を逐次案文にまとめてい
つたのが、ただいまお手もとに差上げました
教員養成制度改革案であります。立案にあたりましては、廣く民間や
學校關係、さらに
文部當局とも
意見を交換いたしましてこの案を作成いたした次第であります。次にこれを讀みながら
説明いたしたいと思います。
教員養成改革案
一
教員養成の根本條件
1 人間としての一般的教養、專門的教養を高めると共に、
教員としての特殊の教養をも併せ必要とすること。
2 所謂「
師範型」の舊弊を解消するため、その由來する根源を究め、徹底的に之を拂拭すること。
3
教員の養成は、之が需給の
基礎の上に立ち、計畫的になされねばならぬ。
二
教員養成の機構
1 綜合大學に
教育學部を特設して養成するを理想とするも、地方の
實情によりては、
教員養成の大學を設くること。
2 大學の課程は四箇年とする。
3 大學の課程は二期に區分し、その前期を終了したものは、幼稚園、小
學校、中
學校に就職することを許す。但し、右は後日、本人の希望によりて、自由に復學を許可するの他、通信、定期講習等の方法によ
つて、大學後期の學科單位を修了した者に對しては卒業の資格を與える。
4 教職的課程を含まぬ大學を卒業した者は、一定の教職的課程を履習した時に、
教員の資格を與える。
5
教員養成を目的とする大學の設立者は國、都道府縣、市、財團法人の何れでもよいこととする。
6 檢定制度は之を存置する。
三 現在の
教員養成諸
學校の轉換措置
1 現在
師範學校、
青年師範學校の施設は、次の如く轉換する。
イ 綜合大學が設置される地方に於いては、その
教育學部とすること。
ロ 綜合大學が設置されぬ地方に於いては、
教員養成の大學とする。
2 文理大、高師、女高師は、原則として綜合大學に切替えること。
3 前二項とも所謂「
師範型」の教授は之が刷新を期すること。
四
教員の資格竝に教養、補習
1
教員は總て大學前期の修了者又は大學卒業者たることとし、試験検定は右の標準においてこれを行うこと。
2
教員の免許状はこれに一定の期限を付し、考査制によりて更新される
よう考慮すること。
3 將來の
教員に對しては絶えず計畫的に教養補習の方途を講じ、廣く海外留學等の途を開くこと。
4 現職の
教員に對しては、前項の精神に基き強力な教養、補習の施設が講ぜられねばならない。
五 その他
1
教育者の資質向上のために、適正なる待遇の途を講ずること。
2
文部省は時局下國民
教育の根本的改革期に當り、
教員養成機關設置の具體案を決定し、
昭和二十四年度よりこれが
實施に遺憾なき
ようその措置を講ずべきである。
以上であります。