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野本品吉君 ただいま
議題として取上げられました
定時制高等學校設置の
請願につきまして、
紹介議員として一応申し上げたいと思います。實は七月の七日、八日の両日にわたりまして、全國の勤労青年とともに、熱心に日本再建に挺身しております青年
教育關係者の代表者と、また勤労青年
教育機關におきまして、毎日働きつつ勉強しております勤労青年の代表とが集まりまして、勤労青年
教育の將来をいかにするべきかという問題、また勤労青年の今後はいかにあるべきかということに關しまして、非常にまじめに研究協議しました結果、結論として發見しましたものは、
両者ともに、定時制高等學校の急速
實現意外にその途がないということになりまして、ここにこの
請願を提出することに相
なつたわけであります。このことに關しましては、青年學校
教育關係者の代表の者及び生徒の代表が、すでに各党及び
政府当局に対しましてそれぞれ
陳情はいたしてあるのでありますが、この際あらためてそれらの人たちの気持を忖度しつつ一応申し上げたいと思います。
申すまでもなく、私は日本再建の
決定的な條件の
一つは、労働生産性の質的竝びに量的の向上であると思うのであります。労働は人格の總合的な發露でありまして、労働は實に人格の
内容そのものであるといわなければならないのであります。
従つて労働人格の向上なくしては、労働生産性の向上は絶対に期待することはできない。
従つて労働人格の向上のただ
一つの途として、勤労青年
教育の途を開き、これを充實することによつて日本再建の原動力を養つていくことがきわめて重大であり、また必要であることを痛感せざるを得ないのであります。
次に國民大衆への民主主義の浸透徹底という觀點から、われわれは勤労青年
教育の問題を考えなければならぬと思うのであります。民主主義が正しく成長し、發展していきます上には、勤労層にその精神が正しく理解され、またそれが實践に移されて、いかなければならぬと思うのであります。これらの點から考えましても、私どもは勤労青年の教養の度を一層高める方途を講ずることがわが國民主主義の正しい發展のために絶対不可缺の要件であると考えるのであります。
かように考えますときに、どうしてもこれら勤労青年のための教養の機關として、
定時制高等學校設置の急務であることを考えざるを得ないのであります。翻つて、過去の日本の勤労青年がいかなる
状態におかれ、またいかに扱われてきたかということも、一応われわれはここで反省しなければならぬと思うのであります。端的に申しますならば、過去の日本の勤労青年は、ほとんど國家や資本家の搾取の
対象として考えられ、また扱われてまいつたのでありまして、奪われるものこそあつたけれども、與えられたものはほとんどないといつてよろしいとわれわれは考えております。また心ある青年は、かような見方をし、
考え方をするように
なつてまいつておるのであります。今こそ、われわれは基本的人権として與えられておりますところの
教育の権利を、彼らの上にも、公平に均霑せしめることが、國家の責任であると考えるのであります。今これらの勤労青年の優秀なる者は、心から祖國の前途を憂えて、いかにして日本再建のお役に立つことができるかということをまじめに考えております。これらのまじめな働く青年に希望と光明とを與え、彼らの力を遺憾なく國家再建のために發揮させ、結集させるということにつきまして、お互いもつとまじめに眞剣に考えてやらなければならぬと思うのであります。このことを考えますときに、私は最近におけるいわゆる青少年の不良化の問題も、また考え出してくるのであります。私の確實な
調査によりますと、男子におきましては十六歳から二十一歳まで、年を逐うて非常な急カーブを描いて、いわゆる不良青年の數が増加しております。またいわゆるやみの女の數は十八歳から二十二歳まで、これまた年の順序を逐うて著しく殖えておるのであります。一方積極的に青年の教養によつて、労働の生産性を高め、認識を健全に育てていく根基として力をつけると同時に、かような青少年の不良化ということに対しましても、ここに十分な
教育の機会を與えることの必要を、心から感ぜざるを得ないのであります。私は権威ある、そして
教育に眞の理解をもつておりますこの
委員会が全國数百蔓のこれら勤労青年が何を求め何を考えているかということを十分御賢察くださいまして、憲法第二十六條が國民に約束しております
教育の権利を均霑せしむるように、そうして全日本の青年が希望と光明とに輝きつつ、働きかつ學ぶまじめな道を進むことのできますように、特別な御考慮をお願い申し上げたいと思うのであります。
以上
請願者の意のあるところをお傳え申し上げまして、皆様の特別のお力添えをお願い申し上げます。