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1947-12-02 第1回国会 衆議院 文化委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十二月二日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 福田 繁芳君    理事 佐藤觀次郎君 理事 最上 英子君    理事 鈴木里一郎君       猪俣 浩三君    太田 典禮君       榊原 千代君    馬場 秀夫君       森山 武彦君    高橋 長治君       並木 芳雄君    奥村 竹三君       小枝 一雄君  出席國務大臣         文 部 大 臣 森戸 辰男君  出席政府委員         總理廳事務官  伊東 五郎君         總理廳事務官  渡邊喜久造君         新聞出版用紙割         當事務局長   原田 治郎君         文部事務官   柴沼  直君  委員外出席者         大藏事務官   金子 一平君         專門調査員   武藤 智雄君     ————————————— 十一月二十四日  書籍ローマ字と英字のおとぎばなし」に用紙  割當請願並木芳雄紹介)(第一一八二  號)  象頭山史蹟名勝天然記念物指定請願(福  田繁芳紹介)(第一二二九號) の審査を本委員會に付託された。     ————————————— 本日の會議に付した事件  觀光地における諸施設對策に關し、戰災復興院  當局より説明聽取の件   請願  一 ヘボン式ローマ字復活請願板東幸太    郎君紹介)(第二六號)  二 映畫産業取扱業種別引上に關する請願(    福田繁芳紹介)(第一五〇號)  三 映畫館入場料金値上の請願福田繁芳君紹    介)(第一五一號)  四 平和の鐘樓建立助成請願松谷天光光君    紹介)(第二六六號)  五 日本式ローマ字普及請願木下榮君紹    介)(第三〇〇號)  六 日本觀光新聞用紙割當請願馬場秀夫    君紹介)(第七七一號)  七 國會新聞用紙割當請願並木芳雄君外    一名紹介)(第七八一號)  八 特別保護建造物安國寺經藏修理に關する    請願岡村利右衞門君外一名紹介)(第八    四二號)  九 映寫技術者免許制度改正請願山口六郎    次君紹介)(第九一一號) 一〇 官設展覧會書道部新設請願竹尾弌君    外四名紹介)(第九九三號) 一一 大善寺中門重要美術品認定請願(坂    東幸太郎君外四名紹介)(第一〇五三號) 一二 北日本文化開發に關する請願田中角榮君    紹介)(第一〇九三號) 一三 東洋新聞用紙割當請願大上司君紹    介)(第一一四五號) 一四 大學新聞用紙割當請願原彪之助君紹    介)(第一一五五號) 一五 書籍ローマ字英語のおとぎばなし」に    用紙割當請願並木芳雄紹介)(第一    一八二號) 一六 象頭山史蹟名勝天然記念物指定請願    (福田繁芳紹介)(第一二二九號)     —————————————
  2. 福田繁芳

    福田委員長 會議を開きます。  本日は本委員會所管事項請願に關して、繼續審議いたしたいと思います。  まず日程第二、映畫産業取扱業種別引上に關する請願でありますが、紹介議員は私になつておりますから、この壇で、お許しを得て簡單請願趣旨を辯明いたします。  本請願、即ち映畫産業取扱業種別引上に關する請願は、請願人東京中央區築地三丁目にあります東京興業組合長竝び國各地にあります興業組合長連名のもとに、本年七月二十四日提出してまいつたのでございます。請願要旨簡單に申しますれば、映画は御承知通り大衆娯楽として、また文化啓發宣傳教化の手段として、現代社會に重要な役割を演じているのでございます。しかるにこれに對しましては、舊來政府の御認識がきわめて低くして、丙種産業として指定されておつたのであります。言いかえれば、待合料理屋、貸座敷と同じ種類に取扱われておりましたので、資材資金、あるいは取締、徴税、こういう面において實に不當な政策が行われておつたのであります。舊來ならば、これでようございすけれども、これから文化國家をもつて日本の再建をはかろうといたしております今日の段階では、こういうことではほんとうの大衆文化水準向上ができないと考えますので、よい映畫を、より以上安くでき得られるようにいたしたい。そうするにはどうしても舊來のように丙種にあると、その實が實踐できませんので、速やかに甲種、あるいは同程度順位引上げていただきたい。さいわいに産業種別甲種にでも引上げてもらいますれば、資材資金といつた面にも大いに恩惠に浴することができまして、大衆文化水準向上に重大なる役割が果せると考えまして、この請願が先ほど申し上げました者の連署のもとに本院に提出になつたのでございます。  これに對しまして、本日御出席安定本部の御當局の御意見を承りたいと思うのでございます。もとよりこれは安定本部のみではございますまいから、本日安定本部の御説明を承り、そして關連官廳の御説明を順次伺い、委員諸君においては御冷靜に御判斷を願いたいと存ずるのでございます。まず安定本部財政金融局次長渡邊喜久造君より政府の御所見を伺いたいと存じます。
  3. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 本請願にございます丙種産業指定されておりますから、これを甲種産業引上げてほしいということにつきましては、これは現在甲種、乙種、丙種、というふうに三段階にわけまして、一應産業種別をつくつておりますのは、金融機關資金融通準則というものがございます。これは昨年三月の金融緊急措置令に基きまして、できておるものでございまして、一應大藏大臣の權限のもとにこういう規則を定めております。その趣旨としましては、特に御説明申し上げるまでもなく、皆さん承知のことと思います。現在インフレの波が高まつて、どの程度に停止するかという見透しもつかない戰後のこうした状態のもとにおきまして、何とかインフレを阻止し、國民生活を安定に導くためには、まず第一に生産を興す、それも全面的に生産を興そうといたしましても、なかなかそううまくいきませんので、最近傾斜生産という言葉が使われておりますが、重點的にまず基礎的なものから生産を高めていく、そうして漸次他の産業に及ぼす、こういうねらいからしまして、資材の面においても、資金の面においても、まずもつて重點的な面に優先的に資金資材を流すというような觀點からしまして——また特に資金の面についてだけ申し上げますれば、資金にしましても、現在通常貯蓄される金を財政資金産業資金に利用していくことになりますと、資金の量が非常に乏しいのでありまして、とてもそれでは思うような産業も興し得ないやむを得ずある程度日銀發券、これまた一面インフレのもとになるのでありますが、それを忍びまして、資金融通もやむを得ぬ分にはやつていこう、こういうような状態にありますために、資金融通におきましても傾斜生産の線に沿いまして、できるだけこの際最も重要な基礎的な産業資金をまわしていきたい、こういう趣旨のもとにできておりますのが金融機關資金融通準則であります。現在甲の一として指定されておりますのは、石炭、鐵鋼、硫安であります。それから甲の二として指定されておりますのは、その他の基礎的なものでありまして、以下乙、丙となつております、それて請願書の中には待合料理屋というようなところと一緒に興業をおくのは、どうも妥當でないというふうになつておりますが、もちろん旅館、料理店貸席業は丙になつておりまするが、丙になつているんでは、ひとりこれだけではございません。鑛工業におきましても、このごろはあまりそれほど重要性がないと思われますのは、やはり丙になつておるものもございます。政府といたしましては、映畫事業といいますか、それが現在大衆娯楽として非常に大きな役割をしているということ、及びそれがいろいろな面におきまして、文化的な方面にも役立つておるということにつきましての認識は何ら缺けるところはないと思いますが、現在の實情が今申しましたように、非常に資金資材も缺乏しておる状態にありまして、何とでもして、まずもつて國民生活安定のための一番基礎的なものであります衣食住、それも食の方は何とか手を打つておりますが、住になりますとなかなかうまく手が打てていないというような調子で、そういう面にまず重點をおかなければならぬことになりますので、自然現在は映畫事業につきましては、何としてももう少し時をかしていただく意味におきまして、ここ當分は御辛抱を願わざるを得ないと考えておるのであります。同時にまたこの丙の關係におきましては、單にそういう面だけでなしに、これは資金融通準則でございますので、仕事としてはもう少し地位が高くても、たとえば興業のように割合に運轉資金については金のまわりがいいものがある。從いまして特に金融機關から融資する必要も少かろうと思われる分につきましては、その事業の重要性とか何とかいう問題を離れまして、あまり金を出す必要がないという意味におきまして丙にしてある。こういつた面もあるわけでございます。  なお附加えて申しますと、この資金融通準則におきまする甲、乙、丙の順位は、一應の順位でありまして、たとえ順位が低うございましても、今度は特定の具體的仕事といいますか、問題を取上げて、具體的に檢討してみまして、そしてぜひとも資金融通する必要がある、値打がある場合におきましては、特別な措置をとりまして、それに金を貸す途はもちろん開けておりまして、丙になつておるからといつて、絶對にそこに金が行かないといつた種類のものではございません。以上申し上げました趣旨によりまして、政府といたしましては、現在といたしまして、映畫事業というものを、この困窮した時期におきまして、この順位から特に引上げるということは考えておりません。
  4. 福田繁芳

    福田委員長 諸君にお諮りします。本請願に關連して安定本部に對する御質問はございませんか。——質問がないようでございますから、私紹介人として一應財政金融局次長に、本請願に關連してお願いを申し上げておきたいと思うのでございます。安定本部の御意向はよくわかりました。御説にありますごとくに、もとより本請願大藏省に關連いたしておると存じますから、次囘には大藏當局の御説を伺うということにいたしとうございますか、今もお言葉の中にありましたことくに、今日の日本の現状から推して、衣食住に重點をおかれるということは、もとより同感でございますが、映畫というものも、昨今は大衆文化水準向上せしめる精神的な一つの食糧といつたようにも、請願人は格別強調しておりますので、今日の状態はよく存じておりまするが、できるだけこの請願人趣旨に副うように、何かと格別の御配慮を垂れ賜わりたい、かように思います。紹介人として御希望申し上げておきますから、よろしくお願いいたしとうございます。それでは本請願次囘まで委員諸君において十分御檢討願つておきとうございます。次囘委員會には大藏省あるいは商工省に御出席願つて意見を伺いたい、かように考えます。     —————————————
  5. 福田繁芳

    福田委員長 次は日程第一二、文書表一〇九三號、北日本文化開發に關する請願紹介議員田中角榮君でありますが、紹介議員が参つておりませんので、同僚議員高橋君に趣旨辯明を願います。
  6. 高橋長治

    高橋(長)委員 北日本文化開發に關する請願紹介議員に代わりまして、趣旨を申し上げたいと思います。本請願要旨は、文化國家建設のため、國内の民主化と健全な民主義文化育成は現下の重要問題でありまして、特に文化的に遅れた北海道・秋田・岩手・宮城・山形・福島・青森・富山・石川・福井・新潟等民間文化運動の發展をはかり、文化恩惠を農村の末端に浸透せしめ、個性ゆたかな北日本民主文化を建設することは最も緊要であります。ついては北日本文化會館竝びに公民館設置、新學制完全實施文化課税の撤廢、用紙割當民主化文化審議會設置及び外國文献輸入促進實現に努力されたいというのであります。以上のような趣旨でございますので、何とぞ各位の御賛成を得たいと思うのでございます。
  7. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの請願に對しまして、文部省社會教育局長柴沼政府委員から、政府の御意見を御開陳願いとうございます。
  8. 柴沼直

    柴沼政府委員 ただいま請願趣旨にありました、北日本文化開發のために、政府としまして努力いたさねばならぬことは、まつたくその通りにわれわれも考えておる次第であります。ただその中に具體的にあげてありまする文化會館あるいは公民館設置等につきましては、現在の國家として、できるだけの御援助をいたしたいのでありまするが、政府が直接これらの設置あるいは施設の擴充ということに手をつけるのではなく、その土地その地方の方の御努力についてわれわれの方も援助してまいるという形で進みたいと考えておるのであります。これは請願にもあります通り民主的な文化育成民主的な社會實現ということのためにも、ぜひそういう自發的な御活動をお願いしたいのでありまして、その出發にあたりましても、またそういうことの育成されていきます道程におきましても、われわれとしては、もとよりできるだけの御援助なり御協力なりはするつもりでおります。また北日本特殊性につきましても、われわれもいろいろその地方實態調査等を、現に今文部省等においていたしておりまして、ある程度その實情がわかつてまいつております。從いましてそういう資料等に基きましても、将來の計畫をさらに組織的に立てて努力いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  9. 福田繁芳

    福田委員長 諸君にお諮りいたします。本請願に關連して文部當局に對する御質問をございませんか。——質問ないようでありまするから、次囘までこれまた本請願に對して愼重御審議願つておきとう存じます。     —————————————
  10. 福田繁芳

    福田委員長 次に日程第一五、文書表第一一八二號、書籍ローマ字英語のおとぎばなし」に用紙割當請願並木芳雄君、趣旨辯明を願います。
  11. 並木芳雄

    並木委員 紹介議員といたしまして皆様お願いいたします。實はこの「ローマ字英語のおとぎばなし」の見本がありませんと、お願いするにもしにくいので、ちようど書籍が來ましたから、今お手もとまでお届けいたします。實ははなはだ恐縮なんでございますけれども、これは私衆議院議員に出てまいります前に、何かいい本を出さなければいけないというので、たまたま私の村に疎開をしておりました同級生の文學博士服部四郎君、東京大學の教授をしておりますが、これと相談いたしまて、ちようど服部君が文部省の方でローマ字の方の委員として努力されておりますし、私もつたないながら英語ができますので、ひとつローマ字英語を對照したおとぎばなしというような本を出して、そうしていいストーリーを紹介するとともに、ローマ字も普及し英語も勉強してもらう、殊に中學校學生の方にはいい教科書がなくて困つておるようだからそういうものを兼ねた本を出して、良心的に發行してみたい、定價もできるだけ安くして、何か自分たちのもつておるものを世の中にサービスしてみたいというような氣持から、つくつたものなんでございます。それで發行所は東京本郷文求堂でございますが、この御主人公も、たいへんそういう方面にも力を入れておるのでございまして、繪を描いてくださつたのはこの御主人御自身なんでございます。それで用紙當委員會の方へお願いがあつたかと存じますが、これは皆さんごらん通り、みえとか體裁とか、けれんみというものは毛頭ありませんので、ただいま申しましたような趣旨からやつたものでございます。文章もローマ字も英文も繪も紙の質も體栽も、すべて世に問うてみたい、そういう氣持からでございます。定價もわずかに三十五圓で、ほとんど利益はないのでございます。試しに關係の各中學校へお見せしましたら、たいへん喜んで注文がまとまつてまいつております。ところが何分にもこういういい紙のもので、紙が足りません。この際いろいろ苦しい状態ではございますが、できればぜひこの際この書籍に對して御援助を賜わり、これを先驅として、これからいい本がたくさん出ていただくように、私ども心からお願いする次第であります。もしそういうふうに出できましたならば、文部省または當文化委員會におかれまして、一種の推薦書というようにしていただいたらばと思います。これは決して自己の宣傳とか何とかでございません。その點はくれぐれも誤解のないようにお願いしたいと思います。ぜひとも皆様の絶大なる御支援を賜わりたいと思います。
  12. 福田繁芳

    福田委員長 本請願に對する政府當局の御意見を御開陳願います。
  13. 原田治郎

    原田政府委員 ただいま御請願になりましたこの書籍は、私ども割當官廳たる事務局におきましても、きわめて必要な書籍であると信じまして、原案に入れ、委員會においてもすでに二千部の割當を決定したわけであります。ただ部數の點において御不満だろうと存じますが、きわめて乏しい用紙でありまするために、一般書籍に對しては最高部數部門別によつてきめておりますが、この書籍は多分最高部數割當てて決定いたしました。今月五日に切符をお手渡しすることに相なつております。さような制約を受けておりますので、部數が足らないときには、重版の御申請によつてこれを補う形になつておりますので、どうぞそれを御承知願いたいと思います。
  14. 福田繁芳

    福田委員長 諸君にお諮りいたします。本請願に關連して當局に御質問ございませんか。
  15. 馬場秀夫

    馬場委員 用紙割當で、この用紙の質の問題は、どういうことになりましようか。これは相當いい紙になつておりますが……。
  16. 原田治郎

    原田政府委員 用紙は、一般書籍につきましては、いわゆるザラ半の紙ですが、こういつた特殊のものになりますと、申請があるとその申請を大體取入れます、それからメーカーの方、紙店等において大體交渉するような形になつております。その際にポンドできめてまいりますから、普通の用紙申請をなさつていい紙をお取りになると、ポンド關係上部數が不足になります。そういうときには、申請をなさるときに、やはりその質をお書きこみ願つた方が非常に好都合であると存じます。
  17. 福田繁芳

    福田委員長 ほかに御發言ございませんか。——發言ないようでありますから、これまた本請願趣旨次囘まで愼重御檢討願つておきとうございます。     —————————————
  18. 福田繁芳

    福田委員長 次に日程第一六、文書表第一二二九號、象頭山史蹟名勝天然記念物指定請願紹介議員は、不肖私になつておりますから、再びお許しを得まして、この席で簡單請願要旨をの申し述べます。  本請願は、香川縣仲多度琴平琴平神宮の宮司ほか地元の觀光協會長が、本年十一月十日に本院に提出してまいつたものでございます。要旨は、申すまでもなく、この象頭山香川縣琴平神宮が鎮座ましましておられる山でございまして、全山が御神體林というように、非常に大きな古木が幾種類自然林をなしておる。さようでございまするから、いきおい全國的崇敬を集めておるのでございます。また國立公園瀬戸内海とともに、非常に景色のよい所でございますが、終戰後しばしば盗伐され、せつかくの御神域が荒れておる、こういう状態です。殊に注目に値するのは、本山にある樹木が、植物學界に非常に珍しいところの高山植物を初めとして、いろいろのものが無數に茂つておりますし、その年齢からしても、古いのは千年から千四、五百年という古木がずいぶんある。東京帝國大學のその筋の權威者が、しばしばこの山に足を踏みこまれ、非常に貴い資料になるのだから、何とか盗採、盗伐されないように當局お願いして、史蹟名勝天然記念物指定を受けたらどうかということがしばしばあります。この際國會請願してお許しを得、この指定を願いたい。これが本請願趣旨でございます。これに對して文部當局の御意見の御開陳を願いとうございます。
  19. 柴沼直

    柴沼政府委員 象頭山につきましては、これは全國にも有名な所でありますので、皆さんもよく御承知くださつておることであると思いますが、われわれの方でも、ただ單に景色としてばかりでなしに、請願趣旨にもあります通り、わが國における非常にまれな、原始林としての學術上の價値は、すでに内々わかつておるのでありますが、ただ從來神社の御神體として扱われておつたというような關係から、指定等手續ができなかつたのであります。そこでその邊の障害が取除かれる場合には、おそらく請願がなくとも、われわれの方の關係學者實地調査をして、續いて指定の話が出てまいるであろうと、われわれ事務當局の方では考えておつた次第であります。請願もございましたので、ごく最近に專門家を派遣して、詳しく調査をいたしまして、委員會によつて公平なる判斷のもとに、指定の運びを進めたいと考えておる次第であります。
  20. 福田繁芳

    福田委員長 お諮りいたします。諸君におかれまして、この請願に關連した御質問はございませんか。——別に御質問もないようでございますから、次囘までとくと御審議を願つておきとうございます。  なおこれに附帶して委員諸君に一言申し上げますが、十二月半ばごろに、琴平神宮から、わが文化委員會にぜひとも現地御調査を願いたいと申出がありますから、御希望の諸君委員長手もとにまで御申出を願いとう存じます。  これにて本委員會に付託されました請願紹介説明は全部終了しました。     —————————————
  21. 馬場秀夫

    馬場委員 日程第六、日本觀光新聞用紙割當請願日程第七、國會新聞用紙割當請願日程第十三、東洋新聞用紙割當請願。以上三件は、本委員會としては、その請願趣旨妥當と認められますので、採擇せられんことを望みます。
  22. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの馬場君の御動議に御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 福田繁芳

    福田委員長 御異議がないようでありますから、本請願は採擇の上、内閣に送付することに決定いたします。     —————————————
  24. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 日程第八の特別保護建造物安國寺經藏修理に關する請願は、特別保護建造物に關することであり、政府において調査の上は、事情の許す限り補助金を交付せられんことを望みます。
  25. 福田繁芳

    福田委員長 お諮りいたします。ただいまの佐藤君の御意見に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 福田繁芳

    福田委員長 御異議がないようでありますから、本請願も採擇の上、内閣に送付することに決します。     —————————————
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 次に日程第四の平和の鐘樓建立助成請願でありますが、この趣旨はまことに崇高なものであり、その運動の一として、過般開催せられましたアチソン大使追悼音楽會のごときも、眞摯胸を打つものがありました。ついては本委員會といたしましても、過日の紹介議員松谷天光光君の言葉通りに、今後委員各自が應分の精神的援助を寄せることにいたしたいと思います。皆さんの御賛成を願います。
  28. 福田繁芳

    福田委員長 諸君にお諮りいたします。ただいまの動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 福田繁芳

    福田委員長 御異議がないようでありますからさよう決します。     —————————————
  30. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ヘボン式ローマ字復活請願は、まことに重要なものでありますが、第三〇〇號の日本式ローマ字普及請願とも關連を持つものでありますので、その方の説明を聽取した後において、これに對する本委員會の意思を決定してはどうかと存じますが、いかがでございますか。
  31. 福田繁芳

    福田委員長 諸君にお諮りします。ただいまの佐藤君の動議に御意見はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 福田繁芳

    福田委員長 御異議がないようですからさようにいたします。     —————————————
  33. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大善寺中門重要美術品認定請願でありますが、これは至急本委員會から調査員を派遣した上で採否を決せられんことを望みます。
  34. 福田繁芳

    福田委員長 諸君にお諮りします。ただいまの佐藤君の動議に御意見ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 福田繁芳

    福田委員長 御異議がないようですからさよういたします。なお現地派遣日及び派遣人員は委員長に御一任願いたいと存じますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 福田繁芳

    福田委員長 御異議がないようですからさようにいたします。     —————————————
  37. 森山武彦

    ○森山委員 本日の議題、觀光地における諸施設對策に關し、戰災復興院總裁より説明聽取の件をお進め願いたいと思います。
  38. 福田繁芳

    福田委員長 諸君にお諮りします。ただいまの森山君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 福田繁芳

    福田委員長 御異議がないようですからさよういたします。ちようど今戰災復興院の伊東建設局長が御出席くださいましたから、伊東局長を煩わして、政府の御所見を伺うことにします。  前もつて委員長として一言局長に申し上げますが、實はわれわれ委員に對して、觀光地の施設對策として、ホテル、旅館、劇場、映画館といつた構造物の新築、改築、修繕、保全というような請願、陳情が非常に多うございます。もとより一面から考えますれば、わが國民文化水準向上に重大な關係もあると考えますが、政府當局としては、こういう構造物に對して具體的なお考えがあるだろうと存じますので、本日さいわい時間も多くございますから、十分政府當局の御意見を開陳願いたいと存じます。
  40. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 觀光地における映画館等の諸施設につきましてお尋ねでありますので、意見を申し上げたいと思います。  御承知のように今年の二月八日に、建築全般につきまして統制をすることになりまして、臨時建築等制限規則というものを公布いたしました。また重要資材につきまして、資材割當規則というものを公布いたしました。また重要資材につきまして、資材割當規則というものが制定されました。これは申すまでもなく非常に資材が不足しております。これを自由に消費することになりますと、いきおい、ただいまの情勢として、割合に重要性の乏しいものにこの資材が偏在していくことになります。特にただいま衣食住關係し先ほどもお話がありましたが、復興院としては、戰災者住宅に非常に重點をおいてやつているわけでありますが、この不要不急の方面にどんどん流れていくという事態が放任できないために、この規則を制定したわけであります。本日お話の觀光地の施設につきましては、外貨の獲得その他非常に大きな國家的の意義があることでありますから、むろんこれは不要不急のものとは、私ども考えておりませんが、しかし何分にも非常に大きな國家的の意義があることでありますから、しかし何分にも非常に乏しい資材割當をいたします場合に、どうしても小住宅、學校という方面にまわしますために、こういう方面になかなか資材をまわすほどのゆとりがない實情であります。ただいままでのところ、十分この方面の必要性を認識しながらも、ホテル、映畫館というような方面資材割當、建築の許可ができないでいるような實情であります。しかし、その乏しい資材の中でも、既存の建物をこういうものに轉用することについては、極力その方の許可をすることにいたしておりまして、既存の建物を移築するとか、その場で轉用するとかいうことについては、若干許可をいたしておりますが、新築につきましては特別の例外のほかは、許可をしておらぬような實情であります。にわかにこれを改めて、こういう建築物を建てるというような情勢にはまだならぬと思いますが、将來こういう方面施設につきましても、十分研究いたしまして、また關係の各省とも連絡いたしまして、極力事情の許す限り建てるようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  41. 森山武彦

    ○森山委員 ただいまの御説明を伺いますと、觀光地の諸施設につきましては、ゆとりがないようなお話でありますが、それはよくわかりますけれども、大事なことは、非常に貴重な觀光地の重要なものの修理とか、あるいはごく必要なものについては、何とかこれに對する對策をしなければならぬ、現在のまま放任しておくことのできないものもあると思いますが、そういうものにつきましては、どの程度のお考えをもつていらつしやるでしようか。
  42. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 國寶建造物などの關係は、文部省でやつておりますので、文部省から安本に對して、その必要な資材の要求をされまして、割當がきまりました場合に、私の方では文部省の意を受けて許可することになつております。文部省の方から安本に對して要求されて、資材割當のあつたものを、私の方としてはそれを止めるということはないのであります。
  43. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ちよつと伺いますが、今地方に城のようなものをもつておりますが、ああいうものを修繕してホテルにするようなことに對して、御援助願えるかどうか。
  44. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 この問題もただいまの國寶と同じ關係になりまして、私の方としては、城がどういうのかという判斷ができませんので、これはやはり文部省判斷によりまして、資材の決定は安本がもつておると思います。私の方としては資材割當さえあれば、極力實現するように努力いたします。
  45. 鈴木里一郎

    ○鈴木(里)委員 ちよつとお伺いしますが、戰時中各觀光地において、ホテルあるいはこれに類する比較的廣大な建物が、軍のために買収されて、今日そのまま放任されてゐるものが、私の知つておる限りにおいて、私の選擧區にもすでに二つございます。そこで當局に向つてこれを元へもとしてくれるように懇談をしておるのでありますが、今もつてそれが解決しないようであります。私の想像するところによれば、かような類のものが、全國には多多あるように存じますが、ただいま政府委員の申されたように、ホテルに新築の資材がないというような場合において、かようなものを速やかに解決して、元通りホテルを許可し、そして觀光客の便に供したらいいだろうと思いますけれども、これに對する御所見はいかがですか。
  46. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 ただいまの御意見につきましては、至極同感でございます。資材の乏しいときでありますから、極力既存の施設を使うという方針で、私ども臨んでおります。ただいまお話の軍が買収したものというのは、その具體的なことはわかりませんが、おそらく現在國有財産になつておりまして、大藏省の方の國有財産局が管理しておるものではないかと存じます。こういう建物については、その建物の向き向きによつて、六・三制の學校に使うとか、あるいは引揚者の収容施設に使うとか、住宅に改造するとかいうふうに、その建物によつていろいろやつております。もしそれが觀光ホテルなどに轉用する方が適當であれば、その方に使うということは、具體的の例でわかりませんけれども、おそらくできるのではないかと思いますが、これは大藏省の國有財産局で取扱つておると思いますので、私の方としては、ちよつと御答辨申し上げかねるのであります。
  47. 鈴木里一郎

    ○鈴木(里)委員 伊藤政府委員に、本委員會に陳情に参つておる一、二の點を簡單に伺いたいのでありますが、こういうことがあるのです。これはどうしたものでございましようか。實は昨年の十二月ごろに地方長官の映畫館建築の許可をとつてあつたが、本年の一月に政令が出たために中止になつた。こういう政令が出なければ、二月一ぱいに完成しておつた。ところが政令が出たために正直にそれを中止した。しかしいまさら本組から一切合財完備しておるので、他の構造物に適用するわけにはいかない。映畫館以外に向きそうな構造物がない。なお加えて、その土地では人口が非常に稠密しておつて、他の既存の映畫館の比率からいつても、もう一館、かつて許可になつたものくらいは建築に著手していい、映畫館ができてもいいといつたようなことを、知事の方からもそういう意見を開陳しておる。こういうふうな實際問題なんですが、これは復興院としては、再び請願によつて許可してやるというわけには行かないものでありますか。いい機會でありますから、ちよつと御意見を伺いたいと思います。
  48. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 映畫館が、現在健全な娯楽が不足しておりますために、各地で非常に出願が多いのでございます。これはむろんもつと重要な住宅の供給その他に影響しない限り、なるべく認めるようになつておりますが、ただいまのお話のように、すでに統制規則發令前に許可になつて、手持資材も十分にあり、その土地においては映畫館が不足しておつて、當然それは必要なものだということであれば、あるいはよく實情を調べて、何とか決定いたしたいと存じます。全然許可にならないというものでもございません。ただ映畫館の數が非常に多うございますから、大體止めておるような實情でありますけれども、ただいまのお話のような場合には、特に考えられるのじやないかというふうに考えます。
  49. 福田繁芳

    福田委員長 他に御質問はございませんか。——質問ないようですから、諸君にお諮りいたします。馬場君から文部大臣竝びに大藏當局に關連する緊急質問があるようですからこれを許します。しばらくお待ち願いとうございます。  なおこの際諸君に御紹介いたします。國民協同黨の石田一松君が、御一身上の都合で文化委員を過般退かれて、その後任として小枝一雄君が任命せられました。小枝君を御紹介いたします。(拍手)
  50. 福田繁芳

    福田委員長 諸君に申し上げます。馬場君の緊急質問をこれから許します。大藏大臣なり、政務次官なり、局長に、昨日から專門調査委員がしばしば熱意をもつて申し上げてあつたのでありますけれども、いかんせん今日まで來られぬのであります。文部大臣は先ほどから約十四五分お待ちになつておられたのであるが、どうしたかと思つておつたところはからずも今主計局長が來られましたから、大藏當局も併せて答辨してもらいます。馬場君、これをもつて了承してもらいたいと思います。馬場君。
  51. 馬場秀夫

    馬場委員 わが國の代表的な美術品の散逸防止に關する件について文部、大藏兩當局に對して質問いたしたいと存じます。  右の件に關しましては、去る八月三十日の本會議におきまして、森戸文部大臣から、委員長の緊急質問に對しまして、わが國の代表的美術品の散逸を防ぐためには、まず第一に關係法規たる國寶保存法及び重要美術品等の保存に關する法律をこの上一層の嚴正な適用をはかり、第二には脱漏している國寶該当のものや重要美術品相當なものの指定を急ぎ、もしその時間的餘裕のない場合には、第三の手段として國費の状況の許す限りにおいて、これらのものを博物館や美術館で買い上げるようにするという、まことに行き届いた御答辯でありましたので、私どももこの御答辯に大いに満足し、ひたすらその御實踐をのみ希つていたのであります。ところがその後の状況を見まするに、新たに國寶や重要美術品指定が行われまして、その所有者の名前が世に出ますと、税務當局では、あの人はこんないい物をもつていたのかというわけで、あらためてその所有者の所藏にかかる美術品を調査して課税しようとする氣配の見えることであります。これは所有者に對しては、まことに氣の毒でありますのみならず、かようなことが起るようになりますと、所有者の方では、かえつて國寶や重要美術品への指定をいやがりまして、その所藏にかかる美術品が世に知れないように隠す、秘匿する、手放したいときにはこれまた世に知れないようにやみ賣りする、貨幣價値がはなはだしく低落している今日でありますから、その際海外へも流出しかねない、こういう結果になつてしまうのであります。  次に代表的な美術品を國費をもつて博物館なり美術館が買い上げるということになりますと、その都度すぐそのあとに課税の問題が起つてまいります。これでは所有者も正式な買上げをきらうようになつて、前と同じく手放すときには正式な買上價格の半値でもいいからやみ賣りとした方がまだ手取りの割合がいい、海外へ流せばもつと割合がいいということになりまして、せつかくの散逸防止のための措置が、かえて逆効果を來すということになつてしまうのであります。そもそも美術品というもののあり方、言葉をかえて言えば美術品は何ゆえ大切であるかということを考えてみますと、それは文化財である、國民の血となり肉となつて新しい文化を建設するために必要なものであります。そうしますと、それが一個人、一好事家の手もとに死藏せられて、一般國民から絶縁せられておりますならば、何らの價値もないものといわなければなりません。從つて國家の代表的な美術品は、どうしてもこれを公開して、だれでもいつでも自由にこれを見られる形におくことが肝要でありまして、その保存や修理も特に國家が國費をもつて細心の注意のもとにこれに當ることが、文化國家としては當然なことといわなければなりません。しかるに國家せつかくこの措置をとり、兼ねて散逸を防止しようとするときに、一方に課税ということが起りますと、問題はまつたくぶち壊しになつてしまいます。散逸の防止の措置がかえつて散逸の促進を來さしめることになつてしまうのであります。そこで私が大藏當局お願いしたいことは、第一に國寶や重要美術品などの指定にあたつて、その所有者の家財をあらためてせせくり出すことのないようにしていただきたいこと、そして第二には前に述べましたような代表的な美術品の買上げに際しては、できれば課税は免除してほしいということであります。アメリカなどでは、公共團體に寄附をした者は、その後何年かは、所得税を輕減せられるやに承つておりますが、これくらいの御措置は當然おとりになつてよろしいのではないかと存ずるのでありますけれども、この點に關する大藏當局の、そしてまた文部當局の御意見はいかがでありますか。右お伺いいたしたいと存じます。
  52. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの馬場君の緊急質問に對しまして、ます文部大臣の御所見を御開陳願いとうございます。
  53. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 ただいま馬場議員からの御質問でありますが、過ぐる本期議會でも申し上げましたように、私ども新しい日本は、文化國家として立てていくことになつておるのであります。しかし文化國家の建設は、わが國古來の文化の傳統というものを外にしては困難でありまして、この意味におきまして、日本の古來のよい文化が保存され、維持され、しかも、これが大衆の接近し得るような状況におかれるということが、きわめて大切なことは、馬場委員の御指摘になつ通りでありまして、こういう點から、戰後日本の状況がこれと矛盾するような傾向にあるという福田委員長からの御質問に對しまして、私ども文教の政治をとつておりまする者が、これに對して、いかように考えておるかということをお答えいたしたわけなのであります。その必要は、ただいま御質問になりましたように、今日もなお一層緊急を加えておるように考えられるのであります。それで私のお答えいたしました點、關係法規を嚴重に適用し、さらに脱漏していた國寶、重要美術品指定を行い、なお時間の餘裕のないときには、これらのものは國寶にによる博物館、美術館への買上げをしていこうという方針は、その後實行いたしておるのでありまして、これにつきましては、大藏當局にも御相談をいたしましてこれらのものが實情に即した措置をによつて行われるように希望いたし、またそういうふうな了解も得られておるのであります。ただ第一線の税務に當つておる人々に徹底を缺くところがありまして、遺憾な結果をもつてきたことも、御指摘のように、幾多あるように聞いておるのであります。他面財務當局といたしましても、今日の困難な時代に税法が嚴重に行われることが必要であり、また日本の財政上、徴税の上からも、徴税が正確に行われることに、多くの關心をもつのが當然でありますし、なおこれを惡用するような、これらの美術品等の所有を惡用して、脱税をしようというような不心得な人もあるというところから、ときには苛酷な處置もあるということも考えられるのでありますけれども、しかしかような事情も認めますが、しかし日本の新しい文化國家建設という大きな目標に沿うて、國寶、これに準ずる物、重要美術品が保存、維持せられ、殊に國内の適當な所に留められておるということは、われわれはいろいろな困難を排除しても、十分努力していきたいというふうに思つております。從來もそういう方向に向つて財務當局との了解を得ておるのでありますが、今後も一層そういう方面について、大藏當局の了解を得まして、ただいま申しましたようなことが、できるだけ避けられるように、そうして財務的ないろいろな關係から、重要美術品がやみの市場に流れ、殊に外國に流出するというようなことがないように、お互いに協力しながら、努力していきたいと考えておる次第であります。
  54. 福田繁芳

    福田委員長 次に大藏當局の答辨を許します。金子經理課長。
  55. 金子一平

    ○金子説明員 ただいまの馬場さんの御質問に對して、お答えいたします。  國寶、重要美術品等の課税の問題、これは特に財産税に關連して、ただいまのような御質問が起つたかと思うのであります。從來とも大藏省といたしましては、文化財に對する課税という問題については、非常に注意を拂つてまいつたのでありまするが、財産税の建前といたしましては、どうしてもああいつた全般的な課税をいたしました關係上、法律の建前といたしましては、國寶、重要美術品といえども、課税するということでまいつたのであります。しかし文化財に對する課税という關係上、課税の實際におきましては、他の財産との權衡という點も十分考えまして、苛酷にわたらないように取扱つたつもりであります。ただ問題は、ただいま御質問なつておりましたように、從來の申告に漏れておつたような物、それに對する新たな指定等が行われた場合に、こまかくほじくられては困るという御質問のように承つたのでございますが、漏れておりました物に對しましては、建前としてはあくまで課税をするということで考えていくよりほか、いたし方がないのではないかと思うのであります。なお、買上げの問題、その他につきましても、ただいま文部大臣からお話がございましたように、その實態を十分に考えまして、無理のないように努力していきたい。かように考えております。
  56. 馬場秀夫

    馬場委員 意を盡さないのですが、いずれ大藏大臣の出席お願いしまして、さらに答辯願いたいと思います。本日の質問竝びに答辯を、大藏大臣にひとつ十分御連絡のほどをお願いいたします。
  57. 福田繁芳

    福田委員長 お諮りいたします。本問題に關連して、御質問ございませんか。——質問ないようでございまするから、なお今の馬場君のお言葉に附け加えるようでありまするが、金子課長に、とくと委員長としてもお願いいたしておきたいのでございます。この問題は非常に重大な問題でありまして、今も文部大臣から御熱心な、十分にわたつての御答辯がありました點から見ましても、おわかりでございますから、どうぞこの問題に關連しては、文部當局と詳細な御連絡のもとに、一歩も誤らないようにしていただきたいのでございます。もし大藏當局が一歩誤つた場合には、いかにわが文化委員會、あるいはいかに政府文部當局が國寶、重要美術の海外逸散ということいついていろいろ考えましても、結局水泡に終つて、われわれが最もおそれておるところの國寶、重要美術というものが、第三國人、あるいはまた海外に逸散するおそれが多分にありますから、この點はとくと御愼重に連絡のもとに、日本後世民族のために、ひとつやつていただくように、附け加えておきたいと思うのであります。
  58. 森山武彦

    ○森山委員 この際文部大臣にぜひ御答辯を願いたいと存じますのは、この文化委員會審議事項の第一としまして、國家行事に關する件というのがあるのでありますが、この中でわれわれが遺憾に思つておりますのは、今日に至るまで、わが日本の祝祭日というのが、實に不可解な存在であると思うのであります。大體日本の祝祭日を決定した根本は、宮中の行事が根本になつておつたのでありまして、いわゆる神ながらの行事であります。神ながらということは、御承知のごとく神ならいでありまして、上にならうということであるそうでありますが、その結果、今日の新憲法のもとにおいて、特に人間天皇の政治下におきましては、ほとんど意味をなさないものがたくさんあると思うのであります。これにつきまして、最も祝祭日の根本をなしておりますところの紀元節のごときに至りましては、紀元節が二月十一日であるということについては、初めから異論があるのでありまして、非常にあいまいなものであることは、間違いないのであります。またそのほかの祝祭日につきましても、先ほど申し上げた通りでありまして、これは根本的に審議し直して、新たなる祝祭日を決定し、そうして國民に祝日、祭日をはつきり指示すべきであると思うのであります。これにつきまして、私はこれは非常に重大な問題でありますから、政府において國家行事法というような一つの具體的の法律案を議會に提案さるべきものではないかと思うのであります。そうして愼重審議いたしまして、特に敗戰後日本におきまして、平和日本といたしまして、平和を祈念すべきような祭日も必要ではないかと思うのであります。かような意味におきまして、文部大臣はいかなる御所見をもつておられますかお伺いしたいと思います。
  59. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 ただいま祝祭日に關する御質問でありますが、まことに適切な御質問でありまして、在來の祝祭日は歴史的なものである。その基礎になつた歴史的の事實、あるいは意義というものも、新しい日本において變つておることも存在いたしますので、この際、祝祭日について考慮し直すべきではなかろうかという御意見は、きわめて理由のあることと存ずるのであります。ただこれは文部省の所管しておるところではありません。むしろ政府全體、内閣全體の所管しておるところで、あるいは今日の時代では、國民の總意を代表している國會が考えることであるかとも存ぜられるのであります。そういう點で、私文部大臣としてこれを所管しておるということで、お答えするわけにはいかないのでございますが、この問題は新しい憲法とともに愼重に考えられるべきであると、私も考えております。それはどういう形になりますか、あるいはただいま御提案のような國家行事法というような形になりますか、どういう形で現われますかは別といたしまして、祝祭日の點は、もう一度國民がこれを考えて、適當な祝祭日を定めることが適當と存じております。たとえば、去る十一月三日は新日本建設國民運動、憲法普及會、あるいは民主政治教育連盟等で、これを平和祭と呼んで、全國的に平和主義の思想を宣傳したのでありました。これは別に祝祭日にするとかいうようなわけではないのでありますが、そういうように新しい日本の發展とともに、祝祭というものも考え直すというお考えについては、理由のあることと私は存じてあります。
  60. 森山武彦

    ○森山委員 ただいま文部大臣から非常に私の質問に對して適切なる御説明をいただきましたが、これはなるほど御説明のごとく、内閣もしくは國会の問題ではあるでしようが、私の文部大臣にお伺いいたしましたのは、祝祭日ということが國民の思想の根本をなしているという點であります。たとえば新嘗祭のごとき、天皇陛下がご飯を食べるのであるから、國民が皆祝祭日だ、休まなければならぬというようなことは、これは過去の天皇が神様であつた時代の遺物でありまして、これを國民がいつまでも天皇を神様としておくことは、思想的に重大な問題だと思うのであります。その點におきまして、實は文部大臣の御意見を承りたいと思つて申し上げたわけであります。
  61. 福田繁芳

    福田委員長 諸君に申し上げます。先ほどヘボン式ローマ字復活請願に關連いたしまして、佐藤君から動議がございました。その動議によりますと、日本式ローマ字普及請願が出ておるので、この請願人を招致して詳細に聽いた上で、兩方併せて今後委員會として審議いたしていきたい。こういう動議が先ほど可決されたのでありますが、實は日本式ローマ字普及請願人である佐伯功介君が、過般來ししばば實は委員會に参つておるであります。本日も九時過ぎから來て待つておつたのでありますが、時間もこの通り定刻を經過いたしますし、なお本日は本會もありますので、遺憾ながら次囘金曜日の委員會に、佐伯功介君に再び出頭願つて、日本式ローマ字普及請願趣旨を本人から十分開陳してもらい、なおまた諸君からも遠慮のないところの御質問をしてもらいたい、こういうように思います。  本日はこれにて散會いたします。    午後零時十四分散會