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片山國務大臣 どういう
文化を
中心として
文化國家建設に努力しているか、こういう御
質問でありますが、私は施政
方針の演説においても高度民主化は、合理主義であり、人道主義であり、社會民主主義であるという
説明をしておるのであります。すなわち私のと
つている民主主義の徹底というのは、どこまでも合理的なものでなければならない、科學的なものでなければならない、理論の飛躍のあるものであ
つてはならない、こういう點をまず第一に明らかにいたしているのであります。人道主義でなければならないという意味は、竹尾君御承知の
通りの、ヒユウマニズムという表現でもよろしいし、道義精神を高揚するとい
つてもよろしいし、
民族といたしましての長き歴史の上に立
つているその發展を考えまするときにおいて、
國民道義ということが民主主義發展の上において重要に取上げられていかなければならないと思うのであります。道義を無視し、人倫の道を無視しては、政治というものが非常に無理があるし、
國民の總意をまとめる上において、幾多の支障が起きてくるものであると思うのであります。その意味において民主主義の徹底をはかる
方法といたしましては、人道主義をとらなければならないと考えているのであります。第三に、高度民主主義は社會民主主義であるということは社會民主主義、ソシアル・デモクラシーの原理を取入れていかなければならない、こういう意味でありまして、竹尾君の御指摘のような、インターナショナル
關係の理論にはかまわず、これに拘泥せず、とらわれず、真にわが國に必要なる政治原理としての民主主義の徹底をはか
つていかなければならない。殊に民主主義は、漸を逐うて進むのでありますし、また
國民の總意たる民主主義の
方法によ
つて、
産業問題、経済問題、財政問題、政治上の問題を取上げていかなければならない。ここに暴力を否定し、流血の革命を排斥して平和的進行による民主主義の徹底というところに重點をおいて、
説明いたしたのでありまして、私の
説明いたしたこの三つの
内容は、十分に高度民主主義の
説明にな
つていると、今日においても信じているのであります。竹尾君の御
質問に対しましては、同様のことを申してお答えいたしたいと思います。
第二の、農村民主化の問題でありますが、農村
文化高揚のためには、まず農民の生活をよくし、農民の地位を向上するということを、今まで
中心としておりました。この意味におきましては農地調整法は相当大きな役割を演じたいと思います。農奴的な封建的重圧のもとから解放せられまして耕作権を確立し耕作者としての地位を十分に保障する、こういう意味において進行いたしておりまする農地調整法は、まず農民解放として、農村
文化のために大いに働いておると思うのであります。第二といたしまして、
制度的に農民の地位を解放いたしました耕作農民に対しまして、経済的な活動の餘地を與え、農村経済における働く人としての地位を保障するという意味において、農地調整法の
制度改革と相竝んで、將来は農村経済の發展のための各種の法規、
制度というものが制定されていかなければならないと思います。その意味において、現に農林省から提出いたしておりまするところの今日の各法案は、農村経済を向上せしむる意味において、相当役立
つておるものであると思
つております。さらにこれに力を入れまして、肥料の問題でありまするとか、耕作
方法の問題でありまするとか、農具の問題でありまするとかいうような面におきましても、科學的機構を十分に入れまして、その開發に努力いたさなければならないと思
つております。
第三の、社會的に農村
文化高揚のためには、農民の今までの生活水準を上げるべくいろいろの
文化施設を農村に置かなければならないと思います。いわゆる科學の恩澤に十分に浴せしめまして、そうして農民の人間的生活、すなわち
憲法で保障されておりまする健康にして
文化的なる生活を農民が十分に味わうように、社會施設の上において十分に努力しなければならないと考えておるのでありまして、こういう三つの點におきまして、農村
文化のために、農村民主化のために努力するつもりであります。
次の芸術行政に關する御
質問でありまするが、これも先ほどからの
諸君の御
質問にありました
通り、芸術を尊重するの
國民とならなければならない。この意味において
政府といたしましては、まず今日においては文部省を
中心といたしまして、
學校教育、社會教育、
國民の知識水準の高揚のために、芸術を尊重し、勤労を尊重する
國民とならなければならないという社會教育、芸術教育に力點を置いていきたいと思
つております。その行政としては、先ほどの
文化省設置という御
意見がありましたけれ
ども、まず今日においては、経費の少いときでありまするから、文部省をしてその行政の衝に当らしめ、
國民に芸術心を高揚せしめ、芸術を尊重するの心を浸透せしむる
方針をも
つて進んでいきたいと思
つております。大體今のようなお答えで竹尾君に対してはお答えしたことにな
つておると思
つております。