○
成瀬委員 食糧管理法の一部を
改正する
法律案につきまして、
政府委員特に
政務次官に
お尋ね申し上げたいのであります。
食糧管理法は前
内閣以來多くの農村における
供出に絡まる被害、
惨事等もひき起されまして、こうい
つたことは衆議院の本
會議におきましても、私は七月の二十六日に指摘いたしたのであります。おそらく今後におけるところの歴史の上におきましても、
日本の
農民を侮辱するという
意味におきましても、最も醜惡なる
法律である。
從つてこれは現今の
民主主義の原則に則りまして、根本的に
改正するところの必要がある、かように
考えておるのであります。
從つてこの
食糧管理法の
適用は、
政府が
供出に對するところの、
食糧確保に對するところの的確なる、正確なる
資料をもち得ずいたしまして、
法律によ
つて純眞なる
農民を脅迫し、そうしてあまたの
弊害を生ぜしめておるというような
意味におきまして、われわれは斷固として、これらの大幅の徹底せるところの
改正をする必要がある、かように
考えてお
つたのであります。しかし
會期すでに切迫せるところの今日におきまして、これらをぜひ本
國會において戒めていこうということは、はなはだ諸般の點におきまして、
審議の點につきましても遺憾の點があるのでありますけれ
ども、しかしながらこれらの
内容を、また提出せられたところの動機を深く檢討してみますると、現
内閣が
經濟政策の打開のために八項目を發表し、そうして
流通秩序の
確立によ
つて、今日の多難なる
日本の
經濟を建直していこう、
國民生活を安定せしめていこうという
意圖のもとに、これらが
關係しておるものであるということを、われわれは了承いたしておるのであります。
從つてかような
國家全體の上におきまして影響のあるこの
法案に對しましては、その
重要性を認識いたしまして、ほんの一、二の點につきましては所見をお伺いいたしたい。まずこの
食糧管理の修正の第二十
七條の點でありまするが、これらは今までの
營團の
理事長及びその他民間的な
役員が、これを補助
管理するというような構想のもとにおきまして決定されておるということは、私
どもは今までの
營團が、いわゆる半公、半民というような形において、
戰時統制下においてそれらの
機構において、でき得る限り商人の道徳といたしまして、
一般消費者に對する
サービス屋である。そしてこれから
配給を
圓滑を期して行こうというような
心組をも
つておるのでありますが、これをすべて
官吏にするということ
なつたならば、一面においてはその
身分を保障されるという上において、それらに從事する
人々は、
安心感についてたいへん
利益するところがあろうと思いますけれ
ども、しかし
一般消費者の
方面から
考えてみますと、
日本の
封建時代からの
官僚的意識に未だ根強く支配せられて、一
般國民大衆は少からず迷惑をこうむ
つたおる際に、なおこの上に直接食
生活に
關係をもつこれらのすべてを
官吏にするということに
なつたならば、その
態度たるや、必ずそれらの
官吏であるというところの意識的な
立場におきまして、商人的な
サービスということが減却せらてしまうようなことがあるのではなかろうか。また
勤務時間につきましても、必要によ
つては一日十五時間も二十時間も働かなければならぬようなことが起
つてくるのでありますが、もしそれを
官吏といたしましたならば、
職務規程等からして、朝は九時、夕方は四時というふうに、
一般全
國民の
從來におけるいろいろな點から總合して、一方ならぬ不便を感じておる。今までさえも
半官、半民という
立場にいろいろと
弊害を生じ、
營團に對し幾多の
非難があるのでありますが、より以上に
官吏のそういう横暴に還ることによ
つて、
非難が倍加されるのではないかというようにも
考えるのであります。
從つてそこに從事する從業員におきましては、その
身分を保障されるという
意味においてよいかもしれませんけれ
ども、
一般消費者の
立場を
考えてみますと、私はこれは
絶對反對であるというところの
考えをも
つておるのでありますが、かような
官吏にするところの必要、またそういうようなことをしなければならぬという現
内閣の、
流通秩序の
確立の面からする御
意見を承
つてみたいのであります。なおまたすでに
肥料公團等によ
つて實施中のものでありますが、
從來ならば十名で足りてお
つた縣の
職員が五十名に
なつたというふうに、おそらく全國八萬五千のこれらの
食糧營團に從事する
人たちがいわゆる
勤務時間等の
關係から、その人員を倍加するようなことも
考えられるのであります。
行政整理等の
關係によりまして、
政府はでき得る限り
日本經濟の再建のために、それらの
方面の
國家の支出を縮減しなければならない場合に、かような
機構の
改正によりまして、より以上
官吏の増加するということは、時代的な認識におきましてどうであるかという點につきましても、私
ども一應お伺いしたいのであります。かように第二十
七條の點を、もつともつと民主的にひとつ切りかえていくところの必要があるが、これに對してお伺いしたいと思います。もう
一つ、
食料品公團及び
飼料公團の
關係も同じでありますが、
一般消費者に對するところの
立場からいたしまして、
運營と
監査の
二つの
委員會をも
つて、そうして多くの
非難を是正せしめるような民主的の
方面に、私
ども以前の
審議におきましては主張してまいりましたが、この
改正におきましても、それらの案が何らないということは、はなはだ遺憾なことであります。かような點に對するところのそういう
弊害を除去し、民主的な
消費者の
利益を代表するという含みはどこにあるのかということをお伺いしたいのであります。以上二點につきまして
お尋ねを申し上げまして、ただあとに結論として申し上げますが、これらは
日本のこの困難な
食糧の
配給をして、一層
圓滑ならしめていこうという
方針のもとに立案せられたものであろうし、かつまたこういう
會期切迫ということを
知つて、あえてこれを出されておるということは、最も重要なるところの
改正であるということを私
ども痛切に感じておりますので、最大なる可能のもとに本
法案を
審議いたしまして、通過せしめていきたいという氣持は人後に落ちませんけれ
ども、この際にどうか以上の點、また
會期切迫の點につきまして、ぜひこれを通過せしめらければならないところのその
必要性を、この際承りたいと思います。以上申し上げまして、
質問に代えたいと思います。