○細野
委員 私は主として刑事局長にお尋ねしかつたのですが、刑事局長がおいでならぬので、民事局長で御回答願い、御回答できぬものはお取次を願
つて、あしたでもお答え願いたいと思います。第一は、昨年
自作農創特別
措置法の
委員會において問題に
なつたことでありますが、
農地調整法の第十七條の四竝びに五についてであります。終戰後の
土地取上げは、昨年のあの當時の
政府の發表では、表面に現われただけでも二萬數千件に上るだろうという御
答辯があつたのであります。それだけの數多くの
土地取上げがあります中に、
農地調整法に違反した、すなわち
農地委員會の承認を得ざるところの、罰則にひつかかる件數がどれだけあるか、どれだけあつたかという
質問に對しまして、今の佐藤
事務官は、その當時刑事局として一件もない、二十五萬件もあります
土地上げの中で、違法なものは
一つもないという御
答辯であつたが、そんなはずはないのであります。われわれの見聞しておりますのでも、市
町村農地委員會の承認を得ざる不當な
土地取上げがずいぶんあるのであります。これは結局司法省がこの
規定の勵行に冷淡であつたということを
意味するので、當時刑事局長もこの點については勵行するこいう御
答辯があつたのであります。それで私は、第一にこの違法なる
土地取上げで處罰された事例がどれだけあるかということをお尋ねしたいのであります。それから第二點として、昨年の四月一日から
小作料の金納制が實行せられるようになりました。この金納制の違反してもやはり罰則があるのでありますが、
實情はどうかというと、これはこの
委員會でもしばしば問題になりましたように、この
農地改革によりまして、
地主さんの方は一石あたり七十五圓のほとんどまつたく僅少の金額しかはいらぬ。しかも所有地は一
町歩の制限があるのでありますから、かりに一段歩一石として七十五圓の十石、七百五十圓の收入しかはいらない、結局米がはいらないから、正月にな
つてももちも食ベられない。
實際に金納制を實行すればそういうことになる。
小作人の方でみるにみかねて米をも
つていく金納制であるにかかわらず、それが實行されておらないという
事實が非常に多い。
小作人が
地主が氣の毒だというので進んで米をも
つていくという
事情もあるのであります。そういうのは非常に宥恕すべき
實情であると思いますが、そうでなくして、まつたく金納制を
地主の方から破
つて、物納を條件として強要しておるという
實例があるし、何とか米そのものを手に入れたいために、刈りわけ耕作という慣習がなかつたのを、そういつた契約があつたことく假装する。そういつたような脱法行為によ
つて、この金納制を免れよう。こういう事例をしばしば私
どもは聞くのであります。この金納制違反によ
つて處罰せられた
實例がどれだけあるか。こういう點について、司法省はどういうふうな取締りをしておられるか。こういう點を第二點としてお尋ねしたいのであります。それからさらに私が實見した例でありますが、
農地委員會が
農地委員會自身の權限においてある決定をくだす。たとえば
地主を
不在地主なりという認定をしてその手續をする。そうして
土地の
買收計畫を立てる。しかるに
地主がその決定に對して不服であるというわけで、その
農地委員會の決定を公文書偽造なりとて告訴した
實例があるのであります。これは
農地委員會が
自分自身の獨自の
見解で、正當なる職務としてこういう認定をくだしただけなんであります。これを公文書偽造とするなんということはも
つてのほかで、問題にならぬと思いますが、これを公文書偽造の
犯罪の嫌疑ありとして、一應取上げた
警察署がある。かようなことは、一方において司法省
關係はこの取扱いに對して非常に無關心であると言われておりますが、片方に間違つたいき過ぎがある。こういつた點について一應司法省の御
見解を伺いたいのであります。