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1947-10-13 第1回国会 衆議院 農林委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十月十三日(月曜日)     午後二時三十二分開議  出席委員    委員長 野溝  勝君    理事 叶   凸君 理事 鈴木 強平君    理事 寺島隆太郎君 理事 岩本 信行君    理事 大石 倫治君 理事 萩原 壽雄君    理事 北  二郎君       大島 義晴君    佐竹 新市君       田中 健吉君    永井勝次郎君       成瀬喜五郎君    細野三千雄君       水野 實郎君    志賀健次郎君       関根 久藏君    寺本  齋君       中垣 國男君    中島 茂喜君       堀川 恭平君    八木 一郎君       小川原政信君    佐瀬 昌三君       重富  卓君    田口助太郎君       野原 正勝君    益谷 秀次君       山村新治郎君   的場金右衞門君       中村元治郎君    山口 武秀君  出席政府委員         農林政務次官  井上 良次君         農林事務官   山添 利作君  委員外出席者         專門調査員   片山 徳次君         專門調査員   岩隈  博君     ――――――――――――― 十月十一日  農業技術員設置費國庫補助増額に關する陳情書  (第三七七號)  米麥その他農産物價格引下に關する陳情書  (第三七八  號)  農業保險法改正に關する陳情書外八件  (第三八  〇號)  竹材加工業に關する陳情書  (第三八四號)  食糧對策に關する陳情書  (第三八五  號)  造林事業強化に關する陳情書  (第三八七號)  農業協同組合法案一部修正に關する陳情書他十  一件  (第三八九號)  政府木炭代金支拂に關する陳情書  (第三九四號)  農業協同組合法案中第九條第三項削除反對に關  する陳情書  (第三九五號)  農業協同組合法案一部修正に關する陳情書他十  四件  (第四〇〇號)  農地制度改革に關する陳情書  (第  四一一號)  福岡縣における國營干拓事業施行促進に關する  陳情書(第四一五  號)  主要食糧均霑配給に關する陳情書  (第四一八號)  爐の實割當の地方移管に關する陳情書  (第四二四號) を本委員會に送付された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  農業協同組合法案内閣提出)(第二九號)  農業協同組合法制定に伴う農業團體整理等  に關する法律案内閣提出)(第三〇號)     ―――――――――――――
  2. 野溝勝

    野溝委員長 會議を開きます。 これより農業協同組合法案及び農業協同組合法制定に伴う農業團體整理等に關する法律案兩案を議題といたします。  この兩案は九月十八日に質疑を終了いたしました。本日はこれより討論にはいりたいと思います。討論兩案を一括して行うことにいたしたいと思いますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野溝勝

    野溝委員長 なお討論については、各黨におきまして修正竝びに附帶決議内容を織りこんだ討論を行うことにいたしたいと思います。  なお共産黨から討論に先だちまして申出がありました。これを簡單に朗讀いたしたいと思いますが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野溝勝

    野溝委員長 では簡單に朗讀いたします。  一、土地改革の徹底  二、適正利率による長期短期農業資金の貸付及び農業生産に直接間接必要な資材の供給の優先的確保  三、農業生産共同化及び農業技術向上のための積極的助成  四、部落農業團體完全解體  五、電力事業法等農業協同組合事業を制約する統制法規の改正  六、公職追放者及び昭和十二年七月七日より昭和二十年九月二日に至る間、農會法産業組合法及び農業團體法に基く農業團體役員であつた者農業協同組合役員より排除するための行政的措置  七、解體さるべき農業會農業協同組合設立運動を行うことを抑制するための行政的措置 以上でございます。これは理事會において協議の結果、ある部分におきましては附帶決議の方に相當織りこんであるから、一應報告することに止めておこうという意見がありましたので、さよういたします。  では討論にはいります。討論の順序といたしまして、社會黨に發言を許します。大島委員
  5. 大島義晴

    大島(義)委員 私はただいま議案となつておりまする農業協同組合法竝びに農協協同組合法制定に伴う農業團體整理に關する法律案、この二つに對しまして、ごく一部の附則修正を除きました原案贊成するものであります。以下簡單にその贊成理由を申し上げたいと思うのであります。  いまさら申し上げるまでもなく、日本民主化のためには、日本の全人口過半數を占める日本農村民主化なくしては、日本民主化というものは徹底するものではないのであります。從いまして日本農地開放の指令、あの線に沿うて農地開放が現に行われつつありまして、しかもこの農地開放の裏づけといたしまして、今囘行われるところのこの農業協同組合法に對しましては、われわれは全体的にこれを支持するものであります。しかしながらその内容といえども必ずしも完全無缺のものとは言えないのでありまして、この點に關しましては、すでに理事會において決定しております附帶決議があるのでありますが、この附帶決議條項を申し上げますると、  一、農業協同組合事業に關連のある食糧管理法酪農業調整法馬匹法其他許可認可を要する關係法は、農業協同組合事業發展の助長のため速かにこれも改廢すること  二、農協協同組合事業達成を圖るため、金融の自主的確立に關し充分なる措置を講ずること  三、農業協同事業達成を圖るため、技術員制度確立し、併せて研究機關を設立すること  四、森林組合漁業組合等農山漁村に對する協同組合組織確立に關し速かに法的措置を講ずること  五、政府養蠶畜産等農業の各業種の健全なる發達を圖るための本法施行に當り特に育成措置を講ず ること  六、同一地區内二つ以上の同種組合が設立される場合は、組合員の二重加入を認めざる措置を講ずること  七、農業會資産處分禁止については、嚴重監督をなし、遺憾なきを期すること  八、農業團體解散に當りその資産の分讓については、組合員意思を尊重し、合理的且つ能率本位にその處分の途を講ずること  九、農業會の解散に伴う農業會職員の處置に關し適當なる措置を講ずべきこと  十、公職追放令該當者たりし者は、農業協同組合役員に就任せないよう措置を講ずること  十一、議決權を行使する代理人は組合員たるべきこと  十二、政府農業協同組合設立育成に關し積極的な援助を行うこと  十三、農業協同組合法運營上加工場の新設、運搬業開始等他官廰の許可を要する事項が多いから、主官廰は本法運營上支障を來たさないよう責任を負うこと  十四、非出資組合に對しても出資組合と同様に課税しないこと  十五、第四十條第一項の總會准組合員を除く總組合員の半數以上が出席しなければこれを開けぬよう措置を講ずること  以上十五項目にわたる附帶決議を附しまして、本案贊成するものであります。この附帶決議内容につきましては、一々私が説明を申し上げる必要もないと思いますので、これは御熟讀を願えば、もちろんそれのみで差支えないのでありますが、とにかく今後の日本農村が、いずれにいたしましても今までの經營形態を脱却して、多角的な經營、集約的な經營をして、農村の自主的な自活の道と民主化をはかります上においては、本協同組合法案内容修正に對しましては、私どもは同意しかねるのであります。從いまして原案をこのままにいたしまして、その最後附則の一部を改正いたしまして、この附帶決議を附して本案贊成いたすものであります。はなはだ簡單ではありますが、賛成の理由を申述べた次第であります。次に修正案内容を申上げます。農業協同組合法附則であります。それは原案には「この法律施行期日は、政令でこれを定める。」こうあります下に、「ただしその期日はこの法律公布の日から一箇月を經過した後の日であつてはならない。」かように修正するものであります。その次は、農業協同組合法制定に伴う農業團體整理等に關する法律案、このやはり最後附則であります。「この法律施行期日は、政令でこれを定める。但し、第二條規定は、公布の日から、これを施行する。」こうありますのを、「前項政令で定める期日は、この法律公布の日から一箇月を經過した後の日であつてはならない。」これを加えるのであります。
  6. 野溝勝

  7. 八木一郎

    八木委員 民主黨といたしましては、ただいま提案になつておりますこの二法律案原案に、附則一部修正を含めまして贊成をいたし、きわめて速やかなる機會における、可決確定成立實施の運びに至らんことを望みます。この法律農民協同組織發達を促進し、もつて農業生産力の増進と、農民經濟的社會的地位向上をはかり、あわせて國民經濟發展を期することを目的とすること法文に明記の通りでありまして、日本農村は今現に敗戰日本建直しのために、農地改革の基盤の上に立ちまして、農民解放農村民主化の大道をきり開こうといたして、昭和二十年、一九四五年のかの十二月九日連合軍から日本政府に寄せられましたところの、いわゆる農民解放令以後今日まで、一年半歳有餘を經過してまいつているのであります。この法律によりまして組織できることになります農業協同組合はこの一年半歳有餘にわたるかかる努力への一つの重要な組織をなさんとするものでありまして、われわれはこの大きなれきしの流れに副いまして、わが農村が、大きく新らしく脱皮する時期に際會しているという自覺のもとに、この法律案提出をみるに至るまでのこの期間、この一年有餘の間に、關係筋から有力な指導も受けている點が多々あることをも、率直に認めまして、内外の客観的諸情勢よりもいたしまして、農民の自由なる意思を主體とした自主的農業協同組合そのものから、ただちに日本農業近代化農業經營合理的刷新か生まれてくるものではないかということは言うまでもありません。われわれはこの組織日本農業發展のために役立たせたい念願からいたしまして、理事會において決定をみ、ただいま大島委員が讀み上げになりました附帶決議をそのまま贊意を表しまして、一日も早く施行の日を待つものであります。  古くから日本農業は海に結びついて發達したものだという言葉が言われておりますが、漁業との相互關係において成立つたわが國の農業は、國民榮養蛋白はこれを海の魚に求め、肥料またこれを海の魚に求めておる。これに反しまして、外國農業は山と結びついて發達した農業だ、畜産が中心であつて、遊牧的な農業組織によつて國民榮養もまた蛋白をその家畜に求め、肥料もまた堆肥等に求めておるということを言われておりますが、わが國の農業現状は原始的な鋤鍬農業でありまして、いつまでも畜力機械力を使うところの技術が幼稚であるということは、だれもが認める否めない事實でございまして、勞働生産性を非常に低くしておるわが國の現状におきましては、農民が一人で人口を養い得る負擔力はまことに少い。アメリカの三十四人、イギリスの十六人、デンマークの二十八人、ソ連の三人六分に比しまして、わが日本はわずかに一人九分六厘といふ情ない状態でありまするから、農業作業機械化畜力化の問題を技術的に解決していくということは焦盾の急務であると思うのでありまして、アメリカが一八〇〇年當時に、國民の大部分、九七%までが農民でありましたのに、順次減退しまして、今まではわずかに二五%の農業に從事する者の力によりまして、しかも一人當りの食糧は殖えておる。かような農業の中に畜力機械力を大規模にとり入れた結果が教えておる事實は、わが國におきましても、局部的な地方的な事實といたしましては、かような事例が全然ないでもありません。しかし農村人口があり餘つて耕地が細分化いたしておりまする現状におきましてはただちにアメリカのこの事例をもつて云々いたしましても、そんなことは空念拂だという聲もあることだと思いますが、われわれは機械仕事を殖やし、仕事が殖えれば多くの人口が維持、包擁ができるし、經營多角化が地についてくると固く信じております。農業經營多角化も、從來言われておるような零細な個人經營内多角化ではなくして協同組合の中にある專業的な農業者が多角的に結つき、科學的に結合して、總合力を發揮していくような經營を考えたいのであります。このためには農地所有權を細公化されておりまする日本農業者協同組織農民協同組織組合の健全な發達にまつ點はきわめて多いということは、ここに喋々を要しないと考えますので、この機會にさような點に、もつと具體的な考えを敷衍して申してみますならば、單純な耕種農業で、かりに延勞力を百人必要とする場合に、勞働生産を高めまして、能率化をはかることによつて三十人で濟む場合、殘りの七十人が加工業とか、畜産とか、養蠶とかそれぞれの分業的な專業技術經營の能力を發揮するようにする方向に組織を通じていたしてまいりまして、農工一如堅實農村工業發展する總合力を發揮するようにすることが何よりも必要なことであると信じておるのであります。これなくては、この法律の第一條規定いたしておりまする、農民協同組織發達を期し得ないとさえも信ずる次第であります。古來戰争農業の問題についても定説がありまして、われわれもその面にぶつかつておりまして、今日戰争の濟んだ當座の、餓死者を出すほどに逼迫した食糧事情も、年ならずして立直り、戰時中戰場え送つてつたところの食糧生産國は、戰争が濟んだことによつて過剰生産をもたらして、今日の事態が夢のような時代になつてまいり、農業恐慌の迫つてくるということも覺悟いたしてこの法案を審査いたしますると、今日の日本の再建がなるかどうかは、實は明日のこの農業危機えの恆久的對策を立てて、これを今日の急場の間に合せることだということを堅く信じますがゆえに、われわれはきわめて速やかな機會に、この法律成立實施せしめまして、自作農土地制度の上に立つ協同組合を結成し、新しい村づくりの巨歩を固められんことを望むや切なるものがあるのであります。  最後一言特に附言いたしたい點があります。それはこの進歩的な農民組織は實は内部から盛りあふれ出たものではなくして、いわゆる農民解放令に端を發しておるという現實を率直に認めなくてはなりません。外部から與えられた組織は、民衆の意識が伴つていない場合、それは進歩的な役割を果し得ないということはまた歴史が教えておるのであります。かの一八九八年、アメリカ合衆國の領有に歸しましたフィッピンが、土民解放の線に沿うたきわめて良心的な立法がありましたにかかわらず、スペイン時代に築き上げられました封建的性格を脱却することなくして今日に至つておるということは、われわれがこの法律施行にあたつて心すべき他山の石であるということであります。われわれはしかしこの新組織を前にいたしまして、わが農民が内農村内部の對立を排し、外政黨政派を超越いたした強い團結のもとに、地位を望まず、名譽も欲せず、職をも追わず、ひたすらに人生勤勞なり、勤勞人生なりという尊い勤勞人生観に徹して、情勢のいかなる變化にも斷固守り抜こうとするあの鐵の意思をもつて、國の糧を賄つてくれます眞に働く農民が、耕作農民各位が主體となつて、ここに立派な農業協同組合の結成される日が近きにあるということを堅く信じまして、民主黨を代表し、本法律案贊意を表明する次第であります。
  8. 野溝勝

  9. 小川原政信

    小川原委員 私は自由黨を代表いたしまして一言修正意見を申し述べ、次に附帶決議を申し上げたいと考えるのであります。  農業協同組合法案第九條第三項の規定に「みずから前項に掲げる業務を營み、又はこれに從事する者が行う薪炭生産事務(これに附随する業務を含む。)は、この法律適用については、これを農業とみなす。」こうありますものを、修正いたしますものは「みずから前項に掲げたる事務を營み又はこれに從事する者が副業として薪炭生産する場合はその業務(これに附随する業務を含む)についてはこの法律適用することができる。」かように修正いたそうと考えております。その理由といたしましては、農業會の後身となるべき協同組合に對しまして、林産物たる薪炭取扱いをやらせようということは法制化せんとするものであります。この薪炭はすでに森林法制で明らかにその取扱いができております。その體系規定されまして、中央地方ともに整然としてこれらの林産物の處理に任じておるのであります。今日現行農業團體法にさえ規定されていない林業部面に屬する、しかも主要林産物たる薪炭取扱い農業とみなすことは、林業體系を攪亂せしめ、林業經營總合性はもちろんのこと、治山治水に關連する森林施業公益性を破碎するものであつて國策上まことに遺憾なる問題であります。薪炭製造農業ならば、農家の行う漁業工業もみな農業と言われなければならないのであります。かかる一方的な、偏重的な立法民主的立法でないと斷定することができます。これは當然排除すべきである。從つて農業協同組合はいわゆる農業としての本然の姿に立脚したる體系に法制化することを最も妥當なりと確信するものであります。しかしこれを一歩讓りまして、農業營むものの中で薪炭業營むものがあつたとしたならば、これ副業とすることがいずれにも差支えない最も妥當なる方法と確信しますがゆえに、右の修正案提出したのであります。何とぞ各位におかれましては御贊成を願いたいのであります。これがごく簡單でありますが、修正案理由であります。  次にわれわれの先日來申し述べましたことについて、ここに一言申し上げたいのであります。各位が御承知のことや九十一議會、九十二議會の前内閣當時自由黨進歩黨社會黨の御了承を得まして、私ども農事協同組合法案なるものをつくつたのであります。これは申し上げるもでもなく、農業民主化をはかり、日本の國の農業發達を來そうという心構えからこれをいたしたのでありますが、遂に審議未了終つてしまつたのであります。まことにこれは遺憾と考えておるのでありますが、今日ここに協同組合法案が現われましたが、この法案は御承知のごとく政府がわれわれの精神を酌みとられまして協同法案の作成になつたのであります。ゆえに私はこの協同法案を考えてみますに、われわれが民主化していこうというこの考え方の上からみますと、農業という言葉がいかにも私ども贊成をいたしません。先年皆さんの御贊成を得ましたことく、農事と改むべきことが至當であると考えたのであります。それで第一條におきまして、農業の下に「農業畜産及び養蠶の」という字を入れたいと考えたのであります。これは畜産養蠶農業從屬的關係であつてはならない。農業というものは、耕作農業畜産養蠶とが同列に行わなければならぬというので、この農事ということを考えた。これがすなわちわれわれが民主化の最も根本とするものであると考えたのであります。  第九條におきまして、本文を削つて「この法律において、農業とは耕作業務をいい、畜産とは牛、馬、緬羊、山羊、豚、家禽、家兔、及び蜜蜂(以下家畜という)の生産所有若しくは飼養又はこれらの家畜生産物加工業務をいい、養蠶生産業務をいう。前項業務に附随する業務はこれを農業畜産又は養蠶業務とみなす。  家畜による輓曳、牧野經營及び野生獸の飼育は、この法律適用に關しては、これを畜産とみなす。」こういうこまかいことを書いておくことが、やがて畜産というものが非常に重大視化されるという目安の上にこの問題を取入れたのであります。かようなところはこまか過ぎるとおつしやる方がありましようが、しかしものというものは、すべていろいろの場合におきましても強調をしておくこと、それ自體が、やがてその事業を強調せしめるゆえんでありますから、かようにいたしたいと考えたのであります。  第二章の第十條の九と十との間におきまして、九をいれまして「農事に關する害蟲驅除家畜衛生其の他防疫」、十を入れまして「家畜登録」こういうこともそこに挿入したいと考えたのであります。  第十二條第一號の「農民」という文字を削りまして「農業畜産又は養蠶業務を營み又は是等業務に從事する者」かように考えたのであります。  それから第十六條の但書を削つてしまいたい。  第三十條の末項のところの「(准組合員及び法人たる組合員云々)」を削除してしまつて、そこに「(組合員團體である場合にはその業務を執行する役員を含む)」  「總會に於ける役員選任議決總組合員の半數以上が出席して、その議決數の三分の二以上でこれを決しなければならない。但し定款に特別の規定がある場合にはこの限りでない。  前項定款は、創設總會において、役員を選任する場合にこれを準用する。」こういう點が最もおもなる點でありまして、こまかいところはございますが、くどくどしいからそれを除きます。これらが一番重要な點であります。その理由は何かと申しますと、御承知のように、わが國の農業將來いかようにいくかということを考えてみますと、非常に多難であります。この平野の沖續統部分はもはや農業を營んで、多くは最も傾斜面酸土の強い安山岩質の痩土の開墾であります。この中にあるいは酸化鐵發達し、あるいはロームが發達いたしまして、化學肥料やあるいは魚肥をもつて肥料を行うまいとしましても、この生産ははなはだむずかしいのであります。殊にわが國は御承知のごとく雨量が多いのでありまして、耕土が雨によつて流される、こうなつてきますと、この土を防ぎ、そしてやせ土を肥やすということは何でやるかと申しますと、言うまでもなく家畜によらなければならぬので、この協同法案家畜というものは最も大きな問題であると考える。今どなたかお笑いになりましたが、子どものするようなことでも、ここに書きまして、そしてこれを強調することが、わが國農業將來に備えるという點において、最も重大な關係があると考えたからであります。その上において體位向上をはかりあるいは衣料の改善、食生活の改善問題等、われわれ國民とし、あるいは人間としての基本的な要素は畜産にまたねばならぬのであります。その畜産農業從屬的なものとの観念をもつておるということは、畜産を重大視する心が緩むことになるので、いかなる場合においても、わが國の農業は他の國の農業とは違つて皆さんの常に申しておられる通りに、畜産を基本にせねばならぬということは私もそれに同感であります。ゆえにこの協同組合法においては、いろいろの組合組織されますけれども、特にここに強調いたしたものはそこにあつたのであります。その點十分に御了承願いたいのであります。現在皆さんが御承知ではございますが、私ども自由黨としても杞憂しておるところは何であるかと申しますと、牛が戰前において二百四十萬頭おりましたものが、戰後は二百萬頭になつたのであります。馬が百五十萬頭ありましたものが、今日は九十萬頭になつたのであります。豚が百萬頭つたものが八萬頭になり、鶏が五千四百萬羽つたものが、千五百萬羽、兔が六百六十萬頭つたものが、百八十萬頭、肉は十二キロトンをつぶしておつたものが、今日は三キロトンしかつぶさない。卵は三千六百萬個つたのが、今日は千三百萬個、牛乳は二百萬石つたのが、今日は百萬石、それに伴うて乳製品が二萬キロトンあつたのが、一萬キロトンになつて、そして赤ん坊も飲めないというような、實に悲惨な状態に相なつたことは、われわれとして一刻も早く復活せなければならぬ。馬のごときは原産種がもはや絶えんとしておるのであります。やがて皆さんの前に請願をいたさうとしておりますが、こういうわけでありまして、動物を養護育成していくということは今日を待つて明日できることではない。皆さん承知通り、數年の後を待たねばならぬ。その數年の間というものは一年後なればまた數年の間後れるというようなことで、實に國家の重大場面に直面いたしておるのでありまして、ここにおきましてわれわれは畜産の最も重要問題であるということを強調いたして、この法案をつくりたい、かように考えたのであります。それで過日來の皆さん方とのお話合いによりまして、あまり對立的であるということになつたので、われわれも一歩を讓りまして、この附帶決議は同調いたしましたけれども、われわれの精神のあるところは、單に對立的な精神ではない。ほんとうに國を救いたい。どうしても畜産というものをこの法案の中に入れたい、こう考えたのであります。これを從來の例によりますと、戰争中に牛を農業にいれました。そしてその數が殖えたかと申しますと、その數が非常に減つたのであります。殊に皆さま御承知のごとく、北海道は牛については非常に發達しているとおほめの言葉を頂戴するのでありますが、この北海道におきまして、初めうちは農業會畜産部を設けたが、これは農業であるから一緒にする方がよいと言つて畜産部をとつてしまいましたので、牛はほとんど形を失つてしまつた。われわれは何もこれを農業に入れることは否む者ではないのでありますが、人間の精力には限りがありますので、並行的に進むというわけにはなかなかいかぬ。ゆえに常に單行的に進んでいくことが、その業務を最も發達せしめるものであると考えるのでありまして、ある程度まで發達をいたしましたならば、農業會畜産をやりましても、私どもはこれにかれこれ申すものではないが、ある程度の進歩發達をはかるためには、力をわけていつた方が早いと考えて、かく申述べたような次第であります。ゆえにここにごく簡單ではありますが、その理由を申し述べまして本案附帶決議贊成の意を表する者であります。
  10. 野溝勝

    野溝委員長 國民協同黨萩原委員
  11. 萩原壽雄

    ○萩原委員 國民協同黨を代表いたしまして簡單に申し上げます。この法案農村民主化農業再建にきわめて影響するところの多い重要な法案でありまして、それだけにいろいろと意見もありますが、あくまで協同主義に徹しまして、自由の原則に立つて農民の主體性と經濟の自主性とを確立しておる大筋のところは整つた法案と思います。一面、農業團體の解散を目捷に控えまして、農民大衆の切望切なるものあり、これ以上遷延を許さないので、大島委員の發議の通り附則の一部を修正し、付帶決議を付しまして原案贊成するものであります。しかしながら十數項目にわたる附帶決議に示されておりますることは、今後の運營に當りまして幾多の問題が殘されておることを意味するものと思われます。政府はこの點に鑑みまして、なお協同組合の使命達成のために、これが活動を阻む一切の惡條件を排除して、經濟の健全な發展のために萬遺憾なきを期せらるるよう、積極的處置を講ぜられますよう特に要望するものであります。
  12. 野溝勝

  13. 北二郎

    ○北委員 ただいま小川原委員から畜産の重要性に關してかなり話がありましたが、この際皆さんにお諮りしていただきたいことは、畜産の小委員會をつくつていただきたいことであります。
  14. 野溝勝

    野溝委員長 北委員に申し上げます。議題外でありますから、その點は後刻にまわしてください。
  15. 北二郎

    ○北委員 私は農民黨といたしまして、この協同組合法案をつくることには兩手をあげて贊成でありますが、しかしこの法案内容を見まして、二、三の修正をしなければ絶對に承服しがたいものであります。その内容におきましては、第一條に「この法律は、農民協同組織發達を促進し、以て農業生産力の増進と農民經濟的社會的地位向上を圖り、」とありますが、その次に「竝びに農民生産物の販賣、生産基準に關し、農民團結する權利及び團體交渉權その他團體行動する權利を保障し、」を挿入し「併せて國民經濟發展を圖る目的とする。」と修正を必要とするのであります。なぜならば、憲法第二十八條によりまして勤勞者の團結權、團體交渉權、團體行動權が保障されているのでありますが、法律で定められた機關以内で一時的に集團の行動が頻發する場合、社會的不安を惹起する憂いがあるが、現在あらかじめ國家機關が交渉する相手方がないから、この法律協同組合農民團結の機關として確認するならば、常に政府または行政機關はこれと交渉いたしまして、あらゆる問題を事前に解決することが容易であるのでありまして、幾多の農民團體に對して諸種の複雜多岐なる折衝の必要がなく、農業協同組合一本の交渉で解決ができるのでありまして、本法案に絶對明文化することが必要なのであります。かつまた従来のごとき封建的農奴にひとしき官僚獨裁の農民生活を改善して、民主的に農民を解放するには、農民團結權行使の機關が絶對必要であります。もしまた農業協同組合農民團結權行使の機關として明文化しないでも、農民が協同の組織團結權の行使、團體行動權を行つても、これを告發することは憲法が絶對に許さないゆえに、農業協同組合團體行動の機關であることを明かにして置くことが複雜化を防ぎ、社會不安を除き、農民の前途に光明を與えるものであるから、ぜひ憲法二十八條の勤勞者の團體機關であることを明文化しなければならない。けさほども今年の米價に對して九州からこういう電報が参つております。「米價二千四百五十圓、ほかにかます代百圓に定められたし、もし農民の犠牲を強いるときは重大なる事態をひき起こすことあるべし、九州農青連盟」と書いてありますが、こういう電報は五通も六通も來ております。要は公正な價格が生産物を出荷させ、物交を必要としない配給機構によつて生産者の組織體に扱わせたならば、割當とか強權がなくてもきれいさつぱりと百パーセント出荷さます。官僚やこれと行動をともにする政治家たちの、農民は奴隷のごとくたたきつければいいという考え方から、この未曽有の危機を生じたと言つても過言ではないのであります。國民の四分の一の眞に働く農民が、萬苦を拂つて強度の勞役に從い、しかも國民食糧が十分にできないのであります。一人で三人分の食糧すらできないのであるが、働く二千萬の農民もその家族も、教養の時間もなく、新しい文化にも接し得ないのであります。また増産の研究も合理的な農法を考える餘裕もできるものではないのであります。徳川三百年封建時代の武士に代る官僚にむち打たれて、酷使されている農奴的農業では、いつまで經つても一段あたり二石、しかもこれがさらに減じていくのであります。反對に人口は殖え、領土は狹くなるのでありますが、解放された農民農業であれば、今思わぬほどの増収ができるのであります。三石ないし四石の生産はできる革新農業となるのは何でもないのであります。人口がたとえ一億になりましても、絶對に心配のない日本農業となることができるのであります。しかし農民のあの苛酷な勞働、その成果である農産物が、官僚の名づける二束三文の價格で強奪されている。インチキパリティ計算の價格、これで強權で多數の農民が慘虐な策略に遇つているのであります。たとえば硫安の消費者價格にいたしましても、一トン六千圓でありますが、生産者價格は八千圓ないし九千圓になるかもしれないのでありますが、これでは硫安を使うよりも米を肥料にした方がずつと經濟的なのであります。新物價體系などと宣傳して、資本家の言うがままの値で、硫安にしても石炭にしても、この緊急なときでもなお四%の利潤を認めているのでありますが、今日のごときは一銭の利益がなくても我慢すべきであるのであります。こんなような國管とか國營とかでは大變で、この負擔はみな農民勤勞者にくるのであります。先ほど言いましたパリティ計算にいたしましても、これは物價廰の中で勝手にきめるべきではないと思うのであります。民主的にこれこれと比較すると明らかにすべきでありまして、官廰獨裁のパリティ計算は何の値をなすか、国民の疑惑のないようにしなければならないと思うのであります。まつた農民を欺くパリティ計算としか思われないのであります。何ゆえ生産者代表、消費者代表も加えた基準物價をきめたところの正しいパリティでやらないのか。そうしますれば、強權がなくとも今の割當がなくても、農業生産調整法がなくとも、百パーセントの米が農産物が出るのであります。まだまだ食糧は出まわると思うのであります。それがためには、どうしても増産をするためには農村にこの團體行動權を認めなければならないと私は思うのであります。  次に第十條の第五項でありますが、これは重大な、協同組合連合會の金融事業の分離でありまして、絶對に私どもは反對するのであります。金融事業を連合會よりとつて連合會の資金の道を止め、連合會の運營をできぬようにする重大魂膽があると思うのであります。すなわち金融財閥、金融業者及び官僚によるところの中央金庫に金融權を掌握せしめ、農民協同組合による事業も金融によつて活殺自在にできるものであつて、今日の農村民主化を根本から破壊するものであります。  次に第五十九條でありますが、これは許可主義でありますが、これは届出主義でなんら弊害なきことは、勞働組合によつて實際にみるべきところにして、許可主義は官僚の勝手なり、あるいは政黨所屬の長官などにおいて御便宜主義となり、黨勢擴張をする資材に惡用される憂えがあるのであります。あるいは許可期限の制限とか、あるいは許可をしない場合の裁斷など、まつたくこんなものは無用でありまして、これは官僚の人員増加の手段にすぎないと思うのであります。殊に經濟行為をなす團體でありますから、組合員みずから十分考慮愼重にするもので、許可主義のごときは官僚が組合員農民大衆を輕蔑するものでありまして、斷じて許可主義に反對するものであります。  次に第九十三條の監督機關でありますが、これは組合の監督は依然また行政府がやるようになつておりますが、私ども意見といたしましては、監事がこれを行い、監事は組合員事務業務、財産状況をいつでも檢査して、不正の疑のあるときは、監事は總會を召集いたしまして報告すればよろしいのでありまして、監督は組合員が自主的にやるべきであつて、行政廰にやらせることは農民があくまで官僚に附屬することとなり、農民民主化を害するものであります。以上の修正意見を述べまして、修正がされなければ私はこの法案に斷じて承服しがたいものであります。
  16. 野溝勝

    野溝委員長 附帶決議についての意見はいかがですか。
  17. 北二郎

    ○北委員 附帶決議贊成であります。それから農業團體解散、これも贊成であります。
  18. 野溝勝

    野溝委員長 討論は終局いたしました。これより採決いたします。  まず農業協同組合法案について採決いたすことにいたしたいと思います。各派共同提案の附帶決議を附するに贊成の諸君は御起立を願います。     〔贊成者起立〕
  19. 野溝勝

    野溝委員長 起立少數、よつて自由黨提案の修正案は否決されました。——次に日本農民黨提案の修正案贊成の諸君の御起立を願います     〔贊成者起立〕
  20. 野溝勝

    野溝委員長 起立少數、よつて日本農民黨提案の修正案は否決されました。——次に各派共同提案の農業協同組合法案修正案贊成の諸君の起立を願います。     〔贊成者起立〕
  21. 野溝勝

    野溝委員長 起立總員。よつて各派共同提案の修正案は可決せられました。——次に農業協同組合法案修正案を除いた原案贊成の諸君の起立を望みます。     〔贊成者起立〕
  22. 野溝勝

    野溝委員長 起立多數、よつて修正部面を除いた原案原案通り可決いたしました。これにて農業協同組合法案附帶決議を附して修正議決することに確定いたしました。(拍手)  これより農業協同組合法制定に伴う農業團體整理等に關する法律案について採決いたします。本案の各派共同提案の修正案贊成の諸君は起立を望みます。     〔贊成者起立〕
  23. 野溝勝

    野溝委員長 起立總員、よつて本案修正案は可決せられました。  次に本案修正部分を除いた原案贊成の諸君の起立を望みます。     〔贊成者起立〕
  24. 野溝勝

    野溝委員長 起立總員。よつて修正案を除いた原案原案通り可決いたしました。これにて農業協同組合法制定に伴う農業團體整理等に關する法律案修正議決に確定いたしました。     —————————————
  25. 野溝勝

    野溝委員長 次にお諮りいたしますが、去る二日本委員會において不採決とすべきものと議決いたしました農業協同組合法案第九條第三項の修正に關する請願及び農業協同組合法案一部修正に關する陳情書ほか四件の陳情書については、請願及び陳情書取扱い上さらに愼重に期したいと思いますので、いま一度御檢討を願いたいと思いますが、いかがにいたしましよう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 野溝勝

    野溝委員長 それでは異議なきものと認めまして、そのように決定いたしました。  本日はこれにて散會いたします。    午後三時二十九分散會