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1947-09-20 第1回国会 衆議院 農林委員会 第22号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十二年九月二十日(土曜日) 午前十時五十三分
開議
出席委員
委員長
野溝
勝君
理事
叶 凸君
理事
清澤
俊英君
理事
鈴木 強平君
理事
萩原
壽雄君 佐竹 新市君
成瀬喜五郎
君 平工 喜市君
細野三千雄
君 水野
實郎
君 小林
運美
君 関根
久藏
君 圖司 安正君 寺本 齋君
中垣
國男君 八木 一郎君 重富 卓君
田口助太郎
君
益谷
秀次君 松野 頼三君 森 幸太郎君
中村元治郎
君 山口
武秀
君
出席政府委員
農林政務次官
井上 良次君
農林事務官
山添
利作君
委員
以外の
出席者
專門調査員
岩隈 博君 —
——
——
——
——
——
——
本日の
會議
に付した
事件
開拓者資金融通法
の一部を改正する
法律案
(内 閣提出、
参議院送付
)(第四五號)
農産種苗法案
(
内閣提出
、
参議院送付
)(第四 八號)
農業資産相續特例法案
(
内閣送付
)(豫第一二 號) —
——
——
——
——
——
——
野溝勝
1
○
野溝委員長
會議
を開きます。
會議
に付する
議案
について、先般
政府
から一應提案の
説明
がありました、續いて
質疑
に移ることにいたしたいと思います。
議案
は
開拓者資金融通法
の一部を改正する
法律案
、これはすでに
参議院
の方は可決になりまして、こちらへ送付された
議案
でございます。
農産種苗法案
、これも
参議院
において可決され送付された
議案
でございます。
中垣國男
2
○
中垣委員
この
委員會
に提出されております
農産種苗法案竝びに開拓者資金融通法
の一部を改正する
法律案
のいずれも
政府側
の御
説明
によりましてよくわかつておりますから、
討論等
を避けまして、早く
委員會
で可決して上程せられるような
手續
をとられることを希望いたします。
野溝勝
3
○
野溝委員長
中垣委員
にお尋ねいたしますが、三案を一括してですか、あるいは
二つ
だけですか。
中垣國男
4
○
中垣委員
二つ
だけです。
野溝勝
5
○
野溝委員長
ただいま
中垣委員
の
動議
がありました。
開拓者資金融通法
の一部を改正する
法律案
、
農産種苗法案
、右二案を
質疑
を省略して可決されんことを望むという
動議
がありました。お諮りいたします
——
ただいまの
中垣委員
の
動議
に對して決をとる前に
委員長
といたしまして、一
應萩原委員
から
簡單
なる
質問
があるようでありますから、これを許した後においてこの
贊否
を問うことにいたしたいと思います。
萩原壽雄
6
○
萩原委員
ちよつとお尋ねしたいのですが、この
種苗法
第三條の但書の
種苗業者
以外の者が販賣する場合でありますが、これを
具體的
に御
説明
願います。殊に
農家
が
いろいろ種
を賣つたりする場合、こういう場合を指すのでございましようか。
山添利作
7
○
山添政府委員
お話の通りでございます。
野溝勝
8
○
野溝委員長
ただいまの
中垣委員
の
動議
に對して
贊否
を問いたいと思います。御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
野溝勝
9
○
野溝委員長
では右二案は
質疑
を省略いたしまして、可決することにいたします。 —
——
——
——
——
——
——
野溝勝
10
○
野溝委員長
次に
農業資産相續特例法案
、
右法案
を議題に付して御審議を願うことにいたします。一
應本法案
について
政府當局
から逐條的に
説明
を願うことにいたします。
山添利作
11
○
山添政府委員
逐條説明
を申し上げます。
政府次官
からこの
法案
の
提案理由
の
説明
がございましたが、骨子は二點でありまして、第一點は
農業資産
を物として
分割
しないで、一人の人が承繼する。その一人たるや
農業
を承繼する者でなければならぬ。
農業
を
實際
に營んでいく人、この人が一人
相續
するときが第一點であります。第二點は物の
價格
の
關係
においての相
續分
に、
農業
を承繼する人に多くの負擔をかけないという
意味
において、
特別相續分
を認めたということであります。すなわち
從來
でありますと
家督相續
の
制度
によりまして
農業資産
であろうと、その他の
資産
であろうと、一括して
長子
が
相續
をしたのでありまするが、新
民法
、また
民法
の
應急措置法
によりましてこれが
均分相續
になつた。そこで物として一括して
相續
すると同時に、
價格
としての
相續
の
割合
につきましても、全體の
相續
財産
の二分の一を超えない
範圍
において
農業資産
の
價格
の全額を
特別相續分
として
農業資産
を受け
繼ぐ人
が特別にもらう。その殘りの
財産
、すなわち全
財産
の二分の一に相當するものを
兄弟等
の
共同相續人
が分け合う。こういう
關係
になつておるのであります。この
二つ
の點が中心でありまして、その他には何ら
民法
の
原則
に變つたことはございません。 それでは逐條にはいりまするが、第
一條
に關しましては
法案
の
目的
を掲げただけでございまして、歸するところ
農業資産
の
細分化
を防止して、
農業經營
の安定をはかつていく。そのために
民法
の
相續
に關する
均分相續
に對して例外を設けるということであります。 第
二條
は
農業資産
の
範圍
を掲げております。まずどの程度のものをもつて
農家
とみなすか。この
法律
の
對象
にする
農家
とするかということにつきましては、一
段歩
以上の
農地
について
耕作
の
業務
を
營む者
ということにいたしております。これは一
段歩
がよろしいか、いろいろ議論もあろうと思いまするが、
從來
から
農會法當
時から一
段歩
ということをもちまして
農家
とみるかどうかということの
基準
にいたしております
關係
上、また
農林統計等
によりましても、一
段歩
というような
農家
も相當數ございまするので、すなわち非常に
收益
の高い
農業
を營んでおるとか、あるいは
農業
以外の
——農業
以外と言いまするとおかしいのでありまするが、
畜産等
を主としてやつておるとかいう
農家
につきましては、
農地
は少いけれども立派な
農業經營
をやつている人もありまするので、一
段歩
以上について
農業
も行つておる人をこの
法律
の
對象
にいたすことにしたのであります。しかして各號に掲げておりまする
細分
について、これは
農業經營
を現實に承繼する人を
保護
するのでありまして、單なる
資産
ということに著目するのではない。
農業經營そのもの
の破壊を避ける
意味
でありまするから、その
農業經營
の
目的
に即しておるものに
限定
しておる。言いかえますると、
農地
で
他人
に
小作
に出しておるものは、この
法律
の
適用
を受けないということが
規定
してあるのであります。第一號は
農業
を
營むところの農地
の
所有權
、または
永小作權
、
賃借權
、それから
農業經營
に密接不可分に結びついておりまするところの、
自家用薪炭林
の
所有權及び賃借權
、第二號はその土地の上にある樹木、第三號は
農家
の住宅もしくは
農作業等
に使いまする農舎、また
水利施設等
の
關係
を指しております。第四號は宅地または敷地の
所有權及び賃借權
、第五號は
農業動産
の
範圍
を揚げております。これは
農業用
の
動産
と申しますれば數限りなくございまするが、そのうち相當の
財産的價値
をもつものという
範圍
に
限定
をいたしております。すなわちおもなる農機具、家畜につきましては牛馬、それから
運搬具
、こういう種類のものであります。 これらのものが一括して
農業
を營むための必要な
農業資産
として不
分割
に承繼をされるわけであります。先ほど申しましたように、これは現實の
農業經營
の
繼續
を
保護
していこうという
趣旨
でございまするので、
小作地
はこれを含まないわけであります。しかしたまたま何らかの
理由
をもちまして、一時みずから
耕作
することをやめ、これを
他人
に貸しておりますものは、この
資産
の
範圍
に含める。これは當然近き
將來
に返してもらつて、みずから
耕作
をするわけでありまするから、含めるということにいたしてあるわけであります。なお末項に「
農業
とは、
耕作
、
養畜又
は
養蠶
の
業務
」これは他の法令における場合と同様であります。 第三條は「
農業資産
は、
遺産
の
分割
に
因つて
二人以上の者にこれを歸屬させることはできない。」二人以上の者といいますのは、要するに一人が受け
繼ぐということであります
。第三條第二項の「第
八條
第二項又は第三項の
規定
による
裁判
」といいますのは、結局
農業
を
營む者
がないという場合に
農業資産
を
相續
する者を
裁判所
が
選定
しない。そういう場合にはこの
規定
を
適用
しない。すなわち
民法
の
原則
にたちかえつて、
農業資産
を
分割
してもよろしい。すなわち
均分相續
の
主義
を完全に
適用
するということを
規定
したわけであります。でありますから
原則
的にともかく
農業資産
は一人の者がこれを承繼する。しかし
農業
をやる人がない場合には
一般
の
民法
の
原則
による。こういう
趣旨
でございます。 第四條ないし第
八條
はだれが
農業資産
の相
續人
になるか、その決定の方法が書いてあるのでありまするが、第四條は被相
續人
、普通の場合で申しますれば
父親
がだれに
相續
させるかということを
指定
することができる。この
指定
はいつでも取消すことができるし、また遺言によつてこれをすることができる。第一段に順序といたしまして
父親
の
指定
ということが書いてございます。 第
五條
は、このようにして
父親
からあらかじめ
農業經營
を承繼すべき者として
指定
された相
續人
、これはいつでも
相續
の
放棄
をすることができる
期間
内に限り、他の
共同相續人
に對する
意思表示
をもつて
農業資産
の相
續人
たる
地位
を
放棄
することができる。これはたとえば非常にその
農家
に
負債
がたくさんあつたその場合に、
民法
の
規定
によ
つて限定相續
をする。すなわち受け繼いだ
積極財産
の
範圍内
で
負債
を返しましようという
限定相續
をすることはできまするが、この
限定相續
なるものをする人は
農業資産
の相
續人
になることはできないという
規定
がございます。こういうことに對應いたしまして、いつでも
相續
の
放棄
ができる
期間
内については
相續
の
放棄
をすることができる。 第六條は、このようにして
指定
されました、
指定相續人
が
農業
を
營む見込み
がないことが明らかであるというときには、
裁判所
は他の
共同相續人
、
兄弟等
の
請求
によりまして、その
指定
を取消すことができる。言いかえますと
農業資産
を受け
繼ぐ人
は必ず
農業
を行い、また行う
見込み
が確實な者でなければならぬということであります。 第
七條
は、かようにして
父親
から相
續人
として
指定
された者がない場合、また
指定
された者がありましても、その者が
農業
を行う
見込み
がないというので
裁判所
から取消された。あるいはみずから
相續
を
放棄
したというような場合におきましては、
共同相續人
が
協議
をしてだれが受け繼ぐかということを定める。多くの場合には、この第
七條
の
規定
によ
つて兄弟
が
相談ずく
でだれが
相續
するかということをきめるのが通例だと思います。この場合
共同相續人
のうちから選ぶのでありまするが、
單純承認
をした者に限る。これは
農業資産
を
相續
する人は、相當なる
特別相續分
を受けるわけでありまするから、
單純承認
をした者でなければ、當然第三者の
債權
の
保護
ということができません。
信義
に反するわけでありまするのでこれは
單純承認
をした者のうちから選ぶ。いかなる者が選ばれるであろうかということはここには書いてございませんが、むろんこれは全體の
趣旨
といたしまして、また
社會上
の
事實
として、家にあつて長らく父とともに
農業經營
に從事しておつたという人が、
當然兄弟
の中で選ばれるであろうということを考えるわけであります。 第
八條
は、
兄弟
の間で
相談
をいたしましても話がまとまらない。また
兄弟
が遠隔の地にあ
つて——
ただいまのようなまだ海外から
引揚げ
て來ないというようなことで
相談
ができないというときには、
共同相續人
が
請求
いたしまして、
裁判所
にだれが
相續
すべき者をきめてくれという
申請
をする。
裁判所
はそういう
申請
がございますれば、最も
農業經營
に
適當
なりとする人、その他諸般の
家族
の
事情
を考えて、
農業資産
を
相續
すべき者の
選定
をいたします。この場合に
共同相續人
の中に
農業
を
營む見込み
のある者がない場合には、
選定
をしないという
裁判
をする。また
共同相續人
のいずれもが自分は
農業經營
を承繼しないのだという
意思
をはつきりいたさせました場合には、
裁判所
は
農業資産相續人
の
選定
を受ける者がないという旨を
裁判
することができる。このいずれの
二つ
の場合におきましても、結局
農業資産
について、
農業
を
繼續
して營んでいく者がない場合でありまして、このような場合におきましては、先ほど申しますように
民法
の
原則
にたちかえ
つて均分相續
が行われるわけであります。この
趣旨
は單なる
財産
の
分割
の
保護
ではありません。
分割
を避けるという
意味
ではないので、
農業經營そのもの
を
繼續
していこうという
趣旨
でございまするから、かような場合には
均分相續
の
原則
にたちかえるということであります。 第九條は、かようにして相
續人
がきまるとか、あるいはきまらぬとかいうような
事柄
については、
相續
のときにさかのぼつてその
效力
を生ずる。これは
純然
たる
法律
上の
規定
であります。 第十條は
特別相續分
に關する
規定
でありまして、第四條の
規定
によつて
指定
された
指定相續人
、もしくは
七條
ないし
八條
の
規定
によつて
選定
されたところの
農業資産
の相
續人
があります場合には、各
共同相續人
の相
續分
は、
民法
の
原則
によるところの
均分相續
における
相續
持分と言いまするか、相
續分
の半分を
相續
するということであります。しかして
農業資産
の相
續人
は、その半分についての相
續分
のほかに、全體の二分の一の相
續分
、すなわち
特別相續分
を餘計に受ける。これは例をもつて申し上げれば非常にわかりやすいと思いまするが、ここに全體の
農家
の
資産
が十
萬圓
あるといたします。しかして
農業資産
の
價格
が七
萬圓
あるといたします。この十
萬圓
の場合にどのようにしてわけるか。まず十
萬圓
の半分、すなわち五
萬圓
は
農業資産
を受け
繼ぐ人
がまず貰う。あとの半分を
共同相續人
がわける。もし妻がないとして
兄弟
二人とすれば、おのおの二萬五千圓であります。
從つて
かりに兄の方が
農業資産
を承繼する場合におきましては、五
萬圓
と二萬五千圓の七萬五千圓、それから弟の方は二萬五千圓を
受繼ぐ
。こういう
關係
になるわけであります。かように全體の
財産
の二分の一を
特別相續分
として受ける。その殘りの二分の一を各
共同相續人
の間で
均分
にわける。しかしながらこれは
遺言等
によりましてこれを變更するというようなことは差支えはないのであります。それらのことはこの「前二項の
規定
は
民法
千六條の
規定
の
適用
を妨げない。」というように書いてあるのであります。もつともかように申しましても、常に必ず
特別相續分
として二分の一を受けるとか言いますれば、これは一
體特別相續分
として二分の一を
相續
することができるのでありまするけれども、これはあくまでも
農業資産
の
範圍
に限られるのが立法の
趣旨
でありまして、
農業資産
の
價格
の
範圍
よりも超えて餘計もらうという必要はないのであります。さような場合における
調整
はこの第十
二條
に書いてございます。 第十
一條
は、
農業資産
は
遺産
の
分割
によ
つて農業資産相續人
に歸屬する。すなわち不
分割
に
農業資産
の相
續人
に
相續
される。 第十
二條
は
特別相續分
を二分の一といたしますけれども、現實の
農業資産
の
價額
が全體の
資産
に對して二分の一以下の場合もありまするし、また全體の
農家
の
資産
の中で非常に高い
割合
を占めておる場合もあるわけであります。そこで第十
二條
の第一項は
農業資産
を
受繼ぐ人
の相
續分
に相當する
財産
の
價額
を超過するという場合、先ほど申しました例でとりますると十
萬圓
のうち
農業資産
を
受繼ぐ人
が七萬五千圓をもらう。他の一人は二萬五千圓をもらう。その場合に
農業資産がかり
に九
萬圓
であつたといたしますれば、
農業資産
を
受繼ぐ人
は七萬五千圓に對して九
萬圓
の
財産
をもらうことになるわけであります。
農業資産
は一括してもらうわけであります。その
差額
の一萬五千圓を弟といいまするか、
農業資産
を
受繼
がない人に償還をするという
規定
であります。第二項はその反對に
特別相續分
によ
つて農業資産相續分
を受ける
利益
が
農業資産
の
價額
を超過する疑いがある、先ほどの例で申しますれば五
萬圓
を
特別相續分
として受けた。ところが
實際
の
農業資産
の
價額
は三
萬圓
であつたといえば、これは二
萬圓
は受け過ぎでありますからこれを
一般
の
民法
に
規定
するところの相
續分
、すなわち二人で
均分
的に、よけいとり過ぎるものはわける、こういうことであります。すなわち第十
二條
の一項、二項は
農業資産
の
價額
が全體の中で非常に多い
割合
を占めておる場合は、これを一括して受けることによ
つて特別相續分
によつて認められた額よりも多過ぎる額を受ける場合、もしくは反對に
特別相續分
の二分の一を受けました結果として
農業資産
の
價額
よりもよけいな
利益
を受けた、こういう場合、いずれの場合におきましてもその
差額
を
調整
をするという
規定
でございます。その場合にどれだけの
超過額
と見るべきや、またその支拂は一時拂にするか、一時拂が困難であれば數年間に
分割
して拂うかというような
事柄
は、家庭内のことでありますから
共同相續人
の
協議
によつてこれを定める。
協議
によつて定めるのでありまするけれども、話がつかないときには
裁判所
が調停というような
意味合
においてこれを定めるということでございます。第一項及び第二項の
規定
によりまして
農業資産相續人以外
の
共同相續人
の取得する
債權
、及び
農業資産相續人
の負擔する
債務
は、これを各
共同相續人
が
相續
によつて承繼したところの被相
續人
の
權利義務
とみなす、これは
財産
をわけるのにかような
關係
として、それぞれ何といいますか、
財産分配
の處置をするということでございます。それから第三項の
規定
による
裁判
が決定いたしました場合には、これは
執行力
のある
債務名義
と同一の
效力
を有する、すなはち強制執行することができる。こういう
純然
たる
法律
上の
規定
であります。そこに確定をするということであります。 第十三條は
農業資産
の
範圍
をここに定めております。たとえば
小作地
について、これは一時
小作
に出しておるものかどうかというようなことで、これを
農業資産
の中に組み入れるかどうかというようなことについて
異議
があり、争いがあるというような場合には、
裁判所
が
農業資産
に屬するか否かを定めるということ。 それから第十四條は、このようにして
農業資産
の
相續
をいたした人は
特別相續分
というような特別の
保護
を受けております。しかるにその
保護
を受けた人が、
相續
をしてから五年以内に何らの
理由
なく勝手に、
任意
に
農業
をやめたという場合におきましては、これは
法律
の
保護
せんとするところの
目的外
でありまして、それは結局不當に
利益
を得た次第でありまするので、そのような場合には、他の
共同相續人
はそれぞれの相
續分
に應じて
農業資産
を
相續
した人が
特別相續分
によつて受けたところの
利益
の限度において
利益
の
分配
を
請求
することができる。先ほど申しました例で言えば、五
萬圓
をそれぞれ
均分
に分けようじやないか、こういう
請求
をすることができる。こういう
趣旨
の
規定
であります。しかしながら
任意
にやめたと言いましても、これが單に一時やめた、また引續いてやるのであるというような場合には、この
規定
を
適用
しない。これは
農業經營
の
繼續
は
將來
において復するわけでありますから、當然またこの十四條のごとき
規定
を
適用
して、そうして
農業資産
の
分割
が行われることを防ぎ、また
信義
にも反しないというわけであります。この五年以内に
任意
にやめた場合に、第十四條の
適用
があるわけであります。やむを得ない
事情
によつてやめる場合もある。そういう場合にはこれはいたし方がないわけでありますが、その場合にやむを得ない
——
また他の
兄弟
が
求債權
を行使するということでありますれば、これはいたずらに
事態
を複雑にするばかりでありますので、これは
任意
にやめた、それが不當であり
信義
に反するという場合のみこの十四條が
適用
をされるわけであります。 第十
五條
は
農業資産
の相
續人
が被相
續人
の
農業資産
の贈與または
遺贈
を受けた場合、すなわち物として
農業資産
の
遺贈
を受けた場合、これは
農業資産
の相
續人
としての
地位
に
——
結局同等の
地位
に立つわけであります。この場合
遺留分權利者
、すなわち
農業資産
を
相續
さした被相
續人
の子供が御承知のように二分の一というような侵すことのできない
遺留分
をもつている。
農業資産
の
價額
がその
遺留分
の
價額
を超えたるところの、二分の一以上のものである。この場合に
遺留分
の
權利者
は贈與を受けた人に
請求權
をもつわけでありまするが、これは物として
請求
をすることができぬ。返すのは
價額
で返す。こういうことにいたしまして、物としての
農業資産
が
分割
されること、
經營
が
分割
されることを防いでおる
規定
であります。 それから第十六條は、この
法律
または
民法
第五編の
相續
に關する
規定
の
適用
について、
農業資産
の
價額
をいかに
評價
するか。これは
時價
によるわけでありまするけれども、
時價
の
範圍内
で
農業經營
の
収益
を
基準
とした
評價
による。これは現在の
事態
とはあまりあてはまらぬと思いまするが、
通常物
の
取引價格
は相當高いわけでありますが、
農業収益
は少くとも
從來
の例に見ますれば、必ずしも高くない。低いわけであります。それでありますから、全體としての
農業収益
の
状況
を
基準
として、それを超えるような
評價
のいたし方はしない。こういう
意味
でありまして、これは
特別相續人
を認めた
趣旨
、すなわち
農業
を承繼する人に多くの負擔を課さないという
主義
に基くところの
規定
でありまして、必ずしも
一般
の
市場價格
、
取引價格
によらないという
規定
でございます。 それから第十
七條
は相
續人
の
選定
であるとか、あるいはその者が
農業
を
繼續
する
見込み
がないから取消してくれとかいうような
請求
は、
地方裁判所
においてする。それから
裁判
は非訟
事件
手續
法によつてこれをする。すなわち調停的な
趣旨
によ
つて話
をつけるようにする。こういうことであります。ここに
地方裁判所
と書いてございます。しかし本來この
事件
は新しく
家事裁判所
ができますれば、そちらで取扱うべき性質の
事柄
であります。
家事裁判所法
が成立いたしますればこの
法律
はまたそのときに、次の
議會
において一部修正をするという
豫定
になつておるわけであります。 それから第十
八條
は
即時抗告
の
規定
、 第十九條は
裁判所
がこの
法律
に
規定
するところの
裁判
をするのには、
市町村農地委員會
の
委員
の
意見
を聽く。これは必ずしも
委員會
の
意見
と限らないのでありますが、とにかくその村の
農地關係
に精通した人の
意見
を聽いて、そうしてたれが一
體農業經營
に最も適するかというような
事柄
を聽いて、参考にするという
規定
であります。それから
清算等
があれば、すなわち破産ということで
清算
が行われれば、この
法律
は
適用
にならない。こういうことであります。 なおこの
法律
中
民法
を引いております部分は、
現行民法
を引いておるわけでありまして、新しく
民法
が制定になりますればこの
條文
は
番號
をかえたりなんかして、書き直すことを
豫定
をいたしておるわけであります。これは
現行民法
、
竝びに民法
の
應急措置法
が現に施行されておる
状況
におきましては、この
法律
は現に行われておる
法律
を運用する、しこうして新しい
民法
が施行されますれば、今度はこの運用を修正する。こういう建前にいたしておるのであります。ごく
簡單
でありまするが概略
説明
申し上げました。
野溝勝
12
○
野溝委員長
質問
のある方は
委員長
の手もとまで御
通告おき
を願います。
細野委員
。
細野三千雄
13
○
細野委員
はじめに
憲法
との
關係
をお尋ねいたします。新しい
憲法
は家という
觀念
を排除しております。しかしこの
法律
は家というものと
農家
の
資産
というものとを非常に密接に結びつけておる。
憲法
では家という
觀念
を排除いたしましたけれども、現在の日本の
農民
の
實際
の基本というものは、やはり家というものを離れて
農業
を考えておりません。その點で本法の
趣旨
は
農民
の氣持にはぴつたり合うのであとますけれども、新しい
憲法
との關連においてこれがどういうことになるか、
憲法違反
ではないかというようなことをまず第一にお
聽きし
たいのであります。 第二にはこれは結局
農業資産
というものを、
農家
の
家産制度
を採用したものではないのか、
家産制度
と理解してよろしいかどうか、この二點をまず第一にお伺いいたします。
山添利作
14
○
山添政府委員
家の
制度
は廢止になりましたが、それは
戸主權
とかあるいは
長子相續
とか、あるいは
家督相續
、公的の
家固有
の
制度
でありまして、しかし人間の
生活體
たる
家族制度
は
事實
としてあるわけであります。この
農業資産
の相
續特例法
も、かような
家族
生活に基礎をおいておりますが、家の
制度
というものは全然
關係
がないわけであります。すなわち
家督相續
の
制度
とは全然違つております。
長子
たるの身分によつて
相續
するということもございません。それはあくまでも
農業經營
に
適當
な者が
相談ずく
で承繼をするということであります。すなわち
家族制度
という實體には基礎をおいておるが、
戸主權
であるとか
長子相續
であるとか、あるいは
家督相續
というような、家の
制度
とは全然
關係
がありません。その
意味
におきましては
憲法
の精神によつて廢止されることは、この
法律
もまたそういう
趣旨
には全然よつていないで、
憲法
の精神に副つておるわけであります。 それから
家産制度
を定めたことになるかどうかということでありますが、御承知のように
家産制度
はある一定の徹底した形としては、ナチスの世襲農場法、そういうような形をもつて現われておるのでありますが、その特質とするとこころはこの
法律
よりも遙かに強いのでありまして、一定
範圍
の家産を設定し、しかしてその
分割
を禁じ、またそれが
負債
の
對象
として處分をされるということから
保護
をいたしましております。ところがこの
法律
は、
相續
という
事柄
によつて機械的に
分割
をされるということを避けた程度でありまして、進んである
農業資産
を固定せしめるところ、またそれを徹底的に
保護
せんとするところの家産法ではないのであります。なぜ家産法の
制度
をとらないかというのは、
二つ
の
理由
がございます。第一は家産法といいましてもこれは
農業經營
の形態もそれほど變るものはございませんけれども、ときにやはりそのことの進歩によつて多少變る。そこで今の小さい
農業經營
等を
基準
にいたしまして、そこにある一定の規模の家産を設定する。そこに固著せしめるということは
趣旨
として面白くないし、またその必要もないではないか。また
家産制度
をとりますと、實質的にやつかいな點は結局金融の點でありまして、
農業資産
を擔保にして金を借りた、ところが
債權
の執行ができぬということであれば、金の貸手がなくなる。こういうような點から金融上に非常に不便を來す。
從つて
また家産という
制度
もあまり歡迎されないという
事實
上の
理由
もございますので、家産法の
制度
はとらなかつたのであります。
細野三千雄
15
○
細野委員
第二點といたしまして、
農業資産
の
範圍
についてお尋ねいたしたいと思います。本法においては大體必要なものは網羅されておるようでありますが、ただ山林につきましては、自家用薪炭の原木の採取の
目的
に供せられる土地だけでありまして、そのほかの山林というものは除外されておる。これは私は山林はぜひとも
農業資産
のうちに入れる必要があるのではないかと思うのであります。除外された
理由
はどういうわけでありますか。 それから
農業資産
の最低限度を一
段歩
と
限定
されておりますが、一
段歩
以下は結局
民法
の方の
相續
に任すということであるか。 それからさらに別表の第四號にありまする農林大臣が
指定
する
動産
というものは、どういうものが豫想されておりますか。以上三點をお尋ねいたしたいと思います。
山添利作
16
○
山添政府委員
第一に山林を除外しておる點でございますが、なるほど山林の所有形態を考えてみますると、これは
農地
と同じように日本では非常に小さい山林がある、同時にまた非常に大きな山持もありますることは御承知の通りでございます。本來山林そのものの形態といたしましても、これが
相續
によつて非常に小さくなるということであれば、山林の
繼續
的、保續的
經營
という點から支障があり、造林等にも非常に支障を來すと思いますけれども、しかし山林の造林等の要求から基くところの施設をいかにしていくかということは、別個の見地からまた施設すべきことであります。本來
均分相續
の
原則
がございます以上は、かような特別
相續
法等によつて
保護
されるところの
資産
の
範圍
は、おのずから必要の限度に止めることが要求される次第でございます。
從つて
山林のうちでも
農業經營
に必要なる
自家用薪炭林
の
範圍
に
限定
をいたしました。その他の山林は普通の
財産
として考えられておるわけであります。その
事柄
が、山林の
分割
によつて生ずるであろうところの問題が、さらに
適當
な措置をとらなければならぬということは、おそらく造林等の面において起ると思いまするが、それは造林に關する國家施設、あるいは組合施設の充實とかいうような
事柄
で措置をしていくべきものかと考えております。
將來
いろいろな施設ができるものと思いまするが、當面の問題といたしましては、最小限度にした方がよろしい—というよりもすべきであるということ、また山林に關する問題は、山林全般の植林の政策、森林資源の保續的
經營
の政策という見地から、別途に考究すべきであるという
趣旨
から、この
範圍
は取上げておりません。それから一
段歩
未滿の耕地に依存しておる
農家
、これは
民法
の
原則
に任せるわけであります。といいますのはその邊になりますると實は限界が非常にめんどうでありまして、このごろサラリーマンでも相當農耕をやつております。一體これをこの
法律
を
適用
すべきや否やといえば、そういうものは
適用
する
趣旨
ではございませんので、その邊の
基準
でここに一
段歩
とおいた次第であります。 それから別表の四號の點でありますが、農林大臣の
指定
するものは、おおむね今わかつております
範圍
におきましては一、二、三、でよろしいと思いますが、なお
農業
機械等につきましてはいろいろ新しいものもできるわけであります。一々
法律
改正というわけにもいきません。そういう用意のために書いてある四號であります。
細野三千雄
17
○
細野委員
次に
農業資産相續人
の
選定
のことであります。第四條に被相
續人
が
指定
するということがありますが、この
指定
はいうことについて、その方式は全然
法律
にきまつておりません。書面によつてもよろしいし、おそらく大部分の
農家
は書面で
指定
するなんてことはしないかもしれません。口頭でありましようが、これはある程度何らか方式を
指定
しておかないと、
相續
に關することでありますから、相當紛議のもとになると思うのであります。これを
將來
何らか方式を政令によつてきめられるようなことになるのでありますか、あるいは全然この
指定
の方式につきましては當事者の事由に放任するということになつておりますか、その點をお尋ねいたします。
山添利作
18
○
山添政府委員
これは別段の要式行為と見ない
豫定
であります。と申しますのは、まず大體の考えといたしまして、
父親
のもとにあつて長く
農業
を承繼をしておるという人が當然受け繼ぐであろうし、またもし
指定
をするならば
指定
をされるであろうというわけでありまして、今のような隱居
制度
等がなくなりますれば、結局
實際
上
相續
の行われるのが、大部分の
農家
においても相
續人
が年が寄つてからだろうということに、これは普通の場合でありますが、なつていくであろうと思つております。そういうような場合にはなおさらもう
事柄
は自然はつきりしておるではないか、かようにも考えておるわけであります。
細野三千雄
19
○
細野委員
次にこの
指定
あるいは
選定
を受ける相
續人
の
範圍
につきまして、あるいは資格につきまして、何らこういうことはきめておりません。從いまして未成年者でも相
續人
に
指定
され得るようにも見られるのでありますが、他方におきまして、また
農業
を
營む見込み
がない者には他の
共同相續人
からその
指定
を取消すことの
請求
ができる
規定
もあるようであります。未成年者にして
農業
を營むということは、
將來
は大きくなればできるかもしれませんが、さしあたり
農業
を營むということはできぬわけであります。相
續人
の
範圍
につきましては、自由放任と解釋してよろしいのでありますか。
山添利作
20
○
山添政府委員
農業
相
續人
の
範圍
は別段の制限はございませんので、極端に申しますれば、ほんの子供でもいいのです。その家を繼いで
——
家というとぐあいが惡いですが、その
農業經營
を繼いでいこうと
豫定
される人であればいいわけであります。
細野三千雄
21
○
細野委員
次に一番重大なる相
續分
につきまして二分の一と定めており、他方において
農業資産
が
財産
の
價額
の半分を超過する疑いがあるときには、
超過額
の拂戻しをするというような
制度
になつております。この
超過額
の支拂いの時期、方法は、すべて自由に
協議
によつて定めるということになつておるのでありますが、この點が實は
農民
諸君の一番心配しておる點でありまして、よしんばこの
農業資産
を
相續
させられたところで、結局他の
兄弟
に
超過額
の拂戻しをしなければならぬということでありましては、現在のような日本の貧弱な
農業經營
からして、一種の
債務
を負擔することになるのでありましようが、この
超過額
の拂戻しということは、
實際
においてできぬのではないか。結局
農業資産
を
資産
として行使しようといたしましても、何らかの形においてその
相續
しました
資産
というものを
分割
して分けてやるか、あるいは擔保に入れて借金をして
超過額
の拂戻しをするか、何らかの形で、極力この
法律
が
農業資産
を
分割
細分化
しないとした
目的
が達せられないことになるのではないかということが、一番懸念せられるのであります。私は第一に相
續分
を二分の一としたことの根據、さらに第二段に、今日の
農家
の經濟状態において、
超過額
を拂戻しをするだけの餘力があるかどうか。この點について
政府
はどのようにお考えになつておるかということをお
聽きし
たい。
山添利作
22
○
山添政府委員
特別相續分
を二分の一といたしましたのは、二分の一を超えますれば
遺留分
を害するということになるわけであります。
從つて
これは二分の一を超えることができぬという
範圍
に留めたのであります。
遺留分
を害すると申しますのは、普通でも
遺留分
として二分の一は必ずその相
續人
が貰うという
規定
がありますので、これを害するという點にまで進みますれば、それは行過ぎでございますから、その程度に留めたのであります。
實際
問題としてそれではどういうことになるか。これは
農家
の様態によつて、全體の
資産
の中で
農業資産
の占めます
割合
は違いますけれども、今までの過去における調査でありますけれども、あたつてみますると、大體
農業資産
なるものは全體の
農家
資産
のうちの七割前後というのが通常のようであります。それからまた
兄弟
が三人あるとかいうような場合をとつてみましても、まず二分の一の相
續分
を
農業資産相續人
が貰い、あとまた殘りの五割の三分の一を受けるといたしますれば、結局六割六分を貰うということになりまして、かりに
農業資産
が七割であつて、また
農業資産
を
受繼ぐ人
の相
續分
が六割六分としますれば、結局全體の四%が超過する。この部分を他の
兄弟
に返すわけであります。その返し方は
兄弟
の間で
適當
に
相談
をしてきめる。かようにまず二分の一の
特別相續分
を認めておきますれば、償還すべき額はそう過大にはならない。こういうように思うのであります。もとより現在の
状況
におきましては、米價の問題等から見ましていろいろ苦しい
事態
もございましよう。しかしながら
兄弟
の中でありまするから、一概に一時に支拂う金がなければ、必ずしも一時に支拂えというわけではございますまい。その邊は
家族
内でしかるべく措置すべきではないかというふうに、期待をいたしておるのであります。
細野三千雄
23
○
細野委員
この點につきましては、この
農業資産
相
續特例法
の施行の遠からざる機會に、農村金融について何らかの施策を併せ行つていただきたいということを私は希望として申し上げておきます。 その次に、第十六條に、
農業資産
の
價額
は、
時價
の
範圍内
で
農業經營
の
收益
を
基準
としてこれを定めるということになつておりまするが、この點の第一の
時價
ということにつきましてお尋ねいたします。それから次の
農業經營
の
収益
というのは純益をいうのかということ、この二點をお尋ねいたします。
山添利作
24
○
山添政府委員
この金融
制度
を裏づけをする。そして他の
共同相續人
に支拂うべき金額に對して、低利年賦の金を貸すという
制度
は當然必要でございます。ただいまはインフレーションの時期で、なるべく金を出さぬといふ
意味
で、金融を締めている時期でありまして、現在ではそういうことはまあ實行上できないのであります。
將來
當然この金融に關する施設は考慮いたしたいというつもりでおります。 それから
時價
とは何ぞや。これは普通の
取引價格
という
意味
でありまして、現在公定
價格
がございまするから、その公定
價格
が現在としては
時價
であります。それから
收益
を
基準
としてこれを定める、この
收益
の
基準
としては、もとより純益という
意味
でありまして、
農業
に從事する人が社會的に見て、普通の相當なる生活をしてという
意味
であります。という
意味
は勞働賃金を相當なる程度に見て、しこうして相當の生活をして殘りのもの、かように解釋をいたしております。
細野三千雄
25
○
細野委員
私はこの
農業資産
の
相續
について、
實際
問題として、だれが
相續
するかということになりますると、資料として出されました世論の調査によりましても、結局長男が一番早く親の手傳いもするのだから、大多数の場合には、
從來
と同じように長男が
農業資産
を
相續
するということになる場合が多いかとは思いまするが、しかし必ずしもそうばかりもいきません。ともかく
法律
をつくりまする以上は、最惡の
事態
も考慮の中に入れておかなければなりません。しかるに本
法律
におきましては、
兄弟
のといいまするか、相
續人
の
協議
に任せるという點が相當たくさんあるのでありまするが、この點について惡い場合を考えますると、
相續
紛議が起ることが豫想されないでもない。この點について
政府
は、いや大したことはないというふうに思つておられるのか。
農業
を
營む見込み
のあるなしなどにつきましても、これは本人の主觀的な條件でなくて、客觀的に
見込み
があるかないかを決定することになるのでありましようが、そういたしますると、これは人によつて主觀が違うのだから、こういうふうな問題につきましても、惡い場合を考えれば、常に
兄弟
げんかのもとになるようなことも豫想できないでもないのでありますが、こういうふうな點につきましてスムースにいくと思つておりましようか。
政府
の御見解を承りたいのであります。
山添利作
26
○
山添政府委員
いろいろ
法律
制度
が變りましても、
社會上
の
事實
というものはなお相當
期間
傳統によつて規制せられる、そしてしばらく經てば今度は新しい
制度
によるところの秩序が確立される。こういうふうに觀察をいたしております。しかしてこの
農業資産
相續
特別法に關する
制度
は、ただいま御指摘になりましたように、もとより
長子相續
はでございませんけれども、多くの
實際
上の
家族
生活、また現在における
農業
の承繼の
事實
に合致をいたしておるのでありまして、大部分の場合におきましては、特別の支障なく行われるだろうと期待をいたしておりますが、しかしもとより
均分相續
、
家督相續
の廃止という變化がありました以上、その
事柄
にすでに問題がありますから、
兄弟
けんかをかりにやるとすれば、そのやるべき素地がすでにつくられておる。
從つて
農業資産
の承繼をめぐりましても家庭に争議がないとは限らないと思います。そういうことがかりにあるといたしましても、これはやはり
兄弟
の間の
協議
、またそれが片がつきませんければ、家事審判所における大體話合の延長というようなことにおける審判裁決ということできめられるわけでありまして、さようなことがあるからといつて、これをある一定の人に結び付けてしまうということは、結局人の身分を復活する新
憲法
の精神にも矛盾を來すということに相なりますので、この法制の建前によつておるような
制度
、これが自然新しい秩序をまたつくつていくというように期待をいたしておる次第であります。
細野三千雄
27
○
細野委員
この
農業資産
の
相續
につきましては、
超過額
拂戻しの義務があるということに關連いたしまして、この
相續
を辭退する者が全然ないでもない。
相續
を辭退する者があるという場合が豫想せられるのであります。
農業資産
の相
續人
が全然ないときには、
農業資産
は國有となると解釋してよろしいのでありましようか。その場合
超過額
拂戻しの義務があるのでありましようか。
山添利作
28
○
山添政府委員
農業資産
の
相續
を辭退するということは、言いかえますれば、みんながもうわれわれは百姓はしないという場合で、この場合には普通の
民法
の
原則
にたちかえつて、
兄弟
で
均分
に
相續
するわけであります。
從つて
農業資産
は
兄弟
の間で分散されるわけですが、それは
價格
によつて分散されますか、あるいは物によつて分散されますか、いずれにいたしましても
特別相續人
の
規定
はありませんので、本來の
民法
の
原則
にたちかえるわけであります。
細野三千雄
29
○
細野委員
以上で私の
質問
は大體終りましたが、この
法律
は非常にむずかしいのであります。ともかく百姓の人が讀んでもわかりません。もしこの
法案
が通過いたしますなれば、この
趣旨
をもう少しわかりやすく、
農民
に徹底するような方法をとられんことを希望いたしまして、私の
質問
を終ります。
野溝勝
30
○
野溝委員長
午前中の
質疑
は以上をもつて打切ります。 休憩します。 午後零時五分休憩 —
——
——
——
——
——
——
——
——
——
——
〔休憩の後は
會議
を開くに至らなかつた〕