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清澤委員 私は大藏大臣にも少しお伺いしようと
思つてお
つたのですが、見えないようですから、大藏大臣に對する質問は保留して、
農林大臣に金融の問題ほか一點ほどお伺いいたしたいと存じます。
この法案はただ
農業會を改組して
農民に自由を與えるとか何とかいうような法案ではなくて、ポツダム宣言の履行のために日本の
農村の
民主化を進めるという建前から、本法案が出てまいりましたことは申すまでもないことでありまして、これはこの間の
農林大臣の提案の説明の中にも、その點は
はつきりしておつたと思うのであります。そこで
農村の
民主化については、御承知のの
通り、土地開放を
中心にする五項目かがあげられている。その土地開放を基礎にして、本法案を施行いたしてまいりますときに、先日
農林大臣が
仰せられた
通り、
組合内に
農民の諸體制を確立しつつ、生産の増加をはかり、
農民の
社會的經濟的の向上を
考えるとともに、土地の開發から水利、農産加工というようなものまでも本
組合によ
つてや
つていくのだ。
そういうことによ
つて少くともポツダム宣言に言われておりますところの、農産物の適正な
價格竝びに
加工等によ
つて、都市の搾取から免れるという
方法を講ずるという
政府の
趣旨を、十分この
組合法を通じて履行せられるものであるといたしましたならば、金融という問題が非常な重要性を加えてまいると思うのであります。ところが、ただいま私どもが
農村における金融というような問題を現
農業會竝びに過去の産業
組合等を通じて
考えてみますときに、これは歴史的に見ましても、生産
農民を
中心として必ずしも産業
組合というものの發達はできておらぬのでありまして、先日御配布になりました團體年表というあの資料などを
中心にして調べてみましても、當初から
農村における商
工業者の維持と發達とを目的としているというような點から見ましても、眞の
耕作農民を
中心にしたという點がさらに見受けられない。また實際今までの
農村におきます信用
組合等が、
農民に影響しました點などをわれわれ
考えてみましても、
農民が
そういう金融面を使
つて、そうして
農民自身の生産に十分役立たしたというようなことはできておらぬのであります。從
つてその活用せられました
範圍は、えて商
工業的なものに利用せられ、また産業
組合の發達は販賣、購買
事業というような建前から、消費面の
物資を商人的に取扱うというような面に發達せられておりまして、多くの場合生産
農民がほんとうに生産に使うというような面に今までも使われておらないのであります。そこで急にこの法案内に金融部を設けられそれがただ單位
組合だけの金融面を扱うようにしておられてそうしてその上の連合會になりますと、これは生産
協同組合というようなものに分業的に分れてします。こういうものができ上がりますと、昔からの惰性からわれわれが推測してみましても、その金融というものは、われわれの企圖する生産面へどういうふうに影響してくるだろうかと
考えますとき、私は非常に心配にたえないものがあるのであります。これを過去の實績によ
つて私ども想像してみますとき、この
協同組合法によ
つて自由な組織、自由な參加ができるという、この自由な組織がかえ
つて禍いまして、金融面においてせつかくたくさんの資本を信用
組合に投資しておつたような
人たち、つまり地主さんの階級とか、その他金をたくさん投資することのできる
人たちというものが、ひとりでに非
農家ということで缺けていくのではないか。そうしますと、もとより資本の少いところに、ますます信用
組合等の資本は小さいものにな
つてくるということが
考えられます。從
つて無氣力ななものができてくる反面、この
協同組合を通じての
農村の生産者は、土地の開發から水利のことから、農産加工のことから、
工場のことまでや
つていこうとしている。しかも土地の開放等が
中心になり、時代の背景のもとに、最近
農民の
意圖というものは、過去の
農民の姿を拭い去り、今まで
考えなかつた土地の造成から土地改良、土地を根本にした生産計畫までやらうという意欲に燃えている。こういうときに、今申し上げましたような無氣力な信用
組合、金融
組合ができ上るということになりますと、先ほど
坪井君が
農政局長に言われました
通り、
そういう金融機關であれば斷じてその
事業は行えないという形になるのであります。從
つてただ土地が開放せられたということが
農村の
民主化ではなく、進んでポツダム宣言を履行しつつ
農民が近代的な
農村を形づくるところの資本が十分與えられなければならぬと
考えるのであります。今のままで行つたならば
そういうことは
考えられないということが
一つ、いま
一つは、そうや
つて資本が十分與えられないところに、
農村におけるこの
協同組合の組織が自由にいくつでもつくられればよいというような形になると、必然的に商業資本、産業資本というようなものが
農村にはい
つてまいれまして、地主的な、封建的な勢力の資本をも
つている人と結んで、そうしてそのばらばらにしていいという間隙を縫
つて、これれのものが分裂したたくさんの
協同組合をつくらして、そこに資本的な支配が行われる危險がないとは斷じて
考えられないのであります。
そういう分裂的な傾向をどうして防止していこうとせられるのであるか。それを
一つお伺いしたいと思います。
なお
そういうような状態をとりもどして、どうしてもこの
協同組合をして本來の目的に副わしめ、
協同組合の力によ
つて近代
農村を築き上げて、
農民が自分の作物を適正なる
價格に賣り、しかもこれを加工して、今まで都市商
工業者によ
つて搾取せられてお
つたのをとりかえするという、ポツダム宣言の健實な履行をや
つていこうといたしまするには、私はよほどの資本的な援護がここに加えられなけえればならないと
考えますので、私見を交ぜて少しお伺いしたいと思います。私は
そういう立場において、この法案の中から金融を取扱うという第十條の一、二項はこれをはずしてしま
つて、金融は
政府の資金と
農民の投資資金とを
中心にした
農民銀行のようなものをつく
つて、それに金融を全面的に扱わせる。しかもその預金であるとか、あるいは預金を集めるとか、日々の貸付を行うというようなものがありましたらなば、それは村の
協同組合の中に銀行の代理店を設けるようにしたならば、かえ
つてうまくゆくのではないか。それくらいのことをしなかつたならば、決して本
協同組合方は本來の目的を達することができないのではないかと
考えまするので、その點をお伺いしたい。
次には、金融部面は都道府縣の連合會くらいまででお止めになり、今日の農林中央金庫のようなものを中央でつく
つて、それに加入すると同時に、この中央金庫を通じて融資するというような二本建になさるお
考えなのかどうかということを伺いたい。その二つをしないで、ただあくまで
協同組合一本建として、中央金庫までずつと一本建にやられるかどうかということ三點としてお伺いしたい。
第四點といたしましは、非
出資組合の金融はどうするかということであります。非
出資組合は本法にによると金融の預金も貸付も受けることができないとな
つておりますが、少なくとも非
出資組合員として立ちまする者は、村においてどうかと申しますれば、小農の經營者であるとか、あるいは貧困者であるとかいう人であるということは、平均して
そういうことが
考えられるのでありまして、こういう
人たちこそは特別に何らかの
方法を畫して、一日も早く適正な
農家に進まれるような保護が必要なのではないかと思うところえ、非
出資組合であるからというので、金融が少しも
考えられないということを聞きましたならば、これは
農村の實情としてははなはだ不公平というよりは、むしろ妥當を缺いていやしないかと思いまするので、その點をお伺いしたい。
次に大藏大臣がおられましたら大臣にお聽きしたいと思うのですけれども、
農林大臣でわかれば濟むことでもあろうと思いますので、ついでにお伺いしておきます。かりに今の
農業會が
解散せられるという場合に
なつたとき、中央金庫がか
つて軍事公債をもたせられたものは、これは軍事公債の打切りでもう未償還になるのではないかとは
考えまするが、單なる利益會社や財閥がもちました公債とは違
つて、
農民の零細なる金が集められて、そこにあつたものをたまたま軍事公債を買わされ、もたせられたというようなことで、これが打切りになることは、今ここに
農業會が
解散せられて、先ほども
農政局長にお伺いしたのですが、
退職資金等でたくさん出費が豫想されまするとき、その方も
農業會で
農民の零細な蓄積の中からそれを出していく。また戰時中にもつた公債の未償還分もも
つて行け。これでは
解散して
整理したときには、今まで數十年間かか
つて貯めた蓄積も、次の
協同組合に引移すときには何らの
持分もないというような、がらん堂の建物だけがわずかにもらえることに
なつたならば、これはたいへんなことであるから、この點を
一つ何とか
考えられないか、こういうことを伺いたい。
それから今興業銀行等の債券をも
つておりますが、これらは
整理と同時にどういうように大體引繼がれるのであるか。これは債券をも
つておる者は、債券をかりに中央にあるものをわけるといたしましても、これらをどういうふうなわけ方をするのか、あるいは中央金庫を、前伺いました
通りの別な置き方において債券を
考えておられるのか、それにむけられるという
考えなのかどうかをお伺いしたい。
その次には昨年の議會においてわれわれが決定いたしましたる
肥料資金の
肥料會社への貸付二十億というようなものは、一體それらのものがやはり債券としてどういうふうに始末せられて、そうして次の
協同組合との結び合いにおいて始末せられるか、要は中央金庫はどういう形で、どうな
つてわれわれの手もとにその蓄積が返
つてくるかどうかという點をお伺いいたします。