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1947-08-28 第1回国会 衆議院 農林委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年八月二十八日(木曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 野溝  勝君    理事 清澤 俊英君 理事 鈴木 強平君    理事 岩本 信行君 理事 萩原 壽雄君    理事 北  二郎君       大島 義晴君    佐竹 新市君       田中 健吉君    永井勝次郎君       成瀬喜五郎君    野上 健次君       平工 喜市君    細野三千雄君       松澤  一君    水野 實郎君       小林 運美君    佐々木秀世君       志賀健次郎君    関根 久藏君       八木 一郎君    重富  卓君       森 幸太郎君    梁井 淳二君       坪井 亀藏君   的場金右衞門君  出席國務大臣         農 林 大 臣 平野 力三君  出席政府委員         農林政務次官  井上 良次君         農林事務官   山添 利作君 八月二十八日林業小委員萩原壽雄辭任につき、 その捕闕として坪井亀藏君を委員長において、指 名した。 八月二十八日食糧供出對策小委員萩原壽雄辭任 につき、その捕闕として坪井亀藏君を委員長にお いて指名した。     ————————————— 本日の會議に付した事件  小委員捕闕選定の件  小委員追加増員の件  農業協同組合法案内閣提出)(第二九號)  農業協同組合法制定に伴う農民團體整理等  に關する法律案内閣提出)(第三〇號)     —————————————
  2. 野溝勝

    野溝委員長 會議を開きます。清澤君。
  3. 清澤俊英

    清澤委員 二三御質問したいと思います。農業會協同組合成立によつて解散せられたあと人員整理の問題が、重要な問題として殘されたおるのでありますが、その人員整理にあたつて、あるいは解職等中心とする財産分配が、退職手當等の名義によつて第二會社等に轉出される憂いを非常にもつておりますが、この人員配置轉換といいますか、そういう問題に關してはどういう具體策をおもちになつておるのか、お伺いしておきたいと思います。
  4. 山添利作

    山添政府委員 新しい協同組合が從來の農業會自然仕事の面について變わつた點もありまするので、仰せのように相當現在の職員等についても、他の方面に移る人が出てこようかと思います。その受入態勢と申しますか、そういう點については、技術員等のそう當部分は、生産調整法等に基く市町村に設置されます農業調整委員會職員としてまいる。あるいはまた作物報告事務所等における人員要求も相當ございます。かように農業技術關係の人を要する部分が相當あるのであります。と同時にわれわれといたしては、現在の人たちの新しい協同組合に移らない人がある部分につきましては、できるだけ行く先のお世話をいたしたいつもりであるわけであります。そのことに伴つて今お述べになりました問題、すなわち退職金、またそれを捻出するための財産處分等の問題につきましては、この退職金當然合理的な程度に支出すべきはもちろんでありまするとともに、しからば財産處分價格との關係はどうするかということについては、これは財産處分の方は、原則として帳簿價格金融機關再建整備法の定めておる基準による方針でありまするが、次の協同組合に引移す必要のないようなものにつきましては、これは時價すなわち帳簿價格等から見ますと相當高い値段で賣ることもありますし、また一面退職手當というようなものは當然經費に計上されるものでありまして、これは組合の全體の新勘定等について見ます賃借對照表等をつくる場合には、それは考慮して、いかなければならぬと考えております。
  5. 清澤俊英

    清澤委員 大體の方針はわかりましたが、私のお伺いしておりますのは、そういつた人員整理等によつて一應は解散になるのでありますから、それは當然退職金等要求して一應の退職をして、次の職業につくという職業の口は、いくらか政府の方で考えておられますか、その退職等をいたしますとき、このたくさんの人たち退職金等のために、現在の農業會資産が全部それに適用せられるというような場合がないとは考えられないということと、いま一つは、なるほど財産處分に對しては整備法によりまして資産評價をせられる、こう言われるのでありますが、これは算定の仕方によつていろいろに算定もまたせられると考えますので、そうした面を中心にして、今現在そういうふうな形式で、不動産は不可能でありますけれども、動産的な物資等が持出されている危險性があり、または都道府縣農業會等がもちまする區域の定まらない工場加工工場等そういつた方面に用いられようとしたり、あるいは現に新しくそうい方面に投資が行われているような形勢を見まするとき、それに對する政府としてのはつきりとした取締の方針、または當然の國の政策として、農業會解散されて、そうしてそこでたくさんの人員淘汰によつて退職資金必要性が出てまいりますならば、これは當然政府の責任においてその退職資金考えらるべきものであつて農民が長い間蓄積しました農業會資産そういつた面で四散しますことは、はなはだ遺憾の點も多いと思うのでありまして、そういう點に對しては、何らお考えが今ないようにお伺いすることができるのでありますが、これは政府として十分お考えをしていただく餘地があると思うのであります。御心境をひとつつておきたいと思うのであります。
  6. 山添利作

    山添政府委員 財産處分に關しましては、すでに八月一日附の農林省令をもちまして、法律に書いてあるのと同じような制限監督を加えているのでありまして、遺憾なきを期しております。從つてお話にありますような不當な處分ということは、これは一々上級團體でありますれば農林大臣、小さい下級團體でありますれば知事、すなわち府縣以上のものは農林大臣市町村の單位のものは縣知事が監督をいたしておりますので、御懸念のような點はないようになつております。具體的にこれこれをどういうふうにしたいというような正式の認可はまだまいつておりません。それらの事柄につきましては、個別的に資産處分をやつていくというよりも、新しい協同組合に移讓するもの、しからざるもの、全體のプランをにらみ合せて適正にやつていきたいというように考えております。ところがそれはそれとしまして、退職資金等に要する金を國庫で負擔したらどうかということでありますが、これは法律解散いたします場合におきましても、そういう手段をとりましたことはございません。ある時の、時と言いますか社會的要求に從つて解散いたしますというときに、それを一々法律でやるからというので、國が退職資金を出すということは考えておらないのであります。
  7. 清澤俊英

    清澤委員 今まで例がないからそういことは考えておらないし、やらない、こう仰せになりますが、實際問題として技術員にしましても三十萬もあり、その他従業員を加えますならば厖大の數に上りますところのその退職資金は、累計いたしますならば、これまた大變な數字を現わすことだと考えますので、私は特にそういうことを言うのでありますが、考えられないと言うならば、これはあとに議論を殘したいと思うので、その點はここに打ち切ります。  その次にお伺いしておきたいのは、協同組合法の第十二條の非農家の問題であります。一項、二項の第二號に該當する非農家の問題でありますが、これは第十六條によりますと、役員選擧權もなけらば、議決權もない。こういうふうになつているのであります。ところが整理法つまり農業協同組合法制定に伴う農業團體整理等に關する法律案の四條、五條にまいりますと「農業團體財産分配は、各會員に平等にその持分に應じて」云々。「市町村農業會會員たる者の一部を組合員とする農業協同組合は、行政廳認可を受けて、當該市町村農業會に對し、その財産の分割を請求することができる。」こういうふうになつているのでありますが、たまたま十二條の一、二項の二號に該當する人が新しく農業協同組合に參加したといたしますならば、前の權利というものはその協同組合に繼承せられるのでありますが、そこにおいてなおかつ第十六條の議決權及び選擧權を有しない。こういう取扱いを受けますことは、これは非常な權限を侵されたと言いますか、妙なものができ上がる。こう思いますので、この點はどういうふうに解釋してよろしいのか、ひとつお伺いしたいと思うのであります。
  8. 山添利作

    山添政府委員 議決權竝びに役員當然なるところの權利、これは農民に限つておるのでありますが、その理由とするところは、申すまでもなく農業協同組合における耕作農民の主體性を確立するという要求からまいつておるのであります。ところが御指摘になりましたように、非農家でありましても新しい協同組合組合員になりまして、そうして新しい協同組合舊農業會から資産を引繼きます場合におきましては、非農家持分に相應するものも新しき協同組合に移るわけであります。その出資したり、財産上の權利をもつということと、この議決權をもつということは、これは區別がしてある。こちらの新しき協同組合におきましても非農家といえども出資はする。また出資に對する配分を受ける。あるいは事業の利用に對するところの拂戻しを受ける。こういう財産上の利益は他の農民たる組合員と何ら差異はございません。ただ議決權等の問題につきましては、耕作農民のイニシヤテイブを尊重する、その主體性を守る、こういう意味において區別がしてあるのであります。そういうことを御了解願いたいと思います。
  9. 清澤俊英

    清澤委員 その區別はよくわかるのでありますが、せつかく前からありますところの自分の權利をもつておる者が、新しい協同組合なつたために、その權利が全部——全部というわけじやございませんけれど、重要な議決權及び選擧權等が消滅するということは、ここに大きな不合理がないか、こういうことなのでございますが、この不合理に對して何ら償わるべき規定がないということが言えるので、この規定からいきますならば、それで氣に入らなければいつもその權利範圖財産分配をうけてしまえばそれで問題はないのでありますが、そういうことをしないでも、なお前からのものが加入してくるのに、こういう差別的な權限規定せられますことは、そこに非常な無理がある。こういう考え方をもつのでありますが、その點は今御説明の通りでありますか。
  10. 山添利作

    山添政府委員 なるほど感じといたしましてはお述べになりましたような點があるかもしれない。また新しくできますものといえども、たとえば信用事業等をとつてみますれば、なるべく非農家といえども大勢加入してもらつた方が都合がいいと思います。しかしそういうことのためにこの耕作農民組合運營に關する主體性を確立しようという根本原則を曲げるべきではない。かように考えるのであります。
  11. 清澤俊英

    清澤委員 それからこれはさつきの質問にちよつと關連しますが、この整理法の方の第二條であります。「農業團體は、行政廳認可を受けなければ、その資産處分してはならない。」これはわかつております。「但し、通常業務として行う處分は、この限りでない。」これと不動産等はつきりしたものはそう無理なごまかしはせられないのでありますが、倉庫等にあります手持資材であるとか、あるいは流動的な動産というようなものが、これを通じて解散のどさくさで、ちようど終戰後行われました隱退藏物資のごたごたのように、ごまかされようとしている形勢があるのでありまして、これが先ほど農政局長の言われる通り、十分取締つておるからあるまいと言われれば、ここで水かけ論になりますから、その點を問うことはやめますが、私どもは相當そういうものがあるんじやないかとという今疑いの目をもつておるのでありまして、もしそういうものがかりにでき上つたというたしますならば、本案をまだ十分見ませんではなはだ恥しい次第でありますが、それに對してわれわれがその處分はこういうわけで不合理であるのだということを、抗告してまいります手續ちよつとみつからぬように考えているのでありますが、その點はどうなりますか、ひとつお伺いしておきたいと思うのであります。
  12. 山添利作

    山添政府委員 處分制限をします事柄につきましては、通牒をもちまして、どういう範圍事柄許可を求めなければならぬかというようなことが詳細に通達をしてございます。その範圍に該當しないようなものは通常業務通常業務と申しますれば、今お話になりました物資處分いたしまして、農業用資材を手持ちのものを農業者に配給する。これは當然業務であります。そもそも倉の中に物資があるのはおもしろくない。これは當然もつと早くから處分すべきものであろうと思うのでありますが、ただその行先等において不正がありますれば、これは本來協同組合と申しますよりも農業團體法に對する違反でありまして、これはその見地から取締りをすべきであると思うのであります。しかしながら何しろ多くの組合につきまして、もとより府縣等行政廳の目が一々とどくわけでもございません。これはいわゆる民主的な監視、管理と申しますか。村における人たちがよく違反ないし不當のことの起らぬように、ともかく無關心でないということが私は必要だと思うのであります。
  13. 清澤俊英

    清澤委員 よくわかりました。それはやつておりますし、そういうものには十分の警戒をして、あらかじめ不祥事の起こらないように、組合となりますところは準備は整えておるのでありますが、なおそれが行われた場合にいかなる方法でもつてこれを警告していくか。これがこの條文中に、私の見方が惡いかもしれないが、はつきりと出ていないようでありますから、あつたら一つ教えていただきたい。なかつたら何とか考えなければいけない。こういうことを申すのであります。
  14. 山添利作

    山添政府委員 そうい手續はきめてございません。きめてございませんけれども、法令違反に對する行政廳に對して、注意を喚起されるということは、きわめて結構でありますから、そうい事實が明確にあつた場合、もしくは疑いのある場合には通報していただきたいと思います。
  15. 永井勝次郎

    永井委員 簡單にお尋ねいたします。第七條において、公團との關係が明らかになつていないのでありますが、公團との關係を明確に一つ御説明願いたいと思います。
  16. 山添利作

    山添政府委員 公團の取扱います物資に對して協同組合がどういう役割をもつかということは、物資によつて違います。肥料のごときを例にとつて申しますれば、中央の公團は末端の小賣業者肥料を流す。その小賣業者は何ぞやといえば、農業會または將來の農業協同組合竝びに商人であります。そういうことで、協同組合なるがゆえに特別の地位をもつこともございませんと同時に、また協同組合なるがゆえに排除されるというようなこともないわけであります。これは普通の取引業者と同列に扱われる。その業態物ごとによつて公團のやります取引段階、あるいは方法等について差異がございますので、一概に申し上げるわけにはいかぬのであります。
  17. 永井勝次郎

    永井委員 第九條における農民規定がこれでは明確を缺いておうると思うのであります。「みずから農業を營み、又は農業從事する個人」と言つておるのでありますが、たとえば半農半漁あるいは半商半農、そうしてその個人農業經營の分量がどれだけであるというような事柄について明確に規定がないので、あるいは協同組合を資本的に支配する意圖をもつて、計畫的にみずから農業營む形態を整えてはいつていく。そうい事柄が行われないとは限らないのでありますが、これらに對する見解を明らかにしていただきたいと思います
  18. 山添利作

    山添政府委員 このみずから農業營むということは、何人が考えてもはつきりいたしておるわけでありますが、しからばどの程度をもつて農業を營むと考えるか。それについては何ら法律上に規定はございません。ただし組合員なる資格を定款できめることになつておりますので、その地方状況に應じまして、適當組合員自身がきめるということにいたしておるわけであります。その定款における規定ぶりいかんによりまして、おのずからその範圍も變化がある。またたとえば金のある人がはいつてきましても、その人がもち得る出資口數、これも定款で一定の制限、限度を設けるということになつております。その邊のところは法律によらないで、農民の方で自主的に定款をもつてきめる建前になつております。
  19. 清澤俊英

    清澤委員 今の九條の點で前から聽きたいと思つてつたのでありますが、「この法律において、農業とは、耕作養畜又養蠶業務」となつておるのでありますが、養畜という中にはもちろん牧場が含まれておると考えるのでありまして「又は養蠶」という場合には養蠶專門業というものがやはり農業として含まれておるのじやないかと考えます。そうしますと同じ農村において養魚を專門に行つておるというような人に對しましては、これはこの條項からいきますとどういうふうに考えてよいのか、あるいは養蜂專門にやつておるというような場合にはどうか、養畜または養蠶の場合、牧畜を中心とする場合、牛乳屋さんがこの中にはいるかどうか、養蠶專門とする人たち農業の中にはいつてつて、同じ村におつて魚だけを飼うから、これは水産組合へはいる途をとる。養蜂だけやつておるから、これはだめだというようなことになると、おかしなものができあがると思うが、この養畜または養蠶範圍というものを一つお伺いしておきたいと思います。
  20. 山添利作

    山添政府委員 この農業養畜または養蠶業務という字句は、昔から農業定義に使つておりまして、おのずからそこに定義らしいものができあがつておるわけであります。その場合に使います養畜というのは、非常に範圍が廣いのであります。うさぎでもはちでもみな養畜の中に入れることになつております。こいを飼うのは、これはどうもはいりません。
  21. 永井勝次郎

    永井委員 やはり第九條の養畜薪炭生産業務、この關係でありますが、當然これによつて畜産協同組合というようなものができてくると思うのであります。牛も馬もそういつたものが全部はいるのかどうか。もし牛も馬もいろいろなものがはいるとすれば、馬でも輓馬であるとか、農耕用に使うものとか、それらの限界をどういうところでつけるのか。この點をお伺いいたしたいのと、それから薪炭生産業務についての關係でありますが、これは林業小委員會におきましては、林野局では自家用生産のものについてのみここにはいるのであつて一般薪炭生産ははいらないというような見解林野局では、省内打合わせにおいてはそういうふうに了承しておるというようなことであつたのでありますが、この關係はどういうふうになつておるか明白にしていただきたい。
  22. 山添利作

    山添政府委員 もし言葉の曖昧な點がありますれば、要するにこの組合農民組合であるという點から判斷をすればいいのであります。その農民範圍の中には、農林統計局などにおきましても土地のないひとでもみな農家としてこれはあげておる。しかしたとえば養畜、馬を飼つておる。しかしこれは荷車をひくのが目的だ。これはやはり農民ないし農業の中にはいらない。あるいは競馬のサラブレツトだけを騎手が預かつてつておる、これが農民である、こういうふうにはまいらない。おのずからそこに農業とあるいは農民という常識的な觀念が成立をしておるというように思うのであります。  それから薪炭生産業務はこれは自家用のものに限るかどうか、これは省内打合せがあつたという前提で、林野局の方からお答えがあつたというのでありますれば、どうもぐあいの惡い點があるのですが、しかし私の考えておりますのは副業生産、こういうものを含めまして、ひとり自家用のもののみではない、そうい趣旨規定をいたしております。しかし山林局そういうふうなお答えがあつたものといたしますれば、なお省内打合せをいたしたいと思つております。
  23. 永井勝次郎

    永井委員 薪炭の點については、その所屬分野において相當問題があると思いますので、次囘までに明確に一つ統一した答辯を願いたいと思います。それから第十條の七項でありますが、「農村工業に關する施設。」これは協同組合農村工業としてこういうことをやりたいと言えば、これが自由にできるかどうか、安本の指定によるものとの限界はどうなるのか、この點をお伺いします。
  24. 山添利作

    山添政府委員 農村工業協同組合でいたします場合に制限はございません。しかしながら現在の状況として、結局農産物の加工等おのずから他の世話にならずしてやれるものは別でありますが、たとえば時計をつくつたりなんかします場合に資材という問題がでてくる。そうい方面からおのずから認められ、かつ資材割當を受けたものでなければ動きがとれない、こういうわけであります。しかし農村工業そのもの許可制度ああるとか、あるいは指定制度ああるとかいうわけではございません。
  25. 永井勝次郎

    永井委員 たとえば澱粉工業でありますが、その地帶における馬鈴薯の作付段別つて、それを生のままで供出する數量はいくら、これを澱粉として加工する數量はいくら、それに適當した工場配置というものがすでに既設としてできておる、そうい條件の中に協同組合ができて、そうして協同組合で、おれの方ではそれでは澱粉工場をつくるのだ。ということで、なんらの制限なく澱粉工場をつくるということになりますと、既設工場で浮き上つてしまうものもありましようし、現在整備されている、一つの調和のとれているそういう中に、この没落していくものができて施設がむだになるという關係ができてまいりましよう。あるいはまた乳製品、その他の施設においても同様な事柄が起こりまして、相當の混亂の過程をたどるのではないかと思うのであります。そうい關係における調整というものはそうい一つ混亂を通して、適者生存の理法によつて殘るものは殘るのだ、こういう考え方でお進みになるのかどうか。
  26. 山添利作

    山添政府委員 私が先ほど申しましたのは、農村工業という廣い意味についてのことと解釋してああいうお答えを申し上げたのでありますが、個々の事業については、大體この許可制度等は廃止になつておりまするが、澱粉の場合等におきましては、これは御承知の食糧管理法に基いて許可を受け、また割當を受けておるわけであります。そういう特別の業態について統制を必要とする場合におきましては、これはその法規による許可等を受けなければならぬことは當然であります。その他の場合におきましては別段制限はありませんけれども、事實問題として他から資材配給等を受けようという場合には、これは資材割當を受けなければ事實できない、こういうことになつておるわけであります。それでは農林省における農村工業獎勵方策としてはどういうことを考えておるかと言いますれば、これは期間工場指定するという制度を設け、その期間工場中心にして、その地方に同じような工業を普及せしめていこうという制度で、これは計畫的に進めることにいたしておるわけであります。
  27. 永井勝次郎

    永井委員 農産品を原料として加工するというような業態は、多くの場合農民と遊離した中小商工業者というような関係において從來行われており、それが農村搾取の原動力となつておるのでありますが、農業協同組合ができて、そういう既存の農村搾取的な機構と鬪つて壊していかなければ、農村民主化はできない。農村經濟運營はできていかないのでありますから、どうしても、かりに現在の段階においては若干の波瀾がありましても、そうい農村を搾取しておる業態については、急速に協同組合經營工業の方を移していかなければならぬ。そういうことを強力に進めなければならぬと思うのでありますが、局長の言うように既設事實既設事實として認めて、許可される分にだけやつていくということになれば、協同組合を設置した趣旨が急速に實現することができないのではないか。そういうことに對しての見解を承りたい。
  28. 山添利作

    山添政府委員 個人もしくは會社のやつております農産加工業等協同組合の方に移したらよろしい、そのために法的な措置をとる、こういうことは全然考えておらないのであります。協同組合の方は農民自身團結、その自覚、またこれに對する助長獎勵施策ということで伸びていくべきものでありまして、權力的な手段によりまして、お話のような點を實現すべきものではない。かように思つております。
  29. 永井勝次郎

    永井委員 法的な保護のもとに伸びるというのではなくして、法的な制約の中において伸び得ない状態を伸ばすようにしてやらなければ、ただ單にここに農村工業に關する施設といつたところでこれは商工省の許可を受けなければだめなんだ、これはどうなんだということになれば、みそも醤油も同じようにつくれないし、澱粉もつくれないということになつたならば、農村工業化ということは何をやるのだということになるわけなので、法律の裏づけによつてそういうものを壊していくというのでなくて、協同組合でやる場合には安本の關係あるいは許可關係というものが優先的に認められるとか何とか、やろうとしてやれない障害を取除いてやることが、主務官廳において考慮されなければ、できるものではないと思うのであります。  第五十二條の利益の分配關係でありますが、こういうものの考え方は營利會社的な利益處分方法考え方ではないか。これに對する所見を伺いたい。
  30. 山添利作

    山添政府委員 第五十二條の第一におきましては、まず損失を補填し、その他準備金などを控除した後でなければ剰餘金を配當してはならない。この一項の關係は、組合資産内容の健全を保持し、將來に伸びるためのそれでありまして、これは事業經營上當然でありまして、別に協同組合といえども、かような關係において異つた點があるべきはずはございません。また第二項によりまして、出資に對する配當を年五分に制限しておる。そしてその他のものは組合事業分量の割合に應じて配當する。これは協同組合の特徴のあるところでありまして、營利を目的としないという趣旨はこういうところにあるわけであります。
  31. 重富卓

    ○重富委員 今ちようど私質問しようと思つていたのですが、剰餘金の分配ということはむしろない方がいいのではないか。これが協同組合のほんとうの精神ではないかと思います。これを五分も配當されることは、一體どういうところから出てきておるか。先ほど營利を主體としないから云々と言われましたが、營利を主體としなければこそ、五分も配當をする必要はないではないか。どういうわけで五分も配當するという意味があるか。こういうことをお尋ねしたい。それから事業分量に對する配當をするというその精神は一體どこにあるかということもお尋ねしたい。
  32. 山添利作

    山添政府委員 年五分といいますのは、まず普通の國債の利子等を勘案した利子という意味であります。それを大體五分というふうに押えて、五分以内ということにいたしたのであります。ところで組合員事業事業分量に對する剰餘金の配當でありますが、これはたとえば販賣事業を營むといたします場合に、結局買う價格をかりにきめておくという場合に、そのコムミツシヨンの中から配當といいますか、組合の剰餘金も出るわけでありまして、組合を運用していきますのに、組合自身の計算に剰餘金を出すことが目的ではないけれど、組合經營の上から見れば當然かようなものは出てくるわけでありまして、それは組合事業分量に應じてこれを配當することは、きわめて當然であります。逆に組合員の購買事業考えてみますれば、物を買つて組合員に配給する、その場合、必要經費としてのコムミツシヨンは普通の場合、組合に留保し、經費に充てる。なおかつ餘るものが出てきます場合に、これを組合員に還元するという趣旨であるわけであります。かつそういうようにいたしますると同時に、出資に對してもゼロであるという必要はないのであつて、やはり法定利子程度のものは拂うということは、これは經濟上は當然だと思います。
  33. 永井勝次郎

    永井委員 大體局長そういう物の考え方が私はおかしいと思うのであります。そうい考え方から行けば、當然今までの舊産業組合あるいは舊農業會そういうもののやつてきたように、流通過程における施設における重點をおいて、ほんとうに耕作農民組合としての生産過程における施設と、利益を見ることのできないそうい農業經營の基本的な施設が自然缺けてくるという結果になつてきて、營利會社的なこういう物の考え方が、農民の團體である機關でありながら、農民を搾取するような、また農民と對立するような、そういう機關を醸成してくる本質的なものが、ここに潛んでいると私は考えるのでありますが、局長はこれに對してどうお考えになりますか。
  34. 山添利作

    山添政府委員 これはこういうやり方をいたしますことは、組合のおのずから段階によりましよう。一口に協同組合と申しましても、農事實組合に類するところの部落組合、すなわちほんとうの意味における生産協同體的なものから、市町村における生産過程の共同化と同時にこういう流通部面をやるものから、あるいは單獨の特産物の販賣を目的とする組合もありましよう。これは一口に協同組合といいましても、その基本の精神は同じでありますけれども、事業分野においてはいろいろなヴアラエテイがあるわけでありまして、そういう場合にこの五十二條のような剰餘金の配分をいたすということは、組合經營の上から、また組合員に對してこの營利を目的とする組合にあらずという點から、必然的に出てくる規定であると思うのであります。かような規定があるということは、一面から見れば、流通過程における仕事を相當やるのじやないか、その事柄は反面生産事業、生産の共同化ということに對する否定ではないか、かように即斷する必要は毫もないと思うのであります。ただこういう觀念はありましよう。この協同組合におけるところの生産過程の共同化を原則として考えておりますのは、自作農創設特別措置法等によつてつくられるところの獨立自衛の農家が、生産過程を共同にする、すなわち部分共同でありまして、これは經營全體を一つにしてしまおうという、言ひ換えてみれば、コルホーズみたいなものができ上つたというときには、五十二條というのはちよつとおかしいのじやないか、もつと徹底した考えがあるかもしれない、というような考えが起るかも知れませんが、これはそういう事態を標準にして考えているわけじやないのです。
  35. 永井勝次郎

    永井委員 第六十五條でありますが、「組合が合併しようとするときは、總會において合併を議決しなければならない。」とありますが、この合併の比率の認定とその方法はどうするか。
  36. 山添利作

    山添政府委員 この合併といいますのは、たてえばそれぞれ出資金、積立金等が違いますために、持分が違う。これをどういう比率でやるかというようなことは、これは双方の組合役員から選任された設立委員が共同して、六十六條に書いてあるような仕事をするのですから、そういうときに必要があればやつたらいいと思います。
  37. 永井勝次郎

    永井委員 第五十七條でありますが、この「設立準備會においては、出席した農民又は組合理事」としてありますが準備會でありますからまだ理事が選任されていないのではないか。この理事というのはどういう理事でありますか。  次に第八十三條でありますが、これはただ登記するときだけに見せる見せ金でやるという危險性がないか。その點を十分考えた上のこの規定をつくつたのかどうか。  それから第百一條の一項でありますが、規定以外の事業範圍はどういうものであるかということ。その次にいくつかの協同組合が出た場合に、農業會財産はそれぞれの持分によつてわけなければならないわけでありますが、倉庫のごときものを三つも四つも區分することができないというような場合に、配當を受けるそれぞれの協同組合が共同出資會社のようなものをつくりまして、その倉庫事業を共同でやるということはできないものであるかどうか。  それから農業會整理についての問題でありますが、農業會解散というようなことはずいぶんたなざらしになつていた問題であります。農業會としてはずつと前からいろいろなことをやつておるのでありまして、この法律が公布されましたならば、この機會にこの資産處理は一箇年に遡及していろいろ評價し檢討し、それを財産處理の對象機關におかなければならないと考えるのでありますが、これに對する所見を伺いたいと思います。
  38. 山添利作

    山添政府委員 第五十七條の組合理事ということについての御質問でありますが、その組合法全體を通じまして、單位組合との連合體を一緒に規定しておりますので、ときどきわかりくいところが出てまいります。この場合もちようどそうでありまして、組合理事というのは連合會をつくる場合にその單位組合理事、こう一括して規定してありますので、わかりにくい點があるわけであります。  その次に登記の問題でありまするが、これは拂込があつたことを證する書面、結局銀行預金に對する銀行の發行する證明書を添付いたしておるのが普通の場合と思います。これは一般の立法例に從つたのでありまするが、お話のような事柄が行われるものとすれば、これはどういう書面を添付することにいたしまするか、御指摘がありますれば司法省と協議をいたしまして登記所のほうにそういう訓令等を出すことを考慮しいたしたいと思いまするが、私は事實をよく存じませんので、別の機會でもよろしゆうございますから教えを願いたいと思います。  それから第百一條に「第十條に規定する以外の事業を營んだとき。」とありますのは、結局この法律で認めておる協同組合がなし得べき仕事以外の仕事をやつてはならない。ところがこの協同組合はおよそ廣く仕事をなし得るわけでありますが、何が十條に規定する以外の事業であるか例をあげろと言われまして、ちよつと思いつかないのでありますけれども、ひつきよう協同組合の精神に反するような營利的な仕事をやれば、第百一條の第一項に該當するわけであります。  なお最後の御質問でありますが、財産處分にあたりまして不動産等もとより分割することができません。その場合に農業倉庫、米の精白設備、あるいは製粉設備、その他農村工業に關する施設等を特別の會社にしたらどうかという一つのお考えでありますが、私はそういうことは面白くないと思います。そこでこれは二つの組合ができて、どちらの組合そうい施設を歸屬せしめるかということにつきましては、行政廳判斷によつて裁定をする。もちろんその場合には、法律上の規定はございませんけれども、行政廳のにはある一定の委員會等を設置して双方の意見を聽きまして、將来性のある、そしてまた多くの耕作農民を代表するところの組合に歸屬せしめる。このいう裁定をする必要があると思うのであります。
  39. 永井勝次郎

    永井委員 もう一點、農業會資産處理について、一年前に遡及して評價その他の點を十分に押さえていく必要がないかという質問に對する答辯が殘つております。
  40. 山添利作

    山添政府委員 資産を次の協同組合に讓り渡す場合の價格は一年前の價格によつて評價するというのではなく、原則的には金融機關再建整備法等による帳簿價格によるのが原則でありまして、組合の事情によつてそれによれない場合もございますが、そうい原則をとつているわけでございます。
  41. 野溝勝

    野溝委員長 お諮りいたします。委員長が社會黨に續いて質問を許したのは、大臣に對する順位については先般の申合せ通りに行います。しかし事務當局に對する質問に對しましては、別に通告もありませんので、これを許した次第でございますから、さよう御了承を願います。
  42. 坪井亀藏

    坪井委員 大臣がおれば大臣に質問いたしたいと思いましたが、局長がおりますから、局長でも十二分に——この法案を立案された基本的の理念についてお伺いいたしたいと思います  今までの農業會にありましては、その目的の第一は國家目的であつて、第二が農業會員の福利増進ということになつているのであります。今度の農業協同組合法案の第一條を見ますと、「農民の經濟的社會的地位の向上を圖り、併せて國民經濟の發展を期することを目的とする。」きわめて漠然としておりまして、これだけの目的によつて、過去の農業會と今度の協同組合を比較對照して、この事業的分量においても、どういうふうに農民の福利が増進されるか。今度の農業協同組合法案によりまして、この事業分量を見ると、第十條において一より十二まである事業を行うけれども、この中においては農民の福利を増進する、自主的農民の食糧増産意欲と相まつて農民の生活安定を期するということが一番望ましいことであり、またそれを目的とするべきであるが、この事業内容を見ると、これはほとんど國家目的が多いのであります。その中の一番大きいのは、ここにあるところの「農業に供される土地の造成、改良若しくは管理又は農業水利施設の設置若しくは管理」こういう大きな問題があります。なお八號にまいりましては、「農業上の災害又はその他の災害の共濟に關する施設」、こうした大きな問題はほとんど國家事業である。今までの農業會が國家目的を遂行しようというのであつたけれども、もちろん戰爭中であつて無理もなかつたが、食糧難、資金難、勞力難というものに見舞われて、この機能發揮はできなかつた。この農業會運營というものは、もちろん人事機構に封建的なものがありまして、これを全部拂拭しようというのがこの目的であるけれども、これを解體して今度新らしく協同組合をつくろうという根本理念から見れば、われわれの考としては農民の文化向上をはかり、お互いの生活が樂になつていくという方向にあるのでありますが、おそらくこれらの事業を全部協同組合で自主的にやらせようとしても、なかなかうまくいかないと思う。結局、事業分量をもつと限定して、どうしても國家がやるべき國家的事業は、當然國家がやるべきである。言いかえれば、國家國民の公益性ある食糧増産は農家がやつておりますが、やはり耕地改良、水利の問題などはすべて國家がやり、國家が補償していくというような方向にいけば、農民はそれに頭を惱まさぬでもよろしいし、ほんとうに食糧増産に專念し文化向上という面に向つて進み得ますけれども、今度新しい農業協同組合をつくろうとしても、むしろ現在においてすらあの農業會職員等の人數も非常に多く、人件費に追われてその運營もできぬ現状にある。ましてや今度數倍にまさる事業をやろうというには、おそらく現在農業會で使つている職員の二倍、三倍を得なければ、十二分なる運用はできないと思う。そうなると、結局できた組合事業のために破産してします。いわゆる事業に倒れて、結局農民みずからの本領を發揮することは事實上できぬではないか。こういうことについては、過去においては政府はできなかつたが、今後この人件費については補償をし、また耕地政良等については協同組合に多少勞力奉仕というくらいはやむを得ぬけれども、その他について迷惑をかけないといふような自信をもつて政府はこの事業を織り込んでいるかどうか。これは今後大きな問題であります。昨日も言われましたように、なるべく町村を單位として自發的につくる方が望ましい、またあまり小さいものでは運用もできないと言われる。言いかえれば、ややもすると農業會の看板の上塗りにもなりやせんか。なぜならば現状をうまく利用しなかつたならば手も足も出ない現状である。これを眞に解體して、これを整理し、小さな協同組合をつくつたとしたならば手も足も出ぬ現状である、もしこれを眞に農民の要望によつて、五十戸なり百戸の活用ができる協同組合をつくつたとした場合においては、政府はこれに對する資金運用、あるいは施設に對する方法をどんなぐあいに考えているか、またこれができる見透しはあるかないか。看板の上塗りはいかぬと言いながら、事實上看板を變えたといいうに止まつたんでは意味がないと思う。ほんとうに國をあげて食糧難を克服しようというのが農民に課せられた大きな使命であると思う。いわゆる生産意欲を向上して國民の食糧を確保するというように、生産部門に重點をおいて協同組合をつくらせ、指導していくという建前から見ますと、美辭麗句を竝べて、事業分量をたくさん竝べてあるけれども、これは實行できないことを竝べてあるということであつて農民はこれをもつて滿足しないと思う。これは基本的問題であります。今までの農業會より今度でき上がる協同組合の精神は、もちろんより以上に民主的な農民の自由によつてつくらせるということであつて、それはいいけれども、この事業を行う上においては、現在のものを利用していくというところに非常に不利不便があり、難闘ああるだろうと思う。これをいかにして處理していくかが大きな根本精神であろうと考えておりますが、政府としてはこれに對して國がやるような大きな事業には補償する意思があるかどうか。あるいはまた農民の希望によつて困らぬように資金の融通をするかどうか。過去においては金は貯蓄したけれども、この資金を借り得なかつたというようなことになつている。なおまた、この協同組合は營利を目的とすることができない。もちろん、これは協同組合であつて組合自體が營利を目的とすることはできぬが、個人考えるならば、組合自體が營利を目的としなかつたならば、決して農業の改良發達はできないと思う。それで合法的に考えるならば、この資金をうまく活用するようにしたい。ところが、その資金もこの規定にあるように、不當貸付をしてはいかぬとありますけれども、事業上の資金では不當でない。かりに五百戸の農家があつて一萬圓ずつ預金があれば五百萬圓の預金を協同組合がもつている。これを一萬圓ずつ個人事業をやろうということもできぬから、結局五百人が協同して、五百萬圓の會社をつくる、別に營利を目的とした會社をつくつて。それによつて農民が營利目的をやろうというときは、それがはたして不當貸付か。一方においては營利を目的としない、一方においては營利を目的とする。どうしてもこれは兩々相まつていかなければ農民生活の安定ができぬ。過去の數字において、農村といえども百に對する五五パーセントないし六〇パーセントというものは現金的收入がなくては農家の生計は行われないのであります。そういう觀點からみて、今までは國家目的のために、預金貯金というものは全部政府の指示を受け、あるいは監督官の指示を受けおつて、資金の融通をしようといつても、貸付限度をきめてあつてできなかつたが、今後これらは自由にやらせるかどうかということも大きな問題がある。もとろんこれは大藏當局に關係があるが、本日はおりませんから、わからなかつたならば追つてこれらも十二分に御指示を願いたい。やろうとしても結局できないということを承知して法文化していくという點は、はなはだ私は非民主的ではないかと考えております。  なおこの法律案は百二條から成つておりますけれども、九十九條、百條、百一條、百二條は罰則であります。民主的に、自主的につくらして、農民の意思によつて自由につくらせようというのに、かようにこれだけの罰則を設けなければ、これが眞の運營はでき得ないものかどうか。あまりにもこれは非民主的の、いわゆる封建制そのものがここに現われておるのではないか。こういうように考えるが、これらについては政府はどんな考えをもたれておるか。例をあげれば、鶏にえさをやらずに卵を生めというようなものであつて、仕事を多くやれということである。結局この法律から見れば、事業分量は多くやれ、しかし少しでも逸脱すればそれを罰するぞというような、まことに封建性をこの九十九條から百二條に至るまで現しておりますが、こうしたことはあまりにも今度できる農業協同組合に對して苛酷すぎて、われわれは忍びぬのであります。これらに對して、政府はどんな考えをもつて、こういうように苛酷な罰則をここに設けたかという、精神を伺いたいと思います。大體基本的の理念につきましては、結局今までの農業會がやつておりましたのと同じで、現在において農業會ですら經營がうまくいつておらないのに、なおまた協同組合をつくつて新しい事業をたくさんやろうという場合において、結局人件費その他になお追われて、この組合の眞の目的を達することができないという場合については、政府はいかなる方針をもつてやらせようと考えるかというような點について明答をまずお願いいたしたいと思います。これは農政局長から御答辯願いたいと思います。
  43. 山添利作

    山添政府委員 基礎的な考え方といたしましては、坪井委員のお述べの通り考えられておるわけであります。協同組合農民農民の立場に立つて、またその意思によつて團結をし、仕事を運用していく。何ら國家といたしましては、協同組合を、國家政策の具にしようという考えはないわけであります。從つてまた國家的な仕事についての責任を負わるせということも考えていないのであります。と同時に、しからば放つておくのかというと、それはなし得る限りの援助をいたしますが、全體といたしましては、助成金というようなことはなかなか財政上むずかしくなつております。また資金等につきましても、資金統制の點等、なかなか思うに任せぬ時代でありますが、なし得る限りの農民の自發的な農業生産を上げるための活動に對しては、援助をいたすつもりであります。資金等につきまして國が特別に供給することを考えておるかどうか。これは何らまだ具體化しておりませんけれども、昨年の暮及び今年の春から、農業に關する金融事情は従來と非常に變りましたので、何らか農業に蓄積される資金以外に、特別に農業の生産を上げるためにする施設に要する費用等は、考える必要があるのではないかというふうに考えまして、問題を檢討いたしておるのであります。  さてこの資金に關連して一人々々に對する貸付の制限があるかどうか。これは手形の割引等の問題につきましては、定款をもつて組合に對する手形割引の額というようなものを制限いたすことになつております。個人その他組合員に對する一般の貸付については、この法律に何ら言及はいたしておりませんが、これは模範定款等においては、やはり定款である一定の限度を設ける。これは行政廳が設けるのではありませんから、定款においてそういうことを設けることは必要ではないか。現在の組合に對する檢査の報告等を見ましたときに、やはりそういう措置を存置と言いますか、將來もいういうふうなやり方をした方がいいだろうと思うのであります。ただお述べになりましたように、農民といえども營利をやらなければならぬのだから、協同組合は營利をしないけれども、別の會社の形においてやつたらどうか。その場合の融資については制限がないかという、きわめて具體的な點にふれての御質問でございますが、實は私はそういう場合もあまり必要がない。少なくとも單位組合等においては、そういうことの必要性ちよつと考えつかないのであります。たとえば倉庫等について組合が經營をしている場合に、員外利用等に關する規定もあるわけであります。その施設そのものは能力の許す範圍における運用ができるわけであります。これはもう一つ農村工業等を例をとつてみますれば、これは組合員竝びに組合員指定の勞力活用のためにする農村工業、これは六によるというわけにはいかない。そういうものは協同組合事業對象にはならないのでありますが、それを何らか全然別の雇傭勞力によるというような場合における會社組織でやつてみよう、こういうことは考え得ると思うのであります。さような場合に資金の貸付についてどうするかということは、定款によつて制限をしていく。また組合員の總意に基いて、そういう場合に特別の額を認めるということでありますれば、それはそういうふうに措置をしてもらえばいいわけです。法令上には制限はありません。  それからこういう自主的なかつ農民の自由による組合に、はなはだしき罰則があるじやないかという點でありますが、これは農民自身が罰則に觸れるというのではないのでありまして、その役員なつた人は組合員に對しても、あるいはこういう制度を認めている國家に對しても、その責任を負うわけでありますから、法令に從つてつてもらわなければならぬ。その法令に反する場合には國の秩序、また組合員の利益に反することになるので處罰を受けるわけであります。これはやむを得ないと思います。
  44. 坪井亀藏

    坪井委員 ただいま局長から伺いますと、現在の農業會においても事業を各所においてやつてきた。また將來においても協同組合として事業をやつていけば、そうした營利的事業をあまりやらぬでもいいじやないか。あるいはやる場合においての資金は、地方定款によつて貸付率をきめていけばいいじやないかと言われますけれども、實際面において農村の恐慌ということが言われているが、實際農村の現在のふところを調べてみますと、預金はないのであります。どこへゆきましても、おそらく最高一萬五千圓平均くらいしか金をもつておらぬ。こういう現實があるときにおいて、どうしても今後事業を行おうとするときには、資金が不足することは當然である。しかも過去の例から見て、小さな農業協同組合ができて、町村に連合會をつくつて、資金のよけい要るものはその連合會で行い、少ないものはその小さな協同組合で行うというようにいけばいいけれども、現在のものをなるべく看板の塗りかえ式にいきまして、村をあげて一村一組合式で指導する。あるいはそういう仕方でいかなけえれば仕事ができぬということでやつていくならば、やはりこれまた今までのような營利を目的としてはいかぬというけれども、從業員をよけい使うということになると、おのずから營利を目的としたような事業をやらなければ、協同組合の經營が成り立たぬと思う。そういう點から見まして、結局それらに對するいわゆる政府職員、あるいはまたこれらの事業に對する助成を政府が保證してくれるならば、あえてそうした行為はしなくてもいいわけでありますが、どうしても協同組合の發達をはかり、なおまた役職員の待遇の改善をしようという場合においては、やむを得ず今までの農業會においてやつてきておる。また今度の協同組合においても、それをやらざるを得ない方向にいくのではないか。こういう觀點から見れば、私はそこに農業者なり、あるいは非農家であつても、協同組合に勤めておる人は、これはもう生活も保障されようけれども、組合員は結局營利を目的としないので、組合よければ五分の配當ももらえる。惡くいけばもらえない。損失補填はしなければならぬというような惡い責任のみ負われて、結局總體的な利益を得られるということはできないではないか。そういう觀點から見ると、むしろこれは私の見解でありますけれども、五十戸なりあるいは百戸の小さな單位の協同組合を數つくりまして、そうしてその地方適當施設を行つて、しかもこれには相當の資金を受入れる。あるいは三千圓なり五千圓なりの資金を受入れて、適當なる事業を行うことにいたしまして、そうしてそこに出資をしたならば、必ず組合員の家族能力というものを適材適所に受入れるということになれば、その利益分配はなくても、賃金の分配組合員共通に受けられる。いわゆる勞力、資本、技術というものを生かして、三位一體で協同的に行ける、現在ではそうではない。やはり名前においては營利は目的としない。なお協同組合であると言いながら、實態においては營利の方向に走らざるを得ないような個々の經營上の觀點を見て、必ずやこの面をうまく政府も指導監督し、あるいはまた農民みずからもこの線に沿つていかなければ、今後の農村のいわゆる恐慌は救われないと思う。農民は現金收入を得るという上においては、何としても賃金をとらなかつたならば農業經營はうまくいかない。今までの餘剰勞力は都市に出ておつた。ところが今後は部落でもつて適當なる事業を起せば、結局農村工業においても、そのにおのずから賃金がとれればそれによつて緩和される。こういう觀點から見たときに、私といたしましてはむしろ一町村一區域の協同組合をつくるというよりも、十五人以上ということでなくて、これは事業の分量によりまして五十戸なり百戸なり、大體そこらの協同組合というものをつくつて、ほんとうに出資をさして、眞劍にこれがまず農民生活の安定を期し、あるいはまた生活の確保をするというような方向に向けていくべきだと考えますけれども、昨日平野農林大臣といたしましても……。
  45. 野溝勝

    野溝委員長 坪井委員、ちよつとお諮りしますが、速記のほうが晝食の關係で十二時半まで約束してありますから……。
  46. 坪井亀藏

    坪井委員 承知しました。そういう觀點にありますので、農業會のような今までの方向でもちろんやられるでしようけれども、從つて今度はその方向にできた協同組合が、ただ大きな町村と單位とした組合が、できた場合においては、必ずそうなるということを私は斷言いたしたいと思う。これらいい人を得てやつていこというけれども、必ず條件的に流れやすいという點を、政府はどういうふうに指導していくかということも、ひとつ政務次官の考えをお聽きしたい。こう考えるのであります。
  47. 井上良次

    ○井上政府委員 農業の經營について、いろいろ各方面にわたる御意見がございましたが、この組合の建前は、この法律の中にも詳細に規定してあります通り、第一番は農業生産力を飛躍的に高める點にこの組織を百パーセント活用したいというところに重きをおきておりまして、從來の農業會が扱つておりましたように、物の流通を中心にする關係組合運營するというのと、大分趣きを變えておりますが、さりとは申せ農業生産力を飛躍的に高める技術の高揚をはかり、農村全體の地位を高める方向のためには、どうしても今御指摘のような點が、附随して完備してまいりませんと、目的を達することはできませんから、これら協同組合がそれぞれの自主性を確立し、十分の活動能力が備わりましたときに、御指摘のような資金の面、あるいわその他の面に政府として援助すべき點が生れてまいります場合は、國家全體の財政經濟資金等のにらみ合わせにおいて、できるだけの援助を申したいというつもりでおりますから、これは大臣もその方針に立つておりますから、御了承をいただきたいと思います。
  48. 野溝勝

    野溝委員長 この際お諮りいたします。大臣は午前十時に見えるという約束で、本委員會を開いたのでございますが、やむを得ざる用事がありまして出席できませんでした。午後二時から出席することに確約いたしました。よつて大臣に關する質疑は、午後二時から交すことにいたしたいと思います。  なお午後一時から公報にお示ししてあります通り、供出對策の委員會を本場所において開きますから、小委員の方は御出席を願いたいと思います。なお供出對策委員萩原君より辭任の申出がありました。その補缺は委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  49. 野溝勝

    野溝委員長 では坪井亀藏君を指名いたします。なおお諮りいたします。農民黨の北委員より、食糧供出對策小委員の増員方の申出がありました。これを許すに差支えありませんか。     〔「理事會に相談したら」呼ぶ者あり。〕
  50. 野溝勝

    野溝委員長 それでは理事の諸君はきよう見えておりませんので理事會できめることにいたしますか。     〔「理事會一任」呼ぶ者あり。〕
  51. 野溝勝

    野溝委員長 理事會一任に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  52. 野溝勝

    野溝委員長 それでは理事會において決定してもらうことにいたします。
  53. 坪井亀藏

    坪井委員 以下十四點ばかり協同組合法案の内容について質問いたしたいと思いますが、追つてとつ機會を與えてもらいたいと思います。
  54. 野溝勝

    野溝委員長 承知いたしました。午後二時まで休憩します。     午後零時二十九分休憩     午後二時二十五分開議
  55. 野溝勝

    野溝委員長 午前に引續き會議を開きます。  この際お諮りいたしますが、林業小委員萩原壽雄君より辭任の申出がありましたので、その補缺を委員長において指名するに異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  56. 野溝勝

    野溝委員長 では坪井亀藏君を指名いたします。なお午前に引續き質疑を繼續することにいたします。坪井委員。
  57. 坪井亀藏

    坪井委員 第四條によりまして「第十三條第一項の規定により出資をさせる組合(以下出資組合という。)には、所得税及び法人税を課さない。」この條項によりまして、出資組合は法人は課さないということになつておりますが、非出資組合の場合においてはどういうぐあいにするか、これは課するか課せないかという點について質問をいたします。
  58. 山添利作

    山添政府委員 今までの税法の關係上、非出資組合では免税規定が書いてないのであります。しかして實際税を納める建前でありつつ、納税をしておるかというと、ほとんどその事實はないということであります。そこでこういう國家財政の事情の際、免税の範圍を擴張するということについては不適當である。しかし實際上には何ら影響はないというのでこういう規定なつたわけであります。
  59. 坪井亀藏

    坪井委員 第六條でありますが、「組合は、その行う事業によつてその組合員及び會員(以下組合員と總稱する。)のために最大の奉仕をすることを目的とし」こうなつておりますが、この最大の奉仕をするをもつて目的とするという、この内容について、具體的に御説明を願いたいと思います。
  60. 山添利作

    山添政府委員 これは協同組合の精神を現したのでありまして、組合ができ得る限りの活動を行うその活動そのものが、とりもなおさず組合員の經濟上の發達を目的とする。こういうことでありまして、例をあげろというお話でございますれば、組合の行う事業ことごとくをこの精神をもつてやらなければなるぬということであります。
  61. 坪井亀藏

    坪井委員 まだ答辯が要領を得ないと思いますが、奉仕ということは、おそらくその組合で自主的にすべての事業を行つて、その餘力ああつた場合においてこれは當然やるべきである。組合みずからの運營もできずして奉仕ができるはずがないと思う。そういう觀點から見ると何か特殊的にそうした事業を行うというような場合においては、かりに土地改良を行うというような場合において、資材あるいは資金は政府においてかりにこれをもちましても、勞力がないという場合においては、農民がそこに奉仕をするというような場合においては、これはもちろんありますけれども、その他においては、奉仕ということは非常に廣義に考えますと、何をやつていいかわからない。非常に狭義に考えた場合においては、今私が申し上げましたような例はありますけれども、廣義の例があつたら、たとい一つでも二つでもいいからお示し願いたいというのであります。
  62. 山添利作

    山添政府委員 坪井委員のおとりになる奉仕の意味は、戰爭中の勞力奉仕、ただでやるというような意味をお指しになつておると思いますが、ここに書いてある奉仕は、われわれが普通の場合には英語でサービスと申しておりますこの意味でありまして、たとえば外國人を私どもが訪問をして、向うの人が聽くのに、何かサービスすることがありますか、とこういうようによく聽くわけでありますが、そうい意味における奉仕でありまして、無償で何かをする、こういう意味のそれでは必ずしもないわけであります。
  63. 坪井亀藏

    坪井委員 第九條「農業とは、耕作養畜又養蠶業務(これに附隨する業務を含む。)をいう。」とありますが、山林もその一部を開放いたしますれば農業ができるのであります。言いかえれば、林業經營者もこれに當然入れるべきだと考えますが、どういう觀點をもたれておるか、その内容についての御意見を伺いたいと思います。
  64. 山添利作

    山添政府委員 お話のような場合に、林地を開拓して農業をやつておれば、それは農業であり、かつ農民であるわけであります。
  65. 坪井亀藏

    坪井委員 從つてそういう場合においては、いわゆる森林經營者もこれに含めてはいかがかと思いますが、その見解はどうですか。
  66. 山添利作

    山添政府委員 森林の關係におきましては、森林組合あるいは林業會法等に規定してあります林産組合、林業會、かような系統的な組合制度があることでありまして、必ずしもお説のようには考えていないのであります。
  67. 坪井亀藏

    坪井委員 私の觀點から見ると、今までの林業會法は林産組合と森林組合が一體となつて、利害相反するものがただ一つの森林行政に對する業務を扱つておるのでありまして、食糧増産といつたような面には携わつておらぬのであります。こういう觀點から、廣い意味において森林經營者も含めていくという觀點についてのお尋ねをしたのであります。もちろん森林業者はそちらにおきまする法規によつていくべきであるが、しかしこの點については將來、耕地の約六倍以上あるこの森林開放というような點から見て、相當多くこれは耕地化されており、しかもまたある一定の年限は供出も免除されておるとか、あるいはいろいろな特典がありますけれども、將來こうした食糧事情から言いましても、いろいろとこうした面も強化していく點もあるのではないか。なおまたむしろ一般のわずかの農耕地よりも、これの開放によつて相當多く耕地化されておる、こういう觀點から私は入れるべきであると思うが、その點はどんなお考えですか。
  68. 山添利作

    山添政府委員 森林は森林、農業農業でやつていつたらいいと思うのであります。しかしお話のような點、たとえばよく言われましたいわゆる立體農業、くりをどうするとかいうような問題については、どの組合で取扱うか、これはその組合をどういう人たちが構成しておるか、その人たちの場合場合によることで、あるいは森林組合で——森林組合というと語弊がありますが、そういう森林關係の團體でやることもありましようし、この團體でやることもありましよう。これは一人の組合員農業協同組合組合員になり、また森林組合組合員になることもあり得るわけで、その邊のところは具體的事柄自體の要求するところに從つて組合が取上げていくということになつてくると思います。
  69. 坪井亀藏

    坪井委員 「農業とは、耕作養畜又養蠶業務」こう漠然となつておりますが、どうせ漠然とやるならば、この農業經營の要件としては土地、資本、勞力あるいは牧畜というものはいいと思いますが、しかしこういうぐあいに分類してみますと家畜、家禽というような方面まで入れるべきだと思いますが、ここに養畜となつておりますけれども、家畜、家禽というぐあいに、分類するならば入れた方がいいと思いますが、御見解はいかがですか。
  70. 山添利作

    山添政府委員 この法律における養畜の中には、いまお述べになつたものを含むのであります。
  71. 坪井亀藏

    坪井委員 第十條でありますが、「農業技術及び組合事業に關する組合員の知識の向上を圖るための教育竝びに組合員に對する一般的情報の提供に關する施設」こうなつておりまして、農業技術員のことでありますが、この農業技術員は、今後出てくるところの農業生産調整法の方ですべて豫算化して、そちらの方ですべて増産に寄與するという方向にいくというように伺つておりますが、今後農業生産という面から見ると當然これは農業協同組合の方でやつていかなければならぬ。從つてすべてのそうした指導方針、あるいは助成等についても、當然協同組合においてやつていかなければならぬと思います。この事實運營方針について農業生産調整法との關係一つ御明示願いたい。
  72. 山添利作

    山添政府委員 農業技術に改善についてはこの協同組合で扱つていくのでありまして、そのために技術員の設置等は、自主的にこの協同組合で講じていただきたいという希望をもつております。農業生産調整法の關係は、現在は農業會が主として扱つております。生産の統制、割當供出、こういう國家義務の色彩をもちましたものを農業生産調整法の方では扱うのでありまして、そこに協同組合の行う事業區分があるわけであります。そこで同じ現在農業會に設置されております技術員が、一方はさような國家的な事務に携わるものとして町村の方に移管をされ、他方はこの協同組合に移りまして、直接の生産技術向上に關する事項について農民にサービスをする、こういうわけであります。
  73. 坪井亀藏

    坪井委員 二十二條でありまするが、「除名は、左の各號の一に該當する組合員につき、總會の議決によつてこれをすることができる。但し、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これを以てその組合員に對抗することができない。「長期間にわたつて組合施設を利用しない組合員」この「長期間にわたつて組合施設を利用しない組合員」という單なることで、これを除名するというようなことは、これはあまり民主的でないと思う。この組合全般から見て、もう少し理由がはつきりした場合においてのみ、實際組合の名譽を失墜するとかいうような重大問題の場合ならばいざしらず、その組合の行う事業が不適當であり、あるいはまた利用でき得ないような現状にあるという場合において、これがおのずからその組合に責任があつて利用できなかつた場合においても、これはそのときに施設を利用しないからと言つて除名するというようなことができるものか。この點についてきわめて非民主的ではないか。もう少し理由というものが明白になり、もう少しこれについては檢討を加えるべきだと思うが、この見解をいかがでありますか。
  74. 山添利作

    山添政府委員 協同組合は本來組合員が共同しまして一定の施設をし、それを共同に利用していくというのが建前でありまして、しかるにもかかわらず、何らの理由なくして全然利用しないというようなことであれば、組合員たるかいがないわけであります。しかしそれで直ちに除名をされるか、どうかということは、總會の議決によりますわけでありますから、そこでこういう第一號の理由により除名をするかどうかという、ただいまお述べになりましたようなことを、詳細に總會おいて審議の上で議決をすることであります。これは總會の議決ということを建前とし、しこしてまた單なる總會の議決ではいけないので、これこれこういう事實がなければならないということが、さらに總會の議決を制限しておるのでありますから……。
  75. 重富卓

    ○重富委員 關連して……。
  76. 野溝勝

    野溝委員長 發言を許します。一囘だけ……。
  77. 重富卓

    ○重富委員 ただいま政府委員から御答辯がありましたが、これは詭辯だと思います。組合施設を利用しないということは、組合員であるその者がまだ無自覺なためであると見るのが妥當だと思います。協同組合の精神からいたしましても、そういうものは除名の理由にならず、むしろ教育を施さなくてはならぬ。かように考えるのであります。こういうことは先ほど坪井委員からも言われたように、實に協同組合精神に反した除名理由だと思います。
  78. 山添利作

    山添政府委員 組合員に對して組合が十分教育的活動をすべきことにつきましては、第十條の第一項第十號に掲げておるのであしまして、しかるにもかかわらず、何らの理由なくして組合員たるのかいない人、こういうふうに解釋をいたしておるのであります。
  79. 坪井亀藏

    坪井委員 第三十六條に「理事の職務を行う者がないとき、又は前條の請求があつた場合において理事が正當な理由がないのに總會召集の手續をしないときは、監事は、總會を召集しなければならない。」こうなつておりまするが、理事、監事とも總辭職していなくなつたというときには、その手續はどういう方法によつて行われるか。その見解を御説明願います。
  80. 山添利作

    山添政府委員 この法律におきましてはそういう場合を豫想していないのでありますが、從來の協同組合に關する法律は、普通の組合法制とわれわれは呼んでおりますが、一般の規定も第三十六條に掲げてあるものをもつてつておるのであります。ただし今までの場合でありますと、行政官廳の監督權限をもちまして、理事が缺けたときに假理事を選任することができるとかいろいろなそうい規定はございます。今度の組合は自主的な組合でございますから、行政官廳がそういう選任行為等をなす規定は設けてないのであります。そういう場合を豫想をしていないのであります。
  81. 坪井亀藏

    坪井委員 兩者がともになくなつた場合においては、今までの農業會法等においては、結局行政官廳が職務管掌ができたのですが、今度は自主的組合でできない。またそういうことは豫想されないというのでありますが、私は必らずしもそんなこともないと思うのであります。そうした場合法文は上から天降り式に行われないで、たとえ自主的に行われても、結局總會を開く人が、ないということになれば、機能がとまるわけであります。でありますから理事、監事はいずれかの一方が辭職しても、總會を開くという權限をここへ織り込む必要があろうと思います。その點いかがです。
  82. 山添利作

    山添政府委員 研究をしてみます。
  83. 坪井亀藏

    坪井委員 四十條でありますが、「役員は、總組合員(準組合員を除く。)の五分の一以上の請求に因り、任期中でも總會においてこれを改選することができる。」こうなつておりまして、五分の一以上の請求ということになつておりますが、なお一方においては組合員が千人以上ある場合においては總代會が設けられるということになつておるのであります。そうした際においてその總代の五分の一以上の請求によつてこれが改選ができるかどうか。もちろん千人以下の場合においては、全組合員が千人とするならば、五分の一ですから二百人以上の請求があつた場合においては、任期中といえども改選できるということになりますが、その總代會との關係はいかがなりますがか。
  84. 山添利作

    山添政府委員 ここには直接の組合員を指しておるのでありまして、從つて總代會の議員の五分の一をもつて改選の請求をするということはできないという解釋をいたしております。
  85. 坪井亀藏

    坪井委員 四十條でありますが、「組合は、參事及び會計主任を選任し、その主たる事務所又は從たる事務所において、その業務を行わせることができる。參事及び會計主任の選任及び解任は、理事の過半數によりこれを決する。」こうなつておりますが、こうした少數で行うよりも、こうした場合において會計とか參事とか責任のあるものは、總會においてこれをきめるということが妥當だと思いますが、この見解はいかがでありますか。
  86. 山添利作

    山添政府委員 本來の業務の執行の責任は理事がもつわけであります。その理事が使用人たるところの參事、もちろんこれは普通の使用人と異つて、商法に言う支配人的地位をもつものでありますが、これは理事の責任において設ける。こういう趣旨であります。
  87. 坪井亀藏

    坪井委員 第四十八條にいきまして、「千人以上の組合員(準組合を除く。)を有する組合は、定款の定めるところにより、總會に代るべき總代會をもけることができる。」こうなつておりますが、この場合におきまして、もちろん定款に定めなくてはならぬわけでありますが、千人以上、こう限度を限らなくとも、やはり必要に應じていろいろ便不便もあるのでありまして、組合の自主的という點からみると、十五人以上あればできるのだということになつておりますので、こうした限度というものはなくても、おのずから必要においてこれができるとか、あるいはもつとこれを引下げて、千人は百人とか、あるいは二百人、あるいは最高五百人という單位の場合においても總代をおくことができるということにできないものか。これを多數の千人以上ということにしたことは、この法をつくる上において、十五人以上あれば民主的にだれでもできるという精神からも相反すると思うが、それを千人以上と規定した點についての理由を御明示願いたいのであります。
  88. 山添利作

    山添政府委員 これは協同組合の精神といたしまして、組合員が直接當該組合運營に參加をする。それには特別に支障のない限りは、組合員が直接集まつてものを討議すべきである。こういう精神に基いておるのであります。千人以上も超えるということであれば、集會の場所にもはなはだ困るというような事由を考えて、總代會の規定をおいたのでありまして、さて千人がどうであるかという具體的なことにつきましては、大體千人以下ならばおく必要はないではないかという見込みであります。もつともこの定足數の規定を別においておるわけではないのでありますから、運用上は差支えはないと思います。
  89. 坪井亀藏

    坪井委員 なお質問いたしまするが、定足數がないとしたならば、定款に定めてこれは自由にできる。こういう意味に解してよいのですか。
  90. 山添利作

    山添政府委員 これは定款で千人以下の場合でもおくというわけにはいかないのでありまして、そういう大きな組合に限つて定款で定めておきたい。こういうわけであります。
  91. 坪井亀藏

    坪井委員 五十五條でありますが「農業協同組合を設立するには、十五人以上の農民が、農業協同組合連合會を設立するには、二以上の組合が發起人となることを必要とする。」もちろん一つでは連合會にはならないのでありまして、二つ以上なくてはならぬと考えられますが、民主的にいこうという場合においては、少くともこの町村一本でやつていこうというような場合においては、おのずから町村に連合會の必要はもちろんなくなるわけでありますけれども、町村にいくつかの農業協同組合ができたという場合においては、おのずから連合會が必要だ。こう考えております。その場合において四つとか五つとかいうような、たくさんのものができてくる場合には連合會の必要があろうと思います。二つばかりではそうした連絡協調というような點についても、おのずから連合會というものをつくれば事務が輻湊するという意味からも、經理その他いろいろ不便があろうと思います。これらについてはどういうお考えをもつておられるか。私は少くとも五つ以上とか、數多い協同組合があつた場合において連合會の必要がある。二つぐらいということは意味をなさぬと思いますが、その點はどんなお考えでありますか。
  92. 山添利作

    山添政府委員 ここに書いてありますのは、法定の最小限というのでありまして、具體的な問題といたしまして、二つくらいで連合會がぽつぽつできるというようなことは、私どもも想像いたしておりません。また坪井委員のお考えになりますように、町村に部落ごとに組合ができて、そうして町村の組合がまた連合形體をとるであろうということも、私は見込みを異にしております。
  93. 八木一郎

    ○八木委員 連合會に關連してお尋ねいたしたいのですが、十二條の二項の二に「他の法律により設立された協同組織體で組合の行う事業と同種の事業を行うもの」こうありますが、法令の規定としてはきわめて抽象的でありまして、はつきりわかつたようで、その具體的の内容になると、これはいかなる組合を指しておるかを知りたいのであります。産業組合、商業協同組合、森林組合、耕地整理組合、蠶絲協同組合等を一應思い起すのでありますが、そのほかにこの種の範圍でどの程度にお考えになつておるか伺いたいと思います。
  94. 山添利作

    山添政府委員 これはその組合に性格が似たような協同組合考えておるのでありまして、當面産業組合考えております。
  95. 坪井亀藏

    坪井委員 第五十六條でありますが「發起人は、豫み組合事業及び地區竝びに組合員たる資格に關する目論見書を作り、一定の期間前までにこれを設立準備會の日時及び場所とともに広告して、設立準備會を開かなければならない。」この中の地區でありますけれども、先に準備會ができて、今までの町村を一區域とするというように、もしこれを認めた場合において、あとからかりにその組合に屬することがいやで、他に協同組合をつくろうという場合においては、さきにつくられた方が地區を獨占するというおそれがあろうかと思います。こういう場合においては、地區の問題についてはどういうぐあいになるものか。これは加入脱退が自由だということになれば、當然十五人以上のものでつくることを申し出て準備委員會を開くということになるので、一組合ならば問題はないが、いくつかの組合ができれば當然問題が起きると思います。なお先ほど一町村に二つ以上の協同組合ができることはないと言われたが、むしろ私は今後の農業協同組合は、一町村に數多くできて、お互いにその機能を發揮していく。いわゆる協同していくと思う。市町村内において一つ組合が獨占的に事業をやるということでは、過去の農業會において見る通りでありまして、決して發展性がない。私は必ず二つなり三つなりが、大きな町村においてはできるのが當然だと考えておりますが、これらの見解について質問いたします。
  96. 山添利作

    山添政府委員 地區がダブつて組合ができることは差支えないのであります。それから先ほど町村單位の連合會については見込みを異にしておると申したのでありますが、大體今の實行組合にあたるような、部落もしくは部落の組合員というものは、本当の意味の生産資金を増大するという單位でございません。しからばそのような團體が連合して町村單位で連合會の形で協同組合をつくるかといえば、それでは物資を求める上においても、また物の配給とかいうような點における簡便さという點から申しましても、それは連合形體をとらないであろうということを私は豫測として申上げるのです。
  97. 坪井亀藏

    坪井委員 第六十二條の現物出資でありますが、この場合においても現物出資の現物の範圍というものはどの程度になるか。またどういうことを豫想しておるかということをお話願いたいと思います。
  98. 山添利作

    山添政府委員 法律的には別段の制限も何もないのでありますが、また事實現物出資が多く行われるということも豫想しておりません。ただ非常に小さい組合で、生産を高度な意味における協同でやろうじやないかというような場合には、農業用の施設等を現物出資する場合が豫想せられるのであります。
  99. 野溝勝

    野溝委員長 大臣が出席したので留保した質問を許します。清澤委員
  100. 清澤俊英

    清澤委員 私は大藏大臣にも少しお伺いしようと思つてつたのですが、見えないようですから、大藏大臣に對する質問は保留して、農林大臣に金融の問題ほか一點ほどお伺いいたしたいと存じます。  この法案はただ農業會を改組して農民に自由を與えるとか何とかいうような法案ではなくて、ポツダム宣言の履行のために日本の農村民主化を進めるという建前から、本法案が出てまいりましたことは申すまでもないことでありまして、これはこの間の農林大臣の提案の説明の中にも、その點ははつきりしておつたと思うのであります。そこで農村民主化については、御承知のの通り、土地開放を中心にする五項目かがあげられている。その土地開放を基礎にして、本法案を施行いたしてまいりますときに、先日農林大臣仰せられた通り組合内に農民の諸體制を確立しつつ、生産の増加をはかり、農民社會的經濟的の向上を考えるとともに、土地の開發から水利、農産加工というようなものまでも本組合によつてつていくのだ。そういうことによつて少くともポツダム宣言に言われておりますところの、農産物の適正な價格竝びに加工等によつて、都市の搾取から免れるという方法を講ずるという政府趣旨を、十分この組合法を通じて履行せられるものであるといたしましたならば、金融という問題が非常な重要性を加えてまいると思うのであります。ところが、ただいま私どもが農村における金融というような問題を現農業會竝びに過去の産業組合等を通じて考えてみますときに、これは歴史的に見ましても、生産農民中心として必ずしも産業組合というものの發達はできておらぬのでありまして、先日御配布になりました團體年表というあの資料などを中心にして調べてみましても、當初から農村における商工業者の維持と發達とを目的としているというような點から見ましても、眞の耕作農民中心にしたという點がさらに見受けられない。また實際今までの農村におきます信用組合等が、農民に影響しました點などをわれわれ考えてみましても、農民そういう金融面を使つて、そうして農民自身の生産に十分役立たしたというようなことはできておらぬのであります。從つてその活用せられました範圍は、えて商工業的なものに利用せられ、また産業組合の發達は販賣、購買事業というような建前から、消費面の物資を商人的に取扱うというような面に發達せられておりまして、多くの場合生産農民がほんとうに生産に使うというような面に今までも使われておらないのであります。そこで急にこの法案内に金融部を設けられそれがただ單位組合だけの金融面を扱うようにしておられてそうしてその上の連合會になりますと、これは生産協同組合というようなものに分業的に分れてします。こういうものができ上がりますと、昔からの惰性からわれわれが推測してみましても、その金融というものは、われわれの企圖する生産面へどういうふうに影響してくるだろうかと考えますとき、私は非常に心配にたえないものがあるのであります。これを過去の實績によつて私ども想像してみますとき、この協同組合法によつて自由な組織、自由な參加ができるという、この自由な組織がかえつて禍いまして、金融面においてせつかくたくさんの資本を信用組合に投資しておつたような人たち、つまり地主さんの階級とか、その他金をたくさん投資することのできる人たちというものが、ひとりでに非農家ということで缺けていくのではないか。そうしますと、もとより資本の少いところに、ますます信用組合等の資本は小さいものになつてくるということが考えられます。從つて無氣力ななものができてくる反面、この協同組合を通じての農村の生産者は、土地の開發から水利のことから、農産加工のことから、工場のことまでやつていこうとしている。しかも土地の開放等が中心になり、時代の背景のもとに、最近農民意圖というものは、過去の農民の姿を拭い去り、今まで考えなかつた土地の造成から土地改良、土地を根本にした生産計畫までやらうという意欲に燃えている。こういうときに、今申し上げましたような無氣力な信用組合、金融組合ができ上るということになりますと、先ほど坪井君が農政局長に言われました通りそういう金融機關であれば斷じてその事業は行えないという形になるのであります。從つてただ土地が開放せられたということが農村民主化ではなく、進んでポツダム宣言を履行しつつ農民が近代的な農村を形づくるところの資本が十分與えられなければならぬと考えるのであります。今のままで行つたならばそういうことは考えられないということが一つ、いま一つは、そうやつて資本が十分與えられないところに、農村におけるこの協同組合の組織が自由にいくつでもつくられればよいというような形になると、必然的に商業資本、産業資本というようなものが農村にはいつてまいれまして、地主的な、封建的な勢力の資本をもつている人と結んで、そうしてそのばらばらにしていいという間隙を縫つて、これれのものが分裂したたくさんの協同組合をつくらして、そこに資本的な支配が行われる危險がないとは斷じて考えられないのであります。そういう分裂的な傾向をどうして防止していこうとせられるのであるか。それを一つお伺いしたいと思います。  なおそういうような状態をとりもどして、どうしてもこの協同組合をして本來の目的に副わしめ、協同組合の力によつて近代農村を築き上げて、農民が自分の作物を適正なる價格に賣り、しかもこれを加工して、今まで都市商工業者によつて搾取せられておつたのをとりかえするという、ポツダム宣言の健實な履行をやつていこうといたしまするには、私はよほどの資本的な援護がここに加えられなけえればならないと考えますので、私見を交ぜて少しお伺いしたいと思います。私はそういう立場において、この法案の中から金融を取扱うという第十條の一、二項はこれをはずしてしまつて、金融は政府の資金と農民の投資資金とを中心にした農民銀行のようなものをつくつて、それに金融を全面的に扱わせる。しかもその預金であるとか、あるいは預金を集めるとか、日々の貸付を行うというようなものがありましたらなば、それは村の協同組合の中に銀行の代理店を設けるようにしたならば、かえつてうまくゆくのではないか。それくらいのことをしなかつたならば、決して本協同組合方は本來の目的を達することができないのではないかと考えまするので、その點をお伺いしたい。  次には、金融部面は都道府縣の連合會くらいまででお止めになり、今日の農林中央金庫のようなものを中央でつくつて、それに加入すると同時に、この中央金庫を通じて融資するというような二本建になさるお考えなのかどうかということを伺いたい。その二つをしないで、ただあくまで協同組合一本建として、中央金庫までずつと一本建にやられるかどうかということ三點としてお伺いしたい。  第四點といたしましは、非出資組合の金融はどうするかということであります。非出資組合は本法にによると金融の預金も貸付も受けることができないとなつておりますが、少なくとも非出資組合員として立ちまする者は、村においてどうかと申しますれば、小農の經營者であるとか、あるいは貧困者であるとかいう人であるということは、平均してそういうことが考えられるのでありまして、こういう人たちこそは特別に何らかの方法を畫して、一日も早く適正な農家に進まれるような保護が必要なのではないかと思うところえ、非出資組合であるからというので、金融が少しも考えられないということを聞きましたならば、これは農村の實情としてははなはだ不公平というよりは、むしろ妥當を缺いていやしないかと思いまするので、その點をお伺いしたい。  次に大藏大臣がおられましたら大臣にお聽きしたいと思うのですけれども、農林大臣でわかれば濟むことでもあろうと思いますので、ついでにお伺いしておきます。かりに今の農業會解散せられるという場合になつたとき、中央金庫がかつて軍事公債をもたせられたものは、これは軍事公債の打切りでもう未償還になるのではないかとは考えまするが、單なる利益會社や財閥がもちました公債とは違つて農民の零細なる金が集められて、そこにあつたものをたまたま軍事公債を買わされ、もたせられたというようなことで、これが打切りになることは、今ここに農業會解散せられて、先ほども農政局長にお伺いしたのですが、退職資金等でたくさん出費が豫想されまするとき、その方も農業會農民の零細な蓄積の中からそれを出していく。また戰時中にもつた公債の未償還分ももつて行け。これでは解散して整理したときには、今まで數十年間かかつて貯めた蓄積も、次の協同組合に引移すときには何らの持分もないというような、がらん堂の建物だけがわずかにもらえることになつたならば、これはたいへんなことであるから、この點を一つ何とか考えられないか、こういうことを伺いたい。  それから今興業銀行等の債券をもつておりますが、これらは整理と同時にどういうように大體引繼がれるのであるか。これは債券をもつておる者は、債券をかりに中央にあるものをわけるといたしましても、これらをどういうふうなわけ方をするのか、あるいは中央金庫を、前伺いました通りの別な置き方において債券を考えておられるのか、それにむけられるという考えなのかどうかをお伺いしたい。  その次には昨年の議會においてわれわれが決定いたしましたる肥料資金の肥料會社への貸付二十億というようなものは、一體それらのものがやはり債券としてどういうふうに始末せられて、そうして次の協同組合との結び合いにおいて始末せられるか、要は中央金庫はどういう形で、どうなつてわれわれの手もとにその蓄積が返つてくるかどうかという點をお伺いいたします。
  101. 平野力三

    ○平野國務大臣 金融問題全般についての廣汎なお尋ねでありますが、この際はつきり申し上げておきたいと思うことは、この法案をつくる建前として、生産事業をやる協同組合と金融とは切離した方がよい。こういう意見が基本的な問題として考えられたのであります。しかしごく末端であるところの單位組合だけは、生産事業と金融事業を併立することの方が農業の發展の上においてよいという意味から、この法案において規定しておりますように、連合會以上は金融面を省略し單位組合は生産と金融を兼用するということになつた點をまず御了解を願いたいと思います。  次に御指摘のように、それでは農村全般にわたる金融についてはどう考えるかという點については、これはこの協同組合と別個に、高所に立つて、たとえば御指摘になつたような中央金庫等を改組して、大きな農村全體の農業金融機關を設定するという構想をもつておるのであります。その具體的内容については、ただいままだ十分成案を得ておりませんので、これは適當の機會においてその成案を發表して、皆さんの御批判を受けることになろうと考えるのであります。簡單でありますが、大體の金融面に關するわれわれの心構えについて御了承願つておきたいと思います。  次に非出資組合がなぜ金融できないかという點は、言うまでもなく非出資組合にはこれを行う基本的な財産がないことになりますので、これに金融面を與えないことは當然の處置であると考えます。  それから農業會解散するに從つて、諸般の金融面においてもつておりました債券であるとか、あるいは證券でありとか、いろいろなものの整理に關しましては、一々ここでこれをどうする、ああするということを明確に申し上げることは困難でありますが、これらはそれ相當の整理方法があるのでありますから、大體においてあまり不自然にならないように整理していく考えであります。從つて農林中央金庫が、肥料會社に投資しておりますこれらの債權についても、しかるべき方法をもつて、決して出資に對して迷惑を及ぼすことのないように處理できる確信をもつておる次第であります。
  102. 清澤俊英

    清澤委員 大きな面の金融に對しては、中央金融公團のようなものをつくつていくとお考えになるのでありますが、大體その片貌だけでも聽かしていただけませんか。これは今申しました中央金庫の整理には非常な關係がありまして、それを通じてこの協同組合がどう生きるか、生きないか重要な關連もありますから、少なくともこういう法案が出る限りにおいては、その輪郭くらいは農林大臣の頭の中にあるのじやないかと思います。それなくしてこの協同組合をただやつてみると言われてもこれは問題にならないと思います。地方においては事實において産業界等が金融を硬塞して、仕事をさせないで、あるいは酪農組合等についても、明治や森永が來て酪農工場を立ててやるということになりますし、過去にわれわれが經驗した通り養蠶組合のどさくさに鐘紡の資本がきて、鐘紡と特約工場をつくつて、ぐんぐんとその金融機關に獨占的な金融支配が行われることになれば、かえつて好きなことができ、その進出を容易ならしむるだけのことであつて農林大臣の言われる農民自身の自主的な協同組合をつくり、みずからの力によつて農村民主化し、同時にその自主的な力により増産するということは考えられないことになるのでありますから、少なくとも金融というものとこの協同組合法は不可分の關係にある。さらに金融面のことは考えていないということになれば、この協同組合法は金融の點がはつきりするまで考えなおさなければならぬという結論に達すると思います。だからできるできないはどうあろうとも、農村における獨占資本のはいつてくる危險性、地方的ボスを中心にした地方中小産業の資本家が、地方がいろいろ仕事をやりたいという氣持でおるところをキヤツチして、それをはじめるという危險性に對しての方針としては、どうしても金融問題が重要性をもつてくるのでありますから、金融に對する片われわれらいは農林大臣にお聽きしておきたいと思います。
  103. 平野力三

    ○平野國務大臣 多少表現の違いはありますが、私は今囘の協同組合は、必ずしも從來の農業會、産業組合のように、まず金融面が確立しなければ生産事業は發展しない。こういうことのみに全體の重點をおかないのであります。やはり自主的な協同組合によつて協同組合のもつておる本然の協同精神によつて生産を發展せしめる。こういう考え方でありますので、金融面が確立しなければ絶對に協同組合成立たないという考え方については、必ずしもあなたの御意見に同意しないのであります。そうは申しましても金融面が非常に重大なる役割をなすことは當然でありますので、この法案が通過し、農業中央金庫等がどう改組されるかという諸點については、いわゆる農業復興金庫と申しますか、あるいは第二中央金庫と申しますか、名前は今ここに申し上げることはできませんが、いずれ農村全般にわたる大きな國家的金融機關を設けて、農村の金融に對しては相當便宜を與える、こういうことはわれわれは別個の點に考える。しかしこのことがなければ絶對協同組合成立たないと規定することは、從來の資本主義的な考え方に制約された産業組合農業會を主張する考え方であつて、この點は清澤君の御意見といくらか違うのであります。しかしそれではそうい方面考えておる金融機關の内容、全貌を發表せよというお話でありますが、實を申しますと、現在の農業中央金庫をどう改組するか、またこれが實際どうなるかという問題については、いま少し檢討を加える餘地がある。從つて不用意の間にこういう機關をつくるのだと言うてしまうことは、かえつて取り返しのつかないことになるので、かすに若干の時日を與えていただきたい。しかしこれは必ずさような金融機關をつくつて適當方法で御相談をお願いするということははつきり申し上げておきます。
  104. 清澤俊英

    清澤委員 金融の問題は大體これくらいにして打切りたいと思いますが、ただ農林大臣の生産意欲と協同の精神をもつていけば、十分その目的が達せられるという考え方は、すでに非常な間違いだと思うのでありまして、この間もすでに農林大臣はその提案説明の中において、組合内に農民の主體性を確立したい。生産の過程を通じ、生産の増加をはかつて、土地の改良あるいは土地の造成、水利の問題、生産加工の問題などをやつて農民の經濟的社會的地位の向上をはかるのだと言われております。それはポツダム宣言を嚴格に死守しておると私ども考えるのでありますが、これを行うとき、資本なくしてこういうことを考えても、紙に描いたもちと同じで、絶對できない話であると思います。これらを遂行せしめる裏には、經濟的にも農民の獨立性が確認せられておらなければ私はだめだと思います。これは議論になるからこれくらいでやめまして、農民大臣の御善處をお願いしたいと考えるのであります。  次に同じような問題になりますが、本農業協同組合が、いろいろの事業、殊に農産加工等をいたしますとき、公團法あるいはその統制等において、農林大臣としてはその取扱いをどうお考えになつておられるかをお伺いしてみたいと思うのであります。先ほども申します通り、本法が生産農民意圖のもとに生産増加に進出して、協同の力でいろいろなものをつくろうといたしますとき、いかに各種の公團法等があり、あるいはいろいろの統制會社で統制があつても、たとえば具體的にひとつの土地を借用しようとするとき、食料品公團法を例として申し上げるならば、農林大臣の説明によると、公團は加工だけやるけれども生産の面はやらぬ。その生産は農林大臣がこれを指定して許可するのである。こういうようになつておりますとき、それらの指定が全部、酒によらず、あるいは漬物加工であるとか、あるいは牛肉の加工、酪農の製造であるとか、あるいは澱粉をつくつて賣る。あめをつくつて賣るというようなことは指定されておる。しかもそれが現在の統制の圏内にはいつてつて、より以上の工場が理窟から言えば必要がない。こういうようなことで、農民の意欲でもつて協同組合をつくつてそうい事業を始めようといたしますとき、現在統制にはいる指定工場であろうとも、優先的に農民協同組合の力によつてそれをよかろうとしますならば、許さるべきが正當である。それはなぜかと言うと、農民は實際出したくもないものを供出という一つの強制體系でとられて、これを出して、出しているものがそういうことろにまわつているものが多いのでありますから、少なくとも資料を自由に處理するという本質の權能からみますならば——これは自由の場合でありますならば、そんなところへは賣らないんだ、おれは勝手につくるんだ。競爭ならいつでもこい。そういう態度をとるが、それがたまたま公團法であるとか、芋の統制會社、澱粉の統制會社、あめの統制會社あるいは酪農法に縛られている。そういうことがあるといたしますならば、それらを乗り越えて優先的に許可をしてもらわなければ、この協同組合法にせつかく盛られました幾多の事業を行わんとする協同組合が、無力化していくと考えますると同時に、私はどうしてもそういうふうにしなければならないと思う。その點に對する農林大臣の御意見を伺いたいと思います。今日は大藏大臣が見えておりませんから、實は大事なところもお伺いできないのでありますが、私は酒の場合であるとか、あるいは製麺のばあいであるとか、タバコの栽培であるとかいうような、大藏省が舊來からもちましたところのああいつた一つ許可制、殊にこうじなどをつくるというようなことでも、一地方税務官吏にその許可權を得なければ、自家用のこうじもつくらせぬというようなばけげたことは、この協同組合法成立とともに、その精神に則つて、優先的に農民が酒をつくりたいと言つたならば酒屋をどんどんやらせる。現在の酒屋なんかはよさせたらよろしい。それが欲しかつたら外國からもつてきた米をもつてつくればよいということになるのでありまして、それくらいの見識をもつて、今まで農民にしても、自分でつくつたものは自分で加工したいという立場にあつたが、たまたま小作制度等によつて經濟的には壓迫せられ、從つて經濟的にも惠まれぬので、みすみす原料と勞力だけを提供して、幾多の加工會社やその他の會社の巨富をながめておる必要はないのでありますから、ほんとうに農民を昔の姿にかえしますためには、これらの一切の現在の加工場等は、協同組合の力によつて農村に返されるべきであるという見地から、公團法等の關系による統制と、この協同組合ができた後の許可等のお考えについて、ひとつお伺いしておきたいと思うのであります。
  105. 平野力三

    ○平野國務大臣 基本的な考え方といたしましては、農民の生産いたしましたものを原料として、順次農業協同組合が加工竝びに工業部面において進出し、しかして農村の利益を吸收するということは、大體考え方として、農業協同組合の指導の上において、私はとつていきたいと思うのであります。しかし今すぐ御指摘のように酒であるとか、タバコであるとか、あるいはみそ、醤油というようなものを、いきなり現在やつておる醸造權を剥奪して、協同組合にすぐ移すことはできないと思います。それはなぜできないかと言うならば、それは現段階においては、現在やつている製造業者を基本として一つの統制經濟な成立つておるのでありますから、これをすぐ機械的に協同組合であるからというて、何でも移すというようなことは大體において困難である。しかし先刻も申し上げたように、協同組合がまずそういう酒をつくるとか、あるいは搾油をやるとかいう面でなく、農業生産の面において高度に能率を發揮して、順次社會もそうい方面において生産が向上してまいりまして、自然將來において協同組合が自主的にあらゆる仕事をやるというような發展は、私も望ましいと思つておりますが、今ただちにかような前の製造、醸造の權利を奪つて協同組合でやるということを申すわけではまいらぬのであります。
  106. 清澤俊英

    清澤委員 私も何も今すぐ奪つてとは言わぬのでありますが、ただ問題は統制だけの問題でありますから、そういうものが逐次農民意圖のもとにでき上りましたならば、これを二本建に許してみても差支えないのでありますし、またやろうといつても、一どきに今やつている統制會社を全部やめにして、農民協同組合で全部とるということもできないのでありますから、私は少なくともその心持に立つて農林大臣が、政府としてはその許可制等は十分協同組合を通じたる農民意圖をくんでやつていただくことが必要であると考えるのであります。  その次には私は開墾協同組合等のものが、おそらくは將來において農民意圖によつてできる日も近いと思うのであります。今まで農民が土地を中心にして、實際問題として一つの生産でも考えたということはないのでありますが、それが最近の農民は土地の改良問題につき、水利組合の問題につき、開墾の問題につき、しかもそれを自家農村の廣汎にる計畫において、殊に山間農村の零細農が多い耕地の少ないという地方におきましては、非常にその熱意が高まつているのであります。こういう際に土地はいろいろ農地調整法によつて開墾せられてくる。自分達の解放という、民主化という形で、何だかしらん一つの力が自分の身體に滿ち滿ちてきたとき、初めて今まで欲しかつたと思う土地を、あるいは採草地を、今まで求めて得られなかつた。地主の方で賣つてくれない、あるいは貸してもらいたいと言うても貸してくれない。たまたま貸してくれと言えば高額の小作料でだめだとか、あるいは資本がなくてそれが開墾できぬとかいうようなことで、欲しなかつたができないという農民がたくさんおるのであります。そうい地方に限つてまた開墾地を相當もつのでありますから、そこへ今は何ら連絡なく開墾營團というやつがはいつてまいりまして、農村部落と關係なくして開墾が行われている。そういつた開墾地には、ある特定數の入植者が豫想せられ、その豫定せられたる入植者に引かれて、全然目標を離れた開墾が現實に農民の前に展開している。もしその開墾が農村部落とほんとうの連絡をとりますれば、その開墾地へ引入れますところの一本の道路でも、一筋の江筋でもが現在の農村とわずかの區間で利用せられるというような場合、それが全然縁がきれている。はなはだしきに至りましては採草地をその中に繰入れられた、あるいは開墾地がその中に繰入れられたというような形において、今の開墾營團というようなものが取扱われておるのでありますが、私は將來といわず、もう目前に迫つた農民の生産意欲として、土地を中心にして、土地から一つしつかりと自分の生産を興していこうという農民の意欲が高まつたとき、そういう營團がはいつてきまして、農村混亂と憎惡に滿しておるということは、これははなはだ間違いが多いものだと考えますと同時に、その机上獨善的なプランは、たまたま土地の特質も知らぬで、そこに一町歩一町何段歩を基礎としたる歸農者を入れるのだというけれども、その土地が現在においてはたれが見ても完全な農地にならないという場所でありますから、今日まで殘つておるということも知らないで、歸農者をいれるというばかげたこともやつております。私はこの協同組合法成立とともに、この營團の開墾という机上プランなやり方は十分改めるべきがほんとうであると思いますと同時に、お改めになつて、將來の開墾營團等を行われときは、入植者何名お前の村にやるのだから、これだけの所を開墾していくのだという建前において、完全な部落農村との連繋のもとにやられる意思があるのかないのか、こういうことをお伺いしたいのであります。農民が待ちに待つた土地を、みなそういうふうにして奪われるということは、本協同組合法による協同組合の發展上、はなはだ阻害あるものだと考えまするので、御意見をお伺いしたいと思います。
  107. 平野力三

    ○平野國務大臣 御指摘になりましたような事實が農地開發營團にあるといたしますれば、まことによくないことだと考えますので、改めたいと思います。  開墾事業について開墾協同組合というようなものも當然できる可能性のあることは、これも是認いたすのでありまして、開墾協同組合等ができまして、ほんとうに自主的にその地方における開墾豫定地をつくりまして、協同組合の形から開墾が行われてまいりますることは、ほんとうに望ましいことであつて、むしろ開發營團等が、事情に即せず乗り込んで不徹底なる仕事をすることよりは、清澤君の御指摘のような方法に指導していきたいと考えております。
  108. 清澤俊英

    清澤委員 次に、協同組合法によつてわれわれ農民が本当に起き上らんとしまするとき、實は非常な迷いでありますか、不安に襲われております。それは何であるかと申しますと、今の日本の農業政策において、將來どうしていくのだといくことが、具體的はつきり、まだいろいろな面できまつておらない。これはひとり日本の政府ばかりでなく、學者の説、農經者ととでもいつたような人の説を見ましても、抽象的な農村民主化であるとか、それがためには土地の解放が第一で、第二が近代農村をつくるのだ、有畜機械農業をやるんだ、あるいは適正な農家をつくるんだとか、技術増進をするのだというような抽象的なことだけは、われわれは耳が痛くなるほど聽くのでありますが、しかし實際日本の農村を、これからどういうふうにもつていくかという面に對しましては、何らわれわれははつきりわからないのであります。農民は知らないのでありまして、殊にその方向が定まらぬといたしますれば、農業協同組合によつて開墾し、あるいは何かを増産するといたしましても、これはなかなかできがたいことだと思うので、せつかくしたことがあとになつて變つたということになれば、百日の説法何とかいうことになるのでありまして、どうしてもこの際私は日本の農政を、農林省中心になつて斷然考えていかなければならない時期に到達しておると思うのであります。しかも巷間傳えまするならば、日本の食糧はカロリー食にして四千四百萬米石のカロリーが足りないのである。また米においては年々千數百萬石足らないことは事實でありまして、これをただ單に輸入にまつということは、日本の現實の財政からいたしましても、將來の日本の立國の建前からいたしましても、財政上の問題として十分考えなければならない。だから日本の國においては食糧の自給策をできるだけせんければならぬ、だから開墾はこうやつていくのだ、というようなことを言われているのでありますが、最近においてはその開墾自身においても疑惑がでてきている。ある一方においては、今の農林省からいけば、それらはみんな米の増産をはかるというようなことを考えているけれども、また一派の學者あるいは政經家というような人たちの話を聽くと、それは米にすることは要らないで、米にするためにかける經費やいろいろの工事費があるならば、それを生産加工の方にほんとうに向けていつて、あるいは畜産の大増産によつて、カロリー食を中心にした總合食糧のことを考えれば、日本では自給食ができるのだという議論も、ある方面では聽いている。われわれはそういうことに對しては、後者の場合がかえつて可能ではないかと考えております。そうしますと、日本の將來の農政に對しては、根本的に食糧問題一つについて考えてみても二、三に分れている。これがどうしても開拓によつて米を自給していくという農政がはつきりしますことと、畜産等を中心にしたる、食糧の使い方をカロリー食でやつていく總合食糧等によつて、米は副次的な、もしくは主體性はもつけれども、將來の日本の食糧政策は、米だけでなくすべてのものを混ぜた食糧政策を行うのであるというようなことに變りますならば、從つてわれわれのやる開墾のやり方も、あるいはまた畜産のもち方も、水産に對する考え方も、その他穀物の増産も、すべてが根底から變つてくるのであります。ちようど今養蠶人が、將來の輸出の養蠶中心にして、どうしても今ここで少なくとも決定しなければならぬことは、輸出を對象とする養蠶業をやるのか、國内生産を對象とする養蠶業をやるのかという惱みをもつのと同じで、この農業協同組合の發展を期する上からも、食糧を中心にした日本の農政が一日も早く決定せられるべきことを、私は要望してやまないのであります。これがなかつたならば、明日からかからんとする協同組合が何を、土臺として自分らの増産の目的とするか、本氣に百年の大計を立つて進むということはできないのであります。かりに申し上げてみますならば、日本人は米だけでなく、日本の食糧自給策を畜産その他のもので、一切カロリー的な政策が行われるのだとするならば、これらは明日からできるのであります。何も配給の量を米二合五勺くれとか、三合くれとかいうような表現をやめて、歐米式にカロリー千何百カロリー一日に配給するのだ、こういう表現ができます通り、根本からそのやり方が違つてくるのではないかと考えますので、少くとも農林大臣として、日本の農政の根本政策をきめられるという意思があるのか、すでにきまつているから、そういうことはお前要らないのだと言われるのか、それをまずお伺いすると同時に、きまらないといたしましたならば、少なくともそういう大調査機關ぐらいをつくつて、早急にきめる意思があるかないか、この三つをお伺いしたいと思うのであります。
  109. 平野力三

    ○平野國務大臣 食糧政策全般に關する考え方といたしましては、米、麥、甘藷、馬鈴薯というような澱粉中心といたしますところの食糧を主要食糧と考え、魚肉あるいは牛肉などのいわゆる蛋白、これに鯨油、魚油という脂肪及び米ぬか、あるいはだいず、あるいは菜種、ごまという脂肪給源も併用いたしましたる總合的食糧政策をとつていきたい。かように考えておる次第でございます。
  110. 清澤俊英

    清澤委員 ただ總合的の政策だけでは私は問題にならないと思います。それらのものをもつと具體的はつきりしたものを數字の上に表していただかなければ、自分らの協同組合とつつていきまする上に、非常な支障がある。こういう建前でお伺いうするのでありますから、もつとはつきりした數字を表してもらわなければならぬということを要求しておるのであります。
  111. 平野力三

    ○平野國務大臣 現在の食糧需給推算は、日本の農民諸君が全力を傾倒して、あらゆる分野に生産をせられてもなお不足であろうという考え方になるのでありまして、決して需給の見透しの上において、農民がたくさんつくられたからと言つて、その邊を調節する意思はない。從つて農業協同組合をつくつて、各組合において、その生産面において全力をあげていただくということで決して心配はないと思います。
  112. 清澤俊英

    清澤委員 今の農林大臣の言い方が惡いのです。足らぬからじやないのです、餘らせるためにどうするかというのです。私のお伺いしておるのは、餘らせるために一つの根本政策をきちんときめていただかなければならぬ。いよいよ餘つてきたときに、こつちがこうなつたからそれは要らぬから、もう一度全部木を抜いて、あとまた植えるというやり方だあれば、農業協同組合で増産を考えても何をしてもどうにもならぬから、足らない混亂期の中から日本の農政を、せめて食糧くらいを中心にして、根本的に具體的なものをもつてもらいたい。その具體的なものに從つてわれわれは全面的に協同組合をもつて協力していこう。こういうことになるのであります。ただ困つているから何でもつくつてくれという結論に、われわれは今まで泣かされてきたのであります。そういうことは問題になりませんから、それを一日も早く立ててもらわなければならない。こういう質問なのであります。
  113. 平野力三

    ○平野國務大臣 その面に關しましては、今囘も農業生産調整法によりまして、農業統計をはつきり握りまして、ただいま御指摘のような心配のないように農政の根本をとつていきたい。かように思つております。その點御安心願いたい。
  114. 野溝勝

    野溝委員長 清澤委員の質問は、食糧生産増産の上と協同組合との關連において重大なる發言でございますが、これは農業生産調整法とも關連した御質疑と思いますので、いずれその際に十分なる質疑をしていただくことにいたしまして、次に八木委員に發言を許します。
  115. 八木一郎

    ○八木委員 獨占禁止法と連合會の經濟事業との關連について簡單に伺います。  先ほど伺いますと連合會が構成せられまして、販賣、購買、どの場合をとつて考えましても、協同組合として健全な發達を遂げていきますと、事實上獨占的、一元的な販賣行為ができる。現に生絲のごとき明治三十三年の産業組合を基礎として、今日まで生き殘つておるものもありまして、すでに輸出まで實質上一手にやろうという意氣込みをさえもつておるのでございますから、前途に雄大な希望をもつて協同組合運動を推進する意味から、獨占禁止法との關連がどうなるかという一點を伺いたいと思います。
  116. 平野力三

    ○平野國務大臣 これは下から盛り上る農民の自主的な協同組合の上に積み立てられた事業として發展してまいるのでありまして、從來の農業會あるいは産業組合等のごとく、ただ自分のつくつたものを協同して高く賣ろう、買うものは安く買おうという趣意のみからできておる協同組合ではないのであります。言いかえますれば、協同の面において農業生産の増大をはかろうという點から出發するところの協同組合でありますから、御指摘のような獨占禁止法等に觸れる發展等にならないと考えております。
  117. 八木一郎

    ○八木委員 重ねて念のために伺つておきたいのですが、獨占禁止法の立案の趣旨が、その筋の指示もあつて出てきたような經緯にも鑑みまして、この業に携わつております私に、特にしつこく了解するまで話してくれというふうに言われておりますのは、養蠶家が生絲にし、さらに織物にし——これは今すぐ連合會が結成できるのでだ。十二條の二號そのままでもできるのだが、結局結成して進展しようとしたら頭をたたかれたというのではどうもならぬから、この點農林當局は關係方面の了解も十分得ておいてくれと念を押されておりますので、この際念のためにその方面の了解が十分あるかどうか伺わせていただきたい。
  118. 平野力三

    ○平野國務大臣 特に蠶絲業、製絲業が從來やつてきたその型をそのまま發表せられまして、かような形であれば獨占禁止法に觸れるではないかというお問いであるとすれば、これは確かに獨占禁止法に觸れる形と言わざる得ない。しかしこの際はつきり申し上げておきたいと思うことは、先刻申し上げたように、この協同組合の根本精神に從つて、眞に自主的な協同經營を行う。こういう意味から發達する協同組合がだんだん重なつて、從來のような段階をとつて大きくなつたものについては、いわゆる獨占禁止法の適用は受けない。從つて基本原則といたしましては、協同組合法の精神を、眞に純眞に遵奉いたしますところの團體が相當大きく形成せられましても、獨占禁止法には觸れない。こういう法の解繹であります。これは同法の第七條において大體さように御承知願いたいと思います。但しここに申し上げておきたいことは、純眞に發達する協同組合の内容としても、もしそれが單に營利を對象とし、單に共同のものを高く賣ろうということで、北委員からお話がありましてように、おおきな組織に發展していく、これは獨占禁止法に觸れないかと言えば、法律的にどうであつても一種の獨占的なものになろう、かように考えるのでありまして、その點は微妙でありますから繰り返して申しますが、眞に協同組合法の精神に則つて發展いたします團體は獨占禁止法の適用を受けない。こういうふうに御了解願つてよろしいのであります。
  119. 八木一郎

    ○八木委員 だんだんわからなくなつてまいります。大臣のお見えにならないうちにお尋ねいたしました、連合會の構成員の組織として、十二條の二項の二號に、他の法律により設立された協同組織體というのを組織員にしております。これは産業組合を一應指しておるというふうに了承いたします。この産業組合は連合會のメンバーにはなれる。連合會の組織員にはなれるが、これは純眞な、大臣がいわれるところの七條に基く發達を逐げたものでなくして、一應これは解體してしまつて、これから先にだんだん育つていくところの協同組合が結果として全國的になつたときにはよろしい。今できておるのは獨占禁止法に觸れるということになりますと、何が何だかわからにようなことになりますし、産業組合法を存置したい意義も掘り下げて伺いたいのでございます。もう一應恐縮でございますが、御答辯願いたいと思います。
  120. 平野力三

    ○平野國務大臣 協同組合の發展の結果、相當に段階的に大きくなつたものが獨占禁止法に觸れるか觸れないかという問題は、それは觸れないのであります。但し一言申し上げたようにその目的、やり方が眞に營利を目的としているものとか、あるいは協同組合の本來の精神に違つたような形になつた場合には、それは法律にどうあろうと、獨占禁止法に觸れるべき團體となる。かように申し上げたのであります。
  121. 八木一郎

    ○八木委員 この問題は抽象的に論じてもわかりませんので、私は具體的な一例を繭の加工販賣事業にあげたのであります。農産物の繭の加工し、利潤を目的としない、營利を目的としない、組合員の利益増進のために、組合員の農産業改善發達のために、利潤を追わず營利を追わず、組合員の利益のためのみに精進しておる産業組合が、今日現に發達してまいつておるのでありますから、この姿が協同組合という新しい法制によつて、これから出直しをして將來なつたときはよろしい。現實の産業組合ではいけないという根據がどうしても納得できかねますので、重ねてお伺いいたしたいと思います。
  122. 平野力三

    ○平野國務大臣 私の言うておることをひとつ御解釋願つていただきたいと思います。この協同組合から發展するものは獨占禁止法に觸れない。これをまず頭においていただきたい。その他のものについては、そのやり方が間違つて獨占禁止法に觸れるような形になつたような場合においては、それはやむを得ない。こう申し上げたのです。
  123. 重富卓

    ○重富委員 一、二點お伺いいたします。この法案を大體見ますと、この法案に出ておりますところの指導理念といつたようなものが、相當こんがらかつておるように考え得られるのであります。なおもつと研究してみなければ、その點はつきり申し上げるわけにはいきませんが、從いましてこの法案を立案されましたときの指導理念といつたようなことにつきまして、この前に局長にお尋ねしたのでありますが、了承できませんので、重ねて農林大臣にお尋ねいたします。
  124. 平野力三

    ○平野國務大臣 ちよつと聽き漏らしたのですが……。
  125. 重富卓

    ○重富委員 この協同組合を指導していかれます上の理念ということについてお教え願いたいと思います。と申しますのは、この法案を通覧いたしますと、相當その點につきまして、こういう方針でいつているのかと思うと、ある點にいきますとそれと反對の方向に向つておるようにも見えますし、どうもはつきりとしない點がありますから、これを立法されましたときのいわゆる指導理念についてお尋ねいたすのであります。
  126. 平野力三

    ○平野國務大臣 これは提案理由のときに申し上げたそのままを指導理念と御解釋願いたいと思います。ごく簡単に申しますれば、第一は自由の原則第二は組合の自主性というようなところに大體の重點があるのでありまして、その他の點については、提案理由のとき申し上げたことを基本原則とお考え願います。もし具體的にこの點とこの點が矛盾するという御指摘であれば、はつきりお申出願います。
  127. 重富卓

    ○重富委員 その點につきましては後刻また申し上げたいと思います。
  128. 大島義晴

    ○大島(義)委員 私は三點についてお尋ねしたいのであります。實は本件にはあまり深い關係をもつておりませんけれども、明後三十日に迫る食糧委員の選擧の問題であります。實は昨日電報に接して急遽縣にまいりましたところが、この食糧委員の選擧が、農林省からただ選擧しろというだけであつて、どういうふうにやれということは一つもない。從つて町村長は十五名に限られたその食糧委員の選擧にあたつて、町村長のかつて方法でできる。そして選擧權農家の戸主だけしかもたない。そこでなおさらにひどいやつは大字に公認候補を一名ずつきめて地盤割りをした場合には、その候補者だけが當選できるのであつて、一町村單位に立候補していかに點數をとろうとも、それは當選できないというような、非常に妙な選擧をやつておるのでありまして、それがためにきのう私はわざわざ經濟部長にも會つて、一體選擧という文字を使う以上は、選擧というものに對する社會通念があるはずである。しかるにかからわらず、こういうわけのわからぬ選擧をやるのはどういうわけだと質問したところが、農林省からそれ以上の通知が來ないからどうにもならない。こういう答辯を得ておるわけであります。しかもこの食糧委員は、あなたの案によりますと、本年の實態調査にも非常に大きな影響をもつてまいりますので、農民としては非常におおきな關心をもつておるのであります。しかるにかかわらず、その選擧にあたつては、まるで町村長のやることであつて、しかも町村長は自動的にその委員會の委員長になるというふうにきめられておるので、町村では非常な錯覺と混亂を巻き起しております。これに對して農林省は一體どうお考えになつてそういうことをやらせておるのか、この點を伺いたいのであります。それが第一點。  第二點は、先般農産物價格の値上り差益金についてお尋ねいたしましたところが、この印刷物を頂戴いたしました。これによりますと、値上り差益金は一錢もないという御答辯でありますが、これは事實はうそであります。現に私の方の縣だけでも、値上り差益金が四百萬圓以上に達しております。その四百萬圓以上に達しておるという理由は、昨年の二月に米が百五十圓値上りになりましたときに、食糧營團は毎日毎日の分の拂下げを受けておるのではない。大體一箇月分に相當する食糧の拂下げを受けておつて、その後に突如値上げになつたために、販賣價格は値上價格で消費者に渡されて、その差益金が私の縣だけでも四百萬圓は斷じて下つていない。これは農業會長としてよく知つておる。從つてこれが日本全國の計算をいたしますると莫大な數字になるにもかからず、政府の一錢もないという答辯は、いかにも不親切であり、なおまたこれは米麥だけを申し上げたのではなく、繭、生絲の差益金に對してもお尋ね申し上げておるのであります。これらについて一言もお答えがございませんが、これもまた非常に大きな値上り差益金があるわけであります。群馬縣の例を一つ申し上げますと、昨年度において農林省から製絲工場として許可を得た工場が、群馬縣だけで十九工場あります。そのうちほんとうにかまをもつて製絲をやつておる工場はわずかに八つしかない。あとの十一工場というものは、繭の割當を受けて、その繭を抱きこんで掛目の値上りを待つておつたというこの實態を、私は農業會としてその購繭資金を融通しておる面から全部知つておるのであります。なおその以前の戰争中に繭をかき集めておいて、戰争終了後に貿易再開と同時にこの生絲が相當多量に輸出されておりますので、この値上り差益金というものは五億や六億の金ではない。この莫大な金がどう處分されておるか。どう農林省では扱われておるかということをお尋ね申し上げたわけでありまして、これに對しても何のお答もありません。なおまたついでにお尋ねしたいのでありますが、昨年の甘藷の場合に經濟安定本部に近縣の農業會會議がありまして、私出てまいりましたときにも質問しておきましたが、昨年の早掘甘藷以來農家から供出せしめた甘藷、これを食糧配給所では直ちに消費者に配給いたしますと同時に一貫目について四圓の金を取上げております。ところが農村にしては價格がきまらないと理由で、金の拂渡しをいたしません。それが十二月末になつて、ようよう清算ができたわけでありますが、少くとも去年の甘藷について、三箇月の間消費者から取上げた金を、抱いていた食糧營團は、この利さやだけども相當な金額になるはずであります。それに對して一體どう扱いになるておるか。これもお尋ねしておきたい。値上り差益金の附帶の事業としてこれもお尋ねしておきたい。  さらにもう一つは、實は二十六日に經濟安定本部から、農業生産の調整、主要食糧の供出制度要綱が發表されておりますこれは新聞記者にまず發表されて、新聞記者からわれわれは意見を求められて、初めてこの案が出たことを知つたわけであります。しかも國會開會中に、農林專門委員というこの委員會が現に存するにもかかわらず、その委員會に案の内容も示されることなく、突如として第三者であるところの新聞記者に發表されて、われわれは知らんでおるということで、これで國會の運營がうまくいくかどうか。こういうことについて非常な疑いをもつておる。一體經濟安定本部と農林省とどれだけの關係をもつておるか。どういう連絡をもつてこういう發表をなさるのか。この點も併せてお伺いしたいのであります。
  129. 平野力三

    ○平野國務大臣 食糧調整委員の選擧をやるように通達いたして、それに對して細則を付しておらぬ、こういう點でありますが、食糧調整委員の選擧はすでに行つておるのでありまして、大體選擧の方法は從來やつておる方法を踏襲するものとして、改選のみ通達したものと思つております。從つてそのやり方が非常に不當であるものについては、よく調べた上善處したいと思います。それから農産物の値上り差益金の營團等の取得については、ただいまここに正確な數字を持つておりません。これはこの前よく詳細なる説明をいたすことにしておつたはずでございますので、適當なる係官の方から詳細に調べた上御報告をいたしたいと思います。  次に農業生産調整法が本委員會に相談せずして、新聞に發表されたのは不届きではないか、これはこの間の委員會において、私の所信を明確に申し上げておいたのであります。もう一囘申しますと、政府法律案を決定して國會にかける權利と義務をもつておりますので、從いまして政府法律案として決定して、國會に提出する、國會は政府の原案を基準として、これを修正するなり否決するなりの權利をもつておるのであるから、かような法律案をこの委員會にかけずに閣議決定することは、何ら違法ではないと信じておるのであります。しかしこういう法律ではない、たとえば供出對策要綱であるとか、あるいは供出制度をどうするかというような政策面に關しては、なるべくこの委員會にわれわれは相談をし、お諮りをすることが望ましいのでやつておるのでありますが、法律そのものは委員會にかけずに閣議決定をしたからといつて、何らこれを矛盾するものではない。むしろその方が正當なる手續であると考えておるのであります。
  130. 大島義晴

    ○大島(義)委員 今のお答えで私は第三點のお答えに非常に不滿足を感ずるのであります。今の御説によると、法律は委員會に諮らずに閣議で決定する場合があるけれども、要綱の決定に對しては委員會ととくと御相談申し上げたい。こういう大臣のお答えでありますけれども、二十六日に發表されたのは要綱であります。法律でも何でもない。供出對策の要綱にあつて、少なくともこの要綱が委員会に諮らずにに發表されたところに私は一つの疑問をもつ、なお經濟安定本部の名において發表されたことによつて農林省とどれだけの關係をもつかということを申し上げたわけでありますが、この點を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  131. 平野力三

    ○平野國務大臣 二十六日に閣議決定いたしましたものは法律であります。新聞によつて要綱と書いてありますが、閣議において法律案を決定いたしました。しかしそれは法律案とか要綱という字句の問題でありますが、私がこういう委員會に特に御相談申し上げたいと思つておるのは、正規の法律案として議會に上程するのではなく、その他現在諸般の起りつつある農業政策上の諸問題については、でき得る限り御相談する機會を得た方がいい。委員會で決定されたものがすぐに法律になるという問題ではない。法律案というものは、あらかじめ相談して、この委員會がいけないというならば出さない。こういうことになればむしろ不便であつて、内閣は内閣の見識に基いて法律案を國會に上程し、國會は國會の見識によつてこれを修正するなり、否決するなりする。これは憲法の條章においてむしろ正當である。憲法論の解釋といたしましては私の解釋するようでない憲法論もあるようでありますが、私は閣員の一員として、現在の法律案上程についてはさような考え方をもつておるのであります。見解の相違がありますれば、法制局長官を呼んで聽いてもよいのであります。  それから安本が發表した、農林省が發表したという點については、兩方から發表いたしたのであります。從つてかような經濟に關する法律案は、その主たる所管省が農林省であり、安本も立案に對して參畫をいたしますので、閣議で決定したあとで安本で發表する場合、農林省で發表する場合兩方ある。また發表の仕方には内閣の官房長官が發表し、農林省が同時に發表する。たとえば米の放出食糧があつた場合には兩方で發表するということになつておりまして、發表の形式については何ら疑いを受けることはなかろう、かように思います。
  132. 大島義晴

    ○大島(義)委員 そうすると二十六日に發表された農業生産の調整及び主要食糧の供出制度要綱というのは、むしろこれは要綱でなくして法律である。法律が決定されたのである。こう解釋していいと思うのであります。そういたしますと、要綱である場合にはできるだけ相談をするけれども、法律である場合には相談をしない場合がある。こういうふうに大臣は申されたようですが、その通りで差支えないのでありますが、もう一度お聽きいたしたいと思います。
  133. 平野力三

    ○平野國務大臣 私は農業生産調整法の時に要綱と、こう言つたわけではない。たとえば供出制度であるとか、現在當面せる農業政策上の諸問題についてこういう委員會の意見を聽き、御相談申し上げていくということは望ましいことである。正確なる内閣の閣議決定による法律は閣議が決定して國會に出す、國會はこれを審議して法律となる。修正も否決もできる。こういう解釋である。こう申しあげたのであります。
  134. 大島義晴

    ○大島(義)委員 私が今お尋ねしておるのは、二十六日に發表された要綱に對してお尋ねしておるのであつて、これから先に出る法律に對しておたずねしておるのではないのでありますから、これに對する見解だけを御發表願えればそれで結構です。
  135. 平野力三

    ○平野國務大臣 二十六日は閣議において農業生産調整法の法律を決定したのです。要綱を決定したのではない。新聞には要綱が書いてあるのであつて、閣議決定は法律を決定したのです。從つて近く農業生産調整法は國會に提案されることになつております。
  136. 八木一郎

    ○八木委員 大島委員よりお尋ねの事項は、先般私も二十六日に當面した問題として、大臣の所見を伺いまして、本日また重ねて問題が出たのであります。これは國權の最高機關たる立法府に席を置くわれわれとしては、われわれの名譽と責任において、槇重に今後の處置を考えてまいりたいという意味より、私はこの際大臣の今後の措置について伺いたい。何もわれわれはここに、行政府と立法府の權限を、どうこうという意味合ではなく、現實の問題といたしまして、大島委員はおそらく選擧區において、私は自宅からここへ來る途中において、あの新聞記事をめぐつて、いろいろな問題を數多くの國民諸君から問われておるのであります。その際に新聞を讀んで初めてわれわれが知るといのでは、いかにも國會開會中、行政府と立法府との間に何かしつくりしない點があるような印象を國民に與えるのであります。どうか今後は、新聞の發表はそのままの原稿を委員會開會中の委員にお配りくださるくらいの誠意があつてしかるべきと思いますから、今權限を云々しているわけではありませんが、今後これの處置については、善意なる協力をいたしていきたいという意味より、その點の言明を煩わしたいと思います。
  137. 平野力三

    ○平野國務大臣 お問いになつている趣旨は私ども非常によくわかります。しかしお問いが非常に嚴格なるお問であり、しかも非常に嚴粛な問題であるので、私は四角四面にお答えいたしておるのであつて法律案を一々委員會に諮つてからでなければ閣議決定ができないということになりましてのでは、たとえば一つ一つの改正法律案のようなものでも、發表する場合はなぜ委員會にかけないか、こういうことになりますので、法律案は閣議の自主權によつて決定して國會にかけてよいのだ、これをあくまで主張しておるのであります。それからたとえば農業生産調整法の中に盛り込まれている責任供出制の問題であるとか、あるいは單作地帶をどうするかというような、斷片的な農業政策と見られる部分については、なるべくこういう委員會に御相談をしていきたい。またいつているのであります。從つてわれわれの方ではあなた方の御協力を無視しているのではないのであります。  もう一つ御了解を得たいのは、閣議で最後的政府案が決定されますと、間髪を入れずに新聞社の方に發表するのであります。從いましてこれを留保しておいてあなた方の方に發表してから新聞發表をするということも實はできないのであります。今後のこともありますから私ははつきり申し上げたい。また要綱であつて法律案ではないとおつしやまいますけれども、要綱ができて法律案ができた。從つて二十六日はただ法律案を決定したのであります。新聞社の方へは第一條何という法律案よりは、要綱とすれば新聞としては讀みやすいために新聞は要綱を發表せられたので、閣議ではあくまで法律案を決定したのであります。この點明確に申し上げておきます。
  138. 野溝勝

    野溝委員長 この際委員長から發言いたします。それは特に差益金の處分の結末については、農林大臣より本委員會になるべく早く報告するということが、先般の質問應答の中にありました。しかるに本日あらためて大島委員より再度の質問がありました。この際特に委員長から農林大臣に要望しておきますが、來る委員會の開會までにこの處分結末につき報告書を求めます。
  139. 的場金右衞門

    ○的場委員 これは協同組合事業に關する問題でありますが、非常に重大な問題でありますから、農林大臣ちよつとお尋ねをいたしておきます。最近これも安定本部あるいは商工省で考えられている衣料品の配給を實施しようという要綱では、從來會員に配給する衣料品は農業會等でも指定を受けて配給しておつたものが、消費組合に組織變えをしなければ配給はできない、すべて商人だけで配給をして、今後生れんとする協同組合なども、農家の作業衣等の衣料品はまつたく配給できないような規定になつているようでありますが、これでは農業會の消滅するどさくさまぎれに、商工省や安本の方でそういうものを商人だけに取扱わしめることになつて、今まで農民團體が把握しておつた權利も奪いとられ、まつたくわれらの權益が擁護できないような姿にしてしまつた。そのあがとへ協同組合が生れるということではどうも情けないことであると思います。この點については農林省においては異存があるやに聞き及んでおりますが、農林省はどういうお考えであるのか。これに對して今後こういうところまで相談ができる見込みなのか。今農林省考えておられるようなことであれば、われわれは大いに賛成ができるとおもうのでありますが、農林省考えておられることがわれわれの聞くようなことであるのか。またそれが實現できる可能性があるのか。衣料品取扱いに對する規定の問題がよくわかりませんから、よくわかるように御説明を願い、御所見を伺いたいと思います。
  140. 山添利作

    山添政府委員 衣料品の配給につきましては、過去においてもいろいろなの問題があつたのでありますが、今囘公團制度等になりますときにおいて、まず現在の指示されている業者中心になつていくわけであります。その場合に農業會がどういうふうに扱われるか。これは農業會指定業者とされておりますものは非常に少いのであります。そして農業會が消費組合等になつているものについては認めようという案になつているのでありますが、しかしこれらのことについて、將來の協同組合の行うべき事業考えますときに、現在の農業會がかりに強制加入等を伴つた團體であるといたしましても、ただいまの案のごとき取扱い方では適當でないというので、農林省と商工省との間で協議中でございます。しかしながらこれがどういうふうになつていくかということにつきましては、いろいろな關係がありますので申し上げることもできないし、また私自身もしかとここに御滿足のいくような答辯をいたすわけにいかないいろいろな事情があるわけであります。
  141. 的場金右衞門

    ○的場委員 大變奥齒にもののはさまつたような御答辯で、了解に苦しむのでありますが、大臣としても、こういう問題については、ひとつ十分關心をもつて、今農林省の事務當局が考えておられるように實現されるべく、お骨折りを願いたいと思います。常に何か問題がありますと、農林省は弱腰で、安本からやられてしまつたり、商工省に引きまわされたりするようでは、われわれの農林省としてまことに心細いものを感じますから、ひとつ元氣を出して、こういう問題は農民が喜ぶようにする。今度できる協同組合がすくすく育つていくために、われらの衣料品はわれらが取扱い得るような形にもつていけるようにお骨折りを願いたいと思いますが、大臣はいかにお考えになつておりますか、お伺いいたします。
  142. 平野力三

    ○平野國務大臣 御趣旨の點はまつたく私も同感するところでありますので、十分さように畫力したいと思います。
  143. 坪井亀藏

    坪井委員 ただいま衣料だけでありますけれども、おそらく國民の生活必需品という點から見ても、農業において生産する部門が多いのであります。主食におきましても、あるいは蒔炭、その他木材におきましても、ほとんど國家の必需物資というものの生産は、農民の増産にまたなければでき得ないのであります。そういう點から見まして今まで農業會の行はれてきた觀點から見ますと、事業がほとんど資金難、その他物資難である。商工業者の方は、一例をあげるならば、肥料會社等において肥料の増産をする。一昨年のごとき五十餘萬トンの硫安をつくるという計畫生産において、食糧の特配なり、あるいは資金の融通なり、その他必需物資を放出しておきながら、二十一萬トンしか生産できなかつた。計畫生産において、それらの物資を放出しておきながら、これができなかつたというものについての處理を、どうしていくかというようなことについても、政府にはあまり具體的考えもない。農民はそれに相反して、いろいろ生産、供出をいたしまして、しかる後價格の拂いが遲かつたり、あるいはまた農家の衣料、農機具、報奬物資等がいつでも手遲れとなつておる。しかも時期遲れというような觀點から見まして、過去のような農林當局のやり方においては、決して信頼ができ得ないのであります。今は衣料だけでありますけれども、肥料初め、農機具、必需物資その他一切において、今後生産を増強し、あるいは供出をせしむるならば、むしろ計畫生産において三千萬トンの米をかりに生産するというならば、それに必要な目標に向つて必要なる食糧の特配、農機具、必需物資、衣料、そうしたものを先に計畫目標において配給すべきであります。いわゆる手も足も先にやるべきである。しかもそれが供出してももらえないということであつて、商工業者と農民との間に二重の差別的な待遇、扱いをしていることは、まことに遺憾であると存じます。今後この點については、今度できるこの協同組合においては、農業會の當時に行つた方針を一掃して、必ずやこの計畫生産に向つて、必要以前に、これを早く農家のところまで届けるというような方向にもつていかなかつたならば、政府に信頼もなし、農民の増産意欲が減退するという點から見ましても、商工業者は常に利潤の囘收が早いから、何でも虚に乘じて、農民はいつも不利益を招いておる。こうかこの點については、今度の協同組合をつくる觀點から、農林大臣はどこまでもそれは商工業者と平等扱いをするのだ。必ず先にやるのだ、なおまた計畫的にこれを實施するのだという點について、農林大臣の御所見をお伺いいたします。
  144. 平野力三

    ○平野國務大臣 農村必需物資に關しまして、特に農民の立場を十分に考えまして、農林省が特別に畫力をいたしますことは當然であります。御趣意に從いまして十分善處したいと思います。
  145. 野溝勝

    野溝委員長 この際お諮りいたします。政府當局に四時半に退席しなければならぬ用件があるそうでございますから、本委員會は明後三十日午前十時に開會いたします。なお明二十九日午後一時から、豫算委員室におきまして理事會を開催することにいたします。なお午前中議題となりました食糧供出對策小委員増員に關する件が、理事會に一任されておつたのでございますが、理事會の會議に結果、一名農民黨からの増員を承認いたしましたので、これを許すことにいたしたいと思います。農民黨北委員を増員いたします。では散會いたします。    午後四時三十六分散會