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1947-08-25 第1回国会 衆議院 農林委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年八月二十五日(月曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 野溝  勝君     理事 叶   凸君 理事 清澤 俊英君    理事 鈴木 強平君 理事 寺島隆太郎君    理事 大石 倫治君 理事 萩原 壽雄君    理事 北  二郎君       大島 義晴君    佐竹 新市君       永井勝次郎君    成瀬喜五郎君       野上 健次君    平工 喜市君       細野三千雄君   小野瀬忠兵衞君       小林 運美君    関根 久藏君       圖司 安正君    寺本  齋君       小川原政信君    重富  卓君       松野 頼三君   的場金右衞門君       中村元治郎君    山口 武秀君  出席政府委員         農林政務次官  井上 良治君         農林事務官   山添 利作君  委員外出席者         議     員 千賀 康治君     ――――――――――――― 八月二十二日  開拓者金融通法の一部を改正する法律案内閣  提出参議院送付)(第四五號) の審査を本委員會に付託された。 八月二十三日  養蠶技術員待遇改善陳情書外五件  (第六四號)  農業會技術員設置費國庫補助増額に關する陳情  書外一八九件  (第六五號)  養蠶協同組合法制定に關する陳情書  (第八一號)  國會議決に依る米價改訂陳情書  (第八二號)  繭價引上に關する陳情書外一件  (第八三號)  開拓事業遂行に關する陳情書  (第八五號)  農業會技術員設置費國庫補助増額に關する陳情  書外十二件  (第九一号)  養蠶協同組合法制定に關する陳情書  (第九六號)  米穀供出に對する肥料報奬制度是正に關する  陳情書(第九七  號)  農業會技術員設置費國庫補助増額に關する陳情  書外三十二件  (第一〇一號)  林業振興對策に關する陳情書  (第一一  二號)  縣市町村農地委員會費補増額に關する陳情書  (第一  一三號)  田川地方水利事業國庫補助増額に關する陳情書  (第一一四號)  榮養週期栽培農法普及實施に關する陳情書二  件  (第一一六號)  養蠶業復元助成に關する陳情書  (第一一七號)  北海道林業危機突破對策實施に關する陳情書  (第一一八號)  食料品公團制に關する陳情書  (第一二四  號)  主要食糧需給制度是正に關する陳情書  (第一二五號) を本委員會に送付された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  農業協同組合法案内閣提出)(第二九號)  農業協同組合法制定に伴う農業團體整理等  に關する法律案内閣提出)(第三〇號)     ―――――――――――――
  2. 野溝勝

    野溝委員長 會議を開きます。順位によりまして發言を許すことにいたします。大島委員
  3. 大島義晴

    大島(義)委員 大藏省からお見えになつておられませんか。
  4. 野溝勝

    野溝委員長 ただいま連絡中でございます。先ほど來要請をしてありますが、未だ見えませんので、催促しております。大藏當局に對する質疑は後囘しにして保留を願います。
  5. 大島義晴

    大島(義)委員 それではこの農業協同組合法について一應お尋ねを申し上げたいと思います。  まず農業協同組合公職であるかどうかという點を伺いたいのであります。その理由は、今まで、地方ボス農業會を相當利用して惡辣な行為をやつてつたのでありますが、追放令によりまして相當部分のボスが追放されている事實があるのであります。しかるに農業協同組合が萬一公職でないというような解釋が下されるといたしまするならば、再び農村におけるこのボスが擡頭する危檢が非常に多いのであります。このボスの擡頭は農村民主化を妨害すること實に大きいものがある。從いまして、協同組合公職であるかどうか、その點を伺いたいのであります。  その次はこの案の内容によりますと、十五名以上の者をもつて協同組合が組織されるということが規定されておりますが、この十五名以上という基準はおそらく少し大きな部落でありますれば、部落の中にいくつも竝立される危檢があるのであります。これは政治的な考え方、あるいはいろいろなボス的な考え方から、いくつもこういう組合ができる危檢性が非常に多いのであります。そこで連合體とは一體町村内においても、連合體になるのか、あるいは郡が單位になるのか、部落でも二つ以上の組合があるということになれば、おそらく部落でも連合體ができるに違いないと思うのであります、そこで連合體金融機關を扱うものは事務を擔當することができない。事業を擔當するものは金融機關を扱うことができないということになつてまいりますと、縣以上の連合體ならば別といたしましても、縣以下の連合體がおのおの片方ずつしかできないということになる、それは非常に不便なるものといわざるを得ないと思います。この場合に單位協同組合は双方の連合體にはいることができるのか、できないのかという點が第二點であります。  第三點は農民意思だというような非常に美しい言葉を使つておりますけれども、先ほど申し上げましたような、農村におけるボスが政治的な感覺をもつていろいろな組合をつくつてまいります。たとえば養蠶であるとか、畜産であるとか、あるいは果實であるとかいうような組合をつくつていく氣運が非常に多いのでありますが、この場合に單位組合はどれへでもはいることができるのか、できないのかという點も、この機會にお伺いしたいと思うのであります。  なお金融關係について大藏大臣にお伺いしたいことがありますけれども、きようはまだお見えにならないですから、この點は質問を留保いたしまして、以上三點についてお答え願いたいと思います。
  6. 山添利作

    山添政府委員 公職なりやいなやにつきましては、これは法規公職ではございません。趣旨としてそういうふうに考えられるものでありますから、これは法規通りというわけではございませんが、役員になるような方については十分自肅していただくといいますか、そう考えておるのであります。  第二に、連合體になりますと、金融事業と他の事業と同時に行うことはできません。從つて單位組合金融をやります連合體に加入できるとすれば、事業をやる連合體に加入できないということになります。それから組合がいろいろできると、農民單位組合に加入することも自由であります。從つて養蠶だけの組合に加入することもできれば、普通一般事業を行う組合にももちろん加入できる、こういうのであります。これは法案の形といたしましては、ともかく自由加入ないし農民團體自主性應ずるという意味において、きわめて自由にできておりますが、實際に組合をいかにつくるかということについては、むろん法制上の制限はございませんけれども、合理的につくることが必要なのでありまして、それにつきましては、各團體またはいろいろ指導に當られる方々からも、ただいまお述べになりましたような、不必要な組合の分立ということを來たさぬように御指導をお願いしたいと思います。
  7. 大島義晴

    大島(義)委員 ただいまの御答辯によりますと、第二點の質問に對しましては、單位組合はどれでも自由なものにはいれるというようなお答えのようでありますが、その點が一番氣ずかつてつたところなのであります。それは第三點で御質問申し上げたように、いろいろな地方ボス政治的感覺をもつて金融機關を獨占するものや、あるいは事業體を獨占するものや、それらのものができあがつて、これに加入せしめて、やはり從前と同じような搾取を續けていくようなことが相當考慮されるのでありまして、この點が私ども一番おそれておつた點なのであります。今のお答えによると、やはりさようなことは十分あり得る。こう考えざるを得なくなつたわけでありますが、この點はなはだ遺憾千萬なことだと思うのです。  なおこの機會にお伺いしておきたいと思いますることは、財産處理に關しまして、地方においてはすでに不正處分があつた。またそういうことが行われておるということを私ども報告を受けておるのであります。そこで今まで處分をしたものに對する取扱い、及び今後主として動産、たとえば物品のごときは非常に大量に處分する危檢が多いのでありますが、この點に關しては、不動産はもちろん處分できない建前から、彼らはこれに手をつけておりませんが、物品に關しては相當大きく處置するというような危檢があるのでございまして、これに對する當局はいかなるお考えをもつておられるかということをお伺いしたいのであります。
  8. 山添利作

    山添政府委員 財産處分につきましては、この農業團體整理等に關する法律案の中に規定がございますが、實際問題として、この法律ができてからでは、その目的を達することはできない。そこで八月の一日から、すなわちこの法案等の發表されますと同時に、省令をもちまして、財産處分につきましては行政廳許可制度にいたしております。もとより通常業務に屬しますものは、これは一々許可等を受ける必要はございませんが、通常業務以外に屬するところの財産處分は、今申しますように、すでにこの法規に書いてあると同様のことを省令をもつていたしております。ただ物品の場合に、これが大量に處分をされる危檢性があるというお話でございます。もちろんこれも通常業務以外の範圍に屬するものでございますれば許可を要するのでありますが、普通考えてみますると、農業會がもつております動産、と言うと範圍が廣いのでありますが、農業用資材等につきましては、これは當然組合員に配布すべくして組合がもつておるものであります。これを正規の組合員に配布するということは、量のいかんにかかわらず、これは通常業務であろうと考えております。
  9. 大島義晴

    大島(義)委員 今の財産處分に、やはり關連しておるものでありますが、これは私の方の實例から申しますると、縣農業會が各郡にいろいろの加工場をもつておる。そこでこの加工場處理、あるいはその他の設備處理にあたりまして、これをどういう連合體に引渡すか、その引渡しいかんによつては、はなはだ不公平になる危檢があるのであります。たとえばその設備帳簿原價でやれというような御指示があるといたしますれば、古い設備帳簿原價で、その設備のある當該郡内だけに拂い下げられるということになりますならば、その設備のない地方におきましては、非常に大きな損害も結果として起るわけでありますが、こういう場合にこれをどうお取扱いになるか、その處理に對するこれらの不均衡をどう處理されるかという點を一つ伺いたいと思います。
  10. 山添利作

    山添政府委員 ただいまお述べになりました場合は、なるほどそういう點もよく考えねければならぬと思います。加工場等の問題でございますが、法制上はいかなる組合でも自由にできることになつておりますが、農業團體が現在のような姿をとりましたのも、これ一朝一夕のことにあらず、明治三十年以來からの結論として、今日のような形になつてまいつておる。從つてこれはひとり戦時中の統制方針でああいうふうになつた、こういうようにのみ考えることはないのでありまして、もちろんいろいろな特殊部面について、特殊の組合ができますけれども、一般的な事業をいたします組合としては、大體町村單位、それから縣單位連合體、こういうふうになりますことが合理的でもあり、またさようになるだろうと考えておりますので、加工場のごときものも、おそらくこれは具體的な、一々の工場についてみませんと申し上げかねますけれども、大體は次にできる、事業目的とする郡の連合體受繼ぐのではなかろうか、かような考え方をもつております。しかしながら萬一にもその工場が特殊の目的をもつておる。從つてその工場運營するところの郡單位連合體に承繼せしめる方がよろしいというような場合に、かりに分離をして受繼がせるというようなときにおきましては、個個の財産評價につきましては、あるいはお話のような點を勘案して價格をきめるというような必要も起つてこようかと思います。ただいまのところは、原則的に金融機關再建整備法等によりまする評價基準を用いて讓り渡すことが、大體適當であるという原則をもつておりまするが、御指摘になりましたような特別の場合がございますとすると、さような場合に調整をするようなことも考えることが適當であろうと思います。まだ具體的にどうするというところまでは、その點について考え及んでおりませんが、御趣旨の點はごもつともだと思いますので、實際に際してよく考えたいと思います。
  11. 大島義晴

    大島(義)委員 大藏大臣にお尋ねしたいことがあるのでありますが、これは留保いたします。なお議事の進行上について一應農林當局に要望しておきたいことがあるのであります。それは前囘前後三囘にわたる値上り差益金處分について答辯を求めておつたのでありますが、今日頂戴したものによりますと、これは昭和二十一年産米に關する分だけを計上されておるのでありますが、私は昭和二十一年の産米値上り差益金の調査をお願いしたのではないのでありまして、それは十九年、二十年というふうな前のもの、ずつと前のものからの處分差益金を御報告願いたい。こう申しておりまするし、またひとり米だけでなく、繭の値上り差益金、生絲の値上り差益金、こういうものもお答え願いたい、ということを要求申し上げておつたのであります。これは委員長から當局に速やかに提出するように御督促願いたいと思います。
  12. 野溝勝

    野溝委員長 承知いたしました。
  13. 大島義晴

    大島(義)委員 なおまた農地委員會の費用を二十一年度竝びに二十二年度の割合、その金額、各縣別の交付額等を至急に提示せられたいと思いますので、どうぞお願いいたします。
  14. 野溝勝

  15. 寺島隆太郎

    寺島委員 私の質問は約十六箇條ほどあるのでありますが、主として農林大臣の農政上の所見について、協同組合法に關して伺いたいのでありますので、大臣のお見えのときまで質疑を留保さしていただきたいと思います。
  16. 野溝勝

  17. 重富卓

    重富委員 私の質問もたいへん多いのでありますが、とりあえず今日は一章からニ章關係について簡單に一條ずつ御質問申し上げてみたいと思います。  まず第一番にお尋ねいたしたいことは、協同組織あるいは協同組織體というふうなことを随所で見ておりまするが、これに對しまするところの政府考え方、どういうふうに考えておられるか、すなわちその性格竝びに指導理念をまず第一番にお尋ねいたしたいのであります。それからいまひとつは、この協同組織體と他の組織體、たとえば農民組合とか、その他いろいろなものがありますが、そうした團體との差異をいかように見ておらるるかということを、まず簡單に承りたいと思います。
  18. 山添利作

    山添政府委員 協同組織ないし協同團體性格いかんということでございまするが、あまりそういうことについて長く申しますると、これははなはだ講釋めいて恐縮に存じますのであります。大體小さい業者、特に日本の場合におきましては、協同組織の發達しておりますのは、申すまでもなく農村が主であります。その他の方面では漁業協同組合あるいは商工協同組合等ございまするが、大體産業組合等中心として農村に發達したわけであります。結局こういう小さい業者が、その小さい個々別々の經營としての利益を共用することによつてつてまいる、生産協同することによつて新しい農具を取り入れる、あるいはもみすり等を一つの協同の作業でやつてしまう、かような生産部面協同する。また物の購買販賣等につきまして、協同することによつて資本主義社會において有利な地位を占める、大きなものに對抗する。商人等に對しても有利なる地位を占める。こういうことも申すまでもないのであります。また相互の間で信用事業をやることによつて、古い高利貸であるとか、あるいは無盡であるとか、そういう非合理的なものから合理的な協同金融をする。かように小さいものが協同をしてその經營を強める、こういうところに主眼點があるものと私は存じておるのであります。そういうふうに考えております。ただともかく小さい農業者等團體で、しからば農民團體等といかなる點において異なるか、これはそれぞれ不利益なる立場にある人が、團結の力によつてみずからの立場を強化するという、廣い意味においては同じであると思いますが、協同組合協同する事業を通じて、すなわち經濟上事業を通じて組合員經濟竝びに事業の發達をはかつていく、こういうところに特色があるわけであります。區わけをすれば、農民組合の方はいわば政治的なと申すか、利益代表的性格協同組合の方は利益代表的ではあるけれども、結局經濟上事業を通じてその立場を強化するというところに、それぞれの分野があろうかと存じております。
  19. 重富卓

    重富委員 指導理念について……。
  20. 山添利作

    山添政府委員 こういうような性格そのものが、とりも直さず指導理念になるわけでありまして、指導理念と申しましても、これは協同組合論者に言わせれば、資本主義社會を改造していくのは階級闘争にあらず、この協同組織によつて全體を組み立てていくのだ。こういうような議論も協同組合の熱心な陣營にはあるわけであります。しかしそういうことは協同組合に熱中するあまりのことでありまして、やはり協同組合協同組合としての評價でなければならぬと考えております。私どもはそういうようないわゆる抽象的な理念でなく、現實の日本における農村農業、これを近代的なものに進めていくためには、どうしても協同組合が必要である、そうして今まで流通部面信用でありますとか、購買であるとか、あるいは販賣ということについては相當發達しており、また物の収穫を終りました後の生産過程協同につきましては、相當の進歩を見ておりますけれども生産自體における協同、すなわち優秀なる農具等を取り入れて、廣い言葉で申しますれば、農業機械化ということがその中心であろうと思いますが、生産事業そのもの協同によつて能率を上げていく、増産をはかつていく、こういう生産協同體という言葉を使つておりますが、こういう方向に進めていくということが大切である、かように考えております。
  21. 野溝勝

    野溝委員長 重富委員に申し上げます。イデオロギー的な、論理的な觀點に立つての御質疑農林大臣が來た際にされることが最も妥當と思います。
  22. 重富卓

    重富委員 わかりました。ごく簡單に御答辯願いたいと思います。私の方からも簡單質問を申し上げます。このたび新しく非出資組合を認められたのでありますが、この非出資組合のもつ性格、その事業上のその他との差異といつたようなものについての御説明と、非出資組合というものが現實の姿としてはどういうふうな形で現れるかを簡單に御説明願います。實はお尋ねすることが十六項目ばかりありますので、簡單にお願いいたします。
  23. 山添利作

    山添政府委員 これは具體的に申し上げた方がわかりやすいと思いますが、今囘實行組合制度もこの農業協同組合のカテゴリーの中に入れました。從つて出資組合農事實組合養蠶實行組合、それから畜産養蠶等について、たとえば郡單位で特別な組合ができるといたしますれば、そういうものも非出資組合の形をとるだろう、かように思います。
  24. 重富卓

    重富委員 次にお尋ねいたしたいのは、むろんこれはわかつておるようでありますが、相當重要な問題だと思います。營利を目的としてはならないという制限が設けられた點につきまして、はつきりした御説明をお願いいたします。
  25. 山添利作

    山添政府委員 協同組合は本來營利を目的とせずというのが原則であります。これは産業組合等におきましてもさような原則であります。それはどういうことかと申しますと、結局組合員出資に對するたくさんな配當をするということを目的としない、こういうことであります。
  26. 重富卓

    重富委員 次にこれもシンプルな質問でありますが、この中に農民という言葉農業者のことが入れてあるのはどういうわけですか。農業者のみをなぜ農民と言わなければならぬか、農業者となぜ言えないか、この中にありますところのみずから農業營むという意味でありますが、この意味をお尋ねするのと、それからいわゆる企業者であればよろしいという意味か、企業者であると同時に勤勞者でなければならぬという理由か、その點をお尋ねいたします。それから個人というのは法人も含むのか、それから組合員として特に個人というふうに言うておりますので、組合事業に關し家族をどういうふうに取扱うか、この點をお尋ねいたします。九條の關係であります。
  27. 山添利作

    山添政府委員 特に農業者という言葉を避けたわけではありません。しかしここに農民とは農業に從事するという人まではいつておる廣い意味におきまして、通常使われておる農民という言葉にいたしたのであります。それからみずからというのは單なる自己の計算でやるという人を含まない、みずから何がしかともかく働く、勤勞する、こういう意味であります。それから家族農業に從事する個人でありまして、この個人の中には法人を含みません。
  28. 重富卓

    重富委員 それではこのあとの方に法人云々という言葉がありますが、それは農業企業として、たとえば〇〇農園といつたような法人があるとしますと、そういうものはこの協同組合組合員にはなれないということははつきり言えることになるかどうか、それをお尋ねいたします。
  29. 山添利作

    山添政府委員 そういう種類の人はこの組合の正組合員として業務運營に携らない。すなわち組合事業利用する立場に立つところの組合員となることはできますけれども議決權をもつところの組合員にはならない、こういう趣旨であります。
  30. 重富卓

    重富委員 それからいま一つ家族關係をお尋ねいたします。
  31. 山添利作

    山添政府委員 家族は普通の正組合員になり得るわけです。
  32. 重富卓

    重富委員 家族は正組合員になれるというお話でありますが、一世帶から何人もの者を入れるかということですか、それとも一世帶から一人の代表者を入れてという意味ですか、その點をはつきりさしていただきたい。
  33. 山添利作

    山添政府委員 それは農業者の自由に任しております。
  34. 重富卓

    重富委員 次にお尋ねいたしたいのは、自由に任してあると言われますが、もし代表的に一人の人が組合員になりますときに、その家族のいろいろな便宜をはかるという意思があるかどうか、それをお尋ねいたします。
  35. 山添利作

    山添政府委員 ございます。從つて員外利用規定を設けてあります。
  36. 重富卓

    重富委員 そうすると員外利用の問題になつてまいりますが、員外利用のときは、施設という意味はいかなる意味を示しているか、それをお尋ねいたします。
  37. 山添利作

    山添政府委員 その組合の行つておる仕事と御解釋願いたい。
  38. 重富卓

    重富委員 そうすると十二の仕事に全部利用を認める意味かどうか、お尋ねいたします。
  39. 山添利作

    山添政府委員 さようであります。
  40. 重富卓

    重富委員 員外に對しても資金の貸付けをし、また貯金受入を認めるという意味があるかどうかをお尋ねいたします。
  41. 山添利作

    山添政府委員 もちろん貯金受入はいたします。しかし金を貸すことについては法律上の制限はございませんけれども、これについては組合運營としてむやみに金を貸すということはなかろうと思います。
  42. 重富卓

    重富委員 次にお尋ねいたしますのは、十條の中でいろいろ事業關係を見ますと、非常に私ども難解で苦しむ點が多く、百姓としてもなかなか理解しにくいころがあると思います。たとえて申しますと、事業に必要な物の供給、生活に必要な物の供給というふうな意味のことがある。それからいわゆる販賣事業關係したものと比較しますときに、販賣事業の方の關係といたしましては生産した物を加工する。あるいはこれを運搬させるということが出ておりますが、昔の購賣利用の方の關係においては供給という言葉だけであつて、いわゆる生産あるいは加工してこれらを供給するということと、それらの物を運搬してやるというふうなことが三の方にはないのであります。そうした方面のことはやらせないという意味であるかどうか、六と三を書きわけている理由がどこにあるかをお尋ねいたします。
  43. 山添利作

    山添政府委員 物の供給と書き出しましたのは、なるほど古い産業組合等には加工せずして販賣というふうにありましたが、最近は供給という廣い字を使つております。ただ最近の言葉を使つたという意味であります。しからばその内容について買つた物を加工して組合員にわけるということを含まないかというとそうではないのでありまして、一切そういうふうな言葉を含んでいる。かように御解釋願いたい。
  44. 重富卓

    重富委員 そうすると六號の關係と同一に考えてよいわけと思いますが、その點に對しては差支えないのでありますか。
  45. 山添利作

    山添政府委員 内容は同じであります。
  46. 重富卓

    重富委員 次にお尋ねいたしますことは、この中に共同利用施設という言葉がありますが、ただ利用施設と言わずして共同利用施設と言われた意味はどういう意味か。ただ利用施設というだけで濟みそうなことが共同利用とありますので、この點に對して意味はつきりいたさないのでありますが、これはその施設を個人々々には使わせない。たとえば土地をもつたときにそれを共同耕作することは認めるが個人の專屬に使わせることは認めないという意味で共同利用と言つたのかどうかであります。ただ利用設備といつただけでも十分に間に合うのが、特に共同という言葉を使つてあるので、その點をお伺いいたします。
  47. 山添利作

    山添政府委員 そういうようないろいろの含みをもつてこの字を使つているわけではございません。しかし協同組合の施設は共同して利用するというのが本來の性質でありまして、そういう性格を現しているという意味であります。
  48. 重富卓

    重富委員 六號の「加工」という意味につきまして明確な御答辯を願いたいと存じます。
  49. 山添利作

    山添政府委員 これは米にしても、白米にして賣るかということであります。
  50. 重富卓

    重富委員 それでは組合員生産した品物から新しく生産をして販賣をする。たとえば牛乳からバターをつくるというようなことは含むか含まないか。また酒や醤油等をつくることは、加工より以上のものになると思いますが、そうしたものに對する考え方はどうなるか。こういうことをお尋ね申しておきます。
  51. 山添利作

    山添政府委員 程度の低いものであれば六號で、加工の程度が非常に強くて、農村工業として見るべきような場合になりますれば七號であります。
  52. 重富卓

    重富委員 今の七號とか、その他のところで、特に農業者という言葉が使われていないのは、特別な意味をもつて農村と言われたのか。村と言えば、從來の考え方から言うと、行政的な感じを非常に強くもつのであります。いわゆる地域的な感じをもつのでありますが、組合員の生活または文化の改善とかいう意味簡單に言われたのか、あるいは特に特別な意味でいわゆる農村と言われた地區を指すのか。その點お尋ねいたします。
  53. 山添利作

    山添政府委員 七號の場合の農村工業というのは普通使われている農村工業の意味に使つたのでありまして、それから九號等の場合の「農村の生活及び文化の改善に關する施設」というのは、これはもとより協同組合であります以上、組合に對するサービスを目的とするのであります。從つて組合の生活及び分化でありますが、同時にまたこの農業協同組合は他の一般の人の利用するという形において、準組合員になることと考えておりまして、從つてこれは職業組合でありますとともに、一面の性格から言えば農村における生活協同組合的色彩をもつているものでありまして、そういう意味から申しますと、農村という言葉を使つた方が感じがぴつたりするのじやないか。こういう言葉のニユーアンスであります。
  54. 重富卓

    重富委員 十一にありますところの「團體協約の締結」というのはどういうことを豫想しておられるのか。もとよりわれわれもこれに對して團體協約云云ということは強く要求いたしておりますが、この内容は何を指しておられるのか。お尋ねいたします。
  55. 山添利作

    山添政府委員 當面の實際問題といたしましては、牧野あるいは採草地等を利用する場合におきまして、かような性質のものは、なるべく部落の人等が集團的に利用するという形の方がよろしいというふうに思つておるのであります。これらの點について所有者と協同組合、それも部落組合でありますか、あるいは町村等の小さい組合におきまして、土地の所有者もしくは所有者の團體との間に、その利用方法、利用の對價等を團體的に締結するということを考えております。これはいずれこの委員會の御審議を受けることになつております農地調整法の一部改正にも、薪炭林、放牧、採草地の點についてふれておりますけれども、これはこういう組合において、こういうことを取上げて、合理的な基礎に立つて集團的に最も能率のよい使い方をしていき、また對價等につきましても、相當の統制を保つていくということが、適當と考えておるのであります。現在は大體統制經濟の時代でありますので、この團體協約ということは、比較的應用される部面が少いかと思いますが、將來だんだん利用が囘復されるに從いまして、たとえば修繕とか農作業の一部を、機械をもつておる人が請負をするとか、そのときどきの要求に應じて、 いろいろに運用されるであらうというふうに考えております。
  56. 重富卓

    重富委員 ただいまの御説明につきまして、もう一度御質問申し上げます。今御説明にありましたような範圍でありましたならば、協同組合利用施設として十分に考えられるので、團體協約といつたようなことは考えなくてもよいような形になります。われわれが考えておることは、たとえば政府と價格のことに關して團體協約をする。あるいは取引の條件について團體協約をする。こうした面のことを考えておるのでありますが、そうした面についてどういうお考えをもつておられるか、お伺いいたします。
  57. 山添利作

    山添政府委員 實は公定價格がございますので、みな公定價格にくつついておる。從つて取引の場合における政府との團體協約というようなことは、毛頭考えておりません。しかしながらたとえば繭を製絲家との間に引渡す條件につきまして、これこれしかじかというような條件を對價以外にきめることは、今でもあろうかと思います。値段そのものは公定價格にどうせくつついてしもうのですから、あらためて協約するということはなかろうと考えております。
  58. 重富卓

    重富委員 ただいまの御答辯でありますが、公定價格をきめることに團體協約をもつてするという意味については、いかなる考えをもつておられますか。
  59. 山添利作

    山添政府委員 價格は少くとも重要なものにつきましては、統一した立場において國家が統制をする。これが正しいと思います。
  60. 北二郎

    ○北(二)委員 關連質問ですが、今農民團體交渉權について御答辯がございましたけれども、憲法第二十八條には「勤勞者團結する權利及び團體交渉その他の團體行動をする權利は、これを保障する。」とあります。そうして農林大臣は劈頭のわれわれの質問に對しまして、協同組合法はきわめて重要なものであるから、この協同組合法を通じて、農民のいわゆる團體交渉權、行動權は保障されるのではないかと言われましたが、この法案農民團體交渉をする權利と、行動をする權利がうたわれてないのは、どういうわけであるか伺いたいのです。
  61. 山添利作

    山添政府委員 この法案そのものは、農民團結によつて協同して農民自身の地位を高める、そういうことでありまして、うたわれてないとおつしやいますのは、どういう點でありますか。
  62. 北二郎

    ○北(二)委員 それでは農業者勤勞者と見ないのでありますか。
  63. 山添利作

    山添政府委員 私は當然勤勞者と考えております。
  64. 重富卓

    重富委員 では次の質問を申し上げます。先ほど員外者に對する設備利用ということにつきまして、設備ということは十二の事業全部にわたるということを、はつきり言われましたが、この點に對してなお御考慮を願つておかなければならぬということを、申し上げておきます。もしもそれでありましたならば、今後私どもとしてとるべき考え方がありますので、あらためて御研究の上、御答辯願いたいと思います。ただ軽率な御答辯はやめていただきたいと思います。  それから次にお尋ねいたしますのは、員外者の利用に對して、何ら利用し得る人の制限が設けてないのはなぜか。また一員外者の利用程度を五分の一というふうに制限したのはなぜであるか。はたしてこういうことができるかどうか。すなわち年度の終りにこそ總分量がわかるのであります。途中でこんなことがわかるはずがないのであります。こういうことに對して何ゆえに五分の一というふうな制限を設けられたか。そうして一方ではこれを利用すべき人間に制限をされなかつたか。この點をお尋ねいたします。
  65. 山添利作

    山添政府委員 この利用關係につきましては、廣い意味におきましてまず農民組合員になり、しこうして同じ地區に住んでおつて組合事業利用することについて、相當の理由のある人が准組合員になり、その中にもはいらない人が——はいらないというとおかしいのでありますが、准組合員にもならないで、單なる利用關係に立つという人が、この員外利用者であります。それにつきましては、おのずから法規的な制限がなくても、そこに同一の地區にあるとか、あるいは病院等であれば、おのずから個々の醫療を受けるとかいうように、事實によつて定まつてくるのでありまして、これに特別な制限をつけることは必要はないように考えております。しこうしてこの員外利用を總額の五分の一、すなわちこれは金額にして見積ればよろしいわけであります。制限がございまするのは、これは協同組合は本來組合のためにあるのでありまして、これが全然無制限でありますると普通の營利的なものと區別がつかないというような場合も、おのずからあり得ることであります。從つて員外利用は認めるけれども組合本來の性質に鑑みて、それがトータルの五分の一程度を超えてはならない。ただ一組合というのではなくて、要するに組合員が全員として利用するところの組合、全體の利用分量というふうにとれば、あらかじめその計算ができるとかできないとかいう問題は、解決がつくのじやないか、かように考えております。
  66. 重富卓

    重富委員 ただいまの御答辯にも矛盾を感じましたが、質問は打切ります。  なお次に御質問申し上げます。十條の六項の問題でありますが、金融機關といたしまして、一般銀行、信託あるいは保險等のこともあの中に含んでおるのかどうか。十條六項の金融機關というものは、どういうものを考えておるのかをお尋ねいたします。
  67. 山添利作

    山添政府委員 定款で定める金融機關に對して、會員の負擔する債務を保證する、これは現在ございます農林中央金庫が行つております。これは將來といえどもその内容は大體變らないぢやないか。ほかの銀行が融資をしてくれる場合に、そういうものを扱つていけないとは思いませんけれども、事實上の關係としてはそういうところである。あるいは勸業銀行等もはいつてくるような場合等もあるかと思います。大體農林中央金庫、あるいはこれに代る機關ができまして、そういうものを通ずるところの組織的な金融ということを考えておるわけであります。
  68. 重富卓

    重富委員 それでは定款が定まれば自由だ、こういう意味解釋して差支えないかどうかということと、ここで債權の取立てまでいつておりますが、それならば債務の支拂の受託もできるような、いわゆる為替業務許可する意思があるかどうか。これに對して御意見を承りたいと思います。
  69. 山添利作

    山添政府委員 これは法制上何らの制限はないわけでありますが、事實上どれだけ他の金融機關との間に取引關係が成立するかということでありまして、その事柄は、協同組合を通じて他の銀行が農業者に對する金融をどこまでやつてくれるか。今までそういうものはありませんでしたが、そういう問題にかかつてくると思います。しかしこの農業金融のことでありますから、おのずからそこに為替業務というようなところまでは實質上必要もございませんし、從つてまた法案にも書いてないわけでありまして、結局他の機關、あるいは農業會の機關を組合の組織を通じてやつていく。その必要な點がここに書いてあるわけであります。
  70. 重富卓

    重富委員 ただいまの御答辯によりましても、なお矛盾を感じております。協同組合が為替業務をやる必要はない。これは獨斷だと思いますが、議論にわたりますからやめます。  次に連合會に金融事業を認めることになつた根據をお示し願います。
  71. 山添利作

    山添政府委員 ただいまの御質問が、連合會の段階におきましては、金融事業を他の事業と兼營せしめないということの理由だろうと思います。本來の形の單位組合等におきましては、あらゆる事業を一度にやりますことが、あらゆる面から見て實情に適するし、必要だと思いますが、連合會の段階になりますと、私ども連合會と申しましても、一般的な仕事をやりますものとしては、大體府縣の段階を考えております。この邊になりますと、相當仕事も大きくなつております。また預金の額にいたしましても、むろん貨幣價値は昔と違いますけれども、非常に厖大になつてまいつております。そこで金融自身の立場から見ましても、どうしても資金を效率的に使いますというような點から見ても、またその扱つた預金の活用先についても、亂にわたらないと申しますか、信用を傷つけるような、あるいは不滿を起させることがないようにやつていく必要もございますとともに、また連合會の段階になりますると、事業がひとり金融のみならずいろいろな方面に非常に多くなつてきます。これはそれぞれ分けまして、連合會としてはまず金融立場から適正に農業經營金融を行い、能率よく農業の部面に蓄積せられた資金を活用する。かつまたあまりに一つになることによつて心安く資金が都合のよいところに流れるということでなしに、相當金融立場からもそのことを考えていく、こういう事情から事業分離をいたした次第であります。
  72. 重富卓

    重富委員 ただいま連合會に金融事業を兼營ささないという意味についての一應の御説明がありましたが、なお何かもつと奥にあるような氣がします。それにつきましては今日は質問を打切ります。以上で私の質問は一應打切つておきます。第三章以下はこの次に質問することを保留しておきます。
  73. 野溝勝

    野溝委員長 承知しました。
  74. 清澤俊英

    清澤委員 ちよつと關連質問ですが、さつき第十條の團體協約というところで北さんもおつしやいましたが、協同組合という一つの團體があつて、これが他の團體と何か契約するということは種々あるのでありまして、何にもここにわざわざ協約という文字を使わないでもよいじやないかと考えます。この團體協約の締結という文字を使つておられる半面を見ますと、そこにもつと別な何かがあるのではないかと考えますが、この點をひとつ明確にしていただきたいのであります。  いま一つは團體契約という範圍のものだとするならば、個人團體がやつてもこれは該當するのでありまするが、團體協約というような建前になりますると、團體團體とが一つの協約を結ぶ。かりに先に繭の問題等をあげて言われましたが、賣繭の際に何かの契約をする。こういう場合には製絲家團體養蠶家の協同組合とが、そこにいろいろな意味合を含んだ賣繭を中心にした團體契約を結ぶ。こういうようなふうにも解されますので、この契約という文字をとつて、協約とした強い意味合に對しまして、ひとつはつきりさしていただきたいと思います。
  75. 山添利作

    山添政府委員 團體協約の相手方は必ずしも團體であることを要しません。ここに團體契約と言いますのは、組合員に代つて組合員の集合體として、相手方が團體の場合、個人の場合兩様ありまするが、いたしまする契約であります。その効力については十一條に書いてございます。從つて一本の契約を濟んでしまうこともありまするし、またその團體協約に基いて各組合員がそれぞれ契約をするという場合もあります。そういうように御了解を願いたいのであります。
  76. 関根久藏

    ○関根委員 やはり關連質問です。連合會の場合ですが、金融事業を分離する、そういうことになつているようですが、ちよつと法文の解釋ですけれども。「第一項第一號及び第二號の事業と併せ行う」とあるのですが、併せ行わなければ私は金融の貸付及び預金、この二つに分ければ、一方は事業の方に使つてもよろしいというふうに解釋できると思います。その點いかがですか。
  77. 山添利作

    山添政府委員 これは條文の書き方が併せ行うとなつておりますので、いろいろ解釋する人もあるようでありますが、これは單純に「及び」というふうに讀んでいただけばいいのであります。といいますのは、事實問題としまして、貯金受入れることによつてまた貸付をする。また貸付をする以上は、貸付のための財源の貯金受入れる。これは相互關連したことでありまして、どうも第十條の一號、ニ號を切離して考えるというところに無理があるわけでありますので、事実問題としては、これは結合されていわゆる信用事業を行つていく。こういうふうに解釋したいと思います。
  78. 関根久藏

    ○関根委員 實際問題ではそうなると思うのでありますが、注文ができてしまつたあとにおいては、この字を讀みかえるというふうなことでよろしいかどうか。
  79. 山添利作

    山添政府委員 これは要するに一號、二號を合わせていわゆる信用事業、かように讀めるし、また實際問題がそうでありますから、これでよろしいと思います。ただこういう場合があるわけであります。貸付業務ではないけれども、何かその團體がどこからか資金を借りてきまして、そうしてその資金を組合員の方に供給するという場合は今まででもあるわけであります。すなわち、組合員信用力を高めるという意味において、連帶して借りる。それを團體の形でやる。こういう場合は今まででもあるわけであります。そういう場合はまた別であるというわけであります。
  80. 成瀬喜五郎

    ○成瀬委員 關連して質問いたしますが、第二條の第二項の文章は、何がゆえにこういうような文章をあらためてこしらえなければならないか。私ども農村民主化のためには、今の段階においてこのまま農業協同組合法國會を通過いたしまして、實際の面においては相當困難を豫想するのでありますが、かような場合において、政府はいかなる方法をもつて、この法案の本旨に副うところの適切なる手を打たれるかというようなことを考えるのでありますが、殊にこういうような文字を入れたことは、かような點を考慮されてなされたものであろうと考えるのでありますけれども、この點を明確にひとつ御答辯を願いたい。  なおまた第六條においては、最大の奉仕をすることを目的とするということは言うまでもありませんが、そういうような最大の奉仕のみを主體といたしまして、次に來るべきところの、營利を目的とせずというようなことがここに書いてありますが、こういうようなことはどの程度に限界をおくか。最大の奉仕をすることは、從來の農業團體においても、あるいは今囘の協同組合においてもこの方針のもとにやつていかなければならない。しかしながら多少の利益もそこに取入れなければ、この協同組合それ自體の運營がうまくいかないという點も考えられます。こういう營利を目的として云々というような、まぎらわしい、誤解を受けるような文字をあえて用いなくてもいいというふうに考えておりますが、この最大の奉仕ということと、營利を目的として云々ということとの限界について御答辯を煩わしたいと思います。
  81. 山添利作

    山添政府委員 第二條第二項の農業協同組合又は農業協同組合連合會という字を用いてはならない。これはすべての組合法を通じてこの趣旨規定はすべてございます。そこでこの法律による以外の團體はこういう字句を使つてはいかぬ。そこにまぎらわしさを避けてある。いわゆる名稱保護の規定であります。  それから最大の奉仕を目的とし、營利を目的として事業を行つてはならない。これは最大のサービスを目的とするということは、これはあたりまえであります。しかしながら營利を目的とせずというのはどういう意味か。これはつまるところ、結果的に申しますれば、組合員から出資を求めております。それに對する配當というものの多からんことを目的としない、こういうように解釋すればいいわけであります。たとえば買取販賣をした、そこでその間に利鞘ができて、いわゆる組合としてはサープラス、剰餘ができる。これを禁止するわけです。しからばそれをいかに處分するかというと、それは事業を行つた人に事業の分量に應じて返していく。これは營利でない。こういうふうに御解釋を願いたい。
  82. 山口武秀

    ○山口(武)委員 先ほど大島委員質問がありました際に、答辯があつたのですが、その答辯が不明瞭でしたし、徹底しない答辯であつたから、あらためてお聽きいたします。それはこの協同組合公職には適用されない、從つて追放者がはいりこむことを禁止されていないか、趣旨としては入れないようにするというような答辯があつたのですが、その趣旨を生かしていく上にはどういう方法をおとりになるのか、この點をお聽きしたい。  それからもう一つは、團體協約の問題で、これについては先ほど清澤委員からも發言がありましたが、先日の平野農林大臣答辯によりますと、この協同組合とは別に農民組合法の制定も考慮している。今議會には間に合わないが、いずれ出すことになるかもしれないというようなことを言つておりましたが、そこへきますと、この農民組合法ができますれば、そこに農民團體協約というものが明確にされる。それとこの團體協約の關係を明瞭にしてもらいたい。この點をお聽きします。
  83. 山添利作

    山添政府委員 公職にはいらないということ、それから政府が今適切な措置をとるということは、私は申したのではないのであります。しかし趣旨としては、さように解釋すべきものであるから、組合の役員にならんとする候補者、それから組合員、すなわち選擧をします側におきましても、當然そういう趣旨を考えてやつてもらうことが望ましい、かように考えております。  團體協約の點でございますが、團體協約だけをつかまへて申しますると、いろいろ意見が出ると思いまするが、協同組合協同組合立場に立つて團體協約を必要とする場合が、多々ありますことは申すまでもないのであります。そういうふうに御了解願いたいと思います。
  84. 北二郎

    ○北(二)委員 今の團體協約のことでありますが、農民勤勞者とさつき言われましたが、憲法二十八條に基く團體交渉、その他團體の行動權を農民にはお認めにならないのか、農民だけには團體交渉權、團體行動權を與えないのか、その點を明確にお聽きいたしたいのであります。
  85. 山添利作

    山添政府委員 農民が認められないということはないと思います。しからば憲法に基いて、その意味における農業協同組合法案であるかということになりますれば、これは農民團結する理由につきましてもそれぞれ目的理由とあるわけであります。協同組合の形によつて團結するという一部の囘答——囘答と言うとおかしいのでありますがその要求は滿たす。しからばこれで一切よろしいかということになりますれば、これは運用のいかんによりましては、出資も何も要らない組合もあり得るわけであります。たとえば實行組合が今までのいわゆる農民組合的な内容ももつということも考え得るわけでありますけれども、しかしそういうことになつてしまうと、思想的な混迷も來すわけでありまして、從つてこれは北さんのお述べになりました、團結權というものを否定するという考え方は、われわれはちつとももつておらないし、またこの法案でその點が全部であると、かようにはまた考えておりません。
  86. 小川原政信

    ○小川原委員 この際少し多面にわたるようなこともありましようが、これは大臣がおらなければいかぬということでありますから、その點はなるべく避けるようにしますけれども、私の質問がそれまでいかなければならぬというようなことになりますから、その點をちよつとお許し願いまして、根本問題につきましては農林大臣にお尋ねいしまたいと思います。  農業協同組合法案が出ましたが、これは永らくの問題でありまして、昨年も農林省當局から二度もお出しになりまして、遂にその目的を達することができませんでした。私どももそれに對しまして昨年各黨から——社會黨もあるいは自由黨も、あるいは進歩黨も、お互いが農事協同組合法案というものをこしらえて、議員の提出としてやろうといたしましたが、遂にそれぞれの關係におきまして日にちがなくなつて、そうして九十二議會にこれはできなんだ今度これをお出しになるにあたつて、私はずつと先からの行きがかりからこれを見ておつたのであります。それが今度お出しになりました農業協同組合法案となつて出たのでありますが、この農業ということを一體どういうつもりでお使いになりましたのか、どういう考えで農業という字をお入れになつたのでありまするかを、ひとつお尋ねをいたしておきたいと思います。
  87. 山添利作

    山添政府委員 農業の定義につきましては、第九條に書いてございまするが、私どもは大體普通の頭で、農民がやる仕事農業と、こういうふうに一體不可分の仕事として考えております。
  88. 小川原政信

    ○小川原委員 お話を聽くと大した意義はないということに結局なるのでありますが、これはたいへんな違いだと思うのです。今日の農業會が解散をせねばならぬということは、戦争中におけるところの全體主義的な觀念が殘つておるから、これを解組しなければならぬということになつてまいるのでありましよう。農林大臣説明を私は聽きませんでしたけれども農林大臣の御説明の中には、協同組合法案というような民主的な、自由な立場においてつくられるのだと、こういうお話がきつとあつたと想像できるのです。そういうことから考えますと、この農業という字を使いますと、耕作農民だけが農業者であつて、あとのものは農業者でないようなことになるのではないかと思ふ。こういうふうに、この案を最初からずつと讀んでみますると、底を流れるところのものは、結局私どもの考えておるところに落ついておるのであります。そうすると今改正をせねばならぬという御趣旨と、ここにおつくりになつたものと矛盾があるように思うのですが、その點はいかようにお考えになりますか。
  89. 山添利作

    山添政府委員 農業協同組合でありまするが、農業と言うか、あるいは農民協同組合と言うのがより適切であるか、事の本質は要するに農民組合でありまして、農民がその業務と生活とを發展せしめるための組合で、從つてこれが狭く耕作農民であるとか、あるいは耕作を行うところの者だけが重點におかれておるとか、かようには考えておりません。
  90. 小川原政信

    ○小川原委員 第一條に農民という字をお使いになつておりますが、農民という字が私は惡いとは思いませんが、農民という字をお使いになりました考え方からみますと、農民と申しますと、さきも言いました通り、耕作農民が多く主になつておるように見えます。たとえばたしか十二條の二項かと思いますが、準農民組合というようなことをお使いになつております。あの農民という字をお使いにならなくて、組合員と入れたならば、さきも申しました通り、農林大臣お話なつた通りに、實に自由な民主的な組合ができると思う。そこに準という字を入れて、そうしてこの組合をつくらなければならぬということになれば、農民組合でないという考え方も起きてくる。もしこれを耕作農業であつた者とこういうふうにすると、畜産を營んでいる者はなんだかよその者のような氣持もするし、それから養蠶をやる者もそういうような氣持にもなる。そこでそういう觀念的なことを避けるために農事協同組合という字を入れたならば、これはまつた農民の自由な組合であり、農業に從事している者の組合であるという觀念が起つてまいるのでありますが、そういう考えはどういうものでありましようか。これは意見にわたりますから強いて申し上げるのではないが、この案の説明を求めるのには、そこまで私の意見を申し上げて、そうして御答辯を願いたいと考えるのであります。
  91. 山添利作

    山添政府委員 第九條の二項に「農業とは、耕作、養畜又は養蠶業務」というように定義をしておりまするが、本來農業とは私ども廣く考えておりまするし、またそれが世間一般の考え方であろうと思うのであります。ところが養蠶の方でありますとか、あるいは畜産部門からながめられます場合に、いや農業とは普通農事のことを言うのだ、そういうふうにお考えになるというか、さように考える傾向というか、それはやはり立場が狹過ぎるのであつて、普通の人が普通に考えれば、農業というのは廣い範圍を含んでいる、これが私は普通であると思うのであります。
  92. 小川原政信

    ○小川原委員 意見にわたりますることは避けまして、たとえて言つてみまするとこういう場合が準組合にはいるのじやないかと思います。準組合員になりましたならば選擧權が云々などという話が出ておるようでありますが、たとえば都市の厨芥をもつて豚を飼うているような者で、ちよつと農民だとは言えないような立場がある。それから牧畜ばかり經營している者があるのですが、これは農業だと言えばひよつと農業だと言えますが、これだつていろいろな疑問がそこに起つてくる。そこから自分が鷄を飼つてつて、その青物をつくつたとかいうようなことでありますと、これは農民かどうかという疑問が起る。そういう苦しい法文の解釋をしないで、農民と言う字を使うより農事と言つてしまつた方が普通だし、農民と言うより組合員と言つた方が、いかにも肩の凝らないものができると思う。これでは何だか非常に堅苦しい法文の制定というか、それをずつとながめてみると、さつき申した通り、底を流れるところにそういうような含みをもつておつくりになつたように見えるのですが、その點はいかがですか。
  93. 山添利作

    山添政府委員 これは特別に含みをもつておるというようなことはございません。これは任意なる組合であります。
  94. 小川原政信

    ○小川原委員 この六十六條の法文は非常に堅苦しく見えますが、何かいい方法はありませんか。第六十六條の「合併に因つて組合を設立するには、各組合の總會において組合員又は會員たる組合の役員の中から適任した設立委員が共同して、定款を作成し、役員を選任し、その他設立に必要な行為をしなければならない。前項の規定による役員の選任は、合併しようとする組合組合員の中から、これをしなければならない。」組合組合員とかたいへんにむずかしいことが書いてあるのですが、何とかうまい方法はありませんか。それから三十條の末項もちよつとわからないのですが、あつさりわかるように言つてみてください。
  95. 山添利作

    山添政府委員 私もこれは非常にわかりにくいと思います。言わんと欲するところは要するに正組合農民
  96. 小川原政信

    ○小川原委員 禪問答のようでありますが、そこなのですが、だから農民組合員に改めてしまつたらこういうことはなかろうと思います。私の質問はこの程度で終ります。
  97. 北二郎

    ○北(二)委員 現在行われておる早掘甘藷あるいは北海道の亞麻の價格はまだ農林省の方で打合せ中のようでありますが、これは出させるだけ出さしてあとの價格は知らぬというのは、非常に農民を奴隷視した行き方だと思います。なぜこの價格を早く發表しないのかお知らせ願いたい。
  98. 井上良次

    ○井上政府委員 早掘甘藷の生産者價格については、從來これが未成熟のうちに當面の食糧の危急に備える意味から、早掘を農民の方にお願いした關係上、その報奬の意味において、早掘甘藷に關する報奬金が拂われたのでありますが、どうも早掘甘藷に對する報奬の意味が今ひとつ十分檢討を加えてみますと、いろいろ矛盾があるので、そこで未成熟のものを早掘するから、從つてそれだけ甘藷それ自體の價格を高く引上げる。成熟時の生産者價格と未成熟の早掘をしたものとの開きをここにつけるという考え方で、今關係當局の方に物價廳をして交渉しておる次第でありまして、すでにもう今月の終りから來月の初めにかけますと、早場米も早掘甘藷も、それぞれこの年度内の食糧に供給をしなければならぬ關係がありますので、非常に急いで今檢討を加えておりますから、近くこれら生産者價格は決定され、發表されることになろうと思います。今しばらくお待ちを願いたいと思います。
  99. 北二郎

    ○北(二)委員 すでに農民に出させたのでありますから、急速にきめていただきたいと思うのであります。それからさきの農業協同組合團結權の問題をこの次に質問いたしたいと思いますから、十分御考慮を願いたいと思います。これで私の質問を終ります。
  100. 野溝勝

    野溝委員長 永井君。
  101. 永井勝次郎

    ○永井委員 林業對策の小委員會でありますが、調査會を開いて各委員が非常に熱心に審議せられ、前會のごときは委員外の各位が出られまして審議されたのでありますが、そのとき、現在の陣容をもつてしては少數であるから殖やしたらどうかという意見が出まして、滿場一致をもつて増員のことを決議いたしたのであります。ついてはこの場合委員了解のもとに五名、すなわち各黨一名ずつ増員し、その委員委員長の指名において御決定を願うようにとの緊急動議を提出いたします。
  102. 野溝勝

    野溝委員長 ただいま永井委員から小委員を各黨一名ずつ増員したいとの緊急動議が出されましたが、いかが取計らいましようか。この動議を採擇するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  103. 野溝勝

    野溝委員長 それでは増員することにいたします。なお人員の指名につきましては、委員長から指名することにして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  104. 野溝勝

    野溝委員長 ではさよう取計らいます。     大島 委員   圖司 委員     小川原委員   荻原 委員     北  委員  以上五名を林業小委員として増員することにいたします。小林君
  105. 小林運美

    ○小林委員 政務次官が見えておりますので、緊急の質問をいたしたいと思います。政府におきましては繭の價格を二千六百掛に決定したのはよほど前でありますが、その後いろいろの問題がありまして、未だに官報にその告示が載つておりません。先般この委員會にも地方養蠶團體の方々が大勢見えまして、至急繭の掛目の告示をしてもらいたい。ただ告示をしてもらうことが能ではないのでありまして、蠶絲業の金融が非常に逼迫し、また養蠶農家も繭の値段がきまつてつても、その金が渡つておらない。先般は地方業者がまいりまして八月のお盆には資金をもらいたいというので、特に陳情もこの農林委員會にあつたのでありますが、そのときに政府の方では至急そういうふうに取計らいたいというようなお話があつたのでありますが、今もつて告示がないのであります。この點に關しましては、とかく最近まで蠶絲業がいろいろな批判を受けておる際でもありますし、非常に誤解されておる向きもありますので、政府におかれましては、至急この繭の價格の告示をしていただきたいと思うのであります。その際にも政府にいろいろ要望いたしたのでありますが、もし繭の價格が、農業會の手數料とかそういうこまかいことでひつかかつておるなら、この際一應假渡金の額をきめて、それを早くやつてもらいたいということを要望したのでありますが、近く告示が出るからそれまで待つてもらいたい。こういうふうな話がありまして、業者は首を長くして待つておる次第でありますが、依然として告示がないのであります。これは私もその内容を二、三承知いたしておりますが、官吏の怠慢と言いましようか、つまりないことにひつかかりまして、全國の業者農民が困つておることを知らぬ顔しておるように見えるのであります。この點に關しまして、農林次官から明快なる御答辯をいただきたいと思ひます。
  106. 井上良次

    ○井上政府委員 繭の價格につきまして、政府はすでに新價格を公表するということになつておるのに、今日に至るもまだ發表しないのはどういうわけか。いろいろないきさつや事情があつても、實際困つておるから至急にやれというお話でございますが、政府といたしましては、先日もこの委員會で御報告を申し上げました通り、著々準備を整えまして、發表するように推し進めております。なお本日そういう緊急な御質問もございましたから、ただちに事務當局に命じまして、速やかに實施するように申し添えるつもりでありますから、よろしくお願いいたします。
  107. 小林運美

    ○小林委員 ぜひお願いいたします。
  108. 野溝勝

    野溝委員長 この際お諮りします。委員外ではありますが、衆議院議員千賀康治氏からただいまお手もとに上げました栄養週期法に關しまして、五分間ばかりの時間を割いて、ごく簡單にその體驗のお話を申し上げて御了解を得たい。こういう申出がありましたが、これは一應委員會を閉じまして、懇談としてお聞きすることにいたしたいと思います。さよう取計いましていかがでありますか。     〔「異議なし」「贊成」と呼ぶ者あり〕
  109. 野溝勝

    野溝委員長 それでは次會は二十七日午後一時から開くことにいたします。二十七日の午前は林業の小委員會を開いてもらうことになります。本日はこれで散會します。    午後三時十五分散會