○森
説明員
東京都の例について申し合げますると、
浴場用の
電力がどれでけのパワーを占めておるかという、はつきりした數字はここですぐお答えすることはできませんが、大體二萬キロワツト内外ではないかと思います。これはあとで具體的な數字を提出いたしたいと思います。關東
地方で非常に
電氣が少かつたときと言いますると、九月の上旬ごろがひどく、毎日のように緊急遮斷のあつた時期で、そのころは大體六十萬キロ・ワツトぐらいの
電力であつたわけです。そして
浴場もほとんど深夜間の送電をするというほどの、きわめて少い
電力の
供給を受けることにな
つておりましたのですが、これをもう少し大ぴらに晝間も送るということになりますと、專用線をも
つておりまする工場の生産を相當ひどく切らなければならないということになります。當時の
状態で言いますると、專用線をも
つておる工場でも、保安
電力として必要な
程度のものしか送れないという
状態であつたのでありまするが、これをそれ以上切るということにしないと、その當時としましては
浴場の
電力を殖やすことができないという
状態でありました。もちろん一般の中小工場、あるいは民家の
電力は全部切れる所は切
つております。そしてただ病院とか、進駐軍とかいうふうに、絶對に切れない重要線の送電をするのに
電力がほとんど使われておつた。それ以外の
電力の餘裕は、ただ專用線をも
つておる工場に送るにすぎないという
状態でありました。こういうときに、さらに
浴場の
電力を殖やすということになりますると、專用線をも
つておるような重要工場にも相當停止をしなければいけないのじやないかということが言えるわけであります。これは大體
電力の需給
事情が九月上旬
程度であればという前提のもとに申し上げることであります。そういうわけでありまして、われわれといたしましても、
浴場に
供給する
電氣を殖やすためには、相當産業に思い切つた打撃を與えることを覺悟しなければできない
状態であります。そうしてなお夜間でも送ればよいじやないか。夜間は工場用の
需用がないから、夜間だけでも送ればほかに迷惑はかけないのじやないかという考えもあるわけですが、實はそのころになりますと、貯水池の水を使
つて電力を相當補給しておるわけでありまして、夜間
電力を補給いたしましても、その貯水池の水を使うことになりまして、晝間の
電力の
供給がそれだけ減るということになるわけでありまして、夜間といえ
ども電力はできるだけ
供給を愼まなければ晝間の
電力に困る。こういう
状態にな
つてくるのであります。それでこの冬の見透しといたしましては、これはいろいろな要素がありまして一概には申し上げられませんが、大體二月の一番ひどい
状態は、九月上旬
程度に似たものになるのではないかというふうに考えられます。從
つてわれわれといたしましては、公衆
衞生保持のために、
浴場用の
電力を相當
供給するということになるならば、重要産業に相當な打撃を與えることを覺悟の上でやらなければならないということを考えておりまして、こういう點につきまして、安定本部とただいまいろいろ打合わせておるわけであります。大體
事情は以上の
通りであります。