○
多田委員 私は
日本自由黨を代表いたしまして、本
法案に
贊成する者であります。本
法案は
逓信大臣の
提案説明でも明らかにされたごとく、新
憲法の
精神に即することを
基本方針とし、また
郵便に關する
基本法として、その
業務運營の源泉となることは申すまでもないことでありまして、
提案の
趣旨竝びにその努力はこれを認めるものでありまするが、わが國が眞に
民主國家、
文化國家として再建されなければならないとき、本
法案がはたしてよくその重大なる
使命を果し得るや否や、いささか疑問なきを得ないのでありまして、その點率直に遺憾の意を表するものであります。すなわち
郵便料金の
規定は單に
現行法をそのまま踏襲しており、
現行法における
料金體系は、舊來の
各種郵便物の
料金比率をそのまま踏襲しているのでありまして、これでは
文化國家の
郵便法として、まことにふさわしからぬ點が多々あるのでありまして、新
憲法の
精神に即しても、
料金體系は
根本的に
檢討されなければならぬと
考えられるのであります。たとえば、文部省がわが
國教育の
普及向上をはかるため企圖しつつある
通信教授等に對しても、一般雜誌と同様の
特殊料金を制定し、あるいは一般圖書についても雜誌と
同様程度の
特殊料金によ
つて文化の
普及に寄與すべきでありまして、これらの點について、いささかの
考慮も拂われていないということに不滿をもつものであります。
第二に
郵便は國の
事業でありまするが、これは
國民によ
つて、その
基本的方向が定められ、かつ
國民のために
運營されるものであ
つて、この
事業本來の
精神を冒涜するものに對しては、これはあくまでも排除しなければならないのであります。しかしこれは
國民に對してのみ過重であ
つて、國の
事業を行うところの國の
責任との間に差があ
つてはならないのであります。これはあくまでも平等であり、しかも
義務と
責任を平等に負擔しなければならないのであります。しかるにこの點についてもいささか缺ける點があり、見方によ
つては一方的
規定の多いことは遺憾であります。たとえば、小さいことではありまするが、
料金未納または
料金不足に對しましては、不
納金額の二倍を課するのに對しまして、官が不可抗力による場合以外に
特殊取扱をしなかつた場合、または
取扱いをしないと同様の結果を生じた場合は、その
料金相當額の負擔しか負わないということは、まことに不公平でありまして、むしろ
國管等の
官業の
信用を維持するためにも、その逆を行くべきで
至當であり、あるいはまた
獨占不侵を堅持し、これを冒すものに對しては
徹底的刑罰をも
つて臨まんとしているのに對しまして、官がこの
取扱いをしなかつたときは、その三分の一の制裁を
規定しているのでありますが、かくのごとく一方的に
國民にその
責任と負擔を強いるといういわゆる
官僚基本の
考え方は、
絶對に排撃しなければならないことであります。
第三に、
郵便は
國家事業たる
信用により、あまねく公平に提供することを本義とし、
公共の
福祉を増進することが
目的であることは、本
法案の第
一條に明記されるところであります。しかるに最近における
逓信事業に對する
國民の不安は、正當ならざる爭議等により増大し、
國營事業に對する再
檢討を要望されつつあることは、申し上げるまでもないことであります。しかして何がゆえにかかる問題が
從業員によ
つて提起されたかといえば、いろいろの
理由はあげられましようが、最も大きなものは
從業員の
生活の不安の點であります。今日の
經濟事情において、あるいはやむを得ないという
意見もありましようが、やむを得ないというのみで見逃すことのできない重大な問題であります。本
法案がその
目的を十二分に果すためには、その
從業員の
生活改善の點を十二分に
考慮され、
從業員の
生活の不安を除去し、しかして綱紀を肅正し、法の
目的を達成するために最善の
努力を拂われんことを希望してやまない次第であります。
以上の諸點は、今後
逓信事業本來の
使命を達成するために、
逓信事業そのものの再
檢討の上に、十二分に留意されたいことを申し上げまして、本
法案に
贊成する次第であります。