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1947-11-25 第1回国会 衆議院 通信委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十一月二十五日(火曜日)     午後三時開議  出席委員    委員長 岡田 勢一君    理事 重井 鹿治君 理事 白井 佐吉君       海野 三朗君    大石ヨシエ君       梶川 靜雄君    片島  港君       成田 知巳君    千賀 康治君       田島 房邦君    長谷川政友君       多田  勇君    中野 寅吉君       宮幡  靖君    森  直次君       山口 武秀君    林  百郎君  出席政府委員         逓信政務次官  椎熊 三郎君         逓信事務官   村上  好君  委員外出席者         專門調査員   吉田 弘苗君     ————————————— 十一月二十四日  中須港に無集配郵便局設置の請願(早稻田柳右  エ門君紹介)(第一二五二號) の審査を本委員會に付託された。     ————————————— 本日の會議に付した事件  郵便法案内閣提出)(第八二號)  郵便貯金法案内閣送付)(豫第一七號)     —————————————
  2. 岡田勢一

    岡田委員長 會議を開きます。  これより郵便法案議題として討論に入ります。重井鹿治君。
  3. 重井鹿治

    重井委員 私は日本社會黨を代表いたしましてこの郵便法案贊成する者であります。この郵便法案は、新憲法精神に則りまして、その精神を生かし、公共福祉のために制定されたのでありますから、あくまで公共福祉中心に運用せられるようお願いいたしたいと思います。  なお將來の運營においては、獨立採算制をとつて郵便の獨立化をはからなければならないという聲が強いのであります。それに對しましては小包距離制、すなわち鐡道においてはその距離によつて運賃が換算されている。こういう意味において小包距離制というようなことも考えられて、獨立採算制の一助にしてほしいということをお願いいたしたいと思います。  なお今日いろいろ郵便に關し世間に非難があるのでありますが、その根本從業員の待遇問題がその中心であると思いますので、ぜひともこの從業員の待遇に對しましても、積極的な考慮をしていただきたいということをお願いしたいと思います。  それからなお第二條の二號に法律に觸れない範圍において郵便局設置云云ということがございますが、これに對しましても、情實によつて郵便局を設置するというようなことのないように御考慮をお願いいたしたいと思います。以上簡單意見を述べまして、この法案に全面的な贊意を表する者であります。(拍手
  4. 岡田勢一

  5. 長谷川政友

    長谷川(政)委員 民主黨を代表いたしまして本郵便法案贊成する者であります。すでに過去何囘かにわたりまして、愼重審議、御熱心に委員各位審議されましたので、今ここでいろいの意見を述べる何ものもないのでありますが、今社會黨の代表から述べられました通り從業員の待遇問題については、特に愼重なる御考慮願つて、完全にこの郵便法精神を容れて施行されるように特に希望する者であります。まことに簡單でありますけれども全面的に贊成の意を表する者であります。(拍手
  6. 岡田勢一

    岡田委員長 次に多田勇君。
  7. 多田勇

    多田委員 私は日本自由黨を代表いたしまして、本法案贊成する者であります。本法案逓信大臣提案説明でも明らかにされたごとく、新憲法精神に即することを基本方針とし、また郵便に關する基本法として、その業務運營の源泉となることは申すまでもないことでありまして、提案趣旨竝びにその努力はこれを認めるものでありまするが、わが國が眞に民主國家文化國家として再建されなければならないとき、本法案がはたしてよくその重大なる使命を果し得るや否や、いささか疑問なきを得ないのでありまして、その點率直に遺憾の意を表するものであります。すなわち郵便料金規定は單に現行法をそのまま踏襲しており、現行法における料金體系は、舊來の各種郵便物料金比率をそのまま踏襲しているのでありまして、これでは文化國家郵便法として、まことにふさわしからぬ點が多々あるのでありまして、新憲法精神に即しても、料金體系根本的に檢討されなければならぬと考えられるのであります。たとえば、文部省がわが國教育普及向上をはかるため企圖しつつある通信教授等に對しても、一般雜誌と同様の特殊料金を制定し、あるいは一般圖書についても雜誌と同様程度特殊料金によつて文化普及に寄與すべきでありまして、これらの點について、いささかの考慮も拂われていないということに不滿をもつものであります。  第二に郵便は國の事業でありまするが、これは國民によつて、その基本的方向が定められ、かつ國民のために運營されるものであつて、この事業本來の精神を冒涜するものに對しては、これはあくまでも排除しなければならないのであります。しかしこれは國民に對してのみ過重であつて、國の事業を行うところの國の責任との間に差があつてはならないのであります。これはあくまでも平等であり、しかも義務責任を平等に負擔しなければならないのであります。しかるにこの點についてもいささか缺ける點があり、見方によつては一方的規定の多いことは遺憾であります。たとえば、小さいことではありまするが、料金未納または料金不足に對しましては、不納金額の二倍を課するのに對しまして、官が不可抗力による場合以外に特殊取扱をしなかつた場合、または取扱いをしないと同様の結果を生じた場合は、その料金相當額の負擔しか負わないということは、まことに不公平でありまして、むしろ國管等官業信用を維持するためにも、その逆を行くべきで至當であり、あるいはまた獨占不侵を堅持し、これを冒すものに對しては徹底的刑罰をもつて臨まんとしているのに對しまして、官がこの取扱いをしなかつたときは、その三分の一の制裁を規定しているのでありますが、かくのごとく一方的に國民にその責任と負擔を強いるといういわゆる官僚基本考え方は、絶對に排撃しなければならないことであります。  第三に、郵便國家事業たる信用により、あまねく公平に提供することを本義とし、公共福祉を増進することが目的であることは、本法案の第一條に明記されるところであります。しかるに最近における逓信事業に對する國民の不安は、正當ならざる爭議等により増大し、國營事業に對する再檢討を要望されつつあることは、申し上げるまでもないことであります。しかして何がゆえにかかる問題が從業員によつて提起されたかといえば、いろいろの理由はあげられましようが、最も大きなものは從業員生活の不安の點であります。今日の經濟事情において、あるいはやむを得ないという意見もありましようが、やむを得ないというのみで見逃すことのできない重大な問題であります。本法案がその目的を十二分に果すためには、その從業員生活改善の點を十二分に考慮され、從業員生活の不安を除去し、しかして綱紀を肅正し、法の目的を達成するために最善の努力を拂われんことを希望してやまない次第であります。  以上の諸點は、今後逓信事業本來の使命を達成するために、逓信事業そのものの再檢討の上に、十二分に留意されたいことを申し上げまして、本法案贊成する次第であります。
  8. 岡田勢一

    岡田委員長 次に林百郎君。
  9. 林百郎

    ○林(百)委員 私は日本共産黨を代表いたしまして、郵便法案について意見を述べたいと思います。  本法案現行郵便法を最近の諸情勢に應じて改正したものでありまして、いろいろ専門的な郵便物取扱いに關する技術的な面については、私は反對の意思はないのでありますが、ただここでわれわれかつて從業員といろいろの折衝を重ねた際、一番問題になつたのは、實は第七十九條であります。七十九條の罰則を見ますと、「(郵便物取扱をしない等の罪)」といたしまして、「郵便業務に從事する者がことさらに郵便取扱をせず、又はこれを遅延させたときは、これを一年以下の懲役又は二千圓以下の罰金に處する。郵便業務に從事する者が重大な過失に因つて郵便物を失つたときは、これを二千圓以下の罰金に處する。」とあるのであります。これは政府側答辯を聽きましても、郵便取扱事務公共的に重要性をもつておるから、これに對する妨害、あるいは遅延をした者は懲役罰金に處するというのでありますが、しかし國家公務員法を見ましても、行政的な懲戒處分の處置がちやんとあるのであります。たとえば公務員法の第八十一條を見ましても、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」あるいは第三號に「國民全體の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」には免職、停職あるいは減俸または譴責處分という懲戒處分があるのであります。それですべての他の公務員が、公務員法によりまして懲戒處分によつて足るものを、郵便從業員のみ、特にこの一年以下の懲役または二千圓以下の罰金に處する理由が納得できないのであります。そこで私から政府委員にお問いした場合に、他の官公吏に對しても、懲役罰金に處する場合がある。たとえば刑法第二十五章の涜職罪等がそれであると言つたのであります。そこで刑法第二十五章の涜職の罪を見ますと、これはすべて積極的に、警察官あるいは裁判官、あるいは檢察の事務取扱つておる者が暴行を用い、あるいは脅迫を用いて人をして義務なきことを行わしめた場合、あるいは公務員がその職務に對して賄賂を收受した場合などのような積極的な行為によつて犯罪を起す場合、あるいはこちらから暴行脅迫等を他人に仕向けた場合などであります。單に郵便業務に從事する者が、これを遅らしたということだけで一年以下の懲役または二千圓以下の罰金に處するということは、これは重きに過ぎる、酷に過ぎるということを私は申し上げたいと思うのであります。これは十分懲戒處分で足るものであつて、何も懲役罰金に處する必要はない。もつとも現行法を見ますと、現行法では五十三條に「郵便事務從事スル者正當ノ事由ナクシテ郵便物取扱ヲ為サス又ハ之ヲ遅延セシメタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス」というのがあるのでありますが、これは現行法明治時代にできた古い法律でありまして、そのころはまだ封建的な威嚇主義が行われまして、人をして罰金懲役をもつて威嚇して、仕事に從わせるという時代にできた法律だから、これはまあやむを得ないとして、少くともこの民主主義的、近代的な社會において、人に仕事をさせるのに、こうした懲役罰金で威かして仕事をさせるということは、これは封建的な強權主義のなごりであるということを感ずるのであります。なぜ私がこういうことを申し上げるかというと、これはすでに御承知の通りに、憲法によりましても、あるいは勞働組合法によりましても、勤勞者團體交渉權、あるいは團結權、あるいは團結行動というような權利が保障されておるのであります。この權利をこの條文によつて不當に抑壓するという場合が非常に多いのであります。もちろん郵便從業員が十分な生活の保障をされ、しかも社會考えて何人も郵便從業員が不當な行為をしておるという場合には別でありますが、生活はまだ十分保障されておらない。やむを得ず業務管理、あるいは爭議行為に出た場合にも、七十九條よつて官側の一方的な考えによつて司法權を發動して、これを彈壓するということがあり得ると思うのであります。明らかにこの七十九條が、憲法に保障されている團體行為權利、あるいは勞働組合法規定されておる團體行為を彈壓するための手段に用いられる危險が多分にあると思うのであります。もしこれを適正に處置するならば、懲戒處分をもつて十分足りるのではないか。あるいはもしその爭議行為が不當に暴行脅迫あるいは不法な監禁、あるいは器物毀棄というような處置に出た場合には、これは刑法でそれぞれ處罰する規定があるのであります。從つて私はこの郵便從業員にのみ、この郵便法七十九條によつて、こうした不當に團體行為を抑壓するような懲役罰金をもつて仕事遅延すら處罰するというこの條文については反對するのであります。從つて私は修正意見としまして、七十九條を削除するという意見をここに申し上げたいと思うのであります。
  10. 岡田勢一

    岡田委員長 林君にこの際御相談申し上げます。ただいま修正の御意見がありましたが、これは採決をいたしますか、いかがいたしますか。
  11. 林百郎

    ○林(百)委員 できるならば、採決をしていただきたいと思います。形式的に終るかも知れませんが、一應採決していただきたい。
  12. 片島港

    片島委員 これ問題は、私も今の林君の述べられた意見の中でもつともだと思つているような點もあり、これは聽いておられる方にもあろうと思いますから、先だつて林君からこの問題について質問がありましたときに、政府委員からある程度の説明があつたのでありまするが、今日この採決をとらるるにあたつて、いま一度政府側から今の林君の意見に對しての見解説明を聽かれた方が—こんなに委員がたくさん集まられたことは未だかつてないくらいに今日はたくさん委員の方が集まつておられますから、いま一度説明を聽くというようなことをされたら、各委員判斷がなおうまくいくんじやないかと思います。
  13. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの共産黨代表からの修正意見に對しまして、採決をせられるといたしますならば、この際やはり記録に留むる必要があります。法は要するに運用によつて解決すべき問題でありまして、かような罰則が空文に歸するよになれば、それで初めて逓信從業員の心構えが國民福祉に合致することになるわけで、結局これは逓信從業員處罰せん目的のために存するものでない、かような點もありますので、双方やはり意見も相違していると思いますから、採決に先だつて討論形式をとつていただきたいと思います。
  14. 岡田勢一

    岡田委員長 ちよつと速記を止めて…。     〔速記中止
  15. 岡田勢一

    岡田委員長 速記を始めて…。  採決に入ります。ただいま林百郎委員より發議がありました日本共産黨修正案について採決をいたします。贊成諸君の御起立を願います。     〔贊成者起立
  16. 岡田勢一

    岡田委員長 起立少數。よつて日本共産黨修正案は否決されました。  郵便法原案贊成諸君の御起立を願います。     〔贊成者起立
  17. 岡田勢一

    岡田委員長 起立多數。よつて本案原案通り可決いたしました。(拍手)  なお衆議院規則第八十六條により、委員會付託事件について審査または調査を終つたときは、議決の理由を附した報告書をつくり、委員長からこれを議長に提出することになつておりますが、その報告書については委員長一任に御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 岡田勢一

    岡田委員長 ではさように決定いたします。
  19. 椎熊三郎

    椎熊政府委員 ただいま大多數をもつて可決を賜わりました郵便法でございますが、現行郵便法明治三十三年に制定せられまして、今日まで長い間重大なる改正もなく、古い時代のものをそのままやつてまいつたのでありますけれども、新憲法のもと、この憲法精神に基いて民主的な郵便法をつくりたいという建前から、今囘政府がこの法案を提出したのであります。私どもといたしましても、必ずしもこれが完全無缺法案であるとは思わないのでございまするが、各位におかれましては、提案以來數囘にわたり熱心に委員會をお開きくださいまして、愼重審議の上原案通り可決を賜わつたことに對しましては、絶大なる敬意を表し、その採擇の結果に對しましては、私どもはまことに衷心より感謝にたえない次第でございます。この際畫期的な郵便法の本委員會可決確定にあたりまして、委員各位敬意を表し、御挨拶を申し上げます。     —————————————
  20. 岡田勢一

    岡田委員長 ではこれより郵便貯金法案議題として質疑を續行いたします。質疑はこれを許します。
  21. 白井佐吉

    白井委員 ただいまはきわめて重要な法案可決成立いたしまして、まことに御同慶の至りにたえません。     〔委員長退席、重委員長代理著席〕  ここに私一言申し上げまして、次に來るべき郵便貯金法案討論採決のときの御注意を促しておきたいと思う點がございます。それは國鐵と並んで官業の双璧と言われまする逓信事業運營根本法とも言うべき郵便法案討論採決にあたりまして、所管大臣である逓信大臣の御出席がなかつたということは、私はなはだ遺憾に存じておるとこるでございます。これはある意味におきまして、この委員會の權能を無視するにひとしいものではないか、あるいはまた大臣みずからが逓信事業重大性を輕視しているにひとしいものではないかというような念を深く抱くものでございます。この點はなはだ遺憾に存じまして、今後まだ山積している重大法案討論採決の際には、ぜひとも大臣出席のもとに、私ども討論もし、また採決もいたしたいと考えている次第であります。後日のために一言申し上げまして、大臣の反省を促しておきたいと思います。(拍手
  22. 重井鹿治

    重井委員長代理 この際委員長代理として申し上げます。ただいま白井委員から御發言になりましたことは逓信大臣の方へお傳えいたしまして、今後積極的に出席されるよう努力いたします。  それでは郵便貯金法質疑を續行願います。この前政府委員から總括的な説明を承りまして、總括的な質問にはいつておりますので、總括的な質問をお願いいたしたいと思います。
  23. 森直次

    ○森(直)委員 郵便貯金大藏省預金部にとられるのはどのくらいでございますか。
  24. 村上好

    村上政府委員 参考計數というこの書類の中の郵便貯金現在高というところに書いてございますが、これに昭和二十二年九月として、現在高合計四百六十一億五千四百三十四萬八千圓、これが九月末現在におきまする大藏省預金部に繰入れた金額でございます。その後十一月十五日の計數をとつてございますが、それに四百六十五億四十六萬八千圓という數字になつております。これが全部大藏省預金部に繰入れられております。
  25. 多田勇

    多田委員 これは政府に對する質問というより、委員長にお伺いいたしたいのでありますが、郵便法にいたしましても、ただいま審議されている法案にしましても、この法案審議いかんが直接豫算に重大なる關係をもつてくると思うのであります。この前豫算の點につきまして御質問申し上げまして、逓信大臣から御囘答があつたのですが、今後この豫算に重大なる關係のある法案審議する場合、豫算案が同時に國會提案されている場合には、この豫算を並行して審議するとか、あるいは豫算委員會合同審査形式審議することが必要だろうと考えておるのであります。これに對して委員長のお考えを伺いたいと思います。
  26. 重井鹿治

    重井委員長代理 多田委員に申し上げます。貯金に關する限りにおいては、村上政府委員の方から御説明申し上げることができると申しております。
  27. 村上好

    村上政府委員 ただいま豫算の御質問があつたようでございますが、この貯金法施行いたしまするについて、どのくらい豫算がかかるかということについて私から御説明を申し上げたいと存じます。それはこの新貯金法施行するにあたりまして、並行して三千五百萬圓年度所要額として大藏省追加豫算を要求いたしました。ところがこの貯金法は未だ成立していないので、これを追加豫算として正式に貯金法施行に伴う經費として計上するわけにはいかないということで、その經費はそういう名目では追加豫算には計上されませんでした。しかしその金は逓信省特別會計の中に盛られている豫備費の中で賄えるように實行上すればよろしいということでございまして、それは逓信省特別會計豫備費の中から、この實施に伴う年度内の經費はこれを支出でき得ることになつております。但し三千五百萬圓要求いたしましたが、それがもつと減額されるかもしれません、さような關係になつております。
  28. 多田勇

    多田委員 私の申し上げましたのは、この法案を實行するために要する經費の點ではないのでありまして、審議されておる法案重大關係をもつておるところの豫算審議を、通信委員會の議に付さずに、豫算委員會のみで審議するよりも—この法案施行によつて、たとえば郵便法案等の場合で、郵便料金修正されるという場合には、當然通信特別會計豫算に影響を與えることになりますので、こういつた關連性にある豫算審議については、委員會として豫算委員會合同審査なりする必要があるのではないかという、委員會審査範圍内のことについて御意見をお伺いしたわけであります。きよう委員長おいでにならないので、はなはだ恐縮でありますが、この點今後御考慮願いまして、私が申し上げたようなことができるとすれば、そういうような方法でもつて委員會の取運びをお願いしたい。こういう意味であります。
  29. 重井鹿治

    重井委員長代理 その點、財政金融委員會とも、この貯金法關係があるので、合同審査を向の方から申し込まれてあるのであります。しかしながら合同審査の場合は、その主管委員會というものが中心となるわけなので、一應その委員會でその法案について了解ができておれば、合同審査をしなくてもよいというような了解ができて、合同審査をしておらない、こういうことになつていると思うのであります。委員會の要求がありますればそういうことはできると思いますので、そういうふうに今後取計らうべく努力いたしたいと思います。
  30. 林百郎

    ○林(百)委員 この郵便貯金法ですが、逓信關係會計としては通信事務取扱いに關する會計郵便貯金に關する會計、それから郵便保險に關する會計と三つにわかれておるのであります。そのうち郵便貯金竝びに郵便保險に關する會計は、ここから吸收された資金が全部大藏省特別預金としてはいつていくのであります。このたびの郵便貯金法によりまして、貯金最高額現行法よりも非常に上つて、大體三百圓ほどになつたのでありますが、そうして預金された金額大藏省特別預金にはいていつて、それがどう使われるかという點をわれわれは知りたいのであります。しかも大藏省から、あるいは國家豫算から今度逓信關係の方に來るときには、事務取扱費といつてまつたく實費程度のものしかこつちにもどつてこないのであります。從つてそういう點を明らかにしないと、逓信事業獨立採算制の問題、あるいは逓信事業から出ている二十五億の赤字の問題というようなことがはつきりとしてこないのであります。できますならば、財政金融委員會と合同するのもよいが、大藏關係大藏大臣なり次官を呼んできて、その郵便貯金特別會計郵便保險特別會計との使途、繰入金の使途の問題、事務取扱費の問題。こういう關係を明瞭にしたいと思います。ですから、次會には大藏大臣次官を呼んでいただいて、その點を明らかにしたいと思いますが、もしここにおいでになる政府委員でその點おわかりの範圍だありましたら説明していただきたいと思います。
  31. 村上好

    村上政府委員 私の御説明のできる範圍でお答えしたいと存じます。逓信省會計はただいま三つあると申されましたが、逓信省内部では、會計はただいま分類されたような分類ではないのであります。貯金事業郵便と同じように通信事業特別會計というものの中に含まれております。保險は今のお説の通りであります。それで貯金の預かつた金歳入歳出外でありますので、これは大藏省預金部の方にこの金をまわしているのであります。それで純粹な意味での會計という點について私から一言申し上げておきます。  次に大藏省預金部においていかようにこれを運用していくかという御質問でありますが、この預金部の金は逓信省郵便貯金、これが預金部總額の約七割を占めております。その次は、簡易生命保險及び郵便年金預金がはいつております。厚生年金保險預金特殊財産預金、その他の會計預金各種基金保管金、及び供託金預金、共濟組合及び法人の預金、それから預金部積立金等でございます。これらをいかように運用しているかと申しますと、大藏省からとりましたこの調書によりますと、一般會計及び特別會計への貸付金が二十三億八千五百萬圓國債は四百五十二億九千三百萬圓、第三に地方債證券及び地方公共團體貸付金、これが五十二億九千三百萬圓、その次に特殊銀行等債券及び貸付金、それが四十四億六百萬圓特殊會社等債券及び貸付金が二十八億五千八百萬圓、外國國債證券、國外關係債券及び貸付金が十九億三千五百萬圓、現金が一億二百萬圓、合計して六百二十二億七千五百萬圓という數字であります。これらの運用の内譯については、必要があれば大藏省から説明を煩わす方がよいかと存じます。  次に、郵便貯金大藏省における運營の利益と、逓信事業によこす事務費との關係等について申し上げたいと存じます。これは大藏省の方においても、郵便貯金を金としてどれだけ運用したかという正確な數字は出せないのであります。これは全體としてそのうちに含まれている貯金でありまして、割合等によつて出した推算にすぎませんから、そのつもりでお聽取りを願いたいと思います。本年度の運用の利益と事務費との關係を推算いたしますと、年度初頭の大藏省預金部への繰入現在高が四百五十七億九千五百萬圓であります。從來の大藏省の運用利囘りは大體三分四厘六毛くらいに當つているそうでありますが、年度初頭にあつたこの資金全部がこの利囘りで運用されるとすると、その利子は十五億八千四百萬圓ということに相なります。一方この貯金は預入者に對して利子を拂わなければなりません。この利子は大體において從來の統計に徴しまして、利囘り二分五厘と見られます。そうするとこの利拂が十一億四千四百萬圓という額に上ります。運用の收入が十五億八千四百萬圓、預入者への利拂が十一億四千四百萬圓、その運用利差は四億四千萬圓ということに相なります。この四億四千萬圓から逓信省事務費、大藏省みずからが使うところの事務費を支出しなければなりません。逓信省に對してはまだ追加豫算が決定しておりませんが、逓信省追加豫算を含めて大體の了解を得ている數字では、大藏省預金部から十九億八千百萬圓をもらうことになつております。大藏省事務費はどのくらいかかるかわかりませんが、約一億圓とつかみまして、この兩方の事務費を加えると、二十億八千萬圓という數字に相なるのであります。先ほど申し上げた運用利差が四億四千萬のところに、二十億八千萬圓という經費がかかるという結果に相なつております。これは正確な數字でありませんで、先ほど申したように推算によつて出した數字でありますが、あまり大きく狂うことはないと存じます。かような大きな赤字の出た原因は、人件費の膨脹、物件費の膨脹、旅費その他最近の豫算の膨脹に伴い、どうしてもこれだけ要るということに相なつたのであります。それでただいまのような推算をいたして、過去のものを調べてみますと、かような赤字の現象の出ましたのは、大體昨年度以降と見られます。それまではまだ多少ながら郵便貯金の運用利差で黒字をもつていたような状態であります。
  32. 林百郎

    ○林(百)委員 今のは郵便貯金大藏省預金部での運營だけであつて、そのほか郵便年金、郵便保險、その運營大藏省預金部でやるのではないかと思いますが、その點はどうですか。
  33. 村上好

    村上政府委員 保險の資金運用は、私、專門的にちよつと今責任をもつてお答えすることはできませんが、戰爭中は大藏省預金部にまわされておりました。
  34. 林百郎

    ○林(百)委員 だから今言つた四億四千萬圓というあなたの出した數字は、これは郵便貯金運營の利差だけですか。
  35. 村上好

    村上政府委員 そうです。
  36. 林百郎

    ○林(百)委員 これは郵便貯金に關する物件費というが、これはほとんど人件費で、物件費は出ていないのではないですか。このうちの何割が物件費で、何割が人件費ということになつておりますか。
  37. 村上好

    村上政府委員 そのはつきりした數字はここには用意してもつておりませんが、物件費には廳舎營繕もございますし、土地買收もございますし、ときには貯金の紙か、紙の貯金かと言われる紙にも使います。その他相當物件費はかさんでおります。
  38. 林百郎

    ○林(百)委員 それは當然大藏省が負擔すべきものではないですか。
  39. 村上好

    村上政府委員 さようでございます。ですからそれを大藏省に要求して、大藏省からもらうように了解を得ております。
  40. 林百郎

    ○林(百)委員 もし大藏省がこちらの方を赤字というなら、それなら逓信省の通信特別會計の方で運營するところを、この金の方で運營してくれといつて、三分四厘の利子を考えないで、適當に運用すれば、赤字が出ないという方法は考られませんか。その點はどうですか。それから獨立採算制關係することですが、從來は黒字になつてつたのは—戰爭前はこれは逓信特別會計運營しておつたと思います。そのときに黒字が出て、それを大藏省預金部へ毎年いくらかずつ預金しておつたという例があるかどうか。
  41. 村上好

    村上政府委員 郵便貯金におきましては、創業當初から大藏省預金部において運用いたしております。
  42. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもう一つお聽きしたいのですが、二十億八千萬圓というのは通信事務全部の取扱費ですか、その中の貯金事務だけの事務取扱費が二十億八千萬圓ですか。
  43. 村上好

    村上政府委員 貯金事務だけでございます。このほかに為替、それから振替貯金という經費は別でございます。為替の場合には、為替料金は直接逓信省特別會計の收入としております。それでその收入をもつて支出を賄う建前にいたしております。それから振替貯金も振替貯金の料金をとつておりまして、それで賄う建前をとつております。それでこの金は純粹に郵便貯金だけの經費であります。
  44. 白井佐吉

    白井委員 今度割増貯金實施するというお言葉ですが、十二月から年度内と申しますと來年三月まであります。その四箇月間に二十五億ないし三十億の金を吸收しようという御計畫だそうですが、目下郵便貯金の普通の場合における増加高の實情かあまり振わないように承つておる。この場合四箇月で二十五億ないし三十億という貯金の吸收がはたしてできるかどうか、これに對する當局の具體的な御説明をひとつつてみたいと思います。
  45. 村上好

    村上政府委員 この参考計數表にもございます通り、自由貯金については、毎月相當の増出高を示しておるのであります。本年度の四月には百四十四億、五月におきまして百六十二億、ここで十八億一箇月で上つております。六月には百七十八億、その差が十六億、七月にはいりまして百九十八億これで二十億上つております。八月にはいりまして二百十一億ここでも十三億ほど上つております。九月におきまして二百二十六億ここで十五億上つております。かように貯金は毎月相當増出高を示しておりまして、今度とります割増附の定額郵便貯金もこの自由貯金に新しく追加されていく制度でございますので、現金を吸収する面においては年度内に二十五億ないし三十億はさして困難ではないという見透しをつけておるのであります。また現業局の第一線におきましてあらかじめ豫約等をいたしておりますが、見透しとしては大抵目標額をとれるであろうという見透しであります。これは實現できるであろうと考えております。
  46. 片島港

    片島委員 自由貯金が非常に殖えておるというお話ですが、郵便貯金というのは、もともと零細な庶民階級の貯蓄機關としてあつたわけですけれども、現在、職業的に見たときに、どういう階層から最も多く貯金が預けられておるか、そういう點の調査がありますならば、ひとつ説明願いたいと思います。  前は職場貯金、たとえばいろいろな給料生活者等が團體で毎月規約貯金といつたようなことをやつてつたのですが、現在は各職場においてそういう規約的な貯金といつたものを團體でやつておりますが、それも併せてひとつ説明願いたい。
  47. 村上好

    村上政府委員 ただいまここに調書を用意してまいりませんので、大體のことを申し上げますが、從來のように工場その他の事業場における團體貯金等は最近非常に減つてまいつております。それで申すまでもなく俸給生活者、そういう階層からの貯金はきわめて小部分でございます。それでこれは農村、漁村その他俸給生活者以外の新圓階級、そういうものから上つておる實情であります。
  48. 重井鹿治

    重井委員長代理 この際ちよつと林委員に申し上げます。ただいま大藏省の方へ連絡したのでありますが、大臣關係政府委員もこちらにおらないのであります。それで先ほどの村上政府委員答辯でいかがでございましようか。實は期日も切迫しておりまして、十二月一日から施行しなければならぬような情勢にありますので、この月に上げたいという考え方をもつておりますから、でき得るならば、本日質問を打切りたいと思つております。
  49. 林百郎

    ○林(百)委員 やむを得ないことだと思いますが、どうも私の方はわからないのです。郵便貯金保險も年金も、全部大藏省特別預金へはいつてつて、向うからくるのは事務取扱費だけしか來ないわけなんです。廳舎や用度は全部通信特別會計によつていろいろやられるわけですね。それで上つたものは向うで全部使つておいて、利子の三分四厘五毛だけで計算して、お前の方の正當の取分はこれしかないのだといつて、そこで赤字を計算されたのでは不合理だと思う。こんな金を使つて今もつて三分四厘五毛しかまわらないということはないのです。それで逓信事業は赤字だから行政整理をしろ、給料はストップしろということは納得できないのです。ただいまお話になつ貯金總額も、大體今まで大藏省預金部にはいつていつた貯金總額は千億圓近くになるわけですし、また通信特別會計保險會計、年金の會計、これから吸収される金を全部逓信省が獨自の運營をしたら、赤字になるかどうかという點を、大臣次官もいないから、あなたはどんな考えをもつておるか、お聽きしたいと思う。
  50. 村上好

    村上政府委員 御質問の一つ、郵便貯金大藏省に運用させておる金は、先ほど申し上げましたように、現在においても四百六十五億であります。これ以上は参つておりません。ただしこのほかに保險と年金が参つておりますが、この四百六十五億が七割と御了承願えればよろしいのであります。  それからもう一つの點は、逓信省は、自分の建物、自分の土地で事業運營していて、事務費だけ大藏省預金部からもらつておるというお話でありますが、それは貯金事業に關する限り、單純なる事務費ではございません。土地と建物に關する經費も含まれております。それが先ほど申しました十九億八千萬圓、その中に含まれております。  それから第三の點、一體貯金保險逓信省で吸収してやつたら、そんな赤字が出るようなことはなく、事業が運行できやしないかという御質問でありますが、先刻申しました運用の利囘り三分四厘六毛というものは、これは過去において投資したもので、そのうち大部分は國債とか地方債とかいうものでありまして、償還期限が來ないうちは、それを簡單に切りかえるわけにはまいらないのであります。從いまして大部分の過去の投資に對しては、この運用利率をあまり上げるわけにはいかないのであります。將來貯金されるものに對しては、これは新しい運用になりますから、相當高率な運用もできましようが、本年度初頭の四百四十三億圓に對してはあまり期待はできないのであります。それから將來の運用は—少くとも本年度の實續に徴してみますと、本年度はきわめてその増加が振わないのであります。封鎖貯金と自由貯金との預入と拂いを差引いたものが結局大藏省預金部において新しく運用のできる資金になるのでありましで、單に先ほど申し上げました自由貯金のその金額のみをとらえることはできないのであります。それで郵便貯金は本年度におきましては、年度初頭においてこの表によつて四百四十三億、それから現在において四百六十五億、これとの差でございますので、本年度に入りまして二十二億という數字になるわけでございます。この二十二億をいかように運用いたしましても、これはさほど多額の運用利差を見ることはできないと存じます。將來においては、これはまた經濟事情が變れば別でありますが、ここ二、三年の間は、逓信省獨立採算制度が成立するかどうかの問題と同じように、この問題も、ただちに逓信省にみな吸収しても、この運用利差をもつて獨立採算制の建前をもつて賄うことは非常に困難であろうと私は考えます。
  51. 中野寅吉

    ○中野(寅)委員 この問題については白井委員、平井委員多田委員長谷川委員片島委員、林委員より剴切なる質疑があり、これに對し村上政府委員より詳細熱心な答辯がありました。よつて質疑はこの程度で打切り、ただちに討論にはいるように希望いたします。
  52. 重井鹿治

    重井委員長代理 ちよつと中野委員に御相談申し上げますが、本會議が始まつたようでございますので、きようは質疑だけで打切りまして、この次に討論いたしたいのでありますが、いかがですか。     〔「贊成」と呼ぶ者あり〕
  53. 重井鹿治

    重井委員長代理 それでは郵便法案に對する質疑を終了することに御異議ありませんか。
  54. 海野三朗

    ○海野委員 ちよつとその前にお伺いいたしますが、貯金法についてもう少し利子を上げるようなことをお考えになつておりませんか。
  55. 村上好

    村上政府委員 利率は、從來建前は法律できめずに、逓信大臣大藏大臣とが協議して、勅令をもつて定める建前をとつてまいりまして、この金融界の利子のカーブと歩調を合わせる建前で、常に議會にかけなくても、それに追随していけるような建前をとつていたのでありますが、今囘法律の中にそれを入れたわけであります。それで利率の決定を愼重ならしめたわけであります。さらに近く金利統制等に關する法律というものが、議會に提案されることになつております。これは官も民も打つて一丸として、同一なる金利の體糸の中でまちまちにならないでやつていくということの根本建前をとりまして、その委員會には政府側、民間側等からはいりまして、その委員會できめたものをもつてつていこうという建前の法律であります。從つて貯金だけ特に上げるというわけにもまいりません。將來はその委員會できめられたものが拘束力をもつようになると存じます。
  56. 重井鹿治

    重井委員長代理 それでは郵便貯金法に對する質疑を終了いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 重井鹿治

    重井委員長代理 それでは質疑を終了いたしました。本日はこの程度にて散會いたしたいと思います。次會は二十七日午後一時開會し、討論採決をいたしたいと思います。各黨には御準備をお願いいたします。  本日はこれにて散會いたします。    午後四時二十分散會