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1947-11-21 第1回国会 衆議院 通信委員会 第22号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十二年十一月二十一日(金曜日) 午前十一時七分
開議
出席委員
委員長代理
理事
重井
鹿治
君
理事
天野 久君
理事
白井 佐吉君 海野 三朗君
大石ヨシエ
君 梶川 靜雄君 片島 港君 成田 知巳君 野上 健次君
矢尾喜三郎
君 小島 徹三君 千賀 康治君
長谷川政友
君 多田 勇君 中野 寅吉君
宮幡
靖君 森 直次君 河口 陽一君 林 百郎君
出席政府委員
逓信事務官
大野 勝三君
逓信事務官
浦島喜久衞
君
逓信事務官
小笠原光壽
君
逓信事務官
村上
好君
委員外
の
出席者
專門調査員
吉田
弘苗
君 ————————————— 本日の
會議
に付した事件
郵便法案
(
内閣提出
)(第八二號)
郵便貯金法案
(
内閣送付
)(豫第一七號) —————————————
重井鹿治
1
○
重井
委員長代理
會議
を開きます。 これより
郵便貯金法案
を議題として
質疑
に入りますが、
質疑
に入るに先だちまして、本案の概略の
説明
を
政府
より聽取いたしたいと思います。では
政府
の
説明
を求めます。
村上好
2
○
村上政府委員
郵便貯金法案
の御
説明
をいたしたいと存じます。
説明
いたしまする前に、
政府側
の希望を一言申し述べさしていただきたいと存ずるのでございます。と申しますのは、
逓信省
の
郵便貯金
は、このインフレの防遏に非常に重い責任を負擔しておるのであります。特にこの年末の
浮動資金
をねら
つて
、できるだけ多くの遊資を吸收する方針を立てて、今年度の初頭から計畫してまい
つて
おるのでありますが、それを實行するためには、どうしてもこの
貯金法
を通過をしていただかなければ、
スタート
が切れないという
實情
にありますので、私どもといたしましては、できるだけ十二月一日から
スタート
を切らしていただいて、ただいま申し上げた
目的
の實現に向
つて
邁進いたしたいと考えておる次第であります。
臨時議會終期
に近づいて、非常に押し迫
つて
急いで御審議を願うことははなはだ恐縮と存じますが、實はいろいろな事情に制約されまして今日に延びてしまつた。かような事情ですから、どうぞよろしく御審議を願いたいと存じます。つきましてはこの
説明
の
内容
にはいりたいと存じます。 この
貯金法案
は從來の
貯金法
に對して
全文改正
をいたしております。但しその
内容
は、あまり從前のものと
變つて
はおらないのであります。從いまして
説明
の便宜上、
現行法令
とその
内容
が同一のものは
説明
を省略いたしたいと存じます。また
郵便法
が先般提案されて、
説明
を
終つたの
でありますが、これと共通な部分は、同じく
説明
を省略いたしたいと存じます。この
郵便貯金法案
は五章七十條の
法案
でございます。これについて逐條的に御
説明
を申し上げます。 第一章
總則
でございます。これは
郵便法
と同じ形體をと
つて
おります、第一條はこの
法律
の
目的
を定めたのでございます。最近の
立法例
にならいまして、この
法案
においても
法律
の
目的
を冒頭に掲げることにいたしました。「
郵便貯金
を簡易で確實な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによ
つて
、國民の
經濟生活
の安定を圍り、その福祉を増進することを
目的
とする。」この
目的
は現在の
政府
の
郵便貯金
の
目的
と變ることはございません。 第二條、
郵便貯金
の
國營及び逓信大臣
の職責、これは
郵便
で御
説明
申し上げましたことと、趣旨は同一でございます。それで
郵便法
と多少違います點は、第二項第二號「
法律
に觸れない
範圍
において、
郵便貯金
の
取扱
をする
郵便局
を指定」する、これは
具體的
に申し上げますと、
既設局
あるいは
船舶内郵便局
といつたようなものを指定するわけであります。その次の三號「
法律
に觸れない
範圍
において、
貯金原簿所管廳及び證券原簿所管廳
を設置し、又は廢止すること。」これも
郵便法
にない
條項
でありますが、これは
現行
と變りありません。四號、これは
郵便法
の場合と同じであります。
郵便
という文字が
郵便貯金
という文字に
變つて
おるだわであります。五號、これも
郵便法
の場合と同じであります。
郵便
という字の代りに
郵便貯金
いとう字句を
使つた
にすぎません。六號、これも同様であります。七號、これも前同様であります。 第三條、
逓信大臣
の職權の委任、これも
郵便法
とまつたく同様の字句であります。 第四條、
郵便貯金
の業務に從事する官吏、これも
郵便法
とその趣旨は同一でありますが、ただ
特定局長
に關しては
郵便法
によるという
建前
で
特定局長
のことが書いてないだけであります。その他
郵便法
と變りはございません。 第
五條
、訴訟について國を代表する者、これは
現行法令
と變りございません。 第六條、
印紙税
の免除、これも
現行法令
と變りございません。
現行法
の第十七條にございます。以上が第一章の
總則
でございます。 その次に第二章業務に關する通則、第七條、
郵便貯金
の種類は
現行法令
と變りございません。ただ第二號のすえ
置郵便貯金
以下を總括して、
特別郵便貯金
という名簿を新たに附したというだけのことでございます。 第
八條
、
團體取扱
、これも
現行法令
とその趣旨において變ることはございません。但し字句において多少
變つた點
は、第二項の「
郵便貯金
の
團體取扱
においては、
官公署
、
學校
、會社、工場その他の
事業場
」、工場その他の
事業場
という字句は、
現行法令
では工場その他の
團體
ということにな
つて
おります。
團體
というのを
事業場
に改めた程度であります。その
代り新法
では、
學校
という字を特にあげてございます。 第九條、これも
現行法令
と變りございません。 第十條、
貯金總額
つ
制限
、これは
現行法
と多少
變つて
おります。「
貯金總額
は、一の
預金者
につき三
萬圓
を超えてはならない。但し、左に掲げる
法人
又は
團體
については、この限りでない。」
現行法
におきましては
貯金
の
最高額
は一
萬圓
でございます。これを
新法
によ
つて
三
萬圓
に
引上げよう
ということにしたいのでございます。實は現在の
經濟事情
におきましては、これをもつと増嵩してもよろしいではないかということも言えるのではありますが、現在の
政府
のと
つて
おりまする
所得税
の免除の
限界點
というものが、この性質の
貯金
の
利子
に對しては、三
萬圓
以下をも
つて
所得税
の
免除點
とするという方針をと
つて
おるのであります。それで
大藏當局
としてこの
税収入
の關係等からいたしまして、これを上げることは非常に困難なのであります。それで
貯蓄組合法
におきましても、三
萬圓
までは
所得税
を免除するという
建前
をと
つて
おります。それで
郵便貯金
は税金をこわが
つて
おるわけではありませんが、三
萬圓
以上にしまして、
免税點
を三
萬圓
で線を引かれますと、二種類の
貯金
ができまして、この
利子
の支拂、その
計算取扱い
に非常に困難が生ずるのであります。今
貯金
の口座は約一億五千萬ございますが、これらのおのおのについて二種類の
利子
を計算することは非常に不可能に近いので、やむを得ず三
萬圓
にいたしております。それから三
萬圓
以上無
制限
に
預入
できる、しかも
利子
に對して
所得税
が免除されるという
法人團體
は、次のように
列擧主義
をと
つたの
であります。これは
現行法
におきましては、
法律
第四條の一號に「
公共團體
、社寺、
學校
又
ハ營利
ヲ
目的トセザル法人
若
ハ團體
ノ
預入金
」とあります。この
營利
を
目的
とせざる
法人
もしくは
團體
というこの
範圍
が非常に廣くありますので、これの認定を
逓信大臣
の權限に任せるということは民主的ではない、これをもつと明確に法定するという
建前
をとりまして、
營利
を
目的
とせざる
法人團體
というこの表現をやめまして、
列擧主義
にいたしました。それで比較的
公共性
の高度のものをとりまして列記いたしたのであります。その一は
地方公共團體
、二は
水利組合
、
水利組合連合
、三は
學校
及び
宗教法人
、四は勞働組合、五孤兒院及びこれに準ずる
慈善團體竝びに健康保險組合
、共
濟組合等
もはいりますが、これに準ずる
相互扶助團體
で
營利
を
目的
としないもの。しかもこの五項に掲げる
法人
または
團體
は省令でこれを明定するという
建前
をと
つたの
であります。かようにしまして、官廳が
自由裁量
によ
つて
三萬以上の無
制限
なる特典を與え得る
團體
というものを押えて、ここにより多く明確に
具體的
にしたのでございます。 次は第十一條、
貯金
の減額、これは
現行法令
と變りがございません。 第十二條、
利子
及び
割増金
この
利子
は
現行利率
と變りございません。但し外地の
利子
は内地より高か
つたの
でありますが、今回は外地で預けた
貯金通帳
で内地で拂渡しのできる、その生きておる外地の
貯金
に對しても、その
利子
は内地の
貯金
の
利子
と同一にするというので、一本にいたしました。それで
利子
を
法律
できめるということについては、從來これは省令に委ねられていたのでありますが、これを法定することにいたしたのであります。
利子
のごときは一面において
金融界
の情勢と相伴いまして、
銀行利率
が上れば、これもそれに順應してすぐに上げるということにして、議會の閉會中でも適宜に措置がとれるようにする方法がよい場合もあるのでおりますが、この
利子
の決定を
政府
の專斷にするということは民主的ではないという
建前
で、これを
法律
の中にあげたのであります。但し
利率
の決定につきましては、近く
金利統制等
に關する
法律
というものができる見込でございます。これによりますとすベての
金融機關
その他の
利子
はこの
法律
の定めるところによ
つて—
まだ決定いたしませんが、
金利統制委員會
にかけましてそこで
利率
をきめる、その
委員會
にはもちろん
政府側
の
委員
もはいることに相なります。ここ制きめた
利率
が
一般銀行
にも適用され、同時にわれわれの企圖しておるところでは、
郵便貯金
の
利率
にも適用されるというようにいたしたいと考えております。そうしますと、この第十二條は
金利統制等
に關する
法律
でこの十二條を修正して、一々この
法律
を直さないですむように相なるかとも存じます。次にはこの十二條の二項に「
定額郵便貯金
については、
割増金
をくじびきにより附つける
取扱
をすることができる。
割増金
を附ける
取扱
をする
定額郵便貯金
(以下
割増金附定額郵便貯金
という。)には、そのすえ
置期間
中
利子
を附けない。」とあります。これが實は
新法
の特色として、冒頭に私が審議を急いでおることを御
説明
申し上げました理由でありまして、この
制度
を早く實現したいという點でございます。
從來國家事業
は、國民の
射倖心
をねら
つて
貯蓄の増強をはかるという
建前
を、少くとも
國家事業
としてはと
つて
いなか
つたの
であります。しかし現在においてはその思想に從
つて
拘束さるることはないと考えられますので、時代に適應するようなそういう方法をとることにいたしたいと思います。これは民間においてはすでに
福徳定期預金
という
制度
がございますが、あれと大體同じような
制度
をつく
つて
、
定額郵便貯金
に
割増金
もしくは
割増金
に代るものを提供したいという計畫であります。それでこの十二月から實行にはいりたいと考えております
割増金附
の大要を一
應申上げ
たいと存じますがこれはこの年末に總額十五億、本年度内に二十五億ないし三十億圓くらいを吸収したいと考えております。
預入金額
は一口五百圓、本年度の
發行豫定口數
は五百
萬口
ないし六百
萬口
、一箇年間、無
利子
としてすえ置く、
利子
は年三分、これは
定額郵便貯金
第一年目の
利率
でございます。この年三分の
利率
に相當する約七千五百
萬圓
ないし九千
萬圓
、これを
割増金
に充當いたします。
割増金
についてはからくじなし、一等は
高級ラジオ
、自轉車の物資をつける。以下
現金
及び
種々物資
をつけろことが考慮されております。またすえ
置期間
中の拂戻しは認めないが、その
期間經過後
は
定額郵便貯金
として
利子
をつけるという方法を考えております。これが現在
逓信省
が企圖いたしておりまする新しい
制度
の
割増金つき
の
定額郵便貯金
でございます。その最後の項、
郵便貯金切手
には
割増金
を
くじ引
によりつける。これは
現行規定
と變りございません。 その次に第十三條、
利子
の計算でございます。これは大
體現行制度
と同じであります。但し二、三點違
つて
おる點は、一つは
定額貯金
には三箇月ごとに
利子
をつけたものを、
一般原則
に從いまして、毎月
利子
をつけるということに改めたのであります。その次には現
行方令
には不當なる
利子
がついておる。たとえばその月の三十日に
預入
して翌月の一日に拂い出すという場合には、一箇月の
利子
がとれるのであります。こういう規則で
現行法
は成り立
つて
おりまするが、この條文は削除いたしました。これは實際に從來の統計から見まして、削除しても實害がないということの結論に達したからでございます。 第十四條、
郵便貯金通帳
及び
郵便貯金證書
の交付、これは
現行法令
と變りございません。 第十
五條證券保管證
の交付、これも
現行法令
と變りございません。 第十六條、
通帳
の冊數の
制限
、これも
現行法令
と變りございません。 第十七條、これも
同様變
りございません。 第十
八條
、
通帳
、
貯金證書及び證券保管證
の再交付、これも
内容
は大體變りございません。但し料金五十錢のものを一圓にいたした點が
變つて
おるだけでございます。十
八條
の三項の末文の「
證券保管證一枚
につき一圓を納付しなければならない。」五十錢が一圓に
なつ
ただけでございます。 第十九條、
貯金原簿
及び
證券保管原簿
、これも
内容
は
現行法令
に變りございません。 第二十條、
利子記入
、これも
内容
は
現行法令
と變りございません。 第二十一條、確認、これも大體において變りございません。但し
從來檢閲
もしくは現在
高證明
という
制度
をも
つて
いたのでありますが、これを確認という言葉にかえただけであります。その處理方、
効力等
については變るところはございません。 第二十二條、
通帳等
の提出、これも
内容
は
現行法令
に變りございません。ただ
現行法
では「
檢閲スルコトヲ得
」とありますが、
新法
におきましては「提出を求めることができる」ということにかえただけでございます。 第二十三條、印章、これも
現行法令
と變りございません。 第二十四條、
讓渡制限
、これは多少
變つて
おります。
讓渡制限
をし得る
範圍
を狹めたのであります。
現行法令
によりますと、規則の三十
五條
で、
讓渡
することができるものは、その一つは「
公共團體
、社寺、
學校
又
ハ營利
ヲ
目的トセザル法人
若
ハ團體ニ讓
り渡ス場合」その次は「
親族ニ讓渡ス
場合」「遺言ニ依
リ讓渡ス
場合」この三つの場合を
現行法
では認めておるのでありますが方法はおきましては、この第一の
公共團體云々
を削除いたしたのであります。もともとこの
讓渡
を
制限
いたしました立法の趣旨は、
郵便貯金通帳
のごときを頻々として
讓渡
されますと、一つは
權利關係
が複雜になる。
簡易化
を旨とする
貯金
についてははなはだ好ましくない。もう一つは
通帳
の賣買による
不正行為
を取締る。賣買とか質入れとか、擔保とかいうことによ
つて不正行為
がなされることがあるのであります。その一つは
貯蓄奨勵
の
目的
から、
貯金
を簡單に他人に
讓渡
させることを抑えておるのであります。かような理由から
讓渡
を
制限
いたしておるのであります。それで實際問題としては、
讓渡し
なくとも、お互いに實在しておる自然人ならば、一遍引出して
現金
を與えればそれで
目的
は達するのでありまして、特に
讓渡
の必要のあるといつたような場合を殘して、この
必要性
に乏しいものは削るという
建前
から、
現行規則
の一號を削除いたしました。 その次に第二十
五條
、證明であります。
内容
は
現行法令
と變りございません。 第二十六條、正當の拂渡。これも
内容
は
現行法令
と變りございません。 第二十七條、免責。これが新しく設けられた
條項
でございます。
現行法
におきましては
現行法
の第十四條、「
郵便官署ハ郵便貯金ニ關スル取扱
ノ遅延ニ因り生
シタル損害ニ付賠償
ノ
責ニ任セス
」というふうに定めてございます。これは新しくできました憲法第十七條に照らして、この
條項
をそのまま殘存させておくことは
不適當
と認められるのであります。それで
原則
といたしました
國家
は
損害
を賠償するという
建前
をと
つて
おります。公務員の
不法行為
による
損害
に對しては
國家
は
原則
として賠償する。それでこの
郵便貯金
は、その性質は
民法
の
長期貸借
に類似しておる契約でございますので、この
損害賠償
に關しては、主として
民法
の
規定
によることにいたしております。しからば
原則
として賠償するが、賠償しない場合はどういう場合か
とい例外
の場合をここに掲げてございます。第一號「拂い渡すべき
郵便局
において
現金
に餘裕のないとき。」これは
民法
の
原則
からいけば、
金錢債務
の履行遅滯、金がないから待
つて
くれということは、
民法
においては
金錢債務
の履行遅滯に相なるのでありますが、田舎の
郵便局等
におきましては、往々にして高額になりますと、
現金
を親元の局から、もしくは銀行から取寄せるまでには、一日かそこらの時日をかしてもらわなければならない關係で、これを
例外規定
として設けたのでございます。 第二號といたしまして「
預金者
の提出すべき書類が不完全なとき。」これは
預金者側
の責に
歸すべ
き事由によ
つて履行
遅滯の生じた場合を示しております。たとえば
通帳
に押捺してある印鑑と
受領證
の印鑑とが違うといつたような場合がこれでございます。 第三號「
不可抗力
に因り拂い渡すことができないとき。」
不可抗力
の場合は
債務者
の責に
歸すべ
からざる事由でありますから、これは
民法
におきましては
金錢債務
の履行遅滯は、
不可抗力
をもつと對抗することはできないということにな
つて
おりますので、
民法
の
原則
に從いますれば、
不可抗力
でも
損害賠償
の責に
任ずる
のであります。
貯金法
におきましては、
不可抗力
の場合は例外として免責にしてもらいたいというので、ここに
民法
に對する例外を掲げたのであります。その他の場合には
國家
は
損害賠償
の責に
任ずる
ということにいたしております。 第二十
八條料金
の還付、これは
現行法令
とあまり變りがございません。ただこの二十
八條
の末文にあります「その料金を納付した時から一年を經過したときは、これをすることができない。」
現行法令
におきましては九十日とな
つて
おりまするが、
一般私法
の期間と同調いたしまして一年ということにいたしました。 第二十九條、
貯金
及び
保管證券
に關する權利の消滅、これも
現行法令
と
内容
は變りございません。 第三十條、利用の
制限
及び業務の停止、これも
現行法令
と
内容
は變りございませんが、この第三十條について一言申し上げておきますと、三十條は「
逓信大臣
は、天災その他やむを得ない事由がある場合において、重要な業務の遂を確保するため必要があるときは、
貯金原簿所管廳
、
證券原簿所管廳又
は
郵便局
を指定し、且つ、期間を定めて、
郵便貯金
の利用を
制限
し、又は業務の一部を停止することができる。」という
規定
であります。これは現在これと同一の
現行法
によ
つて
、戰災を受けて復舊しない
事務
に對して停止、
制限
をいたしておりまするが、この現在の戰災のために生じた利用の
制限
はこれに基いてやられておるのであります。
新法
が成立しました後は、
新法
に基いて省令を出しまして、これの細目をきめるのでありまするが、當分はこの
戰災復舊
のために、どうしても
取扱い
を停止もしくは
制限
を繼續させていただかなければならない
事務
がまだ多少ございます。この
貯金法
にはいろいろ
制度
としてあげてございます。たとえば
利子記入
とか、
證券保管證
の交付、
證券
の賣却、購入、
保管
、その他いろいろこの
法律
に
制度
を定めてございますが、この
法律
が通過したと同時に、全面的にこれが動くということができない部分があるのを御了承願いたいと存ずるのであります。それはこの三十條に基いてやはり省令、
告示等
を出してしばらくお待ちを願わなければならぬような
實情
にあるのでございます。 次に三十一條、
非常取扱
、これも
内容
は
現行法令
と變るところはございません。以上が第二章の通則を申し上げました。 第三章、
通常郵便貯金
でございます。第三十二條、
預入金額
の
最低制限
は一度の
預入額
は一圓以上といたしておりまするが、
新法
におきましては現在の
經濟事情
に照らし合わせまして五圓以上ということにいたしました。 第三十三條、
預入
の證明、これも
現行法令
と變るところはございません。 第三十四條、有
價證券
の
預入
、これも
現行法令
と變るところはございません。但し
現行法令
から一つ削除したのがございます。それは
現行法
の第七條の「
郵便切手
、
郵便貯金切手
、
及支拂期
ノ
開始セル證券ハ命令
ノ定ムル所ニ依
リ郵便貯金ニ預入スルコトヲ得
」というのがございます。この
郵便切手
で
貯金
に
預入
するという
制度
をやめたのでございます。直接
郵便切手
で
貯金
に
預入
するというこの
郵便切手
を削除いたしました。但し
郵便貯金切手
で納入することは認めております。この點は特別すえ置
貯金
で別に定めてございます。 三十四條、この末項に掲げたことは
現行法
の
制度
として實行いたしておるのでありまするが、明文がないのでここに掲げたのであります。それは「第一項の
規定
による
預入
に係る
通常郵便貯金
については、
當該有價證券
が決濟された後でなければ、
貯金
の現在高がその有
價證券
による
預入金額
を下るような拂もどしをすることができない。」これは銀行の
持參人拂
の
小切手
は、ただちに
郵便貯金
に
預入
することができることにしております。
現行法令
もこうな
つて
おります。
小切手
ですと
不渡小切手
がときどきあるのであります。この
不渡小切手
をただちに有效と認めて、その翌日から
現金
で支拂うということは危險でございますから、これはこの
小切手
を
手形交換
にかけて、不渡りでないということを確かめた後に拂うという趣旨であります。但し千圓預けてすぐに千圓をそれからとるというふうに考えなくてもよろしいので、結局その
貯金
から最後に千圓殘るまでは、翌日からでも拂
つて
あげる。要するに有
價證券
によ
つて預入金額
を下るような拂もどしをすることはできないというように表現いたしたのであります。 その次、第三十
五條
、これは
内容
は
現行法
と變りございません。 第三十六條、これは同じで、變りございません。 第三十七條は多少
變つて
おります、現有の
貯金法
の
建前
といたしましては、
貯金
の拂もどしは
通常拂
を
原則
として、
即時拂
は
原則
にな
つて
いないのであります。
通常拂
は御承知の通り拂もどし請求を
郵便局
に出して
郵便局
から
原簿所管廳
、すなわち
貯金支局
であります。そこで
證書
を發行して
預入者
にそれを渡して、それをも
つて局
へ來て
現金
をとるというのが
通常拂
であります。これは非常に時間がかかるので、
貯金
をおろす人のほとんど大多數は、
即時拂
で
郵便局
へ
行つて
すぐに窓口で拂
つて
もらう、この途を利用しておるのであります。
新法
におきましてはこの
實情
に鑑み、郎時拂主義と申しますか、郎時拂をも
つて
拂もどしの根幹とするような
建前
をと
つたの
であります。 第三十七條は「
通常郵便貯金
の拂もどし金の拂渡は、
通帳
の提示を受けて(省令の定める場合には
貯金原簿所管應
の發行する拂もどし
證書
と引き換えに)これをする」というようにいたしたのであります。 第三十
八條
、これも大體において
現行法
と變りございません。ただ第二項に「
逓信大臣
は、必要と認めるときは、離島その他交通不便の地域につき、前項の有
效期間
を延長することができる。」これは
現行規則
によりますと、百二十日という數字で切
つて
ありますが、これは沖縄とか
南洋群島
とかいうものが客體にな
つて
お
つたの
であります。
新法
におきましては、
逓信大臣
が
實情
に合わして有
效期間
を延長することができるという
建前
にしております。 第三十九條、これは
内容
は
現行法令
に變りございません。但しその條文の末文に「
證書
一枚につき一圓を納付しなければならない。」として、
現行制度
では五十錢でありますが、それを一圓にしたにすぎないのであります。 第四十條は拂もどし金に關する権利の消滅、これは拂もどし
證書
の有
效期間
の
經過後
三年間拂もどし
證書
の再交付の請求がないときは、一定の手續を經て國庫の所有に歸せられてしまうということでございます。
林百郎
3
○林(百)
委員
議事進行
について—時間も大體十二時になりましたから、午前中はこの
程度
にして、午後第四章から御
説明
願いたいと思います。
委員
の諸君にはか
つて
いただきたいと思います。
重井鹿治
4
○
重井
委員長代理
ただいま林
委員
から、午前中はこの
程度
にして午後績行したいとの動議がございましたが、いかがでございますか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
重井鹿治
5
○
重井
委員長代理
それでは午前中はこの
程度
で、午後一時から再開することにいたします。一應休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ————◇————— 午後一時三十四分
開議
重井鹿治
6
○
重井
委員長代理
再開いたします。 午前の
會議
に引續き
政府
の
説明
を求めます。
村上政府委員
。
村上好
7
○
村上政府委員
午前に引續きまして、御
説明
をいたしたいと存じます。 次は第四章
特別郵便貯金
、第一節すえ
置郵便貯金
、第四十
一條
拂もどし及び
證券
交付
の
制限
、これは
現行法令
とその筋において大體
同一
であります。ただこの中に
新法
では、
逓信大臣
は
預金者
の申請があつた場合云々とあります。
現行法
においては、この
逓信大臣
の
代り
に逓信局長ということにしております。しかし
新法
におきましては、
逓信大臣
はこれを下級の
官廳
に委任するという委任
規定
をも
つて
、逓信局長以下に委任する豫定でございます。 第四十
二條
、すえ
置期間
、これも
内容
は
現行法令
と
同一
でございます。 第四十三條、
通常郵便貯金
の變更、これも
内容
は
現行法令
と
同一
でございます。 第四十四條、準用
規定
、これもその筋は
現行法令
と
同一
であります。 次は第二節、積立
郵便貯金
。第四十
五條
、拂もどし
制限
、これも
内容
は
現行法令
と
同一
であります。 第四十六條、すえ
置期間
、これも
現行法令
と
内容
は
同一
でございます。 第四十
七條
、
預入金額
、これは
内容
が多少
變つて
おります。それは「積立
郵便貯金
の一囘の
預入金額
は、二十圓以上五百圓以下とし」とございます。
現行制度
におきましては、二圓以上五十圓以下ということにな
つて
おります。
經濟事情
に鑑みまして、これを以上のように増額いたしたわけであります。「但し、十圓未満の端數を附けることができない。」これは
現行制度
におきましては、一圓未満の端數を附することを得ずということにな
つて
おります。以上の點が異
なつ
た點でございます。 第四十
八條
預入金
の合併
預入
、これは新しく設けた
規定
でございます。この
條文
は「
郵便局
長は、
預金者
の
請求
に因り、積立
郵便貯金
について、同時に二囘分以上の
預入金
を
預入
させることができる。」これは毎月集金に出向いて
預入
をさせる
制度
であるのでありまするが、
預入者
の都合によ
つて
豫納をするということが便宜である場合には、
預金者
の
請求
によ
つて
二囘分でも三囘分でも豫納させて、お互いの手數を省略させる途を開いたのであります。 第四十九條、集金
取扱
の
停止
、第五十條
預入
を取り扱わない地域、第五十
一條
準用
規定
、これらの
内容
は
現行法令
と
同一
でございます。 次に第三節
定額郵便貯金
。第五十
二條
の拂もどし
制限
、これも
内容
は
現行法令
と
同一
でございます。ただこの中に
逓信大臣
は
預金者
の申請があつた場合において云々とあります。
現行規則
ではこの
逓信大臣
が逓信局長とな
つて
おります。これも先刻御
説明
申し上げましたように、
逓信大臣
は下級
官廳
に委任することができるという
建前
をと
つて
おりますので、委任で逓信局長以下に委任する豫定でございます。 次に第五十三條、すえ
置期間
、これも
内容
は
現行法令
と
同一
でございます。但し第五十三條二項が新しく設けてあり、これはその償還に充てる原資がすえ
置期間
の
利子
をも
つて
充當する
建前
にな
つて
おりますので、こういう
規定
を設けているのでございます。現在
計算
畫しておりますものは一年をすえ
置期間
とする豫定でございます。 第五十四條の
預入金額
は
内容
が多少
變つて
おります。
現行規則
の五十圓、百圓、二百圓、三百圓、五百圓、千圓を百圓、二百圓、三百圓、五百圓、千圓、三千圓とするのでございます。つまり最低五十圓が百圓になり、最高千圓が三千圓というふうに増額をしております。 五十
五條
、五十六條は
現行規定
と
同一
でございます。 次に第四節の特別すえ置
貯金
は、第五十
七條
、第五十
八條
、第五十九條、いずれも
内容
は
現行規定
と
同一
でございます。 次に第六十條は
現行法
においては一圓及び二圓の二種とな
つて
おりますが、これを五圓、十圓、または二十圓とするということに増額いたしております。 第六十
一條
は、第二項において「特別すえ
置郵便貯金
の
預入金額
は、二十圓以上でなければならない。」という點が違
つて
おります。 次の第三項、これは新しく設けた
規定
であります。
郵便貯金切手
という特別な切手を
郵便局
から購入いたしまして、相當數の枚數をためて
郵便局
にも
つて
い
つて
預入
制度
でありますが、これは發行の月の翌月の初日から起算して五年を經過したときは、效力を失
つて
預入
することも償還を受けることもできないというのであります。 第六十
二條
、これはその筋においては
現行法令
と
同一
でございます。 次は第五節にはいりまして、第六十三條、六十四條、いずれも
現行法令
と
内容
は
同一
でございます。 次は第五章、第六十
五條
、これは現在の
取扱い
のものをそのまま
條文
に掲げたにすぎません。 第六十六條は
現行法令
と
内容
同一
でございます。 第六十
七條
、これは
現行
と多少
内容
を異にしております。現在は
規則
、命令でこの
料金
をきめているのでありますが、
新法
におきましては、この
料金
の基礎をやや
具體的
に
法律
に掲げたわけでございます。この
料金
の問題は、
貯金
事業全體の經費が今非常に困難な状態に陥りつつありますので、この
料金
等も増額いたしたいのでありまするが、
料金
については物價廳との關係もあ
つて
、さしむき
料金
はくぎづけにしてもらいたいという希望があり、かたがたあまり
料金
の値上げはいたしておりません。なおこの
料金
歳入というものは、全體の歳入のきわめてわずかな
部分
を占めておるにすぎませんで、これを多少いじりましても、全體の歳入にはほとんど影響がないという
實情
にあるのであります。しかし安過ぎるものは、
逓信省
の全面的な
料金
改訂という機會に、修正を加える豫定でございます。 第六十
八條
、
保管證券
の購入代金の拂出等、これも
内容
は
現行法令
と
同一
でございます。 第六十九條、無記名の
保管證券
の返付及び賣却、これも
内容
は
現行法令
と
同一
でございます。 第七十條、
貯金
の全部拂もどし又は
讓渡
の場合における
保管證券
、これも同様、
内容
は
現行法令
と
同一
であります。以上をもちまして本法の七十條の
説明
の概略を終りました。 次には附則であります。「この
法律
は、昭和二十二年十二月一日から、これを施行する。」これは午前中、
説明
の初めに
政府側
からお願いを申し上げました通り、
浮動資金
の吸收をなるべく一日も早くやりたいという希望をもちまして、ぜひ年末の十二月一日から實行にはいりたい、かように考えて十二月一日という日を希望しておるのでございます。「明治三十八年
法律
第二十三號、
郵便貯金
法は、これを廢止する。」これは
現行
貯金法
でございます。次に「舊法は、振替
計算
のためにする
預入金
については、この
法律
施行後でも、なおその效力を有する。」これは振替
郵便貯金
という
制度
がございます。これは現在の
法律
の
建前
では、
郵便法
の中に一
萬圓
の最高
制限
額の
例外
の場合に、振替
郵便貯金
にためにする
預入
は差支えない。
例外
を認めるという一項が現われておりまするだけで、
郵便法
の中には、振替
貯金
という
制度
がいかなるものであるかが出ておらないのであります。それで
新法
におきましては、振替
郵便貯金
というものは、現在におきましては非常な大きな組織に成長發達いたしましたので、これを切り離して別な
法律
體系をつくることにいたしました。振替
郵便貯金
法という
新法
をつく
つて
、後日
議會
に提案の見込みでございます。しかしその
法律
ができるまで、現實に活動していかなければなりませんので、その
制度
自體は、十二月一日と同時にそれの效力を失わせるわけにいきませんので、この振替
貯金
の關しては暫定的になおその效力を有することにいたしまして、振替
貯金法
成立をも
つて
舊法の適用を終るという
建前
にいたしました。 その次は「この
法律
に定のない
種類
の
郵便貯金
又はこの
法律
に定のない
取扱
をする
郵便貯金
でこの
法律
施行の際現に存するもの、この
法律
施行前に一定の
期間
拂もどしをしない條件を以て
預入
した
郵便貯金
、この
法律
施行前に發行した
郵便貯金切手
及びこの
法律
施行前に
保管
した第六十
五條
に
規定
する
證券
以外の
證券
でこの
法律
施行の際現に
保管
するものについては、この
法律
施行後でも、なお從前の例による。」
内容
は簡單でありますけれども、非常に表現が長くてわかりにくいのでありますが、もつと
具體的
に申しますと、
現行法
にはそういう
制度
があ
つて
、
新法
にはやめたものがあるのであります。たとえば共同
貯金
、あるいは規約
貯金
、海外
貯金
、あるいはこれは
制度
ではございませんで、金額でありますが、
新法
では積立
貯金
は二十圓以上とあり、
定額貯金
は百圓以上とあります。
現行法
におきましてはもつと額の小さいものもございます。これらのものを繼續させるためのもの、それから
郵便貯金切手
にいたしましても二圓などという
貯金
切手がございますが、その效力を
消滅
させるわけにまいりません。なお舊
制度
で
政府
が
保管
しておりまする勸業債券とか復興
貯蓄
債券、北海道拓殖債券というものがございます。先刻申し上げましたように、今度の
新法
におきましては、
保管證券
が國債と
貯蓄
債券と報國債券、この三
種類
にいたすのでありまするが、こういう舊
制度
によ
つて
保管
された債券、これらの
保管
效力をいかにするかということであります。以上申し上げましたこれらのものが存續する限り、舊法を襲用する、この
法律
施行後でもなお從前の例によるということにいたしておる次第であります。 それから第三項、「この
法律
施行前に
預入
した前項に
規定
する
郵便貯金
以外の
郵便貯金
でこの
法律
施行の際現に存するもの及びこの
法律
施行前に
保管
した第六十
五條
に
規定
する
證券
でこの
法律
施行の際現に
保管
するものについては、この
法律
を適用する。」つまり前項で、いろいろ
新法
にあてはまらないものを除外して舊法を適用するというひとにいたしましたが、
新法
にあてはまるものについては、
新法
を適用するということをここで示したにすぎません。 以上をも
つて
この新
法律
の
條文
を
説明
いたしましたが、
最後
に
現行法
にあ
つて
、
新法
においてまつたく削除したものはどういうものかと申しますと、
現行法
の第十
一條
であります。「
郵便貯金
ニ關シ無能力者ノ
郵便
官署ニ對シテ為シタル行為ハ能力者ノ為シタルモノト看做ス」という
條文
であります。これは新憲法においては、その
規定
の用語が一方的なはなはだ強いものでございますので、適當でないという
建前
から、
民法
の
法律
行為能力、これの除外例を徹底して、一般
民法
の
規定
に從うことにいたしたのであります。これは
銀行
におきましては、
從來
といえどもこういう法規はございます。
銀行
並にや
つて
いくということであります。從いまして
新法
が施行されますならば、無能力者が
郵便局
において預拂いをしたとき取消があつた場合には、取消すことができるということになるのであります。これをもちまして簡單ではございますが、新しくできます
郵便貯金法案
について御
説明
申し上げたわけであります。
白井佐吉
8
○白井
委員長代理
政府側
の
説明
が終りましたので、これより
質疑
にはいります。
質疑
はこれを許します。
多田勇
9
○多田
委員
附則についてお尋ねいたしたいのですが、附則の第一項によりますと、この
法律
は十二月一日からこれを施行するとな
つて
おります。現在
審議
中で十二月一日からはたして施行ができるかどうか。施行ができるとしても相當むりな期日ではないかと考えられるのであります。少くとも
法律
を施行するには、その
法律
の
内容
を一般
國民
によく徹底されるために、相當
期間
を置くべきが至當であろうと考えます。もちろん緊急やむを得ない
法律
につきましては別でございますが、單に
現行法
を中心にして改正をするという
程度
の
法律
におきましては、いま少し餘裕を置くのが適當ではないかと考えます。その點について参議院ですでに濟んでおることでありますが、いま一箇月ぐらい餘裕を置くのが適當ではなかろうかと考えますので、その點についてお伺いしておきます。 次に六十
五條
に
規定
する
證券
で、この
法律
施行の際現に
保管
しておる
證券
の
取扱い
でありますが、この
法律
が施行に
なつ
た暁におきましては、六十
五條
の
規定
されておる三つの
證券
以外の
證券
は、いつまでも
保管
することになりますか。これもある
程度
の
期間
を置くことが至當ではないかと思いますので、この點をお伺いいたします。
村上好
10
○
村上政府委員
お答えします。施行期日の點については、ただいまの御意見はまことにごもつともだと存じます。この期日があと約十日、これを施行日にすることは非常に無理があろうと思いますが、先刻も申し上げましたように、實は
割増金附
金額
郵便貯金
を實施いたしますためには、相當長期の準備が要ります。これは初めの豫定は十一月から實施させていただきたい豫定で進でいたのでありますが、その筋の
審議
の關係やいろいろな内部的
事情
等もありまして、
議會
提案が遲れまして、逐に今日にな
つて
おるわけでありますけれども、この施行の目標は、本年の年末はどうしても遊資を吸收したいという豫定でいろいろ準備いたしておるのであります。その準備というのは、たとえば印刷とか、事前に各逓信局以下
郵便局
に
制度
を周知させて準備をさせるのには、相當の
期間
がかかるような關係もありまして、それで大體十二月からやるということで準備を進めてまいつたような次第であります。
逓信省
としては、できるだけ豫定通りに
貯蓄
奬勵、遊資吸收の實行をさせていただけるようにという念願で無理とは知りながら十二月一日ということにいたしたのであります。
法案
が通過いたしますれば、
省令
その他は同時に出せる
建前
で準備をいたしておりますので、でき得べくんばそういうことにさせていただきたいと考えます。 次には
證券
の
保管
の點でありまするが、この古い
制度
で
保管
いたしております
證券
がいろいろあります。これは債券で、たいてい償還期限が皆きま
つて
おるのでございます。償還期限が來れば賣却して、本人に償還金は
交付
し、もしくは
貯金
に組み入られるので、
證券
の
保管
はそのときをも
つて
終了いたします。またその前に賣却の
請求
もしくは
交付
の
請求
がある場合には、それをも
つて
終了といたしますので、期限を切る必要はないと存じます。
多田勇
11
○多田
委員
よく了承いたしました。その次に
郵便切手
による
貯金
の
方法
が取上げられてないのでありますが、これは
貯金
を最も
簡易
に吸收する意味合におきまして、
郵便切手
による
貯金
の
制度
を認めていただくようにした方がいいのではないかと考えられるのであります。私どもが子供のころ
郵便切手
による
貯金
の
制度
が相當行われまして
學校
等におきましても、
郵便切手
による
貯金
をするという
一つ
の與味から、相當程
利用
されたように考えておるのであります。殊に
郵便局
まで相當遠隔な地がまだまだ相當ありますので、この
制度
をさらに繼續して、預金を吸收するというような
方法
を講することが、いいように考えられておるのでありますが、この
制度
を廢止した
理由
と、存續する意思がないかどうか、その
方法
がないかどうかについてお伺いしたいと思います。
村上好
12
○
村上政府委員
お答えいたします。
郵便切手
貯金
は、
貯蓄
を奬勵する面から見ますると、實效は上
つて
おらないのであります。また切手
貯金
は
預入者
の側から見ると、自分でも
つて
おる切手を忘失したり、毀損したりして、效力を失わしめるものが相當にあるような
實情
でありまして、この
制度
はそういう面から見ると、必ずしも存續させる必要があるかどうかは考えられないのであります。なおまた
貯金
事業全體から見まして、非常に經營が窮屈にな
つて
おるのであります。それででき得べくんばいろいろな經費のかかるもの經濟的に非常に困難になるものは極力これを避けて、同時に
種類
を少くして
簡易化
したい。それで事業を合理化したいという見地におきまして、なるべく
種類
を少くし、實效の上らないような
制度
は切り捨てることにいたしたのであります。切手
貯金
のごときものは實はその中の
一つ
であります。さよう御承知願います。
森直次
13
○森(直)
委員
十二月一日よりこれを施行せらるるという意味はよくわかりましたが、全逓の爭議とか、いろいろそういう行為が頻發しておる矢先に
郵便貯金
に關する一般の考え方、
政府
を批判するというような
國民
の態度が
郵便貯金
にも現われてきておるか。その點をちよつとお伺いいたします。
村上好
14
○
村上政府委員
貯金
の増額の趨勢は、必ずしも最近は好成續ではないのであります。毎月、これほどの大きな組織をも
つて
も、二億か三億くらいな
程度
にしか、
貯金
は増額いたしておりません。それで最近の趨勢もこの三箇月くらいの間、大體同じような趨勢をたど
つて
まい
つて
おります。
制度
は同じ
制度
でずつと繼續しております。ただいまの御質問のような全逓爭議が、
貯金
に對して影響しておるかどうかという點は、結果から見ますと、さほど影響されておらないのではないかと考えられます。實は私どもは役所の中にばかりお
つて
、切實な現地の聲を聞く機會が少いのであります。むしろ皆さん方の御意見を拜聽したらよろしいかとも存ずるのであります。なお
割増金附
の
定額郵便貯金
、これを實施いたしますのについて、役所側として各逓信局並びに
郵便局
の擔任者と直接接觸させまして、この實效について、實續が上るかどうかについて前から、また最近まで、いろいろ連絡をと
つて
おるのでありまするが、その結果を總合いたしますると、現業局の從業員の言は、相當とれるであろうということを申しておりますので、この點多少希望をも
つて
おる次第でございます。
多田勇
15
○多田
委員
郵便貯金切手
の販賣は、これは
郵便局
だれに販賣させるのでありますか。それとも
郵便法
による賣さばき所にも販賣させることになるのでありますか。この點についてちよつとお伺いいたします。
村上好
16
○
村上政府委員
郵便局
だれということにいたすつもりであります。 —————————————
白井佐吉
17
○白井
委員長代理
前會におきまして
郵便法案
に對する
質疑
中、林
委員
、天野
委員
及び片島
委員
の
質疑
に對する
政府側
の答辯が留保されておりますので、この際
政府
委員
よりそれを聽取いたいたいと思います。
浦島喜久衞
18
○浦島
政府
委員
昨日天野
委員
、林
委員
より御質問がありました從業員の待遇に關する二項目と、
郵便法
の七十九條と
團體
交渉權との關係の三項目につきまして、お答えをいたしたいと思います。まず天野
委員
の御質問は、大都市の三中央
郵便局
のような大きな局の從業員には特別の待遇をしておるかどうか、それを
具體的
な數字について
説明
されたいという御質問でございますが、從業員の待遇は全國的に同じようにきめられてお
つて
、特別にかような大局の從業員に變つた處置をとられてはおらないのであります。しかし大局は多く大都市にありますので、現在大都市の在勤者につきましては、勤務地手當として三割の手當が支給されております。これは地方の小局の從業員よりも率が高いわけですので、それだけ收入が多いということは言い得るものと思います。また大局においては、作業の
内容
が非常に高度の技能を要しますし、またその技能を必要とする面が非常に多いので、特殊技能手當、これは月百圓内外がありますが、この手當を受める者が非常に多いということは言い得るものと考えられるのであります。第三として、深夜勤務の現在休憩時間三時間未滿の者には、夜勤手當を倍額一時間當り二圓二十錢を支給しておりますが、かような大局におきましては、深夜勤務者が非常に多いのであります。この夜勤手當からいたしましても、地方の小局の從業員よりも、かような手當をもらい得ることが多いのでありまして、この點からも收入の點おいて響くのではないかと考え得るわけであります。 なお天野
委員
の第二の御質問の、逓信事業は公益事業であるから、この圓滿な運行をするために、逓信從業員の待遇について特殊の考慮を拂う必要がある、これについての所見はいかんという御質問でございますが、御質問の通り逓信從業員は身分のいかんを問わず、それぞれ獨立して責任ある作業に從事しておりますとともに、また特殊の技能を要し、また高度の能率を要請される必要がありますので、これに郎應した給與體系を樹立していきたいと考えておるのであります。ただ現在の給與體系におきましては、
政府
職員全般の給與體系のわくの中に入
つて
おりますので、一般の
政府
職員の待遇と特別に變つた
制度
はないのでありますが、將來給與體系が改善せられます場合には、ぜひともただいま申し上げたような觀點から、逓信事業に毀應したところの給與體系を樹立したいという考えで、目下腹案を考究中であるのであります。 林
委員
の御質問の點につきましては、爭議行為が正當なる場合には、勞働組合法によ
つて
違法性が阻却されますので、
郵便法
七十九條の罪には該當しないわけでありますが、不當なる爭議行為の場合には、當然この
條文
に抵觸することになると思います。しかし正當なりや不當なりやの判斷につきましては、終局は勞働
委員會
または裁判所において
決定
せられる問題であると思うのでありますけれども、不當なる爭議行為であるとだれが見ても明らかなる場合には、當然
政府
をして場合によりましては個々の
具體的
な事態を愼重考慮しまして、獨自の見解をとる場合があると考えるわけであります。この見解が不分明な場合には、愼重を期しますために、勞働
委員會
の意見を聽きまして
方針
を
決定
していく考えであります。
天野久
19
○天野
委員
ただいま
政府
當所の答辯を承りました。大體了承いたしましたが、第一の問題に對して、特殊な技能手當及び夜勤手當を出されておるということであります。これについてはなおよく愼重に檢討されて、爭議等の勃發の因をなさないようにお取計らいを願いたいと存じます。また逓信事業の重要性に鑑みられ、今後における待遇に對する考慮についても大體承りましたが、なお一段の考慮を願いたいと存じます。昨日も申し上げましたが、大體爭議の原因は待遇いかんによるものでありまして、逓信從事員といたしましてそこに從事いたすということは、やはり自己の生活を擁護せんがために、つまり生活の資源を得んがためにやることである。こういう觀點から見ますならば、今の時代は非常に重要な時局に直面いたしております。物價等の變動はどこで
停止
するかはかり知れないのでありまして、ひとり技能者のみに對して逓信事業の確立に即應して
立法
するということでなく、一般の從業員にとりましてもやはり生活の問題はひしひしとして身に迫
つて
まいるのであります。他の事業とは違
つて
、逓信事業は一日もゆるがせにできないと考えます。從
つて
、これは全般に對して物價の趨勢その他に即應ができるよう、いつも考慮を拂
つて
おかないと、その事態に即應することができないと存じますので、これ等に關して一段の考慮を拂
つて
、逓信從業員に先般來起りました山猫爭議のごときものが起らないように、ひ
とつ
前々と手を打
つて
りつぱな運營をなし得るようにお願いいたしておきます。
林百郎
20
○林(百)
委員
私のこの前の質問にお答えをいただいたのですが、先ほど七十九條の違法性がある場合、いわゆる七十九條の適用のある違法性のある爭議かどうかという問題の終局的な
決定
は、裁判所あるいは勞働
委員會
がする。しかし官側としても、場合によ
つて
は獨自の考慮から愼重に考慮した結果、正當性のない爭議に對しては、七十九條の發動を促す場合があるというお答えであつた。七十九條は非常に愼重に考慮して、萬やむを得ないときに發動する場合もある、その場合は勞働
委員會
の意見等も参酌して非常に愼重にやられるということでありますが、われわれの心配することは、七十九條を濫用して、何か爭議行為があれば、七十九條の發動を求めて告訴、告發するということでありまして、七十九條の濫用をしないようにということを一應申し上げて、官側の答辯を了承いたしたいと思います。 〔白井
委員長代理
退席、天野
委員長代理
著席〕 —————————————
天野久
21
○天野
委員長代理
片島
委員
の質問に對する答辯は、大野總務局長がここに來られて答辯をいたす豫定にな
つて
おるそうであります。しかし大野總務局長は、ただいま豫算總會におりまして、早速ここへ見えられるそうでありますが、それまでその答辯を留保いたしまして、
郵便貯金法案
の
條文
に對する
質疑
を續けたいと思います。
長谷川政友
22
○長谷川(政)
委員
戰災
等による燒失
貯金原簿
の復舊状況について、ここに復舊數、あるいは割合、あるいはその罹災數というものはあるのですが、これに對するところの詳細なる金額の面をひ
とつ
御
説明
願いたい。
村上好
23
○
村上政府委員
戰災
によります
貯金
業務
關係の各種の被害でありますが、
戰災
をこうむりましたものは
貯金
事業の
内容
から申しますと、原簿の燒失がその主要
部分
を占めておるのであります。つまり
郵便貯金
の原簿、それから
保管證券
の原簿、振替
貯金
の口座の原簿等がこの事業の骨幹をなすものでありますが、これが
戰災
をこうむ
つたの
であります。そのパーセンテージはこの統計表に示してある通りであります。それらの原簿の金額がいくらになるかという御質問も含まれておると思いますが、
現金
を燒いたのではないのでありまして、原簿が燒けてしま
つたの
で、
現金
には關係のない問題であります。またその數字は實は調査をいたしておらないのであります。非常に困難な
業務
でございまして、その原簿を復舊する資料は相當あるのでございます。燒ける直前までの證據書類は別にちやんと
保管
されてあ
つて
、それがなければ本人の所持しておる
通帳
の
提出
を願いまして、その
通帳
面によ
つて
これを基礎として原簿を作成するということができるのであります。かような次第で、實は燒けた原簿の金額は調査されていないと存じます。もし調査されておりますれば次會に申し上げます。
長谷川政友
24
○長谷川(政)
委員
ただいまの御
説明
を伺うと、金額を調査することは非常に困難である、まことにその點は了承するのでありますけれども、しからば現在本省といたしまして、その燒失した
郵便貯金
に對してどういう調査
方法
をおとりにな
つて
おりますか。
村上好
25
○
村上政府委員
まず第一に著手しました
方法
は、
預入者
の申告による權利の
確認
でございます。各
預入者
から
通帳
の
提出
を願
つて
、その
通帳
に基いて原簿を作成するという
方法
をとると同時に、その
通帳
面が適正であれば、その金額を
確認
するという
方法
をと
つたの
であります。その次はこちらから積極的に
通帳
の
提出
を願う
方法
をと
つたの
であります。これは燒失いたしました
貯金通帳
の固有の記號が各支局にございます。この記號を、全部何縣
預入
の何記號と記號を示しまして、その記號に該當する
貯金通帳
の
提出
を願
つたの
であります。これが二月から六月まで
期間
を定めて、特定の表示の
貯金通帳
を
郵便局
に
提出
して、それを
貯金
局に送
つて
、
貯金
局でその
通帳
に基いて原簿を作成するという
方法
をと
つたの
であります。その場合に不正なものを發見したときにはこれを別途處理しますが、これは大體において異例であります。その
通帳
を基礎として原簿を作成する
方法
をと
つて
今日に至
つて
おります。 なお附け加えて申しますが、
逓信省
といたしましては、
戰災
の危險を感じまして、毎年年度末現在におきまして、各個人の
貯金通帳
の現在高と番號、
預入者
氏名、これらのものを局に送
つて
原簿から寫し取
つて
、別表にしましてそれを別途
保管
する
方法
をとりました。その年度末以後の
預入
拂戻しの證據書類もまた別途
保管
して、前の一表の連續として出し入れが途切れることがないようにいたしまして、
通帳
を
保管
する
方法
をとりました。それが戰爭のために非常に
事務
が混亂いたしましたので、十九年度末までのものしかできていなか
つたの
であります。その表を作成した十九年度末までのものは、たとえ
預入
の證據書類が燒けても、その證據書類が殘
つて
おりますので、その證據書類によ
つて
引上げられた
通帳
と對照するという
方法
も同時にと
つて
監査の手段としております。現在までとりました大筋の
方法
はそういう
方法
でありまして、復舊しつつある割合がここにあげてある數字でございます。
貯金原簿
につきましては現在までに罹災數の四五%、
證券
原簿または
證券
當籖調査票、これにつきましては九〇%、振替
貯金
口座におきましては四三%という復舊を見たのであります。
貯金原簿
はこの年度末までに七〇%の復舊をする豫定で進行しております。現在の處理能力では七〇%は可能であると見られるのでありますが、七〇%やりますと、あとの三〇%は大體において睡眠
貯金
で出し入れのきわめて少いものであろうという見方、從
つて
預入者
にはあまり
實害
がないものである。それで逐次睡眠
貯金
が
提出
されて原簿が來年度以降一新されるという見方をしておるのであります。われわれの豫定は七〇%という目標でい
つて
おりますが、現在までのところ、一律に
通帳
の
提出
を願
つたの
は六月までで、それ以後のものは逐次別途の
方法
で
提出
を願
つて
おります。しかしその後は
提出
の率が下
つて
おるのであります。處理能力はできたのでありますが、年度末までに七〇%の復舊までにはいかないのではないかという感がするのであります。つまり
預入者
側において實際にそれほど不便を感じなく
なつ
たというふうにも一面見られるのであります。 それから
證券
原簿につきましては九〇%復舊いたしております。これは年度内には一〇〇%まで完成する見込みでございます。それから振替
貯金
口座復舊の
方法
は、これは權利
確認
の申告をいたさせまして、その
方法
によ
つて
口座を復舊する
方法
でや
つて
おります。この
方法
をとれば、大體において
預入者
の日常の不便は解消するのではないかという見越しのもとにそういう他の
方法
で復舊のできるものはその
方法
をと
つて
おりますが、骨子としてそういう
方法
をと
つて
おります。
長谷川政友
26
○長谷川(政)
委員
ただいまの御
説明
で、七〇%は復舊可能である、三〇%は睡眠
貯金
として處理されるという御
説明
でありますけれども、七〇%を限度とされた
理由
はどこにあるか。また
貯金
の打切り
期間
を本年ぐらいで打切るとか、あるいは來年度はこうするとか、そういう期限をつけられるかどうかお答え願いたいと思います。
村上好
27
○
村上政府委員
七〇%の標準を一應立てましたことは、睡眠
貯金
は
從來
の統計に徴して四〇%くらいあるのでございます。それでもう少し安全性を見て三〇%くらいに押えて、七〇%という目標を立てた次第であります。また
貯金
の打切につきましては、傾聽すべき御衣見と存じますが、
從來
貯金
は
法律
で十年間睡眠していた場合には、
預入者
に向
つて
催告を發し、その後二箇月間何らの意思表示がないときには、
國庫
に歸属するという
建前
をと
つて
おります。少くとも
現行法
の十年間というようなものは、
預入者
の權利を保存しておく必要がある。かように考えられるのであります。從
つて
それ以内に特殊な
方法
をとることは、目下のところ考慮しておらないのであります。 —————————————
天野久
28
○天野
委員長代理
それではこの際
政府
委員
が見えましたので、前會において留保いたしておきました片島
委員
の質問に對する答辯を聽取いたします。
大野勝三
29
○大野(勝三)
政府
委員
片島
委員
から、通信特別會計の自主性についての
政府
の所見はどうであるかという御質問があ
つたの
でございます。御承知の通り通信特別會計のその豫算決算は、總豫算と本決算の一部をなしておりますので、その面から申しますならば、完全に獨立しておるわけではございませんが、しかし事業の實態を申しますならば、もちろん
營利
を
目的
とするものではございませんけれども、これは
一つ
の企業でありまして、その面から見ますれば、消費經濟を主といたします一般會計とは趣を異にするところがなくてはならないわけでございます。たとえば資本の増減、收支の
計算
のごときも、この通信事業一本についての
内容
を明らかにし、その成果を記録してい
つて
、企業的にそれがはたして合理的に運營されておるかどうかという點を明確にいたすような仕組が必要にな
つて
まいるのであります。こういう
趣旨
から御承知のごとく通信特別會計が設けられてあるわけでございます。そういうわけでございますから、通信事業の運營に關する限り、損益ともにこの通信特別會計に歸屬いたしておるのでありまして、運營の實態は民間一般企業の場合と多く異なるところがないようにな
つて
おりまして、成立いたしました豫算の運用等につきましても、一般會計の場合とは異なり、かなり彈力性と申しますか、機動的にこれを使用できるようなくふうが加えられておるのであります。一例を申し上げますれば、たとえば豫備費の使用につきましても、
逓信大臣
がこれを獨自に
決定
せられまして、事後において
大藏當局
及び會計檢査院に報告をするというような
建前
がとられております。こういう面から見ますと、通信特別會計はその運營におきましては、相當の自主性と申しますか、獨立したところをも
つて
おるわけでありまして、いわゆる獨立採算といつた問題も、この事業自體に即してその收支を明確にするという意味合いにおきましては、すでにそれが
建前
として行われておるということが申し得るかと考えるのであります。御質問の
趣旨
はまだ十分了解しておらないうらみがございますので、こう申し上げただけではあるいは御滿足がいかないかと思いますが、大體の所見を以上の通り申し上げまして、お答えにかえる次第であります。
林百郎
30
○林(百)
委員
今の大野
政府
委員
の御答辯に關連して私からお尋ねしたいことは、われわれ素人の者には、この逓信事業から上る收益と、大藏省の特別預金との關係が實ははつきりしません。獨立採算、あるいは獨立會計というならば、きよう
法案
として上程されておる、たとえば
郵便貯金
にしろ、
簡易
保險にしろ、こういうものの預金も全部
逓信省
が獨自の見解でも
つて
これを使用することができ、それを堅實な事業に投資して利潤をあげるということも許されそうなものだと思うが、それは許されておらない。たとえば
郵便貯金
で上
つて
くる預金、あるいは
簡易
保險で上
つて
くる預金、こういうものは大藏省の特別會計の方に行くらしい。それから大藏省の方から
逓信省
の方へ
事務
取扱
費が來ているようでありますが、この
事務
取扱
費というものの御
説明
をもしできたらしていただきたいと思います。本年度は追加と本豫算を合わせて一七億二千八百
萬圓
らしいのですが、今年度の追加竝びに本豫算を會計して
事務
取扱
費の正確な額はどれくらいであるか。それから一體
事務
取扱
費というものは、逓信事業の人件費に該當するものではないかと思われます。人件費に該當するものとすれば、これは本豫算の中のごくわずかのものであ
つて
、人件費を削減することによ
つて
、この逓信事業の赤字を埋めるとか、あるいは健全財政にするということは問題にならない。そういう意味で、
事務
取扱
費の額と
内容
がもしわかつたら御答辯願いたい。 それからもう
一つ
、今度は小笠原
政府
委員
にお聽きしたいのです。七十九條の問題については先ほどちよつと他の
政府
委員
からお聽きしたのですが、この
郵便
の
事務
に從事している者が
郵便
の
取扱い
をしない場合には懲役と罰金に處せられる、こういうようなことは、これは他の
官廳
にはないと思います。懲戒處分とか行政的な處理は受けるにしても、
郵便
事業に從事している者だけがことさらに、それの
取扱い
をしなかつた場合、あるいは遅延させただけで懲役と罰金に處せられるというようなことが、他の官公從業員に例があるかどうか。ずつと前の
郵便法
にもこれがあるのですが、これは一體どういう歴史的な經過から、こういうこと、が便便法の方にはい
つて
いるかということも、もしおわかりだつたら御
説明
願いたいと思います。次會でも結構ですが、この二つだけお尋ねいたします。
大野勝三
31
○大野(勝三)
政府
委員
最初にお尋ねになりました保險、年金等の積立金の問題、あるいは預金部の預り金の運用といつた問題が、それぞれ大藏省の方に
行つて
お
つて
、通信特別會計の方で現在自由にな
つて
いないのではないかという點は、實はこういう
事情
によるものであります。通信特別會計は、本來通信そのものの事業運營を獨立採算の基礎において營むというために設けられたものでありまして、保險あるいは年金の仕事、あるいは
郵便貯金
の仕事、これはそれぞれ預金部特別會計、あるいは保險特別會計、年金特別會計というふうに別個の特別會計にな
つて
おりますが、ただその保險なり年金なり、あるいは
貯金
の實際の
取扱い
の
事務
は、これは通信事業の中の人なり施設なりをも
つて
、いわば實質的には委託を受けてこれをやるというような形にな
つて
いるのでございます。從
つて
逓信省
の所管いたしております仕事は、
郵便
、電信、電話、
貯金
、保險、年金というふうにいろいろございますけれども、會計的に見ます場合には、それは一般會計としては通信特別會計と、それから預金部の特別會計の仕事と、保險、年金の特別會計の仕事、こういうふうに特別會計だけでも大體四本建にな
つて
いるわけでございます。そういうわけでありますから、通信會計でいたしますものは、保險、年金及び
郵便貯金
につきましては、
取扱い
の實務をや
つて
おるということでありまして、會計自體としては別のものがあるわけでございます。そういうようなわけでありますから、今第二に御質問になりましたような
取扱
費の繰入れという問題が起
つて
くるわけでありまして、實質的には保險の實務街關、あるいは年金の實務機關、
貯金
の實務機關というものは、すべて通信會計所屬の
郵便局
なり、そこの
郵便局
の人がこれをや
つて
おるのでございますから、その經費はそれぞれの會計の方で負擔してもらうことになるわけであります。その經費は大體はお話のございました通り、大
部分
が人件費でございます。ごく一
部分
建設費的なものもございますけれども、大
部分
は人件費と申し上げてよろしいかと思うのであります。通信會計の
内容
におきましては、大體通信會計自體で本來支辯せらるべき人と、それからそういつた他の會計によ
つて
支辯されるべき人とは大體わけられております。そういうわけられておる人の經費を、それぞれ他の會計からの操入金で賄うことにしておるのでありまして、その額はただいま正確な數字はちよつと今日も
つて
まいりませんでしたが、本豫算、追加豫算を合わせまして數十億に上
つて
おるのであります。全體としまして運營の面だけを見ますと、人件費はほとんど全經費の七〇%
程度
を、最近においては占めるようにな
つて
おるのでありまして、この比重は相當なものとな
つて
おりますことを附け加えておきます。
林百郎
32
○林(百)
委員
われわれこれから研究していく素人ですから、いろいろ
説明
をお願いしたいと思うのですが、今言つた同じ逓信事業と言いましても、通信の方は通信特別會計があ
つて
、あと
貯金
、保險、年金は特別會計にな
つて
おる。そうすると、
貯金
、保險、
郵便
年金は大藏省の委託關係になるのであるかどうか、これはあとで
説明
願いたいと思います。委託して、
事務
だけは
逓信省
でや
つて
おる、實際上
つて
くる金は大藏省の特別預金なら特別預金に操入れてしまう。そういう
事務
取扱い
だけをや
つて
おるという御
説明
だつたが、これも御
説明
願いたいと思います。 それから
事務
取扱
費が數十億と言いますが、私の方では十七億ばかりだつたと思つたが、どうですか。それがほとんど人件費であ
つて
、しかもそれが七〇%と言いますが、その七〇%は
事務
取扱
費の七〇%が人件費として使われておるのかどうかを御
説明
願いたいと思います。
大野勝三
33
○大野(勝三)
政府
委員
私の
説明
が不十分でありましたが、保險特別會計と年金特別會計は
逓信省
所管の
事務
であります。しかし會計的には通信特別會計と別個の世帶にな
つて
おるわけであります。そこで現實に
郵便貯金
の運營費、
郵便局
の人の經費は、すべて通信特別會計で現在も
つて
おるわけでございます。その通信特別會計所屬の施設や人を使
つて
保險、年金、
郵便貯金
等の仕事をするわけでございますから、勘定としましては、獨立した別の勘定から、こちらの勘定に經費の操入れをいたしておるのでございます。それから十七億とおつしやいました數字は、大體本豫算はその見當でなかつたかと思いますが、それに追加豫算でまた相當追加されますので、
總額
といたしましては、ちよつとはつきり覺えておりませんが、數十億に上ると考えております。
林百郎
34
○林(百)
委員
それからその七割が人件費でありますか。
大野勝三
35
○大野(勝三)
政府
委員
大體そういうことでございます。
林百郎
36
○林(百)
委員
そうすると、今の
貯金
と保險と年金は、所管は
逓信大臣
だが、會計的には獨立した會計でや
つて
おるというのですか。そうすると年金なり保險なり
貯金
なりで預金された預金の運營は、この會計が獨自で運營できるのか。この方は全部大藏省へい
つて
、運營は大藏省へ任してしま
つて
、
事務
取扱
費だけが豫算によ
つて
この會計の方へ操りもどされてくるのかどうか、そこを御
説明
願いたいと思います。
大野勝三
37
○大野(勝三)
政府
委員
私からお答え申し上げますのは、あるいは適當でないかとも存じますが、保險と年金の運用の問題につきましては、事業自體が
逓信大臣
の所管でありましたので、從前はすべて
逓信省
において
行つて
お
つたの
でございます。戰爭中に契約者貸付という運用の形がございましたが、それを除いては、すべて
國家
資金の一元的運用という
建前
から、大藏省の方に一元化されてまい
つて
おるのでございます。この問題について、さらに保險、年金事業を運營する上において、その運用と事業の運營とは不可分の關係があるので、さらにもう一遍從前のような形態な引直す必要があるのではないかということで、
大藏當局
といろいろ交渉が進められておりますことはあるいはすでに御承知のことかと思いますが、まだ結論は出ておりません。そういう經緯にな
つて
おります。 それから
貯金
の方は、これはどういう
理由
か詳しく存じませんが、創始以來、預金部の方で、相當有力な
國家
資金として、一元的に
大藏當局
の方の運用とな
つて
おります。預金部特別會計も大藏省の所管にな
つて
おります。
小笠原光壽
38
○小笠原
政府
委員
ただいま林
委員
の御質問になりました
郵便法
第七十九條に關する點についてお答え申し上げたいと存じます。第七十九條の
規定
は、先ほどお話の通り
現行
郵便法
の五十三條とまつたく同様の
趣旨
で制定いたしたのであります。
現行
郵便法
五十三條の制定の際の經緯等につきましては、實は私寡聞で存じませんので、お答えすることはちよつと困難でございますが、公務員がその職務に關しまして處罰される場合は、
郵便法
以外の場合の例といたしましては、たとえば刑法の第二十五章に、第百九十三條以下數箇條にわたりまして、公務員がその
職權
を亂用して、人をして義務なきことを行わしめ、または行うべき權利を妨害した場合とか、あるいは裁判、檢察、警察の職務を行う者に關する罰則でございまするとか、もちろん他の公務員に關しましても、その
職權
の亂用等に關しまして處罰
規定
があるわけでございまして、
郵便
の
取扱い
をしない、または遅延さしたというような、その職務を故意に執行しない場合の罰則というか、公務員を處罰する
規定
は、必ずしも
郵便
從事員のみに限定されているのでないことは、私が御
説明
申し上げるまでもなく、すでに御承知のことと思うのであります。特に
郵便
の
業務
につきましては、事業の
性質
上、この事業を圓滑に運行いたしますことが、
國家
として絶對に必要なことであるわけでございまして、これを確保するためには、その從業員がその職務を忠實に守
つて
、
郵便
の
取扱い
をするという點にあると思うのであります。從いまして、この職責に對して、ことさらにその職責を遂行しない、
郵便
の
取扱い
をしない、あるいは
取扱い
を怠るというような場合の罰則を設けることは、この事業の本質から考えまして、必要やむを得ない措置であると考えるのであります。
林百郎
39
○林(百)
委員
今の小笠原
政府
委員
の御
説明
ですが、
職權
を亂用して、人をして義務なきことを行わしめる、あるいは警察官や裁判官がいろいろ威迫を加えて、人民に對し義務なきことを行わしめる、あるいは官公吏が不淨な金を受取つた、そういう場合の處罰
規定
というものは私も知
つて
おるのですが、ただ仕事を少し遅らした、あるいは仕事をしなかつたという不作為的なことで、懲役、罰金に處せられるというのは、どうも刑法の方にも實はないと思うのです。結局これは逓信從業員に對して懲役、罰金で威かして仕事をさせるという封建的な思想がここに殘
つて
おるのではないかという氣がするわけです。これは私の方でも十分研究するつもりです。今の刑法についての小笠原
政府
委員
の御
説明
と
實情
とは少し食い違いがあるような氣がします。できれば
現行法
第五十三條の制定の由來を次會に御
説明
を願えたら幸だと思います。
小笠原光壽
40
○小笠原
政府
委員
現行法
の第五十三條の制定の
理由
につきましては、資料がありますれば、次會にお答え申し上げたいと思います。 —————————————
天野久
41
○天野
委員長代理
それでは片島
委員
の質問に對する
政府
の答辯が終りましたので、これから
郵便貯金
法の
質疑
にはいります。
中野寅吉
42
○中野(寅)
委員
政府
はこの
法律
の施行をたいへん急いでおるようですから、なるべく
政府
の意をくんでやつたらどうかと思います。こんな短
期間
でできるかという質問もあつたけれども、
政府
から相當年末に吸収し得る確信もあるというお答えもあ
つたの
で、
政府
がや
つて
みるというならば、こつちがぐずぐずしてお
つて
はそ 氣を抜いてしまうから、この間のようにサボらないように、や
つて
みるならそれではや
つて
みろと、こつちの方も
法案
を早く仕上げてやるからという態度で、もちつもたれつで、ひ
とつ
や
つて
いただきたいと思います。
天野久
43
○天野
委員長代理
ただいま中野君のお言葉もありましたけれども、もう少し
質疑
を續行いたしたいと思いますが、いかがでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
天野久
44
○天野
委員長代理
それではもう少し續行いたします。
林百郎
45
○林(百)
委員
この
法案
に關係して二つのことをお聽きいたしたいと思います。
郵便貯金
の限度額を大體三倍ほど上げたようでありますが、これに對して民間の金融業者、
貯蓄
業者の方から、官の事業を擴張することによ
つて
いろいろの壓力が加わる、あるいは事業上の支障が起るというような意見があつたかどうか。あつたとしたらそれに對しる官側ではどういう態度で臨まれるかという點が
一つ
。 それから
郵便貯金
の送金
方法
であります。ただいま
銀行
あたりでは、取引
銀行
と取引
銀行
の間に簡單に為替で送金が行われておるが、一々拂い出してまた為替に組んで送り出すということでなく、將來は
貯金通帳
をも
つて
いくことによ
つて
、相手方に簡便に送金のできるような
方法
を考慮いたしたらどうかと思います。この點この
法案
の中で考慮されておるかどうか。この二點をお伺いいたしたいと思います。
村上好
46
○
村上政府委員
ただいまの御質問に對してお答えいたします。最高限度三
萬圓
に引上げる點について民間
銀行
の
業務
に對して影響を與えはせぬか。また
銀行
側の意見はどうであるかという御質問でありますが、この三
萬圓
は、現在の經濟情勢におきましては、この
程度
の額は民間
銀行
に影響を與えることはきわめて少いという見透しであります。われわれはむしろ諸多の
事情
が許せば、これは五
萬圓
もしくはそれ以上に引上げたか
つたの
であります。しかしながら、
事務
的にまたこれは同時に政治的な意味があるであろうと思いますが、問題になりましたのは、
郵便貯金
から生ずる
利子
に對する
所得税
の課税ということが一番問題にな
つたの
であります。現在の大藏省の課税の
方針
は、
銀行
預金についてはその
利子
に對して
所得税
をみんな課しておりますが、
郵便貯金
は
所得税
を課さない
建前
をと
つて
おります。これはあまり引上げますと、税の基本
方針
を多分に修正しなければならない點、なお現在大藏省としては、主税局では三
萬圓
を限度として、公共的の
性質
をもつた機關の
貯金
の
利子
に對しては
所得税
を課さない
方針
をと
つて
お
つて
、これと同
種類
の
貯蓄組合法
にも、三
萬圓
までの
貯金
の
利子
に對しては免税という標準をと
つて
おりますので、これを引上げることは大藏省當局では税制の上から困難の
事情
にあるのであります。かようにして
逓信省
としては三
萬圓
以上にな
つて
もよろしい、それでは三
萬圓
以上は
利子
に税をおとりなさいということにしますと、
事務
が非常に複雑になります。各個人から直接とらなければならぬので、これは不可能であります。また三
萬圓
以内と三
萬圓
以上を、
預金者
一億五千口座に對して一々
計算
を
貯金
局でやりますと、厖大な手數になる。それではとうてい煩にたえない。從いまして全部とるか、全部免税にするか、どちらかにしていただかなければ困るわけであります。ただいまのところは
免税點
の限界三
萬圓
で一應きめようということにいたした次第であります。 次に送金の場合に、
郵便貯金通帳
をも
つて
い
つて
ただちに為替にして送る
方法
を
とつ
たらよいではないかという御意見でございますが、
逓信省
の
制度
では、別にそういう新しい
制度
をつくらなくても、現在あります振替
貯金
制度
を
利用
すれば、それで
目的
が達すると考えるのであります。これは金を
逓信省
に
貯金
しまして、自分で使いたい場合は自分で拂い出して金を受取り得るし、また送金したい場合には、ただちにその
貯金
の中から拂出しの申込みをすればその
目的
を達せられる
制度
がございますので、この
制度
を置き、なおかつ
貯金通帳
をも
つて
送金できるような
制度
は、見方によ
つて
は多少二重の様式になるような面も出てくるかと思います。從いまして
新法
制定にあたりましては、その點まで考慮していない次第であります。
天野久
47
○天野
委員長代理
それでは本日はこれで散會いたします。次會は公報をも
つて
御通知いたします。 午後三時二十九分散會