運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1947-11-21 第1回国会 衆議院 通信委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十一月二十一日(金曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長代理 理事 重井 鹿治君    理事 天野  久君 理事 白井 佐吉君       海野 三朗君    大石ヨシエ君       梶川 靜雄君    片島  港君       成田 知巳君    野上 健次君       矢尾喜三郎君    小島 徹三君       千賀 康治君    長谷川政友君       多田  勇君    中野 寅吉君       宮幡  靖君    森  直次君       河口 陽一君    林  百郎君  出席政府委員         逓信事務官   大野 勝三君         逓信事務官   浦島喜久衞君         逓信事務官   小笠原光壽君         逓信事務官   村上  好君  委員外出席者         專門調査員   吉田 弘苗君     ————————————— 本日の會議に付した事件  郵便法案内閣提出)(第八二號)  郵便貯金法案内閣送付)(豫第一七號)     —————————————
  2. 重井鹿治

    重井委員長代理 會議を開きます。 これより郵便貯金法案を議題として質疑に入りますが、質疑に入るに先だちまして、本案の概略の説明政府より聽取いたしたいと思います。では政府説明を求めます。
  3. 村上好

    村上政府委員 郵便貯金法案の御説明をいたしたいと存じます。説明いたしまする前に、政府側の希望を一言申し述べさしていただきたいと存ずるのでございます。と申しますのは、逓信省郵便貯金は、このインフレの防遏に非常に重い責任を負擔しておるのであります。特にこの年末の浮動資金をねらつて、できるだけ多くの遊資を吸收する方針を立てて、今年度の初頭から計畫してまいつておるのでありますが、それを實行するためには、どうしてもこの貯金法を通過をしていただかなければ、スタートが切れないという實情にありますので、私どもといたしましては、できるだけ十二月一日からスタートを切らしていただいて、ただいま申し上げた目的の實現に向つて邁進いたしたいと考えておる次第であります。臨時議會終期に近づいて、非常に押し迫つて急いで御審議を願うことははなはだ恐縮と存じますが、實はいろいろな事情に制約されまして今日に延びてしまつた。かような事情ですから、どうぞよろしく御審議を願いたいと存じます。つきましてはこの説明内容にはいりたいと存じます。  この貯金法案は從來の貯金法に對して全文改正をいたしております。但しその内容は、あまり從前のものと變つてはおらないのであります。從いまして説明の便宜上、現行法令とその内容が同一のものは説明を省略いたしたいと存じます。また郵便法が先般提案されて、説明終つたのでありますが、これと共通な部分は、同じく説明を省略いたしたいと存じます。この郵便貯金法案は五章七十條の法案でございます。これについて逐條的に御説明を申し上げます。  第一章總則でございます。これは郵便法と同じ形體をとつております、第一條はこの法律目的を定めたのでございます。最近の立法例にならいまして、この法案においても法律目的を冒頭に掲げることにいたしました。「郵便貯金を簡易で確實な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、國民の經濟生活の安定を圍り、その福祉を増進することを目的とする。」この目的は現在の政府郵便貯金目的と變ることはございません。  第二條、郵便貯金國營及び逓信大臣の職責、これは郵便で御説明申し上げましたことと、趣旨は同一でございます。それで郵便法と多少違います點は、第二項第二號「法律に觸れない範圍において、郵便貯金の取扱をする郵便局を指定」する、これは具體的に申し上げますと、既設局あるいは船舶内郵便局といつたようなものを指定するわけであります。その次の三號「法律に觸れない範圍において、貯金原簿所管廳及び證券原簿所管廳を設置し、又は廢止すること。」これも郵便法にない條項でありますが、これは現行と變りありません。四號、これは郵便法の場合と同じであります。郵便という文字が郵便貯金という文字に變つておるだわであります。五號、これも郵便法の場合と同じであります。郵便という字の代りに郵便貯金いとう字句を使つたにすぎません。六號、これも同様であります。七號、これも前同様であります。  第三條、逓信大臣の職權の委任、これも郵便法とまつたく同様の字句であります。  第四條、郵便貯金の業務に從事する官吏、これも郵便法とその趣旨は同一でありますが、ただ特定局長に關しては郵便法によるという建前特定局長のことが書いてないだけであります。その他郵便法と變りはございません。  第五條、訴訟について國を代表する者、これは現行法令と變りございません。  第六條、印紙税の免除、これも現行法令と變りございません。現行法の第十七條にございます。以上が第一章の總則でございます。  その次に第二章業務に關する通則、第七條、郵便貯金の種類は現行法令と變りございません。ただ第二號のすえ置郵便貯金以下を總括して、特別郵便貯金という名簿を新たに附したというだけのことでございます。  第八條、團體取扱、これも現行法令とその趣旨において變ることはございません。但し字句において多少變つた點は、第二項の「郵便貯金團體取扱においては、官公署學校、會社、工場その他の事業場」、工場その他の事業場という字句は、現行法令では工場その他の團體ということになつております。團體というのを事業場に改めた程度であります。その代り新法では、學校という字を特にあげてございます。  第九條、これも現行法令と變りございません。  第十條、貯金總額制限、これは現行法と多少變つております。「貯金總額は、一の預金者につき三萬圓を超えてはならない。但し、左に掲げる法人又は團體については、この限りでない。」現行法におきましては貯金最高額は一萬圓でございます。これを新法によつて萬圓引上げようということにしたいのでございます。實は現在の經濟事情におきましては、これをもつと増嵩してもよろしいではないかということも言えるのではありますが、現在の政府のとつておりまする所得税の免除の限界點というものが、この性質の貯金利子に對しては、三萬圓以下をもつて所得税免除點とするという方針をとつておるのであります。それで大藏當局としてこの税収入の關係等からいたしまして、これを上げることは非常に困難なのであります。それで貯蓄組合法におきましても、三萬圓までは所得税を免除するという建前をとつております。それで郵便貯金は税金をこわがつておるわけではありませんが、三萬圓以上にしまして、免税點を三萬圓で線を引かれますと、二種類の貯金ができまして、この利子の支拂、その計算取扱いに非常に困難が生ずるのであります。今貯金の口座は約一億五千萬ございますが、これらのおのおのについて二種類の利子を計算することは非常に不可能に近いので、やむを得ず三萬圓にいたしております。それから三萬圓以上無制限預入できる、しかも利子に對して所得税が免除されるという法人團體は、次のように列擧主義をとつたのであります。これは現行法におきましては、法律第四條の一號に「公共團體、社寺、學校ハ營利目的トセザル法人ハ團體預入金」とあります。この營利を目的とせざる法人もしくは團體というこの範圍が非常に廣くありますので、これの認定を逓信大臣の權限に任せるということは民主的ではない、これをもつと明確に法定するという建前をとりまして、營利を目的とせざる法人團體というこの表現をやめまして、列擧主義にいたしました。それで比較的公共性の高度のものをとりまして列記いたしたのであります。その一は地方公共團體、二は水利組合水利組合連合、三は學校及び宗教法人、四は勞働組合、五孤兒院及びこれに準ずる慈善團體竝びに健康保險組合、共濟組合等もはいりますが、これに準ずる相互扶助團體で營利を目的としないもの。しかもこの五項に掲げる法人または團體は省令でこれを明定するという建前をとつたのであります。かようにしまして、官廳が自由裁量によつて三萬以上の無制限なる特典を與え得る團體というものを押えて、ここにより多く明確に具體的にしたのでございます。  次は第十一條、貯金の減額、これは現行法令と變りがございません。  第十二條、利子及び割増金この利子現行利率と變りございません。但し外地の利子は内地より高かつたのでありますが、今回は外地で預けた貯金通帳で内地で拂渡しのできる、その生きておる外地の貯金に對しても、その利子は内地の貯金利子と同一にするというので、一本にいたしました。それで利子法律できめるということについては、從來これは省令に委ねられていたのでありますが、これを法定することにいたしたのであります。利子のごときは一面において金融界の情勢と相伴いまして、銀行利率が上れば、これもそれに順應してすぐに上げるということにして、議會の閉會中でも適宜に措置がとれるようにする方法がよい場合もあるのでおりますが、この利子の決定を政府の專斷にするということは民主的ではないという建前で、これを法律の中にあげたのであります。但し利率の決定につきましては、近く金利統制等に關する法律というものができる見込でございます。これによりますとすベての金融機關その他の利子はこの法律の定めるところによつて—まだ決定いたしませんが、金利統制委員會にかけましてそこで利率をきめる、その委員會にはもちろん政府側委員もはいることに相なります。ここ制きめた利率一般銀行にも適用され、同時にわれわれの企圖しておるところでは、郵便貯金利率にも適用されるというようにいたしたいと考えております。そうしますと、この第十二條は金利統制等に關する法律でこの十二條を修正して、一々この法律を直さないですむように相なるかとも存じます。次にはこの十二條の二項に「定額郵便貯金については、割増金をくじびきにより附つける取扱をすることができる。割増金を附ける取扱をする定額郵便貯金(以下割増金附定額郵便貯金という。)には、そのすえ置期間利子を附けない。」とあります。これが實は新法の特色として、冒頭に私が審議を急いでおることを御説明申し上げました理由でありまして、この制度を早く實現したいという點でございます。從來國家事業は、國民の射倖心をねらつて貯蓄の増強をはかるという建前を、少くとも國家事業としてはとつていなかつたのであります。しかし現在においてはその思想に從つて拘束さるることはないと考えられますので、時代に適應するようなそういう方法をとることにいたしたいと思います。これは民間においてはすでに福徳定期預金という制度がございますが、あれと大體同じような制度をつくつて定額郵便貯金割増金もしくは割増金に代るものを提供したいという計畫であります。それでこの十二月から實行にはいりたいと考えております割増金附の大要を一應申上げたいと存じますがこれはこの年末に總額十五億、本年度内に二十五億ないし三十億圓くらいを吸収したいと考えております。預入金額は一口五百圓、本年度の發行豫定口數は五百萬口ないし六百萬口、一箇年間、無利子としてすえ置く、利子は年三分、これは定額郵便貯金第一年目の利率でございます。この年三分の利率に相當する約七千五百萬圓ないし九千萬圓、これを割増金に充當いたします。割増金についてはからくじなし、一等は高級ラジオ、自轉車の物資をつける。以下現金及び種々物資をつけろことが考慮されております。またすえ置期間中の拂戻しは認めないが、その期間經過後定額郵便貯金として利子をつけるという方法を考えております。これが現在逓信省が企圖いたしておりまする新しい制度割増金つき定額郵便貯金でございます。その最後の項、郵便貯金切手には割増金くじ引によりつける。これは現行規定と變りございません。  その次に第十三條、利子の計算でございます。これは大體現行制度と同じであります。但し二、三點違つておる點は、一つは定額貯金には三箇月ごとに利子をつけたものを、一般原則に從いまして、毎月利子をつけるということに改めたのであります。その次には現行方令には不當なる利子がついておる。たとえばその月の三十日に預入して翌月の一日に拂い出すという場合には、一箇月の利子がとれるのであります。こういう規則で現行法は成り立つておりまするが、この條文は削除いたしました。これは實際に從來の統計から見まして、削除しても實害がないということの結論に達したからでございます。  第十四條、郵便貯金通帳及び郵便貯金證書の交付、これは現行法令と變りございません。  第十五條證券保管證の交付、これも現行法令と變りございません。  第十六條、通帳の冊數の制限、これも現行法令と變りございません。  第十七條、これも同様變りございません。  第十八條、通帳貯金證書及び證券保管證の再交付、これも内容は大體變りございません。但し料金五十錢のものを一圓にいたした點が變つておるだけでございます。十八條の三項の末文の「證券保管證一枚につき一圓を納付しなければならない。」五十錢が一圓になつただけでございます。  第十九條、貯金原簿及び證券保管原簿、これも内容現行法令に變りございません。  第二十條、利子記入、これも内容現行法令と變りございません。  第二十一條、確認、これも大體において變りございません。但し從來檢閲もしくは現在高證明という制度をもつていたのでありますが、これを確認という言葉にかえただけであります。その處理方、効力等については變るところはございません。  第二十二條、通帳等の提出、これも内容現行法令に變りございません。ただ現行法では「檢閲スルコトヲ得」とありますが、新法におきましては「提出を求めることができる」ということにかえただけでございます。  第二十三條、印章、これも現行法令と變りございません。  第二十四條、讓渡制限、これは多少變つております。讓渡制限をし得る範圍を狹めたのであります。現行法令によりますと、規則の三十五條で、讓渡することができるものは、その一つは「公共團體、社寺、學校ハ營利目的トセザル法人ハ團體ニ讓り渡ス場合」その次は「親族ニ讓渡ス場合」「遺言ニ依リ讓渡ス場合」この三つの場合を現行法では認めておるのでありますが方法はおきましては、この第一の公共團體云々を削除いたしたのであります。もともとこの讓渡制限いたしました立法の趣旨は、郵便貯金通帳のごときを頻々として讓渡されますと、一つは權利關係が複雜になる。簡易化を旨とする貯金についてははなはだ好ましくない。もう一つは通帳の賣買による不正行為を取締る。賣買とか質入れとか、擔保とかいうことによつて不正行為がなされることがあるのであります。その一つは貯蓄奨勵目的から、貯金を簡單に他人に讓渡させることを抑えておるのであります。かような理由から讓渡制限いたしておるのであります。それで實際問題としては、讓渡しなくとも、お互いに實在しておる自然人ならば、一遍引出して現金を與えればそれで目的は達するのでありまして、特に讓渡の必要のあるといつたような場合を殘して、この必要性に乏しいものは削るという建前から、現行規則の一號を削除いたしました。  その次に第二十五條、證明であります。内容現行法令と變りございません。  第二十六條、正當の拂渡。これも内容現行法令と變りございません。  第二十七條、免責。これが新しく設けられた條項でございます。現行法におきましては現行法の第十四條、「郵便官署ハ郵便貯金ニ關スル取扱ノ遅延ニ因り生シタル損害ニ付賠償責ニ任セス」というふうに定めてございます。これは新しくできました憲法第十七條に照らして、この條項をそのまま殘存させておくことは不適當と認められるのであります。それで原則といたしました國家は損害を賠償するという建前をとつております。公務員の不法行為による損害に對しては國家原則として賠償する。それでこの郵便貯金は、その性質は民法の長期貸借に類似しておる契約でございますので、この損害賠償に關しては、主として民法の規定によることにいたしております。しからば原則として賠償するが、賠償しない場合はどういう場合かとい例外の場合をここに掲げてございます。第一號「拂い渡すべき郵便局において現金に餘裕のないとき。」これは民法の原則からいけば、金錢債務の履行遅滯、金がないから待つてくれということは、民法においては金錢債務の履行遅滯に相なるのでありますが、田舎の郵便局等におきましては、往々にして高額になりますと、現金を親元の局から、もしくは銀行から取寄せるまでには、一日かそこらの時日をかしてもらわなければならない關係で、これを例外規定として設けたのでございます。  第二號といたしまして「預金者の提出すべき書類が不完全なとき。」これは預金者側の責に歸すべき事由によつて履行遅滯の生じた場合を示しております。たとえば通帳に押捺してある印鑑と受領證の印鑑とが違うといつたような場合がこれでございます。  第三號「不可抗力に因り拂い渡すことができないとき。」不可抗力の場合は債務者の責に歸すべからざる事由でありますから、これは民法におきましては金錢債務の履行遅滯は、不可抗力をもつと對抗することはできないということになつておりますので、民法の原則に從いますれば、不可抗力でも損害賠償の責に任ずるのであります。貯金法におきましては、不可抗力の場合は例外として免責にしてもらいたいというので、ここに民法に對する例外を掲げたのであります。その他の場合には國家損害賠償の責に任ずるということにいたしております。  第二十八條料金の還付、これは現行法令とあまり變りがございません。ただこの二十八條の末文にあります「その料金を納付した時から一年を經過したときは、これをすることができない。」現行法令におきましては九十日となつておりまするが、一般私法の期間と同調いたしまして一年ということにいたしました。  第二十九條、貯金及び保管證券に關する權利の消滅、これも現行法令内容は變りございません。  第三十條、利用の制限及び業務の停止、これも現行法令内容は變りございませんが、この第三十條について一言申し上げておきますと、三十條は「逓信大臣は、天災その他やむを得ない事由がある場合において、重要な業務の遂を確保するため必要があるときは、貯金原簿所管廳證券原簿所管廳又郵便局を指定し、且つ、期間を定めて、郵便貯金の利用を制限し、又は業務の一部を停止することができる。」という規定であります。これは現在これと同一の現行法によつて、戰災を受けて復舊しない事務に對して停止、制限をいたしておりまするが、この現在の戰災のために生じた利用の制限はこれに基いてやられておるのであります。新法が成立しました後は、新法に基いて省令を出しまして、これの細目をきめるのでありまするが、當分はこの戰災復舊のために、どうしても取扱いを停止もしくは制限を繼續させていただかなければならない事務がまだ多少ございます。この貯金法にはいろいろ制度としてあげてございます。たとえば利子記入とか、證券保管證の交付、證券の賣却、購入、保管、その他いろいろこの法律制度を定めてございますが、この法律が通過したと同時に、全面的にこれが動くということができない部分があるのを御了承願いたいと存ずるのであります。それはこの三十條に基いてやはり省令、告示等を出してしばらくお待ちを願わなければならぬような實情にあるのでございます。  次に三十一條、非常取扱、これも内容現行法令と變るところはございません。以上が第二章の通則を申し上げました。  第三章、通常郵便貯金でございます。第三十二條、預入金額最低制限は一度の預入額は一圓以上といたしておりまするが、新法におきましては現在の經濟事情に照らし合わせまして五圓以上ということにいたしました。  第三十三條、預入の證明、これも現行法令と變るところはございません。  第三十四條、有價證券預入、これも現行法令と變るところはございません。但し現行法令から一つ削除したのがございます。それは現行法の第七條の「郵便切手郵便貯金切手及支拂期開始セル證券ハ命令ノ定ムル所ニ依リ郵便貯金ニ預入スルコトヲ得」というのがございます。この郵便切手貯金預入するという制度をやめたのでございます。直接郵便切手貯金預入するというこの郵便切手を削除いたしました。但し郵便貯金切手で納入することは認めております。この點は特別すえ置貯金で別に定めてございます。  三十四條、この末項に掲げたことは現行法制度として實行いたしておるのでありまするが、明文がないのでここに掲げたのであります。それは「第一項の規定による預入に係る通常郵便貯金については、當該有價證券が決濟された後でなければ、貯金の現在高がその有價證券による預入金額を下るような拂もどしをすることができない。」これは銀行の持參人拂小切手は、ただちに郵便貯金預入することができることにしております。現行法令もこうなつております。小切手ですと不渡小切手がときどきあるのであります。この不渡小切手をただちに有效と認めて、その翌日から現金で支拂うということは危險でございますから、これはこの小切手手形交換にかけて、不渡りでないということを確かめた後に拂うという趣旨であります。但し千圓預けてすぐに千圓をそれからとるというふうに考えなくてもよろしいので、結局その貯金から最後に千圓殘るまでは、翌日からでも拂つてあげる。要するに有價證券によつて預入金額を下るような拂もどしをすることはできないというように表現いたしたのであります。  その次、第三十五條、これは内容現行法と變りございません。  第三十六條、これは同じで、變りございません。  第三十七條は多少變つております、現有の貯金法建前といたしましては、貯金の拂もどしは通常拂原則として、即時拂原則になつていないのであります。通常拂は御承知の通り拂もどし請求を郵便局に出して郵便局から原簿所管廳、すなわち貯金支局であります。そこで證書を發行して預入者にそれを渡して、それをもつて局へ來て現金をとるというのが通常拂であります。これは非常に時間がかかるので、貯金をおろす人のほとんど大多數は、即時拂郵便局行つてすぐに窓口で拂つてもらう、この途を利用しておるのであります。新法におきましてはこの實情に鑑み、郎時拂主義と申しますか、郎時拂をもつて拂もどしの根幹とするような建前をとつたのであります。  第三十七條は「通常郵便貯金の拂もどし金の拂渡は、通帳の提示を受けて(省令の定める場合には貯金原簿所管應の發行する拂もどし證書と引き換えに)これをする」というようにいたしたのであります。  第三十八條、これも大體において現行法と變りございません。ただ第二項に「逓信大臣は、必要と認めるときは、離島その他交通不便の地域につき、前項の有效期間を延長することができる。」これは現行規則によりますと、百二十日という數字で切つてありますが、これは沖縄とか南洋群島とかいうものが客體になつてつたのであります。新法におきましては、逓信大臣實情に合わして有效期間を延長することができるという建前にしております。  第三十九條、これは内容現行法令に變りございません。但しその條文の末文に「證書一枚につき一圓を納付しなければならない。」として、現行制度では五十錢でありますが、それを一圓にしたにすぎないのであります。  第四十條は拂もどし金に關する権利の消滅、これは拂もどし證書の有效期間經過後三年間拂もどし證書の再交付の請求がないときは、一定の手續を經て國庫の所有に歸せられてしまうということでございます。
  4. 林百郎

    ○林(百)委員 議事進行について—時間も大體十二時になりましたから、午前中はこの程度にして、午後第四章から御説明願いたいと思います。委員の諸君にはかつていただきたいと思います。
  5. 重井鹿治

    重井委員長代理 ただいま林委員から、午前中はこの程度にして午後績行したいとの動議がございましたが、いかがでございますか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  6. 重井鹿治

    重井委員長代理 それでは午前中はこの程度で、午後一時から再開することにいたします。一應休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  7. 重井鹿治

    重井委員長代理 再開いたします。  午前の會議に引續き政府説明を求めます。村上政府委員
  8. 村上好

    村上政府委員 午前に引續きまして、御説明をいたしたいと存じます。  次は第四章特別郵便貯金、第一節すえ置郵便貯金、第四十一條拂もどし及び證券交付制限、これは現行法令とその筋において大體同一であります。ただこの中に新法では、逓信大臣預金者の申請があつた場合云々とあります。現行法においては、この逓信大臣代りに逓信局長ということにしております。しかし新法におきましては、逓信大臣はこれを下級の官廳に委任するという委任規定をもつて、逓信局長以下に委任する豫定でございます。  第四十二條、すえ置期間、これも内容現行法令同一でございます。  第四十三條、通常郵便貯金の變更、これも内容現行法令同一でございます。  第四十四條、準用規定、これもその筋は現行法令同一であります。  次は第二節、積立郵便貯金。第四十五條、拂もどし制限、これも内容現行法令同一であります。  第四十六條、すえ置期間、これも現行法令内容同一でございます。  第四十七條預入金額、これは内容が多少變つております。それは「積立郵便貯金の一囘の預入金額は、二十圓以上五百圓以下とし」とございます。現行制度におきましては、二圓以上五十圓以下ということになつております。經濟事情に鑑みまして、これを以上のように増額いたしたわけであります。「但し、十圓未満の端數を附けることができない。」これは現行制度におきましては、一圓未満の端數を附することを得ずということになつております。以上の點が異なつた點でございます。  第四十八條預入金の合併預入、これは新しく設けた規定でございます。この條文は「郵便局長は、預金者請求に因り、積立郵便貯金について、同時に二囘分以上の預入金預入させることができる。」これは毎月集金に出向いて預入をさせる制度であるのでありまするが、預入者の都合によつて豫納をするということが便宜である場合には、預金者請求によつて二囘分でも三囘分でも豫納させて、お互いの手數を省略させる途を開いたのであります。  第四十九條、集金取扱停止、第五十條預入を取り扱わない地域、第五十一條準用規定、これらの内容現行法令同一でございます。  次に第三節定額郵便貯金。第五十二條の拂もどし制限、これも内容現行法令同一でございます。ただこの中に逓信大臣預金者の申請があつた場合において云々とあります。現行規則ではこの逓信大臣が逓信局長となつております。これも先刻御説明申し上げましたように、逓信大臣は下級官廳に委任することができるという建前をとつておりますので、委任で逓信局長以下に委任する豫定でございます。  次に第五十三條、すえ置期間、これも内容現行法令同一でございます。但し第五十三條二項が新しく設けてあり、これはその償還に充てる原資がすえ置期間利子をもつて充當する建前になつておりますので、こういう規定を設けているのでございます。現在計算畫しておりますものは一年をすえ置期間とする豫定でございます。  第五十四條の預入金額内容が多少變つております。現行規則の五十圓、百圓、二百圓、三百圓、五百圓、千圓を百圓、二百圓、三百圓、五百圓、千圓、三千圓とするのでございます。つまり最低五十圓が百圓になり、最高千圓が三千圓というふうに増額をしております。  五十五條、五十六條は現行規定同一でございます。  次に第四節の特別すえ置貯金は、第五十七條、第五十八條、第五十九條、いずれも内容現行規定同一でございます。  次に第六十條は現行法においては一圓及び二圓の二種となつておりますが、これを五圓、十圓、または二十圓とするということに増額いたしております。  第六十一條は、第二項において「特別すえ置郵便貯金預入金額は、二十圓以上でなければならない。」という點が違つております。  次の第三項、これは新しく設けた規定であります。郵便貯金切手という特別な切手を郵便局から購入いたしまして、相當數の枚數をためて郵便局にもつてつて預入制度でありますが、これは發行の月の翌月の初日から起算して五年を經過したときは、效力を失つて預入することも償還を受けることもできないというのであります。  第六十二條、これはその筋においては現行法令同一でございます。  次は第五節にはいりまして、第六十三條、六十四條、いずれも現行法令内容同一でございます。  次は第五章、第六十五條、これは現在の取扱いのものをそのまま條文に掲げたにすぎません。  第六十六條は現行法令内容同一でございます。  第六十七條、これは現行と多少内容を異にしております。現在は規則、命令でこの料金をきめているのでありますが、新法におきましては、この料金の基礎をやや具體的法律に掲げたわけでございます。この料金の問題は、貯金事業全體の經費が今非常に困難な状態に陥りつつありますので、この料金等も増額いたしたいのでありまするが、料金については物價廳との關係もあつて、さしむき料金はくぎづけにしてもらいたいという希望があり、かたがたあまり料金の値上げはいたしておりません。なおこの料金歳入というものは、全體の歳入のきわめてわずかな部分を占めておるにすぎませんで、これを多少いじりましても、全體の歳入にはほとんど影響がないという實情にあるのであります。しかし安過ぎるものは、逓信省の全面的な料金改訂という機會に、修正を加える豫定でございます。  第六十八條保管證券の購入代金の拂出等、これも内容現行法令同一でございます。  第六十九條、無記名の保管證券の返付及び賣却、これも内容現行法令同一でございます。  第七十條、貯金の全部拂もどし又は讓渡の場合における保管證券、これも同様、内容現行法令同一であります。以上をもちまして本法の七十條の説明の概略を終りました。  次には附則であります。「この法律は、昭和二十二年十二月一日から、これを施行する。」これは午前中、説明の初めに政府側からお願いを申し上げました通り、浮動資金の吸收をなるべく一日も早くやりたいという希望をもちまして、ぜひ年末の十二月一日から實行にはいりたい、かように考えて十二月一日という日を希望しておるのでございます。「明治三十八年法律第二十三號、郵便貯金法は、これを廢止する。」これは現行貯金法でございます。次に「舊法は、振替計算のためにする預入金については、この法律施行後でも、なおその效力を有する。」これは振替郵便貯金という制度がございます。これは現在の法律建前では、郵便法の中に一萬圓の最高制限額の例外の場合に、振替郵便貯金にためにする預入は差支えない。例外を認めるという一項が現われておりまするだけで、郵便法の中には、振替貯金という制度がいかなるものであるかが出ておらないのであります。それで新法におきましては、振替郵便貯金というものは、現在におきましては非常な大きな組織に成長發達いたしましたので、これを切り離して別な法律體系をつくることにいたしました。振替郵便貯金法という新法をつくつて、後日議會に提案の見込みでございます。しかしその法律ができるまで、現實に活動していかなければなりませんので、その制度自體は、十二月一日と同時にそれの效力を失わせるわけにいきませんので、この振替貯金の關しては暫定的になおその效力を有することにいたしまして、振替貯金法成立をもつて舊法の適用を終るという建前にいたしました。  その次は「この法律に定のない種類郵便貯金又はこの法律に定のない取扱をする郵便貯金でこの法律施行の際現に存するもの、この法律施行前に一定の期間拂もどしをしない條件を以て預入した郵便貯金、この法律施行前に發行した郵便貯金切手及びこの法律施行前に保管した第六十五條規定する證券以外の證券でこの法律施行の際現に保管するものについては、この法律施行後でも、なお從前の例による。」内容は簡單でありますけれども、非常に表現が長くてわかりにくいのでありますが、もつと具體的に申しますと、現行法にはそういう制度があつて新法にはやめたものがあるのであります。たとえば共同貯金、あるいは規約貯金、海外貯金、あるいはこれは制度ではございませんで、金額でありますが、新法では積立貯金は二十圓以上とあり、定額貯金は百圓以上とあります。現行法におきましてはもつと額の小さいものもございます。これらのものを繼續させるためのもの、それから郵便貯金切手にいたしましても二圓などという貯金切手がございますが、その效力を消滅させるわけにまいりません。なお舊制度政府保管しておりまする勸業債券とか復興貯蓄債券、北海道拓殖債券というものがございます。先刻申し上げましたように、今度の新法におきましては、保管證券が國債と貯蓄債券と報國債券、この三種類にいたすのでありまするが、こういう舊制度によつて保管された債券、これらの保管效力をいかにするかということであります。以上申し上げましたこれらのものが存續する限り、舊法を襲用する、この法律施行後でもなお從前の例によるということにいたしておる次第であります。  それから第三項、「この法律施行前に預入した前項に規定する郵便貯金以外の郵便貯金でこの法律施行の際現に存するもの及びこの法律施行前に保管した第六十五條規定する證券でこの法律施行の際現に保管するものについては、この法律を適用する。」つまり前項で、いろいろ新法にあてはまらないものを除外して舊法を適用するというひとにいたしましたが、新法にあてはまるものについては、新法を適用するということをここで示したにすぎません。  以上をもつてこの新法律條文説明いたしましたが、最後現行法にあつて新法においてまつたく削除したものはどういうものかと申しますと、現行法の第十一條であります。「郵便貯金ニ關シ無能力者ノ郵便官署ニ對シテ為シタル行為ハ能力者ノ為シタルモノト看做ス」という條文であります。これは新憲法においては、その規定の用語が一方的なはなはだ強いものでございますので、適當でないという建前から、民法法律行為能力、これの除外例を徹底して、一般民法規定に從うことにいたしたのであります。これは銀行におきましては、從來といえどもこういう法規はございます。銀行並にやつていくということであります。從いまして新法が施行されますならば、無能力者が郵便局において預拂いをしたとき取消があつた場合には、取消すことができるということになるのであります。これをもちまして簡單ではございますが、新しくできます郵便貯金法案について御説明申し上げたわけであります。
  9. 白井佐吉

    ○白井委員長代理 政府側説明が終りましたので、これより質疑にはいります。質疑はこれを許します。
  10. 多田勇

    ○多田委員 附則についてお尋ねいたしたいのですが、附則の第一項によりますと、この法律は十二月一日からこれを施行するとなつております。現在審議中で十二月一日からはたして施行ができるかどうか。施行ができるとしても相當むりな期日ではないかと考えられるのであります。少くとも法律を施行するには、その法律内容を一般國民によく徹底されるために、相當期間を置くべきが至當であろうと考えます。もちろん緊急やむを得ない法律につきましては別でございますが、單に現行法を中心にして改正をするという程度法律におきましては、いま少し餘裕を置くのが適當ではないかと考えます。その點について参議院ですでに濟んでおることでありますが、いま一箇月ぐらい餘裕を置くのが適當ではなかろうかと考えますので、その點についてお伺いしておきます。  次に六十五條規定する證券で、この法律施行の際現に保管しておる證券取扱いでありますが、この法律が施行になつた暁におきましては、六十五條規定されておる三つの證券以外の證券は、いつまでも保管することになりますか。これもある程度期間を置くことが至當ではないかと思いますので、この點をお伺いいたします。
  11. 村上好

    村上政府委員 お答えします。施行期日の點については、ただいまの御意見はまことにごもつともだと存じます。この期日があと約十日、これを施行日にすることは非常に無理があろうと思いますが、先刻も申し上げましたように、實は割増金附金額郵便貯金を實施いたしますためには、相當長期の準備が要ります。これは初めの豫定は十一月から實施させていただきたい豫定で進でいたのでありますが、その筋の審議の關係やいろいろな内部的事情等もありまして、議會提案が遲れまして、逐に今日になつておるわけでありますけれども、この施行の目標は、本年の年末はどうしても遊資を吸收したいという豫定でいろいろ準備いたしておるのであります。その準備というのは、たとえば印刷とか、事前に各逓信局以下郵便局制度を周知させて準備をさせるのには、相當の期間がかかるような關係もありまして、それで大體十二月からやるということで準備を進めてまいつたような次第であります。逓信省としては、できるだけ豫定通りに貯蓄奬勵、遊資吸收の實行をさせていただけるようにという念願で無理とは知りながら十二月一日ということにいたしたのであります。法案が通過いたしますれば、省令その他は同時に出せる建前で準備をいたしておりますので、でき得べくんばそういうことにさせていただきたいと考えます。  次には證券保管の點でありまするが、この古い制度保管いたしております證券がいろいろあります。これは債券で、たいてい償還期限が皆きまつておるのでございます。償還期限が來れば賣却して、本人に償還金は交付し、もしくは貯金に組み入られるので、證券保管はそのときをもつて終了いたします。またその前に賣却の請求もしくは交付請求がある場合には、それをもつて終了といたしますので、期限を切る必要はないと存じます。
  12. 多田勇

    ○多田委員 よく了承いたしました。その次に郵便切手による貯金方法が取上げられてないのでありますが、これは貯金を最も簡易に吸收する意味合におきまして、郵便切手による貯金制度を認めていただくようにした方がいいのではないかと考えられるのであります。私どもが子供のころ郵便切手による貯金制度が相當行われまして學校等におきましても、郵便切手による貯金をするという一つの與味から、相當程利用されたように考えておるのであります。殊に郵便局まで相當遠隔な地がまだまだ相當ありますので、この制度をさらに繼續して、預金を吸收するというような方法を講することが、いいように考えられておるのでありますが、この制度を廢止した理由と、存續する意思がないかどうか、その方法がないかどうかについてお伺いしたいと思います。
  13. 村上好

    村上政府委員 お答えいたします。郵便切手貯金は、貯蓄を奬勵する面から見ますると、實效は上つておらないのであります。また切手貯金預入者の側から見ると、自分でもつておる切手を忘失したり、毀損したりして、效力を失わしめるものが相當にあるような實情でありまして、この制度はそういう面から見ると、必ずしも存續させる必要があるかどうかは考えられないのであります。なおまた貯金事業全體から見まして、非常に經營が窮屈になつておるのであります。それででき得べくんばいろいろな經費のかかるもの經濟的に非常に困難になるものは極力これを避けて、同時に種類を少くして簡易化したい。それで事業を合理化したいという見地におきまして、なるべく種類を少くし、實效の上らないような制度は切り捨てることにいたしたのであります。切手貯金のごときものは實はその中の一つであります。さよう御承知願います。
  14. 森直次

    ○森(直)委員 十二月一日よりこれを施行せらるるという意味はよくわかりましたが、全逓の爭議とか、いろいろそういう行為が頻發しておる矢先に郵便貯金に關する一般の考え方、政府を批判するというような國民の態度が郵便貯金にも現われてきておるか。その點をちよつとお伺いいたします。
  15. 村上好

    村上政府委員 貯金の増額の趨勢は、必ずしも最近は好成續ではないのであります。毎月、これほどの大きな組織をもつても、二億か三億くらいな程度にしか、貯金は増額いたしておりません。それで最近の趨勢もこの三箇月くらいの間、大體同じような趨勢をたどつてまいつております。制度は同じ制度でずつと繼續しております。ただいまの御質問のような全逓爭議が、貯金に對して影響しておるかどうかという點は、結果から見ますと、さほど影響されておらないのではないかと考えられます。實は私どもは役所の中にばかりおつて、切實な現地の聲を聞く機會が少いのであります。むしろ皆さん方の御意見を拜聽したらよろしいかとも存ずるのであります。なお割増金附定額郵便貯金、これを實施いたしますのについて、役所側として各逓信局並びに郵便局の擔任者と直接接觸させまして、この實效について、實續が上るかどうかについて前から、また最近まで、いろいろ連絡をとつておるのでありまするが、その結果を總合いたしますると、現業局の從業員の言は、相當とれるであろうということを申しておりますので、この點多少希望をもつておる次第でございます。
  16. 多田勇

    ○多田委員 郵便貯金切手の販賣は、これは郵便局だれに販賣させるのでありますか。それとも郵便法による賣さばき所にも販賣させることになるのでありますか。この點についてちよつとお伺いいたします。
  17. 村上好

    村上政府委員 郵便局だれということにいたすつもりであります。     —————————————
  18. 白井佐吉

    ○白井委員長代理 前會におきまして郵便法案に對する質疑中、林委員、天野委員及び片島委員質疑に對する政府側の答辯が留保されておりますので、この際政府委員よりそれを聽取いたいたいと思います。
  19. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 昨日天野委員、林委員より御質問がありました從業員の待遇に關する二項目と、郵便法の七十九條と團體交渉權との關係の三項目につきまして、お答えをいたしたいと思います。まず天野委員の御質問は、大都市の三中央郵便局のような大きな局の從業員には特別の待遇をしておるかどうか、それを具體的な數字について説明されたいという御質問でございますが、從業員の待遇は全國的に同じようにきめられておつて、特別にかような大局の從業員に變つた處置をとられてはおらないのであります。しかし大局は多く大都市にありますので、現在大都市の在勤者につきましては、勤務地手當として三割の手當が支給されております。これは地方の小局の從業員よりも率が高いわけですので、それだけ收入が多いということは言い得るものと思います。また大局においては、作業の内容が非常に高度の技能を要しますし、またその技能を必要とする面が非常に多いので、特殊技能手當、これは月百圓内外がありますが、この手當を受める者が非常に多いということは言い得るものと考えられるのであります。第三として、深夜勤務の現在休憩時間三時間未滿の者には、夜勤手當を倍額一時間當り二圓二十錢を支給しておりますが、かような大局におきましては、深夜勤務者が非常に多いのであります。この夜勤手當からいたしましても、地方の小局の從業員よりも、かような手當をもらい得ることが多いのでありまして、この點からも收入の點おいて響くのではないかと考え得るわけであります。  なお天野委員の第二の御質問の、逓信事業は公益事業であるから、この圓滿な運行をするために、逓信從業員の待遇について特殊の考慮を拂う必要がある、これについての所見はいかんという御質問でございますが、御質問の通り逓信從業員は身分のいかんを問わず、それぞれ獨立して責任ある作業に從事しておりますとともに、また特殊の技能を要し、また高度の能率を要請される必要がありますので、これに郎應した給與體系を樹立していきたいと考えておるのであります。ただ現在の給與體系におきましては、政府職員全般の給與體系のわくの中に入つておりますので、一般の政府職員の待遇と特別に變つた制度はないのでありますが、將來給與體系が改善せられます場合には、ぜひともただいま申し上げたような觀點から、逓信事業に毀應したところの給與體系を樹立したいという考えで、目下腹案を考究中であるのであります。  林委員の御質問の點につきましては、爭議行為が正當なる場合には、勞働組合法によつて違法性が阻却されますので、郵便法七十九條の罪には該當しないわけでありますが、不當なる爭議行為の場合には、當然この條文に抵觸することになると思います。しかし正當なりや不當なりやの判斷につきましては、終局は勞働委員會または裁判所において決定せられる問題であると思うのでありますけれども、不當なる爭議行為であるとだれが見ても明らかなる場合には、當然政府をして場合によりましては個々の具體的な事態を愼重考慮しまして、獨自の見解をとる場合があると考えるわけであります。この見解が不分明な場合には、愼重を期しますために、勞働委員會の意見を聽きまして方針決定していく考えであります。
  20. 天野久

    ○天野委員 ただいま政府當所の答辯を承りました。大體了承いたしましたが、第一の問題に對して、特殊な技能手當及び夜勤手當を出されておるということであります。これについてはなおよく愼重に檢討されて、爭議等の勃發の因をなさないようにお取計らいを願いたいと存じます。また逓信事業の重要性に鑑みられ、今後における待遇に對する考慮についても大體承りましたが、なお一段の考慮を願いたいと存じます。昨日も申し上げましたが、大體爭議の原因は待遇いかんによるものでありまして、逓信從事員といたしましてそこに從事いたすということは、やはり自己の生活を擁護せんがために、つまり生活の資源を得んがためにやることである。こういう觀點から見ますならば、今の時代は非常に重要な時局に直面いたしております。物價等の變動はどこで停止するかはかり知れないのでありまして、ひとり技能者のみに對して逓信事業の確立に即應して立法するということでなく、一般の從業員にとりましてもやはり生活の問題はひしひしとして身に迫つてまいるのであります。他の事業とは違つて、逓信事業は一日もゆるがせにできないと考えます。從つて、これは全般に對して物價の趨勢その他に即應ができるよう、いつも考慮を拂つておかないと、その事態に即應することができないと存じますので、これ等に關して一段の考慮を拂つて、逓信從業員に先般來起りました山猫爭議のごときものが起らないように、ひとつ前々と手を打つてりつぱな運營をなし得るようにお願いいたしておきます。
  21. 林百郎

    ○林(百)委員 私のこの前の質問にお答えをいただいたのですが、先ほど七十九條の違法性がある場合、いわゆる七十九條の適用のある違法性のある爭議かどうかという問題の終局的な決定は、裁判所あるいは勞働委員會がする。しかし官側としても、場合によつては獨自の考慮から愼重に考慮した結果、正當性のない爭議に對しては、七十九條の發動を促す場合があるというお答えであつた。七十九條は非常に愼重に考慮して、萬やむを得ないときに發動する場合もある、その場合は勞働委員會の意見等も参酌して非常に愼重にやられるということでありますが、われわれの心配することは、七十九條を濫用して、何か爭議行為があれば、七十九條の發動を求めて告訴、告發するということでありまして、七十九條の濫用をしないようにということを一應申し上げて、官側の答辯を了承いたしたいと思います。     〔白井委員長代理退席、天野委員長代理著席〕     —————————————
  22. 天野久

    ○天野委員長代理 片島委員の質問に對する答辯は、大野總務局長がここに來られて答辯をいたす豫定になつておるそうであります。しかし大野總務局長は、ただいま豫算總會におりまして、早速ここへ見えられるそうでありますが、それまでその答辯を留保いたしまして、郵便貯金法案條文に對する質疑を續けたいと思います。
  23. 長谷川政友

    ○長谷川(政)委員 戰災等による燒失貯金原簿の復舊状況について、ここに復舊數、あるいは割合、あるいはその罹災數というものはあるのですが、これに對するところの詳細なる金額の面をひとつ説明願いたい。
  24. 村上好

    村上政府委員 戰災によります貯金業務關係の各種の被害でありますが、戰災をこうむりましたものは貯金事業の内容から申しますと、原簿の燒失がその主要部分を占めておるのであります。つまり郵便貯金の原簿、それから保管證券の原簿、振替貯金の口座の原簿等がこの事業の骨幹をなすものでありますが、これが戰災をこうむつたのであります。そのパーセンテージはこの統計表に示してある通りであります。それらの原簿の金額がいくらになるかという御質問も含まれておると思いますが、現金を燒いたのではないのでありまして、原簿が燒けてしまつたので、現金には關係のない問題であります。またその數字は實は調査をいたしておらないのであります。非常に困難な業務でございまして、その原簿を復舊する資料は相當あるのでございます。燒ける直前までの證據書類は別にちやんと保管されてあつて、それがなければ本人の所持しておる通帳提出を願いまして、その通帳面によつてこれを基礎として原簿を作成するということができるのであります。かような次第で、實は燒けた原簿の金額は調査されていないと存じます。もし調査されておりますれば次會に申し上げます。
  25. 長谷川政友

    ○長谷川(政)委員 ただいまの御説明を伺うと、金額を調査することは非常に困難である、まことにその點は了承するのでありますけれども、しからば現在本省といたしまして、その燒失した郵便貯金に對してどういう調査方法をおとりになつておりますか。
  26. 村上好

    村上政府委員 まず第一に著手しました方法は、預入者の申告による權利の確認でございます。各預入者から通帳提出を願つて、その通帳に基いて原簿を作成するという方法をとると同時に、その通帳面が適正であれば、その金額を確認するという方法をとつたのであります。その次はこちらから積極的に通帳提出を願う方法をとつたのであります。これは燒失いたしました貯金通帳の固有の記號が各支局にございます。この記號を、全部何縣預入の何記號と記號を示しまして、その記號に該當する貯金通帳提出を願つたのであります。これが二月から六月まで期間を定めて、特定の表示の貯金通帳郵便局提出して、それを貯金局に送つて貯金局でその通帳に基いて原簿を作成するという方法をとつたのであります。その場合に不正なものを發見したときにはこれを別途處理しますが、これは大體において異例であります。その通帳を基礎として原簿を作成する方法をとつて今日に至つております。  なお附け加えて申しますが、逓信省といたしましては、戰災の危險を感じまして、毎年年度末現在におきまして、各個人の貯金通帳の現在高と番號、預入者氏名、これらのものを局に送つて原簿から寫し取つて、別表にしましてそれを別途保管する方法をとりました。その年度末以後の預入拂戻しの證據書類もまた別途保管して、前の一表の連續として出し入れが途切れることがないようにいたしまして、通帳保管する方法をとりました。それが戰爭のために非常に事務が混亂いたしましたので、十九年度末までのものしかできていなかつたのであります。その表を作成した十九年度末までのものは、たとえ預入の證據書類が燒けても、その證據書類が殘つておりますので、その證據書類によつて引上げられた通帳と對照するという方法も同時にとつて監査の手段としております。現在までとりました大筋の方法はそういう方法でありまして、復舊しつつある割合がここにあげてある數字でございます。貯金原簿につきましては現在までに罹災數の四五%、證券原簿または證券當籖調査票、これにつきましては九〇%、振替貯金口座におきましては四三%という復舊を見たのであります。貯金原簿はこの年度末までに七〇%の復舊をする豫定で進行しております。現在の處理能力では七〇%は可能であると見られるのでありますが、七〇%やりますと、あとの三〇%は大體において睡眠貯金で出し入れのきわめて少いものであろうという見方、從つて預入者にはあまり實害がないものである。それで逐次睡眠貯金提出されて原簿が來年度以降一新されるという見方をしておるのであります。われわれの豫定は七〇%という目標でいつておりますが、現在までのところ、一律に通帳提出を願つたのは六月までで、それ以後のものは逐次別途の方法提出を願つております。しかしその後は提出の率が下つておるのであります。處理能力はできたのでありますが、年度末までに七〇%の復舊までにはいかないのではないかという感がするのであります。つまり預入者側において實際にそれほど不便を感じなくなつたというふうにも一面見られるのであります。  それから證券原簿につきましては九〇%復舊いたしております。これは年度内には一〇〇%まで完成する見込みでございます。それから振替貯金口座復舊の方法は、これは權利確認の申告をいたさせまして、その方法によつて口座を復舊する方法でやつております。この方法をとれば、大體において預入者の日常の不便は解消するのではないかという見越しのもとにそういう他の方法で復舊のできるものはその方法をとつておりますが、骨子としてそういう方法をとつております。
  27. 長谷川政友

    ○長谷川(政)委員 ただいまの御説明で、七〇%は復舊可能である、三〇%は睡眠貯金として處理されるという御説明でありますけれども、七〇%を限度とされた理由はどこにあるか。また貯金の打切り期間を本年ぐらいで打切るとか、あるいは來年度はこうするとか、そういう期限をつけられるかどうかお答え願いたいと思います。
  28. 村上好

    村上政府委員 七〇%の標準を一應立てましたことは、睡眠貯金從來の統計に徴して四〇%くらいあるのでございます。それでもう少し安全性を見て三〇%くらいに押えて、七〇%という目標を立てた次第であります。また貯金の打切につきましては、傾聽すべき御衣見と存じますが、從來貯金法律で十年間睡眠していた場合には、預入者に向つて催告を發し、その後二箇月間何らの意思表示がないときには、國庫に歸属するという建前をとつております。少くとも現行法の十年間というようなものは、預入者の權利を保存しておく必要がある。かように考えられるのであります。從つてそれ以内に特殊な方法をとることは、目下のところ考慮しておらないのであります。     —————————————
  29. 天野久

    ○天野委員長代理 それではこの際政府委員が見えましたので、前會において留保いたしておきました片島委員の質問に對する答辯を聽取いたします。
  30. 大野勝三

    ○大野(勝三)政府委員 片島委員から、通信特別會計の自主性についての政府の所見はどうであるかという御質問があつたのでございます。御承知の通り通信特別會計のその豫算決算は、總豫算と本決算の一部をなしておりますので、その面から申しますならば、完全に獨立しておるわけではございませんが、しかし事業の實態を申しますならば、もちろん營利目的とするものではございませんけれども、これは一つの企業でありまして、その面から見ますれば、消費經濟を主といたします一般會計とは趣を異にするところがなくてはならないわけでございます。たとえば資本の増減、收支の計算のごときも、この通信事業一本についての内容を明らかにし、その成果を記録していつて、企業的にそれがはたして合理的に運營されておるかどうかという點を明確にいたすような仕組が必要になつてまいるのであります。こういう趣旨から御承知のごとく通信特別會計が設けられてあるわけでございます。そういうわけでございますから、通信事業の運營に關する限り、損益ともにこの通信特別會計に歸屬いたしておるのでありまして、運營の實態は民間一般企業の場合と多く異なるところがないようになつておりまして、成立いたしました豫算の運用等につきましても、一般會計の場合とは異なり、かなり彈力性と申しますか、機動的にこれを使用できるようなくふうが加えられておるのであります。一例を申し上げますれば、たとえば豫備費の使用につきましても、逓信大臣がこれを獨自に決定せられまして、事後において大藏當局及び會計檢査院に報告をするというような建前がとられております。こういう面から見ますと、通信特別會計はその運營におきましては、相當の自主性と申しますか、獨立したところをもつておるわけでありまして、いわゆる獨立採算といつた問題も、この事業自體に即してその收支を明確にするという意味合いにおきましては、すでにそれが建前として行われておるということが申し得るかと考えるのであります。御質問の趣旨はまだ十分了解しておらないうらみがございますので、こう申し上げただけではあるいは御滿足がいかないかと思いますが、大體の所見を以上の通り申し上げまして、お答えにかえる次第であります。
  31. 林百郎

    ○林(百)委員 今の大野政府委員の御答辯に關連して私からお尋ねしたいことは、われわれ素人の者には、この逓信事業から上る收益と、大藏省の特別預金との關係が實ははつきりしません。獨立採算、あるいは獨立會計というならば、きよう法案として上程されておる、たとえば郵便貯金にしろ、簡易保險にしろ、こういうものの預金も全部逓信省が獨自の見解でもつてこれを使用することができ、それを堅實な事業に投資して利潤をあげるということも許されそうなものだと思うが、それは許されておらない。たとえば郵便貯金で上つてくる預金、あるいは簡易保險で上つてくる預金、こういうものは大藏省の特別會計の方に行くらしい。それから大藏省の方から逓信省の方へ事務取扱費が來ているようでありますが、この事務取扱費というものの御説明をもしできたらしていただきたいと思います。本年度は追加と本豫算を合わせて一七億二千八百萬圓らしいのですが、今年度の追加竝びに本豫算を會計して事務取扱費の正確な額はどれくらいであるか。それから一體事務取扱費というものは、逓信事業の人件費に該當するものではないかと思われます。人件費に該當するものとすれば、これは本豫算の中のごくわずかのものであつて、人件費を削減することによつて、この逓信事業の赤字を埋めるとか、あるいは健全財政にするということは問題にならない。そういう意味で、事務取扱費の額と内容がもしわかつたら御答辯願いたい。  それからもう一つ、今度は小笠原政府委員にお聽きしたいのです。七十九條の問題については先ほどちよつと他の政府委員からお聽きしたのですが、この郵便事務に從事している者が郵便取扱いをしない場合には懲役と罰金に處せられる、こういうようなことは、これは他の官廳にはないと思います。懲戒處分とか行政的な處理は受けるにしても、郵便事業に從事している者だけがことさらに、それの取扱いをしなかつた場合、あるいは遅延させただけで懲役と罰金に處せられるというようなことが、他の官公從業員に例があるかどうか。ずつと前の郵便法にもこれがあるのですが、これは一體どういう歴史的な經過から、こういうこと、が便便法の方にはいつているかということも、もしおわかりだつたら御説明願いたいと思います。次會でも結構ですが、この二つだけお尋ねいたします。
  32. 大野勝三

    ○大野(勝三)政府委員 最初にお尋ねになりました保險、年金等の積立金の問題、あるいは預金部の預り金の運用といつた問題が、それぞれ大藏省の方に行つてつて、通信特別會計の方で現在自由になつていないのではないかという點は、實はこういう事情によるものであります。通信特別會計は、本來通信そのものの事業運營を獨立採算の基礎において營むというために設けられたものでありまして、保險あるいは年金の仕事、あるいは郵便貯金の仕事、これはそれぞれ預金部特別會計、あるいは保險特別會計、年金特別會計というふうに別個の特別會計になつておりますが、ただその保險なり年金なり、あるいは貯金の實際の取扱い事務は、これは通信事業の中の人なり施設なりをもつて、いわば實質的には委託を受けてこれをやるというような形になつているのでございます。從つて逓信省の所管いたしております仕事は、郵便、電信、電話、貯金、保險、年金というふうにいろいろございますけれども、會計的に見ます場合には、それは一般會計としては通信特別會計と、それから預金部の特別會計の仕事と、保險、年金の特別會計の仕事、こういうふうに特別會計だけでも大體四本建になつているわけでございます。そういうわけでありますから、通信會計でいたしますものは、保險、年金及び郵便貯金につきましては、取扱いの實務をやつておるということでありまして、會計自體としては別のものがあるわけでございます。そういうようなわけでありますから、今第二に御質問になりましたような取扱費の繰入れという問題が起つてくるわけでありまして、實質的には保險の實務街關、あるいは年金の實務機關、貯金の實務機關というものは、すべて通信會計所屬の郵便局なり、そこの郵便局の人がこれをやつておるのでございますから、その經費はそれぞれの會計の方で負擔してもらうことになるわけであります。その經費は大體はお話のございました通り、大部分が人件費でございます。ごく一部分建設費的なものもございますけれども、大部分は人件費と申し上げてよろしいかと思うのであります。通信會計の内容におきましては、大體通信會計自體で本來支辯せらるべき人と、それからそういつた他の會計によつて支辯されるべき人とは大體わけられております。そういうわけられておる人の經費を、それぞれ他の會計からの操入金で賄うことにしておるのでありまして、その額はただいま正確な數字はちよつと今日もつてまいりませんでしたが、本豫算、追加豫算を合わせまして數十億に上つておるのであります。全體としまして運營の面だけを見ますと、人件費はほとんど全經費の七〇%程度を、最近においては占めるようになつておるのでありまして、この比重は相當なものとなつておりますことを附け加えておきます。
  33. 林百郎

    ○林(百)委員 われわれこれから研究していく素人ですから、いろいろ説明をお願いしたいと思うのですが、今言つた同じ逓信事業と言いましても、通信の方は通信特別會計があつて、あと貯金、保險、年金は特別會計になつておる。そうすると、貯金、保險、郵便年金は大藏省の委託關係になるのであるかどうか、これはあとで説明願いたいと思います。委託して、事務だけは逓信省でやつておる、實際上つてくる金は大藏省の特別預金なら特別預金に操入れてしまう。そういう事務取扱いだけをやつておるという御説明だつたが、これも御説明願いたいと思います。  それから事務取扱費が數十億と言いますが、私の方では十七億ばかりだつたと思つたが、どうですか。それがほとんど人件費であつて、しかもそれが七〇%と言いますが、その七〇%は事務取扱費の七〇%が人件費として使われておるのかどうかを御説明願いたいと思います。
  34. 大野勝三

    ○大野(勝三)政府委員 私の説明が不十分でありましたが、保險特別會計と年金特別會計は逓信省所管の事務であります。しかし會計的には通信特別會計と別個の世帶になつておるわけであります。そこで現實に郵便貯金の運營費、郵便局の人の經費は、すべて通信特別會計で現在もつておるわけでございます。その通信特別會計所屬の施設や人を使つて保險、年金、郵便貯金等の仕事をするわけでございますから、勘定としましては、獨立した別の勘定から、こちらの勘定に經費の操入れをいたしておるのでございます。それから十七億とおつしやいました數字は、大體本豫算はその見當でなかつたかと思いますが、それに追加豫算でまた相當追加されますので、總額といたしましては、ちよつとはつきり覺えておりませんが、數十億に上ると考えております。
  35. 林百郎

    ○林(百)委員 それからその七割が人件費でありますか。
  36. 大野勝三

    ○大野(勝三)政府委員 大體そういうことでございます。
  37. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、今の貯金と保險と年金は、所管は逓信大臣だが、會計的には獨立した會計でやつておるというのですか。そうすると年金なり保險なり貯金なりで預金された預金の運營は、この會計が獨自で運營できるのか。この方は全部大藏省へいつて、運營は大藏省へ任してしまつて事務取扱費だけが豫算によつてこの會計の方へ操りもどされてくるのかどうか、そこを御説明願いたいと思います。
  38. 大野勝三

    ○大野(勝三)政府委員 私からお答え申し上げますのは、あるいは適當でないかとも存じますが、保險と年金の運用の問題につきましては、事業自體が逓信大臣の所管でありましたので、從前はすべて逓信省において行つてつたのでございます。戰爭中に契約者貸付という運用の形がございましたが、それを除いては、すべて國家資金の一元的運用という建前から、大藏省の方に一元化されてまいつておるのでございます。この問題について、さらに保險、年金事業を運營する上において、その運用と事業の運營とは不可分の關係があるので、さらにもう一遍從前のような形態な引直す必要があるのではないかということで、大藏當局といろいろ交渉が進められておりますことはあるいはすでに御承知のことかと思いますが、まだ結論は出ておりません。そういう經緯になつております。  それから貯金の方は、これはどういう理由か詳しく存じませんが、創始以來、預金部の方で、相當有力な國家資金として、一元的に大藏當局の方の運用となつております。預金部特別會計も大藏省の所管になつております。
  39. 小笠原光壽

    ○小笠原政府委員 ただいま林委員の御質問になりました郵便法第七十九條に關する點についてお答え申し上げたいと存じます。第七十九條の規定は、先ほどお話の通り現行郵便法の五十三條とまつたく同様の趣旨で制定いたしたのであります。現行郵便法五十三條の制定の際の經緯等につきましては、實は私寡聞で存じませんので、お答えすることはちよつと困難でございますが、公務員がその職務に關しまして處罰される場合は、郵便法以外の場合の例といたしましては、たとえば刑法の第二十五章に、第百九十三條以下數箇條にわたりまして、公務員がその職權を亂用して、人をして義務なきことを行わしめ、または行うべき權利を妨害した場合とか、あるいは裁判、檢察、警察の職務を行う者に關する罰則でございまするとか、もちろん他の公務員に關しましても、その職權の亂用等に關しまして處罰規定があるわけでございまして、郵便取扱いをしない、または遅延さしたというような、その職務を故意に執行しない場合の罰則というか、公務員を處罰する規定は、必ずしも郵便從事員のみに限定されているのでないことは、私が御説明申し上げるまでもなく、すでに御承知のことと思うのであります。特に郵便業務につきましては、事業の性質上、この事業を圓滑に運行いたしますことが、國家として絶對に必要なことであるわけでございまして、これを確保するためには、その從業員がその職務を忠實に守つて郵便取扱いをするという點にあると思うのであります。從いまして、この職責に對して、ことさらにその職責を遂行しない、郵便取扱いをしない、あるいは取扱いを怠るというような場合の罰則を設けることは、この事業の本質から考えまして、必要やむを得ない措置であると考えるのであります。
  40. 林百郎

    ○林(百)委員 今の小笠原政府委員の御説明ですが、職權を亂用して、人をして義務なきことを行わしめる、あるいは警察官や裁判官がいろいろ威迫を加えて、人民に對し義務なきことを行わしめる、あるいは官公吏が不淨な金を受取つた、そういう場合の處罰規定というものは私も知つておるのですが、ただ仕事を少し遅らした、あるいは仕事をしなかつたという不作為的なことで、懲役、罰金に處せられるというのは、どうも刑法の方にも實はないと思うのです。結局これは逓信從業員に對して懲役、罰金で威かして仕事をさせるという封建的な思想がここに殘つておるのではないかという氣がするわけです。これは私の方でも十分研究するつもりです。今の刑法についての小笠原政府委員の御説明實情とは少し食い違いがあるような氣がします。できれば現行法第五十三條の制定の由來を次會に御説明を願えたら幸だと思います。
  41. 小笠原光壽

    ○小笠原政府委員 現行法の第五十三條の制定の理由につきましては、資料がありますれば、次會にお答え申し上げたいと思います。     —————————————
  42. 天野久

    ○天野委員長代理 それでは片島委員の質問に對する政府の答辯が終りましたので、これから郵便貯金法の質疑にはいります。
  43. 中野寅吉

    ○中野(寅)委員 政府はこの法律の施行をたいへん急いでおるようですから、なるべく政府の意をくんでやつたらどうかと思います。こんな短期間でできるかという質問もあつたけれども、政府から相當年末に吸収し得る確信もあるというお答えもあつたので、政府がやつてみるというならば、こつちがぐずぐずしておつてはそ 氣を抜いてしまうから、この間のようにサボらないように、やつてみるならそれではやつてみろと、こつちの方も法案を早く仕上げてやるからという態度で、もちつもたれつで、ひとつつていただきたいと思います。
  44. 天野久

    ○天野委員長代理 ただいま中野君のお言葉もありましたけれども、もう少し質疑を續行いたしたいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 天野久

    ○天野委員長代理 それではもう少し續行いたします。
  46. 林百郎

    ○林(百)委員 この法案に關係して二つのことをお聽きいたしたいと思います。郵便貯金の限度額を大體三倍ほど上げたようでありますが、これに對して民間の金融業者、貯蓄業者の方から、官の事業を擴張することによつていろいろの壓力が加わる、あるいは事業上の支障が起るというような意見があつたかどうか。あつたとしたらそれに對しる官側ではどういう態度で臨まれるかという點が一つ。  それから郵便貯金の送金方法であります。ただいま銀行あたりでは、取引銀行と取引銀行の間に簡單に為替で送金が行われておるが、一々拂い出してまた為替に組んで送り出すということでなく、將來は貯金通帳をもつていくことによつて、相手方に簡便に送金のできるような方法を考慮いたしたらどうかと思います。この點この法案の中で考慮されておるかどうか。この二點をお伺いいたしたいと思います。
  47. 村上好

    村上政府委員 ただいまの御質問に對してお答えいたします。最高限度三萬圓に引上げる點について民間銀行業務に對して影響を與えはせぬか。また銀行側の意見はどうであるかという御質問でありますが、この三萬圓は、現在の經濟情勢におきましては、この程度の額は民間銀行に影響を與えることはきわめて少いという見透しであります。われわれはむしろ諸多の事情が許せば、これは五萬圓もしくはそれ以上に引上げたかつたのであります。しかしながら、事務的にまたこれは同時に政治的な意味があるであろうと思いますが、問題になりましたのは、郵便貯金から生ずる利子に對する所得税の課税ということが一番問題になつたのであります。現在の大藏省の課税の方針は、銀行預金についてはその利子に對して所得税をみんな課しておりますが、郵便貯金所得税を課さない建前をとつております。これはあまり引上げますと、税の基本方針を多分に修正しなければならない點、なお現在大藏省としては、主税局では三萬圓を限度として、公共的の性質をもつた機關の貯金利子に對しては所得税を課さない方針をとつてつて、これと同種類貯蓄組合法にも、三萬圓までの貯金利子に對しては免税という標準をとつておりますので、これを引上げることは大藏省當局では税制の上から困難の事情にあるのであります。かようにして逓信省としては三萬圓以上になつてもよろしい、それでは三萬圓以上は利子に税をおとりなさいということにしますと、事務が非常に複雑になります。各個人から直接とらなければならぬので、これは不可能であります。また三萬圓以内と三萬圓以上を、預金者一億五千口座に對して一々計算貯金局でやりますと、厖大な手數になる。それではとうてい煩にたえない。從いまして全部とるか、全部免税にするか、どちらかにしていただかなければ困るわけであります。ただいまのところは免税點の限界三萬圓で一應きめようということにいたした次第であります。  次に送金の場合に、郵便貯金通帳をもつてつてただちに為替にして送る方法とつたらよいではないかという御意見でございますが、逓信省制度では、別にそういう新しい制度をつくらなくても、現在あります振替貯金制度利用すれば、それで目的が達すると考えるのであります。これは金を逓信省貯金しまして、自分で使いたい場合は自分で拂い出して金を受取り得るし、また送金したい場合には、ただちにその貯金の中から拂出しの申込みをすればその目的を達せられる制度がございますので、この制度を置き、なおかつ貯金通帳をもつて送金できるような制度は、見方によつては多少二重の様式になるような面も出てくるかと思います。從いまして新法制定にあたりましては、その點まで考慮していない次第であります。
  48. 天野久

    ○天野委員長代理 それでは本日はこれで散會いたします。次會は公報をもつて御通知いたします。    午後三時二十九分散會