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1947-10-31 第1回国会 衆議院 通信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十月三十一日(金曜日)     午後一時三十五分開議  出席委員    委員長 岡田 勢一君       大石ヨシエ君    梶川 靜雄君       片島  港君    野上 健次君       小島 徹三君    千賀 康治君       田島 房邦君    長谷川俊一君       長谷川政友君    多田  勇君       林  讓治君    平井 義一君       森  直次君    河口 陽一君       林  百郎君  出席政府委員         遞信事務官   浦島喜久衞君         遞信事務官   小笠原光壽君         遞信事務官   中山 次郎君  委員外出席者         議     員 明禮輝三郎君         議     員 長野 長廣君         議     員 飯村  泉君         議     員 前田 種男君         專門調査員   吉田 弘苗君     ————————————— 本日の會議に付した事件  一 西志布志村伊崎田に郵便局設置請願(的    場金右衞門紹介)(第八〇八號)  二 柳澤郵便局電信電話事務開始請願(明    禮輝三郎紹介)(第八六三號)  三 窪川局大正局間直通電話架設請願(長    野長廣紹介)(第八九三號)  四 西郷村に郵便局設置請願飯村泉君紹    介)(第九三五號)  五 特定郵便局制度存續請願明禮輝三郎君    外八名紹介)(第九九一號)  六 歌垣郵便局電信電話事務開始請願(前    田種男君外二名紹介)(第九九七號)  遞信從業員集團缺勤行為に關する説明聽取     —————————————
  2. 岡田勢一

    岡田委員長 會議を開きます。  これより前會におきまして延期いたしまして請願六件につきまして審査いたしますが、その議決は後日に譲ります。  紹介議員の都合によりまして、日程の順序を變更いたしまして、日程第二、柳澤郵便局電信電話事務開始請願文書表第八六三號を議題といたします。紹介議員説明を求めます。紹介議員明禮輝三郎君。
  3. 明禮輝三郎

    明禮輝三郎君 柳澤村と申しますのは、愛媛縣喜多柳沢村でありまして、柳沢郵便局昭和十四年開設されまして、享便戸數五百戸柳沢村一圓と伊豫郡山境にあります下灘村部落、あるいは新谷部落、こういうような部落にまたがつて受持つておるのであります。この郵便局電話施設がございませんので、すでに當局に申し上げまして、この電話を設置されることにその通知を得たそうでありますけれども、やはり經費關係上、今日まできない事情にあります。ここにおきましては、一日十數囘電話の必要がありますたびに農業會までその電話を借りにいきます。その農業會まで三町ばかりあるところを何囘となく人手が足らぬのに往復をする。また新谷部落から急用か何かがありますときには、わざわざ人をもつて柳澤郵便局まで二里有餘のところを出向くというような事情にありまして非常に不便を感じておる次第であります。時局柄經濟の點におきましては最もむずかしい時期ではありますけれども、事が郵便局のことでありますし、殖に費用も大してかかるものではないと思いますがゆえに、優先的になるべく早くその設置あらんことを御願いする次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。
  4. 岡田勢一

    岡田委員長 本請願に對しまして政府側意見を聽取いたします。
  5. 中山次郎

    中山政府委員 御説明申し上げます。ただいまお申出のありました柳澤郵便局電信電話事務を開始することにつきましては、ただいま御紹介議員の方から御説明がありましたように、遞信省といたしましてもすでにその必要を認めまして、二十一年度に一應計畫いたしたのであります。その當時は御承知のように遞信省限りでこの計畫が實行できた時代でございましたので、できるだけ實現に努力いたしたのでありますが、あいにくあのころの物資入手状況が非常に悪く、遲れましてとうとう二十一年度にできかねた結果になつたのであります。その後本年度におきまして安本關係の方と交渉いたしまして、いろいろ本年度に實現方を引續いて努力いたしておつたのでありますが、末だに安本の方の認證を得るだけの物資の裏づけがてきておりません。實はこの事務開始をいたしますについては大體十六キロ線路を必要といたしますので、その方面で非常に困難いたしております。しかし今御紹介のありましたように、非常に不便な地域でありますので、ぜひとも來年度の第一・四半期には關係廰の認證を得まして實現いたしたい。そういうふうに計畫いたしておる次第であります。それから續きまして電信事務とか配達事務につきましては、この電話が引けました際に考慮いたしたいと思つております。
  6. 岡田勢一

    岡田委員長 本件について質疑はありませんか……。     —————————————
  7. 岡田勢一

    岡田委員長 それでは次、日程第三、窪川局大正局間直通電話架設請願長野長廣紹介紹介議員説明を求めます。
  8. 長野長廣

    長野長廣君 本請願は實は高知縣としましては最も林業方面特色をもつ地帯でありまして、電話を利用することは特に多い方でございます。しかるに窪川大正という兩町は高知市に最も近い所であるにかかわりませず、かえつて反對の江川崎であるとか中村であるとか、あるいは十川であるとかいうような郵便局を經て、そして高知の方に連絡をすることになつているのであります。從いまして商業の中心體である高知市及び縣廰等との電話の不便は相當大なるものがあるのであります。また窪川警察署管内でもあり、窪川檢察廰管内ともなり、また窪川簡易裁判所の區域内にもこの窪川町がはいつたということ、現在電話線が迂囘線になつて兩町間連絡上長時間を要するのみならず、常に故障が多くて實際に供用可能ならざること等が非常に多いのでありまして、そういう大きな不便もあるわけでありますので、地方産業開發上ぜひともこれは解決をしていただかねばならぬことと思うのであります。すなわち迂囘しているものを直通のできるようにしていただきたいということ、これについては相當の資材を要するわけでありますが、これは關係の町におきまして寄附をもつて御助力をするだけの用意がある次第でありますから、この際急速に實際をしていただきたいと存ずる次第であります。以上が大體お願い趣旨であります。
  9. 岡田勢一

    岡田委員長 本請願につきまして政府側意見を聽取いたします。
  10. 中山次郎

    中山政府委員 本件につきまして御答辯申し上げます。この窪川大正兩局市外電話線の新設のことでありますが、これは今紹介議員お話がありましたように現在では中村鍛中繼で行われております。この線路は四局も接續している關係上、非常に輻湊しております。從いまして今お話のあります窪川大正通話に非常に悪影響を及ぼしているわけであります。中村大正との間には電話線が一囘線でありまして、その通話が百通話を越えております。それから中村窪川の間の電話線はやはり一囘線でありまして、これも八十通話以上もあります。窪川大正の間は現在では通話數が一日に十六通話程度しかありませんが、これも今お話のありましたように結局非常に輻湊して不便する。それからまた四局もぶらさがつているので、非常に距離も遠いし、故障も多いために需要が非常に阻まれているという結果、この通話數が少いのだろと思うのであります。大體今財政上逼迫しております遞信省といたしまして、直通囘線を開きますのには一日に五十通話以上あるような所を標準においているわけでありますが、今申し上げましたようなそういう悪條件がありまして通話數が少いものと考えまして、私どもといたしましてはできるだけ御希望に副いますために、今この直通線の開通を計畫いたしております。この計畫の實現につきましては、ちようど窪川局大正局との間の距離がもし線路を引くとすれば、約二十四キロほど引かなければならぬのでありますが、さいわいその途中に北之川という局がありまして、これに通話事務を開始すれば、ともども利便を得るところが多くなりますので、その通話事務開始ともにらみ合わせて今計畫しております。今申し上げましたように資材が相當要りますが、地元の方の御協力もいただけるようなお話でありますので、ぜひとも一つ來年度二十三年度において計畫を實行いたしてみたい、そういうように考えておる次第であります。
  11. 岡田勢一

    岡田委員長 本件について何か質疑はありませんか……。     —————————————
  12. 岡田勢一

    岡田委員長 それでは次に日程第五、特定郵便局制度存續請願明禮君紹介説明を聽取いたします。
  13. 明禮輝三郎

    明禮輝三郎君 現在におきまする郵便局制度については、いろいろな諸制度改廢に伴いまして特定郵便局制度廢止論がありますが、この制度廢止されますことは農村方面におきまして、いわゆるもとの三等郵便局という制度にいろいろな意味において打撃があるようであります。任用制度改廢によりまして、あるいは今まで通り自由にだれでも任用される制度が維持されるとも聞きますが、これは俗に言いますれば、特定郵便局請負制度というようなことになつておりまして、もとの三等郵便局長責任を負つて仕事を全部やつておるわけであります。これは私ども考え方からいたしますれば、きわめて民主的でありまして、でき得る限り民營事業發達を要望しておる時代でありますから、この特定局廢止につきまして、特に任用制度はもちろんのこと、これ經濟問題についても、今までのような制度におきまして著しく弊害のない限りは、この制度による民主的な活動を自由にさせるという特定局が欲しいと思う次第であります。これは私どもの縣下におけるたくさんの所から參つております。これは私どもの方だけでなく、全國にそういう問題があると存じますので、どうか十分に御研究賜わりまして、希わくはこの制度が今まで通りより一層民主的にいくように、御盡力を願いたいと思う次第であります。これをもつて終ります。
  14. 岡田勢一

    岡田委員長 本請願について政府側意見を聽取いたします。
  15. 小笠原光壽

    小笠原政府委員 特定局制度存續の御請願につきまして、政府考えておりますところをお答え申し上げたいと存じます、特定郵便局制度を存續するか撤廢するかという問題につきましては、今期のこの委員會におきまして、これまでも兩方の御請願がございまして、その都度政府側考えを詳しくお答え申上げてまいつたのでございますが、この特定郵便局制度そのもの——承知のように、現在の通信機關の大部分のものは特定郵便局なのでございます。すなわち一萬四千近くの郵便局の中で一萬三千までは特定郵便局であります、この特定郵便局地方事情に即した部内外人材特定郵便局長に起用する、いわゆる局長自由任用制度と、それからもう一つ局運營經濟性、この二つがこの制度特色であると考えられているのでございますが、もとよりこの特色は今日の事態に照らしましても必ずしも悪いわけではない、ただその運營の上におきまして、若干今日の事態から見ますと、いろいろと適當でない點がございます。遞信者といたしましては、さような新しい事態から見て、不適切な點は速やかにこれを除去いたしまして、その特定局制度本來のよいところ、特色はますますこれを活用し、そうして今日の日本の官廳の組織の中におきまして、最も民主的であるといつてよかろうかと思われるこの遞信機關制度を生かして、ますます通信事業の發展に資したい、かように考えている次第でごをいます。     〔委員長退席千賀委員長代理著席〕
  16. 千賀康治

    千賀委員長代理 日程第五、ただいまの御説明のあつたのに對しまして御質疑はございませんか。
  17. 森直次

    ○森(直)委員 ちよつとお尋ねしたいのですが、この特定郵便局の存立か廢止かという請願は、兩方來ているのでございますが、これは一般請願と一緒に採決なさるのですか、特定郵便局の問題だけは特別にお取計らいになるのですか。
  18. 千賀康治

    千賀委員長代理 今日は初めの委員長の宣告のように、採決には入りません。採決は後日にまわします。
  19. 多田勇

    多田委員 特定郵便局の問題につきましては、この委員會と別に、官側と全遞と全特連との間にいろいろ協議が行われているように聞いておりますが、現在のところどの程度具體的に何容をきめられておるか、現在の經過をお聽かせ願いたい。
  20. 小笠原光壽

    小笠原政府委員 それではお答え申し上げます。ただいま御質問のございました特定郵便局制度の問題について、官側特定局長側竝びに遞側とどういう交渉經過になり、また今日それがどういう段階に來ておるか、御質問趣旨はそういうことのように了解いたしました。この問題につきましては、先般資料といたしまして特定局制度問題に關する經過の概要という膽寫版に刷りました刷りものと委員皆さま方に差し上げてございますので、詳しいことはそれを一應ごらん願いますれば、正確な點が御了解願えるだろうと存じますが、この制度の問題につきましては、御承知のように昨年の秋ごろから表向き問題になつておるのでございまして、全遞が特定局制度撤廢を正式に要求事項として掲げたのでございます。それ以來この問題につきましては、官側竝びに全遞との間にいろいろ交渉がございましたが、官側といたしましては終始特定局制度そのものは撤廢する意思はないのでございまして、今日の特定局制度運營面において、今日の事態から見て適當でない部分は、これは速やかに改善して、そうして特定局制度本來の長所はこれを生かしていくという方針を初めから堅持いたしておりますので、初めから實は全遞側特定局制度撤廢要求とは一致いたしませんでした。そのために中央勞働委員會等の手を煩わしたこともあつたのでありますが、その結果といたしまして、中央勞働委員會調停においては、官側竝びに遞側兩者特定局制度研究委員會みたいなものをつくつて、この制度を檢討することを、勸告と申しますか、調停もあつた次第もありまして、本年の春、官側と全遞側との間におきまして特定局制度研究委員會を開催いたしたのでございます。その研究委員會の開催に先だちまして、あらかじめ官側と全遞側竝びに特定局長代表者、この三者が本年二月の半ばに會同いたしました結果、到達いたしました結論は、局長自由任用の問題につきましては特定局長内外から自由任用すること。それから局舎の問題につきましては局舎有償として漸次これを直轄に移すこと。それから局の經營に使つておりますところの渡切費につきましては、現行の渡切費私的性質を拂拭して公經濟的に院用すること。それから特定局における切手割引制につきましても、切手歩合經理はこれを合理化すること。切手歩合經理と申しますのは、歩合として局長に支給してある中から、局員に行くべきものもあるわけなのでございまして、これをはつきりさせる、要するに歩合性質はつきりさして、局長に歸屬すべきものと局員に歸屬すべきものを明確ならしめる。そういうぐあいに切手歩合經理を合理化する。特定局從業員待遇竝びに厚生施設につきましては、普通局從事員との間に差別を設けない。それから特定局長待遇につきましては、現下社會情勢に鑑みまして特定局長生活を確保するためその給與を早急改善すること。この六つの項目につきましては、官側特定局長代表者と全遞の代表者の三者で意見が一致いたしたのでございますが、その後におきまして、全遞としてはこのうちで局長自由任用の問題、すなわち特定局長内外から自由に任用するという問題につきましては意見を變更いてしまして、自由任用制に反對であるということになつたのであります。それ以外の問題につきましては、局長待遇問題は全遞としては關與する必要がないということで——一應は今申しましたように、現下社會情勢に鑑みて特定局長生活を確保するためその給與を改善するということに意見が一致したのでございますけれども、その後正式の打合せにおきまして、局長待遇問題は全遞としてはタッチしないということになりました。その以外の局舎とか、渡切費の問題とか、切手歩合從業員待遇竝びに厚生施設につきましては、全遞としてはこの三者合同の結果到達した結論をそのまま支持いたしておりましたのですが、その後さらにこのうちで切手歩合の問題につきましてまた考えが變りまして——今日特定郵便局に對しては切手を官から割引いて賣り渡しておるのでございます。特定局長に割引いて賣り渡しまして、特定局長歩合を引いて、買い受けた切手一般公衆に窓口で賣りさばくということになつておるのでございますが、このやり方をやめて、普通郵便局におけるがごとく特定局現物を配給する方法をさらに全遞としては主張を始めてのでございます。從いまして、今日官側と全遞と意見が一致いたしておりません點は、局長自由任用の問題については官は自由任用制を維持する考えでございますが、全遞側自由任用そのものは必ずしも反對でないけれども特定局長のみ自由任用制を適用するということは、特定局長差別扱いするのだというような理由でこれに反對いたしております。それからいまの切手の賣りさばきの問題につきまして、特定局長に割引いて賣り渡すという方法ではなしに、現物特定局に配給してそれを公衆に賣り渡すという方法にかえてほしいということを要求いたしておりまして、この二つの點が官側と全遞側意見が必ずしも一致しておらない點でございます。そのほかの點につきましては、方針としては意見が一致いたしております。このうちで局の經營に要するところの渡切費私的性質を拂拭して公經濟的に運用するという問題につきましては、すでに今月の初めからこれを實行に移しております。從業員待遇竝びに厚生施設につきのましては、すでに普通局從業員特定局の從事事と何ら差別のないように處遇をいたしておるのでございます。なお局舎の問題につきましては、先ほど申しましたように、局舎有償とし漸次これを直轄に移すことというので、さしむき特定局舎を國において借入れる。現在は特定局長提供義務を負わせまして、特定局長特定局長なるがゆえに一方的な義務として局舎を官に提供しなければならないことになつておるのでありますが、そういう提供義務というものを發止して國において借入れる。すなわち普通の賃貸借契約に改めることを計畫いたしておるのでございます。これは一般的には二十三年度から實施いたしたく目下準備を進めておる次第でございます。かように大部分の問題は全遞側意見が一致しておりますが、局長自由任用の問題と現物配給の問題につきまして意見が一致しておりません。ただいま全遞は御承知のように基本的な待遇の問題を初めといたしまして、若干の問題について中央勞働委員會提訴をいたしておるのでございますが、その提訴のうちの一つの問題としてやはり特定局制度の撤廢促進を掲げておるのでございます。大體今日までの状況はただいま申し上げましたような次第でございます。
  21. 多田勇

    多田委員 ただいまの説明で大體わかりましたが、この申合せ内容を拜見しますと、特定郵便局制度從來の形でなしに、今後豫算が許せば國の經營に移すという建前で進んでおられるように思われるのでありますけれども、今日までの長い歴史の遞信事業發達に對する特定郵便局のいろいろな功績といつた點から考えまして、特定郵便局制度從來考え方のもとに存置していく考えでございますか、それとも萬事豫算の許す範圍内において、國の經營に移管していきたいという考え方で進まれておられるのか。この點についてお伺いいたします。
  22. 小笠原光壽

    小笠原政府委員 特定局制度も、從來はとかく一般的にいわゆる請負制のように言われておつた時代がございますけれども實際内容は、實は特定郵便局經營の中で、人件費に關する限りは全部いわゆる直轄制でございまして、普通郵便局と何ら違つておらないのでございます。結局いわゆる請負という言葉が當るか當らないかは別といたしまして、そういうような形態のものはどこに殘つておるかというと、物件費についてだけ殘つているようになつております。今遞信省として考えておりますところの制度の改正は——要するに特定局制度の最も主要なる特色は、一つ局長任用制の問題、すなわち特定局長を廣く部内外から地方實情に即した人材特定局長に自由に任用する。一般の官吏の交官任用令によるような一定わくにはまつた人だけを任用するという方法ではなしに、部内部外の廣い範圍から特定局長としての適材を自由に任用するところに一つ特色があると考えておるのでございます。これは特定局制度が始まつてからそういうかつこうになつておるわけでございます。これは今後もそういう考え方は維持していきたいと考えております。  それからもう一つ特定局制度特色は、局運營經濟性という點にあるわけであります。この點は一定のいわゆる渡切費を支給しまして、その一定の金額でもつて局運營の一切經費に充てるというのが、これまでの渡切費の性格でございます。しかもそれもついせんだつてまでは、局長一定經費を支給いたしまして、その經費局長は全責任を負つてその局運營の一切の經營を賄わなければならないというかつこうになつてつたのでございますが、十月一日からこれをいわゆる公經濟化いたしまして、結局官から指定せられた費目に對してその經費を最後まが官金として經理して處理する。今までの請負という言葉と比較的違つてきたかと思いますが、公經濟化されることによりまして、要するに局長の私經濟と、局運營のための公經濟というものを、切り放して考えることにしたのがこの公經濟化でございます。しかしながら特定局經營はできるだけ經濟的にやつていく。可能の範圍において、また合理的な範圍において經濟性を維持する。そういう意味において普通郵便局では渡切費という制度はございませんけれども特定局においてはこの制度を維持していきたい。このほか切手の割引賣りさばき制というものも、普通郵便局においては現物配給制度になつておりますけれども特定局については、比較町簡易な方法としての切手割引制を維持していきたいと考えておる次第でありまして、局運營經濟性ということが第二番目の特色であると思います。ただこの第二番目の局運營經濟性ということにつきましては、時勢の推移に伴いまして、昔のような程度には必ずしもこの問題を考えることができなくなつたわけでございます。そこのおのずから時勢に照らして適正な限界を設けなければならなくなつてきたと考えられる次第でございます。そういうような二つ特色をできるだけ生かしていつて、しかも運營の面において、時勢に副わない點を直していきたいというのが遞信省考えておる基本的な考え方であります。
  23. 千賀康治

    千賀委員長代理 御質疑等ございませんか……。     —————————————
  24. 千賀康治

    千賀委員長代理 それでは日程第四、西郷村に郵便局設置請願議題にいたします。紹介者飯村泉君。
  25. 飯村泉

    飯村泉君 西郷村は茨城縣東茨城郡にありまして、本縣の西北部に位する山間の村でありまして、縣内でも屈指の大村でありますが、未だに郵便局が設置されておりません。五百戸三千人の農民が非常な熱意をもつて昨年請願を出しまして、次年度に考慮するという囘答があつたのでありますが、そのままになつております。この村の状態は隣接の郵便局との最短距離が一里ありまして、他は二里以上でございます。この最短距離一里の郵便局に達しますのには一泊しなければならないような状態であります。この村は山脈の中間にありますために、とうてい一日では行つて歸れないような所であります。他の郵便局に達しますにも、一日がかりでいくような状態でありまして、本村に郵便局が設置されることによつて、そういう事務的なことばかりでなく、そこに文化の明るい面が現われたということから、農業に励む者に大きな希望をもたせることも甚大であろうと思います。私も地元民としてぜひともここに郵便局を設置したいと熱望しておる一人でございます。委員各位の特別なる御詮議をいただきまして、何とぞ御採擇せられまするようお願いいたします。
  26. 千賀康治

    千賀委員長代理 これに對しまして政府委員意見を聽取いたします。
  27. 小笠原光壽

    小笠原政府委員 それではお答え申の上げます。ただいま御請願のございました西郷村の郵便局の設置につきましては、大體この西郷村大字下古内字結切という所がございます。この字結切に郵便局をかりに置くものと一應計畫いたしてみたのでございまするが、ここにかりに置いてみることを考えてみますると、もよりの局との間の關係、あるいはまたその郵便局を利用される方々の戸數といつたような點から勘案いたしまして、それは御請願趣旨のように郵便局を設置する必要があると考えられます。殊に現在はこの西郷村には一つ郵便局がない、通信機關がない、窓口機關がないという状況でございます。遞信省といたしましても、現在通信機關の全然ない町村が約二千近く全國にあるわけでございまして、こういうような町村にはできるだけ速やかに逐次窓口機關を置いていきたいという考えをもつておる次第でありまして、結切にもなるべく速やかに、豫算關係竝びに他との振合いを見まして、無集配郵便局を設置するように考慮いたしたいと考えております。ただ何分にも、御承知のように目下の通信財政の窮状からいたしまして、今年度は困難であると考えまするが、豫算竝びに他との振合いを見まして、なるべく速やかに設置するように考慮いたしたいと存じております。
  28. 千賀康治

    千賀委員長代理 以上に對しまして御質疑がございませんか……。     —————————————
  29. 千賀康治

    千賀委員長代理 御質疑がございませんから日程第六を上程いたします。歌垣郵便局電信電話事務開始請願紹介議員田種男君。
  30. 前田種男

    ○前田種男君 歌垣郵便局電信電話事務開始請願の件は、大阪府豐能郡歌垣村でございますが、地位は大阪府の北端でありまして、京都府、兵庫縣と大阪府との接近している地域でございます。土地柄からいつても、京都市、大阪市、あるいは池田市等と密接な關係がございますので、ぜひとも當郵便局に對して電信電話事務が始められますように、御配慮を願いたいという請願趣旨でございます。本件は全村一致の要望によつて請願されたものでありますから、さしずめのいろいろの問題等につきましては、當局に村をあげて協力するという熱望もございますので、この實現に對しましては、いろいろな點で當局と密接に打合せをして進めていきたいという村民の意思でございます。そうした意思等もおくみとり願いまして、ぜひとも御採擇願いますように委員各位の同配慮をお願いいたしまして、簡單でございますが、説明にかえる次第でございます。
  31. 千賀康治

    千賀委員長代理 本案に對しまして政府委員説明を求めます。
  32. 中山次郎

    中山政府委員 遞信省の意思を申し上げます。ただいまの件につきましては、本年度の第四・四半期でもつて計畫いたしたいと思つております。それは今御紹介のございましたように、この郵便局電信電話事務開始をする必要は、遞信省といたしましても認めております。ただ電信の方は電話事務開始後に計畫いたしたいと思つております。それから電報の配達がございますが、これは現在ここを受持つております局と、この歌垣局との間は三キロにも達しておりませんので、配達事務をただちに行いますことは、ちよつと困難かと思うのでありますが、さしむき電話の交換事務開始につきましてこの第四・四半期に實現いたしたいと思いまして、安本の方に提案いたし、その認證を得るように努力いたしたいと思う次第であります。
  33. 千賀康治

    千賀委員長代理 御質疑はございませんか。——日程第一は紹介議員が缺席でございますので、これは後日にまわすことにいたします。     —————————————
  34. 千賀康治

    千賀委員長代理 續きまして日程を追加いたしまして、遞信從業員の集團缺勤につきまして、さいわい政府委員の浦島勞務局長が出席でありまするから、その經過を伺うことにいたします。この問題は國民あげて非常に心配をし、注意をいたしておるところで、ほとんど營業の根底が覆つておるような向きが非常に多いので、さだめて委員諸君も御心配だろうと思います。政府委員説明を求めます。
  35. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 當面問題となつておりまする東京中央郵便局を中心としました遞信從業員の集團缺勤の状況につきましては、新聞においても一部發表せられておりますし、また先日の勞働委員会、あるいは衆議院の本會議におきまして遞信大臣から詳細にわたつてお話をしておられるのでありますが、なおこの機會にはなはだ僭越でございますが、私から今日までの概況を御説明申し上げたいと思うのであります。今囘の東京中央郵便局の集團缺勤が起りましたのは、實は御承知のように東京都の行政區といたしまして中央區——京橋區、日本橋區を區域といたしまする地域内にありまする通信官署の全遞組合の支部をもつて結成しております東京中央地區協議會というのがございますが、この地區協議會が待遇改善を要求いたしまして、そのことにつきまして都勞委に提訴いたしまして、都勞委からさらに中勞委に移管されまして、中勞委におきまして調停委員會が開催されておつたのであります。それに相前後しまして、同じ要求項目につきまして全遞本部が全國を代表しまして、官側との交渉に不滿があるというところによりまして中勞委に提訴いたし、これも同じく中勞委の調停委員會において審議せられつつあるわけであります。この中央地協の調停委員會と全遞の調停委員會が日を相前後して開催せられまして、内容がほとんど同一でありますので、調査委員會においてはあるいは一つ調停委員會、あるいは合同の委員會において審議が進められておつたのでありますが、中央地協の提訴は全遞よりも日にちが早かつたのでありまして、九月の六日に都勞委に提訴いたしました。これからいわゆる勞調法にいいます三十日間の罷業權の獲得の期間が進行いたしまして、中勞委の調停委員會調停案が結論を得ない前に、すでに時日が經過いたしまして、十月の六日に罷業權をとつたわけであります。ところが中央地協といたしましては、あの要求の中に、現實に自分たちが食えないから二箇月分の月収を即時支給しろということがありますが、この問題について中央地協としては一日も調停案の結論をまつわけにいかない。もう事態は逼迫してきている。そこで調停委員會としてはこれだけでも切り離して何らかの結論を得てもらいたいという強硬な要望がありまして、調停委員會とされましてもその事態を諒とせられまして、この問題を切り離して何らか中間的に問題を解決しようというところまで調停委員會が進められたのであります。それによりまして調停委員會として一應中央地協のこの要求に對して、とにかく各目は何でもよいが、この際一時金千五百圓程度を中央地協の從業員に遞信大臣として出してもらえないかと、調停委員會の末弘會長より、正式のものではありませんが、そういう意向の申入れがあつたのであります。これに對しては遞信大臣とされましても、とにかく中央地協だけはこの際千五百圓を出すことはできない。また調停委員會もすでに開催中であるし、同じ内容で全遞が提訴して、これが調停委員會によつて審議せられているので、全國的な觀點においてこれを解決しなければならぬ。從つて千五百圓の一時金を出すことはできないが、しかし政府しては目下千八百圓の差額の三箇月分を國會の承認を得て出そうということになつている。これを一日も早く出すことにしよう。衆議院もちようどそのところには通過しておりますし、參議院が二十一日に通過すればただちに出すようにするのだから、とりあえず現實の問題としてこの差額金の支給によつて當座をしのいでもらいたい。こういう意味におきまして遞信大臣から末弘會長の申入れに對して囘答され、調停委員會においてその折衝の結果を發表せられました。これに對して中央地協としては不滿であるというところから、事態が急に逼迫をして、ちようど今月の十八日であつたのでありますが、千五百圓ももらえないということになりましたので、十八日の夜、中央郵便局の小包課と普通課の當夜出勤しておりましたところの從業員約三百名程度の者が會合いたしまして、いろいろと協議をいたしたようであります。その結果、翌日は宿明けでありますので、二十一日の朝から、とにかく自分たちは出勤しないというような申合せをしたようでありました。それが二十一日でありまして、はたしてその申合せをしました大部分が出勤していない。それからだんだんと状態が擴まりまして、特に小包課と普通課におきまして出勤率が非常に悪くなりまして、ある日は小包課においては、わずかに十パーセント程度の出勤率になつているようなときもあつたのであります。普通課においては三、四十パーセント、こういうときもあつたのであります。これがだんだんほかの課にも波及しまして、日の經つにつれましてはかの課にもやはり同情的にか、あるいはまた自發的にか、出勤率が非常に低下をいたしまいつたのであります。そのために東京中央郵便局の小包と普通都便、特殊郵便が非常に停滞を來しまして、業務の運行がまつたく麻痺状態になつたのであります。この事態に鑑みまして、事、通信事業は公共事業としまして、一般都民の方に非常な御迷惑をかけることでありますので、政府としてはかよな事態に對しまして、二十二日の午後、政府の見解として警告書が發せられたのであります。この警告書の内容は新聞等で御承知と思いますから詳しく申し上げませんが、とにかく今囘のこの中央郵便局をめぐりますところの集團缺勤は、いわゆる不當な爭議である。從つて給料の差引なりあるいはまた必要なるところの處分も行う、こういう意味の警告書が發せられたのであります。この警告書につれまして、遞信大臣は早速全遞の土橋委員長ほか幹部を、政府聲明のありましたその晩招致して、政府の警告書を傳達せられまして、組合として統制ある、しかも全遞としては目下その要求事項について調停委員會に諮つていることであるから、あくまで統制あるところの行動をするようにしてほしい、かような集團缺勤がないよいに善處してもらいたい、こういう意味の申入れを警告書の傳達かたがたいたしたのであります。また私の方では各遞信局にそれぞれ政府の警告書を連絡いたしますともに、當面の中央郵便局に對しましても、東京遞信局長より東京都の中央協議會の會長を通じて警告書を發せられたのであります。この警告書の發せられました結果、集團缺勤の様子がどうなつたかということにつきましては、この警告書は組合または組合員に相當大きな反響と申しますか刺激を與えたのであります。當然この警告書に對しては組合として反對することは申すまでもないことと存ずるのでありますが、早速中央地協の會長の名前におきまして、この政府聲明に對するところの反對聲明を出したのであります。組合としましてはあくまでこの政府聲明に對しまして眞向から反對だという態度をもちまして、今日までいういうな機會に聲明その他掲示等をやつておるのでありますが、この政府聲明が實際の東京中央郵便局從業員に與えました結果はどうなつたかと推察してみますと、二十三日の朝新聞に出たのでありますが二十三日も、一部においては多少は出勤率はよくなつたのでありますが、やはり依然として状態は悪かつたのであります。二十四日になりましても最も集團缺勤の多かつた普通課、小包課においては依然として出勤率が悪いのでありまして、從つてだんだんと郵便の停滞が多くなつてきたのであります、しかし二十五日になつてかなり出勤率が向上してまいりまして六、七十パーセント程度に上つてまいつたのであります。それかさらに二十六日になりまして非常によくなりまして、特に悪かつた普通課においては一〇四・六%の出勤率を示してくる。また小包課においても七九・三%の出勤率に上つてきたのであります。また比較的平靜でありましたその他の課においても從來に増して出勤率がよくなりますし、特に集配課においては一二八%の出勤率を示してまいつたのであります。この状態が二十七、八と續いて、大體出勤率はよくなつてきておると申しても差支えないのでありますが、しかし從業員自身の仕事ぶりから見ますと、出てきておりますけれども、仕事のさばけぐあいから見ると、なかなか仕事がはかどつておらない。あるいはその職場において職場大會の名において會合をいたしますし、また會合しませんでも、仕事をせずにそのままおる。あるいはまた自分たちは千五百五十カロリーしか與えられてないから、千五百五十カロリーだけの仕事をするというふうな口吻を漏らしまして、仕事の方は出勤率に比較しましてはかどつてない、こういう情勢になつておるのであります。さらに政府警告書につれまして、昨日集團缺勤者に對しまして給料を差引く具體的な通牒を發せられたのであります。この通牒の結果——とにかく組合としては盛んに當該局長または遞信局長を通じまして、給料を差引くということは不都合だ、こういう申入れをいたしておつてのでありますが、これがいよいよ通知をされたということになりまして、いかなる影響を及ぼすかということについては、今後の状態を見なければならぬのでありまして、はたしてよい方に向きますか、悪い方に向きますかわかりませんが、とにかく既定の通りに遞信省としてはこの集團缺勤者に對して二十五日以後の分について給料を差引く、こういう措置をとつておりわけであります。これが中央郵便局の集團缺勤の概略でありますが、同じく東京中央地協の區内にあります各局のほかの動きを見てみますと、日本橋の郵便局は東京中央郵便局と同じように、二十一日より缺勤者が非常に殖えてまいりました。そのために郵便、電信等が相當停滞を來しておるのでおりますが、これも漸次出勤率がよくなつて、今日においては中央郵便局ほどでありませんが、出勤率についてはかなり良好の域に達しておるのであります。それから中央電信局の動きでございますが、この中央電信局においては、あの中央郵便局で集團缺勤の事態が起りますその當初、二十一日の夜だつたと思いますが、中央電信局の組合の執行委員長ほか幹部が遞信大臣に會見を申し上れまして、とにかく從業員生活に困つておるのだから、何とかこの際手を打つていただかなければ、自分たちとしても從業員を抑えることができない。あるいは中央郵便局と同じような集團缺勤の事態が起るかもしれぬから、何らか手を打つていただきたい。こういう申入れがあつたのでありますが、その際大臣初め幹部の方々が、よく今日の事態を理を盡してその組合の幹部に説得されました結果、自分たちとしてはそれまでは一應歸つてなお組合員に努力をしてみる。中央電信局としては統制ある行動をしたいということは最初から變りないのであるが、統制ある行動方向に向くように努力しようということになりまして歸りました。組合幹部の努力の結果が現われましたか、あるいはまた組合員全員の意思がこういこうとになつたのかもしれませんが、中央電信局としてはあくまで全遞の本部、あるいは中央地協から正式の指令がない以上は、一切かようなる爭議行為には出ないという決議になりまして、中央電信局においては何ら集團缺勤の事態は起つておらないのであります。また中央電話局においては最初から何ら問題がなく、今日まで平生通りに行われておるのであります。その他京橋郵便局においては一部最初かなり動揺がありましたが、これもあくまで組合として統制ある行動で進んでいるようでありまして、京橋郵便局ども何ら集團缺勤の事態はないのであります。集團缺勤を行いまして世間をお騒がせしましたのは中央郵便局がその最たるものであります。この集團缺勤に對しまして組合の方では、これは皆が食えないのだから自然發生的に起つたものである。從つて爭議行為ではない。また組合としてもできるだけこれは抑えてきたのだ、しかし組合としてはどうにもできないことになつて、自然發生的に起つたものである。こういうふうに申しておるのであります。しかし集團缺勤の事態は今囘の東京に起りました事件ばかりでなくして、この八月ごろより大阪、神戸方面その他において集團缺勤の事態が起つてつたのであります。それを一應ここで御參考までに申し上げますと、まず神戸の中央電信局において、八月の二十日ごろに職場大會の結果、生活が困るから、九月の給料を八月に繰上げて支給してほしい、こういう要求が當該局長になされました。しかしこの給料の繰上支給ということは建前上できませんので、局長から不可能である旨囘答いたしましたら、その結果を職場大會を開きまして、組合として報告をいたしたのでありますが、組合員はその囘答が自分たちの豫期した要求通りにならないというわけで、その職場大會に出ました一部の者が當日より缺勤をいたしました。これが約一週間ほど續きまして、多い日は缺勤者が六十一名という數に上つたのであります。しかしこれも八月の終りに一應平靜にかえつたのであります。ところが九月の十日になりまして、大阪の中央郵便局においてまた集團缺勤の事態が起つたのであります。これはやはり食えないから何とかひとつ金を出してほしいというのを局長に出したら、これが容れられなかつたということで、九月の十日から三日間にわたりまして集團缺勤をいたしたのであります。最初の日が一番多くて二百八十一名の缺勤者があつたのであります。大阪中央郵政局はこの三日間で一應治まつたのでありますが、同じ大阪市内で搬送工事局—これはおもに長距離線の工事をやる所でありますが、この搬送工事局におきまして、やはり集團缺勤の事態が起つたのであります。この搬送工事局においてもやはり食えないから、何とかひとつ金を出してほしい。という要求を出しまして、とうていそれが達せられなかつたので缺勤者が殖えました。これが九月の二十日からやはり一週間ほど續きました。一番多いときは百三十一名の數に上つたのであります。ところがさらな名古屋においては、名古屋の中央電信局におきましてまた集團缺勤の事態が起りました。これは九月の二十五日から三日間續いたのでありますが、多い日は七十六名の缺勤者が一時に出た。こういう事態が起つたのであります。また名古屋の市内におきましても名古屋の中村郵便局におきましても、多いときには九月の二十九日に九十一名の缺集者が生じた。こういうことになつております。名古屋の方は數日で治まつたのでありますが、さらに十月にはいりまして、大阪の中央電話局におきまして集團缺勤の事態が起つたのであります。これがやはり約十日ほどずつと續いたのでありまして、多い日には五百六十名程度の缺勤者があつたという事態が起つたのであります。この十月にはいりましてから、大阪中央電話局を第一といたしまして、大阪市内の吹田、守口、更池、西成、大阪の東局、大阪の西局、天王寺その他數局におきまして、やはり一時に缺勤者が殖えました。かような各所に起りました缺勤によりまして、あるいは電報の疏通が停滞したり、あるいはまた郵便局におきましては、突如として缺勤者が殖えましたのだ、郵便の配達が不可能になつたり、とにかく當然出てくるはずの集配員が全部出てこなくなつて、一方面の配達がでぎなくなつたり、かような事態が起つてまいりました。今日までも集團缺勤がかように各所にぽつぽつと所をかえて起つておりまするし、また起りました經過から見まして、いわゆる組合として要求を出した。しかし要求が通らなかつたから、組合として爭議にはいるという決定はいたしませんけれども、組合員が多數爭議と同じような事態を生ぜしめておる。また中にはほんとうに金がなくて出勤ができない者もあるかもしれませんが、集團缺勤の起りますように、中心分子が非常にアジる。かようないろいろな事態がありまして、私どもといたしましては、なるほど組合の方では食えないから自然發生的に起るものだと言いますけれども、今日までの各所に起つております集團缺勤の状態から判斷いたしまして、決して各人一人々々の都合によつて、しかも一時に同じように起り得るものとは考えられないのであります。やはりそこに職場の一部の者が、何らか横の連絡なり一部の煽動者に乘りまして、かような事態が起つたものと考えられる點が非常に多いのであります。それで京阪神方面、名古屋方面に起りましたのは、そういうわけで見送つてつたのでありますが、いよいよ東京の中央郵便局状態から見まして、これはもう遞信省としても捨ておくわけにいかないのであります。要するに大阪方面の集團缺勤と同じような状態が、東京にまた起つた。しかも日本の中心である重要な局に起つたということになるわけであります。かような今まで現われてきましたところの集團缺勤の状態を見まして、どうしても私どもとしては爭議行為として斷定せざるを得ない。しかも正當なる組合行動としてでなくして、いわゆる一部の人の煽動なり、あるいは一部の不半分子の集合によりまして起つた節が非常に多いように考えられますので、御承知政府説明の警告書が發せられたわけであります。以上大體今日までの遞信部内に起りました集團缺勤の状況を概略申し上げまして、御參考に供する次第であります。
  36. 千賀康治

    千賀委員長代理 以上に對しまして御質疑がありましたら、この際お許しいたします。
  37. 長谷川政友

    ○長谷川(政)委員 ただいまの御説明によりまして、今までの經過は詳細にわかつたわけでありますが、しかしながら今後一日遲れれば、遲れるだけ國民は非常に迷惑する。それに對して本省側においてこういう條件ならばただちに解決するのだという、この事件を早く解決するところの、何か腹案をおおもちですか。
  38. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 東京中央郵便局、東京地協に起りました状況からいたしますと、中勞委の調停委員會において、中間的に申し上げました千五百圓、これを出せばあるいは一應治まるかもしれませんが、これは大臣から囘答せられました通りに、政府としてはできない。こういうことになつておりますので、根本的な解決はむずかしいのじやないか。こういうふうに考えております。
  39. 森直次

    ○森(直)委員 新聞によりますと、中勞委の公聽會が和田さんの發言で流會になつたそうでありますが、これは全國に波及するおそれはありませんか。
  40. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 公聽會に私どもも參つたのでありまして、あの公聽會は、調停委員會において、組合側、政府側の言分をよく聽く、しかも政府側のほんとうの權威あるところから話を聽くというわけで開かれたのでありますが、あれは御承知のように當初から空氣が險悪でありまして、全遞においては席をけつて退場いたしたのであります。全遞としてあの公聽會の結果何らかの行動に出るということは私としてはあり得ないと思うのでございますが、ただあの空氣から見ますと、政府が千八百圓ベースを堅持するということに對しましては、組合側としては、これは當然だとは思いますが、非常な不滿が感ぜられますし、今後の全遞としての行き方につきましては、實は明日から長野縣の松本において全遞の定期の全國大會が開催されますので、おそらくそこで今後の全遞の行き方につきまして討議せられるのじやないかと思うのであります。その結果、全遞として全国的にストライキにはいるかどうか。これは私どもとしてまだ豫斷はできないのでありますが、調停委員會としてはまだ目下懸案中でございますし、元來からいきますと、調停委員會調停案によつて態度をきめるのがほんとうの組合の行き方じやないかということを私自身は考えておるのであります。
  41. 森直次

    ○森(直)委員 すると、今のところは大體東京と大阪だけで、全國ではないわけですね。
  42. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 そうです。
  43. 千賀康治

    千賀委員長代理 ほかに御質疑ございませんか…。それでは今日はこの程度で散會して御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 千賀康治

    千賀委員長代理 御異議ないようでございますから、本日はこれで散會いたします。    午後二時五十九分散會