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1947-09-23 第1回国会 衆議院 水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年九月二十三日(火曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 青木清左ヱ門君    理事 庄司 彦男君 理事 馬越  晃君    理事 三好 竹勇君 理事 西村 久之君       加藤 靜雄君    金野 定吉君       鈴木 善幸君    藤原繁太郎君       松本 眞一君    矢後 嘉藏君       宇都宮則綱君    神山 榮一君       石原 圓吉君    川村善八郎君       坂本  實君    冨永格五郎君       内藤 友明君  出席政府委員         大藏事務官   前尾繁三郎君         農林事務官   藤田  巖君  委員外出席者         大藏事務官   原  純夫君         專門調査員   小安 正三君     ————————————— 九月二十日  師崎漁港修築請願深津玉一郎紹介)(第  六一六號)  浦安町逢束船溜擴張工事施行請願堀江實藏  君紹介)(第六三四號)  長崎漁港施設修築請願本田英作君外一名紹  介)(第六五一號)  蛟燒村船溜修築費國庫補助に關する請願(本  田英作君外一名紹介)(第六五二號) の審査を本委員會に付託された。     ————————————— 本日の會議に付した事件  漁網課税に關する件  小委員會名稱變更の件     —————————————
  2. 青木清左ヱ門

    青木委員長 これより會議を開きます。  お諮りいたしますが、八月二十九日漁業資材活用小委員會に變更することに決しました小委員會を、さらに漁業資材小委員會に變更いたしたいと思いますが、これを漁業資材小委員會に變更することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青木清左ヱ門

    青木委員長 それでは漁業資材小委員會と決定いたしました。     —————————————
  4. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 もじ網等に關する課税の問題につきまして、大藏當局質疑を行いたいと思います。今囘もじ網等につきまして課税をされるということでありますが、もじ網は申すまでもなく生産資材であります。これが製造の過程におきましては、なるほど織物のような生産行程をとるのでありますけれども、これは最終消費財ではなくて漁網として明らかに生産資材である。このような生産資材課税をいたしますれば、勢い魚價に大きな影響をもつてくる。しかして結果が消費大衆の大きな負擔に相なるのでありまして、大衆課税のような意味をもつことになると思うのであります。まず第一にわれわれがこの課税に對して反對をいたしますのは、この生産資材課税をするという點であります。しかもこの課税の額は、現在のもじ網等生産の状況からみまして、わずかに四百萬ないし五百萬程度の小額のものでありまして、國の財政の面からみれば、微々たる収入にしかならない。しかも、その結果するところは消費大衆に及ぶというような事情にございますので、この點からもじ網等に對する課税はいかがかと思うのであります。なおこのもじ網は一般綿糸網のものと縫い合わせまして魚とり部の一部に使用されているということでありまして、他の漁網には課税されずに、その網のきわめて一部分であるところの魚獲り部のものに課税をするということは、この點からも非常に疑義があると思うのであります。かつて漁網非課税物資として明記されておつたものでありまして、今囘は漁網全般非課税物資として明記されておりませんけれども生産資材である漁網、この中には當然このもじ網も非課税物資として指定さるべきものであると考える次第であります。次に、このもじ網を使用いたします漁業者は、御承知のように、瀬戸内海等きわめて零細な小漁民であります。そのわずかな生産によつて生活を營んでいるような事情にあるのでありますから、これに對する課税は、漁村政策の面からも十分これを檢討する必要がある。こう考える次第であります。以上のような觀點からいたしまして、このもじ網等に對する課税は、愼重に檢討して非課税物資として取扱われることが適當であると考えるのでありますが、御當局の御考えはどうであるか承りたいと思います。
  5. 前尾繁三郎

    前尾政府委員 ただいまのお話の點につきましては、もじ網なり漁網なりと特に對象として課税いたしたものはございません。たまたま御承知のように織物消費税につきまして、最近綿織物課税對象にとり入れたのであります。その結果といたしまして、織物定義に從いまして、漁網課税になるものができてきた次第であります。織物消費税につきましては、御承知のように、用途による免税——これは織物消費税の性質につきましては、特に生産者に對して課税いたしておりますので、用途による免税ということは非常に困難でございます。たとえて申しますならば、この同一の織物がカーテンに使われるとか、あるいはその他の消費財に使われるという點がございます。われわれといたしましてもただいまお話のように、漁網對象として、特に課税いたしたいという氣持は毛頭ございません。しかしただそれが生産資材に使われるか、あるいは消費財に使われるかということは、生産者課税をいたしておりますその課税のときにおきましては、非常に不明確でございます。從いまして從來から織物消費税につきましては用途免税ということはせずに、織物定義に從いまして、その定義に該當するものに對しては課税をしておるような次第でございます。ただいま小漁民に對して非常な壓迫を加える、あるいは生産資材に對して特に課税するということは、われわれも非常にごもつともな點と考えておる次第でございます。ただ今申し上げましたような、それがいかなる方面に使われるかということが明確でなし、またそれ以外におきましても、從來織物消費税の慣行から申しますると、そういう場合が多々あるのでございます。特に漁網だけをとり出して非課税にする方法があるかどうかということについて、せつかく檢討いたしておる次第でありまして、御趣旨の點は十分了承いたしておりますので、さらに研究中でございます。
  6. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 御参考までになお附け加えておきたいと思うのであります。大藏當局も十分御承知かと思うのでありますが、このもじ網等一般織物と違いまして、製造のときからして漁網機として別途の特殊な工場專門につくられておるということでありまして、一般織物のように織物業者によつてこれが織られておるのではない。漁網用として專門に特殊の工場漁網機によつてこれを製網しておるという生産實情であります。從いましてこれを非課税物資としてお取扱いになつて、他に影響があるかというような懸念は毫末もない。われわれはそういうぐあいに考えております。特にその點をお考えいただいて、適當は御處置を講じていただきたい、こう思うのであります。
  7. 前尾繁三郎

    前尾政府委員 ただいまのお話はまだ私個人といたしましては知らなかつた事實でございますので、十分御趣旨に副いまして檢討いたします。
  8. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 よろしうございます。
  9. 青木清左ヱ門

    青木委員長 大藏省主税局長國税第二課長が出席されておりますが、他に御質疑ありませんか——質疑なければ次に移ります。     —————————————
  10. 青木清左ヱ門

    青木委員長 次に陳情書議題に供します。第一、沿岸捕鯨以西底曳等高能率漁業を小漁民大衆に開放の陳情書陳情の内容は陳情文書表の第一にございます。水産局長のこの問題に對する御意見を伺います。藤田政府委員
  11. 藤田巖

    藤田政府委員 陳情趣旨沿岸捕鯨以西底引網漁業のような能率のいい漁業を、廣く沿岸大衆の資力を結集して一つの組織をつくつて、これに對して許可をしてもらいたいということであろうかと想像しておるのでありますが、沿岸捕鯨以西底引網漁業は資源の關係、それから現在の稼動船數關係におきましては、すでに現在飽和點に達しておるのであります。從つて現在農林省でとつております許可方針を超えて、さらに現在雙數以上に新規許可をするという餘地はこれはちよつと考えられないと思うのであります。從つてもしもかりに漁民大衆の新しい組織にこれらの漁業を許すということを考えますと、從來すでに許可を受けておりますところのものを取消しまして、それを整理いたしまして、その許可の餘裕をつくりまして、新しくこれらの新企業態許可をする。こういうことにならざるを得ないかと思うのであります。これは沿岸捕鯨と、それから以西底引網漁業では多少事情が異なつておるように思います。沿岸捕鯨は現在捕鯨三社がこの許可をもつておるのであります。この問題につきましては、将来獨占禁止法の問題なり、あるいは經濟力集中排除の問題なり、そういうふうな法案ができました場合に、これに善處する措置を考えなければならぬかと思うのであります。以西底引網漁業の方は、これは終戰後いやしくも力のあるものに對しては許していくというふうな方針をとつてつたのでありまして、從來この漁業に從事しておりました者のほかに、さらに外地から引揚げました者、あるいはまた新しく興りました會社、そのほか沿岸漁業者らからの進出、各種のものが現在あるわけであります。これらのものについても、その一部についてはやはり、經濟力集中排除の問題なんかが起りますところのものが、これはその法案適用いかんによつてはまた考えられるかと思うのであります。私どもといたしましては、この陳情の御趣旨は、沿岸漁民をひとつ能率のいい漁業の方へも進出させてくれ、こういう趣旨においてはこれはまことに結構であると考えるのでありますが、現實の措置といたしましては、やはり從來のもののもつております許可との關係考慮しなければならぬのであります。われわれといたしましては、將來いろいろな機會におきまして、沿岸漁業者もこれらの漁業に進出するような機會をつくつていくことは、これは結構だと考えております。なおしかし具體的措置については、現在の業者といえどもまじめに操業し、長らくの經緯をもつてできてきておる關係もございますので、これの具體的解決策というものについては、なお愼重考慮する必要があるのではないかと考えております。
  12. 石原圓吉

    石原(圓)委員 捕鯨及び以西底引につきましても、終戰後はいわゆる漁業界中心とした希望者が殖えてきたということは事實であります。從つていわゆる漁村の經營上、漁業會中心として企業をしたいというに對しては、沿岸捕鯨以西底引も、當局においては愼重考慮を煩わすことに願いたいと思うのであります。殊に漁業權の問題になつておるこの場合に、捕鯨運用權であつても、このままでいくことはどうかと思うのであります。この場合に沿岸漁業中心とした企業に轉換していくように、御考慮を仰ぎたいと思うのであります。その點を希望してこの際申し述べておきます。
  13. 青木清左ヱ門

    青木委員長 お諮りいたします。本件は漁業權の問題と關連しておると思いますから、將來本委員會において漁業權に關し討議する際に、併せて本問題を再檢討していきたいと思います。本日はこれを留保したいと思いますが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 青木清左ヱ門

    青木委員長 御異議なければさよう決定いたします。
  15. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまも石原委員から御發言がございましたが、以西底引當局御説明通り事情が異なるのでありますが、沿岸捕鯨において二十五隻の制限許可隻數のうち、十九隻が日本水産に與えられており、五隻が大洋漁業に與えられており、一隻が極洋捕鯨に與えられておる。二十五隻中、十九隻を日本水産獨占支配をしておるということは、今後の日本漁業のあり方に考えまして、よほど檢討を要する點だとわれわれ考えておるわけであります。これは單なる行政措置によつて事務當局が處置することは困難だと思いますが、今後日本水産民主化をいかに推進するかというような大きな政治的な配慮から、ぜひとの抜本的な措置を講ぜられることを特に希望いたしたい。ある岩手縣の小さな漁業會社でありますが、これは土佐の出身で十八九才の時から捕鯨業に從事し、今日戰爭中から制限外のみんくくじらを捕獲しておりましたものが、乗組員と一體になつて、零細な沿岸漁民共同出資をして、そうして出資者でもあれば漁業勞働者であるというような共同生産組織によつて捕鯨會社組織し、沈没した掃海艇を一千萬圓ぐらいの融資を受けて立派な捕鯨船に改造し、沿岸捕鯨許可の指定を農林當局に申請してあるというような事實もあるわけであります。もとよりこの融資等を仰ぐにつきましては、藤田局長前任者であると思うのでありますが、今の局長許可について暗黙の了解を與えておつたのものとわれわれは推察される節がある。そのように融資までも受けて、賠償物資に充てられるようなものを、特にその筋にも手續を經て改造して、そうして許可を申請している。これらが現在の二十五隻の許可隻數に制約を受けて、こういう觀點から一蹴されて操業ができない。しかも操業ができなければ、その船の措置はどうなるかわからぬというような事情から、當事者が非常に苦慮いたしておる。當局においてはこれをそれでは日本水産にチヤーターされたらよかろう、許可を與えることができないから、日本水産から許可されたもの十九ももつているから、これにチヤーターされたらよかろうというようなことで、自營ができずに、チヤーターされて、わずかに數萬圓チヤーター料をもつて船を稼動さしているというような實情にあるわけであります。これは日本漁民民主化觀點から見て、きわめて遺憾な現實であるとわれわれは考えております。これは水産局長に對して、行政的な措置からこれをどうこうするということは困難な事情にあると思いますので、局長のみを責めることはできないと考えておりますが、大きな政治的な觀點から、これらの沿岸漁民操業の熱望は十分考慮されて、今後において適當に善處されんことを要望いたします。
  16. 藤田巖

    藤田政府委員 沿岸捕鯨の問題につきましては、いろいろと石原委員鈴木委員からお話のございましたような問題がございました。われわれといたしましても、日水自體が企業再建整備措置法によりまして措置をしなければならぬというふうな問題も起つておるわけでありまして、かたがた日本のこういうふうな制限會社になつておりますような大きな漁業會社措置考慮いたしますような場合には、私どもといたしましては、そういうふうな問題についても併せてこれを考慮いたします。できるだけ現在いろいろ問題になつておりますようなそういうふうな點はこれを解決をいたしまして、日本漁業の將來のために禍根をの殘さないように措置をいたしたい。こういうふうに考えております。     —————————————
  17. 青木清左ヱ門

    青木委員長 次に陳情第二、第四次漁船建造計畫實施に關する陳情書全日本造船勞働組合中央執行委員長安江義藏提出第五十二號、及び第三、マニラ麻等漁業用鋼索原料繊維輸入懇請に關する陳情書、青森、岩手、宮城、福島マニラ麻等輸入懇請協議會長岩手縣水産業會長伊藤佐十郎外十五名提出、第一〇二號、右二件を一括して議題に供します。以上二件はこれを漁業資材小委員會に送付したいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 青木清左ヱ門

    青木委員長 御異議なければさよう決定いたします。     —————————————
  19. 内藤友明

    内藤委員 先ほど私おりませんで、鈴木委員から主税局長にお尋ねいただいたそうでありますが、今鈴木君から聽いてみますと、大體主税局長課税することの惡いということを了承したということでありますけれども、これはひとつ水産局長から重ねて主税局長にはつきりとお願いしたいし、また委員長から何らかの方法をもちまして主税局長課税しないように、だめ押しを願いたいと思います。
  20. 青木清左ヱ門

    青木委員長 内藤君の御希望は了承いたしました。  次會は公報をもつて通知いたすこととし、本日はこれをもつて散會いたします。    午後零時一分散會