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川村委員 漁船の
建造について二、三お伺いしたいと思います。まず第一點は、今日の
造船技術というものは動力船、無動力船の
建造が一本の規則にな
つているように聞いております。
從つていづれの
漁船を
建造するにもまず
造船所に依頼をしなければならないとうことにな
つているようであります。先ほど
藤田政府委員から、小さい
漁船の
建造その他修繕については、方方でや
つているということを聞いていると言われておりますが、まさにそうであります。御承知の
通り、
資材が
不足のために
漁船の
建造ははかど
つておらないことは
事實であります。しかしながらわずかの
資材があると速やかにできることも
考えられるのであります。まずその例といたしましては、無動力船の中最も零細
漁民の多く使用しているところの小さな磯船、すなわちこんぶ
漁業とか、われわれが俗に小漁師と言
つている零細
漁民の使
つている小さい船であります。もちろん
造船所で
建造したように立派にはできないが、漁師の中には非常に器用な人間がありまして、そういう船ならば自分で
建造し得るところの人もあるのであります。修繕はもちろんであります。しかしながら今日では
建造のそうしたわずかの素材にいたしましても、全部
造船組合に
配給にな
つて、
漁民組合あるいは
漁業經營團體直接にはな
つておらないのであります。でありますから無動力船の中の小さい船の
建造にしろ、修繕にしろ、全部が全部
造船所に委ねねばならぬ非常な不便があり、かつそれがために遲れて
漁業を阻んでいるという實例があるのでありまして、
從つてもしこれが今日無動力船と動力船の
建造の規則というものを二本建にし、しかも最も
資材を要しないところの零細
漁民の使うところの無動力船に對しては、特別の扱いをも
つて今日の
漁業團體もしくは實行
組合とかいうようような、ごく細部の
漁業者の直接の團體にその
資材を
配給して、
建造もしくは修繕をさしたらどうか、その
組合なり實行
組合なりで
造船所に委ぬる場合もありましよう。また直接漁師が
建造する場合もありましよう。修繕する場合もありましよう。こういうことによ
つて速やかに
漁船が
建造もしくは修繕ができる。もつともこれは大きな船はできますまいが、小さな船に至
つてはそういうことが可能であります。かようなことができますならば、まずそういう
方法——すなわち今日の
造船規則の一本を二本建にし、しかも無動力船と動力船を區別する。無動力船のうち最も小さな船でありまするところの磯船のごときもの、あるいはチツプのごときものは直接にそういう團體に
資材を
配給して、
建造もしくは修繕させるよう規則が改められればまことに仕合せだと思います。
さらに
漁船に對する公定價格があるかどうか、戰時中はあ
つたように記憶している。しかしながら今日はおそらく公定價格では、
資材その他いろいろな状況によ
つてそれが履行されておらないと思うのであります。
從つてその公定價格があるために、
造船の
能率を阻んでいるようなことがありましたならば、これはゆゆしき問題であると思います。もちろん遲れていることは先ほど申し上げました
通り資材その他いろいろな
關係もありましようが、今日ではもう戰爭に使うところの船などはなくなりましたし、相當の技術は餘
つておるはずであります。要は
資材の問題と公定價格の是正の問題で、相當進展するのではないかと、かように
考えますので、この公定價格があるかどうか、あ
つたとしたら一體いつ頃制定したものであるか、もしそれが不合理であ
つたとするならば、この際大いに研究して、一日も早く公定價格の是正をしてもらうということにしてもらえないか、こういうようなことであります。
次に
漁港の問題であります。先ほどの御
説明によると、二十二年度には四千
萬圓の
豫算をも
つて約百九箇所の
漁港もしくは船入澗、
船溜を新築もしくは増築するということを伺
つたのであります。これを一箇所平均にしてみると約三十七
萬圓ほどであります。もちろんこれらも
資材その他
食糧、勞力等の
關係を見まして、かような
豫算をと
つたのだと思いますけれ
ども、一箇所三十七
萬圓の平均でありますると、
戰前の金額にしますと、おそらく三千圓か五千圓のものでなかろうか、こうした場合、實際公定價格はあるといえ
ども、セメントにしろ、鐵鋼にしろ、その他すべての機会器具にいたしましても、今日では何百倍というような多額にな
つておる。かように
考えるのであります。でありますが、
漁村には
漁港というものがなくてはならない。いわゆる増産の原動力をなすところの
漁船の家であります。これをつくることによ
つてまず増産ができるということになりますならば、極力
豫算の擴大強化をはか
つて、そうして各
方面に呼かけ、さらにその
漁港を修築あるいは築設するところは、
資材やその他を心配して、併せて官の力民の力を總合的に活用して、
漁港を多くすることが必要ではないか、かように
考えるのであります。
從つてわれわれはこの
日本全國の
漁港の數、すなわち各府縣別の數と規模、その他漁獲、
漁業状態、
漁港を原動力とするところの、
漁業のいろいろな
状態に關してわれわれは知りたいのであります。これを
調査するために、もちろんこの
委員會でも取上げるではありましようけれ
ども、この
委員會から相當の人數を、各
方面に分擔せしめて、派遣して
調査する必要があると思うのでありますが、この點をいかにお
考えにな
つておるか、またそれに對しましてわれわれに十分な
資料をいただきたいのでありますが、これらができるかどうかということを伺いたいのであります。