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藤田政府委員 この前の
委員會でいろいろ
お話をいたしました
水産基本計畫の
内容についての御
質問でございますが、これは大體この前も申し上げました
ように、今後五箇年後におきまして、
昭和五年ないし十一年の水準まで
生産を復興させる。
從つて昭和二十六年度において
漁獲類の十五億貫
生産を
確保する、こういうふうな目標を立てているわけであります。これの計畫を達成いたしますためには、
資材の點におきましても、あるいは魚區の點におきましても、このほかの設備の
關係におきましても、なおいろいろ計畫を立てて進めて行かなければならぬと思
つております。そうしてこれはまだ實ははつきり私
どもの方でも決定するまでには至
つておりませんので、お含みの上お聽取りいただきたいと思うのでありますが。大體十五億貫のうち
食糧にまわすものを十二億貫と考えております。この十二億貫が
食糧にまわります場合には、一人當りの蛋白質といたしまして大體一一・四グラム
供給できるというふうに考えております。これは計算のしかたでいろいろ出てくるのであります。もつと多くも出てくるのでありますが、ごく嚴格に
解釋いたしまして、それぞれのものについての歩留りを嚴重にみまして、内輪に見積りますと大體一人當り蛋白質一一・四グラムくらいになるわけであります。そうしてそれ以外のものを輸出向の
原料でありますとか、
當然どうしても起こ
つてくる肥料、飼料というふうに考えております。そうしてこの十二億貫の
食糧のうち鮮魚で食べられるものはわれわれの
從來の常識としては大體三億貫と見ております。常識としてはずつと長く見ましても大體百
萬トン程度が鮮魚で食われておるのであります。三億貫
程度が鮮魚として
供出され、あとのものはこれを加工するというふうな建て方からいたしまして、今いろいろの案を考えておるわけであります。なおこれはまだはつきりきま
つておりませんので、漸次固めますので、またいろいろ御
意見を伺いたいと考えておるわけであります。それから
價格について漁業經營の實態調査をして、まじめに
生産をする者がなり立つ
ような
値段にする、これは
當然であろうと考えております。ただ私
どもの方で一番困難を感じておりますのは、原價計算のむずかしさであります。同じ種類の魚をとるにいたしましても、それをとる業態がいろいろでございます。
從つて原價計算をいたします場合、たとえば同じ魚類にいたしましても、
底引きでとります場合と、それ以外の漁機漁法でとります場合の原價計算はおのずから違
つてくる。さ
ような點からいたしまして、全體の調和いたした原價計算というものはなかなか數字としてはとれない、そこに非常な惱みがあるわけであります。しかしわれわれとしてはできるだけの
資料を集めてまいり、そうしてその基礎の上に立
つて要求をしてまいりたい、か
ように考えております。しかしながら根本的な方向といたしましては、先ほど申しました
ように、きわめて零細なる漁業形態というものを存續せしめる
ような
考え方でいくのか。むしろ
日本の將來の漁業としては、それをもう少し
能率的に考えて、もつと
生産性を高める方向に指導していく。
魚價の
方針についても、そういう
ようなものについてはこれはやむを得ない。むしろ經營の
改善なり、
漁獲能率の向上ということを考慮をして、採算のなり立つ
ように指導してまいる。こういう
ような方向にも
つていくのか、そこのところは大いに問題である。私としては最後に申し上げました
ような方向にも
つていかなければならぬのであ
つて、
日本の零細な漁業の現在の姿のままでいつまでも残していく
ような政策は、政策としてはいかがなものであろうかと考えているわけであります。
それから
價格に彈力性をもたせる問題、あるいはまた
價格の決定にあたりまして、十分
生産者その他の意向を聽くために
委員會に諮問をする問題であります。
價格に彈力性をもたせる問題についてはいろいろ
研究いたしたいのでありますが、なかなかむずかしい點もございますので、現在まだこれを
實施するところまでい
つておりません。それから
委員會に諮問をしてきめるというこの
やり方は、私は
適當であろうと思
つております
從來こういう
やり方できめておりましたのを、
物價廳ができます
當時、豫算その他の
關係でこういう費用が全部落ちてしま
つたために、現在は
物價廳で各
關係官廳
關係者の意向を聽いてや
つておられるわけであります。將來の問題としてはこういう制度を復活していくことの方が合理的ではないか。私
どもといたしましては、できるだけこういう
方面に復活していくべきじやないだろうかと考えております。
それから
荷受機關が非常に亂立をしている問題であります。これはなかなかむずかしい問題でありまして、單一であればあるだけに弊害もできる。
複數であればあるだけにまたその弊害もできる。それぞれのものについては利害得失いずれもあろうかと考えております。どういう制度をとりましても、おのずからその反面として長所もございますれば、弊害の點も出てまいる。これはある
程度まではやむを得ないと私
どもは考えております。しかし
荷受機關が現在非常に亂立して、實績を賣買いするということも私
どもは聞いております。やはり方向といたしましては、正規の手數料で經營できる
ように無理をしないでや
つていき、しかもできるだけ健全に競爭のできる
ような形態に、將來としてはこれを指導をしてまいらなければならない。しかしながら現在といたしましては、
複數制をとり出した初歩でありますので、しばらくの間は私
どもとしてはもう少し模様を見てみたい、か
ように考えておるわけであります。
それから資本的な企業に
リンクその他が厚く、零細漁業に非常に薄くな
つておるということであります。これは事實そういうふうにな
つておるだらうと考えます。と申しますのは、大衆的にとれる魚は計畫的に
消費地へも
つてこられるというのでありますから、
從つてそういうことに向く漁業というものは、やはりある
程度の何と申しますか、基本的な企業でなければ向かないのであります。
從つてどうしても大衆
方面にできるだけ安い魚を計畫的に
配給するということに政策の重點がおかれて、
リンクをや
つております
關係上、どうしてもそういうふうな問題については、零細の漁業
方面が
リンクについて薄くなる。これは私はある
程度やむを得ないと考えております。しかしながら根本問題としては、全
體的の
生産増強をはか
つていかなければならぬのであります。こういうふうな問題については十分根本問題として考えていきたいと思
つております。現在の政策としては、どうしてもやむを得ない面があるのだということを御了承いただきたいと思います。