○林(大)
委員 この
百貨店法を
廃止という問題につきまして、私も責任もあることであり、ずいぶんいろいろな人に会うごとに聴いておるのであります。ところがたれ一人としてそれを
廃止した方がいいと言う人に私は未だか
つて、商工省の責任あるお方以外には会つたことがないのであります。この問題は、
法律というものが一つの社会意識を表現しなければならないという意味からい
つて、當局の方としても十分
考え直していただかなければならないことではあるまいかと思うのであります。なおかつこの
法案の
審議にあたりまして、過去三、四回にわた
つてずいぶん議論をいたしたのでありますが、實はどうしても私のみならず、ほかの
委員の方々も納得のいかない方が多いような状況であります。それでまずその
審議の
内容といたしまして、
百貨店法を
廃止する。なるほど
百貨店法の中には百貨店の
組合法とも称すべき
廃止した方がよろしい
部分はもちろんございます。ところが
百貨店法自體といたしますと、もし
廃止したならば、その百貨店の資力の問題、建築
制限の問題、総合的な宣傳力の問題、地方販売の問題等々、どちらの方面を見ましても、なかなか百貨店が將来暴れて、
日本の中小企
業者特に商
業者を極度に圧迫することは
事實であると思うのであります。それでたとえば資本の問題にしても建築
制限の問題にしても、今まで同じような御
説明を承
つておるのであります。ところがこれは立場によ
つてそういう御
説明をなさるのであ
つて、個人的にそれでは商工大臣と差合いでほんとうはどうですと言つたら、どうもこれは困るじやないかというようなお気持があられるものと私は自信するのであります。そこで資金の面においても、どうした
つて將来デパートが勝つにきま
つているし、それから建築
制限を云云すると申しても、建築
制限を逃れ得る手は、金をうんとも
つている者が、いろいろな手を通じて売場を広め得ることは、小さい者がずいぶんやかましく言われて建築を許可されるよりも、いろいろそこに手があるであろうとも
考えられますし、またこの商標をも
つて地方販売などに出かけましたならば、田舎の人に対して非常なアトラクシヨンでございますから、非常な発展を来すことは
事實である。すでに十日ほど前の新聞にも、デパートは非常な成績であるということが出ておるようなわけでありまして、どうしてもそれらの御
説明では納得できないのであります。その上それじや究極においてどうするかというと、独禁法を
適用する。こういう御
説明でございますから、
公正取引委員会のおいでを願
つていろいろ
説明を聴いたのでありますが、結局規模の較差の問題、つまり大きい小さいの比較をして、それは大き過ぎるからというので、抑えていくという較差の問題の抑圧と、もう一つは不當の競争、この二つの点からこれを抑える以外の手がない。それをどういうふうに抑えるのですかというつつこんだ
質問になりますると、それは追い追い
考えましてというわけでございます。
考えておる間にデパートの方はどんどん伸びてい
つて、中小企
業者の方は依然として足踏みをせざるを得ない。なおかつ先ほど大臣の御
説明にもありましたように、中小企業は大いにこれから伸ばすのだ。こういう手でいくのだというお話でございますが、私の見解をも
つていたしますれば、なるほど中小工業の方は輸出産業と結び合わせて伸ばす余地は十分あると思います。しかしながら國内における中小商
業者をいかように金を使われましても、これが扱うべき商品のない時代において、これをいかように伸ばそうということをおつしやいましても、それは空論でございまして、實際に即した問題ではないと思うのであります。そういうふうないろいろの角度からこの
法案を
考えてみます場合に、どうしてもこれは無理押しにお通りになるということは、少し無理ではないかという点で、ほんとうの
日本人としての気持からして、殊に中小企
業者の気持も付度いたしまして、どうしても納得がいかないのであります。そういう意味で實は商工大臣においでを願
つて御
説明を聴きたい。こういう段取りに相
なつたのでありますが、同じような御
説明を承るのでは、
ちよつと納得がいかない。こういうむつかしい場面にはい
つておるわけであります。何とかひとつここで新しい
法律を、つまり
百貨店法の
組合法をのけたような取締りの
法律を
考えるとか、またこの
考え方を
政府の方でおやりになるとか、またわれわれの方でやるとかいうような、何かここに
適當に、なるほどもつともだというつまり社会意識に合致したものにこれをして通さなければいけないのじやないかということを
考えまして、御所見を承りたい次第でございます。