○
大石(ヨ)
委員 私は京都府
舞鶴に生れたものでございますが、
舞鶴は
皆さんも御
承知の
通り四大
軍港の
一つでございまして、殊に
舞鶴軍港は戰災れた唯一の
軍港でございました。ところがこの四大
軍港中、おそらく
日本におきまして、この
舞鶴の
軍港ほど、
隱匿物資のたくさんあるところはないと信じているような次第でございます。つきましては、はなはだ變な言い分でございますが、私は自分の
選擧區なるがゆえに今まで黙
つてお
つたような次第でございます。ところが現在新聞を見ますと、非常に
隱匿物資摘發のことが出ております。それで今までも私はたびたび
隱匿物資があるから、これを摘襲するようにと
言つて警察の方に言いますと、官僚が何としても
隱匿物資のあるところを
知つてお
つても、そこへはいることができないと私に言うておりました。私も
隱匿物資のあるところを
實地に視察してよく
知つているのでございますけれども、
選擧區のかげんで私は今まで黙
つてお
つたような次第でございます。つきましては、今日を限りにこの
治委員會が終了いたしますにつきましては、最も重大なる
隱匿物資を私はよく
知つておりますゆえに、それを
皆さん委員方にお傭えし、また
警察當局にも御
参考になることを私は申し上げたいのでございます。
海軍の
徴用船に
備後丸というのがございます。それは
日本の大阪に本社をおきます
郵船會社が船主なのでございます。ところか戰争中、これが
海軍の
徴用船と
なつた次第でございます。まずこの
備後丸に何億という金を依托して、
上海の
支那の
物資を
舞鶴の
海軍が依頼したようなわけなのでございます。まず
上海を出帆いたしましたときが、
昭和二十年の七月二十一日朝でございます。そしてその間非常に
室襲がありますので青島、大連にその
備後丸は寄港して、かろうじて
舞鶴に著しましたのは八月の二十二日の正午なのでございます。そのはい
つた事實を私はよく
知つておるようなわけなのでございます。ところが
皆さんも御
承知の
通り、八月十五日遂に
敗戰の結果終戦に
なつたような次第でございます。そこでこの
荷物を受取る者がないから、一體これはいかにしたらばいいか。この
備後丸の
トン數は五千トンで、その
積荷も五千トンなのでございます。大低ほかの船ですと小麥なら小麥、ふすまならふすま、
ガソリンなら
ガソリン、靴なら靴、そういうようなものを積みましたときは
一つか二つの
品物に限
つているのでございます。ところがこの
備後丸というのは、たいへんいろいろな種類のものを積んでいるような次第でございます。おそらく私は
日本いずこを尋ねても、五千トンの船が五千トンの
積荷をしているというような船は、おそらくこの
備後丸をおいてほかにないと思うのでございます。ところがその八月十五日
終戰になりますや、その船は九月の二十五日に西
舞鶴の灣港にはい
つたのでございます。そのときにはもはや
舞鶴の
海軍というものはなくな
つておりました。そこでこの
荷物をと
つたものが勝ちであ
つた。その船長は山岸といいまして目下名古屋におりますが、私の懇意な人です。その人がこの
荷物を揚げることを拒みましたけれども、この荷は
國家のものであると
言つて、それをむちやくちやにと
つて行きました。そのと
つて行つた人間も私はよく
知つております。そして今千
敷萬圓、一億ぐらいの金をも
つて有閑として暮している者が
舞鶴にいく人もあります。こういうことをおいておきますと、つまり
正直者がばかをみます。それでこれは
警視總監及び警察當局が、ぜひともこれだけ確固だる
證據を私が握
つているのでございますから、この
品物が一體どこへ行
つたかということを逐一詳細にお調べ願いたいと思うのでございます。この五千の
積荷の中にどういうものがあ
つたか、それも私はよく
知つておりますから、とこで發表いたしたいと思うのでございます。それは小麥の小さい袋が何千とありました。それからふすまがありました。乾パンがありました。
海軍服上下がありました。戰闘帽が數千ありました。靴も五
萬足くらいありました。
ガソリンもたくさんありました。
銑鐵もありました。ホワイト・メタルもありました。それから
支那の
銅錢がありました。それからロープ・ワイヤがあります。その他
救助作業具等、實に枚擧にいとまのないほどこの五千トンの船の内にあります。これを今の單價にしますと、數億圓に上ります。これは、まだ
舞鶴附近、それから
石川縣、
富山縣の方に輸送しております。その
事實を私はよく
知つております。ぜひともこれをよく調べて、そうして何とかこの
品物を多數の困
つておる
無産大衆に配給していただきたいと思うのでございます。
それからその
當時海軍から
拂下げになりました――
拂下げといいますけれども、これは
實際の
拂下げではありません。あの當時どろぼうした者が、一番今
舞鶴の
附近で金持にな
つておる次第でございます。それで千鳥丸という船がありました。それからそのほか小さい蒸汽船四隻、それらもかつぱら
つてい
つたものであります。そしてその船をネタにして
數千萬圓の富豪にな
つて治るような次第でございます。ぜひともこれは
治安及び
地方制度委員會の人々が
舞鶴に行
つていただいて、そうしてこれがどこに行
つたかということを、
檢察當局と手を携えて、これを調査していただきたいと思うのでございます。この五千トンの船の五千トンの
積荷が
行方不明にな
つているということは、私は實に奇々怪々であると思う次第であります。そうして
備後丸は一體どこにおるか。それは
日本郵船株式會社に尋ねていただけば、この
備後丸の
行方はすぐ私はわかると思う次第でございます。その他
舞鶴にはたくさんの
隱退藏物資がございます。それも私はこの
治安及び
地方制度の
委員がその
隱退藏物資を摘發したりする義務があると思います。
議會にもう
一つ隱退藏物資という
特別委員會ができておりますが、最も
治安に關係があり、最も
警察の
警察の仕事をしておりますこの
治安委員會が、これを調査する必要があると思うのでございます。この際
警視總監もしくは
警保局長にここに來ていただいて、そうしてただちに
檢察當局と手を繋いでいただいて、これほどちやんとした
證據があるのでございますから、ただちに
舞鶴に行きまして、そうして調査をしていただき、摘發していただきたいと思うのでございます。私はこの
荷物をだれがも
つてい
つたか、それもよく
知つております。ですから私はいつでも
参考人になりますから、何とぞこの五千トンの
積荷はいかに
なつたか。私はその
行方を調べていただきたいと思う次第であります。遺憾ながらここに
警保局長及び
警視総總がいらつしやいませんので、その御所見を伺うことができないのを、まことに遺憾に思う次第でございます。それでこの
治安委員會の各
委員のお方に、私はこれだけの確固たる
證據を握
つておる。
皆さんはどういうふうなお
考えであるか。それをまず私は聽いて、そうして
皆さんとともにこの五千トンの
荷物の
行方を調査したいと思う次第でございます。