○
久山政府委員 出版物の
内容につきまして、お話のような點がいろいろあろうと思いますが、これが
犯罪として取締に値する
内容であるかどうか、もちろん刑法におきましても、當然そうい
つたような猥褻にわたる、文書を頒布いたしました者には、刑罰が科せられておるのでありますけれども、これも
從來のその法文の適用からいたしまして
一定の限度がございまして、私どもが頭で見まして、これはおかしいという
程度のものでありましても、はたしてそれが刑法における猥褻罪に當るかという點になりますと、これは
從來とも相當嚴格な解釋をと
つてまい
つておりますので、それに當るものも中にはあるかもしれませんが、一般的にこれは少しひどいと思われるようなものについては、ただちにそれを
犯罪として取締るかというと、おそらくそういうものはただちに
犯罪としては該當しないのであります。しかしそうい
つたような、青年の教育の上から好ましくない、
つまり刑法の
犯罪の線から逃れるが、社會教育なり道義的には非常に困るというふうな間を狙
つた猥褻な出版物が、非常に多いのではないかと思うのでありまして、これをも
つてただちに
犯罪として
警察が取締まるということは非常に困難であるのでありまして、これはいつかも松澤
委員がお尋ねになりましたときに、私お答えいたしたと思うのでありますが、何か社會風教の維持、刷新ということのために、これは單に出版物のみではありません、映畫なり演劇なり、その他文化的な手段全般に通じまする問題として、これは文部省の方の所管になるかと思いますが、
治安の問題にも非常に
關係をもつのでありますが、特別の
法律に基礎を置いた風教
委員曹というようなものを各地につくる。そして
權限をも
つてただちに處分するというのではなくて、そういうものに對して警告を出す。そして、一般の父兄もそれに注意をして、そういうものを子供に讀ませないように努力する。そういうふうにして、
犯罪にはならないが社會道徳上、風紀上非常に困るというふうなものに對しましては、そういう處置を考えていくことが一番適切なる
方法ではないかと申し上げたのでありますが、現在も私はそういう
法律が制定せられ、そういう
施設が一日も早く活動するように念願いたしておるのであります。
犯罪としてすべてこれを取締まるということは、ちよつと現在の
法律の状況では困難であり、またそういうものをすべて
犯罪として取扱うということは、おそらく適當ではないというふうに考えておるのであります。