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1947-09-15 第1回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第14号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十二年九月十五日(月曜日) 午前十一時八分
開議
出席委員
委員長
坂東幸太郎
君
理事
門司 亮君
理事
矢尾喜三郎
君
理事
中島
茂喜君
理事
川橋豊治郎
君 笠原 貞造君 菊池
重作
君
久保田鶴松
君 松澤 兼人君
大澤嘉平治
君 佐藤
通吉
君 坂口 主税君 千賀 康治君 大野
伴睦
君 大村 清一君
中島
守利君
外崎千代吉
君
出席政府委員
内務事務官
林 敬三君
農林事務官
平川 守君
運輸事務官
天坊 裕彦君
委員外
の
出席者
内閣事務官
前田 克巳君
專門調査員
有松
昇君 ――
―――――――――――
八月三十日
大阪
市
特別市制實施促進
に關する
陳情書
(第一四四號)
神戸
市
特別市制實施
に
市民投票方法採用
の
陳情
書(第一四 五號)
神戸
市
特別市制實施反響
に關する
陳情書
(第一五一號)
神戸
市
特別市制實施促進
に關する
陳情書
(第一五五號)
横濱
市
特別市制實施促進
に關する
陳情書外
一件 (第一六二號)
國民酒場營業再開
に關する
陳情書
(第一六六 號)
地方職員給與
に關する
大藏省方針
に反對の
陳情
書(第一六 七號)
京都
市
特別市制實施反對
に關する
陳情書外
五件 (第一六八號) 武庫郡町村に對し
行政
上
特例設定
の
陳情書
(第一七〇號)
特別市制實施反對
に關する
陳情書
(第一七一號)
地方團體完全民主化等
に關する
陳情書
(第一八二號)
神戸
市
特別市制實施
に關する
陳情書外
七件 (第一九五號)
横濱
市
特別市制實施
に閲する
陳情書外
五件 (第 一九八號)
特別市制實施反對
に關する
陳情書
(第一九九號) 副
知事公選制
反對の
陳情書
(第二一三 號)
昭和
二十一年
都道
府
縣職員待遇改善費国庫補助
に關する
陳情書
(第二一四號) 九月十三日
神戸
市
特別市制實施
に關し
市民投票方法採用
の
陳情書
(第二 二四號)
大阪
市
特別市制實施反對
に關する
陳情書
(第 二二五號)
地方自治法
一部
改正
に關する
陳情書
(第二三七號)
京都
市
特別市制實施
に關し
市民投票方法採用
の
陳情書
(第二四二號)
大阪
市
特別市制實施反對
に關する
陳情書
(第二四三號)
特別市制實施反對
に關する
陳情書
(第二五三號)
地方職員
の
給與
に關し
政府案
に反對の
陳情書
(第二六三號)
横濱
市
特別市制實施
に關し
市民投票方法採用
の
陳情書
(第二七五號) を本
委員會
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
會議
に付した事件
地方出先官廳
の
整理
に關する件 ――
―――――――――――
坂東幸太郎
1
○
坂東委員長
これより治安及び
地方制度常任委員會
を開會いたします。
日程
に先立ちまして、今回この
委員會
に任用されました
吉田嘱託
を御紹介申し上げます。
吉田嘉一郎
君は
早大出身
で、
外務省
にはいり、ウラジオストツクあるいはロスアンゼルス及びリバプールに在任、これまでは
東京裁判
の
警務課長
だつたのでありますが、今囘この
委員會
にはいられました。御紹介いたします。なお今立
つて
おりますのは、この
委員會
の書記に任用いたしました
河原英夫
君であります。この人は日大の
出身
でありまして優秀な前途有望な人であります。よろしく御鞭撻願います。 —————————————
坂東幸太郎
2
○
坂東委員長
これから
日程
にはいります。
出先官憲
の
整理
につきましては、すでに本
會議
でしばしば論議があり、これに對してはすべての者が賛成でありますが、當然この
委員會
はその
整理
について
調査
の必要を認めまして
調査
をしておりますから、まずも
つて
有松調査員
からその
調査
の結果を御報告申し上げます。
有松昇
3
○
有松專門調査員
各省
の
出先機關
は最近著しくその数を増しまして、私の算えましただけでも七十
有餘
の多きに達しまして、そのうち
地方自治行政運營上關連
の比較的多いと認められるものを摘出してみますと、概ね左のごときものがあるのであります。 第一が
戰災復興院建築出張所
であります。これは
戰災復興院官制
第十一條の
規定
により、
昭和
二十二年三月二十九日に設立せられたものでありまして、全國に四十六あり、
職務権限
といたしましては、一、
臨時建築許可制限規則
による
許可
その他の處分、二、
資材
の
割當配分
、三、
建築
に關する
監督統計調査
、四、
繊維機械設備設置改造
、
運轉販賣許可等
を掌
つて
おるものであります。この
設置理由
といたしましては、
戰災復興
の
総合的能率的遂行
をはかり、また
指定生産資材
割當
規則
による
府縣
への
資材
割當
を圓滑ならしめるというにあるのでありますが、これに對しまして
地方廳側
の
意見
といたしましては、第一に、
総理廳技官
たる
出張所
は、
地方廳建築課長
を併任しておりますから、この
機關
を
地方廳
に移管しても、
實質
上不便を認めないのみならず、第二、
臨時建築等制限規則
の
施行
は、
戰災復興院総裁
の
権限
であり、
市街地建築物法
其の他の
建築法令執行
の
権限
は
知事
にあ
つて
、
前者
は
資材
の
角度
から經濟上の
統制
を行い、
後者
は
保安衞生
、都市計畫の
角度
からの
建築制限
を
目的
としておりますが、同一の
建築行為
に對する
行政事務
が二元的とな
つて
おるきらいがあるのであります。しかして現在の
復興院
の意画する線に
沿つて
、
仕事
を進めては、
地方廳
の
復興
計畫に
支障
を來すおそれがあり、不便な點が少くないのであります。 そこで結論としては、新
規則
の
關係
は、一種の
経済
上の取締でありますから、
復興院
が
末端
まで一元的に
處理
できるとすれば理想的でありませうが、
事實
上は、
地方廳
と一體とな
つて
や
つて
いかねばならないのでありまして、むしろ
地方廳
を信頼して、
建築出張所
の
事務
は、すべてこれを委任する方がよいのではないかと考えられるのであります。第三には
生産縣
から
消費縣
への
資財振出
を公平にする上において、
主務省
において
生産
に第一次
割當
を行い、
縣内需要者
への
資材
割當
は、これを
地方
の
實情
に精通しておる
知事
において行うようにする方がよろしいようであります。こういう
意見
を
地方廳側
は抱いているのであります。 それから
出先官憲
の第二といたしましては、
大藏省
の
財務局地方部
であります。これは
昭和
二十一年十一月
勅令
第五百四十四號により設立せられたものでありまして、全國に四十二あります。その
職務権限
といたしましては、第一に
預金部資金
の運用及び経理、第二、
雑種財産管理
、第三、
金融機關監督
、第四、
都道
府縣
に對する
預金部資金
の貸付及びその
使用状況
の
調査
、第五、
自由支拂
の
許可等
であります。
本省側
の
設置理由
をいたしましては、第一に、
財政金融政策
の
施行
は全
國的統一
を要すること、第二、
都道
府縣
の
割據的主張
を排すること、こういうのにあるのでありますが、これに對して
地方廳側
の
意見
としては、これらの
仕事
は
從來
戰時中においてすら
経済部
において立派にや
つて
いたとことであり、また
書類
にしても、
從來
は直接
本省
に提出していたものが、
地方部
の
設置
により、さらに二通ずつ提出せねばならねことになり、また
一つ
のよけいな段階を純なければならなくなり、
事務
の煩雑と澁滯とを來すものでありまして、特に、
起債等
の場合には、
大藏大臣
の
許可
したものを
地方部
で再審査することになり、ために時機を失し、遺憾ないことが多いようであります。これが
地方廳
の
意見
であります。
出先官憲
の第三といたしましては、
内務省
駐在官であります。これは
臨時物資需給調整法
による
内務省所管指定生産資材
の
割當
を據當するものでありまして、全國に、
國土局關係
のものは四十六、
調査局關係
のものは七あります。この
制度
の
目的
は、
主務大臣
の
責任
において、
末端需要者
に直接
需給事務
を行う
趣旨
でありますが、
知事
は
管下市町村
及びその他の
公共團體
の
事業
を育成
指導監督
する立場にありながら、この
市町村事業
に對する
資材事務
に關與できないということは、はなはだ矛盾したうことであり、また諸
團體
よりの届出及び
調査
は、
縣調査課
と同樣な
事務
を重複してや
つて
いるばかりでなく、
両者
の間ほとんど
連絡
がないのであります。これらの
仕事
は縣一本に合すれば、
経費豫算人員
の上から見ても大なる節約となるのであります。こういうふうに
地方廳側
は
意見
を立てております。
出先官憲
の第四番目は、
文部省教育施設局出張所
であります。これは
昭和
二十二年六月、
文部省分課規定
第十二條の
規定
により、全國六箇所に
設置
が決定、各
都道
府縣
に四十六の
出張所分室
を
設置
する豫定であるのであります。
職務権限
といたしましては、
臨時物資調整法
の
規定
に基きまして、第一、
直轄
學校の營繕、第二、
教育施設
の
復興整備保全
、第三、
中等學校
以下の各校、
社會教育
その他
文化施設
に關する
指定生産資材
割當
を掌るものであります。
府縣
の
意見
といたしましては、つまり、
都道
府縣
の計畫に基き、
文部省
が
割當
てたものを、さらに
出張所
が
府縣内
へ
割當
てるものでありまして、
府縣
としては、國からの
割當
さへ受ければ、
自分
の管内のものは、事情を一番よく知
つて
いる
自分自身
でやるのが、一番實際的かつ便宜であると言
つて
おります。
出先官憲
の第五は、
厚生省醫務局出張所
であります。これは
國立療養所
、
國立病院
の統括及び
所要物資
の
入手斡旋
につき
地方廳
と
連絡
をはかるため、
昭和
二十年十二月設けられたものでありまして、
国立病院
、
療養所等
は、時局の進展とともに
地方廳
へ移管すべきものでありまして、
從つて
この
出張所
も
地方廳
へ移管するのを
適當認め
るものであります。
出先官憲
の第六は、
厚生省地方引揚援護局
であります。これは
連合局司令部
の指令によりまして、
昭和
二十二年十一月全國に十一設立せられたものでありまして、引揚者の
應急援護
及び防疫を掌
つて
おるものでありますが、
設置縣
の
知事
は局長を兼ねているものであり、むしろ
地方廳
に統合する方が
適當
と認められるのであります。
出先官權
の第七は、
勞働省勞働基準局
であります、これは
昭和
二十二年五月
勅令
第百九十九號の
規定
により、全國に四十二設けられ、そのもとに三百三十六の
勞働基
準
監督署
を置いておるのであります。しかしてこれは
勞働基
準法の
施行
をその
職務權限
といたしておるものであります。本
制度設置
の
理由
は、
事務
の
性質
上、全
國畫一的
に
統制
運營
するの要があり、他の考慮に煩わされない
獨立機構
によ
つて
この
統制
を行うべきであり、
國際勞働會議
及び
關係
筋からその旨の勸告があつた。こういうふうなことが
設置理由
として掲げられております。しかしながら、
勞働組合法
、
勞働關係調整法
とともに、元来
一つ
であるべき
勞働行政
の一部である
勞働基
準法を
別個機關
で取扱う矛盾を排除する必要があり、かつ
勞働關係事務
、なかんずく
勞働争議
の
斡旋調停
につきましても、その
發生原因
、
賃金待遇等
の
事務
は、
從來地方廳
で行
つて
きた
關係
から、その
實體把握
により、争議の
解決
も容易でありましたものが、分離により、
從來
とまつたく逆な傾向となりまして
勞働問題
の
解決
が困難となるといつたような結果も現われてきておるのであります。 それから
出先官憲
の第八が
公共職業安定所
、第九が
公共勞働安定所
、こういうものがあるのでありますが、これらの
機關
は
昭和
二十二年四月、
勅令
第百十八號によりまして各
地方廳
に設立せられたものでありまして、
前者
は
勞務
の
公平通常
な
配置
を掌り、
後者
は
日傭勞働者
の
配置
を掌るものでありまして、
勞務
の全
國的統制
、
需給調整
を
目的
としておるものであります。しかしこれらの
機構
は、人事につきましては
原則
として
知事
の内申により、豫算につきましては
從來
通り
地方廳
を通じて行い、業務におきましても
知事
が
指導監督
を行うことにな
つて
おり、
勞働大臣
が直接管理するという
理論的根據
がないのであります。かつこれらの二つの
機構
は、一箇所で正確に効率的に
事務
を
處理
する方が適切と認められるのであります。 次は
農林省所管
へ參りまして、第十としまして
農林省作物報告事務所
であります。これは
昭和
二十二年三月、
勅令
第百三號によりまして全國に四十六設立せられたものでありまして、名稱の示すかごとく、
作物
の
作況
に關する
調査報告
を掌
つて
おるものであります。この
役所
が設立せられました
理由
は、第一、
府縣廳
は
供出
の
責任者
であるために、
供出
の基礎たる
調査事項
を實施せしめるためには
不適當
であり、かつ不正確であること。第二、
府縣
の
調査
は
人員不足
、
調査設備方法
の不十分のために不正確であることというのにあります。一言にして盡せば、
中央官廳
の
公選知事
に對する不信任とも覆すべきものであります。これに對して
地方廳
の
意見
といたしまして、
作物
の
作況報告
は
府縣廳
、
食糧事務所作物報告事務所
の一本建をも
つて
現在や
つて
おりまして、
末端
の迷惑は一通りでない。あるからぜひ
調査
を單一化して、
手續
の
繁激
を除きたいというにあります。これを要するに、
知事側
から見れば、
農林省
の
供出割當
は苛酷であるから、
作況報告
はなるべく内輪にしておく方が安全であるという心理になりますし、また
農林省側
から見れば
知事
は
府縣民
から動かされて
作況報告
を少く見積
つて
くるから、なるべく多く
供出割當
をしないと
實情
に合致しない、こういうことになるのでありまして、結局
両者
がお互いに信頼し、
眞實
を報告し、誠意をも
つて
割り嘗てることにすれば、こんな
役所
は不要に帰するのである。
両者
は大いに反省すべきところである。かように存じております。 第十一は、
農林省農地事務局
であります。これは
昭和
二十一年十月、
勅令
をも
つて
全國に六箇所設立せられたのでありまして、第一
自作農創設特別措置
、第二、
農地關係
の
調整
及び帰農、第三その他就農の
調整
、第四、
直轄
の
開墾干拓
、第五、
農業水利改良工事
に關する
事務
、これらを掌
つて
おりまして、
設置
の
理由
とするところは、
農地改良
及び
緊急開拓事業
を急速に推進するにある、こういうのであります。これに對しまして、
地方制度調査會
の
意見
は、これを廢止の上、
地方廳
にその
所管事務
を移管すべしというにあるのであります。 第十二、
資材調整事務所
、これは
昭和
二十二年五月八日、
農林省令
第四十五號、
木材需給調整規則
によりまして、全國に四十六設立せられたものでありまして、
設置
の
理由
は、
臨時物資需給調整法
に基く
資材
の直接
割當
を行うというにあるのであります。これに對しまして、
地方廳
の
意見
といたしましては、第一、
農村生活
、
農村生産
に不可分の
關係
にある
物資
の
割當
を、縣と無
關係
で行い、
食糧
や農機具の
増産
及び
供出
の
責任
を縣に負わされては
責圧
をもつことはできないこと。第二、
生産資材
は
生産
計畫に相應して行わねば意味がなく、農家と直接
結びつき
のある
地方廳
においてするのが
適當
であること。第三、
配給割當
は
生産
と密接な
關係
があり、この
両者
を關連させて初めて
増産
の
目的
を達することができるのであるから、
生産
の
責任
を負う
知事
に、
一定數量
の
配給
の
權限
を與えることが
適當
であること。第四、
知事
が
資材面
をもたなくては
生産復興
、民生安定上の
重要資材
の
配給
は
實情
に即應し得ないこと。第五、
生産
計畫の樹立に困難であること。第六、
煩雜
な
書類
と
手續
とを要し、かつ僅少なものでも非常な日數を要すること。これらが
地方廳
の
意見
であります。 第十三、
木炭事務所
、これは
昭和
十五年三月
木炭需給特別會計法
によりまして、全國に四十六箇所設立せられたものであります。その
職務權限
は、
薪炭需給調節
に關する
事務
を掌ることであります。しこうして
設置
の
理由
といたしましては、
都道
府縣
の利害に拘泥せず、全國にわたり総合的に
薪炭需給調整特別會計
の
運營
にあたる、こういうのであります。これに對しましては、
地方廳
の
意見
といたしまして、第一に、
木炭事務所
が買上、
配給
の
権限
を有し、
生産資材
の
配給
について縣を通さず、單に縣は
生産責任
のみであるため、
生産者
と縣とを遊離せしめ、
薪炭行政
の
一元化
が妨げられて、
生産遂行
上重大な
支障
があること。第二、
改正案
の
薪炭需給規則
によれば、
木炭事務所
が
縣内配給
にまで關與することとなり、縣は
責任
ばかり重くな
つて
、しかも
實情
に即した
行政
が困難になること。第三、
生産者
は
木炭事務所
の存在により、
経費充當
のため、多大の
手數料
を
支拂
わねばならず、ために
生産者價格
と
拂下慣格
との間に開きができて、
生産者
は
收支償
わないことになること、こういうのにあります。また
地方制度調査會
の
意見
は、
都道
府縣
に統合する。ただし國の
特別會計
は存置する。こういうのが
地方制度調査會
の
意見
であります。 第十四、
食糧事務所
、これは
昭和
十六年
勅令
第六十三
號食糧管理局官制
、
農林省令
第四十
號主要食糧検査令
の
規定
によりまして、全國に四十六設立せられたものでありまして、その
職務権限
とするところは、第一、
米麥等主要食糧農産物
の買入賣
渡等需給調整
に關する
事務
、第二、主食の
検査
であります。この
役所
を
設置
した
理由
といたしましては、
都道
府縣
の
割當
に拘泥せず、全國にわたり總合的、一元的に
食糧管理特別會計
の
運營
をはかるというにありますが、
地方制度調査會
の
意見
といたしまたは、
都道
府縣
にこれは統合あうる、ただし國の
特別會計
は存置する、こういうのであります。また
地方廳
の
意見
といたしましては、第一、
食糧檢査
と
生産
計畫、
生産奬勵
とは不可分の
關係
にあり、
食糧行政
の
圓滑化
をはかるためには、
知事
に還元せられたきこと。第二、麥ぬかは
地方統制
であり、
食糧事務所
の
權限
外であるのに、近時これを
食糧事務所
でや
つて
おるところがありまして、ために
配給遅延
が多いこと、こういうのが
地方廳
の
意見
であります。 次は
商工省關係
に移ります。第十五、
商工省商工局
、これは
昭和
二十二年
勅令
第百七十八號によりまして、全國に八箇所設立せられたものでありまして、その
職務権限
とするところは、第一、
商工業
中
商工大臣
の指定するもの。第二
鑛業
、
砂鑛業
に關する
事務
。第三、
電氣發電水力
に關する
事務
。第四、
指定生産資材
割當
に關する
事務
。第五、
隠匿物資緊急措置
であります。その
設置理由
は、
都道
府縣
の區域を超え、
総合的行政
を行う必要があるというにありますが、これに對しまして、
地方制度調査會
の
意見
は、
原則
として
都道
府縣
に移讓し、移讓し得ない
事務
のため簡素な形で存置するものとする、こういうのであります。 それから第十六、
商工省商工局出張所
、この
役所
は
臨時物資調整法
に基きまして、
政府
がみずから
指定生産資材
を
割當
てることを
目的
として設立せられたものでありまして、
地方制度調査會
の
意見
といたしましては、
商工局
と同樣、
原則
として
都道
府縣
に移讓すべきものであるというのでありまして、
地方廳
の
意見
といたしましては、第一、
商工局出張所
は
地方
の
實情
にうといので、大規模は
企業
が優遇せられ、
中小企業
は無視ないし輕視せられるおそれがあること。第二、縣と
出張所
とは
連絡
がないために、
知事
が縣下の
産業
を把握する上に重大な
支障
があること。第三、
住民
は縣と
出張所
との両方へ
連絡
しなければならない。こういうのであります。 それから次は第十七、
自動車事務所
、これは
運輸省關係
でありますが、
設立目的
は第一は、
地方陸運行政
の
一元化
、第二は、
地方
における
輸送行政
と
資材行政
の総合的一體化をはかるというのであります。
職務權限
といたしましては、第一、
自動車運送
、小
運送
。第二、
自動車整備工事
。第三、
輕車輛工業
。第四、
指定生産資材
の
割當等
に關する
事務
を掌るものであります。 これに對しまして、
地方廳
の
意見
といたしましては、第一、國民生活安定に
關係
深い經済面の
各種行政
は、
輸送
によ
つて大
なる制約を受けている現在、
知事
の
權限
から
輸送
を遊離いたしましては、總合的
行政
運營
上
支障
を來すこと。第二、
設備
の
性質
上他
府縣
にまたがることはなく、一
府縣
限りの問題が多いから、
知事
の手から切り離す必要のないこと。第三、
地方
の
實情
に疎い
出先官憲
が
資材
の
配給
をなすことは、縣全體の
産業
から見て不都合が多いこと、第四、
警察行政
の上から見ても、
都道
府縣
と關連のない
事務所
のやる
仕事
は弊害が多いこと。第五、
住民
からすれば、
都道
府縣廳
と
事務所
との南方に
連絡
をとらねばなちず、不便が多いこと。第六、この
制度
は
鐵道餘剩官吏
の姥捨山との非難が多く、またタイヤ、
ガソリン等
、やみの
本源地
であるという疑惑が深いこと。こういうことを言
つて
おるのであります。 その他右に述べましたほかに、
地方出先官憲
といたしましては、ずつと讀み上げてみますと、
地方經済安定局
、
地方物價事務局
、
戰災復興院特別建設出張所
、
復興院連絡局
、
地方復員局
、
上陸連絡所
、
掃海部
、
艦船部
、宮内府
京都地方事務所
、
外務省終戰連絡地方事務局
、同
出張所
、
大藏省財務局
、
税關
、
税務署
、
地方專賣局
、同
支局
、同
出張所
、
大藏省造幣局支局
、同
出張所
、
官財支所
、同
出張所
、
内務省土木出張所
、
文部省出張所
、
同工藝技術講習所
、
司法省司法事務局
、同
出張所
、
高等検察廳
、
地方検察廳
、同支部、
區検察廳
、
少年審判所
、
矯正院
、
行刑管區
、監獄、同分監、
厚生省機械技術員養成所
、
國立少年救護院
、
引揚援護院連絡事務所
、
厚生省檢疫所
、
農林省營林局
、同
營林署
、同生
絲檢査所
、同
動植物檢疫所
、
商工省地方貿易事務局
、
貿易廳出張所
、
輸出織物檢査所
、
運輸省鐵道局
、同
海運局
、同
港湾建設部
、
船員職業紹介所
、同
氣象官署
、
逓信省逓信局
、それから、同
通信官署
、同
貯金支局
、
簡易保険局
、
電氣通信工事局
、
電氣通信施設事務所
、
海底電線工事事務所
、これらがありまして、これだけでも七十三にな
つて
おります。もちろんこれらの中には、
事務
の
性質
上どうしても
中央官廳
が
出先機關
を置いてやらせなければならないものもありますが、
地方分權
の強く叫ばれる今日、まだまだ
都道
府縣
に移讓すべきものが幾多殘
つて
いると思うのであります。 これをも
つて
專門調査員
の
調査報告
を終ります。
吉田嘉市郎
4
○
吉田專門調査員
現在の
出先官憲
については、ただいま
有松調査員
から報告せられた通りでありますが、ここに
昭和
二十二年二月十七日附の
地方制度調査會國政事務處理特別
小
委員會委員長青木泰助
氏の名前で、時の
内務大臣植原悦二郎
氏に
陳情
した
陳情者
がありますので、これを朗讀いたしまして
參考資料
にいたしたいと思います。
地方制度改革
に伴う
地方
における
國政事務處理
に關する件、
都道
府
縣知事
の
公選
の時期が迫るに伴い、
中央各省
が
國政事務
の
統一的處理
に名をかり、
地方
にそれぞれ
直轄
の
特別行政機關
を
設置
しようとする趨勢きわめて顕著なものがあり、
地方行政
の
民主化
を阻害し、新
憲法
の
規定
する
地方自治
の本旨に反することはなはだしきに至るおそれがあるので、この小
委員會
は、つぶさに
各省
の
地方特別官衙
の
改廢
について鋭意檢討を加えた結果、新
憲法施行
後
地方
における
國政事務
の
處理
については、左の通り措置することが最も
適當
と認める。
記一新憲法
の精神に則り、
地方分權
の
趣旨
を徹底するため、
國政事務
はこれ を大幅に
地方公共團體
に移讓するものとすること。二現在の
地方長官
の
權限
は、これをそのまま
公選都道
府
縣知事
及び
特別市長
に引き
繼ぐこと
。三現在の
特別地方行政機關
は、
原則
として廢止し、
國政事務
の
性質
上、やむを得ず新
憲法施行
後存置するを要すると認められるものに限り、法律によりこれを
設置
するものとすること。四前項により現在の
特別地方行政機關
は、次のように
整理
すること。 (一)
地方行政事務局
は、廢止するものとすること。 (二)
地方商工局
の
事務
は、
原則
として
都道
府縣
(特別市を含む。以下これに同じ。)に移讓し、移讓し得ない
事務
のため、簡素な形で存置するものとすること。 (三)
臨時農地事務局
は廢止し、
都道
府縣
にその
所管事務
を移讓するものとすること。 (四)
營林局
は廢止し、
都道
府縣
にその
所管事務
を移讓し、
營林署
は、
都道
府縣
に移管するものとすること。 (五)
海運局
の
事務
は、
原則
として
都道
府縣
に移讓し、移讓し得ない
事務
のため簡素な形で存置するものとすること。 (六)
財務局地方部
は廢止し、
都道
府縣
にその
所管事務
を移讓するものとすること。
税務署
は廢止し、その
事務
は
市町村
に移讓するものとすること。 (七)
地方物價事務局
は廢止し、
地方
における
物價
は、
都道
府縣
相互の協議により
調整
するものとすること。 (八)
地方專賣局
の
事務
中、賣捌に關する
事務
を殘し、葉煙草及び鹽等の
事務
は、
都道
府縣
に移讓するものすること。 (九)
勤勞
署は、
都道
府縣
に移讓するものとすること。 (十)
食糧事務所
及び
木炭事務所
は、
都道
府縣
に統合する、但し國の
特別會計
は存置する。 (十一)土木
出張所
、
港湾建設部
その他の一切の
地方
土木
事業
の
施行
機關
は廢止し、これを
都道
府縣
に移管するものとすること。但し特殊の國營
事業
については臨時に
設置
する ことを認めること。 (十二)終連
地方
事務
局は、
原則
として
都道
府縣
に統合するものとすること。 (十三)
地方
世話部は、
都道
府縣
に統合するものとすること。 (十四)
地方
引揚援護局は、
都道
府縣
に統合するものとすること。 (十五)陸海軍病院であつた
國立病院
は、所在地の
都道
府縣
に移管するものとすること。 (十六)戸籍及び公證に關する
事務
は、
都道
府縣
に委讓するものとすること。 (十七)普通師範教育に關する
事務
は、
都道
府縣
に移管するものとすること。右答申する。
昭和
二十二年二月十七日
地方制度調査會國政事務處理特別
小
委員會
委員長
青木 泰助 内務大臣 植原悦二郎殿こういう
陳情書
が出ておりますから、これを参考資料に提供したいと思います。報告を終ります。
坂東幸太郎
5
○
坂東委員長
ただいまお聽きの通り、この
委員會
の
調査
は、大體その程度でありますが、現在
政府
の方が
内務省
、
行政
調査
部、それから運輸省、
農林省
から來ておりますからして、今報告しました點につきまして、出席の
政府
委員に對し御質問がありましたら、この際質問をお願いいたします。質問いかがですか。質問がなければ、
政府
側から聽いてもよろしゆうございます。
地方
側の
意見
も今述べられましたが、それらに關しまして、
政府
側の
意見
を拜聽したいと思います。どなたかにお願いいたします。
林敬三
6
○林(敬)
政府
委員 ただいま御報告がありましたように、
地方
に最近におきまして、いわゆる
中央各省
の出先擬關が大變數多くできつつある趨勢にあることは、當局においても大いに關心をも
つて
おるところでございます。この點については、
一つ
一つ
の
機關
について檢討いたしますれば、それぞれの相當な
理由
があるように認められるのでありますが、そのでき上りました結果を總括して、それぞれの
地方
についてこれをながめてみますときには、
一つ
一つ
のものについては、かりにそれぞれの見地からすれば
理由
があるにいたしましても、全體問題としては、何としてもこれは行き過ぎではないか。あるいは今後ますますこの趨勢にあるということは、將來
地方自治
の健全なる發達からも、また國策
事務
の總合的な圓滑なる
處理
のためにも、憂慮にたえないところであることにつきましては、まつたくただいま御報告のありました點と憂いを同じゆうするものであります。それで
政府
といたしましても、この問題については深刻な問題として眞劍にこれを取上げて善處いたしたいと思
つて
、目下鋭意研究をいたしておるところであります。從いまして、この
出先機關
があまりに多くな
つて
地方自治
を侵害する、あるいは
國政事務
の圓滑なる執行に、かえ
つて
總體的に計算してみますと、阻害があるのでなないかということにつきましては、大いに注目をいたしまして、今後かかる方向のないように、これを是正するような努力をいたしたいと考えておるのであります。そこで第一著手といたしましては、近く
地方自治法
の
改正案
を今議會に提案いたしたいと存じておるのでありますが、その中には、
地方
の自治を擔當し、かつは國の
地方
における
行政
を一般的に擔當する地位にありますところの
都道
府縣
の
知事
の
權限
が不當に削減せられ、または影響をこうむることなきことを確保するために、今後國の
地方
機關
、これは駐在
機關
をも含みますが、國の
地方行政
機關
は國會の承認を經なければこれを設けてはならない、またそうして國會の承認を経て設けました
地方
機關
といえども、その経費は國でも
つて
これを負擔しなければならないという
規定
を設けまして、議會に提案して皆様方にお諮りをいたしたいと
政府
としては考えておる次第であります。もちろんこの
地方行政
機關
は、一切國會の承認を経なければ設けてはならないということにいたしましても、この
趣旨
は本來
都道
府
縣知事
の
權限
との間に摩擦を生ずるおそれのない
仕事
のみを行う國の
機關
は、これから除いてもよいわけでありまして、その見地から、たとえば鐵道官署でありますとか、あるいは港湾建設の官署でありますとか、電信電話郵便というようないわゆる現業的施設、あるいは文教施設、あるいは國立の病院でありますとか、療養所、氣象室、
營林署
、あるいはもつぱら國費をも
つて
行う工事を
施行
いたしますところの
機關
、そういうものには適用しない。それ以外の一般的の
地方行政
機關
は、すべて國會の承認を經て嚴重なるここの審査を經た上でなければこれを設けない。かような
規定
を提出いたしたいと存じます。これが續々設けられている趨勢は、今後これによ
つて
矯正阻止せられることと存ずるのであります。なお今まですでにできている
機關
については、この法律は及ばないのでありますけれども、現行のものにつきましては、これは
關係
方面とも打合せの上、それぞれの
理由
もあることと存じますので、愼重な態度をとりまして、これが
整理
につきましては、内閣が中心になりまして、鋭意速やかにその成案を得て、
整理
の方向にでき限り實現させるように努力を今いたしている最中であります、概要
政府
のこれに對する所見を申し上げました次第であります。
坂東幸太郎
7
○
坂東委員長
行政
調査
部の前田総務部長が來ておりますが、御
意見
いかがでありますか。
前田克巳
8
○前田(克)説明員
政府
の本問題に對する態度といたしましては、ただいま
内務省
の
政府
委員よりお答えをいたしましたことで大體盡きているのでありましてただ既往の
機關
につきまして、できるだけ
地方
側の要望にも副いまして、
整理
でき得るものは
整理
いたしたいと思いまして、ただいま
行政
調査
部が中心になりまして案を作成中であります。ただ既往にできましたものにつきましては、その設立に、先ほど
專門調査員
から御報告になりました以外にいろいろ經緯もありますので、非常に大規模の
整理
を行うともうことにつきましては、相當の困難があるのではないか、かように考えている次第であります。いずれにせよ、近く一應の試案を得まして、
政府
部内で
關係
當局打合せをいたしたい、大體そのような段取にな
つて
おります。
坂東幸太郎
9
○
坂東委員長
農林省
総務局長の平川守君が來ておりますが、ひとつ簡單に御
意見
を伺います。
平川守
10
○平川
政府
委員
農林省
の
出先機關
といたしましては、
作物
報告
事務所
、あるいは
食糧事務所
、
資材
物資
調整
事務所
というようなものが問題にな
つて
いるようでございますが、これらの
一つ
一つ
につきましては、それぞれの
理由
からたとえば各縣の事情にあまり強く拘束されることなしに、全國的の見地において
食糧
の
供出
なり、あるいは
資材
の
配給
なり、あるいは薪炭の需給の
調整
というような
事務
を取扱
つて
まいらなければならないというような事情、あるいはそのほか
營林局
署のごとき現業的な
事務
というようなものに、大體限られておるわけでありまして、それぞれの
理由
があるわけでありますが、先ほどから他の
政府
委員よりお答えの通り、これらにつきましては、
政府
部内において、なおよく檢討をいたすことにいたしております。
坂東幸太郎
11
○
坂東委員長
運輸省の官房長天坊君。
天坊裕彦
12
○天坊
政府
委員 運輸省の出先
機構
といたしましては、大きなものといたしましては鐵道局、
海運局
、あるいは氣象観測所というふうに、大きなものは大體專門的な特殊な
仕事
にな
つて
おりますので、先ほどの御報告にもございましたように、たとえば
海運局
關係
の
仕事
でも、やはり專門的な分が殘るということはお認めにな
つて
おるように考えるわけであります。從いまして、先ほどの
政府
側でもいろいろ出先行為について檢討をされます場合にも、現業的な部分につきましては、現在のまま殘ることにな
つて
回收からははずれることになる部面が外いのではないかというふうに考えております。ただ
自動車事務所
につきまして先ほど御指摘があつたのでありますが、これの存廢につきましては、別途
地方
でいろいろ研究中でございますから、どうなるかわかりませんが、ただ先ほどの御報告でも
自動車事務所
のなかみが、あるいは鐵道
關係
の古いものの姥捨山にな
つて
おるというようなお話、あるいはこれがやみの根源になねておるというようなお話がございましたが、これはそういう話もあるというお話でありますから、別に論はないのでありますが、特に
自動車事務所
の
設置
につきましては、
從來
の
府縣
との経緯でございますので、優秀なメンバーを相當出しておるのでございまして、決して姥捨山というような考え方をいたしておりません。また
自動車事務所
だけが特にやみの根源であるというふうにも、私ども聞いておりませんので、一應辯解だけいたしておきます。
坂東幸太郎
13
○
坂東委員長
政府
側の御
意見
あるいは辯明はお聞きの通りであります。次に
政府
委員に罰する質問なり、もしくは各委員諸君の御
意見
の發表をひとつお願いしたいと思います。
中島守利
14
○
中島
(守)委員 ただいま
有松
委員より御報告になりましたのは、委員の出席が少うございますから、速記には載
つて
おりますが、しかしあれを簡單な印刷に付しまして、各委員に配付せられることを希望いたします。
出先機關
はもう議論をすることはないと思
つて
おります。日本の國情からみましても、現在の中央集權を
地方分權
に移さなければならぬと思います。そのために各種の問題が片づくのではないか。ただいま非難されておる官僚の問題であるとか、あるいはまた民主政治につきまして國民に與える知識の涵養であるとか、すべての問題はもうきりがないほど得るところがあるのではないか。また
仕事
の上にも能率的であり、
経済
的であり、また國民が國政を監視しやすいように、
地方分權
が徹底すればなるのであります。
地方分權
と申しましても、私の申すのは、國政の大部分を
地方
に移すべしというのであります。一遍に移すことが困難ならば、順次に移していつたらよいのではないか。すべての
國政事務
は、その
地方公共團體
を通じて國政を行うという形にしていくことが、私は現在の日本の國情においては、
適當
ではないかと考えます。一面に國政がばらばらになるという批評があるのであります。しかしながら、ばらばらになるというのは憂えである。や
つて
みれば、私は完全にこれは成功するのではないかと思います。一體政治はなるべくただいまでは知らしめなければならぬ。國民がすべて國政を了解しなければならないのであります。その
運營
は、
政府
が人を得れば、私は完全にいくものと思うのであります。ただいま林
政府
委員から將來の問題については御説明がありましたから、将來の問題については論及しません。これまでできております
出先機關
は、順次これを專門委員の方で
調査
して
政府
に報告しておりましても、過去の歴史においてまつたく進捗しないのであります。われわれは立法府の權威におきまして、法令の
改正
で出せるものは出す方が
適當
ではないかと考えます。こういうわけですから、
出先機關
に對する法令を調べて、その法令のうち
地方自治
に
權限
を與えるように修正すべきものは、これを國會の力においてなすということは、目下のわれわれの立場において當然なすべきことであり、また國民大衆がかようにすることを希望していると、私は申してはばからないと思うのであります。簡單でありますが、所信を述べまして、
委員長
の御考慮を煩わしたいと思います。
千賀康治
15
○千賀委員 特別市制を研究しているうちにぶつか
つて
きた問題ではございますが、
出先機關
の整備ということに、相當に大きな
關係
があると思うので、この際
政府
當局に御
意見
を伺い、また私の見解も申し上げておきたいのであります。 特別市制を斷行するに際しまして、たとえば愛知縣の尾張の國であるとか、
京都
府の山城の國であるとか、中心地を拔き取られた殘存部分をいかに
處理
をするかということは、相當に大きな問題で、これは特別市制とともに宿命的な問題でございます。しかしながら、この問題に必ず逢着すべきはもちろんでございますけれども、前國會におきましても、この問題について相當に憂慮されて、附帶決議もついておりますけれども、最近の趨勢におきましては、前國會において豫想しなかつた
地方自治
の完全達成と申しましようか、現在の
地方自治
よりも、もつと強度な
地方自治
が要求をせられている。これはポツダム宣言に服從する、この意味からよ
つて
起るところと思ふのでございますが、完全
地方自治
、たとえばアメリカの各州におけるような
制度
をわが縣に移しこむということになりますと、とうてい現在の區域では不可能であります。
経済
の樹立も不可能であります。その他經済の樹立に副いまして、他の面の樹立も不可能であります。かような點では、現在の日本の縣をそのまま
地方廳
の擴張の基盤にするということは不可能でございましよう。してみれば、當然特別市制のために起
つて
くる殘存縣の
處理
ということと前後いたしまして——前後ではない、竝行いたしまして、ただちに完全
地方自治
に
適當
なる
行政
属域の設定ということが問題にな
つて
くると思います。これはもちろん小さくするはずはない。大きくしなければならないのでございましよう。北海道縣、九州縣、四國縣、かようなものは土地の區域の上から非常にやりやすいようにも思いますが、本州をいくつに切るか、三つに切るか、四つに切るか、五つに切るか、かような問題が起
つて
まいりますと、相當にめんどうな問題が起
つて
まいります。そこで現在の出先官廳でありまするが、こういう出先官廳の中にも、相當に新しく生れ出でる大きな
地方廳
、新
地方廳
と申しましようか、こうしたものの結成には、相當に機能の活用を要求しなければならないものもありましようし、ただちにそうしたものが新しい縣の相當有力な構成分子になることも考えられるのでございましよう。ここまで考えてまいりますると、ただ
一つ
の流行言葉として、出先官廳をたたきつけるということであ
つて
はどうかと思います。私は
政府
當局がここまで思いをいたして
出先官憲
の
整理
について考えていただきたい。また考えるべきである。この用意もあらなくてはならないということも、ぜひわれわれ委員も、當局も、これを深刻に新しい問題として受取らなければならない問題だろうと思います。この點に關して當局はどうお考えにな
つて
いるか、御發表を願いたいと思います。
林敬三
16
○林(敬)
政府
委員 ただいまの
地方自治
の完全なる達成をはかるためには、とうてい現在の區域では不可能であるという御所論については、私もまつたく御同感であります。現在のような四十六にわかれております區域では、財政の問題を
一つ
あげましても、完全に自治體として成り立
つて
いくということは、とうてい不可能であ
つて
、おのずからそこに限度があると存じます。現在のままといたしますれば、まだやる豫地は若干殘
つて
おるだらう。それを努力するというところであ
つて
、現在の區域というものを前提とすれば、おのずからそこに限度があると存じます。なおしかし廣く申しますれば、資源の乏しい日本をどのようにわけてみても、アメリカのステートのように、ほとんど完全に近い獨立は困難であろうと存じますが、しかしそれにしても、やはり自治の完全なる達成を念願いたしますれば、當然區域の問題にぶつか
つて
くるわけであります。それでお話のように、特別官廳の
整理
の問題、あるいは特別市の設定の問題、そういうものと附帶いたしましては、常にこの區域がこれでよろしいかどうかという檢討の必要が出てまいるわけでございまして、もちろん
政府
當局としても、たえずこの點は内部的研究においては、それとにらみ合わせながら、この間のところをどういうふうにうまく線を引いていくか、現實の要請と將來の理想、そういうところをにらみ合わせて、どういうふうにその間の調和をと
つて
、そのときどきの政策を立てていくかということを考えていかなければならないと思
つて
、非常に苦心をいたしておる點でございます。ただ私も將來理想に進んでいく問題としては、
府縣
の區域を當然取上げて問題にしなければならないものと存じます。しかしただ現實の問題、現在日本がむしらその日暮しといいますか、その日その日をどう切り拔けていくか、あるいはその月その月をどう切り拔けていくかというようなせつぱ詰まつたやりくりの生活をいたしておりますときに、風俗、習慣、あるいは郷士意識、沿革、そういうものを永らくも
つて
まい
つて
おる
府縣
を、輕々に手をつけていくということも、相當困難な問題が伏在していることも、十分考えられるのでありまして、その間のところをまた現實に即して反省しつつ、現在の日本の姿、現在の日本の動き方ともにらみ合わせ、しかしそれだけに膠著して理想がなくてもいけないのでありまして、その間の理想の部面とも、その方に向
つて
の努力というものも考え合わせ、この両方をにらみ合わせて、
適當
なるところを出していかなければならない、かように考えております。
政府
の内部における研究の部面としては、この面のこともお話のごとくもつとものことでございまして、この點はにらみ合わせております。しかしこれが具體的な政策としてそこまで現わし得るかどうかということになると、日本の現下の情勢ともにらみ合わせて、相當また複雜な問題が生じてくるわけであります。まだ確定的ないろいろな結論には至
つて
おらないわけでございます。もちろん研究としては、兩方にらみ合わせてや
つて
まいりたいと存じますし、御
意見
は大いに傾聽して、將來の参考にいたしたいと思います。
千賀康治
17
○千賀委員 特別市制の問題で、私どもが本
委員會
において假決議をして以來、その決議をします以前とほとんど同樣な論旨で、同様な猛運動が私どもに浸透してまいるのであります。これは賛成側の市及び反對側の
府縣
ともに相當な猛運動を集中しておいでになります。しかしながら、この運動を通じまして、私どもが殊に強く感じますことは、將來
地方自治
を確立するために、もつと完全
地方自治
の顕現のために、
府縣
の區域は非常に大きくならなければ、經済の獨立ができなければ、また文化、思想の獨立もできないという點に關しまして、ほとんど見え透いておる状況でございます。ただ現在の實際の現實の縣の中におきまして、たとえば
横濱
市が飛び出したらあとの神奈川縣はどうなるか、あるいは川崎市はどうなるかというような蝸牛角上の觀念ばかりに囚われて反對の
陳情
もし、あるいは賛成の議論も行われております。ところが、一たび眼を轉じてアメリカの洲ほどとは言えないまでも、相當に縣の
行政
區域を擴大して、經費、文化、思想ともにアメリカの洲に接近した
地方自治
を出現するということを考えてみますと、現在の縣から特別市を拔き出すことがよいとか悪いとか、今まで行われておる議論、また現在でもわれわれに働きかけられておる議論というものは、雲煙過眼と申しましようか、まつたくあたらない議論ばかりでありまして、この豫想する大きな區域から、
横濱
、名古屋、
京都
、
大阪
、
神戸
、こんなものを拔き出すことは、まつたくこれは今まで考えられたところとは違つた意味で、かような觀點から考えますと、特別市制のごときは、その都市の人々が
適當
であると思うならば、これを特別市制にするということは當然でありまして、殘る大きな形の
府縣
に、今言われておるような弊害は絶對に起るはずはないのでございます。かような點もやはり
府縣
の完全自治を目標としての大きな集散離合、これに對して大きな
關係
もあり、また考え方の
一つ
の展開もしなければならない事情がたくさん含まれておると思います。これはやはり單に
出先官憲
の
整理
のために研究ということばかりでなしに、ひいては同時に特別市制というような大きな問題も、やはりこの中に包含せられて、ともに
解決
してゆく宿命的な運命におかれておるのでございます。私どもは最近常にこのことを強く感じ出したのであります。
政府
當局もどうかかような點もよく念におかれまして、もしも私どもの
意見
に同意されるならばその
趣旨
における取扱いをせられんことを要望する次第であります。
坂東幸太郎
18
○
坂東委員長
ちよつと今千賀委員からの發議がありましたので、特別市制の假決定のその後の經過を御報告申し上げます。それは當時
關係
方面の要望に基きまして、當時の
出席者
の賛成反對の
意見
を全部
整理
いたしまして、なおさら當日の
會議
録の一部を抄録いたしまして、たしか三十何ページにわたる文書ですが、それを英譯いたしまして、それを四通携えまして、私と門司君、
中島
君も參りまして、その
關係
方面の係に渡しました。詳細に説明し、また向うから質問がありました。
從つて
兩三日中には、この點に關しまして、向うから挨拶があります。そのとき御報告申し上げます。經過はその通りであります。 なお今日は
出先機關
の
整理
に關しましての報告並びに質疑應答かあつたのでありますが、さらに
適當
の機會にもう一囘開きまして、先ほど
中島
君も申しましたように、速やかに立法すべきものは立法し、
改正
すべきものは
改正
し、もしくは決議すべきものは決議して
政府
に要望するということも、次の機會に十分檢討して、そういうように進みたいと思います。 本日はこれにて散會いたします。 午後零時十一分散會