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1947-11-21 第1回国会 衆議院 司法委員会 第58号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十一月二十一日(金曜日)     午前十一時五十一分開議  出席委員    委員長 松永 義雄君    理事 荊木 一久君       井伊 誠一君    榊原 千代君       打出 信行君    山下 春江君       北浦圭太郎君    佐瀬 昌三君       花村 四郎君    山口 好一君       大島 多藏君    酒井 俊雄君       小西 寅松君  出席政府委員         司 法 次 官 佐藤 藤佐君  委員外出席者         專門調査員   村  教三君     ————————————— 本日の會議に付した事件  訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出)(第一〇四號)  家事審判法施行法案内閣提出)(第一〇九  號)     —————————————
  2. 松永義雄

    松永委員長 會議を開きます。  訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案及び家事審判法施行法案兩案一括議題といたします。兩案についてまず政府説明を伺います。佐藤政府委員
  3. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 ただいま上程されました訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案について、提案理由を申し上げます。  民事刑事訴訟費用及び執行吏手數料等は、御承知の通り、それぞれ民事訴訟費用法刑事訴訟費用法及び執達吏手數料規則の三法律規定されているのでありますが、戰時中の諸物價高騰に應じて、訴訟費用等臨時措置法が制定され、さらに昨年九月右措置法改正により、終戰後經濟情勢に應ずるため、訴訟費用執行吏手數料等を臨時的に増額する途が開かれ、同時に右手數料等の額も相當程度増額をみたのであります。しかるにその後一年間の經濟情勢の變遷は、まことにはなはだしく、例を總理廳統計局發表の東京における消費者物價指數表にとつてみましても、本年九月の物價は、昨年右手數料等増額いたしました當時の物價に比して約三倍の高騰を示し、現行手數料等の額は、まつたく實情に副わぬものとなりました。このため民事刑事訴訟關係者は非常に重い負擔を強いられるに至り、また執行吏は、現在の收入をもつては、その生計を維持することがきわめて困難な状態にありまして、延いては、民事刑事訴訟や、強制執行制度圓滑な運行にも支障を來すおそれがある状態に立至つたのであります。よつて政府はこの際、さらに暫定的に右手數料等の額を増額して、現状を打開するために、この法律案を提出いたした次第であります。  以下改正の要點を申し上げますと、第一は、民事刑事訴訟費用及び執行吏手數料等現状に即するように増額した點でありまして、今囘の改正の眼目とするところであります。増額程度は、大體物價指數により、現行の二倍半ないし三倍程度にいたしましたが、旅費、宿泊料等右標準によつて實情に副い得ないものについては、例外を設けてあります。第二條ないし第四條の改正規定がすなわちそれであります。  第二は執行吏の差押及び競賣手數料計算方法を改めた點であります。この手數料は、債權額または競賣金額の多寡に應じて定まるものでありまして、現行法のもとでは、手數料計算標準となる債權額または競賣金額を一萬圓以下六段階に分けてありますが、現在ではこのわけ方はすでにこまかきにすぎ、かつ一萬圓を越える場合に適當段階が設けてないため、手數料の算定に適正を缺く憾みがありますので、今囘の改正により五萬圓以下を六段階にわけて、各段階ごと適當手數料額規定することにいたしました。第四條第二項及び第三項の改正規定がそれであります。  第三は、新憲法及び裁判所法施行に伴う條文整理をした點であります。裁判所法施行に伴い、執達吏は執行吏と變更されましたので、この點の整理をいたすことにいたしました。また執行吏が一年間に收入した手數料一定の額に滿たないときは、國庫からその不足額を支給することになつておりまして、この一定額勅令で定めることになつておりますが、新憲法施行に伴い、勅令を政令と改めることにいたしました。第一條及び第五條の改正規定がそれであります。なお、第四條の改正規定も、若干條文整理をいたしております。  以上がこの法律案提案理由であります。  次に家事審判法施行法案について、提案理由を申し上げます。  民法改正に伴いまして、家庭事件を適切に處理いたしますために、さきに家事審判法案を提出いたし、すでに御審議を經て成立いたしたのでありますが、この家事審判法施行等に伴いまして、現行人事調停法廢止し、現行人事訴訟手續法及び訟事件手續法改正する等の必要がありますので、ここに本法案を提出いたした次第であります。  次に、本法案概要を御説明いたします。第一は、人事調停法廢止であります。現行人事調停法にまつて處理いたしております調停事件は、すべて家事審判所において取扱うこととなりましたので、人事調停法廢止いたしました。  第二は、人事訴訟手續法改正であります。現行人事訴訟手續法によつて處理いたしております事件のうち、夫婦の同居に關する事件、親權及び財産管理權喪失宣告に關する事件、新權及び財産管理權喪失宣告に關する事件禁治産及び準禁治産喪失宣告に關する事件失踪宣告に關する事件等は、家事審判所において取扱うことになりましたし、推定家督相續人の廢除に關する事件隠居の無效及び取消事件等は、改正民法施行によつてなくなりますので、これらの事件に關する規定を削除いたしました。また改正民法は、協議離婚及び協議離縁取消等について新たに規定を設けておりますので、これに伴い所要改正を加えました。  第三は、非訟事件手續法改正であります。現行訟事件手續法によつて處理いたしております不在者等財産管理に關する事件、子の懲戒に關する事件、相續の承認及び放棄に關する事件、遺言の確認及び執行に關する事件等は、家事審判所において取扱うこととなりましたし、離籍、隠居、廢家等の許可事件親族會に關する事件等は、改正民法施行によつてなくなりますので、これらの事件に關する規定を削除いたしました。また改正民法は、妻の能力の制限等を撤廢し、繼親子關係嫡母庶子關係等廢止いたしておりますので、これに伴い所要改正を加えました。  第四は、以上の人事調停法廢止人事訴訟手續法及び訟事件手續法改正等に伴いまして、必要な經過規定を設けました。  ただいま申し上げましたのが、本法案概要であります。以上二法案につきまして何とぞ愼重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 松永義雄

    松永委員長 右兩案については、本日は説明に止めます。  本日はこれにて散會いたします。明日は午後二時より開會いたします。    午後零時散會