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1947-11-12 第1回国会 衆議院 司法委員会 第55号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十一月十二日(水曜日)     午後一時四十分開議  出席委員    委員長 松永 義雄君    理事 石川金次郎君 理事 荊木 一久君    理事 鍛冶 良作君       井伊 誠一君    池谷 信一君       石井 繁丸君    山中日露史君       打出 信行君    佐瀬 昌三君       花村 四郎君    山口 好一君       大島 多藏君  出席政府委員         司法政務次官  佐竹 晴記君  委員外出席者         議     員 庄司 一郎君         議     員 山本 幸一君         議     員 本田 英作君         議     員 川村善八郎君         議     員 鈴木 明良君         議     員 重井 鹿治君         議     員 原  孝吉君         專門調査員   村  教三君     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  一 刑法の一部を改正する請願山口好一君紹  介)(第六號)  二 司法行刑保護に關する請願庄司一郎君紹  介)(第一五四號)  三 多治見市に岐阜地方裁判所支部設置請願  (山本幸一紹介)(第一九一號)  四 死刑廢止請願本田英作紹介)(第二  ○二號)  五 函館市に札幌高等裁判所支部竝びに札幌高  等檢察廳支部設置請願冨永格五郎君外  二名紹介)(第二六九號)  六 吉沼村及び高道祖村を下妻簡易裁判所管轄  に編入の請願鈴木明良紹介)(第三一  九號)  七 罹災都市借地借家臨時處理法有效期限延長  その他に關する請願船田享二紹介)(  第四〇五號)  八 伊東警察署警察官職權濫用竝びに住居侵  入に對し公正なる司法權發動請願(高橋  英吉君外四名紹介)(第四五六號)  九 帶廣市に札幌高等裁判所支部竝びに札幌高  等檢察廳支部設置請願坂東幸太郎君紹  介)(第五七四號)  一〇 高鍋町に簡易裁判所設置請願押川定  秋君紹介)(第五九〇號)  一一 岡山市に廣島高等裁判所岡山支部設置の  請願重井鹿治君外一名紹介)(第六八〇號)  一二 美瑛町に登記所設置請願坂東幸太郎  君紹介)(第九二二號)  一三 借地借家法の一部改正その他に關する請  願(中村元治郎紹介)(第一〇一〇號)  一四 郡山市に仙臺高等裁判所支部設置請願  (原孝吉紹介)(第一〇二八號)     ―――――――――――――
  2. 松永義雄

    松永委員長 會議を開きます。  これより本委員會に付託された請願審査に入るに先だちまして、審査方針についてお諮りいたしたいと存じます。御承知通り、新國會におきまして、請願審査は、最も審議に愼重を期すべきものでありまして、いやしくも採擇した以上は、必ずこれが實現の方途を講ずることといたし、これがためには内容いかんにより、必要あるときは委員會において法律案を起草することもありまするし、また豫算的措置を要するものについては、必要により豫算委員會連合審査會を開く場合も當然起り得ることと考えます。かくあらゆる角度から檢討を必要といたしまするので、これより御審査を願う御所見につきましての委員會における決定はしばなく留保いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  3. 松永義雄

    松永委員長 それではそのように決定いたします。これより請願審査にはいリます。  日程第一四、郡山市に仙臺高等裁判所支部設置請願請願文書表第一〇二八號を議題といたします。紹介議員の御紹介お願いいたします。原孝吉君。
  4. 原孝吉

    原孝吉君 今般仙臺市高等裁判所設置されるにあたりまして、支部福島縣中央たる郡山設置してもらいたいというのが趣旨であります。經濟上、交通上から見て、福島縣中央にある郡山市は、工業都市であリまして、鐵道の線路は五本ありまして、磐越西線といたしましては、會津、新潟と通じており、東線といたしましては平方面、南は水戸市に通じておる。郡山市といたしましては、小さな町であつたのでありましたが、福島縣中央に位いたしまして、工業都市として、ますます人口が増加し、さらに今日では大體七萬を算えるくらいの人口に相なつたのであります。資料がまだ參りませんが、そのうちに郡山市からこまかなことを書き添えて、こちらの方に送り届けるということに相なつております。趣旨はただいま申したようなわけでありますから、各位におかれましては、御採擇あらんことを、ひとえにお願いいたしまして、簡單に申し上げた次第であります。
  5. 松永義雄

    松永委員長 この際政府に御意見があれば伺いたいと存じます。
  6. 佐竹晴記

    佐竹政府委員 ただいまお申出になられました郡山市に仙臺高等裁判所支部設置方請願趣旨は、一應ごもつともに存じます。政府としても御不便の事情は、よく承知しておりますが、裁判所支部設置は、最高裁判所の權限に屬しておりますので、最高裁判所によくその趣旨を傳達いたし、何分の考慮をお願いすることにいたしたいと存じますから、さように御了承願います。
  7. 松永義雄

    松永委員長 御意見なり御質疑があれば、御發言を願います。
  8. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今佐竹次官からおつしやつた通り、これは後にも出てきますが、この問題は最高裁判所でこれを決定するものであるから、司法省意見よりも、むしろ最高裁判所意見を聽くことが、もつとも肝要であると思いますから、この審議の際に最高裁判所の方に出ておつていただかないと、審議ができないのではないですか、いかがでしようか。
  9. 松永義雄

    松永委員長 ちよつと速記を止めてください。   (速記中止
  10. 松永義雄

    松永委員長 速記を始めてください。これにて本件についての審査は一應終りましたが、なお盡さない點は適當機會に取上げたいと思います。
  11. 松永義雄

    松永委員長 次に移ります。日程第一、刑法の一部を改正する請願文書表第六號を議題といたします。山口好一君。
  12. 山口好一

    山口(好)委員 本請願趣旨及び理由紹介議員として御説明いたします。  すでに刑法の一部改正法案は、本委員會を通過いたしておりますので、これはこの次の改正にぜひお願いしたいということに相なるわけでありますが、これにつきましてのまた政府委員の御所見も伺いまして、本委員會滿場一致の御贊成を得て、速やかに御採擇を願いたいと思うのであります。  それは現行刑法によりますれば、刑の執行猶豫の言渡しをなす條件といたしましては、一定の條件がつけられまして、殊に懲役刑以上に處せられて未だ七年を經過せざる場合においては、再犯の場合には刑の執行猶豫の言渡しはできない。こういうふうに相なつておるのでありまするが、今日のごとく刑罰法規がむしろ濫發されておりまして、ほとんど軒並に前科をもつというような状態にありますときにおいて、特にこの請願書がその必要を感じたことと思います。われわれも辯護士として事件を扱つておりまして、再犯で遺憾なのでありますが、しかしほんとうに同情すべき、酌量すべき事情があつて、これが執行猶豫の言渡しをむしろなすべきものである。こういうような事情の場合におきましても、前科があつて、未だその法定の年限を過ぎておらないというために、執行猶豫の言渡しをなすことができない。裁判所でも非常に同情をいたし、本人も辯護人もまことに不合理であると思う場合におきましても、それがため實刑を言渡さなければならない、實刑に服さなければならない。こういうようなことで、法律の上で、さような場合にまことに不合理な、この人情に反するところの判決をいたさせなければならないという結果を、しばしば見ておるのであります。そこで本請願者は、再犯あるいはそれ以上、三犯というような、不幸にして罪を重ねた場合におきましても、犯罪の動機、犯罪罪質その他諸般の情状によつて、なおいま一度執行猶豫にいたすべきものと裁判所において認定をいたしまする場合においては、執行猶豫の言渡しができるように、この刑法執行猶豫言渡しの條件についての緩和をお願いいたしたい。こういうのが、この請願者請願趣旨でございます。われわれ實際事件に携わつておりまする者、また裁判官の方々におかれても、これはしばしば痛感いたするところと存ずるのでありまして、かような場合において、最も具體的にその事件々々についての合理的なる、かつ人情に適する、その事態について最も適切なる判決を言渡することのできるように、刑法の一部を改正してもらいたい。こういう請願趣旨であります。これについて政府委員の御所見を伺いました上、本委員會の各委員の御贊成を得て、速やかに採擇を願いたいと思うのであります。
  13. 松永義雄

    松永委員長 この際政府の御意見があれば、お伺いいたしたいと思います。
  14. 佐竹晴記

    佐竹政府委員 刑の執行猶豫をなし得る場合を廣くし、でき得る限りこれが活用をはかるべき御趣旨については、同感でありまして、本國會に提出いたしました刑法の一部を改正する法律案において、三年以下の懲役禁錮及び五千圓以下の罰金の言渡しの場合にも、執行猶豫を付し得るよう、その範圍を擴張いたしましたのも、この趣旨に出たものにほかなりません。しかしてこの改正案によれば、罰金刑につき執行猶豫を付するには、罰金前科があつても差支えがなく、また罰金刑執行猶豫中の者が、さらに罰金に處せられた場合には、情状によつて、さらに執行猶豫を付することも可能となつておるのでありまして、その限りにおいて、御趣旨の一部が實現していると考えるのであります。しかし執行猶豫における前科についての制限を、今ただちにすべて取拂うということは、ときに運用が行き過ぎに流れるおそれがあるのではないかという心配もありますので、この點については、なお刑法全面的改正のときまでに、十分研究をいたしたいと考えておる次第でございます。
  15. 松永義雄

    松永委員長 御意見なり御質疑がございますれば、御發言お願いします。ございませんければ、これにて本件についての審査は一應終りましたが、なお盡さない點は適當機會に取上げたいと思います。     ―――――――――――――
  16. 松永義雄

    松永委員長 次に移ります。日程第二、司法行刑保護に關する請願文書表第一五四號を議題としたします。庄司君。
  17. 庄司一郎

    庄司一郎君 本請願お願いの次第は、二點より相なつております。第一點は、過般本司法委員會において御決定をいただき、特に委員會では愼重審議のもとに、政府原案を一部修正されました。罰金刑關係のものは五年でございます。それから重刑のものは原案通り判決後の滿十年後において裁判言渡しの效力を失わしめて、いわゆる前科者前科抹消してくださるところのまことにありがたい、原案よりもよりよい修正をいただき、前科者に對する將來保護更生ために、本院において可決確定され、すでに先月の二十六日でありましたか、改正刑法施行せられたのであります。私はほんとうに心の底より感謝にたえません。實はこの請願は本年の七月二十五日に提出し、刑法の一部改正案が本委員會で御審議中において、この請願について一應述べさしていただきたかつたのでありますが、本請願を提出して七十七日目の本日、發言するの機會を惠まれた次第であります。  請願の第一はすでに可決確定を得て改正刑法となり、重刑を課せられた者は滿十年後に、罰金刑の者は滿五年後に役場刑名簿より前科抹消してくださるように決定されたのでございますが、私はそれよりもなおよき一つの修正請願を通してお願いしたいのであります。すなわち強盗、窃盗、凶惡なる犯罪者、あるいは極端な知能犯とかいう累犯再犯常習的有罪に對しては、滿十年間の更生を見守るところの日時を與えることは妥當だと思いますが、初めて犯罪を犯して、たとえば懲役三箇月の判決を與えられた者とか、あるいは年齡二十歳以下の青年で、これからよくなる可能性のある者、あるいはかつて過去においての前科抹消なつたが、その後再び誤つて十年後、二十年後に輕微なる犯罪を犯して實刑を課せられた者、さようにきわめて容易に改過遷善の生活に更生し得る見込みが十分である者は、十年の期間であつたらその半分の五年くらいの程度にすることが、司法保護目的から言つてもよいことじやないか。私は今年で二十八年間、終始一貫田舎で司法保護事業に關係しておる者でございまして、自分の長い體驗の上から、さように感じておるのでございます。御承知のごとく、いわゆる前科者を公務員、名譽職あるいは農村の何々委員というようなものに採用してはならぬという法令が現在五十六もあるようでございます。刑餘者がせつかく改過遷善をしてりつぱな人間に立ち還りましても、この五十六の法律や規則のために、またせつかく御制定をいただいた滿十年後には前科抹消してやるぞという恩典はありましても、その反面に滿十箇年の間、市町村役場刑名簿に明らか國家登録されておりましては、何にもならないのであります。そこでただいま申し上げた初犯者、あるいは輕微なる刑期の短い判決を受けた者は、滿五箇年くらいで前科抹消されるようにしていただきたい。すでに先月二十六日より實施せられた刑法一部改正ではございますが、これは近い將來において、根本的に刑法改正の時期があると信じます。さような時期まで、よく政府當局も御返事を願い、また權威ある司法委員會においても、御審議願つておきまして、ただいま申し上げたことく、さらに御改正を願いたいというのが、第一の請願趣旨でございます。  第二の請願趣旨は、いわゆる大東亞戰争なつた直後、司法省司法保護局が廢止され、保護課に縮小されたように覺えております。ところが終戰後犯罪、特に青少年犯罪が激増しておりますが、この不良青少年刑餘者あるいは釋放者を、もつと温かい手で普遍的に廣く深く保護していきたい。そうして再犯者累犯者たらしめないようにいたしない。それには現在の司法省保護課だけでは、その機構において、人的要素において足りないと考えます。そこで多少の豫算の増額も伴いましようが、どうか數年前の保護局を再び復活していただいて、全國の地方檢察廳及び民間司法保護團體等々と、一層緊密なる連繋をおとり願いたい。どうか刑餘者釋放者を、もつともつと保護してやり得るところの基本的な措置をつくるために、元通り保護局設置してほしいということが、お願いの第二であります。  なおこの際委員長のお許しを得まして、私の司法保護事業密接不可分の直接の關連をもつておりますことについて、委員長より政府にお聽き質しを願いたいことがございます。それは、過般新聞紙上で拝見すると、十一月三日において、わが國恩赦法制定されて以來、第一囘目恩赦法實施をなされきたということであります。私も御縁があつて、前議會においては、恩赦法委員長を勤めさせていただいた關係上、特に深い關心をもつておるのであります。恩赦法施行されて、第一囘目恩赦實施されるにあたつてほんとう司法大臣から一應国會に御報告を頂戴したかつたのでありますが、この際司法政務次官より、今囘の恩赦令施行にあたり、全國何名のこの恩赦に浴し得た者が出たかというようなことをお伺い申し上げて、せつかくわれわれ國會制定した恩赦法に初めて浴し得た諸君の温かさだけでも、記念のために知つておくことが、司法保護の見地から、決してむだではないと考えまして、これは委員會の名によつて、どうか委員長より司法省にお伺い質し願つて、はつきりしておきたいと思うのであります。  以上申し上げた第一、第二の點につきまして、どうか委員會におかれましては、私の請願趣旨をとくとおくみとり願いまして、御採擇あるよう、ここにお願いを申し上げる次第でございます。
  18. 松永義雄

    松永委員長 この際政府の御意見があればお伺いしたいと存じます。
  19. 佐竹晴記

    佐竹政府委員 まず第一に刑法の一部を改正する法律中、前科抹消の點について申し上げたいと存じます。本國會提出刑法の一部を改正する法律案第三十四條の二につきましては、政府原案が刑の消滅までの期間を一律に十年といたしましたのに對し、國會では禁錮以上の刑が十年、罰金以下の刑が五年と區分をして修正可決されましたので、御趣旨の一部はこれによつて實現したものと考えます。しかしこれでもなお畫一的であるということは免れませんけれども、これはもともと一一具體的情状審査することなく、法律上自動的に前科抹消せんとする規定の性質上、やむを得ないところでありまして、この規定の定むるわく内において、またそのわくの外において、具體的事情によつて前科抹消することは、別に恩赦法の定むる恩赦作用の有效なる運用に期待するわけでございますので、さよう御了承をお願いいたしたいと存じます。  第ニに、司法省保護局の復活に關する點でありますが、司法保護事業法少年法及び矯正院法運用いたしまして、刑餘者釋放者及び犯罪少年等を適切に保護し、その犯罪性を取除いて、これを社會生活に融和させるのが、司法保護の使命でありまして、司法省は、刑事政策の一還として、現在この事業實施するために、現地機構として、全國に司法保護委員會及び連合保護會おのおの四十九を配置し、また最近少年保護機關を増設いたしまして、少年審判所十八及び國立の少年院十二を配置いたしておりまするほか、その指導監督の下にある各司法保護委員會九百六十二、司法保護委員約三萬七千名、囑託少年保護司約四千名、民間篤志家の經營による少年保護團體約百六十、成人保護團體約二百三十を運營いたしております。そうして、これら大きな現地機構中央において總括監督する本省の機構は、昭和十八年の十月まで、司法省保護局でありましたが、戰時中の不合理な行政整理に強制されまして、一時の便宜上刑政局の一課となり、次いで終戰後の昨昭和二十一年六月、暫定的に大臣官房保護課として獨立し、今日に及んでおります。けれどもこの活動は、機構内容がきわめて不備でありますために、その所管に關する大きな全國的な組織を圓滑運營するにきわめて不十分であります。しかし戰後國内犯罪状態から見て、收容保護または觀察保護等による司法保護措置を必要とする對象者の數が、成人特に青年層におきましても、戰時中ないし戰前に比し優に二倍を突破しておりまする現在であり、特に今平和的文化國家の建設を目指しておるわが國といたしまして、その基盤を侵すところの國内犯罪の一掃に特段の努カを拂わなければならない立場にありますこの際、司法保護の躍進的な活動というものが要請されております。從いまして、司法省といたしましては、國内の各種司法保護機構活發運營をはかりますために、速やかにその中樞の機構となるべき現在の官房保護課を擴充強化いたしまして、保護局に昇格せしめたい意向で、現に今囘の司法省の改組に伴いまして、その實現に努力中でございます。何とぞ十分理解ある御協力を賜りまするよう、お願い申し上げます。  なお、庄司さんから提出されております請願書の中に、監嶽法改正の點がうたわれておりますので、これをこの際ついでにお答え申し上げておきたいと存じます。現行監嶽法は、明治四十一年の制定にかかつて、現在の社會情勢に即應しない點もあると思われますので、ただいまこれが改正を企圖いたしまして、著々準備中でありますので、次の國會には、改正法律案といたしまして提出することができると考えております。  なお次に、第一囘恩赦令施行にあたり、全國どれほどの者がこの恩典に浴したかという御質疑でございましたが、今囘の恩赦は、一昨年九月二日及び昨年十一月三日現在上訴中等理由で刑の確定いたしていなかつたため、減刑に漏れた者を減刑するのが目的で、その對象者は比較的少數と考えられます。ただいままでにまだ司法省報告はまいつておりませんが、すでに一、二の刑務所で數名釋放した者があるので、口頭の報告を受けておりますような次第でございます。以上申し上げます。
  20. 松永義雄

    松永委員長 御意見ないし質疑がございますれば、御發言を願います。――ないようでありますから、これにて本件についての審査は一應終りましたが、なお盡さない點は、適當機會に取上げたいと存じます。     ―――――――――――――
  21. 松永義雄

    松永委員長 次に移ります。日程第三、文書表第一九一號を議題といたします。紹介議員山本幸一君。
  22. 山本幸一

    山本幸一君 ただいま議題となりました岐阜地方裁判所多治見支部設置に關する請願でございますが、この請願趣旨は、岐阜縣の俗に東濃地方と申しまして、多治見市、惠那郡土岐郡、可兒郡加茂郡の一市四郡を管轄地域といたしまして、可兒郡御嵩町に御嵩區裁判所設置されたのでございます。しかし御嵩區裁判所のある地方は、その東濃地方の北西にあたる最も不便なところでございまして、さいわい新憲法の實施によりまして、多治見市及び惠那郡中津町に簡易裁判所ができましたが、さらにこの際東濃地方中心部であります多治見市に、岐阜地方裁判所支部設置方お願いいたしたいと存じまして、本請願をいたしたような次第でございます。  なお簡單ながらその理由を一、二點述べさせていただきたいと考えるわけでありますが、すなわち現在ある御嵩區裁判所位置は、交通機關のまつたくない徒歩時代に、中仙道を交通の要路といたしまして、その當時の宿場でございます可兒郡御嵩町に設置せられたわけでありまして、先ほど申しましたように、東濃一市四郡を管轄いたしまして、さらに岐阜地方裁判所支部も併置されておるような状態であります。ところが時代の趨勢によりまして、御嵩町はまつたく一個の山農村と化しまして、交通機關といたしましては、わずかに單線の電車の乗り入れがあるのみでございまして、從つて關係住民は非常に不便を感じておるような状態でございます。これがために、昭和六年の三月多治見市、土岐郡、惠那郡の各町村長竝びに御嵩裁判所位置周圍を圍んでおりまする可兒郡加茂郡のうち九箇町村長の連署によりまして、時の司法大臣竝びに衆兩院に對しまして、御嵩裁判所をどうか多治見市に移轉をしていただきたい、そういう請願書を提出いたしまして、爾來運動を繼續いたしておるような状態でございます。しかし最近におきましては、本年の五月二十八日附をもちまして、多治見市長より細野最高裁判所長官代理に對しまして、御嵩裁判所多治見市への移轉は、一時中止をいたしまして、新たに多治見市に岐阜地方裁判所支部設置陳情書を提出いたしておるような次第でございます。從つて御嵩地方支部多治見市に移轉を希望するものではございません。すなわちただいま申し上げましたように、新しく多治見市に、土岐郡、惠那郡多治見市を管轄地域とするところの地方支部を増設せられたいというのが、第一の理由であります。  第ニは、現在の一市四郡の人口關係及び司法關係を御紹介申し上げますと、すなわちかりにさいわいにして多治見市に支部設置願えますならば、その多治見市の支部に關係いたしておりますところの人口の状況は、昭和二十一年十月末現在をもちまして、多治見市が三萬五千八百八十八人ほどあります。土岐郡が八萬八千六百七十一人ほどあります。惠那郡が十四萬三千二百八十一人、合わせまして二十六萬七千八百四十人というような人口状態であります。しかるところ御嵩裁判所を利用できる範圍の可兒郡加茂郡におきましては、兩方合わせまして十五萬二千程度人口でありますので、この點から見ましても、さいわい多治見支部設置せられますならば、明らかに多數の者がその不便から解放せられると考えておるわけであります。なお事件關係は、これまた昭和二十一年一箇年中の統計をとつたのでございますが、多治見市、土岐郡、惠那郡、これが民事、刑事を合わせまして、合計千二百四十九件ございます。これに比較いたしまして、可兒郡加茂郡は合計五百八十七件でありまして、從つてこの點から考えましても、多治見市に多治見支部設置必要性をぜひお認め願いたいと考えておるわけであります。  さらに最後にお願いいたしたいことは、御承知のように多治見市、土岐郡、惠那郡というところは日本の陶磁器の生産地でございまして、岐阜縣における中小工業地の最も代表的なところであるわけであります。しかも貿易の再開によりまして、當然發展を約束せられておるのでございまして、さらにその上に交通の至便なることは、中央線を控えまして、太多線あるいはその他バスが五、六本ございまして、きわめて便利なところであるわけであります。從つてこの際多治見市に簡易裁判所だけでは、あまりにも不便でありますので、そのため關係住民も多大な迷惑をいたしておりまする關係上、ぜひとも本請願を各委員におかれまして、十分御了承願いまして、御採擇あらんことを特にお願いいたす次第でございます。簡單でありますが、以上申し上げます。
  23. 松永義雄

    松永委員長 この際政府の御意見を伺います。
  24. 佐竹晴記

    佐竹政府委員 ただいまお述べになりました請願の御趣旨は、一應ごもつともに存じます。政府といたしましても、當面の事情はよく了承いたしますが、先ほども申し上げました通り裁判所設置の件は、最高裁判所の權限に屬しておりますので、最高裁判所によく御趣旨を傳逹いたしまして、何分の御考慮を願うことにいたしたいと存じます。さよう御了承をお願いいたします。
  25. 松永義雄

    松永委員長 質疑はございませんか。本件についてなお盡さぬところは、他の機會に取上げることにいたします。     ―――――――――――――
  26. 松永義雄

    松永委員長 それでは次に移ります。日程第四、文書表第二〇二號を議題といたします。紹介議員本田英作君。
  27. 本田英作

    本田英作君 この請願は、死刑を廢してくれという請願でありまして、まことにむつかしい問題であります。請願人は八十歳に近い老人でありまして、その長い人生の體驗により、また辯護士として三十年の法律生活の經驗により、また東西の刑法典に對して研究の結果によつて、どうしても人間がこの世に生れてくるというのはなみ大抵のことではない。その人間が人間を殺すということは、どうしてもこれは天理にもとるものであるという結論のもとに、今囘請願お願いするようになつたものと思われるのでありまして、現在の日本の世相の險惡と、日々われわれの耳朶を打ちまする凶惡なる犯罪の續出しておる今、死刑を廢するということは、なかなかむつかしいことで、反對論は強いことと思うのであります。ただそういう一つのただいま申しました考えから出てきた死刑を廢すべしという理念は、今ただちに刑法典を改正することは至難のことであつても、その理念を御採擇願うことは、必ずしも無理なことではなかろうと思いまして、私はここに紹介議員として、皆さんの御採擇をお願する次第でざいます。
  28. 松永義雄

    松永委員長 政府委員の御意見を伺います。
  29. 佐竹晴記

    佐竹政府委員 死刑廢止の問題は、世界各國を通じての年來の提案でございまして、その趨勢としては、漸次死刑を減少し、また廢止する方向に向つておると思うのであります。しかしなから、この問題はその時々の社會情勢とも密接な關連を有するものでございまして、これが實現には、よほど愼重なる考慮を要するものと存じます。今囘刑法の一部を改正する法律案を提案いたしたのでありますが、今日のごとき治安のよくない状況下においては、特に有力なる反對論も考えられますので、この問題は取上げられなかつた次第であります。近く著手の豫定の刑法全面的改正事業においては、十分檢討いたしたいと考えております。
  30. 松永義雄

    松永委員長 質疑はございませんか。――本件については、なお盡きざるところは、他の機會において取上げることにいたします。     ―――――――――――――
  31. 松永義雄

  32. 川村善八郎

    川村善八郎君 本請願趣旨は、函館市に札幌高等裁判所支部竝びに札幌高等檢察廳支部設置せられたいという趣旨であります。その理由は函館市は人口二十萬餘を有し、北海道の表玄關として本州との海陸連絡の要衝であるばかりでなく、實に北海道南部における中心都市であります。漁業の策源地として、つとに知られておるところであります。殊に近き將來において國際的貿易港として約束せられ、その發展は大いに期待されておるのが現状であります。この場合特に申し上げたいことは、函館市は曽つて控訴院及び同檢事局の所在地であつて、永い歴史を有し、現にその事件數も道内上位の實績をもつて、司法の進展に伴い、いよいよ昇格することはきわめて明らかであります。しかるに控訴院の移轉により函館管内最遠地、すなわち小砂子から札幌まで約四百三十キロ、二日路の遠距離となつため、あるいは冤罪に泣き、あるいは權利の伸張を妨げられるものもありました。このゆえにこそ、新憲法の實施せられるや、ひとり函館市のみならず、道南各地には、期せずして高等裁判所支部と高等檢察廳支部とを函館市に設置すべしとの要望の聲は、澎湃として起るに至り、當辯護士會においても、その要望の喫緊適切なるを認めて、去る六月四日の臨時總會にて、この要望建議を決議しました。さいわいに函館地方裁判所廳舎内には、陪審法廷、同宿舎、附屬各室など、平素使用せざる屋舎存在し、僅少の人件費を増すのみにて併置し得る便宜を有するのであります。函館管内五十萬人の熱望を御採容賜りたく、ここに辯護士曽の決議に基きまして、本請願をいたした次第であります。何卒各位におかれましては、愼重審議せられまして、本請願滿場一致御採擇あらんことを、切にお願いする次第であります。
  33. 松永義雄

    松永委員長 政府意見を伺います。
  34. 佐竹晴記

    佐竹政府委員 ただいまお述べになりました請願の御趣旨は、一應ごもつともに存じます。政府といたしましても、御不便の事情はよく了承いたしておりますが、裁判所支部設置は、先ほどより申し上げております通り最高裁判所の權限に屬しておりますので、最高裁判所によく御趣旨を傳達いたしまして、何分の御考慮を願うことにいたしたいと存じます。なお高等檢察廳の支部設置につきましては、高等裁判所支部設置されます際は、當然に考慮せられることになろうと存じておりますから、この點も合わせて御了承をお願い申し上げておきます。
  35. 松永義雄

    松永委員長 質疑はございませんか。――本件については、なお盡きぬところは、他の機會に取り上げることにいたします。     ―――――――――――――
  36. 松永義雄

    松永委員長 それでは次に移ります日程第六、吉沼村及び高道租村を下妻簡易裁判所管轄に編入の請願文書表第三一九號を議題といたします。紹介議員鈴木明良君。
  37. 鈴木明良

    鈴木明良君 茨域縣筑波郡吉沼村及び高道租村の兩村は、明治十六年六月二十六日水戸始審裁判廳より下妻支所の管轄に編入せられてより六十有餘年の間、下妻區裁判所の裁判籍にありまして、兩村民は裁判上の便宜を受けてまいりました。しかるに今囘、昭和二十二年法律第六十三號によりまして、警察署單位的管轄變更をせられました結果、吉沼村、高道租村の兩村は、ともに筑波郡北條警察署の管轄でありますので、新設の土浦簡易裁判所の管轄となつたのであります。ゆえにこの兩村の不便は、實に甚大となつたのであります。これを具體的に比較をいたしますと、舊下妻區裁判所管轄時代の兩村民は、高道祖村民は徒歩約三十分、自轉車で約十五分、吉沼村民は徒歩約二時間、自轉車で約四十分ばかりでありまして、經濟上、かつまた司法民主化のために合理的であるのであります。そこで新土浦簡易裁判所管轄となりますと、吉沼村よりは徒歩で約六時間、自轉車で約二時間、高道祖村よりは徒歩で約七時間、自轉車で約三時間、その上に鐵道を利用いたしますと、常總線宗道驛から常磐線取手驛經由約四時間半を要しますし、汽車賃は五十五圓であります、なお筑波線北條驛から汽車に乗りましても、同様汽車賃がかかりますし、時間もかかりますが、これは地方民の司法民主化のために、まことに經濟上から申しましても、その負擔は過重となりますゆえに、何とぞ舊裁判所下妻簡易裁判所の管轄に復活されんことを切望いたします。本請願を御採擇くだされますことを特にお願いいたします。
  38. 松永義雄

    松永委員長 政府の御意見を伺います。
  39. 佐竹晴記

    佐竹政府委員 ただいまお述べになりました請願の御趣旨は、まことにごもつともに存じます。簡易裁判所の管轄は、設置當時地もと地方裁判所の意向に基き定めたものでありますので、簡易裁判所及びこれに對應しておかれている區檢察廳は、その管轄區域内の警察署と事務上の連絡を必要とすることが多いので、當初は一警察署に對し、一簡易裁判所及び一區檢察廳を設置いたしまして、その管轄區域をなるべく警察署の管轄區域と一致させる方針でありましたが、豫算の關係上大體二警察署の管轄區域ごとに、一つの簡易裁判所、及び區檢察廳が設置せられることになりましたので、御指摘のような地もとにたいへん御迷惑をおかけするような場合を生じたのでありますから、はなはだ遺憾に存じております。政府といたしましては、現地關係各町や最高裁判所ともよく協議をいたしまして、なるべく御希望に副うように努力いたしたいと存じております。何とぞ御了承をお願いいたします。
  40. 松永義雄

    松永委員長 質疑はございませんか。本件についてなお盡きぬところは、他の機會に取上げることにいたしまして、次に移ります。     ―――――――――――――
  41. 松永義雄

    松永委員長 日程第一一、岡山市に廣島高等裁判所岡山支部設置請願文書表第六八〇號を議題といたします。紹介議員重井鹿治君。
  42. 重井鹿治

    重井鹿治君 これは岡山市に廣島高等裁判所岡山支部設置請願でございます。岡山辯護士會長山村利宰平君から請願いたしておる次第でございます。  岡山市と廣島市は、汽車の時間にいたしまして六時間くらいかかります關係上、事件が控訴された場合には、一日では濟まないのでありまして、どうしても二日がかりということになるわけでございます。從つてその費用も、このごろ莫大に上ることになつております。一人が旅行いたしましても、一日五百圓ないし千圓かかる。また被告人が女性、少年、病人の場合には附添いがつきます。あるいは辯護人が同伴するということになりますと、一つの事件について一日參りまして數千圓かかるということになつているわけでございます。そういう經濟的な關係やら、高等裁判所が遠いということによつて、自然控訴せずに第一審で終るというようなことになつているわけであります。なお岡山においてこれまで取扱つた件數を簡單に申し上げますと、岡山管内の各區裁判所昭和二十一年度の取扱い件數は二千三百七十五件ということになつておりまして、控訴になつた件數は四百四十四件、その人員は六百八人ということになつております。從つて今後も毎年同數の控訴移審ということがあるわけでありますが、經濟事情交通事情によつて、それができないという人が相當できておりますので、この際ぜひとも岡山支部を建設していただきたいという請願でございます。なお全國と岡山縣との事件の詳しい對照、あるいは廣島高等裁判所内における岡山縣の犯罪件數、その他岡山と廣島間における汽車の時間表、こうしたものも請願書に詳しく明記いたしておりますので、これをごらんくださいまして、ぜひこの請願を御採擇願いたいと思うのでございます。なお參議院の方は御採擇願つております。それから辯護士會といたしましては、いろいろ豫算のあることでありますので、判事殿の寄舎は岡山市辯護士會で建設するということも、考えておりますが、各位におかれましては、御審議の上、何分ともよろしく御採擇をお願いする次第であります。
  43. 佐竹晴記

    佐竹政府委員 ただいまお述べになりました請願の御趣旨、竝びに請願書に書いてあります詳細の關係を拜承いたしまして、まことにごもつともと存じます。政府といたしましてその御事情はよく了承いたしておるのでありますが、裁判所支部設置の件は、先ほどからしばしば申し上げます通り最高裁判所の權限に屬しておりますので、最高裁判所によく御趣旨を傳逹いたしまして、何分の御考慮を願うことにいたしたいと存じますから、さよう御了承をお願いいたします。
  44. 松永義雄

    松永委員長 質疑はございませんか。――本件についてなお盡さぬ點は、他の機會に取上げることにいたします。  それでは殘餘の日程につきましては、紹介議員も見えておりませんので、次に讓ることとして、本日はこれにて散會いたします。     午後二時四十二分散會