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奧野政府委員 第一點でありますが、均分相續
制度をとる以上は、原則として相續財産は相續人に分割するというのがお説のように
當然であります。そうして被相續人が分割禁止の遺書をすることを認めておりますが、それも五年という制限期間だけは分割禁止することを認めてお
つて、永久に分割禁止するということは、被相續人の遺言をも
つてもこれをなし得ないものといたしたのであります。しかしながら、一面相續財産の中には、家屋とか、あるいは商標、その他の
個人營業、あるいは農業財産というように、ただちに分割することが不
適當であり、あるいは不利益であるものが多々あると思うのでありまして、農業財産につきましては、相續の特例を
法律をも
つて制定いたす豫定にな
つておりますが、その他のものについても、いろいろ
具體的な場合によ
つては、
當時者の利益の
ために分割を禁止しておく必要のあるものも相當あろうと思いまして、家事審判所は
具體的な場合にその裁量によ
つて分割禁止ができるという途を開いた次第であります。
次に第二點は、協議上の離婚の際に家事審判所の確認を要するようなことにいたして、
當時者の眞意に出た離婚であるかどうかというようなことの確認をさせることによ
つて、一方的な追い出し離婚というようなことがなくな
つて、愼重を期することができるのじやないかという御質問でありますが、この點は昨日の
公聽會におきましても、いろいろ
議論があ
つたわけでありまして、なおそうすべきだという
議論も方々で聽くのでありますが、この點は重大な問題と
考えるのであります。しかしながら女性の地位がだんだん解放されて自覺するようになりますと、その
意思を無視して勝手に離婚が行われるというようなことは、將來の社會情勢から見て、次第になくな
つていくものではないかというふうに思うのであります。それともう
一つは、離婚の場合に必ず家事審判所の確認の
手續を經なければならないということにいたしますと、その
手續が煩瑣でありますので、それをきら
つて、むしろ
事實上は離婚の状態にありながら確認の
手續を經ないで、その
ために
法律上はなお
夫婦であるという、いわゆる
法律と
事實が食い違
つておることが多くな
つてくるのではないかというふうに
考えるのであります。なおそのほかに常に家事審判所にも
つていくということになると、家事審判所の人員その他の點においても、相當の豫算の
關係もあろうかと思います。要するに婦人の自覺、地位の解放によ
つて、心ならずも協議離婚をするというふうなことがだんだん少くな
つてくるであろうという観點に立ちまして、離婚も自由に
從來通り、
夫婦が離婚したいという
意思が眞に合致しますならば、離婚
届出だけで離婚ができる。もつともその場合に詐欺あるいは脅迫によ
つて離婚に合意をせしめられたというような場合は取消すことができる途を新しく開いておるのであります。それらによ
つて、大體
從來通り合意上の離婚は
届出によ
つて離婚することが
適當ではなかろうか。殊に大體におきましてわかれる途ができて、それからお互いに離婚
届出に判を捺して出すというまでには、相當自實上の日數もかかることでありますから、一時の興奮の
ためにわかれてしま
つて、あとで取返しがつかなくな
つてしま
つたというふうな悔を殘すことは、自實上ほとんどないのではないかというふうにいろいろ
考えまして、やはり今囘は
從來通り、特にすべての協議離婚に裁判所なり、あるいは家事審判所の確認という行為を中に入れる
手續をとらなか
つたのでありますが、この點は重要な問題として、いろいろ論議されておりますがゆえに、この
委員會等においても、十分その點の御
審議を煩わしたいと
考えております。