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1947-07-26 第1回国会 衆議院 司法委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    付託事件  國家賠償法案内閣提出)(第四号)  刑法の一部を改正する法律案内閣提出)(第  六号)  民法の一部を改正する法律案内閣提出)(第  一四号)  昭和二十一年法律第十一号(弁護士及び弁護士  試補資格特例に関する法律)の一部を改正  する法律案内閣送付)(予第四号) ————————————————————— 昭和二十二年七月二十六日(土曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 松永 義雄君    理事 鍛冶 良作君       井伊 誠一君    池谷 信一君       石井 繁丸君    安田 幹太君       八並 達雄君    山下 春江君       吉田  安君    岡井藤志郎君       北浦圭太郎君    佐瀬 昌三君       花村 四郎君    明禮輝三郎君       山口 好一君    大島 多藏君       酒井 俊雄君  出席國務大臣         司 法 大 臣 鈴木 義男君  出席政府委員         司法事務官   奧野 健一君     ————————————— 七月二十一日昭和二十一年法律第十一号(弁護士 及び弁護士試補資格特例に関する法律)の一 部を改正する法律案内閣送付)(予第四号)の 予備審査を本委員に付託された。 同月二十三日民法の一部を改正する法律案内閣 提出)(第一四号) の審査を本委員に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  國家賠償法案内閣提出)(第四号)  裁判官國民審査法案起草に関する國政調査承認  要求に関する件     —————————————
  2. 松永義雄

    松永委員長 会議を開きます。  國家賠償法案を議題として、前回に引続き質疑を進めます。井伊誠一君。
  3. 井伊誠一

    井伊委員 第一條第二項にあります國家求償権について二、三お伺いしたいと思います。この求償権については別に詳しい規定がないのでありますが、求償権の時効は何によるのでありましようか。お伺いしたいと思います。
  4. 奧野健一

    奧野政府委員 それは一般債権として十年と考えております。
  5. 井伊誠一

    井伊委員 民法によるわけでありますか。
  6. 奧野健一

    奧野政府委員 そうであります。
  7. 井伊誠一

    井伊委員 それではこの求償権の主体たるところの公共團体が、たとえば村とか、そういうようなものが、合併によつてその存在が失われた、あるいは全然そのものが消滅したような場合においては、この求償権はどういうふうに処理されるのでしようか。
  8. 奧野健一

    奧野政府委員 その場合はやはり一般債権と同様、たとえば合併等の場合においては、新しく合併されたものに承継していくというようなことになろうかと思います。すなわち村あるいは公共團体がもつておる一般債権と同様な運命になるわけであります。
  9. 井伊誠一

    井伊委員 その公共團体の消滅したような場合も起きると思うのです。合併のようなときにはこれは考え得るのですが、消滅したような場合にはどういうふうになるのでしようか。
  10. 奧野健一

    奧野政府委員 公共團体が公人として清算等を行う場合には、やはり清算の手続によつて求償権行使債権の取立てとして行つていくことになろうと思いますが、全然清算等の結了したしまつたような場合には、やはり消滅することになります。
  11. 井伊誠一

    井伊委員 求償権限度と申しましても、その求償した額そのもの債権の額となろうとは思うのでありますけれども、事はこういうふうな種類の、國家責任を負うところの範囲重過失というので、個人責任を負うということになれば、おそらくこれは非常に大きな責任の額を生ずる場合があろうと思うのであります。從來はこういう國家賠償規定がなくて、今度國定賠償ができたために重過失があつたところのものは、容易ならぬ尨大責任も負わなければならぬというようなことになる場合もあり得ると思うのであります。こういうものもどういう限度にするかということを、あらかじめ定めておくことはできないけれども、こういう場合においては、何とか特にそれからのものの責任を、ある限度に限るような措置もきわめて必要ではないかというように思うのであります。それらに対しましては当局はどういうふうに考えますか。
  12. 奧野健一

    奧野政府委員 その点について別段に規定を設けておりませんが、これはやはり会計檢査院等檢査関係上、やはり國が求償権をもつておる場合においては、それを追求していかなければならないのではないかと思われます。それに求償権がありながらそれに手心をするというようなことは、会計檢査院等檢査関係等から、そう自由には手心ができないというふうに考えまするので、その結果公務員自身として相当な負担になることも予想されますが、やはり公務員は公僕として職権の行使については、その点について愼重でなければならないということがおのずから要求されてくるのではないかというふうに考えます。そこで負担が増大することも考えられますが、一面識権行使愼重を期するという、いい結果を期待しておるような次第であります。
  13. 井伊誠一

    井伊委員 故意または重過失のあつた場合、たとえば火災の責任のようなときは、これに対しては刑事上の責任もあるのでありまして、一應それでもつて民事上の責任があつても、事実は責任を負わなくても解決するものと考えられるのでありますが、こういうふうに事が公法上の関係から起きる責任ということになりますと、刑法上の責任が別に起きる場合もありましようけれども、おそらく民事上の責任だけができていく。そうして相続人がその責任民法関係によりまして遺産相続でもつて負うということになれば、ずいぶん廣い範囲に長く続いていくということが考えられなければならないと思います。これについてはただ会計檢査院建前から見れば、いかにも御答弁もつともではありますけれども、何かこれに併せてこれの責任のある限度を定める方法をきめておかないとこれは他の場合よりもよほど影響が大きくて、長く続くというふうに考えられるのですが、故意重過失のものが起きないように、一般官吏責任を重んぜしめるという点については、大いに政治的な効果があると思うのであります。そういうのではなくてほんとうの法律上の責任ということになれば別にあると思うのでありますが、その点についてお考えはないのでありますか。
  14. 奧野健一

    奧野政府委員 御説のように、理論的に申しますとそういう結果になるわけであります。そこで國家責任としては、單に故意過失、いわゆる軽過失の場合においても國家賠償の義務があるが、個人たる公務員國家求償する場合は、その公務員故意または重大なる過失があつた場合に限つておりますので、重大なる過失があるという場合はほとんど故意に近いのでありますから、そういう場合にはその公務員個人求償されてもやむをえないのではないかということでこの規定を設けておるのであります。それに多額の求償を受けるというような場合、殊にまたその相続人等もやはりそういう債務を負担することは酷ではないかという御意見もつともかと思いますが、実施後の曉において、そういう点についてよほど弊害等もありますれば、さらにまた考慮いたしたいと考えております。
  15. 松永義雄

    松永委員長 井伊誠一君の質問は一時保留いたしまして、花村四郎君に質問を許します。
  16. 花村四郎

    花村委員 私は前回質問に次いで本法案に対する質疑が残つておるのでありますが、大臣もお忙しいことであろうと思いまするので、大臣に関する質問を先にして、本案に直接関係のある質問は後回しにいたしたいと思います。そこで私は司法大臣に対しまして、本案関連をいたしましていささかお尋ねをいたしてみたいと思います。それは大体十点に相なるのでありまするが、まず第一にお尋ねしたいことは、司法行政の面において行政整理をせられる意思があるかどうか。申すまでもなく國家財政は著しく逼迫をいたしておるのでございまするが、わが國のこの危局を克服し、この難局を乗り切つていきます上においては、どうしても國家財政の上において健全財政を堅持していかなければならぬということはおそらく異論のないところであります。現政府におきましてもこの点に特に注意をされまして、健全財政堅持の声明もたびたび出しておるようでありまするが、しかしながらその健全財政を維持してまいります上においては、どうしても徹底的に行政整理をする。そうして行政面において緊縮政策をとつていくということであらなければならない。健全財政堅持の根本的の考え方としては、まずそこに思いをいたすべきであろうと思うのであります。從いまして、この司法行政の上においても、ただいま申し上げましたような一般行政整理の面に沿うて、何らかの整理をいたしていくという意思がおありになるかどうか。これをまず第一にお伺いいたしたいと思います。
  17. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 お答えをいたします。実はこの健全財政建前を堅持し、同時に進んでインフレ克服をいたしまするために、國家全体の行政面について整理の必要があるのではないかということは問題となつておるのであります。他の方面のことはしばらくおきまして、司法省の問題といたしますれば、もしこれに参加し得るならば、でき得るだけ精密に調査をして冗費を省き、できるだけ行政整理をしなければならないと考えておるのでありまするが、しかし実際の実情は、司法省に関しまする限り、実に檢察陣営におきましても、むしろ現下の社会情勢に鑑みますると、犯罪の激増その他種種の事情から見て、もつと人員を殖やさなければならないというような実情にあるのでありまして、経済上の関係、その他も影響しておることと存じますが、意外に退職する者が多いのでありまして、これを補充するに実は非常に努力もし、苦心もいたすというような状況でありまして、整理をいたすといたしましても、その可能性というものが非常に限られてまいるのであります。殊に今日のような時局におきまして、また一方檢察警察だけが國家治安の重い任に当つておりまする状況におきましては、わずかの経費の節約のためにその任務を盡すことができないというようなことは遺憾のことでありますから、この点については、十分愼重に考慮して、善処しなければならない、こういう考えをもつて研究調査中と申し上げたいのであります。
  18. 花村四郎

    花村委員 大体において司法行政の面における整理もお考えになつておられるようでありますが、しかし今司法大臣の言われたように、時局に鑑みてやむを得ざるものに対しては整理をする必要のないことは、これは当然であります。しかし、司法省の各面について檢討いたしてみますれば、現段階から見て相当に整理をし得るものがあるのではないかと思うのであります。  そこで、御承知のように、裁判所もまた檢察廰も、ともにその予算、人事が司法省の手からこれらに移つてまいつたのでありますが、かような権限司法省から取去りまするならば、司法省というものはほとんどせみの脱けがらにも等しいものであると申しても、あえて過言ではなかろうと思うのであります。過去における予算を見ましても、司法本省予算というものは、司法省予算の中でまことに微々たるものでありますことは、既に司法当局も御存知のことであろうと思うのであります。今日までの司法省におけるこの重大な、また大きいこうした権限が、裁判所なり、あるいは檢察廰移つてまいりました以上は、司法省というものは、これはむしろ行政整理の点を強く考えまする場合において、当然廃止運命に逢着すべきものではなかろうかと私は思うのでありますが、司法大臣はこの点に対していかなるお考えを持つておられますか。
  19. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 ただいま花村君の御質問趣旨は非常に理由のある御質問でありまして、從來裁判権が完全に司法省から分離いたしました後は、司法省というものは必要がなくなるのではないかという議論も聞えておるのであります。また理論上からそういう議論が成立し得ることも十分考えられるのであります。ただ、ただいま実際問題として檢察廰というものを司法省からまた分離して、これを独立のものにすることがよいか、檢察についてもすでに同じような議論がありまして、内務省解体後は、独立の一つの官廰としてこれを統制していくべきであるという考えがあり、檢察廰についても同じような考えがあるのですが、これも利害得失が相当錯綜しておりまして、今にわかに独立がよろしいと言い切ることができないように考えるのであります。また判決の言渡しがありまする以上は、刑の執行があり、あるいは刑を終つて出てくる者の保護というような仕事がありまして、これをいずれに属せしむることが適当であるかということも、いろいろ議論の余地はありまするが、ただいまのところ、やはり檢察伴つてつていく方がよかろうという意見が有力でありまして、その代わり戸籍でありますとか、登記でありますとかいうようなものは、あるいはこれを裁判所の方に讓ることが適当ではないかという議論とともに、全然司法省という内閣閣僚を出しております一省をなくしてしまつて、そしてそれぞればらばらの官廰として独立のものにするということは、多少時期も尚早であり、また他との関連において不適当ではないかという議論が有力でありまして、ただいま実はそういう問題も根本的に掘りさげておるところでありますが、ただいままでのところでは、司法省をなくするというようなところまでは考えておらないということを申し上げておきたいと思うのであります。いずれ適当に整理はしなければならぬと考えております。
  20. 花村四郎

    花村委員 私も司法省を全然廃止して跡形もないものにするという意味ではございません。もちろん今日の司法省廃止はいたしますが、これに代わるべき小規模な司法廰と申しますか、そういう機構にかえて、そうして今日のごとき大掛りな司法省を廃する、こういう建前をとれば、今日の司法省廃止ということは決して無益なことではなくして、何ら反対する理由はないのではなかろうかと思うのであります。大臣もただいま申されましたように、インフレ克服のために健全財政を堅持していかなければならぬということを強くお認めになつておりまする以上は、旧來の情実因縁にこだわることなく、やはりここに大英断をもつて行政整理の線に沿うて進むことが必要であり、むしろ司法省などはこういう場合に他の省に範を示す意味においても、不必要なものの行政整理をやつていくということが賢明な態度であり、また官僚臭味を帯びておらない司法大臣に対しましては、殊にわれわれはそういう点について大きな希望をもつておるのであります。しかしこの場合國家が興るか倒るるかという重大な瀬戸際にあるのでありますから、少しくらいな反対を押切つても、またその考うるところが合理的でありまする以上、大英断をもつてこの司法省廃止いたしまして、行政整理を徹底的にやるという方向に向うべきであろうと思うのでありますが、この点に対する司法大臣の御意見を承りたい。
  21. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 ごもつともの御意見でありまして、財政上の見地から節約し得るべきものはまず十分考えなければなりませんが、これはかりに多くを期待し得ないといたしましても、範を示す意味においてやらなければならぬということは考えております。しかしそれよりは國家機構の上において、眞に國家のためによい制度を樹立するということが、司法のごとき制度に関しては一番考えなければならぬことと存じております。そういう点においてはいわゆる官僚意見に引きずられることなく、とらわれない立場から、根本的に考え直してみたいという考えをもつていることは、仰せの通りであります。從つて内閣におきましてもこの司法制度改革につきましては、これを内閣高等政策として取扱つておりまして、いわゆる属僚に任せない、相談もしないという態度をもつて臨んでいる次第であります。私といたしましても、ただいま愼重に考慮いたしているところであります。但しこれを発表する段階にまだ達しておりませんので、十分考慮をし、研究しているということを申し上げて御了解を得たいと思います。
  22. 花村四郎

    花村委員 愼重にお考えになつているということはまことに結構でありますが、それは司法省廃止の線に沿うて愼重にお考えになつていると、こうお聽きしていいわけですか、どうですか。
  23. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 そういうことの考え方もその中にあるが、しかし司法機構というものはこれは國家からなくならぬものでありますから、司法省という名前を廃するかどうかというようなことは、ごく小さい問題であるとこう考えております。(「同感」)機構をどういうふうにするかという問題として考えている。かように御了解願いたいと思います。
  24. 花村四郎

    花村委員 私の申しますのは、もちろん司法省という看板をはずせというわけではありません。司法省看板に関する問題でなくして、もちろん機構に関する問題であります。その司法省機構について愼重考えておられるというのであるから、從つて司法省廃止するかどうかという線、すなわち司法省機構を今日のままでなくして、これをよりよく改善していくという意味において、この機構改革の線に沿うて愼重考えておられるかどうかと、こういう意味で、看板をはずせという意味じやないのです。
  25. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 御趣旨同感であります。そういう趣旨調査したいと考えておるわけであります。
  26. 花村四郎

    花村委員 次に内務省解体問題と関連してお尋ねいたしたいと思うのでありますが、申すまでもなく内務省解体をせられるということに相成つておるようでありまして、しかも司法制度並びに警察制度に関する委員会も設置せられたと聞いておるのでありまするが、この内務省解体による警察行政の処置をどうするかという問題であります。なかんずく警察行政の中でも、司法関係と最も深い関係のありまするところの司法警察についてでありますが、内務省解体せられたのちにおける司法警察あり方に対する司法大臣のお考えは、どういうお考えをもつておられるのでありますか。
  27. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 新憲法地方自治というものを非常に強く認めまして、核府縣自治体となるということを前提といたしますれば、内務省の最も大きな仕事がなくなるわけでありまして、内務省が残存するわずかの機構をもつて残るのはたいした意義がないということは、これはほとんど常識に属したことであるわけであります。ただ一番問題となりますのが警察でありまして、警察あり方從來のような中央集権的なものとして残すか、あるいは地方分権化して各府縣に大体委ねて、中央においては國家警察として最小限度のものを保持するに止むべきではないかという考え方と、わが國の過渡的状況においては、やはり警察國家的見地から中央警察としてやつていくべきであるという考え方と、いろいろ存在しておることは御承知通りであります。それから司法警察につきましては、この内務省解体の問題とは無関係に、御承知のようにこれは既にわが國においては数十年の歴史をもつておると申してよろしいと存ずるのであります。どうも檢察当局が獨自の警察機関というものをもたないならば、十分に檢察の目的を達することができない。内務省という他の省の把握しておる警察官吏檢察当局が動かして、効果ある犯罪の檢挙をすることは非常に困難である。こういうことで司法警察司法省、あるいは檢察廰に対して移讓することを要求する声は、数十年にわたつておると考えておるのであります。私といたしましても在野時代にそのことを主張しておつた一人でありまして、できるならば、その範囲限度は問題でありまするが、ぜひ檢察廰に附属する司法檢察を得たい。こういう考えをもつておるのであります。しかしそのあり方その他につきまして、これを直ちに檢察廰の直属の機関とし、身分等檢察廰において把握するということが適当であるかどうか。あまりに檢察廰を強からしめることも、他の意味における弊害を生ずるおそれもありますというようなことも考慮されているのであります。何かそこに適当な方法で、最小限度司法警察機能を発揚するとともに、それをさらに発揚し得る、檢事と警察との中間存在のごときものを考える必要がありはしないかというようなことも問題となつている次第でありまして、この点も実はできるならば成案に達してから意見を公表いたしたいのでありますが、ちようど研究をいたしている最中でありまして、閣議においても特別の委員を設けておりますようなことで、未だこれを発表するまでに成熟しておりませんことを御了解を願いたいと思います。きわめて根本的に考えつつあるということだけは申し上げておきます。
  28. 花村四郎

    花村委員 大体司法大臣のただいまの答弁に対しましては、私は心から満足の意を表するのでありますが、内務省解体後における警察行政あり方について、行政警察地方自治團体に委ねることはいいでありましよう。私は委ぬべきものであるという論者の一人であります。諸外國の例を見ましても、やはり自治團体行政警察を握つておりますことは、各國にその例を見るのでありまして、これは当然そうあるべきである。またわが國の將來においても、行政警察はやはり地方自治團体に委讓すべきものであると信ずるのであります。  そこでこの司法警察につきましてはただいま大臣が言われたように、檢察廰に隷属せしむるということが、長い間多くの在野法曹が主張いたしておつたところであり、またそうあるべきものであろうとわれわれも固く信ずるのであります。ただ司法警察檢察廰に吸收せられた場合においては、檢察廰にあまりに強き権限をもたせ過ぎるのではないかという非難は当然起きてくるのでありまするが、しかし今回の新憲法に基きまして、それぞれ訴訟法等が改正されてまいりまする場合において檢察廰に隷属せしむることによつて、その権限を強化するものであるとは決して考えられない。旧來のごとき司法警察あり方から見ますならば、あるいは檢察廰に併合いたしまする場合には、その権限を拡大強化せらるるように考えられるものでありまするけれども、しかし新憲法下において、また新しくそれぞれの法律が新憲法を中心として改正せらるる建前からいたしまして、決して旧來のような強力なる権限をみだりに揮うとか、あるいは人権蹂躪自由氣儘にやるとかいうようなことのでき得なくなりましたことは、多く申し上げるまでもない。でありますから、こういう意味において、過去に心配されておつたような、檢察廰権限をいやが上にも拡大強化するというような、おそれをなすがごとき意見は、当らざるものであると申さなければなりませんので、この点はひとつ司法大臣もともとにお考えになられまして、やはり司法警察檢察廰に吸收するという建前で進まれんことを希望いたす次第であります。  なお進んで、このごろ新聞で発表せられましたように、司法制度並びに警察制度に関する委員会ができまして、そうして閣僚五名がその委員に相なつているということでございますが、かような重大なる、先ほども大臣司法に関する機構は、まことにわが國の國家機関の上からみても重大であるといわれたのでありますが、これはごもつともであろうと思う。でありますから、こういう重大なる制度調査檢討する場合においては、やはり学識経驗者を網羅して、そうしてあらゆる面から檢討し、悔を後世に残さぬような建前で進むべきであろうと思うのでありまして、この委員会にただ五人の閣僚ばかりでなくして、他に学識経驗者も入れて、十分にこの制度に対して根本的の改革を加えるという方向に向うべきであろうと思いますが、司法大臣の御意見はいかがでありますか。
  29. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 花村委員の御意見はその儘私同様に考えております事柄でありますが、実は閣内の委員というものは、ごく大綱を議して、根本方針を決する委員であります。その先だんだんこれを具体化していく細かい制度について考えまする場合には、御説の通り措置に出たいと考えているのであります。ただ警察に関する限り、御承知のごとく、既に過去において警察制度審議委員会というものがありまして、朝野の学識経驗者を網羅して、相当愼重に御研究なつ歴史をもつているのであります。今回制度改革考えますにつきましても、その成果は十分に参考いたしまして、取入れることのできるものは取入れるようにいたすつもりでいるのであります。さらに進んで一層精密に調査研究すべきことが起りましたならば、話のような委員会を組織いたしまして、そうして遺漏無き調査の上に、立案をいたしたいと、こう考える次第であります。ただ一言お断りいたしておきますが、現内閣において司法及び警察制度改革委員会をつくりました土台は、関係方面から希望がありまして、そしてきわめて限られた時間にその立案をなして、これを提出すべき旨の希望によつて成立をいたしたというような関係がありまして、それをいたしまするまでの間に、御希望のごとき委員会というようなものをつくりまして、愼重審議をいたしておりまする時間があるかどうか。あるいはそういうことはあとのことに相なるかもしれないというような形にあることを、御了承願つておきたいのであります。
  30. 花村四郎

    花村委員 司法大臣はただいま申し上げた制度は、大綱を決定するのであるから、学識経驗者を迎えるの必要がないとお話であつたのでありますが、むしろ私は大綱を決定することが重大事項ではないか。大体この司法制度並びに警察制度というものの大綱をきめて、この両制度がどういう線を進んでいくかということをきめれば、それに附随する小さい問題は大したことはなかろうと思う。こういう大綱をきめることこそ、まことにこれは重大であると申さなければならぬことでありまするがゆえに、学識経驗者を混えて十分檢討願いたいと思うのであります。しかし何か急速に決定する必要があられるので、委員の選任についても制約をせられたという話でありまするが、この大綱を決定することこそ重大であるから、これはやはりそう急速に決定することなく、十分にこれは愼重審議の上、完全無欠なる制度であると認められるような改革に向つて、ひとつ進まれんことを希望する次第であります。  次にやみ行為に対する取締り方針でありまするが、これがまことに区々にしてはつきりしておらない。あるものに対しては取締り、あるものに対しては取締らない。また同じものでもある場所によつては放任しておく。またある場所によつては同じ物件でありながら、嚴重にこれを取締るというようなことで、やみ取引に対する何らの確たる方針をもつておらないように考えるのであります。こういう点に対する司法大臣の御意見をお聞きしたいと思うのでありますが、殊に司法大臣は社会党出身でありまするので社会党は申すまでもなく、計画経済を主張せられており、しかも今日の統制をより強化していこうという方向へ向われておりますので、從つてこの統制強化の点から考えますならば、やみ行為の撲滅に向つて最善を盡していくということが併行して行われなければ、その成果をあげることもできませんことは申し上げるまでもありません。しかるに今日このやみ行為に対する何らの方針がないと申し上げてもよいと思うのでありまするが、この点に対する司法大臣の取締り方針はいかなる考えでありましようか。
  31. 吉田安

    ○吉田(安)委員 議事進行について……。 委員長にお尋ねしますが、もうすでに十一時半になつております。先刻來國家賠償法案が議題になつて、社会党井伊君から先刻質疑中であつたのであります。それに花村さんがお見えになつて井伊君は後に繰延べて、花村さんの御質問の最中であります。しかしきようの賠償法案委員長はどのくらいの程度に御進行なさるお見透しがありますか、お尋ねいたします。今の状態ではもうすでに十二時近くにもなりますが、國家賠償法案の議事進行は一向に進まないように考えられますので、お尋ねいたします。
  32. 松永義雄

    松永委員長 後ほど理事会でも開きまして相談申し上げたいと思います。花村四郎君に一つお願い申し上げたいと思います。なるたけ法案に関しまして御質問あらんことを願います。
  33. 花村四郎

    花村委員 法案についてやつているんじやないので、それはまた後で質問しますが、「公権力の行使に当たる公務員が」云々とあるでしよう。であるから公権力の行使が鈍つてもいかぬし、そうかといつて進みすぎてもいかぬ。これは公権力に関係のあることですから、從つて牽連問題であると申しているのであります。しかし旧來の議会の例を見ましても、これよりももつと牽連の浅い質問を何度も繰返してきております。私の質問はこれは最も牽連が強くある質問で、そんな苦情を言われる筋は毛頭ないのであります。旧來の議会においてはもつと無関係のことまでも牽連質問としてやつてきておる。殊に今日のような議会になつてまいりまして、言論を尊重する場合において、牽連質問をやるときに、それに制限をするというようなことは、私は絶対に反対いたします。
  34. 吉田安

    ○吉田(安)委員 先輩の花村君の質問でありますから、私どもは相当に隠忍自重して聽いておつたのであります。なるほど牽連は求むればどこにか糸のつながりのごとく、つながりがあるかも知れません。また花村君のただいままでの御説は一々内容ごもつとものことです。大いに傾聽してよろしいことなんです。しかしながら國家賠償法案の議題にどれだけの索連があるか。会期と比較しましてこの議事の進行ということは非常に遅れがちです。ややもするとまた九月まで大巾の延長にならぬとも限らぬ。それもいいでしよう。しかしここに國家賠償法案という、わずかに数箇條の問題がありますが、この問題と直接の関係考えられぬのです。從つて私は先輩の花村君の質問でありまするから聽きますけれども、もう時間もありません。だからきようどういうお見透しがあるかということを委員長にお尋ねしたい。
  35. 花村四郎

    花村委員 なるべく簡單にはやりますけれでも、しかし牽連質問はやるのがわれわれの業務なんです。怠るわけにはまいりませんからやりまするけれども、ほかの諸君も大いにやるだろうと思いますから、何も質問を制限する必要はないと思います。それでは休まずにおやりになつたらどうです。そして司法省の方でももつと早く案を出しておやりになればいいでしよう。簡單な法案であるから質問をしていかぬという理窟はどこにもない。そういうように制限するということであれば、私はなおやります。速記録をご覧になればわかると思う。私の質問は非常に牽連がある。これよりももつ関連の無い質問を、今までの議会はどこの委員会でもやつております。私はそういう現実を見ておるのですから、これはもう十分に私の質問本案に牽連があります。
  36. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 やみ行為の取締りについて御質問ありまして、これもまことに重要なことであります。現内閣の一番力を入れておる政策の一つであると申し上げでよろしいのであります。元來今までのわが國におきましては、公定價格はあれどもなきがごとく、公定價格とやみ價格との二重價格でいつている。こういうことが長く続く限り、ほとんどインフレ克服も不可能であり、実際に國民の生活難を救うことも不可能でありまするから、今度ことはひとつやると、こういう決意を固めまして、その代わり生産原價、その他すべてを計算に入れ、米價その他と比較対照して、これならば行わるべき價格である。これを犯す者は嚴罰に処しても差支えないという價格を決定いたしまして、逐次公表しつつあるわけであります。今後はその公定價格を守らない場合には、嚴重に取締るつもりであります。ただやみの取締りは御承知のごとく、ただ機械的に強権を発動いたしましても目的を達するものではない。ただけが人を多からしむるだけであるのでありまして、一方に生産の多少の増強、それから合理的な價格の存在、いろいろな條件が整いましたところで、初めて取締りがむりなく行うことができる。その方向に向い徐々にたがを締めつつある次第でありまして、決して無方針にいたしておるというわけではないのであります。さよう御承知を願つておきたいのであります。
  37. 花村四郎

    花村委員 徐々におやりになるということでありまするが、まことに結構だと思います。しかし統制された物資の全部についてのやみ行為の取締りはおやりになるつもりであり、またそれがすべて可能であるとお考えになつているかどうか。あるいはもしできぬということであるならば、いかなる物資に対して取締りを行つていく方針であるか。その点をお尋ねしたいと思います。
  38. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 これはできるだけ全般にわたつて公平に取締りを布くつもりでありますが、しかしものには緩急がありますから、重点的にまず取締りを強化しておるのでありまして、それらの点は経済安定本部の方面とも連絡をとりまして具体化し、同時に皆さんの方にも御了解が願えるような形において、取締りを実施いたしていくつもりであります。さよう御承知を願いたいと思います。
  39. 安田幹太

    ○安田委員 議事進行についてお許し願えますか。
  40. 松永義雄

    松永委員長 安田君。
  41. 安田幹太

    ○安田委員 私も吉田委員同感であります。花村君の御質問、強いて言えば関連がないと申し上げることはできませぬけれども、あまりに牽強附会だと思います。從來委員会を例にお引きになりましたが、今回は新憲法による新しい國会でありまして、從來の例はそのまま通用いたさないと私は思うのであります。新しい國会法には自由討議、あるいは書面による質問主意書というような制度が開かれております。今花村委員の御質問その他は、この賠償法案関連しておやりになるよりも、別個に自由討議の問題、あるいは書面等でおやりになつていただくことが、会を最も能率的に運用するゆえんではないか。國会法はさような方針のもとにできているいと考えるのであります。吉田委員は現に御退席になりました。私どももかような議論があまり長く続きますと非常に迷惑を感じます。強いて御意見をどうというわけでありませんが、なるたけ新しい國会法による委員会趣旨をとお考え願いまして、簡單にお願いしたいと思います。
  42. 花村四郎

    花村委員 私は新憲法が布かれたるがゆえに、言論は前の議会よりもより以上尊重されなければならぬ。御承知のごとく旧來の議会は、大部分は言論を制限せられておつたのであります。おつたのでありますけれども、その制限せられておつたうちにおいても、委員会等において相当牽連質問が許されたものなのであります。旧憲法の下においてすらも、牽連質問として相当の質問が許されたにもかかわらず、新憲法ができてむしろ言論が自由であり、また自由でなければならないという今日において、牽連質問をしてはならぬとか、あるいはするなら簡單にしろというようなことは私は聞えない。むしろこれはお互いに眞劍にやろうじやありませんか。しかも一週間も二週間も休んで、たまに委員会を開いて、そのたまに開かれる委員会にも出てこないで、われわれが休みもしないで委員会のたびことに出てきて、そしてここで牽連質問をしようというのに、それをしてはならぬというのは一体何事ですか。自由討論は自由討論で、おのずから自由討論の性格をもつておる。そういうことをいえば私は徹底的に質問をします。委員長はどうお考えになりますか、制限せられるというのでありばこれはまた別に考えます。
  43. 松永義雄

    松永委員長 花村君、議題に関連して一つ質問を進めてください。
  44. 花村四郎

    花村委員 牽連質問をやつておるのではありませんか、あまりそういうことは言わない方がよいと思う。私は委員会があるたびに出てきて、人の意見も聽き、自分の意見も言つておる。しかも委員会にはほとんど出てこない人すらあるではないか。そしてたまに出てきて質問が長いの、どうのということで因縁をつけるというのは、新憲法下における委員会の姿でありましようか。私はまことに遺憾に思う。私は眞劍です。でありますから、委員長もその辺特にひとつお考えを願いたい。
  45. 松永義雄

    松永委員長 暫時休憩いたします。     午前十一時四十三分休憩      ————◇—————     午前十一時四十七分開議
  46. 松永義雄

    松永委員長 休憩前に引続き再開いたします。  質問を許します。
  47. 花村四郎

    花村委員 ただいま司法大臣の御説で、やみの取締についての緩急よろしきを得るというお話がありましたので、まことに私は心強く感じたのでありますが、そこでお尋ねをいたしたいことは、たとえば主食に関しまする統制違反に対しては嚴罰主義をもつてつておるように思います。また嚴罰主義で臨んでやるということを裁判官みずからも言つておる。日本を再興してまいります上においては、どうしても主食に対して嚴罰主義でいかなければいかぬ。こう裁判官も口を極めて言つておるのでありますが、これまたよろしいでありましよう。しかし今日の主食、たとえば米麦に対する取締ということは非常に強化されまして、一升の米をもつておる人、あるいは二升の小麦をもつておる人に対しても、嚴重なる取締の手が伸びておる、けれどもただ單に取締方面のみから考えますならば、あるいはよいのでありますけれども、しかし御承知のごとく、今日は主食に対する配給は、日本全國において相当に遅配をして、二十日間も遅配をしておる。遅配をしておつて配給を受けずに一体何を食つて人間は生きておるのでありましようか。これを私は考えなければならぬと思います。食うや食はずにおる。でありますからやむを得ず二升や一升の米麦をもつてきたからといつてそれで取締る。そしてそれをとり上げるばかりでなく、罰するというがごときは、これは時局を知らざるものであると私は申し上げてよかろうと思います。非常に強化されておるが、こういうことが果してそういう取締に対して國民が悦服するでありましようか。私はこういう主食に関して、ブローカーのごとくそれを商売にして、利潤を追求しておる者に対する取締りは、これは別です。そうでなくして、自家消費のために、やむにやまれず、子供に食わせないでおくわけにいかぬということで、あらゆる苦心惨憺をしてもつてまいります一升や二升の米に対して、嚴重な取締りをするということは、私はもつてのほかだと思う。これは政府に大きな責任がある。配給をちやんとやつて、食うべきものを與えておりまするのにもかかわりませず、そういう統制違反を犯すということであれば、これは何をか言わんやであります。けれども配給を十五日も二十日も欠配して、何も配給しないというこの場合において、一升どころじやない。五升や一斗の米をもつてきたからというて、それに対して峻烈なる取締りのメスを揮うということは、私はまことに考えの違つたものであろうと思うのでありまするが、しかし現在そういう取締りをやつておる。私は見たり聞いたりしておる。こういう点に対しまする司法大臣の取締りの御方針はどうお考えになつておるか。そうして裁判所その他の下僚に対する取締りの方針はどう命ぜられておるか。その点をひとつ御明確に御答弁願いたいと思います。
  48. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その問題は從來繰返された問題でありまして、取締りの任にありまする者としては、遺憾ながら画一的に取締ることを命ずるほかはないのであります。ここまではよろしいというようなわくをあらかじめ與えるということのできないことは、花村委員も御賢察くださるであろうと思います。しかし末端において、実際に取締つております状況については、必ずしも十が十までみな残酷な取締りをしておるというふうにも私どもは承つておらないのでありまして、やはり実際の末端においてやつております者は、相当緩急よろしきを得るべく努力している形跡も見えるのであります。しかし何と申しましても配給に関する問題は非常に困難なことでありまして、自由党内閣におきましても十分に御経驗済であると存じます。万遍なく配給をいたす、遅滞なく配給をするということは、非常に困難なことでありまして、そうだからといつて、取締りを寛大にし過ぎますればますます供出が偏りまして、配給を実行することができないということになりますので、私どもはできるだけ緩急よろしきを制しつつその取締りをやつていく、こういう心構えでおることを申し上げておく次第であります。
  49. 花村四郎

    花村委員 この取締りの問題については、これは少なくとも司法大臣はよく御承知でないということを申し上げてよかろうと思います。司法大臣在野法曹としておられたので過去のことはよく御承知でありましようが、現在の現実の取締りについては御承知ないと思うのであります。汽車等におきましても、やむにやまれず買つてきた食糧に対して、それを無雑作に取り上げられてしもうというようなことが相当行われておつて、中には家中それがために食わずに三日もおつたというような家庭もあります。そういう事実を私は訴えられて、実際に体驗しておるのでありますが、やむを得ず私は——もちろん私のところとてもありませんけれども、自分の家でつくつた野菜をわけてやつたというような実は例もあるのでありますが、これを一々指摘いたしますればほとんど枚挙にいとまないほどであります。もちろんこれは取締りをおろそかにするわけにはまいりますまいけれども、私はこの欠配がいいとか悪いとか言うのじやない。取締りはやはり時局に副うた取締りをしていなければいかぬじやないか。今日のごとく東京都において二十日も欠配をいたしておりますのに、わずかの主食を持つてきたからというて、それを全部取り上げてしもうというようなことをやることは、要するに水でも飲んで生きていけということなんです。それじや國民が承服できません。でありますから、そこのところは今司法大臣の言われたように、その取締りの緩急よろしきを得るということで、さようなやむを得ざるものに対しては相当寛大に扱つてやるという親心をもつて、取締りの任に当つてもらいたいと私は念願するのであります。  次にこのごろ問題に相なつております最高裁判所の諮問委員に関する判事の告発問題でありますが、これは私どもまことに遺憾にたえないと思つておるのであります。その内容を檢討いたしてみますれば大した問題ではございません。これはおそらく何か感情の問題があろうと思うのでありますけれども、しかし今日の裁判所というものは、なるべく爭いを避けて協調的精神でやつていかなければならぬということで、和解や調停が盛んになつておる。またその方向へ爭いをもつていくという建前で進んでおるように思うのでありますが、こういうまことに簡單な問題に対して司法官が告訴をしてまで爭い、世間を騒がしてまでこういう問題の黒白を決せなければならないということは、私は在野法曹の一人としてまことに遺憾である。司法官の威信を失墜するもの、まことにはなはだしいものがあると思うのでございますけれども、こういう問題はここまでもつてこずとも、何とか解決のつけ得る方途もあつた考えるのであります。この問題に対します司法大臣の御見解を伺つておきたいと思います。
  50. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 数人の裁判官が数人の裁判官を告発したという問題は、理由のいかんにかかわらず司法権の威信のために、非常に遺憾なことであります。遺憾なことは花村委員の仰せられる通りわれわれも同感であります。感情の爭いというものは意外なところに展開するものでありまして、まことに残念に存ずるのであります。しかし事案そのものはきわめて簡單なことでありまして、私からこの裁判官の諮問委員を選挙するについて、ごく簡略な選挙法規を定めまして、わが國における最高インテリゲンチヤの選挙であるから、規則などは簡略にしておくからして、どうか模範的にやつていただきたいということを繰返しお願いをいたした上でやつた選挙であります。そこに坂野判事が立候補の意思がないと繰返して言われたという事実も確かに間違いないことで、また坂野判事の意思の如何にかかわらず、これを推して推薦状を出した人があることも事実であります。そこで選挙人たる判事諸君が迷われた。迷つたと思いましたがゆえに、重ねてその意思を確かめて、立候補の意思はないということでありましたために、選挙が迫つてつたために電報をもつてそのことを知らせたというだけの事案でありまして、別に疑義も爭いも起る余地のない事件であると考えております。承りますると昨日関係者全部を取調べました結果、結局問題とならないものであるということで、不起訴の処分があつたそうであります。ただその背後に何物かがあるかということになりますると、私としてもちよつとお答えをしかねるのでありますが、かくのごときことが起りましてことにつきましては、非常に遺憾なことであります。ただ司法大臣の監督下にないことでありまして、如何ともしがたいのでありますが、非常に遺憾に存じておるということは、はつきり申し上げる次第であります。
  51. 花村四郎

    花村委員 前回司法大臣が諮問委員の選挙について御説明になつた折にも、この選挙違反に関する杞憂が一部でも出ておつたのでありまするが、おそらく最高層の知識階級の選挙であるから選挙違反などはあるまい。立派な選挙ができるであろうというようなお話であつたのでありまするが、こういう問題の出ましたことはまことに遺憾であります。しかしただいま司法大臣の申されまするように、告発をしても何ら成立しないというこういう問題を取上げて、そうして世間を騒がしたその責任は、私はただこれを放任しておくべきものじやなかろうと思うのであります。これは法律上の制裁は別としても、少くとも國家司法権を担つて立つところの判檢事の諸君が、告発して問題にならないようなものを起して、そうして新聞の三面記事をにぎわし、世間の注視の的となり、そうして司法官の威信を失墜するがごとき結果を醸成するに至つたという責任は、これはまことに私は大きいものであると申さなければならぬと思うのでありまするが、この点に対しまする司法大臣の今後の善処を促しておく次第であります。  最後に私は世耕情報事件に牽連して一言お尋ねいたしておきたいと思うのであります。この種事件が非常に大きな問題といいますか、世を騒がせた問題となり、新聞記事をにぎわした問題と相なりましたことは御承知通りでありまするが、この詐欺事件をめぐつて司法官憲がそれぞれ立つて、その捜査取締に進まれておられますることは当然のことでありまして、そうあるべきことであろうと存じます。しかしこの問題に牽連をいたしまして、七月十九日の東京の五大新聞に掲げられた記事のうちに、「世耕氏を告訴か、内閣側の態度きまる」、という見出しの記事がのつておるのであります。これについては西尾長官ばかりでなくして、鈴木司法大臣と協議の上で発表せられたように書いてあるのでありまするが、この新聞記事は、これは司法大臣は御承知の上であるかどうか。お読みになつたことであろうと思いまするが、もし読んでおられなければ、ここに新聞がありますから差上げますが、この記事の問題に御関係をなるつておりますかどうか。それをまず第一にお伺いします。
  52. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 これは私の名前がだいぶ出てはおりますが、私が発表したのでないことは一読してくださればわかると思います。私はこれに関しておらないと申し上げて差支えないと思うのであります。この記事にですね。内容にも多少違つたところがあるように思うのであります。なお御質問によつてお答えをいたします。
  53. 花村四郎

    花村委員 私は世耕君の弁護をあえてしようというものでないことを、まず前提としてお断りしておきます。少くとも時の政府が、あげてもつて衆議院議員を告訴するというようなことは、まことに重大な問題であります。これは自分みずからのことであり、また四百六十六人の衆議院議員全部にふりかかつてくる問題であるのでありまして、これは單に世耕氏のみの問題ではない。從つて私は世耕氏のためにどうこう言うのではありませんけれども、内閣の國務大臣が、少くともこういう問題を世間へ公表する。公表するもいいでありましよう。しかしもう少し愼重にやるべきものじやないか。またやつてもらいたかつたと私は考えるのでありますけれども、この記事によれば世耕氏の発言が、現閣僚中にも関係のあるものがあるということを、自由党の代議士会において発言したということが、要するに内閣の名誉を毀損したものであるということで取上げておるのでありますけれども、これをよく見た場合において、まことにこの記事たるや、むしろ西尾君がこういうことを新聞記者諸君に述べたといたしまするならば、あるいは世の笑いを買うこともありましよう。否むしろその筋の専門家から見るならば、まことに笑止千万であるというので、むしろ西尾長官はその價値を疑われるでありましよう。私はそう思う。しかし世の多くの人はこの記事を何氣なく見て、そうして内閣の名譽を毀損するような行為があつたのか。あつたのであろうというような意味に解釈することであろうと思うのであります。しかしこれはこういう事実がかりにあつたとしても、この行為が直ちにもつて告訴の対象となるかどうかは問題であるのでありまするけれども、かくのごときことを言うておらぬということでありまするならば、これはむしろ公平に考えて、内閣側の方において世耕氏の名誉を毀損するものであるとまで極言しても、私は間違いないじやなかろうかと、こう思うのであります。從つてこれによりますと、鈴木司法大臣と十分協議をして調査の上で、理由がある場合においては告訴をする、こう申しておるのでありまするけれども、これはこういうことを発表する前に、その告訴の理由があつたかどうかということを探究し、調査するということがむしろ必要ではないでしようか。どういう証拠によつて世耕君がこういう発言をしたということを断定されるのであるか。むしろもしこの記事が事実であるとするならば、これこそ事実を捏造した言であると申し上げてよかろうと私は思う。と申しますのは、私は自由党の代議士会において、世耕君の説明を聽いておつたのでありまするから、世耕君が何か現内閣を傷つくるがごとき、政治的含みをもつておるように新聞記者に発表いたしておるのでございまするけれども、むしろこれはかえつてあべこべなのだ。自由党もしくは世耕氏を傷つくる意味において、政治的含みをもつてこういう記事を出したとも考えられる。これは私は公平に見てまことにゆゆしき問題であり、重大なる問題であると申し上げてもよかろうと思うのであります。この点に関しまして、こういう記事を出しまする場合において、司法大臣はただいま関係しておられぬというお話であつたのでありまするが、正直であられる司法大臣の言を私は信じます。そういうことになりますれば、これは西尾官房長官は詐りのすべてをこの新聞に発表して、そうしてこういう世間を騒がすといいますか、人を傷つくるというか、こういう記事を載せたという結論に相なろうと思うのでありまするが、その点に対し司法大臣はどういう見解をもつておられますか。
  54. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その新聞記事については、どうも私も西尾官房長官も、全的に責任もつわけにはいかぬと思う。現に昨日参議院の方で私の説明いたしましたことでも、けさの新聞を読むと、やはり正確に出ておらないのでありまして、速記録にでもよるほかは、ちよつと正確を期するわけにはいかないのであります。その記事について特に私が関與して、そういう発表をさせたかという御質問になりましたから、私はそれには関與しておらないと申し上げたのでありまするが、むろん内閣の名譽を毀損せられた場合に、どういう処置をとるべきかということにつきましては、相談を受けたのであります。それに対する私の答えを申し上げれば自然わかると思うのでありますが、たれが一体現閣僚のうちニ、三の者が怪しい、あるいはうしろめいたことがないとは言われないというようなことを言つたのか。それは私どもにはまだ明らかでないのであります。また世耕氏が言つたか、言わないかということすら明らかでないのでありますが、少なくともだんだん傳わる傳わつて、和田安本長官の名前が出、木村内務大臣の名前が出、さらにその他の閣僚の名前が出まして、そして頻りにデマが飛んだ。最後には外人記者が英米にまで電報を打つたという事実が明らかになりまして、その電文を示して、芦田外務大臣から閣議の席ににおいて発言がありましたために、この問題が取上げられたわけであります。私は、その際改まつたことは申しませんでした。外に出てきて新聞記者諸君に、たしか囲まれたように記憶しますけれども、その時は申さなかつた。しかしもし私にそういうことに対する処置を正確にお聽きになりますならば、こう答えたと思うのであります。そにかく最初に現内閣中に怪しい者があると言つたのは何者であるかを確かめて、世耕氏がかりに言つたとして、世耕氏以前にそういう種を提供した人があるのでありましよう。それからその他いろいろな人がこれを傳聞して、外人記者が外國に電報を打つまでの経路をだんだんたどつていきまして、たれが、名前の指してかくのごとき事実を指摘したか、その人こそ責任を負う。複数であるますならば、その複数者が責任を負う。かりに名前がはつきりしたしますならば、その人だけが告訴をすればよろしいのでありまして、内閣員全体が告訴するというようなことは必要ない。ただ当時わからなかつたがゆえに、特定多数人のうちの不特定多数人が名譽を毀損された場合であるから、わかるまでの間は全閣員が告訴牽者になることはなかろうというようなことは考えてことがあるのでありまして、少なくとも内閣を法人と考えて、代理人を立てて告訴するというようなことは申したこともなく、考えてこともない。あるいは西尾官房長官は法律にそれほど詳しい人でありませんから、あつさり自分がひとつ代表してやつてやろうというようなことをおつしやつたかもしれませんが、別にそう取立てて問題にするほどのことはなかろうと思うのであります。少くともこういうことは、司法大臣としては一應その当時取調べてあつたのでありまして、根拠なき流説であるということを確信しておりましたがゆえに、これは早くそういう流説の拡まることを防がなければならない。殊に國際的にまでも延びていくことを防がなければならないという考えから、これに対してある手をうたなければならないということは考えたのであります。そういう説が世界的に廣まるということは、内閣のためということではなく、むしろ日本の恥でありますから、そういう意味において適当な対策を講じなければならぬ。こういうふうに考えまして、それらのうわさの出所、経路等を調査すべきことを檢察当局に命じたことは事実であります。ただいまその調査の過程にあるのでありまして、いまだかつて世耕氏を告訴することを私は申したことはないのであります。これはひとえに新聞記者諸君なんかも、ただ相手方は世耕氏を告訴するということを私は申したことはないのであります。これはひとえに新聞記者諸君なんかも、ただ相手方は世耕氏だけであるかのごとく早合点をされて、そして新聞等にお書きになる場合が多いようにお見受けするのでありますが、どうかそれは私どもの本意でない。世耕氏に責任があるということが明らかになりましたならば、世耕氏もその告訴を受ける一人にはいるかもしれませんが、そういう仮定論を今申し上げることは差控えたいと思います。私どもとしては決してそういうことは考えておらない。眞の責任者、最初矢島某という者が、文書の上に閣僚の名を書いたようでありますから、そういう者が責任のあることは明らかでありますが、眞の責任者を追及しておるのであります。今その過程にあるのだということを御了承を願いたいと思います。
  55. 花村四郎

    花村委員 ただいまの司法大臣の御意見を承りまして、私は実は満足いたしたのであります。司法大臣としてはそうあるべきであり、また司法大臣のお人柄として、そうあつたことはこれは当然であろうと思うのであります。がしかしそういたしますると、新聞記事の責任がたれにあるかということでありますが、これは西尾長官は知らないのだ。新聞が勝手に書いたものであるといえばそれまででありましようけれども、しかしここには西尾官房長官談として、そして司法檢察の面に対して最も権力をもつておる司法大臣の名前をことさらここへ引出して、そしてすべてを鈴木法相とともに相談をしてやつておるのだというようなことで、一面には何か威嚇でも與えるがごとき口吻を漏らしておるとさえも考えらるるこういう記事、これを出したということはまことにこれは遺憾であります。ほとんどこの記事は、ただいま司法大臣の言から考えてみますれば、眞相をうかがつたものは一つもなしと断定していいと思うのでありますが、しかしこういう根據のない記事を、もしも内閣諸公の一人が出したということであつて、しかもそれが全然内閣には関係のないものである。西尾官房長官が出したものじやないということであれば、こういう世間を騒がした、また世の人が耳目を集めてもつて見張つておるこの問題に対して、取消しか何らかのしかるべき方途に出るのが当然だと思う。またそうすることが政府としてもその声價を高めるゆえんであろうと思うのであります。これはしかし今司法大臣の言うところによれば、司法大臣は何らの関係がないということでありまするから、これ以上司法大臣に言う必要はないのでありますけれども、しかしいずれにしても西尾官房長官談として、ここに東京都下の新聞ばかりでない。日本全國の有力なる新聞にこういう記事が載せられた。しかもその記事はすべて虚構に基くものであるということを考えてみまする場合において、西尾官房長官の責任の重大なことを私は痛感せざると得ないと同時に、われわれ議会人のために、内閣の諸公の一人が、こいう代議士の一人でも傷つけんとするごとき、あるいは進んではその政党を誹謗するがごとき、こういう行動こそ愼しまなければなりません。あるいはこの記事の事実が世間に暴露せられまするならば、むしろ西尾官房長官の信用が疑われるでありましよう。私は同君のために惜しむ。同君のためにこういうことの再びなきことを欲するのでありまするが、その点はひとつ司法大臣からしかるべく御傳言を願つておき、また機会があれば西尾官房長官にその点を質したいと思います。私の質問はこれよつて終ります。
  56. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 委員長、わたしはちよつと花村君から質問された第一点について、誤りがあつてはいかぬと思いますから、関連して簡單に大臣質問したいと思います。
  57. 松永義雄

    松永委員長 鍛冶良作君。
  58. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほど花村君からいの一番に行政整理の必要がある。從つて司法部面においても整理の必要のあることを述べられました。私もその点は同感でありまするが、その一面において司法官の今日の社会情勢における生活保障ということが、なお必要でないかと考えるのであります。從いまして行政整理への予算を詰めるという意味で、司法官の待遇をなお一層詰めるというようなことに考えを持つていかれてはたいへんだと思いまするので、ここで一言申し上げておくのであります。今日俸給生活者の生活困窮であることは、これはもうどなたも御承知のことと思います。その中でも特に私は裁判官並びに檢察官の苦衷をまのあたり見ております。というのはそんなことはいかぬか知らぬが、直接國民に接している行政官であるならば、何かと便宜があります。けれども國民と全然離れ、しかして品位を保つていかなければならぬ司法官においては、何らの便宜もありません。先ほど花村君が言われたように、今日はこのように遅配欠配が続くとすれば、一部のやみをなすにあらざれば生命を保つていくことはできない。そのやみは司法官としてはできない状態である。またしてもらつてはたいへんだ。これに対しては特に私は司法大臣として、將來最高裁判所に行きますれば判事の方はわかれるか知らぬが、今日直ちに御考慮をめぐらし、何かの方法をとつていただかなければならぬと、かように考えます。その具体案といたしましては、行政整理はできるだけしていただいて、有能なる者を採用していただく、そして今日司法官は忙がしいでしよう。体も続くまいが、忙がしいから困るということよりも、生活に困る。家族を食わしていくことに困るということが、さしあたつた緊急問題だと思いまするから、私はいくら働いても、生活を維持してもらえれば喜んで働くものと考えます。ゆえにできるだけ有能なる者を採用して、そしていらぬものは省いて、できるだけ多く働いて、その代り優遇してやつていただく。なおまた具体的には、昨日の本会議において逓信省の職員、鉄道省の職員に特別の加配米があるがどういうわけだと言われて、この者は特別の働きをしているからやるのだという農林大臣の御答弁がありましたが、司法官に対してこの際特別の優遇をしてやる必要はないか。職務上、地位からしても、私は必要だと思う。逓信職員、鉄道職員にやる以上にやらなければならぬから、これに対して、あにひとり加配米だけではありません。特別にこの地位を考えて、特別のなんらかの方法をもつて、せめて生活の安定だけをやつてくださることを切にお願いします。それらに対する具体案がありましたら大臣からお答えを願いたと思います。
  59. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その点はまことに感謝すべき御発言でありまして参議院においても同様の御発言がありまして、私どもとして在野法曹時代から司法官の待遇の菲薄なることを痛感いたしておりまして、さらに最近の状況を見ますると、想像以上なのであります。実に言うに忍びざるものがあると申してもよろしい。なんとかしてこれらの人々の生活の安定と、安心して職務に精励することのできるようにしたいということを、晝夜肝胆を碎いておる次第であります。御承知のごとく各方面の要求を皆容れますならば、最近査定をいたしました追加予算の倍乃至三倍にものぼるものを圧縮いたしまして、健全財政を維持するために、一切の要求を、ただいま少くとも当面の時局を乗切りますためには抑えることにいたしておりますので、司法官につきましても、いま少し待てというような状況になつております。せめて加配米とか臨時手当の支給とかいうことついてだけでも実現をしたいと考えておりまするが、加配米は御承知のように重労働を條件としておるのでありまして、ちよつとむずかしいのでありますが、臨時手当等につきましては、最善を盡して努力するつもりであります。さよう御承知を願つておきたいと思います。
  60. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いろいろの方法もありましようが、加配米でなくてもよろしい。消費組合なんかでも拵えるとか、なにかそれらのことをとくと御考慮あらんことを希望いたします。
  61. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 関連して……この委員会には専門調査員が附置されることになつておる。けれども実際はいろいろ委員長も骨を折つておられるようでありますが、なかなかよい人がない。参議院の方を伺つて見ると、あそこにも一人とか二人とかあつたという話でありますが、議会全般の常任委員会においても専門調査員がうまく行つていないらしいのであります。これは結局予算関係もあろうと思うのであります。特に法律問題だけでありませんが、司法常任委員会では非常に法律も問題が多いのでありますから、ぜひ常任委員会に附置されるべき専門調査員を、なんとか早くやつてもらわなければ、思うように仕事ができぬではないかということを痛感しておるものであります。委員長もずいぶんこの問題には今までに骨を折られておるようでありますし、委員においてもあちらこちらと多少心配をしておるのでありますけれども、條件とかその他待遇とかいう問題がやはりひつかかつて、よい人が得られないような状況であることは、大臣も御承知じやないかと思います。今いろいろ待遇の問題が出ましたから、ここの委員会みずからが皆困つているこの実情を申し上げて、大臣はこれに対していかなるお考えをおもちになつているか。今後の法律案審議についてのいろいろな問題に当面いたしておりますから、一言お尋ねするわけであります。
  62. 松永義雄

    松永委員長 ただいま明禮さんの御心配に対して、私から一言御報告申し上げたいことがあります。本日最終の機会において専門調査員が一人決定いたしましたので、皆さんに御紹介申し上げたいと思います。
  63. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 それはちよつと司法大臣として答えすべき範囲かどうか疑わしいのであります、つまり議会でおやりになることでありまして、議会運営委員会等において待遇をよくしていただきたい。待遇が菲薄であつて今の時勢では到底生活を支えていくことはできない程度では、とうていよい人は得られないのでありますから、ぜひ一つ私の方からも議会に向つてお願いいたす次第であります。大賛成でありまして、政府の方でも御協力ができることがあれば喜んでこれに協力したいと思います。
  64. 松永義雄

  65. 井伊誠一

    井伊委員 私は引続いてニ、三お伺いしたいと思つておりましたけれども、了解いたしましたから質問を打切ります。
  66. 松永義雄

    松永委員長 本法案に対しまする本日の審議はこの程度にいたします。     —————————————
  67. 松永義雄

    松永委員長 委員会裁判官國民審査法案起草のために、九名程度の小委員を設けて、これを担任させることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 松永義雄

    松永委員長 それではさよう決定いたします。  ついては右小委員の選挙の方法についてお諮りいたします。
  69. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 小委員の選挙は、委員長に一任したいと思います。
  70. 松永義雄

    松永委員長 ただいまの鍛冶良作君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  71. 松永義雄

    松永委員長 それでは小委員としまして   池谷 信一君  石川金次郎君   荊木 一久君  吉田  安君   鍛冶 良作君  明禮輝三郎君   大島 多藏君  小西 寅松君  それに不肖委員長が参加しまして、合計九名の小委員会を構成することにいたします。 なお本件に関する議長宛ての調査承認要求は、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 松永義雄

    松永委員長 それではさよういたします。  次会の日程は追つて公報をもつて御通知いたします。  なお小委員会の開会日につきましては、公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十一分散会