○河井
委員 獨占禁止法あるいは
本法などは、大體において戰爭中不當に膨脹した富の
集中あるいは
企業の支配に對して、そのハンデイキヤツプを除き、各人の自由
競爭の餘地を廣くするという
意味において、民主的ないき方だとも
考えるのでありますが、すでに大財閥の解體、
經濟人の追放、あるいは昨年の金融
措置令により、あるいはまた財産税、財産の増加所得税等によりまして、すでに多くの富の
集中は細分されておるのであります。今日の問題は終戰後のわずか二年間にでき上つたところのいろいろな手段をも
つて、中には不正の手段あるいは暴力などをも
つて富をつくり、それが既定の
事實と
なつて、今日大きな富の
集中が現われておるのであります。そしてそれらの人々はあるいはやみの金融資本を支配し、あるいはやみの市場を支配し、あるいはたくさんの物資をも
つている。それらのものがすべての合法的な税からは逃れてしま
つている。これが今日の惱みでありまして、増加所得税をとるにしても、これが困難でとれない。しかもあらゆる不合理は彼らのやみの富の集蓄にあるのであります。こういうものに對しては
本法を見まするとあまり豫測されていないように
見える。
本法の第三條の第五項にそれは該當するものであると
考えますが、結局第三條第五項はいわゆる財閥を豫想されて——在來の中小財閥を
考えておられるのではないかと
考えます、結局今のやみの富の
集中の對してはこの五項を
適用する以外に方法はないと
考える。ところがやみの
集中はいわゆるやみで、不動産は名義を現わしておらない、動産はみずから占有しておらないので、これを捕捉することは非常に困難であると
考えますが、
本法を施行される場合において、そういうことは豫想されていないかのごとくみえておるのであります。そういう問題に對してどういう方法でそれを實行されていくか、第三條の五項では、どうもこれだけでは、名義が變
つてお
つて、本人の名義がどこにも捕捉されないというのならば、非常に困難ではないかと
考えますが、そういう點について、この法の
運用上どういうようなお
考えを長官はも
つておられますか、お伺いしたいと思います。