○小坂
政府委員 それではただいま委員長から仰せになりました
政府職員に對する一時
手當支給に關する法律案ほか九法律案につきまして御説明を申し上げます。これらはいずれも技術的のものでありますので、何とぞ御審議の上速やかに御可決あらんことをお願いいたしたいと存じます。
まず最初に
政府職員に對する一時
手當支給に關する法律案につき御説明を申し上げます。
このたび本國會に提出いたしました
政府職員の生活費を補給するための一時手當の支給に關する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げ、各位の御審議をお願いいたしたいと存じます。
全逓その他の
官公職員勞働組合からの提訴にかかる
生活補給金即時支給等の要求についての
中央勞働委員會の調停案が、先般提示されましたので、政府はこれに對する措置を鋭意研究中でありますが、このままでは現金の支給が遲延するおそれがあり、とりあえず、この際各職員に對し、その現に受けている給與の一月分に相當する金額を一時手當として支給いたそうと存じまして、この法律案を提出いたした次第でありまして、すなわちこの手當は從來
政府職員の給與が、月の初めに繰上げて支給せられていた關係を是正するとともに、
中央勞働委員會の調停案に應える一部の給與たる意味を有するものであります。この法律案によります一時手當の
支給方法といたしましては、各職員の現に受けている俸給、
暫定加給、
暫定加給臨時増給、
臨時家族手當、
臨時勤務地手當及び昭和二十二年法律第百四十號による
臨時手當の
合計月額に相當する金額を支給することといたす考えであります。この措置によりまして支給を實施いたしますために必要な豫算額は、概算いたしますと、大約一
般會計所屬職員の分十億四千九百餘萬圓、
特別會計所屬職員の分十九億七千二百餘萬圓、合計三十億二千二百餘萬圓でありまして、この金額はただいま本國會に提案中の
一般會計豫算補正十
號及び特別會計豫算補正特第五號に計上いたしてあります。
本案につきましては、
政府職員の最近の生活の實情をもおくみとりくださいまして、御審議の上、速やかに
原案通り御決定あらんことを希望いたします。
次に勞働基準法等の施行に伴う
政府職員に係る給與の
應急措置に關する法律案ほか一法律案についての提案の理由を御説明申し上げます。
このたび本國會に提出いたしました勞働基準法等の施行に伴う
政府職員に係る給與の
應急措置に關する法律案、及び昭和二十二年法律第百二十一號の一部を改正する法律案につきまして、一括して提案の理由を御説明申し上げ、各位の御審議をお願いいたしたいと存じます。
新憲法の施行に伴いまして、
政府職員の給與に關する基準は、法律をもつてこれを定めなければならないことと相なりました。さらに勞働基準法、船員法及び
失業保險法の施行に伴いまして、
政府職員に係る
現行給與體系についても、所要の改正を加えることが必要と相なつたのであります。政府はこれに應じまして、
政府職員の
給與全般に關する基準を定めた法律案を國會に提出すべく、鋭意準備中でありますが、これが檢討になお若干の時日を要しますので、とりあえず
應急的措置をいたしまするために、本法律案二件を提出いたした次第であります。
まず勞働基準法等の施行に伴う
政府職員に係る給與の
應急措置に關する法律案について御説明申し上げます。
現行の
政府職員の
給與制度は、昭和二十二年法律第七十二號及び同年勅令第百六十一號により、新
憲法施行後も經過的にそのまま本年十二年末まで存續するわけでありますが、ただいま申し上げました勞働基準法等の施行に伴いまして、その定める基準に達せしめるため、現行の
給與制度に一部改善を加える必要が生じたのであります。よつて包括的な
給與法案のできますまで、暫定的の措置として、
政府職員についても、少くとも勞働基準法等の規定による
最低基準まで給與を増額支給するため、
政府職員に係る現行の給與で勞働基準法、船員である職員については船員法の定める勞働條件に相當するもの、または
失業保險法の定める給付に相當するものが、それぞれの法律に定めた基準に達しない場合には、その基準に達するまで、給與を増額して支給することとしたものであります。なお第二の規定は、この措置により増額して支給する給與と、從前の例による他の給與との調整、及びこの措置による給與の
支給手續については、
大藏大臣が定める旨を規定したものであります。この法律が實施せられました場合、從前の給與が勞働基準法等の定めよりも低いため、實際に現行の給與より増額せられるおもなものを申し上げますると、時間外、休日または深夜の勤務に對する
超過勤務手當、公務に基いて殉職しまたは傷病にかかつた場合の
災害補償、
退職手當等であります。なおこの法律の適用の時期につきましては、
超過勤務手當については、昭和二十二年七月一日以後、その他については九月一日以後、
失業保險給付に相當する給與については、十一月一日以後、その給與を支給すべき事由の生じた給與につき適用することといたしました。
次に
勸業債券の
割増金等に對する所得税の課税の特例に關する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。
現下の
金融情勢の推移に鑑みまして、速やかに
インフレーシヨンを阻止し、
經濟秩序を安定し、經濟の再建を促進いたしますることは、喫緊の要務でありまして、これがためには、貯蓄の増強をはかることが必須の要件であると考えます。
今般
所得税法の一部改正によりまして、新たに各種の一時的所得が課税の對象となつたのでありますが、
各種證券その他の貯蓄の
割増金等の所得につきましては、所得税を課さないことにいたしまして、貯蓄の増強に資せしめる必要がありますために、この法律案を提出いたした次第であります。なお死亡を原因として支拂を受けた
生命保險金、
損害保險金、慰藉料、賠償金及び公社債の
償還差益は
所得税法におきまして、一時所得の課税から除外されております。何とぞこの點をお酌取くださいまして、何とぞ御審議の上御贊成あらんことを希望いたします。
次に
大藏省預金部特別會計、國有
鐵道事業特別會計、
通信事業特別會計竝びに簡易生命保險及び郵便年金特別會計の
保險勘定及び
年金勘定の昭和二十二年度における
歳入不足補填のための一般會計からする繰入金に關する
法律案提出の理由を御説明申し上げます。
大藏省預金部特別會計におきましては、別途御審議を願いました昭和二十二年度
特別會計豫算補正(特第三號)に掲げてありますように、新規の
歳入不足額が七億八千七百十餘萬圓生ずるのでありますが、さきに
帝國議會において協贊を得ました
當初豫算におきましても、借入金をもつて補足することにいたしました
歳入不足額が、九億八千五百三十餘萬圓あるのでありまして、國民の零細な貯蓄をもつて賃金とし、その運用を目的といたします本會計としまして、その收支の不足の補填を多額の借入金に負うことは適當でないのみならず、一般會計及び
特別會計を通ずる
健全財政の趣旨にも副わぬと考えられます。よつて前述の
新規歳入不足額七億八千七百十餘萬圓のうち、二億千六百三十餘萬圓は、これを積立金の不足が殘ることになりますので、この際一般會計からこの會計に十億圓を繰入れることとして、これを補足するとともに、かつなお殘る金額四億二千九百十餘萬圓については、本會計における經費節約二千八百餘萬圓と合わせ、
當初豫算における借入金の借入額の減少に充當しようと存ずるのであります。
次に國有
鐵道事業特別會計及び通信事業特別會計におきましては、今次
補正豫算の編成にあたりまして、人件費及び
物件費等につきまして、相當の節約を行うことといたしましたにもかかわらず、現在の
收支状況におきましては、
當初豫算及び
補正豫算を通じまして、
歳入不足が
鐵道會計におきまして百十一億九千百餘萬圓、
通信會計におきまして四十三億六千二百餘萬圓に上る情勢であります。しこうしてこれが補填の方策といたしましては、いろいろと考えられるのでありますが、各般の關係上、さしあたりこの際といたしましては、兩會計におきまして本年十一月以降、本
年度一ぱいに生ずると見込まれまする大體の
歳入不足額、すなわち國有
鐵道事業會計における五十億圓、
通信事業會計における二十五億圓を限度といたしまして、その
不足財源を一般會計から
當該各會計へ繰入れることといたしたいと考えるのであります。
以上申し上げましたのが、今囘の
補正豫算の編成にあたりまして、一般會計及び
特別會計を通ずる
健全財政の方針を堅持いたしまするための措置でありまして、これに關する
豫算的措置は、補正第七號、第八
號及び補正特第三號をもつて、繰入れに關する
豫算的措置を講じたのであります。しかるところ今
囘政府職員の給與の現状に鑑みまして、
政府職員に對して特別の一時手當を支給することが妥當であるという方針を決定いたしたのでありますが、前述の三
特別會計、及び
簡易生命保險、及び
郵便年金特別會計の收支の現状に鑑みまして、今囘の一時手當の財源につきましては、これまたその不足額を一般會計から繰入れることが、やむを得ないものと存ぜられるのでありまして、
大藏省預金部特別會計におきましては、さらに九千六百二十二萬四千圓、國有
鐵道事業特別會計におきましては、さらに九億九千三百九萬四千圓、
通信事業特別會計におきましては、さらに五億二萬圓を、一般會計から繰入れることといたしまするとともに、新たに
簡易生命保險及び郵便年金特別會計の
保險勘定につきましては八千八百七十八萬四千圓、同會計の
年金勘定につきましては二百五十九萬七千圓を限度といたしまして、一般會計から繰入れる必要があるのであります。
なおこの繰入金につきましては、これらの
特別會計の性質上、今後適當な時期において
當該各特別會計から、それぞれ
繰入金額を一般會計へ返償することとする豫定でありますから、これに關する規定をも設けた次第であります。何とぞ御審議の上、御贊成あらんことを御願いいたします。
次に
貿易資金特別會計法を改正する法律案の
提案理由を御説明申し上げます。
今囘改正しようといたしまする點は、まず第一が附則の第十九條及び第二十條の規定であります。現行法の第四條の規定によりますると、
貿易資金の運用によりまする利益または損失の計算は、これを毎年度行うことと相なつておりまして、その結果生じましたる利益または損失は、結局におきまして一般會計への繰入れとなりまして、また一般會計からの繰入れとなる構成となつておるのでありまするが、現在のところ
外貨請求權の評價、及び
輸入物資の價格が計算困難の状況にありまする關係上、この規定による損益の計算もまた實行困難の状況と相なつておりますので、今囘これに對する措置を講じたのであります。すなわち現行法の第四條またはこの法律案の第五條の規定によりまする
貿易資金の運用による損益計算は、昭和二十一年度から
外貨請求權及び輸入物資の
輸入價格の計算可能の状態に立ち至るまでの期間中は、各
年度ごとの計算を省略いたしまして、前述の計算ができる状態になりました曉におきまして、その時までの全期間について損益の計算を行うことといたしまして、その期間中は毎
年度貿易資金の運用上生じまする圓資金の不足額を、一定の計算のもとに一般會計から補填する途を開こうとするものであります。なお昭和二十二年度におきまする一般會計からの
補填見込額は、五十五億圓と相なつておるのであります。第二は
貿易資金の
運用範圍についての規定でありまして、現在はその一部を政令に讓つておるのでありますが、今囘全部を法律で定めまして、
運用範圍を明らかにいたそうとするものであります。第三は
貿易資金の運用に關しましても、
歳出豫算に基くものと同樣に、財政法に基く契約等の計畫、及び支拂計畫の制度を實施することにいたそうとするものであります。
改正の主なる點は以上申し上げました三點でございまするが、この機會に
貿易資金特別會計法の規定内容を、先般制定せられました財政法の趣旨に適合せしめるため、今囘所要の改正を併せ行つた次第であります。以上の理由によりましてこの法律案を提案申し上げた次第でございます。何とぞ御贊成をお願い申し上げます。次に
船員保險特別會計法案提出の理由を御説明申し上げます。
船員失業保險及び手當制度の創設のための
船員保險法の一部を改正する法律案につきましては、先に本國會に提出し、御審議を願つたのでございますが、同法案に基く新しい
船員失業保險事業の經理につきましては、
政府管掌の各種の
保險事業におけると同樣に、
船員失業保險事業に關する
歳入歳出は、これを特別に經理いたしまして、その收支を明確ならしめるのが適當と思われるのであります。從來の
船員保險法に基く
船員保險事業は、
厚生保險特別會計船員勘定及び同
業務勘定におきまして經理しておつたのでありまするが、同
特別會計は、他に
陸上勞務者の
健康保險事業と
年金保險事業とも併せ經理しておりまして、今囘の
船員失業保險事業を、さらに同
特別會計で經理することといたしますると、ますます同
特別會計の性質を複雜とすることになるのでありますから、この際
船員勘定を廢止して
厚生保險特別會計の性質を明らかにし、その經理を容易ならしめるとともに、船員に關する社會保險を一體として運用するため、新たに
船員保險特別會計を設け、從來の
船員保險事業及び今囘の
船員失業保險事業を、それぞれ
普通保險勘定及び
失業保險勘定に區分して併せ經理することといたしたのであります。なお
船員失業手當支給事業につきましても、その
歳入歳出の經理は、その性質上、本
特別會計において併せ行うこととしたのであります。
以上の理由によりまして、この法律案を提出いたした次第でありまして、何とぞ御審議の上、速やかに御贊成あらんことをお願いいたします。
次に
特別都市計畫法第四條の規定による
國庫補助を
國債證券の交付により行う等の法律案の
提案理由を御説明申し上げます。
特別都市計畫法に基く
土地區劃整理事業は、
戰災地再建の基礎をなし、また再建の前提をなすものでありますから、早急に實施することが必要であるのでありまするが、事業の性質上、これに要しまする經費も相當多額に上るものと察せられるのでありまして、しかもこの經費につきましては、高率の
國庫補助を伴うものであります。從いまして國の財政負擔も巨額に上るものと考えられるのであります。そこでこの事業を施行するにあたりましては、事業の緊急性と現在の財政及び金融の事情との調整をはかることが必要と相なるのでありまして、事業費の支出につきましても
インフレーシヨンの抑制を企圖する等、適當な措置を講ずることがきわめて肝要であることと思われるのであります。この見地からいたしまして、この法律案を提出いたしたのでありまして、すなわち
土地區劃整理事業に對する
國庫補助金のうち、
特別都市計畫法第十六條の規定に基く
公共用地造成のため私用地の減歩が一割五分を超過する部分について交付する補償金に對して行う補助金につきましては、前述の趣旨に從いまして、この際
國債證券をもつて交付することといたしますとともに、
事業施行者が、
土地所有者及び關係者に交付いたしまする
減歩補償金につきましても、その交付を受けた
國債證券をもつて補償金の交付の決濟をなし得る途を開きまして、
インフレーシヨンの抑制に努めたいと存ずるのであります。なおこの
減歩補償金はその性質が
面積減歩の代償であり、資産の一部が土地から
國債證券に移つたとも見得べきものでありまして、現下の
經濟事情から見まして、この程度の措置はやむを得ないものではないかと考えられるのであります。
以上の理由によりましてこの法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御贊成をお願いいたす次第でございます。
次に物品の無償貨付及び讓與等に關する
法律案提出の理由を御説明申し上げます。
財政法の施行に伴いまして、同法第九條の規定により、國の所有に屬する財産の適正な對價を伴わない貸付または讓渡につきましては、法律の規定に基くことを要することとなつたのでありまするが、國の所有に屬する財産のうち、
國有財産法の適用を受ける
國有財産につきましては、
國有財産法の中に
無償貸付及び讓與に關する規定がおかれているのであります。物品につきましては、その
無償貸付讓與等は
從來一部のものが法律の規定に基き行われていましたほか、大部分は勅令等の規定によつて行われておりましたので、これについて今囘新たに法律を制定して物品の管理處分の適正を期する必要があるのであるのであります。なお、財政法第九條の規定は、本年四月一日から施行せられておりまするので、本法案の
施行期日も本年四月一日にさかのぼる必要があると考えるのであります。また
地方自治法施行の際、都道府縣において使用しております國費をもつて調辯した物品につきましては、この際
當該都道府縣に讓與または
無償貸付の措置をすることが適當と思われまするので、併せてその規定をおいたのであります。
以上の理由によりまして、この法律案を提出いたした次第でありまして、何とぞ御審議の上、速やかに御贊成あらんことをお願い申し上げます。
次に
金融機關再建整備法の一部を改正する法律案につき提案の理由を説明いたします。
今囘の改正案は
金融機關再建整備に伴う損失の整理にあたつて、職員の
退職金支拂財源として積立金の一部を留保しようとすることを目的としたものであります。現行法では、
金融機關が
最終處理をなすにあたつて、舊勘定の損失がその益金より大である場合には、まず積立金の金額を取り崩してこれを補填することになつております。しかしながら積立金のうちには、通常の場合、
退職金支拂の財源と見られるべき部分を含んでおるのでありまして、この部分に何らの斟酌を加えることなく、ただちにその金額を切捨ててしまいますと、永年
勤續職員等に對する退職金の支給を不當に困難ならしめることとなり、適正を缺くきらいがあります。本案はこの點を改めんとしたものでありまして、その骨子は左の通りであります。
(一)
金融機關はその
損失處理に際して、
退職金支給財源に充てるため、
任意積立金の三分の一と法定の
退職手當積立金の合計額の範圍内において、これを留保することができることとする。
(二)新
金融機關に事業を讓渡して、舊
金融機關を整備する場合、この舊
金融機關から新
金融機關に引繼がれた職員は退職者として扱わず、舊
金融機關に在職中の在職期間は新
金融機關で通算することとする。
(三)舊
金融機關がその事業とともに職員を新
金融機關に引繼いだ場合は(一)により留保した積立金の全部または一部を、新
金融機關に引繼ぐこととする。
以上が本案の内容の大要についての御説明であります。何とぞ御審議の上、速やかに御贊成あらんことを切望いたします。
次に
經濟力集中排除法の施行に伴う
企業再建整備法の特例等に關する法律案につきまして、簡單に提案の趣旨を御説明いたします。
政府はさきに
經濟力集中排除法案を提案いたしたのでありますが、同法案につきましては、特に
企業再建整備法等との關係が密接でありますので、これ等諸法律との相互の關係を明らかにし、經濟力の集中排除及び再建整備の兩措置を圓滑に、且つ矛盾なく遂行せしめて、速やかに所期の目的を達成せしめることが緊要であります。また集中排除の措置を命ぜられた會社であつて、
企業再建整備法の適用を受けないものにつきましても、あるいは
企業再建整備法の必要な規定を準用し、あるいはまた特別の規定を設ける等のことによりまして、集中排除の迅速かつ圓滑なる實施をはかることが適當であると考えられるのであります。さらに
經濟力集中排除法の公布施行に伴いまして、企業が集中排除の對象として指定せられました場合、これによつて指定を受けた會社の債權債務の關係に紛糾を來すことのないよう、特に萬全の措置を講ずる必要があると思うのであります。
以上の理由によりまして政府はここに本法律案を提案いたした次第でありますが、以下本法案の内容を、特別經理會社である場合と、特別經理會社以外の會社である場合とにわけて、簡單に御説明いたします。
第一に特別經理會社の場合でありますが、この場合においては、會社が
企業再建整備法の規定により認可を受ける整備計畫の内容は、
經濟力集中排除法の規定により、特殊會社整備委員會の定めた再編成計畫の内容に合致せしめることを要する旨の規定を置くとともに、同委員會によつて指名された管理人のあるときには、特別管理人は、その管理人の監督を受けることを明らかにしたのであります。
次に會社が經濟力の集中を排除するため新たに會社を二以上設立するときは、各新設會社に承繼せられるところの債務を擔保する擔保權は、それぞれ該當の新會社に出資せられる資産の上に限つて存在することとして、會社の分割に應じて擔保關係も分割せられることといたしたのであります。さらに會社が
經濟力集中排除法によつて指定せられてから、その再編成計畫の内容が定まるまでの間において、會社の將來に對する不安等のために生ずることの豫想せられます債權の一時の取立や、事業繼續のために必要な融資の困難を緩和するという趣旨をもちまして、所要の會社に對しては債務の支拂の一時停止の
應急措置を認めるとともに、一般にこの間に生じた債權について、先取特權の優先措置を講ずることとしたのであります。
第二に特別經理會社以外の會社の場合でありますが、持株會社整理委員會によつて定められた再編成計畫中に、特別經理會社の整備計畫に準ずる事項が記載せられたときには、その再編成計畫に、整備計畫にひとしい法的效力を附與することとして、第二會社の設立手續、株主債權者に對する拘束力等に關する
企業再建整備法の規定を準用することといたしました。さらにまた擔保關係の分割、債務支拂の一時停止、先取特權の規定については、特別經理會社の場合と同樣に取扱うことといたしたのであります。
第三に特別經理會社、非特別經理會社を通じて登記に關して所要の規定を置いて、公示の手段に遺憾なきを期することといたしました。
何とぞ速やかに御審議の上、可決せられんことを望みます。