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成重光眞君
小倉市長濱田良祐君より
請願いたしております港
灣事業繼續に關する
請願の
趣旨について申上げます。
雄大な構想のもとに、さきに國策として樹立されました關門綜合改良計畫の一環をなす臨海工業
地帶造成工事が、
地元民の熱望裡に
昭和十五年著工せられ、爾來
小倉市はこの
國家事業に關連併行する
施設として、公有水面埋立工事を企圖したのでありますが、先述の政府計畫たる臨海
地帶造成工事と密接不可分
關係にあり、かつ地勢の
關係上本公有水面埋立工事の完成を見ざれば、政府事業の施工不可能の實状にあり、本計畫樹立と同時に内務省と協議の結果、本工事の一切を内務省に委託し、國營臨海
地帶造成工事と竝行し著々と進捗してきたのであります。すなわち直轄工事は、基礎的
施設を大半完了し、各種
護岸、物揚場用、方塊二千數百個の作製を終わりたる一面、委託工事においても物揚場本體を竣成するとともに、埋立計畫の約四十%の地域確保が期せられる實状であります。しかして直轄工事本年度目標は、
小倉市委託工事物揚場の沖側に隣接する百八十三メートルと百四十メートルの二邊を有するカギ手形の物揚場を完成せしむるにあり、目下順調なる工事進捗中であります。一方、委託工事は据付圖面の
通り竣成した物揚場本體の背後地であつて、これ完成を期せらるることによつて即成物揚場が使用可能となり、かつ直轄工事の後方が完全に
連絡さるるのであり、本年度豫定工事の竣成を期せしむることこそ、
國家及市が即往に投じた莫大な
資材勞力が活用され、ひいては貨物
輸送の緩和と相
なつて本地方の經濟復興上大いに寄與するところであります。さいわい
小倉の
重要性につき、御認識を得て國、直轄物揚場は豫定のごとく竣成するものと思料されますが、もしその後方を
連絡する
小倉市の公有水面埋立工事が竣成しなかつが場合は、あたかも沖に離島をつくる結果となるのであります。
從つてせつ
かくの努力も水泡に期せしむる實情に立ち至ると考えるのであります。一方本埋立工事に使用いたします土砂は、本港航路を閉塞せしめる流失土砂及び本港に隣接いたします
小倉港の浚渫土砂であり、費用の點においても、效果の點においても、まさに一石二鳥の利點を有するものでありますことを、特に強調したいと思います。いまや
貿易再開を目睫に間に控え、あらゆる
港灣活用を極度に企圖せねばならぬときにあたり、前述の
ような實情にある事業をこのまま放置するがごときは、
國家的見地よりいたしまして、多大なる損失をこうむるはいまさら喋々を要しないと思うのであります。過去數年にわたつて投ぜられた莫大な
國費を、泥土に委するがごとき結果を考慮する場合、いかなる困難をも排除してこれが遂行をはかるべきであると考えるのであります。以上申し上げましたところは、目下施工中の
昭和二十二年度工事を半ばにして放棄できないことを概括申し述べた次第でありますが、二十二年度以降におきましては、眞に當面さしせまられました重要なる諸
條件について、特別の御配慮を賜りたいと思うのであります。ぜひこの
實現方についてお願いする次第であります。
小倉港輸出貨物の五箇年後における推定量は、百
萬トンに達することは本地方の實情及び現地各
港灣の施工によりまして明らかに示されておる事實であります。これら貨物の荷役的處理をいかにするかということが、今後に殘された重大な案件として看過できないところであります。
この問題を解決する對策としては、次の諸點が當然取上げられ、先年來
關係機關はもちろん、業者等より熱烈な要望がありまして、
小倉市としても現下の状勢と照應し、いかなる苦難をも排しまして、ぜひこれが
實現につき日夜最善の努力を傾けております。何とぞ次の諸點につきまして、至急
實施方を御懇願申し上げる次第であります。
その第一は、
運輸省第四港建設部において立案せられておる日明地先物揚増設工事であります。その二は、即往
施設港の
改修、すなわち二のイ、高濱港の浚渫、二のロ、砂津港航路浚渫竝びに防渡堤の築造、二のハ、紫川港の浚渫であります。一の點につきましては、
國家がさきに著工せられた臨海工業
地帶造成工事にてすでに基礎的
施設を了し、据付方塊も製造濟である
關係上、格安の費用をもつて施工できる好
條件下にありますので、これを活用して本年度施工の物揚場延長線上に物揚場を増設をお願いする次第であります。二の點については、さきにすでに縣を通じて御
實施方を政府にたびたび陳情申し上げておきました
通りであります。
以上二點は實に
小倉港存亡、ひいては北九州五市の市勢の
將來を左右する大問題であります。御参考までに申し上げておきますが、殊に二のロの砂津港ごときは、御
承知の
通り資源局において
調査の結果、この要塞
地帶でありました海底は、四億トンに達するという
ような優良石炭を埋藏しておるということが決定いたしまして、すでに二、三の炭鉱が事業著手をしておる
ような事情であります。
關係上、
將來はこの埋立地域一帶がいわゆる第二の三井に相當する
ような炭鉱
地帶になることを想像いたしますときに、
小倉市といたしましては、この砂津港を從來
小倉築港會社の民有であつたものを、その
港灣の一切の運營を
小倉市に移管してもらつた次第であります。
從つて國として、當然
將來砂津港航路の浚渫あるいは防波堤等に對しましても、格段の御配慮をお願い申し上げたいと思います。
以上の件につきまして、先般來特に
關係各省にその
重要性を開陳いたしまして、これが具現を陳情する等最善の努力を續けてきたのでありますが、政府各省ではその
趣旨をよく御認識せられまして、
實施方については十分なる考慮中であることを確信するのでありますが、本
委員會の御採擇なき限り、
實現不可能となり、また
貿易再開の
將來眞に深憂にたえざるところであります。ここに
小倉市の當面する重要案件を具陳いたしまして、特別なるお取計らいをもつて、
本件御採擇方について
請願の
趣旨辯明をいたす次第であります。何とぞよろしく御審議願いたいと思います。