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1947-09-30 第1回国会 衆議院 国土計画委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年九月三十日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 荒木萬壽夫君    理事 藤田  榮君 理事 細野三千雄君    理事 松井 豊吉君 理事 内海 安吉君   理事 的場金右衞門君       足立 梅市君    溝淵松太郎君       宮村 又八君    守田 道輔君       山本 幸一君    生方 大吉君       鈴木 明良君    原  孝吉君       村瀬 宣親君    高田 弥市君       松浦 東介君    野本 品吉君       高倉 定助君  委員外出席者         議     員 前田榮之助君         議     員 明禮輝三郎君         議     員 園田  直君         議     員 米田 吉盛君         議     員 小枝 一雄君         議     員 木下  榮君         議     員 小野  孝君         内務事務官   三島 利美君         内 務 技 官 金子  柾君         厚生事務官   飯島  稔君         厚 生 技 官 石橋 卯吉君         專門調査員   西畑 正倫君 九月十六日委員田中萬逸君辭任につき、その補闕 として九月二十六日東舜英君が議長の指名で委員 に選任された。     ――――――――――――― 九月二十七日  伏木港浚渫工事費国庫補助増額に關する陳情書  (第三一二號)  奥會津開發に關する陳情書  (第三二五  號)  神奈川縣における觀光道路補修改装工事費國庫  補助その他に關する陳情書  (第三四三號)  小田川鑛毒防除砂防工事施行促進に關する陳情書  (第三四五號)  梨ヶ原川砂防工事施行促進に關する陳情書  (第三四八號)  最上川災害復舊工事促進に關する陳情書  (  第三六九號) を本委員會に送付された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  呉市周邊における砂防工事費増額請願前田  榮之助紹介)(第二四八號)  山口縣における砂防工事費増額請願守田道  輔君紹介)(第二四九號)  郷川水系河川治水工事施行請願田淵実夫  君外四名紹介)(第二五五號)  肱川治水工事施行促進請願明禮輝三郎君外  八名紹介)(第二六二號)  天草諸島國立公園指定請願園田直君外  九名紹介)(第三二〇號)  重信川治水工事施行請願米田吉盛君外八名  紹介)(第三二五號)  上妻村地内鬼怒川沿岸築堤工事施行請願(鈴  木明良紹介)(第三二八號)  吉井川改修工事費増額請願小枝一雄君紹  介)(第三三四號)  上士幌村に水道敷設請願高倉定助君外二名  紹介)(第三四二號)  天川砂防工事施行請願木下榮紹介)(第  三四六號)  藏王川砂防工事施行請願小野孝紹介)(  第三六五號)  川内川上流治水工事促進請願的場金右衞門  君紹介)(第三六六號)  山口縣災害復舊費國庫補助増額請願守田  道輔君紹介)(第三七二號)  山陽國道改修促進請願守田道輔君紹介)(  第三七六號)     ―――――――――――――
  2. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これより會議を開きます。すでに本委員會は數囘にわたりまして請願を審査いたしておりますが、御承知通り請願の付託件數が以外に多數にのぼつておりまする關係上、その審査の公平を期する趣旨のもとに各請願の採決を留保いたしまして、後日取りまとめて採決することに當初の委員會におきまして申合せをいたしております。御承知と存じまするが念のために重ねて御了承願いたいと存じます。それでは逐次日程に入ります。     —————————————
  3. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 日程第一、呉市周邊における砂防工事費増額請願前田榮之助君紹介文書表番號第二四八號、紹介議員説明を求めます。前田榮之助君。
  4. 前田榮之助

    前田榮之助君 呉市周邊砂防工事に關しまして簡單に申し上げまして御了解を得たいと思います。呉市周邊は、御承知通りに東洋一の大軍港をもつていろいろな設備が行われておりまして、各山の絶頂はほとんど砲臺が築かれまして、高射砲が竝列さしてすえつけられてあります。それからそれに伴つて大東亞戰爭にはいりまして、これらの兵士の宿舎あるいはそれの防空壕、こういうものもずいぶん築かれたのであります。またこれに伴う民間における横穴式防空壕が山の中にだんだん築かれるようなことになりました。従つて一朝降雨の際には莫大な土砂が流出しまして、昭和二十年の水害のごときはまつたく山津波となりまして、市街地一般に非常なる——單なる土砂の流出だけでなしに大きい岩石等が想像もつかぬほど被害を與えておるのであります。内務省におきましても數年來、砂防工事行つてつたのでありますが、終戰後ほとんどそれは中絶されておるようなことでありまして、今日中國、四國の連合軍根據地として、いろいろ連合軍が施設を行つておりますが、これがやはり一朝降雨の際には非常な被害をこうむるので、これらとの關係は今日本として輕視することのできない事情になつておるのであります。かようなことで呉市周邊の山林に對して至急砂防工事の必要があるので、赤木博士等専門家にも調査を願つてみたのでありますが、これは至急にやらないといかぬという御意見なのでありまして、どうかその事情をおくみとりの上御採擇あらんことを切にお願い申し上げます。以上であります。
  5. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側意見を求めます。
  6. 三島利美

    三島説明員 呉市内河川は地勢の關係上砂防工事が必要でありますることはかねてよりこれを認めておるのでありますが、豫算點竝びにまた資材の點に制約いたされまして、昭和十四年以來、ことにその間戰爭にも突入いたしましたような關係もありまして、今日までこの砂防のために投じました豫算はわずかに二百七十萬圓そこそこでありまして、地元の要望に副い得なかつたことを遺憾に存じておる次第であります。昨年來呉市の砂防につきまして詳細に調査をいたしましたるところ、今後なお一億圓以上を要するというような状況になつておりますので、今後豫算竝びに資材の點で認められまする範圍内におきまして、極力砂防のための豫算を大幅に増額いたしまして、でき得る限り地元の御期待に副うように努力いたしたいと存じます。
  7. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件につきまして御質議等がございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  8. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第四、郷川水系河川治水工事施行請願田淵實夫君外四名紹介文書表第二五五號。紹介議員説明を求めます。前田榮之助君。
  9. 前田榮之助

    前田榮之助君 ただいま上程になつておりまする河川は中國一の河川であります郷川の上流になつておるのでございます。この河川は年に非常に水害が多くて、附近の住民が困つておるばかりでなしに、該地区の産業上に非常な影響をこうむつておるのでございまして、これを至急河川改修をやつていただきたいという理由なのであります。どうかよろしくお願いします。
  10. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側意見を求めます。
  11. 三島利美

    三島説明員 郷川につきましては昭和十八年、昭和二十年引續きまして大災害に襲われまして、沿岸食糧増産民生安定等に及ぼしたる影響はきわめて甚大なるものがあつたのであります。政府におきましても緊急にその改修の必要あることを認めまして、すでにこれが改修計畫のための根本調査を現に取進めておる次第であります。なるべく速やかにこの調査を完了いたしまして、國庫財政等ともにらみ合わせまして、でき得る限り近い機會にこの改修實現を期したいと、かように思つておる次第であります。よろしくお願いいたします。
  12. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件につきまして御質疑等はございませんか。     —————————————
  13. 荒木萬壽夫

  14. 明禮輝三郎

    明禮輝三郎君 肱川治水事業促進請願書を提出いたしておりますが、紹介議員を提出いたしておりますが、紹介議員を代表して御説明を申し上げたいと思います。請願申し上げておる肱川は、愛媛縣東宇和郡の先端から流れておりまして、喜多郡の長濱町に流れ落ちております二十五里以上の大きな河川であります。この河川によつで水害を今でも相當受けておつたのでありますが、伐木をいたしました關係とみえまして、十八年の大水害に襲われ、その後十九年はあまり大したことはありませんが、二十年にまたやられ、さらに二十一年というように、最近において三囘の大水害を受けておるのであります。詳細はお手もとに地圓がつけてありますから、これによつてごらんを願いたいのでありますが、肱川の十八年度における被害は、浸水戸數が一萬七千七百ということになつておりまして、浸水道路の破壊いたしましたものが一萬九千二百二十七メートル、橋梁の流失が九十八、田畑の浸水が面積二千五百町歩、この水邊だけにおいての水害は七萬五千石となつておりますが、これともう一つ重信川という川がありまして、それを合わせますと一年に三十萬石の米穀を失つておるのであります。こういう意味において、この地方はひどい水害あとが見られるのでございまして、今日といえども學校あるいは役場その他その沿線の地域は、たとえばかもいまで水につかつたといたしますと、そこから上は壁がどうやらつながつておりますが、下はほとんど壁が流れまして、毎年それを襲われる危險があるために、板あるいはその他のものによつて補強工事はいたしておりますけれども、壁を塗りかえるという勇氣をもたないほどひどい實情にあるのであります。從つてこれに對しては、政府に對し相當いろいろと申し上げて御了解は得ておるのでありますけれども、今日においてこの實情に對する豫算が百二十萬圓であり、この百二十萬圓という豫算では、内務省から派遣されております技術官人々も、これでは現在の金の價値と對照いたしまして、とうてい問題にならぬということで再三お願いをいたしまして、ようやく七十萬圓を殖やしてもらいまして百九十萬圓という豫算でありますが、一體今の百九十萬という豫算はどれくらいの金でありましようかペたをすると家を一軒か二軒も立てられないという實情にある豫算で、橋が落ちておつても、十分にその橋のめんどうも見れないという實情にあるのでありますから、この點を委員各位におかせられましても御了承願いまして、私ども請願趣旨において述べてありますところは、根本策としましては肱川上流電力を起して、ダム工事による水の調節をいたし、一石二鳥の電力工事による交通機關發達、あるいは工場等發達と見合わせたい。根本策としましては、そういうように水力ダムによつてうまくやつていきたいと考えておるのでありますが、現在の實情からいたしますと、そういう要求をすることはちよつとむずかしいのではないかと思いますので、第三項に述べてありますところの、本流の大川村、菅田村、三善村、栗津村、白瀧村、支流の内子、五十崎、天神というような各町村から大洲——大洲町が刷り物にはいつておりませんが、大洲町までの關連する地域の堤防を、いずれもこれをこしらえていただいて一時を逃れたいというのが、請願趣旨の今最も急ぐ問題と考えておるのであります。なおもう一つ川下の方を浚渫したらどうかという議論が出ておるのであります。要するにこういうことをなんとかおはかりを願いたいと思うのであります。資料はたくさんございます。昭和十八年における水害について「荒れる肱川」という題で、地方でこんな研究をしたものがだいぶ出ております。これは内務省にも提出してありますから御承知だと思いますが、こういう點も十分御了承願いまして、よろしくお願いしたいのであります、これだけ申し上げまして、いずれ後から御質問がありましたら述べることにいたします。
  15. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側意見を求めます。
  16. 三島利美

    三島説明員 愛媛縣肱川改修工事は、現にその中心部であります大洲を防衛いたしますことを中心といたしまして、施行いたしておるのであります。しかしながらただいま御指摘がありました通り豫算が何分にもきわめて僅少でありまするために、この工事がなかなか進捗いたしませず、年々大洲町はただいまお話のありました通り、きわめて深刻な水禍に悩まされておられるのでありまして、まことに申譯ない次第に思つておいります。今後とも國庫財政等關係もありますが、極力豫算を増額いたしまして、現在の工事箇所をまた下流にも延長いたしまして、できうる限り地元の御期待に副うように工事促進をはかりたいという考えでございます。
  17. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對しまして御質疑等はございませんか。
  18. 村瀬宣親

    村瀬委員 肱川は非常に日本におきましても治水のむずかしい實情にあると思うのでありまするが、政府の方ではいつ頃實地を御調査になるのであるか。  それから両側の山が非常に狹く出ており、幅が大變狹いのでありまして、これの根本的治水計畫というものをどういうふうにお考えになつておるかということも承つてみたいのであります。二、三日前の新聞にも出ておりましたが、どうしても川幅を拡め得ない。肱川のような川は、上流の方で副産物的に電力も起すとかいろいろな方法があるわけでありますが、電力問題になるとその筋のいろいろな了解がむずかしいということも聞いておりますので、治水目的として各所にダムをつくるという方法以外にこの川の根本的治水解決法はむずかしいのではないかと考えておるのであります。こういう點についてもこの川の根本的な御計畫をもう少し承つてみたいと思います。  なお大洲町そのほかの附近は、この間はさいわいに四國地方は雨が一滴もありませんで、むしろ田や畑に水をかけておるというような事情で、さいわいに被害はなかつたのでありますが、關東地方のような降雨があつたならば、惨めな目に遭つておつたと思います。今大洲町でやつておりますものも、高い城壁のようなものを築いておりまして、これはやむを得ないかもしれませんが、非常に脆弱のように考えられておるのであります。これらに對しまして追加豫算あるいは來年度豫算等が大體がおわかりと思いますから、御方針を承りたいと思います。
  19. 三島利美

    三島説明員 肱川はただいま御指摘がありました通り下流狹搾部によつて非常に狹められおります上に、しかもその狹搾部附近が非常な急流でありますので、非常に工事がむずかしい川であります。これは現に中國土木出張所におきまして、九州帝國大學の教授とも連繋いたしまして、調査をいたしておるのであります。ただいまのところ中間的に私ども報告を受けておりますのでは、やはり下流狹搾部に非常な岩盤がありますので、かような岩盤を取拂つて水の疏通をよくする。また下流浚渫を行う、さらには大洲附近堰堤下流までもつていくというようないろいろなことを考えております。それからただいまお話がありましたように、上流地點洪水調節のための堰堤を設けることにつきましても、調査いたしておるのであります。これにつきましては資材の點その他の點がありまして、ただちに實施に移すには幾多の隘路があるのではないかという點も、實は氣ずかつておるのであります。さしあたりといたしましては、やはり下流岩盤掘鑿浚渫というような點でまいりたいと思つております。來年度豫算につきましては、今年度の豫算に比しますれば、思い切つて増額いたして臨みたいと思つているのでありますが、ただいまその數字は持合わしておりません。おそらく十倍以上の金額で臨みたい。かように思つている次第であります。
  20. 明禮輝三郎

    明禮輝三郎君 ただいま私説明に落しましたが、さような實情でありまして、今申し上げた百二十萬圓とか百九十萬圓豫算では何もできないので、あの地方人々は、自分らで二百萬圓以上の金を借りまして、工事をみずからやつておる實情であります。これが年度末までには三百萬圓以上の金を借りることにして、その地方の人は一應これを補つておる次第であります。その點も申し上げておく次第であります。
  21. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第一四、天草諸島國立公園指定請願園田直君外九名紹介文書第三二〇號、紹介議員説明を求めます。園田直君。
  22. 園田直

    園田直君 本請願は、九州南端阿蘇雲仙コースの要をなす天草諸島國立公園指定に關する島民二十五萬、必死の請願であります。  元來天草は、海外には有名でありますが、國内的には政治的、経済的地位低く、ようやく一部の者に「戀の天草」または情緒纏綿たる女性の出生地として知られていることはまことに遺憾であります。その大觀は東はキリスト殉教の夢と傳説を秘めた不知火の有明、八代の海を抱き、はるかに肥薩連峰に火を吹く大阿蘇を眞近かにながめ、西は頼山陽の「雲か山か呉か越か」の洋を拡げ、北は津早千々岩の兩海峽を横たえて雲に霞む雲仙を軒端に見、南は太平洋の波に洗わるる周圍七十六里と三十五里の二島を取り巻く百九つの島島から成る五十七万里、人口二十五萬、戸數三萬九千五十六箇町村、全島公園の群島でありまして、右に豪壮阿蘇、左に妖麗雲仙雨奇晴好、氣象萬千、海は雄大無比天草洋の巨濤がすそを洗う、これが大觀であります。個個に景勝を求めますならば、あるいは白砂青松、長汀曲浦、あるいは奇岩快勝、特に龍ヶ岳から見ますと、不知海に浮びますところの梅島、竹島、御所浦等無數の形おもしろき島の景觀と眺望はスイスの湖畔にもまさると田村風景博士は稱しているようであります。まさに今申し上げたことく、日本各地代表的景勝を一島に集めているのであります。加うるに地質學的に見ますならば、全地域にわたる水成岩層侵觸作用による諸相はほとんど他に類例を見ない貴重な學問的資料であると、斯界の權威理學博士脇水鐵五郎氏がこれを發表いたしております。かつまた天正十七年十一月二十五日(一五八九年)には聖十字の旗を飜し、全光燦然たる大コンタスを肩からすじかいにサンタマリヤを唱えつつ、七百三十餘人が加藤、小西、相良の切支丹弾壓の大勢に打つて入り、續いてよろい、かぶとに身をよそおつた婦人三十餘人がやり、なぎなたを振り上げつつ、天草椿油の香を殘しつつ、キリストあと慕い、寛永十四年十一月幕府の弾壓迫害にたえがたく、紅顔の美少年天草四郎時貞を盟主に迎え、殉教の宗徒三萬七千餘人聖十字架の御教に殉じて宗門の花と散つたキリシタン繪踏みのあつた島であり、眞理を拡めに遠く日本に來たイルマン、バユーレン、ミツセルウゼー、大師父フランソワーカブラルがこの地に隠れ、島民の庇護のもとに全國教師大會を開き、一五七〇年十月この世を去つて山中に眠る、夢と傳統殉教の島であります。由來天草はかつて西洋文化の門戸であり、日本キリスト教文化の發祥地で、天草學林の存在、天草版平家物語對譯辭書の刊行、日本における最初の飜譯文書籍の發行地であります。右のごとく日本文化史に大きな足跡を殘しております。從いましてキリスト教に關する遺蹟及びキリシタン殉教戰をめぐる史蹟は、全島随所に探ることができるのであります。  以上述べました景觀、地質學的、歴史的に觀光地として勝れておるばかりでなく、海陸の天産ゆたかなこの島には、特に外人の嗜好に適するミルク、これは大矢那地方初め各地に酪農計畫の實施があり、肉は神戸牛のレツテルのもとにその生産を誇る天草黒牛あり、いちじく、びわ、オレンヂ、まつたけのごとき果物は四季を通じて産し、美味の王者えび、かき、うに、その他海産物もあり、海草あるいは寶石の眞珠採取地として知られておるものであります。かつまた外客誘致の要素である島民性格純情醇厚でありまして、奇と享楽を求めて遊ぶ者は、島の入口の港に立ち竝ぶ數百の十字架に歴史をしのぶとともに、海の本日の滿つる白浜に、都の人を待ちわびる乙女の清純清冽は、椿の花とともににおうでありましよう。しかも諸外國に働く者多く、外國との交渉が頻繁である關係から、知らず知らずの間に外國人との應對になれておりまして、山間にあるいは洋館建があり、あるいは僻村に英語あるいは中國語マレー語を語る老人、老婆がたくさんあるのであります。外國人天草島民性格、性情にひかれ、故國をあとにし、日本に歸化して天草に住む者は、前英國人印度總督を初めとし多數あるのであります。戰前は外國人觀光客が殺到しましたが、戰後平和國家として再出發をし、觀光國策を標榜するに及んで日を逐うて觀光客は増しております。かつ現地の進駐軍におきましても、これに對する航空機の計畫等もあるように聞いております。以上のほか有名なペナン、バリ島に似て、國民保健地として、不生産的な享楽的な遊び場でなく、健康にして文化的な大衆保健所の設定には最も適した海上公園の地形を有しております。また石炭、陶石、水産物、森林等未開發の物資は、いまだに眠つておる状況であります。殊に天草島民は、現下情勢におけるわが國政府がとる國立公園強化の政策を認識し、外貨獲得重大性を認識しますとともに、遊ぶ外客内容に美しい景觀、土産を賣るほか、磯に立ち竝ぶ松の緑にもまさる清い優しい香りの高い人情と、眞正なる日本民族の正しい心と氣持ちをこそ見ていただき、祖國再建悲願達成に資したいと念願しておるのであります。以上述べました事情、賢明なる委員各位御明察の上、よろしくこの請願まげて御採擇を願います。
  23. 荒木萬壽夫

  24. 飯島稔

    飯島説明員 國立公園は御承知のごとくわが國土の精髄として、優に世界に誇示するに足りまする大景勝地國立公園として指定いたしまして、その間に學術上の資料國民に徹底せしめますと同時に、その日常體驗し得がたい自然景觀を通じて銘感を受けしめ、保健、休養、教化に資しますと同時に、ひいては外客を誘致いたしまして、國際親善目的を達成させる目的で設定されておるわけでございます。天草列島は宇土半島に接する大小數十の諸島からなつておりまして、その景觀については、地質的に、あるいは海岸風景的に、また自然植物その他動物的な觀點から見まして大體において國立公園としての諸條件を具備しておるものと考えられるのでありますが、なを全島をすべて國立公園の區区域として指定いたしますことについては、若干調査を進めなければならない點もございますので、目下關係方面折衝を重ねまして、國立公園としての國土を代表するに足る景觀地域を、この際雲仙國立公園區域に含ませまして、雲仙國立公園あるいは雲仙天草國立公園というものに指定いたすべく、目下關係方面折衝を続けておる次第でございます。その折衝が過ぎましたならば、學界各方面の權威者を網羅いたして設立されておりまする國立立公園委員會に付議いたしまして、最後的な國公園指定の段階に至るものと考えておる次第でございます。現在におきましては、區域の問題及び名称の問題などについて、なお檢討を要するものがございますので、目下当局におきましてそれぞれ檢討を進めておる状況でございます。
  25. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件につきまして御質疑等はございませんか。村瀬宣親君。
  26. 村瀬宣親

    村瀬委員 天草雲仙とはほとんど手を繋いだ形にあるのでありまして、現に富士山と箱根と、あれほど距たつておるものも、一つ國立公園指定されておる現状でありまするから、これは殊に國立公園の大きな使命がキリスト教國外客誘致にあるといたしますならば、何よりこれは早く國立公園指定すべきものと私は考えるのでありますが、今いろいろそれぞれの機關に諮つておられるとこうことでありまするが、これは委員長政府委員とにお尋ねするのであります。ただいま政府委員の御答辯になりもした、學界その他の國立公園委員會とかの答申と、われわれの國土畫委員會との關係を一應お尋ねいたします。
  27. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 委員長意見を申し上げるのはいかがかと思いますが、今の村瀬君のお尋ねの、學界の權威等の意見政府側の御意向と、國土畫委員の意思とどういう關係にあるかという御趣旨のようでありますけれども、これは申すまでもなく、政府側の所見と、立法府としてのわれわれの意見とはおのずから別個のものでありまして、拘束されることなく、國土畫委員會意見というものが別にあるべきものと思います。たまたま一致すれば結構でありますし、異なつたといたしましても、國會としての意思は別個にあるべきものと考えます。
  28. 飯島稔

    飯島説明員 中央國立公園委員會は、一應各方面の權威者、達識をもつて構成されておるわけでございますが、議會關係の意向を反映するために、われわれといたしましては議會關係の方も、初めの構想といたしましては委員にお願いすることになつてつたのでございますが、國會法の制定によりまして、立法府としての職責と行政府としての使命が截然區別されなければならないという觀點からかとも存じますが、一應國立公園中央委員會委員におはいり願えないことになつたのでございますので、當院の國土畫委員會、あるいは参議院におきまするやはり同様の委員會の意向は、國立公園中央委員會の意向と同様に、十分尊重していかなければならないものであろうかと考えております。
  29. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 なお補足的に申し上げますが、政府側の今のお話のように、國立公園に關しまする委員會等がございまして、國會議員がその委員になるか、否かにつきましては、御承知通り原則としては委員等になれないということでありますけれども、特に法律で定めた場合、あるいは國會の議決に基づく場合はこの限りでないということに國會法の第三十九條で定められております。從いまして、もし必要でありますれば、われわれがその議決をいたしまして委員に加わることは途が開けております。念のために申し添えます。
  30. 村瀬宣親

    村瀬委員 たとえば今ここに出ております天草國立公園雲仙に加えて指定すべしというふうに、この國土畫委員會で決議をしたといたしましたならば、今説明員の御答辯になりました國立公園委員會としては、相當ここで決議したものはそのまま決定され得る立場になるものでありまするか、その點どの程度のウエートがあるものか、お尋ねいたしておきたいと思います。
  31. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 私見でございますが、申し上げます。ただいまの村瀬君の御質問の内容に對しましては、私といたしましてはこう考えます。さつきも申し上げたことと大同小異でありますけれども、委員會はおそらく諮問機關であらうと思いますが、それを厚生大臣がこの委員會に諮問いたします。答申の結果に基いて何分の判断を下されたということと、國土畫委員會におきまして、本件國立公園指定すべしという結論を得たといたしましても、その間の輕重と申しますか、取捨選挙の問題としましては、必ずしも法規的に制約を受けることはございますまいけれども、少くとも政治的には、國會の意思として政府側は、これを尊重すべき政治上の責務をもつと思うのであります。それより以上具體的に、そうならなかつた場合にいかなる方法手段をもつて、國會の意思を貫徹するかは、また別の問題であろうかとは思いますけれども、少くとも理論的にはそういう關係にあらうかと思うわけであります。
  32. 飯島稔

    飯島説明員 まだ國會と政府との關係ははつきりわれわれも了解し難い點もございますが、一應私どもの考えといたしましては、もし國立公園を議會の意思によつて指定に相なるということになれば、その都度、天草國立公園指定する法律案の制定を必要とするものではないか。これはほんの私見でございますが、もし議會として御指定なつたことであれば、立法行為によつて指定をしていただくことになるべきものではないであらうかというふうに考えております。もし國立公園法によつて、實際國立公園指定をそれぞれの行政大臣にお任せになつておるものでございますならば、今委員長の御説明のように十分議會の意向を尊重いたしまして、厚生大臣の責任において指定すべきものと考えております。これは将来の立法政策の問題ではないかと考えておりますが、ただ現状におきましては、國立公園法は厚生大臣が國立公園中央委員會意見を聽いて指定をすることになつておりますのでそういうふうに立法府である議會から厚生大臣がやれというふうに御委任になつておるものというふうに一應考えておるわけであります。
  33. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 飯島説明員の御説明は、本件の質問者の質問の範圍外にわたつておる部分が多分にあるようでありますが、この法理論は、委員會といたしまして政府側から抗議を受ける御質問ではなかつたように思います。この請願というものが本委員會において採擇せられました場合、すなわち天草國立公園指定すべしという採決をいたした場合に、それが厚生大臣の國立公園法に基づく指定處分そのものにかかわるものではないということは明らかでありまして、あくまで請願の採擇、國會の意思としての國立公園指定してしかるべしとする意思に何等の変化はないと同時に、またそれに法律上厚生大臣は處分をなし得ないという立場におかれるものではないことは明らかでありまして、これとそれとは別で、さつき申しましたように、國會の意思が決定いたしますれば、厚生大臣としては國會の意思を尊重して、政治的に判断する責務を負わされるということであると思います。
  34. 村瀬宣親

    村瀬委員 もう一つ政府委員にお尋ねしておきます。國立公園は今十一あると思つておりますが、これは相當殖やす御意思があるのでありますか、今どういう方向において進んでおられますか、この點をお伺いしたい。
  35. 飯島稔

    飯島説明員 ただいま十三の國立公園がございます。大體昭和九年から昭和十一年まで十二箇所の國立公園指定いたしまして、その後昨年伊勢志摩國立公園指定いたしまして、現在十三になつておる次第でありますが、なお昭和九年から十一年の間に、當然指定しなければならないと考えておりましたが、手續上その他なお調査不十分の關係で、指定されておらなかつたいわゆる候補地というものは、現在約七つあります。それでこの七つにつきましては關係方面と折衝いたしまして、指定を進めてまいりたいと考えておりますと同時に國立公園の候補地でない、それに準ずる地域については、近く國立公園の改正をお願いいたしまして、その改正案によつて國立公園に準ずる準國立公園と申しますか、あるいは地方公園と申しますか、そういうようなものを設定してまいりたいと考えておる次第でございます。
  36. 守田道輔

    守田委員 私は十分な認識がないのでありますが、この國土委員會國立公園を擔当するということになつておるのでありますが、その點はなはだ了解に苦しむ點があるのであります。ただ國立公園に關する法律案が出た場合にのみ、われわれはこれを審議する權限がある。それからまた請願に對して審議する權限がある。この二つに限定されるかのごとくであつて、先ほど政府委員の答辨によると、それ以外の問題についてもわれわれは何らのくちばしをさしはさむ餘地もない。その邊がどうも私にはつきりわからないのでありますが、政府のやり方を見ておりますと、はなはだ失禮な言葉を使いますが、屬僚が一切裁断をくだしてやつていこうということになれば、國會の權威もなければ、國土委員會の權威もないということになりますが、その點屬僚が一切勝手にやつていくのか、それとも重要な問題に關しては、國會に必ずこの審議を要求するものか、この點明らかにしていただきたいと思います。
  37. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 守田君にお諮りいたします。本日は請願の案件を審議することになつておりますので、請願以外のことにつきましては、別の機會において御相談申し上げたいと思います。請願に關しまする限りは現に審議いたしておりますから、御質問の點は全部解消すると思います。
  38. 守田道輔

    守田委員 わかりました。     —————————————
  39. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第一六、信重川治水工施事行の請願米田吉盛君ほか八名紹介文書表第三二五號。紹介議員説明を求めます。米田吉盛君。
  40. 米田吉盛

    米田吉盛君 重信川は一市十五箇町村にわたり、しかも道後平野の中間を貫流しております關係上、非常に廣域にわたりまして美田が存するのでありますが、これが昭和十八年の大水害で堤防が決壊いたしまして、川が今三つになつておるわけでございます。このため四百町歩餘りの美田が河原と化してしまつている。そこで内務省でもこのようなことをお認めになつて内務省直轄工事として改修をせられておりますが、水源地帯の濫伐が原因をいたしまして、その後も、風水害のあるたびごとに土砂が流れてまいりまして、耕作地よりも河底の方が實は高くなつておるという状態になつております。これを完全に改修いたしますれば、今日やかましく言われておりますところの食糧問題も、四百町歩は確かに今までやつたところが元に復するのであります。なをこの水源地帯におきますところの砂防工事という方面も、ぜひお願いをいたしまして、ただいままでは大體川口に近いところだけが直轄の工事になつておりましたが、今囘は川口より約二十キロばかりさかのぼつて北吉井村山之内という地點まで内務省が直轄して改修をやつもらいたいというお願いでございます。これに類するようなことは全國到るところにございますが、昭和十八年の戰爭中から大水害でこういうふうになつた所で、その後實は見るべき改修が行われておらぬのでありまして、何とぞ一つ御採擇を願うようにお願いする次第でございます。
  41. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對しまする政府側意見を求めます。
  42. 三島利美

    三島説明員 ただいまお話がありました重信川の惨状は、私も現地を見まして實にお気の毒に存じておる次第であります。非常に豫算が少いために、これまた先ほどの肱川同様、地元におかれましては非常にもどかしい思いをしておられると存ずるのであります。しかも工事箇所は、戰時中重信川の下流に飛行場がありまして、飛行場の防衛という意味がある程度非常に重い意味をもつておりましたので、その方面からまず第一番に著手をしたのでありますが、今日におきましては、不足の食糧増産もさることながら、さらに上流地點を守るということが必要でありますので、今年度におきましても、若干ではありましたが、追加豫算を計上いたしまして、幾分でも地元の御期待に副うようにいたしておるのでありますが、来年度におきましてはさらに大幅に豫算を増額いたしまして、工事區域も御期待に副うように、上流に延長いたしまして、極力短期間に耕地の荒廃を防止いたしたいと考えております。また河床が非常に高くなつております現状からいたしまして、ただいまおつしやいました水源地の砂防につきましても、極力御期待に副うように努力いたしたいと考えております。
  43. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 ほかに御質問はございませんか。
  44. 村瀬宣親

    村瀬委員 昭和十八年に決壊いたしまして、拜志村という所へ行つてみましたが、相当な雨でも絶對についえないという保證をしてくれるならば、あと四百町歩は直ちに自分たちで整理をして、りつぱな田にしてみせるということを、町村長はこの間も言つておるのであります。こちらであれほどの豪雨がありましたので、大かたできかかつておる決壊箇所が切れはせぬかと非常に心配したのでありますが、こちらの半分も降雨がありましたならば、大かたできかかつておる所はまだ切れて飛んだと思います。それであの決壊箇所は完全に本年度中にお仕上げになる御豫定でありますか。また来年度およそどのくらいの豫算をあの川に計上される方針でありますか。これは昭和十八年から続いたものでありますし、しかも非常にりつぱな田が四百町歩も河原になつておるのであります。地元民は一日十圓くらいな奉仕的な給金で、毎日出て改修に当たつておるのでありますので、来年度の豫算竝びにあの決壊箇所はいつころ完全になるのでありましようか、お伺いしたいと思います。
  45. 三島利美

    三島説明員 ただいま御指摘の決壊箇所につきましては、ただいまお話通り地元の格別のご協力を得て、著著工事を進捗いたしておりますので、おそらく今年度中には完成いたすものと存じております。また来年の豫算につきましては、今手もとに資料をもつてまいりませんでしたが、おそらく今年度の豫算の十數倍以上の増額をしておると記憶しております。極力御期待に副うようにいたします。     —————————————
  46. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第一七、上妻村地内鬼怒川沿岸築堤工事施行請願、鈴木明良紹介文書表第三二八號。紹介議員説明を求めます。
  47. 鈴木明良

    ○鈴木(明)委員 わが茨城縣の穀倉地帯の中間を流れておる鬼怒川には、未だ堤防のない所が數箇所あります。その一部をここに説明さしていただきます。  今囘の水害によりまして利根川が茨城縣側も決壊いたしましたが、この鬼怒川の方は村民が一致協力して護つた結果、わずかの災害でのがれたのでありますが、昭和十三年七月、昭和十六年九月の水害には田畑が七百町歩も流れまして、家屋三百戸も浸水したのであります。こういう状態でありまして、この無堤地を急速に堤防を築くということが、私は目下の急務であると考えております。同時にこの七百町歩が萬一水に浸つたということになりますれば、米に換算して、その地方は一反歩七俵ないし八俵とれるというほんとうの穀倉地帯であります。茨城縣におきましても、供出村といたしまして表彰をされておる唯一の村であります。この村に對しまして現下の米あるいは麥の不足状態におきまして、一日も早く——この水魔のために全作物を皆無に歸せしめては村民の窮状は申すに及ばず、現下の食糧事情に重大な影響を及ぼすものと私は心配をいたしております。何とぞ皆さんのご協力を願いまして、本請願を御採擇あらんことを特にお願いいたします。
  48. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側意見を求めます。三島説明員
  49. 三島利美

    三島説明員 鬼怒川は茨城縣における穀倉地帯を培つておる大河川でありまして、この鬼怒川の改修工事の非常に緊要でありますことは、政府におきまして認めておるのでありまして、本年度におきましても相当の経費を本川に支出いたしたのでありますけれども、何分にも物価高の今日でありまして、工事地元に決して御満足を與えるほど進捗いたしておらぬのでありまして、まことに申譯ない次第に存じております。今後しかしながら國庫財政の許す限り大幅に豫算を増額いたしまして、でき得る限り短期間に御期待に副うように盡力いたしたいと存ずるのであります。從前直轄河川は非常に経費が少い一方、各河川とも放つておけない状況にありますので、直轄工事を非常に各河川に手を拡げまして、現在たしか第九十河川ほど改修いたしております。そのために一河川當りの改修費は非常に少くなりますので、現在の工程の進捗状況から申しますと、實に十年、あるいは二十年を要しなければ完成いたさないというような實情であります。かようなことではなはだ地元に對しても相済みませんので、來年度豫算におきましては、まず平均いたしましても三年乃至五年程度には改修を完成いたしたいというような目標を設定いたしまして、それに應ずるだけの、各河川について相當思い切つた大幅の豫算を今編成中であります。どうかさような點をおくみとり願いまして、今後ともよろしく御協力を願いたいと思います。
  50. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御質疑等はございませんか。——守田君。
  51. 守田道輔

    守田委員 河川改修につきましては、相當セメントが必要だと思うのでありますが、セメントが相當進駐軍關係の方の工事に向けられておるということでありまするが、それはともかくとして、つくればいくらでもつくれるのでありますが、石炭がないからつくれない。こういうことを私セメントの工場地帯において聽いておるのであります。石炭の配給を増加してもらつて、セメントの増産という點について、内務省としては考えられておりまするかどうでありますか。ちよつとお伺いしす。
  52. 三島利美

    三島説明員 ただいま御指摘のありました通り、セメント生産設備はありながら、石炭の關係では非常に隘路になつておりますことは、御指摘通りであります。從いまして内務省でも資材課長の方におきまして、安定本部の關係筋、商工省の關係筋に對しましても、内務省關係の土木課でこれだけ必要である。從いましてセメントの生産を増強していただきたいというような趣旨のことは、機會あるごとに申し出でて説明いたしてはおるのでありまするが、何さまセメントに對しまする需要が非常に各方面とも逼迫いたしておりまするために、いくら私どもの實情をるる陳述いたしましても、未だ滿足するだけのセメントをもらつておらぬことを非常に遺憾に思つております。今後とも各方面の協力を得まして、セメントの増産にご協力をいただきたいと存ずる次第であります。
  53. 守田道輔

    守田委員 今政府委員の御答辯にあつたような状態にあるのですが、國土委員會としても、今日治山治水日本の大きな國策の一つであると考えますゆえに、このセメントの増産をやつてもらうためには、石炭の増配をセメント工場にやつてもらう。こういうことは委員會自身としても申すべきではないかと委員長にちよつとご質問いたします。
  54. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 もちろん御説の通りだと存じます。特に先般できました治山治水對策小委員會におきまして、所要の資材等につきましても十分に御審議を願つて、その結果を具體的に反映するような方向に向つていくべきものと存じます。     —————————————
  55. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第二五、藏王川砂防工事施行請願小野孝紹介請願文書表第三六五號、紹介議員説明を求めます。小野孝君。
  56. 小野孝

    小野孝君 ただいま議題になりました藏王川は山形縣の川でございます。皆様ご承知の藏王山に源を發しまして、後須川にはいり、さらに最上川にはいる川でございます。由來山形縣の川を見ますと、奥羽山脈から走つております川は非常に急流でございまして、しかも森林が山脈地方に少いために、いわゆる荒れ川になつているのでございます。やはりこの國會に請願されております馬見ヶ崎川、正法寺川などとともに、非常な荒れ川でございます。藏王川について申し上げますと、源は藏王山の千八百メートルの所から出ておりますが、須川にはいるまでその長さがわずか十八キロなのに、須川の合流點は百五十メートルつまり千八百メートルの高さから百五十メートルの高さまで降る長さがわずか十八キロというような急流なために、非常に荒れているのでございます。昔もこの川が荒れましたために、附近の住民は非常に苦しみました。田畑の流されるものもすこぶる多かつたのでございます、こういう關係から、今より三十年程前に營林局が砂防工事を行つたのでございましたが、その後これが中絶されてしまいました。なお昭和十四年から山形縣の工事として砂防工事を行いましたが、これまた經費その他の關係で、今日中絶いたしておる状況でございます。御承知通り山形縣は非常な穀倉でございまして、今囘の米の割當につきましても、米の大生産縣では、山形縣がまず割當をのんでしまつたというくらいに、米の供出についても協力いたしておる次第でございますが、この穀倉に水を供給しておるのは申し上げるまでもなく最上川でございます。こういう最上川の上流地帯の藏王川のような川が氾濫いたしますと、いきおい最上川がたいへんな打撃を受けて、山形縣の美田がみなだめになるようなことも考えられますので、この際ぜひ皆様方に御協力をいただきまして、この藏王川の砂防工事施行の請願を採擇していただきたいと思うのでございます。何分よろしくお願いいたしたいと思います。
  57. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側意見を求めます。三島説明員
  58. 三島利美

    三島説明員 山形縣下藏王川筋の砂方工事につきましては、昭和十四年以來ごくわずか一部に著工したのに過ぎないのでありまして、昭和二十二年度におきましても、ほんの十四萬圓足らずの豫算しかないわけでもあります。まつたくただいまおつしやつていました通り、中絶状態と申されてもやむを得ないのであります。しかも近時物價が非常に高騰いたしまするし、また資材が極度にセメントを必要といたしまして、不足いたしておりますので、遅々として工事の進捗を見ておらない點は、まことに申譯ないと存じております。昭和二十一年の十一月末にこの地點を調査いたしたのでありますが、それによりますと今後なお二千五百萬圓を投じなければ、砂防施設として完成いたさないような状況であります。今後は今囘の水害に照らして考えてみましても、單に河川工事だけで水害が防止できるものでありませんので、あくまで河川工事砂防工事と併進しなければならないということはよくわかつておりますので、極力豫算の増額に努力いたしまして、でき得る限り近い機會に、地元の方々の御期待に副うように努力いたしたいと思つております。
  59. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御質疑等はございませんか。     —————————————
  60. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第二六川内川上流治水工事促進請願的場金右衞門紹介文書表番號第三六六號。紹介議員説明を求めます。
  61. 的場金右衞門

    ○的場委員 この川内川の下流はすでに工事が著々進んでおるのでありますが、川内川上流につきましては、昨年以來調査してもらいまして、すでに今調査済のようでありますが、この川内川の上流が鹿兒島縣における米の主産地であり、また宮崎縣の一部米産地を賄つておる川でありまして、この上流河川を整えなければ、年々水害によつてこの米産地が災害をうけるのでありまして、川内川の上流下流よりももつと大事な區域でありますので、速やかに河川改修をされまして、穀倉地帯を保護してもらいたいというという多年にわたる地元民の要望であります。今ただ調査だけで何ら手がついていない實情にありますから、この際なるべく速やかにこの河川改修をしてもらうようにお願いしたいというので、この請願を提出したものであります。どうぞ御採擇あらんことを希望いたします。
  62. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側意見を求めます。
  63. 三島利美

    三島説明員 川内川の上流が鹿兒島縣及び宮崎縣における有數の穀倉地帯でありまする點はただいま御指摘通りであります。從いまして内務省におきましても、この川内川上流改修工事の必要でありますことを十分認めておりますので、先般來調査隊を派遣いたしまして、改収計畫の根本調査を現にやつておるのであります。先般その中間報告といつぃまして、ある程度の報告を得ておりますので、國庫財政の状況ともにらみ合わせまして、來年度あたりから工事に著手できるように極力努力いたしたいと思つております。
  64. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御質疑はございませんか。  次は日程第三〇、本渡港修築促進請願の順序になりますけれども、政府委員が今ちよつと退席されておりますので、もうちよつとお待ち願いたいと思います。その後紹介議員の御出席になりました順序に從いまして、日程に入ります。     —————————————
  65. 荒木萬壽夫

  66. 守田道輔

    守田委員 わが國の水害が特に激しさを加え、祖國再建に重大な支障を來しておることは、眞に憂慮にたえない次第でありまして、わが山口縣におきましても、昭和十六年以來年々の水害によつてこうむつた被害は莫大なものでありまして、復奮途上少なからざる支障を來しておるのであります。そのよつてくるところのものは、まつたく戰時中におきまする治山治水の顧みられなかつたことにほかならないのであります。なかんずく水害の主原因は、水源全般にわたる治水事業の貧困による土砂の流出、渓流の荒廢にあることは論をまたないのであります。災害對策砂防費につきましても、まことにその僅少に過ぎることが痛感されるのであります。わが山口縣について見ますと、最近三箇年間の土木災害復舊費に對する災害對策砂防費の割合はわずかに一・二%であります。これであの厖大な災害を防止しようということは、無謀と言うほかはないので、今において根本的な治水政策を實施しないときは、現に巨額の國費を費して講ぜられつつある災害復舊工事も、砂上の楼閣にひとしくなるのであります。そこで政府におかれましては、よろしくこの災害對策の砂防の經費の畫期的増額を特にお願いしたいのであります。私が知つておる範圍におきましては、山口縣におきましては玖珂郡、熊毛郡その他、特に玖珂郡が砂防をやらなければならない地點が非常に多いのであります。昭和二十年の災害におきましては、ちようど今日東北におけると同様な災害を受けたのであります。それはみな山が崩れて土砂が川に流れ、岩石等を川の中に、あるいは田畑等に押し流していく。そうして次から次へと土砂のために一つの大きな堤のようなものをつくりまして、それが決壊しては次の堤防を決壊するというような次第であります。砂防工事をやらなかつた場合には、とうていその地帯の、またその河川下流水害を守ることは断じてできないのであります。何分經費がありません關係上どうにもすることができないので、どうしても國庫補助の増額をお願いするよりほかにない。ぜひこの委員會におかれましてその點をお認めくださいまして、この點について御努力くだされんことを特にお願いする次第であります。
  67. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側意見を求めます。
  68. 三島利美

    三島説明員 山口縣におきましては、昭和十六年以來文字通り年々災害を繰返しまして、その被害は年とともに増大するばかりでありますが、その原因は戰時中におきまする水源林地の過伐によることももちろんでありましようが、また從來各河川の水源に對しまする砂防工事が不十分であつたということを、私ども十分認識いたしておるのであります。すなわち山口縣におかれましては、明治四十年以來昭和二十一年まで投ぜられました砂防費が、わずか五百七十萬圓ほどに過ぎないのであります。二十二年度におきましては四百四十四萬圓ほどの對策砂防費を配付いたしておるのでありますけれども、これとても決して満足のいく數字ではありません。先ほども申しました通り砂防が十分でなければとうてい河川を守りおおせるものではないのでありまして、今年度におきましては、でき得る限り砂防豫算を増額いたしまして、抜本塞源的に洪水を防ぐということに、一日も早く理想に到達したいと思つております。資材につきましても、豫算につきましても極力努力をいたしまして、大幅の増額をいたし、もつて期待にこたえたいと思つております。
  69. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御質疑等はございませんか——それでは次に進みます。     —————————————
  70. 荒木萬壽夫

  71. 守田道輔

    守田委員 山口縣に對する昭和二十年災害及び二十一年災害復舊の促進をはかるため、速やかに國庫補助金を増額交付するとともに、昭和二十一年災害復舊に對しては、高率の國庫補助率を速やかに決定せられんことを要望いたします。  理由といたしましては、平和日本の再建の筆頭に起ち、時局の要請である食糧増産、生産の増強と、國民生活の安定を期するに當り、災害復舊の喫緊事であることは今さら贅言を要しないところであります。ここにおきましてわれわれ市町村當局者は、日夜心を碎いて災害復舊の一日も速やかならんことを切願してやまないのでありまして、毎年降雨期になると、罹災民はもちろん、關係當路者はまくらを高くして眠ることができないのであつて、この事實は河川附近の住民の痛心事であります。思うに、往來のごとき毎年の國庫補助額では、二十年災害復舊は今後もなお六、七年を要し、二十年災害もなお三、四年を要するのであります。よつて政府はかかる地方住民の痛心事に思いをいたされまして、一日も速やかに災害復舊工事を完成せしむるよう、國庫補助を増額して御下附になるよう切にお願いするものであります。それと同時に昭和二十年、二十一年の災害に對しては、昭和十七年以降累年災害をこおむり、地方財政は極度に疲弊し、民情は深刻なる窮状にあいいでおるのでありますから、この實情を御洞察くださいまして、昭和二十一年災害復舊に對しましても、相當高率の御補助を賜らんことを切にお願いする次第であります。右關係市町村連署をもつて請願いたします。どうか一つ御採擇を願います。附加えて申しますが、この請願山口縣下の市町村長全部の連名をとつてお願いしている次第でありますから、よろしくお願いいたします。
  72. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側意見を求めます。三島説明員
  73. 三島利美

    三島説明員 災害の復舊が非常に急を要しますることは、今さら申し上げるまでもないのであります。非常にわが國は災害の多い國でありますので、今年の災害は今年中に復舊しなければ、まだ完成しないうちにその次の年の災害を受けるということに相なるのであります。私ども方針といたしましては、年度内に完成を期するということを方針といたしております。しかしながら最近のように災害額が非常に多くなりますと、工事能力その他の點もありまして、かりに一年でできなくても、少くとも三箇年間にはいかなる災害であつても復舊いたしたいというような方針を堅持して進みたいと思つております。これは從前とても私どもはさような方針でおつたのでありまするけれども、國庫財政の都合上、當初豫算が確定いたしましても中途におきまして改定豫算あるいは節約豫算というようなことがしばしば繰返されまして、その間にどうも災害費は非常な巨額を占めております關係上、ともすれば當初三箇年の復舊計畫でおりましても、心ならずもこれを四箇年、五箇年と引き延されるようなことがあつて、私どもその當局といたしましては、非常にこれを遺憾に思つて今日まできておつたのであります。しかしながら今日のように災害の頻發、また災害額の増大というような事實に鑑みまして、この三箇年間に復舊するという方針は、あくまでこれを堅持しなければならぬという方針で、ただいま進んでおりますので、でき得る限り災害復舊費の國庫補助額は短年度中に増額いたしたいと思つております。なおまた二十一年度の國庫補助につきまして、高率の補助を出してもらいたいという御意見であります。これはまことにごもつともな御意見だとは思いますが、ただいままでのところ、二十一年度の補助につきましては、國庫財政その他との關係もありまして、三分の二の補助でまいつておりまして、地元におきましては何かと御苦痛だと思いますけれども、一應御了解いただきたいと存じます。
  74. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御質疑等はありませんか。     —————————————
  75. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第二八山陽國道改修促進請願紹介守田道輔君、文書表第三七六號、紹介議員説明を求めます。守田道輔君。
  76. 守田道輔

    守田委員 山陽國道は西部日本を縦貫する交通幹線國道二號線の一部であり、本縣瀬戸内海沿岸の工業地帯を横貫する最大幹線として、地方産業經済の振興、交通文化の開発に寄與するところはなはな大であります。政府におかれてもその重要性が鑑みられ、昭和十三年以降継續事業としてこれが改良をはかり來れるも、遅々として進まず、縣下における同國道の大半は幅員狹隘、線形構造舊態そのままにして、戰後における産業經済復舊を阻害すること著しく、われら地方民の要望的にして、昭和二十一年十一月關係有志起つて山口山陽國道改良期成同盟會を結成し、さらに關係四縣連合期成同盟會を設立して、一方占領軍の要望の次第もあるので、同國道改良促進の大運動を展開中であります。今ま新憲法が制定され民主國會の開會中において、山陽國道關係住民の切實なる要望を議會に反映させ、同國道の改良促進請願を提示した次第であります。ついでに政府説明を求めまして、私見をあとで申し述べたいと思います。
  77. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側意見を求めます。金子説明員。
  78. 金子柾

    ○金子説明員 山陽國道は東海道と合せまして日本の國の一番大事な大幹線でもあります。しかしながら今までは比較的降雨量も少かつた關係で、特に瀬戸内海が船が自由に使えた關係からだと思いますが、割合に陸上交通の部面が閑却されておりまして、山陽國道の改修が進んでおらなかつた。しかしながら今日の現状から見まして、山陽國道の改修は一刻も早く進めなければならぬ、こういう觀點からいたしまして、今年度の豫算の重點も山陽國道におきまして、相當額の費用を注ぎ込んで、ただいま改修を續けております。來年度におきましてもこの方針を續けて、山陽國道を一日も早く自動車の自由に走れるようなりつぱな道路にしたいと考えております。
  79. 守田道輔

    守田委員 實は山陽國道の改修問題をめぐりまして、これを早く達成したいという全體の考えから、用地の問題等につきまして、地元の農民は一部これに反對をしておるのでありますが、私いろいろとその地方民とこの國道改修促進と両方併せて考えてみますのに、なるべく今までの古い道路を利用してそれを取拡げるようにしていただいて、耕地をつぶすことはなるべく少くしていただきたい。こういう農民の要望でございますので、その點私地方民の意見として一言申し上げておく次第でございます。
  80. 金子柾

    ○金子説明員 ただいまのお話はまことにごもつともなお話でございますので、道路工事を進めていきます場合には、そういうような農地をできるだけつぶさないという方針でやつております。ただ道路の現状は、御存じの通り市街地の非常に人家がたくさんある狹いところを走つている道路でございまして、それを取除けていくということになると、現在では非常に多額の工費も要りますし、またかえつて地元の方方に御迷惑をかける點もたくさんありますので、路線をきめる場合には、そういう箇所はやはり街の裏通りを通つていくということになり、多少耕地をつぶすようなことになりますけれども、原則としては耕地をつぶさないように、できるだけそういうような方針でいきたいと今研究しております。     —————————————
  81. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 大分時間も經過いたしましたが、紹介議員もわざわざ御出席になつておりますので、あと三件ほど續いて御審議願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第二〇、吉井川改修工事費増額請願小枝一雄紹介文書表番號第三三四號、紹介議員説明を求めます。
  83. 小枝一雄

    小枝一雄君 吉井川は御承知通り岡山縣の三大河川でありまして、岡山縣山陽鐵道の沿線の中心を占める河川であります。流域の面積は二千平方キロ、灌漑面積が二萬二千町歩の沃野をもつておりますが、年々歳々洪水をこうむりまして、土地の住民はいつも不安の歳月を經て來たのであります。ちようど昭和二十年九月に二囘ばかりの大洪水がありまして、堤防の決壊が數十箇所に及び、中でも和氣郡、赤磐郡、邑久郡、上道郡の各郡の沃野はほとんど水害に見舞われまして、面積九千町歩の農産物がほとんど壊滅の状態になつたのでありまして、三萬餘戸の人家が浸水し、數百戸の家屋が流失いたしまして、數百の人と牛とが犠牲となつたのであります。こういうような状態でありまして、非常にこの川は堤防が貧弱なため、殊に山林を濫伐しておりますために、ほとんど毎年この洪水が繰り返されるのであります。そういう不安な状態にありましたところ、さいわいにして二十一年度から吉井川の改修工事が初めて政府において著手されまして、地方人々は非常に喜んで曙光を認めておるのであります。しかるに昭和二十二年度の工事豫算の割當は、大體三百萬圓程度ではないかということを地方の者が仄聞いたしまして。これでは延長四十六キロにも及ぶ大河川は、とうてい今日の物価の事情ではその目的を達することはできないということで非常に不安に存じておりますので、特にこの點を御陳情申し上げる次第であります。  二十一年度の工事はほとんど完成をいたしまして、地方人々は勞力、その他の點において自分の存亡に關する重大問題でありますので、非常に熱心に協力をいたしておるのであります。しかし殘つておりますところの堤防はいつ何どき決壊するやもはかり知れぬという危險な状態にあるのであります。どうか委員會におきましても特にこの點を御考慮の上、御採擇あらんことをお願いいたす次第でございます。
  84. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對します政府側説明を求めます。
  85. 三島利美

    三島説明員 岡山縣吉井川の改修工事につきましては、ただいまお話のありました通り岡山縣の非常に豊沃な地帯を流れております重要河川でありますので、政府においてもただいまお話通り昭和二十一度から著工いたして今日に至つておるのであります。現在の直轄河川といたしましては相當額の改修費をこれに注ぎ込んでいるつもりでありますけれども、何分にも現在の物価高でありますので、いかほども工程は進捗いたしておりませず、地元では非常にもどかしいお氣持をもたれて、勞力の點は申すに及ばず、各方面とも非常に熱心にお協力いただいている點を私どもも非常に感謝している次第でございます。來年度におきましては、先ほども申し上げた通り各直轄河川を三年ないし五年の間には工事を完成いたしたいというような目標を設定いたしまして、大幅に經費も増額いたしまして、もつて地元の御期待に副いたい。かようなつもりで極力努力いたしておりますから、今後とも極力御支援をお願いいたします。     —————————————
  86. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第二一、上士幌村に水道敷設請願高倉定助君外二名紹介文書表第三四二號、紹介議員説明を求めます。高倉定助君。
  87. 高倉定助

    高倉委員 本請願の上士幌村というのは、十勝六百方里の北端にあるのでありますが、この地帯は昭和十二年に民有未懇地として北海道廳が指定をいたしましてこれに入植をさせたのであります。ところが入植いたしましたけれども、無水地帯のために百尺以上を掘らなければ用水がないというようなことから、當時道廳におきましても拓植計畫の上から上水道をとるという計畫を立てまして、當時約十萬圓ばかりの費用で設計をしたのであります。ところが、支那事變その他のことで、これが中止になりましてので、約三百戸から入植いたして農耕地も約一千町歩以上あつたものが、水のないために續續とその土地を離れていく者が多くなつたのであります。從つて今日ではわずかに百六十戸ばかりしか殘つていないというような現状でありますので、再三拓植費の要請をいたしておるのでありますが、拓植費に對する豫算關係上、これが實現に至らず今日に至つておるのであります。その當時の設計は第一幹線、すなわち十勝川の支流である芽登川から引水いたしまして、延長二萬二千メートル第二幹線におきまして二萬九千メートルほどを引水する計畫であつたのであります。これができますならば、ここは波状形ではありますけれども非常に酪農地帯に適しており、現在もその附近は全部酪農をもつて農園をやつているようなところでありますが、これができました曉におきましては、この上士幌村は申すに及ばず、隣接しておりますところの士幌村、あるいは西足寄村におきましても相當の利益を受くるのでありまして、耕地におきましても約一萬町歩の農耕地ができることに相なるのであります。しかるに無水地帯のためにこれが開發せられないということをまことに遺憾に存じておりますので、現在の食糧事情から申しても、また人口問題の點においても、相當の農耕地でありますので、この土地を有効に使用せしめるよう、それにつきましてはどうしても上水道を敷設いたしまして、一日も早くこれを解決したしたい、かように存じましたのがこの請願趣旨であります。どうか採擇になるようによろしく御配慮をお願い申し上げます。
  88. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側意見を求めます。
  89. 石橋卯吉

    ○石橋説明員 上士幌村に飲料水がないという件でありますが、これは御同情にたえないところであります。今水道の補助金について私どもが扱つておりますのは、大體給水人口一萬人を境にいたしまして、それより以下のところはその都道府縣の知事が大體やつており、それ以上のところを國から補助するというような取扱いになつておるのであります。それで費用が非常に多くかかつて、道の知事の方でどうしても困るというときは、道知事から厚生大臣あてに補助の申請をしていただく、そういうように取扱つておりますので、ひとつ地元の方にそういうふうに取計らい願いたいと思います。私どもも十分考慮いたしたいと思います。
  90. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御質疑等ございませんか。     —————————————
  91. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第二二、天川砂防工事施行請願木下榮紹介文書表第三四六號、紹介譲員の説明を求めます。
  92. 木下榮

    木下榮君 天川の附近はほとんどはげ山に包まれました山村でありまして、旱魃、水害の惨状は昔から村民が非常に苦痛いたしておつたところでありますが、日清戰爭後砂防工事實施によりまして一時非常によくなりましたが、このたびの大戰中より、過度の濫伐と、この地方特有の松食蟲の被害と相まつて林野の荒廢を來しまして、一雨ごとに洪水となりまして、天川の堤防が決壊いたしまして、田畑及び家屋の浸水が多く非常に被害をこうむつております。将來食糧の増産や供出制度にも影響するところが多いので、小さい問題ではありますが、ぜひこの際砂防工事實施されるようにお顧いしたいと思います。これが請願の趣意であります、どうぞ採擇を願います。
  93. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本請願に對する政府側意見を求めます。三島説明員
  94. 三島利美

    三島説明員 天川筋の砂防工事のことにつきましては、兵庫縣當局からも要望されておるのでありますが、今日までのところ何分砂防豫算は全體のわくがきわめて僅少でありましたために、まだ兵庫縣の御希望に副い得ておらないことを非常に遺憾に存ずる次第であります。この天川筋につきましては、昭和二十一年十一月に現地をよく調査いたしております。この調査の結果によりますと、およそ一千萬圓を必要とするということまでわかつているのでありますが、先程お話の松食蟲などのために、最近山が非常に荒れておりますことも十分承知しておりますので、今後砂防豫算を増額いたしまして、來年度あたりから極力御期待に副い得るように努力いたしたい、かように考えております。
  95. 村瀬宣親

    村瀬委員 資料のことについてお願いいたします。先ほど國立公園に關する政府委員の御答辯のうちに、現在七箇所ばかり國立公園調査中のところがあり、なお準國立公園または地方國立公園として懸案箇所が相當あるというお話でありましたが、その資料委員長から請求していただきたいと思います。
  96. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 承知いたしました。  次の委員會の日次は公報をもつて通知いたします。本日はこれをもつて散會いたします。     午後零時三十三分散會