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1947-09-23 第1回国会 衆議院 国土計画委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年九月二十三日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 荒木萬壽夫君    理事 藤田  榮君 理事 細野三千雄君    理事 大森 玉木君 理事 内海 安吉君   理事 的場金右衞門君       伊瀬幸太郎君    松澤  一君       溝淵松太郎君    宮村 又八君       鈴木 明良君    田中 角榮君       村瀬 宣親君    稻田 直道君       今村 忠助君    水田三喜男君  出席政府委員         内務事務官   岩沢 忠恭君  委員外出席者         農 林 技 官 池田 大助君         農林事務官   安孫子藤吉君         專門調査員   西畑 正倫君 九月十六日委員田中萬逸君が辭任した。     ――――――――――――― 八月二十九日  呉市週邊における砂防工事費増額請願(前田  榮之助君紹介)(第二四八號)  山口縣における砂防工事費増額請願守田道  輔君紹介)(第二四九號)  丸森町地内における阿武隈川下流改修工事促進  の請願庄司一郎君外二名紹介)(第二五〇  號)  郷川水系各河川治水工事施行請願田淵実夫  君外四名紹介)(第二五五號)  林道飯田赤石線竝びに飯田豐橋間道路開設  の請願倉石忠雄紹介)(第二五八號)  高知縣幡多海岸地帶國立公園指定請願  (林讓治紹介)(第二五九號)  肱川治水工事施行促進請願明禮輝三郎君外  八名紹介)(第二六二號)  六甲山系治水工事施行促進に關する請願(中  村俊夫紹介)(第二九九號)  岩手縣水害對策に關する請願小澤佐重喜君  紹介)(第三〇三號)  神崎川防災工事費増額竝びに尼崎改良工事施  行の請願山下榮二君外一名紹介)(第三一〇  號)  竹田津港を國營港指定竝びに修築工事施行の  請願野上健次君外一名紹介)(第三一四號)  小田川竝びに荒金砂防工事施行請願(稻田  直道君紹介)(第三一五號)  鳥取縣砂防工事費増額請願稻田直道君紹  介)(第三一六號)  天草諸島を國立公園指定請願園田直君外  九名紹介)(第三二〇號)  大谷川上流砂防工事竝びに下流護岸工事施行の  請願大上司君外一名紹介)(第三二一號)  重信川治水工事施行請願米田吉盛君外八名  紹介)(第三二五號)  上妻村地内鬼怒川沿岸築堤工事施行請願(鈴  木明良紹介)(第三二八號)  岡ノ内、別府間道路開鑿請願長野長廣君紹  介)(第三三一號)  砂防事業一元化に關する請願稻田直道君紹  介)(第三三二號) 八月三十日  吉井川改修工事費増額請願小枝一雄君紹  介)(第三三四號)  上士幌村に水道敷設請願高倉定助君外二名  紹介)(第三四二號)  天川砂防工事施行請願木下榮紹介)(第  三四六號)  亂川及び押切川上流にダム築設の請願(松浦  東介君紹介)(第三四七號)  仙崎港を開港場指定請願周東英雄君紹  介)(第三六四號)  藏王川砂防工事施行請願小野孝紹介)(  第三六五號)  川内川上流治水工事促進請願的場金右衞門  君紹介)(第三六六號)  山口縣災害復舊費國庫補助増額の負願(守田  道輔君紹介)(第三七二號)  山陽國道改修促進請願守田道輔君紹介)(  第三七六號)  水無川砂防工事促進請願鈴木雄二紹介)  (第三七七號)  本渡港修築促進請願園田直君外一名紹介)  (第三七九號)  庄川及び小矢部川改修工施行促進請願(橘  直治君紹介)(第三八〇號)  上下水道の普及その他に關する請願大矢省三  君紹介)(第三八一號)  兵庫縣津名郡下における各河川の砂防工事施行  の請願原健三郎紹介)(第三八七號)  圓山川改修工事施行請願小島徹三紹介)  (第三八八號)  清水港修築請願神田博君外十一名紹介)(  第三八九號)  崎山村に防波堤築設促進の請願西村久之君紹  介)(第三九二號)  清水、甲府間道路改修工事促進請願神田博  君紹介)(第三九三號)  木曽川上流改修工事促進請願河野金昇君紹  介)(第三九四號)  留萠港を開港場指定請願坂東幸太郎君紹  介)(第三九五號)  小松島港開港場指定請願岡田勢一君外  三名紹介)(第四〇二號)  小松島港修築請願岡田勢一君外三名紹介)  (第四〇三號)  信濃川治水工事繼續施行請願神山榮一君紹  介)(第四一二號)  下津港を開港場指定請願山口喜久一郎君  外二名紹介)(第四二四號) 九月十三日  谷川砂防工事施行請願生方大吉紹介)(  第四二六號)  烏川砂防工事繼續施行請願生方大吉君紹  介)(第四二七號)  荒久澤砂防工事施行請願生方大吉紹介)  (第四二八號)  湯ケ澤砂防工事施行請願生方大吉君紹  介)(第四二九號)  西方寺澤砂防工事施行請願生方大吉君紹  介)(第四三〇號)  鳥居澤砂防工事施行請願生方大吉紹介)  (第四三一號)  村松澤外三溪流に砂防工事施行請願生方大  吉君紹介)(第四三二號)  本川治水工事施行請願外三件(生方大吉君紹  介)(第四三四號)  群馬縣利根郡内の各河川に砂防工事施行請願  外四件(生方大吉紹介)(第四三五號)  岩島村大字松谷地内砂防工事繼續施行請願(  生方大吉紹介)(第四三六號)  五領澤砂防工事繼續施行請願生方大吉君紹  介)(第四三七號)  大竹川及び上澤渡川砂防工事施行請願(生方  大吉君紹介)(第四三八號)  矢川川、市野萱川及び西牧川砂防工事施行の請  願(生方大吉紹介)(第四三九號)  大嫗澤砂防工事施行請願生方大吉紹介)  (第四四〇號)  九十九川上流治水工事施行請願生方大吉君  紹介)(第四四一號)  大栃澤砂防工事繼續施行請願生方大吉君紹  介)(第四四二號)  久保井堰堤近接下流複堰堤築設の請願(生  方大吉紹介)(第四四三號)  天上川砂防工事施設請願生方大吉紹介)  (第四四四號)  日向川治水工事促進請願生方大吉紹介)  (第四四五號)  三波川砂防工事施行請願生方大吉紹介)  (第四四六號)  土合川砂防工事施行請願生方大吉紹介)  (第四四七號)  大澤川下流砂防工事施行請願生方大吉君  紹介)(第四四八號)  平澤川改修工事繼續施行請願生方大吉君紹  介)(第四四九號)  鑷澤に打止堰堤工事施行請願生方大吉君紹  介)(第四五〇號)  貫澤に砂防工事繼續施行請願生方大吉君紹  介)(第四五一號)  涸澤川、野上川、岩染川砂防工事繼  續施行の請願生方大吉紹介)(第四五二  號)  瀧澤川砂防工事施行請願生方大吉紹介)  (第四五三號)  愛知縣内海岸堤防改修工事施行請願(千賀  康治君外二名紹介)(第四五四號)  高師、天伯原一帶に砂防工事施行請願(千賀  康治君外二名紹介)(第四五九號)  逢妻川上流砂防工事施行請願千賀康治君外  二名紹介)(第四五九號)  愛知縣における砂防工事費國庫補助増額請願  (千賀康治君外二名紹介)(第四六〇號)  瀬戸市を中心とする地域に砂防工事施行請願  (千賀康治君外二名紹介)(第四六一號)  霞ケ浦北浦沿岸治水工事促進請願菊池重作  君紹介)(第四七三號)  同(菊池重作紹介)(第四七九號)  上越地方雪害對策に關する請願塚田十一郎  君外三名紹介)(第四八七號)  妙高高原を國立公園指定請願塚田十一郎  君外三名紹介)(第四八九號)  久慈川改修工事促進請願鈴木明良紹介)  (第四九八號)  馬見ケ崎川上流砂防工事竝びに下流改修工事施  行の請願松浦東介紹介)(第四九九號)  高橋川砂防工事施行請願竹山祐太郎君紹  介)(第五〇〇號)  麻機川砂防工事費増額請願竹山祐太郎君紹  介)(第五〇一號)  弓澤川砂防工事施行請願竹山祐太郎君紹  介)(第五〇二號)  有無瀬川及び血流川砂防工事施行請願(竹山  祐太郎紹介)(第五〇二號)  三澤川砂防工事施行請願竹山祐太郎君紹  介)(第五〇四號)  伊佐見川砂防工事施行請願竹山祐太郎君紹  介)(第五〇五號)  舞阪海岸護岸工事竝びに都田川河口浚渫施行  の請願竹山祐太郎紹介)(第五〇六號)  馬込川河口改修竝びに同河口の砂防工事施行の  請願竹山祐太郎紹介)(第五〇七號)  旭川合同用水工事促進その他に關する請願(小  枝一雄紹介)(第五一九號)  旭川改修竝びに旭川合同用水工事促進請願外  一件(小枝一雄紹介)(第五二〇號)  小阪部川貯水池用水改良工事國營施行請願(  小枝一雄紹介)(第五二一號)  岡山縣砂防工事費國庫補助増額請願(小枝  一雄君紹介)(第五二三號)  木曽、揖斐及び長良三川改修工事施行請願(  水谷昇君外一名紹介)(第五二四號)  野田川砂防工事施行請願大石ヨシエ君紹  介)(第五二五號)  茨城縣旱害防止對策助成請願鈴木明良君  紹介)(第五二六號)  吉井川下流改修工事費増額請願西山冨佐太  君紹介)(第五二七號)  本宮川砂防工事施行請願松浦東介紹介)  (第五二九號)  石子澤砂防工事費増額請願松浦東介君紹  介)(第五三〇號)  實淵川砂防竝びに護岸工事施行請願松浦東  介君紹介)(第五三一號)  月光川治水工事施行請願松浦東介紹介)  (第五三二號)  藏王山國立公園指定請願庄司一郎君外  二名紹介)(第五三三號)  瀧ノ澤川砂防工事施行請願松浦東介君紹  介)(第五三四號)  大瀧川砂防工事促進請願松浦東介紹介)  (第五三五號)  江合川改修工事促進その他に關する請願(大石  倫治君紹介)(第五四〇號)  大阪市西部地域における防潮堤築設工事を公共  事業に認可の請願前田種男紹介)(第五四  四號)  平市内の新設道路幅員縮小請願(關内正一君  紹介)(第五四五號)  鬼怒川上流改修工事促進請願外一件(船田享  二君紹介)(第五四六號)  廣尾港擴張工事施行請願高倉定助紹介)  (第五四八號)  利根川下流改修工事施行請願仲内憲治君紹  介)(第五四九號)  松川改修工事促進請願大瀧亀代司紹介)  (第五五三號)  大牟田市四箇峠改修工事施行請願古賀喜太  郎君外三名紹介)(第五五八號)  天龍川堤防復舊工事施行請願竹山祐太郎君  紹介)(第五七〇號)  山口縣内道路改修費國庫補助請願守田道  輔君紹介)(第五七一號)  江合川改修工事促進その他に關する請願(佐々  木更三君外二名紹介)(第五七二號)  山形縣水害對策に關する請願金野定吉君紹  介)(第五七三號)  東北地方水害對策に關する請願野溝勝君紹  介)(第五七九號)  茨城縣旱害防止對策助成請願野溝勝君紹  介)(第五八二號)  松山港を開港場指定請願安平鹿一君外八  名紹介)(第五八四號)  八木港修築促進請願山本猛夫紹介)(第  五八八號)  川治川砂防工事施行請願荊木一久紹介)  (第五九二號)  大久保部落地帶における地すべり防止工事施行  の請願荊木一久紹介)(第五九三號)  三方原に揚水工事施行請願外一件(勝間田清  一君紹介)(第五九六號)  三名川砂防工事施行請願生方大吉紹介)  (第五九七號)  富士山麓開發のため本栖湖からの導水工事施行  の請願勝間田清一紹介)(第五九九號) 九月二十日  洗澤川改修工事促進請願金野定吉紹介)  (第六一二號)  大和川改修工事施行請願伊瀬幸太郎君紹  介)(第六一三號)  大澤村水害復舊費國庫負擔の請願金野定吉君  紹介)(第六一四號)  島根縣風水害復舊費國庫補助増額請願(木  村小左衞門君外四名紹介)(第六一八號)  蘆田川改修竝びに工事施行箇所追加請願(大  宮伍三郎紹介)(第六二二號)  釜房ダム築設中止の請願庄司一郎紹介)(  第六二六號)  兵庫縣下長谷川砂防工事施行請願大上司君  紹介)(第六三一號)  五條、大阪間道路改修請願伊瀬幸太郎君紹  介)(第六四五號)  八鳥川砂防工事施行請願伊瀬幸太郎君紹  介)(第六四六號)  岡、上市間道路全通促進請願伊瀬幸太郎君  紹介)(第六四七號)  八木、阪合部間道路改修請願伊瀬幸太郎  君)(第六四八號)  五條、黒瀧間道路全通促進請願伊瀬幸太郎  君紹介)(第六四九號)  名販川及び七北田川改修工事施行請願(庄司  一郎君外二名紹介)(第六五三號) の審査を本委員會に付託された。 八月三十日  秋田縣水害地區復舊促進に關する陳情書  (第一五  七號)  蒲生川支流小田川、荒金川砂防工事促進に關す  る陳情書  (第一八六號)  野坂川砂防工事促進に關する陳情書  (第二〇四號)  庄川、小矢部川改修工事促進に關する陳情書  (第二〇五號)  田尻川改修工事施行促進に關する陳情書  (第二一六  號)  宮城縣における水害對策に關する陳情書  (第二一八號) 九月十三日  大森川、正光川砂防工事促進に關する陳情書  (第二二  〇號)  米代川、阿仁川改修工事施行に關する陳情書  (第二二一號)  江合、鳴瀬、吉田三川合流工事促進に關する陳  情書  (第二二二號)  秋田縣における水害對策に關する陳  情書  (第二二三號)  岩手縣における水害復舊對策に關する陳情書  (第二三三號)  大阪市内水害對策工事施行促進に關する陳情書  (第二三六號)  秋田縣における水害對策に關する陳情書  (第二四四號)  山形縣における水害對策實施に關する陳情書  (第二四五號)  笠岡港修築工事促進に關する陳情書  (第二八〇號)  國道五號線一部改修に關する陳情書  (第三〇  三號)  鮭川改修工事施行に關する陳情書  (第三〇四號) を本委員會に送付された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  關東地方を中心とする風水害状況及び對策につ  き、説明聽取の件     ―――――――――――――
  2. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 それでは會議を開きます。  今次の關東地方水害に關しまして政府側説明をお願いいたします。
  3. 岩沢忠恭

    岩沢政府委員 このたびの風水害につきまして、今日まで私の方の手もとにわかつた點について一應御説明を申し上げたいと思います。ただいまお配りいたしました表を御覧になります通りに、二十二年の九月の災害は、颱風紀州沖に來るまでは相當のスピードで來たのでありますが、その後進行速度が非常に停滯いたしまして、殊に遠州沖におきましては非常に停滯した。そこで分裂をいたしまして、その一方は關東西化部を通過し、一方分裂したものは房總沖を通過したというような状態であります。そこで今囘の風水害の特徴といたしましては、この表で御覧になります通りに、大體京都、滋賀方面から以東、北海道に影響を及ぼしておりまして、京都方面から靜岡までは大した被害もないのでありますが、特に颱風分裂後の關東地方雨量というものは、ほとんどわれわれの未だかつて聞いたことのないような状態において雨が降つたのであります。その餘波がやはり東北地方に參りまして、宮城岩手秋田方面においても、前の八月の水害をなお一層激甚にしたというような状態に相なつたのであります。しかしながら何と言つて關東地方水害が最も激甚をきわめたのでありまして、その大略を一應御説明を申し上げたいと思います。  ただいま申し上げました通り颱風分裂後の山嶽地帶における雨の量というものは、大體所によつて多少の違いはありますけれども、三百ミリ、四百ミリというものが普通で、特に激しいところは、秩父山系に沿うた水源地帶においては六百ミリ以上を觀測されているのであります。從いまして山の上になればなるほど雨量というものは増す傾向がありますから、記録せられない箇所高山地方においてはもつと雨が降つているのではないかと思います。そういうような状態で今度の關東災害についての特異性は、非常に雨が多かつたということが第一にあげられると思います。そうしてもう一つの原因は圖面で御説明申し上げます。
  4. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 速記を止めて……。     〔速記中止
  5. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 速記を始めて。
  6. 岩沢忠恭

    岩沢政府委員 今申し上げたような應急對策は、大體資材が整えば著々と進行する見透しはついたのでありまして、すでに二十日から大體杭打ちにかかつて、本格的にかかれば、私の見透しといたしまして、荒水を切るのには、巾が廣いものでありますから、締切りの長さも、決壊口は三百メートルもありますから、どうしても遠まわしにして淺いところからやらなければならないので、六百メートルくらいの荒水を切るようになると思います。そういう關係上最大限二十日あれば十分できるものと見ております。資材の供給が十分であれば人力は相當ありますし、また内務省の手ばかりでは、できることはわかりますが、一刻を爭うという關係上、民間の建設力をこの際應援を願つて、官民一體となつてこの工事促進をはかつておるような状態でありますから、今申し上げたような豫想の時日よりも、以内においてこの荒水を切ることができるだろうと思います。  次に今申し上げたのは應急對策でありますが、しからばこういうような大出水に顧みて、再びこの慘害を起さないという一つの策を内務省でもつておるかというような御疑念がありはしないかと思うのでありますが、その點、について一言申し上げておきたいと思います。利根川治水工事は、すでに御存じ通り四十三年から一應緒につきまして、昭和二年に完成をいたしたのであります。ところが昭和十年に非常な出水を來して、これでは現在の計畫の堤防ではもてないということから、昭和十三年にもう一度對策を練り直して、十五箇年計畫として、一億圓の豫算議會の承認を得まして、第一期として、五千萬圓の十五箇年計畫の支出が認められたのであります。その際において現在の堤防かさ上げすることと、船橋方面に取手から放水路をつくるということが著しい對策になつてつたのであります。ところが今囘の出水によりますと、われわれが從來昭和十年の出水を基礎にして考えたことが、はたして妥當であるかどうかということを十分檢討しなければ、今のままでは非常な不安を感じておるのであります。それならば今具體的にどういうような對策をもつておるかということに相なりますが、この點は今漸次調査中でありまして、いずれまた具體的根本策を決定いたしまして、その豫算なり、あるいは處置については、皆様の御協賛を得たいと考えております。ただ私個人として今一應考えておることは、大體山林地方砂防工事を完全にやることと、それから第二は、上流地方において現在の堤防をもつと鞏固にしてかさ上げをすることと、栗橋下流においては、江戸川にはいる水をもつと多くして、下流に送りこむ、水を少くすると同時に、利根川においては、渡良瀬川と利根川が合流する箇所が一番弱い。しかも一番大事な箇所で、あの線が切れれば、昔から言われておるように、權現堂の堤が切れれば東京の淺草、日本橋が水浸しになるというような歴史をもつておる關係上、あすこのたまり水はできるだけ早く下流に流すというような意味から、江戸川に相當の流量を現在流しておる。これを計畫水量よりももつと多く流す必要があるるではないかと考えております。それと同時に、下流平地地帶においては、少々の雨が降ると霞ケ浦水位の上昇で、低地の冠水という状況が起るので、手賀沼と印幡沼を連絡する放水路完成ということが絶體必要だと考えております。その他詳細のことについては今後の研究にまたなければなりませんが、今私が考えておる大體の構想はそういう線で進もうと考えております。  それから先ほど申しました通りに、昭和十年の水害に鑑みまして、利根川増補工事というものが現在進行しておりまして、昭和十四年から實施して、今日まで五千萬圓豫算の中で四千萬圓ばかりはすでに支出しておるのであります。つまりこの四千萬圓の中で千五百萬圓は今年度の豫算でありますから、大體二千五百萬圓昭和四年から二十一年まで支出せられたということでありまして、その支出はどういう工事をやつたかと申しますと、大體下流地方、あるいはまた上流地方においても、比較的弱い所からかさ上げをいたしまして、そうして水の出に應ずるというような方法をとつたのであります。しかしながら、われわれから見ますれば、戰爭中漸次物價が暴騰いたしまして、のみならず、また一般に御存じ通りに、戰爭中は土木に對する費用というものは、非常に少い關係上、思うような増補工事を進捗することができず、またわれわれが期待いたしておりました放水路工事も、相當厖大な工事のために、遂に現在においては中止をしているやうな状態であります。  なおこういうような出水の時に、水防はどういうようなことをしておつたかというような御質問があるだろうと思いますが、これにつきましては、すでに出水期におきましては、内務省といたしましては、關係府縣に指令を發しましまして、その水防の資材なり、あるいは要員を用意して、そうして各部署をきめておつて、常に水防はやはり關係府縣及びその當該の町村が受持つという建前になつているのでありますが、何しろ今囘の水は深夜でありまして、この決壊はほとんど十一時から十二時前後に行われたような關係上、非常に水防圓滑を缺いたという點は、非常にわれわれとしても殘念に考えております。  なおこの席上におきまして、一言附け加えておきたいことは、上流から漸次水が來まして、そうして東京都内に水が來たにつきましては、内務省はどういうような措置をとつたか。こういう點について、一言申し上げておきたいと思います。この點につきましては、溢水の排除とかいうような問題は、これはやはりその管轄である東京都なり、あるいは埼玉縣の方において處理すべきものだとわれわれは考えているので、ただ本川の防備とか、あるいは治水というものは、内務省においてこれは受持つのだという二つの建前は嚴然として存在しておつたのでありますが、こういう非常時においては、やはりセクシヨナリズムというものは、當然に脱却して、互いに應援し合うということはもちろんであります。しかしながら出水状況が刻々に變化してくるのでありますから、それに應じては、やはり都にしても、あるいは縣にしても、相當計畫性をもつて、これに對處するだけの事前工作は考えなければならぬとわれわれは思つたのであります。そういうような關係から、東京都といたしましては上流から流れてくる水位が漸次上昇いたしまして、まず葛飾區内の小合溜、大場川線、いわゆる新聞によく書き立てられております櫻堤において、一應上からくる水をせき止めて、そうして中川によつてこれを食い止めるという線を計畫せられたように思います。ところがだんだん櫻堤において、水位が高くなつて、そうして東の江戸川水位よりも高くなつた。從つてあの江戸川の本堤を破壊すれば、少くとも増水してくる水だけは江戸川の方に流し得るという見透しがついたので維東京都から私のところに對して、本堤を破壊さしてくれという申出が十七日の六時にありました。しかしながらあの本堤を破壊しますれば、對岸の千葉縣に對して相當の影響を與える關係上内務省といたしましては、一應は千葉縣の方の承諾を得るというような手續をとりました關係上、私が決心するまでは、大體一時間くらい、千葉縣との折衝にかかりまして、遂に七時過ぎに切つてもよろしいということを東京都の方に申出たのであります。そうして東京都におきましては、ただちに破壊作業を行われたものとは私考えておつたのでありますが、どういう手違いか、破壊隊もその場にいないとかいうような話を聞いて、遂に進駐軍のごやつかいになつて、爆破作業を行つて、そうして十八日の夕方ごろようやく通水した。しかるに水位の方はだんだん上昇いたしまして、櫻堤が十八日の午前二時ごろに溢流をいたしまして、三十メートルばかりまず決壊し、その流勢が強いために遂に二百メートルくらい決壊して、そうして上流からくる水が順次南下したのであります。それからその南下した水が、やはり葛飾區、江戸川區に押寄せたので、東京都といたしましては、中川の水位が上昇してのみきれぬというような關係から、荒川放水路と中川の左岸堤を切らしてくれという申出が十八日にあつたのであります。そこでこの左岸堤を切るということは、この際緊急の策としては非常に策の得たものであることはわかつておるのでありますけれども、何しろ荒川の性質として、もし今後降雨があつた場合において荒川の水位が上昇した場合においては、この左岸堤の切落しの箇所から荒川の水が逆に中川の方にはいつて、そうしてまた葛飾區、江戸川區の浸水地域に押寄せれば慘害を二重にするということを考えまして、私はそれに對して相當躊躇をいたしたのでありますが、この點は結局一か八かやるかという點は、私ではなくて、やはり東京都の決心いかんによることでありますが、そのことは十分都の方に申し上げて、そうして都の方ではこの際やる方がよかろうという決心がつきましたので、十八日の五時ごろ切つてもよろしい、切ろうということになつたのであります。それからなお上流からくる水はだんだんと押寄せまして、足立區の低地の方にまわつてくるという現象になつたので、足立區の方の水がまた荒川の方に押寄せてくるから困るというような關係から、今度は足立區の四ツ木と堀切の橋の中間の、放水路の大きな本堤を切開する。そうして足立區の水を出そうじやないかというので都長官と相談いたしまして、決行いたしたのが一昨日のことであります。そうして結局一昨日において江戸川の本堤と荒川の放水路の本堤とそれから左岸堤の三箇所切つて上流からくる水を多少なりともその方面に分流して下流に行く水を少くするという策をとつたのであります。そういう關係から、私どもといたしましては本堤を切るということは今後における災害あるいはその他の影響が非常に大であるというような意味から、相當愼重に決心するまでには考えなければならぬために、皆様方からごらんになりますと、多少時期を失したというような御非難があるかもしれませんけれども、やはり責任ある地位におきましては、爾後における慘害も考慮に入れなければならぬという關係から、時間的に多少遅れたということはこの際おわびを申し上げたいと思います。以上大體今日の風水害につきましてあらまし御報告を申し上げたのであります。
  7. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 農林當局より御説明を願います。
  8. 池田大助

    ○池田説明員 山林關係の被害でございますが、御承知のように山林關係は交通不便な奥地にございまして、その調査が遅れるのでございますが、ただいままでに私の方に集まりました資料に基きまして御説明申し上げます。  先ほど國土局長の御説明にもございましたように、今度の雨量は絶對量が非常に多くございました。三日間という短期間に四百ないし六百、最も多いところは秩父の六百十ミリということが記録せられておりましたが、その當然の結果として、山林關係の被害としては新しい崩壊地が非常にたくさんできてまいりました。ただいままでに集まつております量といたしましては、埼玉、茨城、神奈川、山梨、群馬、この五縣で、栃木はまだ報告がまいつておりませんが、五千百三十五町歩という大量の新しい崩壊地が發生いたしております。このうち特に山梨、群馬、この二縣がひどうございました。山梨が一千四百五十町歩、群馬が二千町歩という数字がまいつております。  次に林道の被害でございますが、やはり栃木を除く五縣におきまして七十七萬二千メートルという量に達しております。やはり山梨、群馬が大きい被害を受けておりまして、山梨が三十七萬メートル、群馬が二十五萬メートル、こういう数字になつております。  次に林産物の被害でございますが、木材、木炭、薪、こういうふうなものが相當數量に上りまして流出いたしております。木材は二十萬一千石流出がございまして、これは群馬の十五萬石が最も多量でございます。次に木炭でございますが、これの流出が八萬七千五百六十俵、これもこのうち六萬俵が群馬に屬しております。その次に薪でございますが、六十七萬七千束、こういう量の流出を見ております。  なお施設の被害として、製材工場の流失が十二ケ所でございますが、これは埼玉の五ケ所と山梨の七ケ所、こういう數字でございます。ただいまこれだけの數字がまいつておりますが、現地と連絡をとりまして極力調査を進めておりまして、この數字はなお變化、あるいは増すのではないかと思つております。これの應急の對策としては、もちろん林産物の搬出に必要な林道の復舊、さらに崩壊地の應急の工事というふうなことについても、目下準備を進めております。なお恆久の對策としては、水源地帶におきます崩壊地、荒廢地を完全に復舊するということは、むろん治水という大きな面から見て絶對に必要なことでございますので、これについても日本全國の計畫の中に組み入れまして研究を進めております。なお荒廢地の復舊のほかに、戰時中にできた伐採跡地の造林の施行ということも必要でございますし、なお合理的な林業經營そのものが治水上最も必要なことでございますので、こういう方面については今後進んで研究いたすつもりであります。はなはだ簡單でありますが、大要を御報告申し上げます。
  9. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 以上の御説明に對して、御質問があつたら御發言願います。
  10. 細野三千雄

    ○細野委員 まず土木關係からお尋ねしますが、ここに昭和二十二年、今度の災害復舊總額六十五億でありますが、これはこの通り豫算を得られるのでありましようか。これはただ見込額でありますが、これからさらに殖えこそすれ、減るとは思われませんが、安定本部の方ではどういうような考えをもつておるのでしようか。この點と、災害の復舊については、これは大體三年間の計算のようでありまするが、初年度に豫算のうちの大部分の費用を投じなければ、復舊というものはうまくいかぬのだと思うのであります。二十二年度はすでに半分過ぎておりますから、あるいは二十三年度よりも——額としては多いかも知れませんが、しかしそれにいたしましても、大體六割見當じやないかと思うのですが、もう少し初年度に餘計費用を投ずる必要があるのじやないでしようか。その點もお尋ねいたします。
  11. 岩沢忠恭

    岩沢政府委員 この表は説明を先ほど申し上げなかつたのですが、これは九月の災害でありまして、前にお手もとに差上げました三月から八月までの總額四十八億、これとは別なのです。でありますからこの六十五億に四十八億を加えますと、大體百億以上を突破しておるのが、今年度の全國の災害であります。そうして前の八月までの災害におきましては、今年度やりたいと思つたのが、すでに御存じ通りに十四億三千萬圓を目標にいたしておつたのであります。九月の災害は前よりも多くなりまして、六十五億、これを二十二年度においては二十一億五千萬圓ばかりをやりたい。從つて前の十四億を加えますと、三十五億というようなものを今年度においてやりたい。今細野委員の御説明通りに、復舊はできるだけ私の方としても當初年度においてやる。またやらざるを得ないというような状態でありますけれども、何しろ國の財政、また現今のように資材の非常に不足の折柄、大體資材とにらみ合せて、このくらいのものなら消化し得るのじやないかというような點で、御趣旨の點はあなたと同じような考えをもつておるのでありますが、そういうことに制約されて比較的初年度において工費が全體の額から見ると、少いじやないかという御批判はごもつともと思います。  なお安定本部との關係につきましては、災害については安定本部も協力いたしますし、またわれわれとしては、これはぜがひでも復舊費については十分獲得するだけの努力をしてみたいと思います。
  12. 細野三千雄

    ○細野委員 山林關係につきまして新聞によつて承知しておるのですが、五箇年計畫というものがあるのだそうですが維それは相當具體的にもう計畫はできておるのでありましようか。
  13. 池田大助

    ○池田説明員 これは造林及び治山につきまして、それぞれ五箇年計畫を立てております。昭和二十三年度以降五箇年間の計畫でもちまして、計畫を立てて豫算化すべく今努力いたしております。
  14. 細野三千雄

    ○細野委員 その計畫ができておりまするならば、お差支えがない限り、ひとつ國土委員の方にそれを示していただきたいと思います。
  15. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 大體補足的なことに相なりまするが、造林が行われておりませんことはいろいろ原因もありまするが、現状は非常に伐る方と植える方とのアンバランスの状態が漸次ひどくなつております。この状況を一應御説明申し上げておきたいと存じます。かりに昭和十三年から最近までの年々の植伐の不均衡の状態を申上げますと、昭和十三年には植えるやつと伐るやつで、伐るやつが多かつたのが約八萬町歩であります。次は十二萬町歩、十五萬町歩、次に少し下りまして、四萬、八萬、昭和十八年から二十二萬町歩、次の年が二十四萬町歩、二十九萬町歩、三十五萬町歩、こういうふうに非常に植伐の不均衡の状態が漸次ひどくなつておりまするので、この邊の關係から、來年度の問題といたしまして、先ほどの造林の五箇年計畫というようなものと、それからもう一つは、この森林治水事業であります。第二期森林治水事業は本年度をもつて終了いたします。來年度から第三期森林治水事業の實行期にはいるわけであります。日本の現状につきまして、昨年から本年にかけて詳細な調査をいたしまして、これに基いて目下第三期森林治水計畫を樹立いたしております。もちろんこの計畫の中には、今度の災害の部分を含めまして計畫をいたしておるのでありまして、農林省といたしましては、造林對策と、森林治水事業とこの二方面でもつて、今後の災害の防止に當つてまいりたい。かように存じておるわけであります。造林計畫は大體現在の未立木地が約三百萬町歩ほどございます。これを五箇年間に植えてまいりたい。かように存じておる次第であります。補足的でありますが、御説明申し上げました。
  16. 松澤一

    ○松澤(一)委員 今度の災害について應急費が災害地では相當かかると思うのでありまするが、この應急費に對する金融、國の補助等の状況をひとつ知らしていただきたい。
  17. 岩沢忠恭

    岩沢政府委員 金融措置につきましては、先般來の東北方面水害と同じような措置をとつて、そうして應急復舊を促進したい。こういうふうに考えております。まだ具體的には關係方面とも連絡しておりませんけれども、至急この點は實現したいと考えております。なおこの應急費の補助につきましては、從來から大體五割限度を補助しておりますから、大體今の見透しとしては、從來の例にならう以外にはないのじやないかと考えております。
  18. 松澤一

    ○松澤(一)委員 今囘の災害は、この前の東北の例を見ても同じようでありますが、事國家の要請のために、その土地の住民が災害のために苦しむという結果になるのでありまして、これはわずか五割の地方補助だけで濟ますべき性質のものではないと思う。殊に私は山梨縣で、災害の最も激しいところでありますが、山梨縣のごとき貧弱縣を、ただ單に過去の例がそうだからというだけで、應急費の補助なども五割だけで泣かしてしまうのもどうかと思うので、高率の應急補助についてもお考え願いたいと思う。この點土木局長さんから、まつたく高率の補助がなければ氣の毒である。過去は過去として、今度の災害は相當考えなければならぬという、ひとつ説明を願いたいと思うのです。もう一つは復舊に對して、同じく東北二縣と同じように、高率な全額國庫補助にいくものかどうか。この際その見透しを承つておきたい。
  19. 岩沢忠恭

    岩沢政府委員 應急復舊工事につきましては、松澤さんのお話の通り、縣の財力のいかんによつて、相當考慮しなければいかぬと思いますが、その點は十分考えまして、御希望に副うように努力いたしたいと考えております。なお復舊費の補助の總額につきましては、やはり東北と同じような方法で、縣の財力いかんを見比べて、私どもとしてはやはり從來の規定にあります通り、三分の二というものは當然復舊に對する補助をいたしますし、それ以上の高率につきましては、いわゆる財政援助という方法によつて、この復舊費を援助し、補助したい。こういうふうに考えておりますから、やはり縣の財政計畫に基いて、これではとても縣の財政負擔力がないという見極めがつけば、當然高率になるのではないかと思います。從つて縣の方において、災害の復舊費と縣の財政を勘案して、相當の財政計畫の説明資料をお出しになれば、それについて關係當局や大藏省へ折衝して、財政援助という方法をとるだろうと思います。その際われわれとしては、御希望にあります通り、できるだけ地方の要望に副うように、高率に、なお高率でなくて金額國庫補助を與えて、一日も早く工事の復舊をはかることが望ましいことでありますから、いろいろその點につきましては、十分な援助をいたしたいと考えております。
  20. 田中角榮

    田中(角)委員 東北地方災害に引續きまして、今次の關東地方水害に對しまして、その根本的な原因はどこにあるかということをお聽き申し上げたい。  次は全國的治山治水事業計畫があるかないか。しかもその總豫算の算定ができておるかどうか。その施工年度に對してはどういうふうな計畫をもつておられるか。現在の安本との關係はどこまでできておるか。各省分屬の部局と十分な連絡があるかないかということに對して、御答辯をいただきたいと思います。
  21. 岩沢忠恭

    岩沢政府委員 今囘の水害につきましては、先ほど一應概略的に御説明申し上げましたように、從來に例を見ないような非常な降量があつたためと、從つて出水が非常に早かつたのと、また水源地帶が相當荒れておつたために、泥流のような、いわゆる濁度が非常に殖えましたために、非常に破壊力が殖えまして、また戰爭中河川の維持修理ということに手ぬかりであつたために、そういつたいろいろな原因から、各府縣におきましても相當な被害を起したのではないかと考えております。そういうような關係から、現在の日本の治水對策は、ひとつ根本的にやらなければならぬという觀點から、私どもといたしましては、すでに治水治山の五箇年計畫を、安本とも相談いたしてこれを樹立し、二十三年度の豫算には第一年度の豫算をすでに要求しております。しかしながらこれは關東水害の前でありましたから、この五箇年計畫も、やはりもう一度これを檢討し直して、二十三年度の豫算においてできるだけ具體化していきたい。こう考えております。
  22. 池田大助

    ○池田説明員 農林省關係の計畫でありますが、先ほどちよつと御説明いたしましたように、第二期の森林治水事業は今年度をもつて終りますが、昨年度と今年度二箇年にわたつて、全國の荒廢地の現状をとくと調査したのであります。その結果、全國に存在する荒廢地が二十五萬町歩あるのですが、それに今囘新しく發生した荒廢地も考慮に入れて、これに對して五箇年の計畫で治山の事業を計畫するように進んでおります。
  23. 田中角榮

    田中(角)委員 最後にお聽きした各省に分屬しておる部局と十分なる連絡が、あるかないかということに對しては、どんなものでありますか。しかもこの根本的原因として、六百ミリ乃至七百ミリという豫想外の雨が降つたからという御説明でありますが、これは當然そういうことを考えなければならぬ。明日また七百ミリも八百ミリも降るかもしれぬ。こういうことも十分考えなくちやならないのであつて、私がお聽き申し上げたいのは、いわゆる農林省に分屬しておる治山關係と、内務省に屬しておる治水關係が、過去においてうまくいつておつたかおらないか。しかも今次水害にぶつかつて、その應急對策竝びに計畫を立てる上においても、十分なる連絡があるかないか。こういうことをお聽き申したいのであります。
  24. 岩沢忠恭

    岩沢政府委員 その點については、過去においては多少いろいろのことが風評せられておりますけれども、最近においては、農林省の治山の方面内務省でやる砂防という點については、常に連絡をとつておるので、この五箇年計畫においても、すでに兩者が治山計畫あるいは荒廢地ということを十分研究調査して、それにマツチしてこの計畫をやつておりますが、具體的にどうこうということまでいきませんけれども、結果においてはやはり同じ目的のところに兩者とも計畫を進めておると私は信じております。なお治山の點についてはなるほど植林は絶對必要でありますが、何と言つても植林は植えてからのち十年あるいは二十年という年月を經ることでありますから、相當長期間に期待をかけなければならぬ。しかしながら現在の状況から見ると、すでに山が荒れて谷川に土砂が流れる。そうすると一朝雨が降るとその土砂が下流に出る。下流に出たために非常な災害をもたらすのでありますから、私どもとしては、少くとも溪流における砂防工事は緊急に大々的にこれを施工しなければ、下流方面治水は萬全を期せられぬと考えております。
  25. 田中角榮

    田中(角)委員 ここに配付になつた九月の災害土木復舊費と、五箇年計畫の豫算がどういう關連性をもつておるか、しかしてここにあるこの數量金額をもつて、完全になし得る御自信があるでしようか。
  26. 岩沢忠恭

    岩沢政府委員 先ほど申しました通り、この五箇年計畫は八月までの水害を大體對象として組んだので、今囘の水害に鑑みて、二十三年度の豫算要求は多少修正しなければならぬと考えております。
  27. 細野三千雄

    ○細野委員 山林が戰時中適當なる伐採量を超えて伐採せられたという御説明であつたが、しかし私の調べによると、奥地の山林は必ずしも年計畫の目標量まで伐採せられていない地點も相當多いように思う。特に奥地の潤葉樹林は、見込量まで伐採された年度は今までなかつたように思う。むしろ運搬に便利な麓に近い民有材の伐採量が非常に多かつたことが原因しておるように思うのであつて、造林五箇年計畫にしろ、森林治水關係にしろ、私は民有林に對して國家的な相當の保護が必要だろうと思う。植林するにしても、苗は少くとも三年生でなければならぬが、今からそういう苗を養成しておつたのでは、とても間に合わぬので、國有林に自然に生えて來た苗を、無償で民有林に配付する計畫が必要だろうと思う。從つて民有林に對してある程度の統制、國家管理といつたことも併せ行わなければならぬと思うが、その點について政府はどう考えておられますか。
  28. 池田大助

    ○池田説明員 民有林の造林促進は、お話のように苗木の手當を完全にすること、これは從來も苗不足のために造林が行われなかつた實情に鑑み、最も必要なことだと存じます。先ほどお話の山木苗の利用、あるいは接ぎ苗の養成、また實生苗の大規模な養成等による苗木の手當は、ぜひ必要なことであつて、これの需給關係圓滑にすることについてせつかく今私の方で研究いたしております。
  29. 細野三千雄

    ○細野委員 私のお尋ねしたのは、民有林に對してある程度國家で統制というか、管理といつたことをしなければならぬのじやないかというのが、私の質問の重點であります。
  30. 池田大助

    ○池田説明員 造林の促進を重點にして、民有林にある程度の統制を加えたらいいじやないかという趣旨でございますが、その邊についてもごもつともと存じます。當然と存じますので、その邊のことも考えております。
  31. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 速記をとめて……。     〔速記中止
  32. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 速記を始めて……。田中角榮
  33. 田中角榮

    田中(角)委員 内務省國土局は、災害復舊に關しまして、技術陣容竝びに機械設備において遺憾なき状態にあるでありましようか。  第二番目は、復舊工事は在來通り内務省でもつて直營でなるか否か。その具體策がありましたらお聽かせ願いたい。  第三には勞務配置に關しまして、總合的計畫竝びに失業というような間に連絡があるかないか。この三點に對して御質問申し上げます。
  34. 岩沢忠恭

    岩沢政府委員 第一問でありますが、内務省の今管轄している災害復舊工事につきましては、機械力あるいはまたその人的資源につきましては、十分だと思います。しかしながら先ほど申し上げましたような、利根川決壊口は、ただ内務省の人的あるいはその機械力に依存すれば、おのずから時日が多少延長するというような關係から、この際は一日も一刻も爭うという意味から、やはり民間の御協力をもつて時日の短縮に專念しているような状態で、從つて今後においても、ただ内務省災害復舊は常に直轄工事でやるという意思は毛頭ありません。また平時の工事におきましても、すでに二年前から直營と請負と二本建で内務省の方はやつておりますから、その方針は、災害復舊におきましてもやはり準用していきたいと考えております。また第四問の勞務の關係につきましては、比較的災害地におきましては災害者が非常な熱意を示されまして一日も早く自分の災害箇所を復舊してもらいたい。そのためにはわれわれは不眠不休でも應援するというような、非常に御熱心な、また非常に涙ある申出がありますので、できるだけ災害地における被害者の御援助を得ていつておりますから、今のところでは勞務についてはあまり不足を感じておりません。
  35. 大森玉木

    大森委員 水害の原因は戰時中たくさんの伐採をなした結果であるというようなことも考えられるのでありますが、さらに今度各地に開懇事業が行われておる。この開懇事業がやはり山を伐採してやつておりまするが、これは農林省と内務省との關係は、何か打合せ等ができてやつているのでありましようか。將來においてただいま起つたような問題が起りはしないかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。さらに先ほど御質問にお答えをいたされた農林省の方の説明によりますと、今後山林は國家管理がよろしいというような御答辯であつたのであります。それはどういう點がよろしいのでありましようか。私どもただ苗を植えるという點において國家管理にしたらどうかというような御意見のように承つておりましたが、將來山林を國家管理にすることはどういう點がよろしいのでありまするか、これもひとつつておきたいと思います。これは大問題であるからお聽かせを願いたい。
  36. 池田大助

    ○池田説明員 先ほど私のお答えいたしましたうちに、山林を國家管理にやる方がよいというようにお聽取りをいただくような言葉であつたといたしますと、これは全然取消しいたします。説明の不備でございますからこのように御了承をいただきたいと思います。私の申し上げますのは、これは造林の促進ということを中心として何らか強力な手を打つ必要なはいかというふうにお聽きいたしましたので申し上げたのでございますが、國家管理にいたすというふうにお聽取りいただいたとすれば、私の申し上げた點を全然取消しますから、よろしくお願いいたします。
  37. 岩沢忠恭

    岩沢政府委員 ただいま開拓地の選擇につきましては、農林省と内務省とに事前に連絡があつたかというような御質問のようにとつたのであります。大體農林省の大きな開拓地につきましては、やはり灌漑の關係があります關係上、多少農林省の開拓豫定地といいますか、そういうものについては、事前に一應了承しておりますけれども、何しろ百五十五萬町歩という大きな目標のもとに農林省の方でおやりになつておりますから、各府縣の小さい開拓地の選擇につきましては、私どもはまだ相談にはあずかつておりません。しかしながら現在のような、多少でも開拓地が水害の一因をなしているというような聲が相當あるのに鑑みまして、今後におきましては、やはり内務省としては下流治水の完璧を期するためには、農林省の開拓地の選擇については、相當の關心をもつてできるだけ連絡をとりたいと考えております。
  38. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 ただいま内務省から御説明がございましたが、開拓の關係は林野局と開拓局の關係もございますので、一言附け加えさせていただきたいと思います。開拓が國家事業として推進されなければならぬことは當然でありますので、林野局といたしましても十分連絡をとつてつております。ただ開拓當初におきまして、開拓豫定地が早々の際にきめられたような事情もございますので、その豫定地が治水關係その他の觀點から申しまして、完全なる調査が行われているかどうかという點について、多少問題の點があると存じます。從いましてここ二、三箇月前から、その點についても具體的な檢討をいたしておりますので、その上に開拓局とも十分連絡をとりまして措置を講じてまいりたい。こういうことでせつかく連絡して研究中のところでございます。
  39. 大森玉木

    大森委員 もう一應お尋ねいたしたいと思います。私は石川縣でありますが、地方において開拓事業が行われております。これが五十町歩以上というので、その附近は何らお構いなしに五十町歩を計畫、立木だけは伐つてしまつて、大體二組か三組かはいつてそのままになつているという状態であります。この點を見ますと開拓は大體何割殘るのか。十のものがあるいは二殘るか三殘るかというふうに現在私どもは考えている。そこで開拓によつて食糧増産を考えられるということよりも、むしろ根本的に既成田を保護する。今日起きましたような水害等に對しましても、完全な防禦をして水害をこうむらないようにする。灌漑用水を完備し、また砂防工事を完備し、河川の改修を完全にいたしまして、既成田を保護するということによつて、完全に二割は増産ができるという考えを私はもつております。そこで現在行うております開拓事業というものは、私どもはまつたく信じられない。そうしてどこでもかまわないというふうに計畫を立ててやつておられるのでありますから、第二に來るべきものはやはり水害である。こういうふうに考えられる點もたくさんあるのでありますから、大體さきの説明でわかりましたが、この點をよく御考慮おきを願つて、食糧増産に對しましては、もう少し根本的の考え方を立てていただきたい。今からはげ山を起し、また山林を伐採して耕しておりましても、今年の間には合いません。來年の間には合いません。こういうものをやるよりも、現在あるところの既成田を保護するということが一番大事なことであるということを、私ども農業關係に携つておる者、また農村に生れた者として御參考に申し上げておきたいと思います。
  40. 松澤一

    ○松澤(一)委員 この際いろいろの御議論が出ますので、私もちよつとお伺いしておきたいことは、農林省の開拓局が、建設院なり建設省に合流することに非常に反對だという意見を聞いておりますが、この際前非を悔いて建設省一本にこれがまとまつて、日本の國土計畫を總合的にやる意思があるかどうか、この際私はむしろお若い局長級の方たちから、ひとつつておきたいと思うのであります。山梨縣のこんどの水害は、早川という川は非常に奥地に原始林をもつ川でありましたが、これには被害が少しもありません。ところが、二十時間は約三、四百ミリという大雨量であつたために、奥地林の腐つた木がたくさん川に流れ出して來て、その木が各橋梁を破壊していつた。山梨縣では橋梁の破壊されたところ數十箇所、現に今も中央線、身延線の復舊は、前途見込みがほとんどついておりません。このことを考えるときに、奥地林には林道がなくて、奥地林は伐ることができなかつた。私幾度も言うようだが、飛行機で飛ぶと太平洋から日本海までわずか二十分か三十分で飛び抜いてしまうというような狭い國でありながら、奥地林には林道がないために、その手が届かなかつた。近接林が片ツ端から伐採されていつた。農林省は農林省で、炭を出せ、薪木を出せ、林木を出せ、片方は治山治水だ、堤防を築け。こういうことは日本將來の再建のために、今日の日本の官吏がまつたく胸に手をあてて私は考うべきだと思う。それを今いうなわ張り爭いのために、あるいは自分らの地位保存のために、國家の大計を誤るがごときことは、今日の東京都附近の慘状だけを見ても、あんたたちは萬死に値すると私は思つている。今日私は餘分のことを言うのじやないが、前委員のおつしやるように、角をためて牛を殺すような議論を申し上げるのではありません。私は開拓必要であります。私は食糧中心の理論をもつておりまして、まだ日本には山が多すぎると思つている。もつと開拓して、もつと食糧増産中心に山を利用しなければならぬが、ただこの山が完全に國土保安上緑化されて、そうして常に計畫的なことによつてこれが伐り出されたり、砂防工事が完備したり、奥地林道が發達したりして、そうして公平に山が保護されるときには、二十時間五百ミリの雨が降つてもこれを防ぎ得ると思うのであります。そういう意味で、どうかこの機會に私は開拓局の方たちに申上げたいことは、開拓局が建設省に入つたからとて開拓が終るのではありません。今言う通り、日本には山が多すぎる。世界の農業國でこんな山をもつた農業國はありません。なお將來の日本の食糧問題からいつても、私はこんな廣い山をただ木だけおくわけにいきません。從つてそれはその經營がよろしきさえ得ればいいのでありまして、日本の再建の將來のためには、一切を捨てて總合的計畫にはいる仕組みを講ずべきときだと思うのでありまして、この機會に若き局長級の人たちにお願い申し上げたいことは、東京附近の水害を見ても、なるほど國の官廰というものは、總合的に、そうして計畫的に仕事をすることが一番よいことだということを、どうか感じていただきたいと思うのであります。一つ開拓局の若き人の意見を承つておきたいと思います。
  41. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 實は私ども開拓局の者ではありませんので、私がお答え申し上げるのはどうかと思いますので、ただいまの御意見のことは十分開拓局にお傳いいたしたいと思います。また東京災害につきましての官廰の心構えというような點についての御意見も、私どもごもつともだと存じます。そういう點につきましては、この上とも十分に注意を拂つて、こうしたことを繰返さないようにやつてまいりたいと思います。
  42. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 先ほど來國土局長から關東水害中心の御説明をいただいたわけでありまするが、聞くところによりますると、東北方面におきましても、再度相當の水害を受けたというように聞いておりますが、今囘の第二次の東北方面におきまする水害状況を、概略御説明願いたいと思います。
  43. 岩沢忠恭

    岩沢政府委員 第二次の東北方面水害につきましては、先ほどお配りいたしました表でごらんになります通りに、第一次はすでに御承知の通りであります。これが今度追加されたものでありまして、まだ詳しいことは縣から連絡がありませんから、この席で具體的に申し上げることはできないことを非常に遺憾に存じております。ただ概報として損害額はただいまはいつております。それを今一應表にしてお配りしたのであります。この表でごらんになりまする通りに、ある縣におきましては八月の水害以上の水害が起つておるというように私は想定しておるのでありますから、從つて今後の復舊工事というようなものについての、先ほどから決定いたしております融資の問題を、もう一度考え直さなければならぬようなことも起つてくるのではないかと考えております。
  44. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 ほかに御質問ございませんか。  本日の委員會はこのくらいにいたしまして、次の委員會の日時は公報をもつて御通知申し上げます。本日は、これをもつて散會いたします。     午後零時十七分散會