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1947-12-08 第1回国会 衆議院 鉱工業委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十二月八日(月曜日)     午後二時十分開議  出席委員    委員長 伊藤卯四郎君    理事 大矢 省三君 理事 松本 七郎君    理事生悦住貞太郎君 理事 早川  崇君       今澄  勇君    衞藤  速君       菊川 忠雄君    村尾 薩男君       生越 三郎君    西田 隆男君       長谷川俊一君    三好 竹勇君       神田  博君    深津玉一郎君       谷口 武雄君    前田 正男君       高倉 定助君  出席政府委員         商工政務次官  冨吉 榮二君  委員外出席者         議     員 海野 三朗君         商工事務官   齋藤 正年君         専門調査員   谷崎  明君         専門調査員   保科 治朗君     ――――――――――――― 十二月二日  釜石製鐵所銑鋼一貫事業再開促進請願志賀  健次郎君外七名紹介)(第一二六五號)  關東信越地方野鍛冶業者燃料増配請願(  押川定秋紹介)(第一二九四號) 十二月五日  日本製鐵輪西製鐵所熔鑛爐火入促進請願  (山中日露史君外三名紹介)(第一三五八號) の審査を本委員會に付託された。 十二月四日  亞炭増産に關する陳情書  (第六八四號) を本委員會に送付された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  請願  一 赤澤炭鑛における亞炭採堀中止請願(中    野寅吉紹介)(第二四二號)  二 全國の伸鐵業者鋼材及び石炭當増加の    請願岡田勢一君外一名紹介)(第四二三    號)  三 赤澤炭鑛における亞炭採堀中止請願(關    内正一君外一名紹介)(第五八七號)  四 亞炭増産に關する請願圖司安正君外二名    紹介)(第七四〇號)  五 長野縣纎維檢査所設置請願小林運美    君紹介)(第七七九號)  六 配炭公團法の一部改正に關する請願今澄    勇君紹介)(第八五七號)  七 新庄町に國立亞炭研究所設置請願圖司    安正君外一名紹介)(第八七六號)  八 窯爐研究指導費國庫補助請願海野三朗    君紹介)(第九一四號)  九 釜石製鐵所銑鋼一貫作業再開促進請願(    鈴木善幸君外七名紹介)(第九三八號) 一〇 新庄町に國立亞炭研究所設置請願圖司    安正君外三名紹介)(第一〇三〇號) 一一 東北地方鐵鋼業振興に關する請願海野三    朗君紹介)(第一〇四〇號) 一二 北海道における家庭用石炭確保請願(三    好竹勇君外二名紹介)(第一一七號) 一三 北海道における家庭用石炭價格補給請願    (三好竹勇君外二名紹介)(第一一一八    號) 一四 繊纎産業從業員報奬物資配給請願(原    孝吉君紹介)(第一一五四號) 一五 釜石製鐵所鐵鋼一貫事業再開促進請願)    小澤佐重喜君外七名紹介)(第一二四五    號) 一六 同(志賀健次郎紹介)(第一二四七號) 一七 同(志賀健次郎君外七名紹介)(第一二六    五號) 一八 關東信越地方野鍛冶業者燃料増配の請    願(押川定秋紹介)(第一二九四號) 一九 日本製鐵輪西製鐵所熔鑛爐火入促進の    請願山中日露史君外三名紹介)(第一三    五八號)   陳情書  一 金屬鑛業再建復興對策に關する陳情書    (第二四號)  二 石炭生産確保に關する陳情書    (第四八號)  三 賠償實施公團設立に關する陳情書    (第一三七號)  四 炭鑛國家管理反對の陳情書外一件    (第一八七號)  五 炭鑛國家管理に關する陳情書    (第二五七    號)  六 纎維生産に關する陳情書    (第三二二號)  七 炭鑛國家管理實施に關する陳情書    (第    三五〇號)  八 石炭生産損失補償金支拂促進の陳情書    (第三五八號)  九 金屬鑛山事業に對し經濟力集中排除法適用    除外に關する陳情書    (第    37二號) 一〇 炭鑛業社會化に關する陳情書    (第三七九    號) 一一 日立鑛山水害復舊特別融資に關する陳情書    (第四六九號) 一二 關東信越地區鑛山水害舊對策に關する陳情    書(    第四七一號) 一三 金屬鑛業復興對策に關する陳情書    (第四七七號) 一四 農林水用石油販賣に關する陳情書    (第    五二五號) 一五 炭鑛國家管理方式に關する陳情    (第五七四號) 一六 硫化鑛山資材勞働資金に關する陳情書    (第五九三號) 一七 亞炭増産に關する陳情書    (第六八四號)  纎維工業化學肥料工業及び鐵鋼業に關する件     ―――――――――――――
  2. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これより會議を開きます。  本日をもつて、今會期における本委員會の議事を全部終了いたしたいと存じますので、請願及び陳情書全部の審査を終了するとともに、今會期に實施いたしました纎維工業化學肥料工業及び鐵鋼業に關する國政調査の結論をまとめたいと思います。委員各位におかれましては、本委員會の權威のためにも、最後まで御精勵のほどを願つておきます。  それでは、先ず請願より審査いたします。請願審査方法は、從前通り、紹介議員より説明を聽取し、政府所見を質した後、質疑を行うことといたしまして、その可否は、全部を一括して決することにいたしたいと思いますが、これに御異議はありませんか。
  3. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めまして、そのように取扱うことと決してます。なお紹介議員等の御都合によりまして、日程の順序を變更いしたますから、あらかじめ御了承を願つておきます。     —————————————
  4. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 日程第八、窯爐研究指導費國庫補助請願議題といたします。紹介説明を求めます。海野三朗君。
  5. 海野三朗

    海野三朗君 本邦の工業、特に中小工業における窯爐は、概してその設計竝びに燃料處理方法につきましては、ほとんど明治以來の舊態を持續し、これが改良進歩は、すこぶる遲々たるものがあり、また熱經濟に對するそれらの從業員智識も、はなはだ乏しく、いたずらに燃料を浪費し、さらに爐材竝びに保温に關する智識にも缺けるところ多く、誠に寒心にたえないところでございます。殊に近時燃料供給難とともに、その製品に必要な温度に對し不十分な點が多く、從いまして、製品に遺憾の點が夥しく、なお工場設備惡いために、見返品等大量生産に應ずることができず、一方燃料品質低下によりまして、低質炭及び電熱利用を考慮しなければならない状況でございます。從いまして、この際、できるだけ少量の燃料及び低カロリー炭或は電熱もつて適切な窯爐及び燃燒餘熱装置竝びにその操作方法を急速に研究實施することが、是非必要であるのでございます。さき文部省竝びに日本學術振興會におきまして、この目的のために窯爐竝びに爐材委員會が設けられ、委員として權威者三十二名竝びに多數の研究囑託が無報酬で努力いたしてまいりましたが、經費三萬四千圓にすぎず、十分にその目的を逹することができず、貧困な燃料資源の現在及び將來を考えるとき、窯爐の能率を高め、燃料節約製品の良好、竝びに經濟的生産を目指す意味におきまして研究に精進するとともに、あまねく中小工業者熱管理その他、工場の實際を指導いたしまして、わが國工業再建に特に力を傾注しなければならないことを確信し、ここに右に關しまする經費五十萬圓を支出されるよう望む次第でございます。
  6. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 本請願に對する政府の御所見を質します。富吉政府委員
  7. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 お答えいたします。最近の燃料不足は、早急に解決する見込はなく、商工省といたしましては、石炭廳燃料研究所及び化學局等關係部門燃燒指導による燃料節約竝びに亞炭又代用燃料利用をはかつておりまして、さらに窯爐の構造自體の再檢討は、燃料節約の見地から、きわめて重要なことと考えておる次第でございます。しかしながら、國家餘算が極端に膨脹している今日、商工省といたしましては、一般工業化研究には補助金を交付せず、研究の結果その利益を受ける者より研究費を支出していただくことにしております。なお、工業化研究重要性に鑑みまして、民間研究機關研究補助につきましては、目下對策を考慮中でございます。文部省におきましては、基礎研究に關する補助金として、學術振興會補助金のほかに自然科學研究費がありますので、參考までに申添えておきます。何とぞ、以上のような次第でありまするから、御了承をお願いいたしたいと思います。     —————————————
  8. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に移ります。日程第一一、東北地方鐵鋼業振興に關する請題を議題といしたます。紹介説明を求めます。海野三朗君。
  9. 海野三朗

    海野三朗君 終戰後國内鐵鋼生産は、政府のいわゆる超重點施策にもかかわらず、幾多の困難な條件に制約せられて、生産の伸張が思うようにはかどらず、日本再建途上の重大な障害となつておるのでありますが、政府從來の頭を切り替え、東北地方鐵鋼工業に對して、特段の重點を置いた生産計畫を實施しますれば、困難な一般的條件のもとにおきましても、なおかつ全體として増産に寄與することができると思う次第でございます。  すなわち周知のごとく、東北地方は、鐵鋼生産に要する原料、動力等各種資源を豐富に擁し、鐵鋼工場としての立地條件の優位なことは、他の地方においても比肩すべきものがございません。現在では、これら資源は、ほとんど全部、遠く他の既成工業地帶に搬送して、その利用に委ねられているのでありますが、これを地元の十二分に設備と技術とを備えた鐵鋼工場に投入して製品化しますれば、極度に窮屈は今日の海陸輸送を節減し、莫大な送電ロスを防遇することができまして、それだけ國全體の鐵鋼増産を可能になるのでございます。ひるがえつて考えますのに、敗戰日本復興再建が地域的には、東北産業就中工業の急速な振興發展にまたなければならないことは、今日多言を要しないのでありますが、殊に、鐵鋼業はあらゆる産業振興展開せしめる基盤でありまして、東北振興という國策的課題よりましても、東北鐵鋼業振興増産は、實に刻下の急務であると信ずるのでございます。  東北地方製鐵製鋼工場四十社は、このような信念に基きまして、當局が、日本製鐵釜石製鐵所鐵鋼一貫作業再開東北地方工場電氣製鐵電氣製鋼壓延鋼材鑄鋼及び鍛鋼増産實現するために、適切な措置を講ぜられんことを請願する次第でございます。
  10. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 お答えいたします。東北地方の大規模の製鐵工場にとりましては、相當問題がありまして、必ずしも立地條件は良好ではございません。すなわち、製銑製鋼に最も重要で、目下最も給供不足であります粘結炭發生爐炭が、東北地方には絶無でございます。從いまして、右石炭輸入國内増産等により、石炭事情緩和をまつほかはないのであります。  次に、常磐炭鑛及び豐水電力に關する立地條件は良好でありまして、電氣銑フエロアロイ特殊鋼鑄鍛鋼につきましては、振興可能性があるのでありますが、電氣銑フエロアロイについては、現下のところ、燃料、副資材關係上生産總量が低く、これがため東北地方にはできるだけ重點を置いております。特殊鋼鑄鍛鋼についても、燃料、副資材關係上總生産が少く、從いまして、需要も重要部門に限られており、この重要部門との連繋いかんが、この産業振興をはかるものでございます。
  11. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 日程第一は、既に八月二十六日に審査をいたしておりますから、これは後刻他の請願と一括して、その可否を決することといたしまして、日程第二、全國の伸鐵業者鋼材及び石炭當増加請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  12. 生越三郎

    生越委員 紹介議員が出席されおりませんから、代つて説明いたします。本請願要旨は、伸鐵事業特異性竝びにその利用價値については(一)スクラツプの利用活用により鋼材増産ができる(二)生産に當り燃料、副資材が僅少なこと(三)特に市場に緊迫している小型條鋼生産の重點があること(四)材料の點は心配がないこと等の理由により伸鐵最高度利用のため、全國伸鐵業者に對して鋼材生産年額十二萬トン石炭供給額萬トンを割當てられたいというのであります。
  13. 齋藤正年

    齋藤説明員 お答えいたします。割當額につきましては、今度の物資割當計畫により決定いたすものでございまして今ここで、明言することはできませんが、今後は増配するよう努力いたしたいと考えているわけであります。     —————————————
  14. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に移ります。日程第三、赤澤炭鑛における亞炭採掘中止請願は、日程第一と同じ趣旨でありますので、審査を省略し、後刻その可否を決したいと思いますが、御異議ありませんか。
  15. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議ないようでありますから、そのように取扱います。     —————————————
  16. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に移ります。日程第四、亞炭増産に關する請願議題といたします。紹介説明を求めます。
  17. 生越三郎

    生越委員 紹介議員が出席されておりませんから、代つて説明いたします。本請願要旨は、山形縣下亞炭は、埋藏量約三億トン、年産約三十萬トンで、品質は五千カロリー内外が多く、一般家庭用工業用鐵道用として重要なものでありましたが、亞炭配炭公團が設けられた結果、本縣の亞炭生産業者は壞減せんとしているのでありまして、ついては、(一)物價廳告示第四〇二號の取扱いを本縣産亞炭品位C級に改め、(二)責任生産制を實施し、超過生産に對し自主運營を認め(三)生産量の二分の一を縣内工業用竝びに煖厨房用に充當させ、需給統制の權限を地方廳に委任する(四)雪害期間の小運送料金公定料金の一〇〇%加算の認可(五)亞炭生産に必要物資配給増加勞務加配米石炭同樣に取扱う(六)亞炭鑛山に對し、設備運轉資金融資竝びに越冬資金のの支給をされたいといふのであります。
  18. 齋藤正年

    齋藤説明員 山形縣下亞炭はきわめて優秀でありますので、政府といたしましても、その増産に大いに努力し援助をいたしたいと考えております。山形縣下亞炭生産者價格は、現在A級すなわち一級炭五百二十圓となつておりますが、各地の代表的炭鑛生産費を基準として定めたわけでありまして、當然積雪地方事情も考慮したわけでありますが、請願の御趣旨については、物價廰とも協議いたしたいと存じます。なお現在のところ、全亞炭山について責任生産額科學的客觀的に算定することは困難であります。次に、現下燃料事情においては、超過生産分自由處分ということは適當と考えられますので、責任生産制については、現在のところ、政府といたしましては、なお研究を要すると考えおる次第でございます。     —————————————
  19. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に移ります。日程第五、長野縣纎維檢査所設置請願議題といたします。紹介説明を求めます。
  20. 生越三郎

    生越委員 紹介議員が出席されておりませんから、代つて説明いたします。本請願要旨は、纎維製品の檢査が近く國營に移管されると聞いておりますが、長野縣は全國第一の蠶絲縣であるばかりでなく、綿裁培緬羊飼育、雜纎維の開發等資源を有する一面、纎維工業の各工場が散在し、全國有數の纎維主産縣であるのであります。しかるに本縣が他府縣檢査所管内に編入されることになれば、纎維業者の犠牲は多大であり、延いては輸出事務の停滞、配給の不圓滑生産低下等を來すこととなるのでありますから、本縣に纎維檢査本所設置されたいというのであります。
  21. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 お答えいたします。ただいまの請願の御趣旨はごもつともでございますが、速やかにこれを設置いたすことはきわめて困難でございますが、極力設置に努力するつもりでございます。さよう御了承を願いたいと思います。     —————————————
  22. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に移ります。日程第六、配給公團法の一部改正に關する請願は、十一月二十八日に審査をいたしまして、その可否のみが未決定なつておりますので、後刻他の請願と一括して決することといたしますが、御異議ありませんか。
  23. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議ないようでありますから、そのように取扱います。     —————————————
  24. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に移ります。日程第七及び日程第一〇は、同趣旨請願でありますので、一括議題といたします。新庄町に國立亞炭研究所設置請願議題といたします。紹介説明を求めます。
  25. 生越三郎

    生越委員 紹介議員が出席されておりませんから、代つて説明いたします。本請願要旨は、亞炭山形縣木友炭鑛が唯一の重要炭鑛であり、木友炭鑛中心とする最上北村山炭田は埋藏量三億トンといわれ。しかも古くから加工方面調査研究を重ね、その設備も完備しているばかりでなく、交通も至便であり、近代産業都市としての立地條件申分ないのでありますから、この際山形縣新庄町に國立亞炭研究所設置されたいというのであります。
  26. 齋藤正年

    齋藤説明員 お答えいたします。資源の乏しいわが國におきましては、新しい資源を今後極力開發いたさねばならないのでありますが、亞炭未開發資源中の最たるものでありまして、政府といたしましても、この亞炭を大いに開發いたしまして、燃料事情緩和をはかり速やかに經濟の安定をはかりたいと考えてをります。ところが、この亞炭採掘及びその利用につきましては、まだまだ多分に研究の餘地があり、かつ一般認識もきわめて低いと申さねばなりません。そこで政府といたしましても、組織的科學的に亞炭採掘から加工乾溜、さらにその燃燒に至るまで、亞炭に最も適しますところの方策を研究する必要をつとに痛感いたしておるわけであります。  現在も亞炭に關する國立研究所設置方につきまして、關係方面と鋭意折衝中でありますが、その設置については、未だ確定はいたしませんが、もし設置します場合は、東北方面適當ではないかと、ただいまのところ考えている次第でございます。今後關係方面各位の御協力をいただきまして、是非とも國立亞炭研究所設立實現いたしたいと思つている次第でございます。     —————————————
  27. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に移ります。日程第九、第一五、第一六及び第一七は同趣旨請願でありますから、一括議題といたします。釜石製鐵所銑鋼一貫事業再開促進請願紹介説明を求めます。
  28. 生越三郎

    生越委員 紹介議員が出席されておりませんから、代つて説明いたします。本請願要旨は、釜石製鐵所は戰禍の中より起ち上つて銑鐵年間萬トン中心とする銑鋼一貫作業設備を完成いたしましたが、現在配炭未定のため、放出輸入重油による一部製鋼壓延作業を除いて復舊成つた熔鑛爐にまだ火は點ぜられておりません。ついては、産業基礎材たる鐵鋼重要性に鑑み、優先的に釜石製鐵所銑鋼一貫作業再開促進に適切なる措置を講ぜらたいというのであります。
  29. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 お答えいたします。現下燃料事情、特に粘結炭供給状況から見まして、釜石製鐵所熔鑛爐火入は、とうてい見込みはないのでございますが、目下粘結炭輸入についてG・H・Qに懇請中でありまして、石炭輸入實現を見まして、石炭事情緩和いたしました際には、右製鐵所熔鑛爐稼働について、愼重に考慮することといたします。さよう御了承を願いたいと思います。     —————————————
  30. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 日程第一二、北海道における家庭用石炭確保請願議題といたします。紹介説明を求めます。
  31. 三好竹勇

    三好委員 本請願要旨は、寒氣と風雪に半歳を生き抜かねばならぬ北海道越冬生活にとつては、家庭用石炭確保こそ道民の死命を制する問題であるが、その配炭状況は、九月末において一世帶僅かに三分三厘にすぎないのでありまして、これでは道民越冬生活は、暗澹たるものがあるのであります。ついては、かねて要望する數量の石炭を速やかに配炭されたいというのであります。
  32. 齋藤正年

    齋藤説明員 お答えいたします。本請願の御趣旨はごもつともでございますので、關係各省とも連絡いたし、極力御趣旨にそうように努力いたしたいと考えております。
  33. 三好竹勇

    三好委員 現在の石炭は質が非常に惡く、北海道においては、寒い所では零下二十一度になる時もあるのでありまして、平均一ケ月に3トン五分は焚くのであります。現在では二トン三分すら割ることがあるのでありますが、その量を割りますと、道民は凍死しなければならないのでありまして、どうしてもこの二トン三分の線を確保せられんことを特に要望いたしておきます。     —————————————
  34. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に移ります。日程一三北海道における家庭用石炭價格補給請願議題といたします。紹介説明を求めます。
  35. 三好竹勇

    三好委員 本請願要旨は、北海道民越冬生活石炭不可缺のものであることは言を要しない所でございますが、さき石炭一般消費價格トン當り千二百八圓に改訂されたことは、道民經濟上に大なる脅威を與えることになり、遂にはその受配が不能の段階に立ち至るのでありまして北海道家庭用一般消費者價格を六百圓に止まるように國庫補給の途を講ぜられたいというのであります。
  36. 齋藤正年

    齋藤説明員 お答えいたします。北海道における石炭價格についての御趣旨は、よくわかるのでございますが、官吏におきましては、世帶主に三千圓、その他の者につきましては一千圓の煖房手當支給いすたこととになつておるのでございますが、一般の方には、國家財政都合上、補給は不可能ではないかと考えられる次第でございます。御了承願います。
  37. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に移ります。日程第一四、纎維産業從業員報奬物資配給請願議題といたします。紹介説明を求めます。
  38. 生越三郎

    生越委員 紹介議員が出席しておりませんので、代つて説明いたします。本請願要旨は、日本再建纎維産業の興隆に待つ所が大であります。しかして日夜全力をおげて生産精勵しているこれら從業員に對して、何ら報奬の途を講じないのはまことに遺憾であるのであります。ついては、纎維産業從業員報奬物資配給をされたいというのであります。
  39. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 お答えいたします。從來纎維産業勞務者に對します報償措置に關しては、昨年の原綿輸入以來纎維産業の急速な復元とともに、昨年十月纎維産業生産促進に關する閣議決定の結果、大體次のごとき措置がとられたのでございますが、本年の經濟緊急對策の一環といたしまして、纎維産業の最重點取扱いとともに、これに附隨する勞務問題についても、種種の對策が講ぜられ、着々その效果をあげている實情にあるのでありまして、なおさらに強力に纎維産業復元を推進すべく、第二次生産促進對策がとられようとしているのであります。政府においては、從來ともに種々の對策を講じつつ勞務者の募集及び移動の防止とともに、日本經濟再建の中樞産業たる纎維産業増産復元をはかりつつあるのでございますが、何分にも纎維勞務者の數が多大であることと、石炭等に比してまだ全般的な認識が徹底していないきらいがあるので、今後極力各方面に呼びかけ推進するつもりでございます。さよう御了承を願います。     —————————————
  40. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に移ります。日程第一八、關東信越地方野鍛冶業者燃料増配請願議題といたします。紹介説明を求めます。
  41. 生越三郎

    生越委員 紹介議員が出席されおりませんから、代つて説明をいたします。本請願要旨は、日本の農業が狹い耕地で集約的に行われている關係上農具は主として鍬・鎌等鍛造小農具主要部分を占めているため、これの製作又は修理に當る野鍛冶業者の地位は、まことに重大でありますが、これら農具大量生産が望めない今日、これら業者まつ所は大きいのであります。然るに業者の生命である燃料としてのコークス等の入手が困難のために、今や作業中止のやむなきに至つているのでありまして、これら關東・信越地方の該業者燃料を増配されたいというのであります。
  42. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 お答えいたします。野鍛冶業者は、農機具の特殊生産修理業者として、農業經營上特殊の地位を占めておるのでありまして、その長所を活用することについては、商工省といたしましても、從來留意してきた次第でありますが、これに對する最近の資材配當量は、農機具資材の總わくがきわめて僅少でありましたため、少量に止まりましたことは、遺憾でございますが、過般主要食糧確保對策の一環といたしまして、昭和二十三年におきましては、鍬百二十萬挺、鍬先掛修理六百萬挺等の新造修理計畫の決定を見たのでございますが、これに要するコークスは、年間鍬新造用コークス所要量は三千六百トン、鍬先掛修理用コークスは所要量五千四百トンでありまして、この計畫の實施に當つては、その性質上特に野鍛冶業者に活用することにいたしまして、地方農家の需要の實情に對應して行く豫定でございますが、これら野鍛冶業者に向けて配當せられるコークスも、九千トンの内の相當量が引當てられると思うのでございます。しかして、その現物化につきしても、商工省といたしましては、特に適當措置を講ずる要がありますので、目下經濟安定本部等と折衝中でございます。さよう御了承を願います。     —————————————
  43. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に移ります。日程第一九、日本製鐵輪西製鐵所熔鑛爐火入促進請願議題といたします。紹介説明を求めます。
  44. 三好竹勇

    三好委員 紹介議員が出席されておりませんので、代つて説明いたします。本請願要旨は、輪西製鐵所は、石炭・鑛石等原料賦存地にありまして、且つ優秀な設備を有する北海道唯一の製鐵所で、その増産は炭鑛その他日本産業の復興に重要な役割を務めるものでありますが、本年三月から小型熔鑛爐一基に火入れをして百パーセントの能率を上げているのでありまして、この大型熔鑛爐と同様の能率を發揮する小型熔鑛爐をさらに一基活動させて鐵鋼その他の増産をされたいというのであります。
  45. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 お答えいたします。輪西製鐵所は、二百二十五萬トンの鑛爐が一基稼働中でありまして、それは非常に優秀でありますが、現在鐵鋼業は銑鐵の増産が必要であり、殊に來年度の飛躍的増産のために、さらに稼働中の鑛爐を數基増加することが必要でありまして、現在待機中となつているのは、輪西のほかに日鐵八幡、釜石、日本鋼管、川崎、計四基があり、この新鑛爐の稼働に必要なのは、原料炭でありまして、今年度稼働することは不可能でございますが、たとえ來年度に國内炭が増加いたしましても、國内炭のみではとうていその必要量と質は充足しがたいのであります。從いまして、米國炭或は北樺太炭の輸入が是非必要でございまして、この輸入實現いたしました場合、どの鑛爐を動かすかにつきましては、米國炭の場合と、北樺太炭の場合とで、おのずから異なるのでございまして、またその數量によつても變つてまいるのでございますが、鐵鋼増産の見地から、工場の立地その他計畫、企業の再建整備等各種の要素につきまして研究いたしまして、適當なる考慮をいたしたいと思つている次第でございます。
  46. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これにて請願全部について紹介説明及び政府所見竝びに質疑は終了いたしました。請願可否は決する前に、暫時休憩して懇談いたします。     午後三時一分休憩     —————————————     午後三時十分開議
  47. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 休憩前に引續き會議を開きます。  請願全部すなわち日程第一より第一九までを一括議題とし、その可否を決します。
  48. 生越三郎

    生越委員 日程第六、配炭公團法の一部改正に關する請願は十一月二十八日に法委員會におきまして、内閣提出の配炭公團法の一部を改正する法律案を可決し、本法律案は十二月二日本院におきましても、當委員會議決の通り可決せられておりますから、本法律案に相反する趣旨の本請願はこれを不採擇とし、その他の各請願はいずれもその趣旨は至當と認められまするから、採擇の上、内閣に送付すべきものと議決せられんことを望みます。
  49. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 ただいまの生越君の御意見に御異議はありませんか。
  50. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつて日程第六、配炭公團法の一部改正に關する請願は不採擇とし、その他の各請願はいずれも採擇の上内閣に送付すべきものと決定いたしました。     —————————————
  51. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に陳情書審査いたします。  この際陳情書審査に關してお諮りいたします。今會期に本委員會に送付せれました陳情書は、本日の日程の通り十七件でありますが、本日中にこれらの審査を全部終了いたさねばならぬ状況でありまして、すでに時間もありません。日程第一及び第二はすでに八月二十六日に一應審議いたしておりますから、先ず日程第三より第一七までを一括議題とし、陳情文書表について、それぞれ政府所見を質しました後、日程第一より第一七の陳情書全部について本委員會の態度を決することといたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
  52. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。それでは日程第三より第一七までを一括議題とし、陳情文書表について、各陳情書に對する政府所見を質します。冨吉政府委員
  53. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 日程第三、賠償實施公團設立に關する陳情書について所見を申し述べます。  賠償施設の撤去作業は、わが國に課せられた責務でありまして、これが完全なる履行は、わが國の國際的信用を恢復するためにも絶好の機會でありますから、政府といたしましても、この準備に遺憾なきを期しておるのであります。すなわち作業を的確迅速に行うため、施設の解體基準、梱包の規格等を定めるとともに、經費支出を適正にするため、主要な資材は可能なる限り官給し、また作業費の算定基準も策案中であります。また撤去業者の選定に當つては、官民よりなる協議會に諮問する等、極力公正を期している次第であります。  以上申し述べましたごとく、撤去作業を公正的確に實施するため、諸般の準備をいたしておりますが、これが實施に當りまして、公團を設立するかどうかは、目下愼重に研究中でございます。     —————————————
  54. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 次に日程第四、炭鑛國家管理反對の陳情書ほか一件、日程第五、炭鑛國家管理に關する陳情書日程第七、炭鑛國家管理實施に關する陳情書日程第一〇、炭鑛業社會化に關する陳情書日程第一五、炭鑛國家管理方式に關する陳情書は、すベて今般政府の提出いたしました臨時石炭鑛業管理法案に關するものでありまするから、これらを一括して、政府所見を申し上げることといたします。  臨時石炭鑛業管理法案は、虚心坦懷にごらんを願えば、炭鑛企業の國有ないし國營はもとより、その企業形態についての根本的な變革を加えるものではないことを御了承願えると思うのであります。すなわち企業の所有權、財産權に不當に侵害を與えるようなことは、何ら企圖されておらないのでございます。これはこの法律案が石炭増産という現實の必要性に基ずいて立案された當然の歸結でありまする反面、この要請に應える限りにおいて、國家はその責任において石炭鑛業全般の運營を把握できるような體制を整えなければならないのであります。この意味におきまして、本案においては企業の合併、解散、事業の休廢止等に政府の許可または認可を必要とすることとし、また現場の運營について業務計畫の設定實施等について、行政上の關與の規定をおいているのであります。しかし現在の石炭増産經濟安定についてもつ重要性から見れば、所有者でありまする炭鑛企業が公共の福祉に對してこの程度の制約を受けるということは、決して企業の公正な權利の侵害にならないと考えているのでございます。憲法第二十九條におきましても、財産權の内容は、公共の福祉に適合するように法律でこれを定めるという規定があります。所有者がいたずらにその自由を呼號することなく、所有の責任を負つていただくことは、新憲法下殊に現在のごとき急迫した經濟状態にあつて望ましい心構えであると思うのでございます。  なお、私どもが從來しばしば言明いたしてまいりました通り、今囘の炭鑛の國家管理は、經濟危機打開の手がかりとしての石炭の緊急増産目的とするものでありまして、特定のイデオロギイに基くものではございません。從いまして、全面的な社會化を主張し、重要産業の人民管理を絶對とされる立場から見れば、不滿はあるでありましようが、現在の經濟情勢は、そのような急激な變革を行うことを許さないと思いまするし、またそのような變革のための政治的環境もつくられておらないと思うのであります。政府の企圖するところは、國家管理による増産體制において、併せて進歩的な一線を劃するということでありまして、この意味において民主化の保證に資するところが多いと信じておるのでございます。陳情書のお言葉にあるような勞働者に犠性を強い、産業の民主化社會化に逆行する云々のことは、全く理解に苦しむところであります。政府が法案を提出するに至つた現實の必要性と法案の構成についての現實的な政治經濟的諸條件を十分御考察の上、政府のこの措置に理解ある御支援を望んでやまない次第でございます。  次に國管は増産を阻害し減産を招來するという陳情趣旨に對してお答えいたします。要するに、この點は見解の相違でございまして、議論してもむだであると思いますが、われわれといたしましては、やらぬ場合よりは、やる方が増産になると考えているのでありまして、その根據はおおむね次の通りであります。  まず石炭生産の増大をはかるためには、乏しい資材、資金を他の産業部門及び國民生活の犠牲において石炭鑛業に注ぎこまねばならないのでありまして、そのためには、炭鑛側から出る要求が、果して妥當であるか否かについて、政府として十分檢討する能力をもたなければならないし、また供給した資材、資金が十分活用されていることについて、責任をとつていかなければならない。しかるに現在の政府の體制では、遺憾ながらこの責任を負うだけのことになつていないので、國家管理を行い、炭鑛現場の實情政府みずからが直接に把握し得る體制を整えなくてはならないのでございます。次に石炭増産の要點は、石炭鑛業のように勞働力に依存する程度が大である産業では、いかに勞働者を働かせるかということであります。從來經營協議會の制度によつて、勞働者が企業經營に參加することが認められつつあるが、これを法的に制度化し、かつ賃金その他勞働條件の面だけから問題をとり上げていたのを、生産の面から踏みこむために、生産協議會の制度をおき、ここで十分生産の計畫に參畫させることによつて、勞働者の生産遂行の責任感を強からしめんとするものであります。なお、石炭増産につきましては、本年度三千萬トンの出炭をなし遂げればそれでよいというのではなくて、わが國の經濟を安定せしめるための最低需要量を充すまでは、年々逐次その生産量を増加してゆくということを、考えなくてはならないのでありまして、これがためには、國家として長期にわたる増産計畫を確立して、私企業において採算のとれない新坑開發その他の起業を國みずから強力に推進しなくとはならないのであります。政府は主として、以上のような見地から、國家管理を實施しようとしているのでありまして、もしこれを實施しなかつたら、所要の出炭を確保することは、とうてい困難であると考えておる次第でございます。     —————————————
  55. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 次に日程第六、纎維生産に關する陳情書について政府所見を申し上げます。指定纎維資材配給については、本年九月十日から新配給規則を施行して、資力、信用、經驗ある販賣業者審査の上登録し、原則としてこの登録販賣業者をして指定纎維資材を取扱わしめることと相なつたのでございまして、なお需要者が直接生産業者から買入れる途も開いているのであります。右販賣業者については、登録諮問委員會におきまして、愼重審議を重ねて、これを決定した次第でございます。原料割當は、畫一的に地方商工局に移管する考えはなく、各纎維部門の特殊性を勘案して、中央割當と地方割當を適當に併用してく方針であります。また割當の適正を期するために、業界の實情に通ずる公正な者をもつて割當諮問委員會を組織し、政府案をここに諮すここととし、目下その準備を進めておるのでございます。配給公團制はとらないことにいたしまして、登録商制を實施することは、前述いたしました通りでございます。民間産業團體については、纎維のみならず、一般にこれに對する政府の方針が未定でありまするが、これが決定いたしました上は、纎維業界も、これに添つて民間團體を活用し、業界の復興發展をはかりたいと考えております。纎維工業は最重要の平和産業ないし貿易産業として、その生産増強には、石炭鐵鋼等の重點産業と相竝んで特に努力をしているのでございます。すなわち原料としては綿花、羊毛、麻、パルプ等の輸入促進し、副資材の入手確保生産設備復元、すなわち綿紡、化學纎維、梳毛、紡毛、漁網、メリヤス等でありますが、その促進と計畫生産の遂行の三點に力を注いでいるのであります。  以上申し上げました諸點の方策を綜合的に實施することによりまして、生産減退を防止いたしたいと思つております。     —————————————
  56. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 次に日程第八、石炭生産損失補償金支拂促進の陳情書について所見を申し上げます。石炭生産者損失補償金の支拂に至りますまでには、關係書類の提出、査定要領の作製、補償金計算表の作製、支拂豫算についての大藏省との折衝等、諸種の事務的處理の問題がありまして、早急には支拂の運びに至りかねるものがありますので、その間のつなぎ資金として、赤字金融と一部の概算支拂とをもつてしてまいつている次第でございます。なお各期別の補償金支拂に關する經過竝びに今後の支拂見込について申し述べます。二十一年四月より十月までの補償金の支拂については、昨年末石炭廳より補償申請書の提出方を各炭鑛業者へ指令するとともに、物價廳と査定要領の作成に取りかかりましたが、査定要領についてG・H・Qの許可のあつたのが三月末でありまして、一應査定要領は決定いたしたのでございますが、その内容について大藏省に事前打合せのなかつたため、大藏省より査定要領の一部に對し異議の申立があり、なかなか交渉がまとまらなかつたために、とりあえず書類の完備した大手筋炭鑛へ申請額の二分の一(五億三千百萬圓)の概算拂をした次第であります。それ以降引續き大藏事務當局と査定要領について交渉を重ねるとともに、金額に對しましても、石炭廳と主計局間に、幾囘となく交渉を重ね、石炭廳といたしましては、少くとも赤字金融額十三億の線を割ることは、石炭増産政策上斷じて承服できない旨を強調し、再三申入れ交渉を重ねましたが、遂に妥結に至らず、石炭廳としては、不本意ながら、退くよりほかはなかつた次第でございます。この間、事務的には大藏省案により作業を開始し、九月末には中小炭鑛分六千三百萬圓を支拂い、殘額精算につき連日の強行作業をいたし、書類完備の炭鑛分については、十月十五日に作業を大體完了し、物價廳へ書類引繼ぎを了した次第であります。從つて殘額精算(査定額十一億一千五百萬圓、概算拂額五億九千四百萬圓、差引殘額五億二千九百萬圓)につきましては、追加豫算の國會通過次第支拂われることと思つております。次に二十一年十一月より二十二年三月及び四月より七月五日までの補償支拂につきましては、二十二年四月より支出官が物價廳に移管いたしましたため、大藏省との交渉は、主として物價廳より行つてもらつていますが、申請書の出そろつたのが最近であり、豫算もまだ議會を通過していないため、計算作業に移つていませんが、物價廳より大藏省への要求豫算額十一月より三月まで二十五億六千九百萬圓、四月より七月五日まで二億七千二百萬圓の線に沿い、要求資料を固めてから大藏省との本格的折衝に入るつもりでおります。以上のごとき實情でございますから、御了承をお願いいたしておきます。     —————————————
  57. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 次に日程第九、金屬鑛山事業に對し經濟力集中排除法適用除外に關する陳情書についてお答えいたします。金屬鑛業を經濟力集中排除法案の適用除外産業とすることについては、法案起草中、商工省よりG・H・Qに對して希望を申し入れてございますが、全面的了解を得るに至つておりません。G・H・Qの内面指導によりますと、目下問題となりますのは、日本鑛業の東西二分割案、竝びに三菱、井華兩鑛業の製錬所分離案でございます。これにつきましては、鑛山局長よりG・H・Q及びN・R・Sに意見を開陳して現状維持を希望しておる次第でございます。
  58. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 次に日程第一一、日立鑛山水害復舊特別融資に關する陳情書についてお答えいたします。制限會社關係の水害應急復舊工事につきましては、今囘司令部の好意ある取計らいにより、十月末日までは設備の操業を不能ならしめる損傷を防止するため、または生産復歸に必要な最小限度の行為竝びに支出に限り、制限會社の規定に基く送可申請をまつことなく復舊資金の支出をなし得ることになつているので、この範圍内のものは、自己資金または借入金を以て應急復舊をはかることができるのでございます。しかし恒久的な設備復舊につきましては、通常の手續を經て實施しなければならないのでありますが、日立鑛山の復舊計畫は、去る九月三十日臨調法の許可申請が提出され、十月二日の審査委員會に付議可決されまして、目下制限會社令に基く許可申請中でございます。當局といたしましても、本件復舊工事の緊急性に鑑み、司令部の許可促進をはかつている次第でございます。所要資材につきましても、ただいまセメント等につきましても、今次東北關東水害の鑛山復舊用として、安本に對しまして特配方を交渉中でありますが、まだ割當が決定していないので、とりあえず第三・四半期わく内におきまして、水害復舊用に優先配給している實情でございます。     —————————————
  59. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 次に日程第一二、關東信越地區鑛山水害復舊對策に關する陳情書についてお答えいたします。日立鑛山につきましては、前述の通りでございまして、同鑛山の水害復舊資金申請は、十月二日に許可に相成りました。日光木戸ヶ澤につきましては、最近申請がありましたから、これが許可のため努力するつもりでおります。御了承を願います。     —————————————
  60. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 次に日程一三金屬鑛業復興對策に關する陳情書について所見を申し上げます。まず第一に金屬鑛業政策の確立、特に鑛産物價格の適正化につきましてお答えいたします。金屬鑛業政策につきましては、去る十月十四に金屬鑛業對策に關する閣議決定を見ておりまして、鑛産物價格につきましては、事業場の原價計算表を査定し、金屬鑛業の操業度及び一般物價との均衝を考慮して適正を期しておるのでございますが、今後も經濟變動に對應し得るごとく物價廳と交渉するつもりでありますから、各企業も經營の合理化、生産量の増大によるコストの低下等に努められたいと思うのであります。  次に第二として、金屬鑛業金融政策の確立その他について申し述べます。さき閣議決定をみました金屬鑛業對策に明示せられておりまする通り、鑛山企業は、高能率經營による經理の自立をはかることを根本原則としております。しかし經理上健全なる事業計畫及び有望なる探鑛開發起業については積極的に援助いたします。又滞貨した地金は産業復興公團で買上げることによりまして企業の自立性に資することになつております。以上の措置を講ずる代りに原則といたしまして今般の水害のごとき特別の事情のない限り、赤字融資は行わないことといたしております。なお資材の適正配分につきましては、各鑛山の實情及び消費量を勘案して、適正配分を期しております。食糧の適正配分につきましては、現在硫化鑛山は二合五勺、その他の鑛山製錬業は二合三勺でありますが、これら産業別基準量は、經濟安定本部、農林省等關係當局の協議で定まることと相成つております。鑛石輸送につきましては、小運送におきましては鑛石輸送用揮發油月二百五十キロ(十一月分(トラツク八九月分十一臺、タイヤ二・四半期分百五十八トンの別わくをとり、また省營トラクの應援も得ております。鐵道輸送におきましては、全鑛種について中央計畫を樹て、運輸省と連絡の上わくをきめ各鐵道局を通じ、管理部廳に示し、その圓滑なるものについては、現地會議を開き、その隘路打開に努めております。汽船におきましては、海送移轉の線に沿い、極力海送に移し鐵道輸送を補つております。鑛石輸送機帆船は、中央機帆船として、その燃料確保により圓滑なる運航を期しております。  次に第三として、金屬鑛業の行政施策順位の引上げにつきましては、金屬鑛業は重要基礎産業であるにもかかわらず、融資、資材割當、勞務用物資の特配等の行政施策上他の重要基礎産業に比して不利な環境におかれている點も少くないので、これが順位の引上につきましては、關係各官廳と交渉して、極力努力しておる次第でございます。  次に第四といたしまして、水害金屬鑛山復興對策の確立特に復興資金及び資材の迅速配給についてお答えいたします。水害金屬鑛山より被害状況及び緊急復舊工事費及び復舊に要する主要資材等所要見積りを記載した復舊計畫の提出を求めまして、この結果を閣議に報告し、緊急の要あるものから可及的速やかにその所要資金資材等の確保をはかつております。特に資金につきましては、第一次所要額につきましては、第三・四半期一般産業資金配分計畫の中から融通することになつておりまして、また第二次所要資金につきましては、別途考慮すべく關係廳と交渉中であります。また資材につきましては、應急割當をいたしましたが、なおセメント等復舊用重要資材確保について極力交渉中でございます。     —————————————
  61. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 次に日程第一四、農林水用石油販賣に關する陳情書についてお答えいたします。本件に關しましては、十一月六日司令部より安定本部動力局に對しまして、口頭指示があり、農業會、漁業會による配給取扱いは一切禁止せられましたので、とりあえず從來これらの團體(縣單位)の使用していました石油施設を他の個人名義で活用させ、これを販賣業者に指定することといたした次第であります。但し右は協同組合設立趣旨にも即應しないとの見地より、安定本部におきましては、團體による共同購入のみは認められるよう司令部に交渉する豫定であります。但しこの場合といえども、團體を販賣業者に指定することはしないのであります。     —————————————
  62. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 次に日程一六、硫化鑛山資材勞務資金に關する陳情書についてお答えいたします。硫化鑛山用の資材勞務、資金につきましては、金屬鑛業部門においては、最優先的に取扱い、その圓滑なる供給に萬全を期しているのでありますが、諸般の情勢は必ずしも滿足すべき域に逹していないのは遺憾でございます。本件陳情にかかる古河鑛業株式會社の久根、飯盛兩鑛山の資材、勞務、資金については、當局としてはまだ同社より具體的な要求に接していないので、早速同社の責任者より事情を聽取した上、過日閣議決定をみた金屬鑛業對策の線に則り、できる限り努力する所存でございます。     —————————————
  63. 冨吉榮二

    冨吉政府委員 最後に日程第一七、亞炭増産に關する陳情書についてお答えいたします。山形縣下亞炭は、きわめて優秀でありますので、政府といたしましても、その増産に大いに努力御援助をいたしたいと考えております。山形縣下亞炭生産者價格は、現在A級すなわち一級炭山元五百二十圓と相なつておりますが、これは石炭との關係を考慮して、各地の代表的炭鑛生産費を基準として定めたわけであります。山形地方は冬期の降雪のため、生産費が他の地區に比べて比して若干上まわつておりますので、地區の中では、生産費が最も高い方にのつております。價格設定の際、東北一本建の價格を東北六縣の業者より特に要望されましたので、山形縣の生産費程度までの地區をA地區にいたしましたわけで、陳情の御趣旨について、物價廳とよく協議いたしたいと存じます。なお責任生産制度の問題でありますが、現在の亞炭企業の現状におきましては千二百の亞炭山の責任生産額を客觀的科學的に算定することは、きわめて、困難でありまして、いわんや超過生産分は、自主的運營に任ぜられるとなると、責任生産額の算定には利害錯綜して、非常なる混亂を招來することと思はれます。かりに責任生産額の算定が可能といたしましても、現下のごとく供給がとうてい需要に應じ得ない燃料事情におきましては、超過生産分の自主的運營ということは、きわめて不適當であります。ただ輸送力の不足のため帶貨を生じた場合につきましては、地元において臨時割當を行い消化せしめる方策を政府において目下考究いたしております。     —————————————
  64. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これよ引續き陳情書全部、すなわち日程第一より第一七までを一括議題とし、これに對する本委員會態度を決します。
  65. 生越三郎

    生越委員 各陳情書中には、種々問題のあるものもありますが、これらはすべて國民の偽らぬ聲でありまして、傾聽すべき點も多いのでありますから、民意を尊重するとともに、これを本委員會の議案審査の上に反映せしめるため、各陳情書は全部これを本委員會において了承することと議決せられんことを望みます。
  66. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 ただいまの生越君の意見に御異議はありませんか。
  67. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつて日程第一より第一七までの陳情書は全部これを了承するに決しました。     —————————————
  68. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に纎維工業化學肥料工業及び鐵鋼業に關する國政調査の件を議題といたします。各小委員會の調査の報告を求めます。輕工業委員長松本七郎君。
  69. 松本七郎

    ○松本委員 輕工業委員會における纎維工業に關する調査の報告をいたします。  本小委員會におきましては、まずその所管事項中、纎維工業に關しまする事項について調査に著手いたしましたるところ、纎維工業中、大企業に屬する紡績等の面におきましては、輸入原料との關係をにらみ合わせまして、不十分ながらも何とかやつている状態にして、かえつて第二次製品製造業者、特に輸出關係も中心とする中小工業の面におきまして緊急施策を要する問題が多く、他の輕工業すなわち雜貨工業その他の一般中小企業の問題解決が緊急を要するものと判明し、政府及び民間各方面より事情を聽取するとともに、明細なる資料を要求し、あらゆる角度よりこれに檢討を加えた結果、現在わが國の中小企業者の最も困却せる問題は、資金と資材の問題であるのは周知の通りでありますが、金融につきましては、昭和十六年大企業中心時代における中小企業金融十二月末貸出現在額が約十一億圓にして、物價指數より比較いたしますと、二十二年七月末におきましては、右の約二十三倍、すなわち二百五十億圓程度の中小企業金融が最小限度必要でありまして、その内、普通銀行金融七十パーセントと見ても、特殊金融によるもの七十五億圓程度が必要であるとの結論に逹したのであります。しかるに現在普通銀行の融資の極力引締めにより、特に中小金融に對してはこれが嚴しく、特殊金融機關の貸出能力が低く、本年八月末現在における商工組合中央金庫の貸出總額四億五千萬圓のうち、中小工業向けが二億四千萬圓という少額に止まり、これに復興金融金庫における中小企業貸出約九億圓を合算しましても、十三、四億圓程度であります。しかして最近、普通銀行の貸出が中小企業方面に對して極度に嚴重になり、貸出しは主として信用状況いかん、特に見込み擔保の有無が基準となり、優秀な技術を有する中小企業が金融難のために没落するということばしばしば起る實情でございます。最も重要な輸出工業の面におきまして、貿易手形制度が確立されているが、その繁雜な手續とわくの制限のために、中小企業はこれを有效に利用できないという憾みがありますと同時に、貿易手形を振り出し得る状態になるまでに、優秀な技術を持ち、將來發展の可能性のある製品を製造している中小企業者は、全然伸びることができないという状態であります。  他面、資材につきましては、その割當基準が主として設備能力と過去の生産實續によつているため、技術、經營共に優秀なものでも、中小企業なるがゆえに資材の割當が少く、多少の割當があつても、現物入手の便宜が少いために、非常に困難しているという實例が多いのであります。最も重點をおくべき輸出工業においてすら、引合があつても、資材難のためにこれに應ずることができなかつたという實例多いことが調査の結果明瞭となつた次第でございます。  かかる状態では、獨占禁止法、財閥解體、經濟力集中排除法等によつて、大企業に代つて中小企業が將來のわが國における産業構成の中樞をなしていくべき時、まことに優慮にたえない次第と存ずるのでございます。  現在わが国の資材その他經濟力の實體に鑑みまするとき、これらの中小企業を野放しにして、全面的に資金資材の面において救濟することは不可能でありますから、まず技術、經營の優秀なものを選擇して、これを大企業に對すると何ら遜色のないように、資材の割當及び入手竝びに資金面の融通が行はれるよう措置するとともに、技術經營の優秀でないものに對しては、できるだけ一定水準に逹するよう指導する必要があると信ずるのであります。けだし近き將來におきまして、わが國の工業が對外的には外國市場において國際的競走にたえ得るとともに、國内向け製品についても、海外から輸入せられんとする製品に十分對抗し得るように、今から技術の向上、經營の合理化を指導しなければ、わが國の中小企業の崩壊、延いては産業の壊滅を招くおそれがあります。  政府におきましては、この實情に對して、まだほとんど特別な施策をなしていない現状でありますが、一時も早く思い切つた對策を施さなければ、貿易再開を眼の前にしているわが國として、まことに寒心にたえない次第であります。  本委員會は右の調査の結果といたしまして、第一、中小企業金融のための特殊金融機關、たとえば現在の商工組合中央金庫のごときものを擴大強化し、前述の事實に鑑み、少くとも年間百億圓以上の金融能力を有するものとするよう強力に施策を進め、また市場より資金の吸收をはかる法策として、目下問題になついてる商工協同組合を利用することが最も緊要であること。第二、貿易手形を敏活に利用できるように、手形割引については割引銀行の副申を發し、製品の實態と、輸出の確否に基準を置く意味で、貿易公團の發注證明のみによることとし、手續の冗漫を避けるとともに、できるだけ貿易手形のわくを擴大し、能うればこれを廃止するまでもつていくよう考慮する必要があること。第三、オフイシアルな審査により、一定水準以下の技術を持ち、良心的に製品を出すと認められた中小企業に對し、資材資金の割當を大企業におけると同様に取扱い、輸出品製造に對しては、特に確實なる引合ある場合は百パーセントの資材配給すること。しかしてこの資材については、主要材料のみに止まらず、副資材をも確保し、もつて副資材不足のためにせつかくの輸出品が製造できないということの絶無を期すること。資材品質製品品質を左右する場合もしばしば起つているので、輸出資材の主要なもの、特に金融資材のごとき製品の質を左右することのはなはだしいものについて、需要者の品質證明のあつたときには、特に報償的補償を與えるような制度を考えることが最も緊要なこと。さらに輸出用材料の入手について、現在の原材料貿易公團の取扱いを今のままにしておく以上は、有效に働けない憾みがあり、かえつて割當證明書に引受けメーカーまたは販賣店を指定し、これに責任をとらせるような方法を採用することが簡易かつ確實であると認められること。第四、輸出工業中心とする中小企業の經營の合理化及び技術の向上をはかり、中小企業の質を向上させる一方、中小企業を審査し、資金資材の割當等についても、前述第一ないし第三の措置をなし得るような強力な發言權をもつ中小企業振興のための綜合的施策と機關とを設置すること等に關し、政府を督勵すること。以上が喫緊の要事であるという結論を得た次第であります。  右に對しまして、しばしば政府に連絡し、速やかに善處すべきことを要望し來つたところ、政府當局は、まず第四の中小企業振興に關する機關を設置したいという意向を有し、次囘國會に中小企業廳設置に關する法律案を提出する用意がある旨を明らかにいたしました。政府が本法律案を提案するとすれば、その機構の運用上、その權能として(一)他官廳に對して強力な發言權をもつこと。(二)中小企業用資材資金に關して、ある程度の操作能力をもつことが絶對的に必要でありまして、この點について、十分に具體的な仕組を考慮しなければ、結局浮き上つた存在に終り、いたずらに官廳機構を膨脹せしめるだけで無意味に終ること、また地方に強力な協力機關あるいは傘下機關をもち、現場の把握を確實にする必要があること、次に特に審査制度ができるだけ民主的になされるよう考慮する必要があること等を強調いたした次第であります。  本小委員會は、ここに調査の結果を報告いたしまするとともに、その結論といたしまする諸點に對しまして、政府を監視督勵して、その速やかなる實現をはかることが必要であると認める次第でございます。  以上をもちまして御報告を終ります。
  70. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に、化學肥料工業に關する調査の報告を求まめます。化學工業委員長今澄勇君。
  71. 今澄勇

    今澄委員 化學肥料工業に關する國政調査の報告をいたします。本小委員會においては、去る八月二日化學肥料工業に關する事項について國政調査を行う承認を得ました。その調査の結果、化學肥料増産のためには、さしあたり硫化鑛の増産をはかるべきこと。竝びに、いわゆる價格差補給金を急速に支拂うべきこと、なお硫化鑛の増産に關しては、當面の應急對策としてこの際全國的硫化鑛特別増産期間を實施すべきであるとの結論に逹し、八月十八日本委員會にその旨を報告、同二十六日本委員會より議長に報告書を提出せられました。本件はすでに去る九月二十一日より二箇月間にわたり硫化鑛々山、硫化鑛増産會議の主催。安本、商工、農林、運輸、勞働各省後援のもとに實施せられ、期間中の目標生産量を突破するの好成績を收めました。さらに價格差補給金の問題につきまして、化學肥料増産上、當面緊急對策として、經營資金難克服のため、價格差補給金(損失補給金)を速やかに交付すべきであるというのでありまして、その旨を八月二十一日の本委員會に報告いたしました。本件については、政府當局においてもその趣旨了承し、速やかに善處すべき由、本委員會において明瞭に答辯いたしたのでありますが、諸般の事情により、未だ實現を見るに至らないのは、まことに遺憾に存ずる次第であります。かようにして、徠來化學肥料増産上最大の隘路とされておりました硫化鑛の供給に關する限り、目下のところ小康を得ていることは、御同慶の至りでありますが、前に述べた損失補償金の問題が、今日なお未解決のまま殘されている次第であります。さらにその後においては化學肥料増産に關する當面の緊急對策として、傾斜生産上のランクの問題と、輸入肥料に對する國産肥料との調整問題とを、ぜひともこの際急速に解決しなければなりません。最近電力、石炭、特に電力の著しい消費規制によつて化學肥料工業は正に致命的打撃をこうむつているのであります。今硫安の逐月生産量によつて、これを具體的に説明いたしますならば、十月は六萬二千トン十一月は五萬四千トン十二月の豫想は五萬トンという急ンポで減産の一路をたどつているのであります。化學肥料が食糧生産に及ぼす決定的意義に鑑み、特に明年度は世界的食糧難の豫想せらるる折柄、化學肥料の重要度を濫りに低下せしむべきでないことは、申すまでもありません。ただ全面的に國産品によるか、あるいは輸入硝安によつていかなる程度まで、その需給を調節すべきかということが問題でありますが、硝安については、その特性、なかんずく土壤の吸收力劣弱に起因する水施肥の適否を初め、吸濕性爆發性のため、輸送、貯藏等に關しても、硝安自體としてなお研究すべき點が多々あるのであります。さらにその大量輸入のため、わが肥料工業がこうむるその大なる影響につてても、深く思いをいたさなければなりません。從つて本小委員會としてはこれらの點に關し、あらゆる角度によりしさいにかつ總合的に檢討した上で、根本的國策を樹立すべく、目下それぞれ資料を蒐集檢討中でありまして、來る通常國會において、早々その解決を期せんとするものであります。以上概要を御報告致します。
  72. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に鐵鋼業に關する調査の報告を求めます。金屬鑛工業委員長生悦住貞太郎君。
  73. 生越三郎

    生越委員 鐵鋼業の調査に關する金屬鑛工業委員會の御報告を申し上げます。金屬 工業委員會におきましては、主として鐵鋼増産に關する問題を取上げ、六囘にわたる小委員會において、政府及び民間より説明及び意見を聽取し、あるいはすでに御手もとに配布しました昭和二十二年鐵鋼生産計畫表等の十數種類の資料のほか、種々直接調査し、またあらゆる角度から檢討いたしまして、本年度鋼材生産計畫七十萬トンのほかに、三十萬トン増産をはかり、本年度鋼材萬トン計畫を目標として努力する必要を認め、八月二十一日の本委員會に中間報告をいたしますとともに、同月二十六日の本會議におきまして、鐵鋼萬トン生産逹成に關する緊急質問をいたしまして、朝野の注意を喚起する一方、政府竝びに民間業界と密接な連絡のもとに、調査を實際に即するよう、さらに檢討を加え、鐵鋼増産目的を逹成いたしたい旨希望して、これが了解を得た次第であります。本日は八月二十六日の本會議におきましての私の緊急質問に對する政府の囘答と、その後の經過につきまして、簡單に御報告申し上げたいと存じます。  御承知の通り私が本會議において強調いたしましたのは、現状のままで政府が何らか積極的な手を打たないとすれば、本年度基本計畫たる鋼材七十萬トン生産も不可能であつて、五十五、六萬トンを豫想せざるを得ない。かりに七十萬トン計畫が百パーセント逹成されるにしても、本年度普通鋼材供給は、在庫分を合わせて七十二萬トンにすぎず、この數字を昨年の實際消費量百二十萬トン、本年度最低需要量と推定せられる普通鋼鋼材百九十六萬八千トン、竝びに極東委員會の考えておりますわが國安定期における最低限民生安定維持産業に必要すとる鐵鋼量二百七十五萬トンと比べて見ますときは、まことに寒心にたえない状態であり、説明するまでもなく、いわゆる縮小再生産の現象が顯著に現われていることを指摘し、この事實はまさに明治三十九年當時の状態にわが産業水準を逆行させることを意味すること、從つてわが國産業が、かかる状態に陷ることを避けるには、政府が是が非でも、本年度基本計畫のほかに、三十萬トン鋼材増産計畫を立て、鋼材萬トン生産計畫の逹成をはかるべく、そのためには鐵鋼生産の重點を銑鋼一貫方式より、極力銑鐵鋼片、屑鐵等の輸入を速進して、單獨平爐及び電爐による彈力性に富んだ生産方式に變更するとともに、さしあたつては、伸鐵再壓延による増産、あるいは屑鐵の活用等について、十分考慮を拂う必要があるという點でありました。これに對して和田國務大臣は、第三・四半期の生産計畫において、伸鐵及び再壓延等につき五〇%程度の増加を見込んだが、それでも最初の七十萬トン計畫の逹成は、相當困難と見られるので、製品輸入を連合軍司令部側に懇請していること、また將來の日本鐵鋼業のあり方については、銑鋼一貫作業方式と單獨平爐作業方式とを併用することが適當であると考える旨囘答いたされ、水谷商工大臣は、現實の問題として、銑鋼一貫作業方式によることの可否は、專らいかなる原材料の輸入が安易であるかにかかつているので、この點が明確になるまでは、やはり二本建でいくよりしかたがないということ、また本年度の殘餘の期間も次第に迫つていることとて、この期間に七十萬トン以上への飛躍的増産は、輸入事情が思わぬ好轉を示さぬ限り望みがたいが質問中の諸件については、經濟安定本部と協力して、鋭意調査研究を行うとともに、積極的に移す所存である旨、所信を明確にせられた次第であります。兩大臣とも、鋼材増産の緊要なことにつきましては、われわれと全く所信を同じくし、できるだけ積極的施策を講じたい意向が明らかになりましたので、われわれとしては、その後私直接に、あるいは專門調査員を通じて當局と連絡し、政府措置を見守つてまいつたのでありますが、第三・四半期における普通鋼々材の生産計畫は、配布資料にあります通り、再壓延及び伸鐵を含み十七萬五千四百トンと策定され、從前の計畫に比し、相當の積極性を見せてきたのでありますが、その後電力事情の惡化等情勢が急變したため、前に述べました計畫量生産は非常に困難な状態になつてまいりましたので、保科専門調査員をして、八幡製鐵所の生産状況及び大阪商工局管内等の製鐵事情を調査せしめ、また日本製鐵株式會社の計畫部、技術部等からの資料を得ました結果、伸鐵及び再壓延による増産は、その品種別寸法別能力、材料及び需要鋼材の品種別寸法との關係をにらみ合わせて、増産限度は大體三萬トンであること、電力事情惡化等のため、電爐製鋼による生産は、現状維持が困難なくらいで、増産は見込み薄であることがわかりました。一方、鋼材及び銑鐵の輸入は、世界の鐵鋼需要の逼迫せる状況から判斷して、ここ當分は斷念せざるを得ないという考えに到逹したのであります。これは私自身先般來朝されましたニューヨーク・スチールコンパニーほか五社の社長等から聽いた情報その他から見て、確實と思われますので、われわれが最も優慮する事態を生ずる危險に直面したわけであります。それかあらぬか、經濟安定本部におきまして、第四・四半期の生産計畫を十萬トン以上と見積られているという情報が入つたのでありまして、かくては本年度鋼材五十萬トン前後となり、一般産業はおろか、石炭増産竝びに輸出工業用鋼材確保もとうてい覺束ないことで、わが國産業の再建が絶望に近いこととなる次第であります。それでわれわれとしては、前と異なる新らしい觀點に立ちまして、この世界における鐵飢饉の状態を逆用し、現にアメリカその他から、日本製鐵等に引合のあるをさいわい、どんどんかかる引合に應じ、その見返りとして、強粘結炭や重油を輸入し、鐵鋼増産をすれば、相當量の鋼材を輸出に向けましても、何割かの餘裕が内地に還元されるわけ合いとなりますとともに、鐵鋼界における失業問題が緩和され、原價計算上から見ましても、鋼材輸入するよりも安價であるということがわかりましたので、中間報告で申し上げた方法とは、多少異なりますが、要は鐵鋼の百萬トン生産計畫の實現化が目的でありまして、現状の事態に即して事を運ぶには、この方法が唯一の可能性もつ鐵鋼増産計畫遂行の方途であると考えられますので、積極的にこの方向に進むべきであるという見解に逹した次第であります。そこで十一月二十七日今會期最後の金屬鑛工業委員打合會を開き、政府側からは、鑛山局鐵鋼課長及び擔當技官、民間側からは、日本製鐵湯川技術部長の出席を求めて打合せを遂げた結果、前に述べました方法に從えば、本年度中に約十萬トンの強粘結炭入荷が期待されること、かりに電力や一般炭の割當に關して他産業との振合いを考慮し、右數量のうち、三萬トンだけを本年度中に使用するとしても、日鐵のみで第四・四半期に九萬トン程度の鋼材確保できることとなり、從つて第四・四半期には、少くとも十五萬トン鋼材生産を見込むことができること、及び來年度においては、毎月十萬トン鋼材生産實現する可能性すなわち、年間百二十億トン計畫樹立の可能性が見出される。少くとも、われわれの主張した百萬トン計畫ならば、今日の状況がはなはだしく惡化しない限り、十分實現する見込みがあるという一致した結論に逹したのであります。  以上のような次第でありますので、本委員會といたしましては、政府に對し、本年度第四・四半期以降においては、右の結論を尊重して、鐵鋼増産計畫を策定し、その目標逹成のため、最善をつくすべきことを要望するとともに、今後における政府の具體的な措置を、嚴に監視督勵することが適當であると認める次第であります。これをもちまして、今會期における鐵鋼調査に關する金屬鐵工業委員會の報告を結了いたしたいと存じます。
  74. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 ただいまの各小委員長の報告に、何か御意見はありませんか。
  75. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 別に御意見もないようでありますが、纎維工業化學肥料工業及び鐵鋼業に關する調査の結論についてお諮りいたします。ただいまの各小委員長の報告の通り決定するに御異議はありませんか。
  76. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。各小委員長の報告の通り決しました。     —————————————
  77. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に請願及び國政調査に關する報告書について、お諮りいたします。これは從來通り委員長において作成の上議長に提出するに御異議はありませんか。
  78. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。それでは後刻委員長より文書をもつて議長に提出しておきます。——これにて今會期における本委員會の議事は全部終了いたしました。一言御挨拶を申し上げます。  委員各位におかれましては、新憲法において國の最高機關と定められました新しい國會の中心たる常任委員會委員として、半歳にわたりまして、數多の議案の審査を完了されまするとともに、國政に關する調査を終結されましたことは、ひとえに委員各位の熱烈なる國家再建の熱意と、本委員會の權威を尊重せられた結果として、委員長といたしまして、まことに感激にたえない次第でございます。  顧みまするに、あるときは峻烈なる政爭の渦中に委員相互に相對立したこともございましたが、これらはすべて國民の代表たるわれわれ相互の政治的立場の相違から出たことでありまして、これ革固なる政治的信念のもとに愼重かつ熱心に審査に盡瘁したことのよき證左であると言うことができると信ずるのであります。本委員會は、小委員會、公聽會、連合審査會、打合會等、實の百三十九囘に及ぶ會合を重ねまして、最も活發かつ熱心に活動いたしまして、本日ここにめでたく今會期における責務を全部果すことを得ましたことを、委員各位とともに哀心よりお喜びすると同時に、この不慣な委員長をよく御援助下さいました委員各位の御厚情に對し、あらためて御禮申し上げる次第でございます。簡單でありますが、これをもつて御挨拶と致します。  これにて散會いたします。    午後五時十九分散會