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1947-11-25 第1回国会 衆議院 鉱工業委員会 第38号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十二年十一月二十五日(火曜日) 午後四時四十五分
開議
出席委員
委員長
伊藤卯四郎
君
理事
大矢
省三君
理事
松本
七郎
君
理事
青柳 高一君
理事
生
悦住貞太郎
君
理事
今村長太郎
君
理事
澁谷雄太郎
君
理事
早川
崇君
今澄
勇君 菊川 忠雄君 金野 定吉君 萬田 五郎君 村尾 薩男君
生越
三郎
君 岡部 得三君 庄 忠人君 長尾 達生君 三好
竹勇
君 有田 二郎君
神田
博君
平島
良一
君
深津玉一郎
君
淵上房太郎
君
山口六郎次
君 谷口 武雄君 前田 正男君
高倉
定助君
出席國務大臣
商 工 大 臣
水谷長三郎
君
出席政府委員
石炭廳次長
吉田悌二郎
君
商工事務官
渡邊 誠君
商工事務官
平井富三郎
君
委員外
の
出席者
專門調査員
谷崎 明君
專門調査員
保科 治朗君
—————————————
十一月二十四日
釜石製鐵所銑鋼一貫作業再開促進
の請願(小澤
佐重喜
君外七名
紹介
)(第一二四五號) 同(
志賀健次郎
君
紹介
)(第一二四七號) の
審査
を本
委員會
に付託された。
—————————————
本日の
會議
に付した事件
臨時石炭鑛業管理法案
(
内閣提出
)(第六四 號)
—————————————
早川崇
1
○
早川委員長代理
これより
會議
を開きます。 この際
委員長
の都合によりまして、
理事
の
申合せ
に從い、私が
暫時委員長
の
職務
を行いますから、御了承願います。 去る二十二日
院議
によりまして、二十四日午前中に
臨時石炭鑛業管理法案
の
審査
を終了するよう、
委員會
の
審査
に期限を付せられましたが、
審査期間
内に
審査
を終りませんでしたので、本來ならば
委員會
の議を經て、
延長
を求むべきでありますが、諸種の
事情
から、
委員長
より
審査期間延長
を求める
手續
をとりました。これを御了解願いたいと存じます。これに對して二十五日午後六時半まで、さらに
院議
によりまして
審査期間
を
延長
せられましたので、御
報告
申し上げます。
臨時石炭鑛業管理法案
及び
松本七郎
君
提出
の
修正案
を
一括議題
といたします。前囘から
神田博
君の
質疑繼續中
でありますから、この際これが續行を許します。
神田博
君。
神田博
2
○
神田委員
私は
質疑繼續中
でありまして、まだ質したいところも種々ありますれ
ども
、
本案
につきましては、再度にわたりまして、
院議
に基き、本
委員會
に對し、
審議
の時間制限もありましたので、この際
質疑
を打切ることにいたします。
早川崇
3
○
早川委員長代理
高倉定助
君。
高倉定助
4
○
高倉委員
ただいま
修正案
をいただいたのでありますが、この
修正案
を見ますと、相當
原案
に對して大幅の
修正
をされておるようでありますが、この大
修正
に對して、はたして
年次
の
目標通り石炭
が
増産
されるところのお考えがあるかどうかということを
政府當局
に
所信
をお伺いいたします。
早川崇
5
○
早川委員長代理
高倉
君の今の
質問
は、
修正案
の
趣旨辯明
ののちにお願いいたしたいのであります。さよう御了承願います。 以上で
質問
は終了いたしました。これより
討論
にはいります。この際
修正案
の
趣旨辯明
を許します。
松本七郎
君。
松本七郎
6
○
松本
(七)
委員
私より
日本社會黨
、
民主黨
、
國民協同黨三派共同修正案
の
趣旨
を御
説明
申し上げます。時間もございませんから、中で省略させていただくこともあると思います。あらかじめ御了承願いたいと思います。 まず
政府原案
第
五條
では、
炭鑛
の
事業主
が
所轄石炭局長
に届け出るところの
事業
計畫を、
石炭局長
が
地方炭鑛管理委員會
に諮
つて變更
を命ずることができるということに相な
つて
おりますが、これでは
石炭局長
の一方的な
權限
が濫用されるおそれがありまするので、この
石炭局長
の
變更命令
に對して、
事業主
に不服の
申出
のできる途を開くとともに、その不服の
申立
により、
商工大臣
が全
國炭鑛管理委員會
に諮つた上で、
石炭局長
の
變更命令
を取消し、または變更することができるように、新たに、第三項として、「
事業主
は、
前項
の
命令
が著しく不當であると認めるときには、
商工大臣
に對して不服の
申立
をすることができる。なお第四項として、「
商工大臣
は、全
國炭鑛管理委員會
に諮
つて
、
前項
の
申立
を
理由
があると認めるときには、
當該石炭局長
に對して、
當該命令
を取り消し、又は變更すべきことを命じなければならない。」という二項を追加いたしました。 次に
原案
第
八條
ないし第十條の、
官吏
その他の
政府職員
の
臨檢檢査
に關する各
條項
について、「
臨檢檢査
」または「
檢査
」を「
監査
」と改めるとともに、
監査
する主體を、
當該官吏
に限定し、その
對象
を明確にするため、
原案
第
八條
第一項を「
石炭廳長官
又は
石炭局長
は、
炭鑛
の
事業主
の
業務
の
状況
に關し必要な
報告
をさせ、又は
當該
の
官吏
をして
生産擴充用
の
資金
及び
資材
の使途、
生産
の
状況竝びに擴充工事
の
達成状況
に關して
監査
させることができる。と改め、第二項中「
當該官吏
その他の
政府職員
に
臨檢檢査
させる場合には」とあるを、「
當該
の
官吏
に
監査
させる場合には」と改め、第九條は全文これを削除し、
條文整理
により以下各條を順次繰り上げることとし、
原案
第十條中「
檢査
」とあるを「
監査
」と改めたのであります。 次に
原案
第十
一條
において、
炭鑛
の廢止又は休止が
商工大臣
の
許可事項
として委されているのでありますが、これをより民主的にするとともに、愼重を期する
意味
から、全
國炭鑛管理委員會
に諮つた上で
許可
するように、同條第二項として、新たに「
商工大臣
は、
前項
の
許可
をしようとするときには、全
國炭鑛管理委員會
に諮らなければならない。」という一項を追加し、
本條修正
を同じ
趣旨
から、
原案
第十
二條
に第二項として、新たに「
商工大臣
は、
前項
の認可をしようとするときには、全
國炭鑛管理委員會
に諮らなければならない。」という一項を新設いたしました。 次に、
原案
第十四條におきまして、
指定炭鑛指定
の
基準
を明確にうたうために、第二項として新たに「
前項
の
規定
による
指定
の
基準
は、能率、
生産費
、品位、
出炭量等
に基いて、これを毎六箇月に定めるものとする。」という一項を追加し、
從つて原案
第二項を第三項とし、「
前項
」とあるを「第一項」と改めたのであります。 次に、
原案
第十
五條
におきまして、
指定炭鑛指定
の
取消し事由
を廣義に解釋する方が妥當であるとの
趣旨
から、第一項中「災害その他の
事由
により」を削除し、第二項中「前條第二項」とあるを、
條文整理
の上から「前條第三項」と改めたのであります。なお、
原案
第十六條第一項中「第十
八條
」とあるを、
條文整理
の上から「第十七條」と改めたのであります。 次に、
原案
第十七條におきまして、
事業主
に重點を置き、
業務
計畫の案の
作成
上
基準
となるべき
事項
を
指示
する
對象
を
事業主
に限定するため、「及び
炭鑛管理者
」を削除いたしました。またこれと關連いたしまして、
事業主
の
業務
計畫の案の
作成
上の
地位
を明確にする
意味
におきまして、
原案
第十
八條
第一項を「前條の
規定
による
指示
があつたときには、その
指示
を從い
命令
の定めるところにより、
指定炭鑛
の
事業主
は、
炭鑛管理者
をして、
業務
計畫の案を
作成
せしめ、
所轄石炭局長
に
提出
しなければならない。」と改め、第二項中「
原案
」とあるを「案」改め、第三項、第四項及び第五項を削除し、
原案
第六項中「
當該業務
計畫の案を
提出
するとともに」とあるを「
當該業務
計畫の案を
作成
して
提出
するとともに」と改めたのであります。なお
原案
第十九條第一項におきましては、「前條第一項の
規定
による
業務
計畫の案の
提出
があつたときには、」とありますが、
業務
計畫の案の
提出
される場合、
生産協議會
の議を經る場合と經ない場合、すなわち前條第一項と第三項に
規定
する二つの場合がありますので「前條第一項」の次に「又は第三項」を加えました。なお
本條
第二項におきまして、
原案
では、「
石炭局長
の決定した
業務
計畫の
指示
があるまでは、
事業主
及び
炭鑛管理者
は、
前期
の
業務
計畫(
前期
の
業務
計畫がないときには、
前項
における
業務
の
實施上
の計畫)を
基準
として、
指定炭鑛
の
業務
を行わなければならない。」ということに相な
つて
おりますが、これを
事業主
の
提出
した
業務
計畫の案によるようにするため、第二項を「
前項
の
規定
による
指示
があるまでは、
事業主
は、前條第一項又は第三項の
規定
により
所轄石炭局長
に
提出
した
業務
計畫の案により、
指定炭鑛
の
業務
を行わなければならない。」と改めた次第であります。なお
原案
第二十條第二項中「第十
八條
」とあるを、
條文整理
上「第十七條」と改めました。 次に、
原案
第二十
一條
第一項におきまして、
原案
第十七條以下に對する
修正
と同様の
趣旨
によりまして、
石炭局長
が
業務
計畫
實施上必要
と認めるときの
監督
上の
命令
又は
指示
を受ける
客體
を
指定炭鑛
の
事業主
とするため、
原案
の「
炭鑛管理者
」を「
指定炭鑛
の
事業主
」と改め、
原案
第二十
二條
中「
炭鑛管理者
」とあるを「
指定炭鑛
の
事業主
」と改めた次第であります。 次に、
原案
第二十三條第二項におきまして、
炭鑛管理者
の
選任
は、
商工大臣
の承認を受けなければ、その效力を生じないということにな
つて
居りますが、これを
届出主義
に改めるために、
原案
第二項を「
事業主
は、
前項
の
規定
による
選任
をしたときには、その旨を
商工大臣
に届け出なければならない。」と改めました。 次に、
原案
第二十四條第二項の、
炭鑛管理者
のする
業務
計畫の
實施
に對する
經營者
及び
從業者
の
協力規定
は、これは
當然
のことであり、項目としてうたう必要なしと認めて、削除いたしました。 次に
原案
第二十
五條
におきまして、その第一項は、
原案
第二十三
條修正
に伴い、
當然
これを削除いたしました。なお第二項及び第三項において、
炭鑛管理者
の
解任
が
商工大臣
によ
つて
できるようにな
つて
おりますが、それは
選任
の場合と同じく、
事業主
が行うことといたした次第であります。 次に、
原案
第二十六條でありますが、これは
炭鑛管理者
の事故または缺員と
なつ
たときに、
事業主
またはこれを代表する者が、
臨時
に
炭鑛管理者
の
職務
を行うという
規定
でありますが、これは
原案
第二十三條、すなわち本
修正案
第二十
二條
第一項により遲滞なく
選任
をするということで十分でありますので、全文削除いたしました。 その他詳細にわたりまして、お手もとに配付されてあります書類によ
つて
ごらんいただけば、十分御了解できようかと思いますから、私の
説明
はこの
程度
に止めさしていただきたいと思います。
早川崇
7
○
早川委員長代理
ただいま
修正案
について、
高倉
君より
質疑
の
申出
があります。
高倉
君にこれを許します。
高倉定助
8
○
高倉委員
ただいま
本案
の
原案
に對する
修正案
の御
説明
をお
聽きし
たのでありますが、時間の餘裕がありませんので、詳細に照合檢討することはできませんが、
かく
のごとき大
修正
のもとにおきまして、はたして
年次的目標通り
に
増産
ができますや否やということに對しまして、
政府當局
に
所信
を承わりたいと思います。
水谷長三郎
9
○
水谷國務大臣
高倉
君の御
質問
にお答えいたします。ただいま
松本
君が御
説明
になりましたように、
修正案
の主要なる點は、大體五つでございます。第一は、
指定炭鑛
の
指定基準
を明示し、
運用
上
彈力性
をもたしたこと。第二は、
指定炭鑛
の
管理
についての相手方を
事業主
としたこと。第三は、
炭鑛
の
管理者
の
選任
及び
解任
について、あらかじめ
生産協議會
の議を經ることを要しないとしたこと。第四は、
管理者
に
法定支配人
の
地位
を附與することを認めないこととしたこと。第五は、
罰則規定
について、
指定炭鑛
としからざる
炭鑛
との
差異
を認め、その他刑の經減をなしたこと。この五つの點でございます。 全體を通じまして、
指定炭鑛
の
管理
につきましては、
政府原案
では、
炭鑛現場業務
の
圓滑
なる
即決處理
を促進する現實的な
立場
から、
炭鑛管理者
に
管理
の末端としての
責任
と
權限
とを認めておりましたに對しまして、
修正案
におきましては、企業一體の觀念を重視する
建前
から、
事業主
に全般的に
權限
を留保しているのでございますが、
實質
的には、兩者の
建前
の相違は、
管理
の效果に大きな
差異
をもたらすものではないと信じております。たとえて申し上げますならば、
業務
計畫につきましては、やはり
管理者
が
原案
を
作成
するのでありまして、その
實施責任
も
管理者
に屬し、
實施上必要
な
權限
は
事業主
から委任を受けるのでございまして、
現場運用
の機構と
意思決定方法
につきましても、
政府原案
の
通り
でございます。
管理者
の
選任等
につきましても、
事業主
が
實質
上
從業者
の
指示
を受けるような人選をすることが、
運用
上豫想されるところでございます。また
指定炭鑛
の
指定
及び
指定取消
の問題は、
政府
といたしましても、もともと畫一的な
運用
をする
意思
をも
つて
おらず、もつぱら全
國炭鑛管理委員會
に諮りまして、
彈力性
のある
運用
をするつもりであつたのでございまして、この點異存はございません。さらに
罰則
につきましては、從來の
規定
との形式的な均衡の問題を離れて見るならば、
修正
の點は十分尊重されなければならないと考えております。 以上の諸點を總合いたしますならば、
政府
といたしましては、
管理
の
運用
上、
修正案
によりまして、根本的に制約を受けるということは、ほとんど考えられないのでございまして、當初の
目的
は必ず達成することができるものと確信する次第でございます。
早川崇
10
○
早川委員長代理
これより
討論
にはいります。
生越三郎
君。
生越三郎
11
○
生越委員
私
ども
は、
石炭
の三千
萬トン
以上
生産
がわが
國産業復興
の
絶對要件
であり、現在の危局を切り抜けて、新
日本
建設ができるか否かの重大問題であるため、眞に
責任
を重んじて、今日まであらゆる角度から
審議
をいたしてきたのであるが、現にわれらが
審議
中の
石炭鑛業管理法案
、またただいま上程されました
修正案
に對しまして、左のごとき
意見
に到達いたしたのであります。ただ
修正案
におきましては、ただいまここにわれわれに
法案
を示されまして、これを十分に
審議
することを得なかつたことは、はなはだ遺憾とするのであります。およそ
政策
の
樹立遂行
をなさんとするときは、
國民
多数の
贊成
があるか、または
國民
のためにぜひ必要であることのきわめて明白なる
根據
がなければならないことは、言うまでもないのであります。しかるに、本
法案
が發表せられる前後から現在に及ぶまで、
國民
の大多數は、これに反對しておることを察知することができるのみならず、全國の
炭鑛業者
四百
有餘
の者が、これに反對を強く表明し、これを
政府
その他に陳情しておるのみでなく、
現場炭鑛管理者
及び鑛長の多數が、反對の陳情をいたしており、さらに
財團法人世論調査所
が、長期にわた
つて
現場坑夫
の
世論
を調査した結果の發表によれば、
坑夫
の多數もまた反對をいたしておるのであります。さらにまた
各界有力者
を招いて、わが
國會
がその
意見
を問うた
公聽會
においても、その多數が
本案
に反對いたしておるのであります。およそその
政策
に對して、その
業者
の全部が反對を表明し、
勞働者
の多數が反對し、權威ある
各界
の
有力者
の多數が反對を表明すること
本案
のごときものがあつたことを聞いたことがないのであります。これを
本案
の
内容
の要點について檢討するも、左の三點の重大なる
缺陷
があるのであります。 その
一つ
は、
政府
は
資金
と
資材
とを確保し、かつこれを供給するの
責任
を明らかにしていないことである。その二は、わが國の
石炭生産
に最大の力をなす勞働力をいかに積極的に結集するかの
條項
が缺如しておることである。その三は、
生産協議會
の性格がある。すなわち
生産協議會
の
構成員
は、
職員
を代表する
委員
と、
勞働者
を代表する
委員
と、おのおの同數とし、
炭鑛管理者
をも
つて
するその會の議長に
決議權
を與えていないことである。しかして
本案
が計畫せられた以後において、
マツカーサー元帥
から
片山總理
にあてられたる書簡によれば、
本案
は
國會
がそれ自體の價値について
審議
することは、何ら異存がないと言い、もし
國會
がこれを採用したならば、
政府
は現在立てられたる
生産目標
をさらに
引上げ
なければ、本
法案
を行う
理由
がないと言われておる。
かく
のごとく
國會
が
審議
研究する點、
生産目標
を
引上げ
る計畫の點等、いずれから見ても、本
法案
の採用には
缺陷
があり、時間尚早である。よ
つて政府提案
の
臨時石炭鑛業管理法案
及び
松本七郎
氏
提出
の
修正案
、兩案とも否決せんとするものである。
大矢省三
12
○
大矢委員
私は
社會黨
を代表いたしまして、
本案
に對する
贊成
の
意見
を述べたいと思うのであります。
本案
は
政府
の
説明
の
通り
、
修正案
にいたしましても、あるいはまた
原案
にいたしましても、あくまでも民主的な
處置
である。こういうことは、
提案理由
なり
答辯
をみても、一貫して明らかなところであります。そこで今日まで
公聽會
その他を通じまして承つたところによりますと、今反
對側
の人が主張する
通り
、
業者
におきましては、これは徹頭徹尾反對であるのであります。また
勞働者側
においても、相當の反對のあることは、今反
對側
の
意見
の
通り
であります。しかしこれは私が今申しましたように、あくまでも
臨時
的な
處置
である。從
つて
理想的なものでないというのでありますから、私
ども
は
本案
に對しては、非常に不備な點があることを認めるのであります。それを何がゆえにわれわれが
贊成
するかと申しますならば、その
贊成
する
理由
を、私はこれから申したいのであります。 まず第一に、今日
石炭
の
重要性
は各
方面
で認められておるのであります。この
重要性
のある
石炭事業
に對して、
戰後
におけるところの
日本
のこの疲弊した經濟の中から、他
産業
を
犧牲
に供して、あらゆる
資金
、
資材
、勞務あるいは食糧その他について、多くの
國民
を
犧牲
に供して、この
重要産業
に入れておるということは、周知の
事實
であり、すでに
政府
の
答辯
の中にも明らかな
通り
でございます。特に
戰後
におけるところの
勞働者
の自覺によりまして、今日長い間の
炭鑛事業
における
勞働者
の不平不滿、さらに
民主化
の
第一歩
を進めるために必要なる自覺と、
社會的
の
地位
の
向上
を目指して、その
向上
のためにあらゆる
努力
を拂い、
勞働組合
が非常な大きな勢いをも
つて
きておるということも
事實
であります。
事業主
には
幾多
の
資材
、
資金
その他あらゆる
方面
において、國をあげてこれに投じ、さらにまた
勞働者
の方は、そういうふうな
地位
に目ざめ、あるいは
社會的
の
向上
のために、あらゆる
努力
をしておるというこの
事實
の前に立
つて
、
資本家
、
經營者
が、これに對する
獨自
の
立場
から、この要求なり、あるいは
經營
に對する自主的な
實力
をもち得ないのが、これは單に
炭鑛事業
のみならず、各
方面
の
實情
であります。その現實に立
つて
、多くの
國家
あるいは
國民犧牲
においての
投資
、あるいはこれらに對する
犧牲
を、
國家
みずからこれに對して
監督
をする。あるいはまたこれが
管理
という言葉も相當でありますが、そういうふうなことは
當然
であります。この
法案
は、私はいろいろむずかしく考えれば考えられるのでありますが、その
内容
を見てみますならば、
原案
も
修正案
もその
通り
でありますが、第一この
事業
に對する
管理
、
監査
であります。この
經理部面
に對してさわられることが、
事業主
は一番痛いところであります。そうしてこれに對して徹頭徹尾反對する。しかしながら、みずからの
實力
をも
つて
、
獨自
の
立場
においてや
つて
いけないものが
國家
の非常な力を借りておるのでありますから、これに對する
一つ
の
監査
、
監督
を
行つて
、その
經理
というものを、一應明らかにして、こういう
資材
はこういうところに
使つた
と、はつきりさせることは、
當然
なことであると思う。さらにいま
一つ
は、この
事業經營
に對して、私はいろいろ申しますけれ
ども
、この
生産協議會
によ
つて
、すなわち
現場
の
勞働者
が
生産
に對する
發言權
をもつということが、これまた
事業主
が痛いところである。しかしながら、今日の
事業
というものは、斷じて
資本
のみをも
つて
できないことは申すまでもない。
勞働者
の
協力
によ
つて
、初めて
増産
になるのでありますから、この
法案
によ
つて
、
生産協議會
の
勞働者
が
發言權
をもつということは、これは
産業
の
民主化
の
第一歩
であります。しかしながら、いろいろまたその
運營
について、その
構成
について、私
ども
非常な不滿があります。しかしいずれにしても、
第一歩
を踏み出した。
産業
に對する
發言權
をもつということは、
産業
の
社會化
、
産業
の
民主化
の
第一歩
である。それによ
つて勞働者
が
責任
を感じ、みずから
生産
に對して
發言權
を得たということは、
増産
に
協力
するという
具體的
な法的な裏づけをしたということと、私は信ずるのであります。 それから次に、私は時間がありませんから簡潔に申しますが、
事業主
が非常に恐れ、また
勞働者
の方も非常に杞憂しておることは、こういう
國家管理法案
というものは、ややもすると、長い間の
官吏
の
獨善
的な
官僚統制
の弊に陷りやすいので、これをきら
つて
おる。その點については細心の注意を拂い、特に
炭鑛經營
に經驗をもたれるところの議員の中から、鋭くつつこんだ點であります。私
ども
同様にこの點は
運營上
について、この
法案
を
審議
する上においても、ずいぶん檢討した。そのためには、
石炭廳
の
構成
を
民間人
から半分入れるということが原則にな
つて
おる。しかも全
國管理委員會
、
地方管理委員會
の全部をあげて、
民間
と
資本家
と、
勞働者
によ
つて
つくられ、これについては、斷じて
委員
の中には
官吏
がはい
つて
おらないのである。こういうような全
國管理委員會
、
地方管理委員會
が、
國民
の中から、從業員の中から、さらに
業者
の中から出たところの、ほんとうに自主的な、民主的なものである。これをも
つて
、もしこれが
官吏
の
獨善
になるとか、
官僚統制
になるというならば、
民間
から出した、
勞働者
から出した
代表者
が
獨善
だというのであ
つて
、これは決して今日までの
官吏
を責めるのと同じような
理由
にはなりません。そういういろいろなことから進めてまいりまして、私はまず第一に申しましたように、いわゆる
國民
の名において多くの
投資
をし、それによ
つて資材
を得て、
炭鑛從業員
の住宅のために二百億圓という金を來年度に投じようとしておる。
上下半期
における
日本
の
産業
に投じた融資の中で、約四二%という厖大なる
資金
が、
炭鑛業者
に流れておる。それに對して、その
報告
を求め、さらにそれに對して
經理
を明らかにするということは、これは
國民
の
當然望むところであつて
、これは決して私は反對すべきことではないと思うのであります。それからこれは最も重大なことでありますが、この
運營
について、先ほど來申しますように、
官吏
の
獨善
にならないかということでありますが、私はこれは防げると思うのであります。なお一番
増産
の隘路にな
つて
おるところは、
官吏
の今までの非常に非能率的なことが
原因
にな
つて
おりますが、それよりも一層
原因
にな
つて
おることは、
資材
、
資金
を
十分——
あるいは不十分かもしれないが、この
割當
を行う上に、非常にスローモーションである。このことが、
業者
からも
現場
からも、ずいぶん聞いたことでありますが、それに對して、今度は
協力命令
という
規定
があるのであります。これは
石炭事業
に對しては優先的に、あらゆるそれぞれ
關連産業
から、その
犧牲
なり、本人の
意思いかん
にかかわらず、
協力
的に
資材
を注げというのでありますから、
業者
が喜ぶはずである。それを一體どうして拒むかということに、私は不思議をも
つて
おるのであります。この
本案
がいずれになりましても、今後のこの重要なる
生産
に對して、一旦ここで決定されるならば、私は
從業者
も、あるいはまた
業者
の間にも、釋然として
日本
の
復興
のために、大いにこの
増産
のために、せつ
かく
できたこの
規定
を十分に活用するように、また私はいかなることがあ
つて
も、これが相當に論議されることと思いますからして、その
論點
を明らかにして、私は今後の
増産
に、
勞資とも
に
協力
してもらいたいということが念願であります。私が今申しましたように、
本案
に對して
幾多
の
缺陷
と、われわれが
政策
としておるところの
社會黨
の
重要産業
の
國有竝びに國營
からいたしますならば、およそ縁遠いものではありまするけれ
ども
、現状の
石炭事情
、
増産
の
目的
のためには、この
程度
のものを、私はぜひ必要だとして、私は
贊成
の意を表するものであります。
早川崇
13
○
早川委員長代理
平島良一
君。
平島良一
14
○
平島委員
私は
自由黨
を代表いたしまして、
本案
に反對するものであります。その
理由
といたしましては、この
石炭鑛業管理法案
の第
一條
にありまするがごとく、
日本
の
産業
の
復興
と經濟の再建、それを
目的
といたしまして、
石炭
の
増産
をはかろうというのが、この
法案
の
目的
なのであります。ところが同僚諸君の
質疑
に對し、
政府
の答えますところを聽きまして、またその
政府
の
提出
されたる資料等によりまして、私
ども
はまだこの
法案
の施行によ
つて
、
石炭
が
増産
するものなりという確信を得ることはできないのであります。それからこの
法案
によ
つて
、
政府
と
事業主
と、
勞働者
と、三位一體にな
つて
やると、こういうのでありますが、いかにも三位一體になることが、これは絶對必要なのであります。しかしながら、その三位一體になると言われた
商工大臣
のお話のうちにも、今
大矢
君の言われたように、この法律が施行されるときには、今まで反對しておつたものも、
國會
の
意思
を尊重して、喜んで
増産
に精進するであろうと言われるのでありますが、またそうなければならぬと思うものでありまするが、一方において、この
法案
が否決されるときに、
勞働者
の不滿による減産をどうするかということを言われるのでありますが、これは否決されようと、可決されようと、どちらも
國會
の
意思
なのであります。
贊成
したときのみ
國會
の
意思
であり、反對したときのみは
國會
の
意思
でないということはないのでありまして、それを不滿を抱くというようなことを言うておられることは、どちらがほんとうであるかわからぬように私は思います。要するに法律や機構だけつくれば、あとは萬事萬端すらすらいきそうな議論を立てるのは、これまで
國民
がしばしば經驗いたした官僚的淺見であり、欺瞞であるのであります。今囘の
石炭
國管も、このような弊害に陷ることを、私は憂うるものであります。しかして
本案
は政略の具に供せられているようなきらいがあるのであります。これはお聽きください。ひとり私が言うのではないのであります。
社會黨
の議員の中から、これは政略の具に供せられたのであるから反對であるということを、新聞に發表しておるのであります。
かく
のごとくして、はたして本法を施行して
石炭
が
増産
するかどうかということは、私
ども
絶對に得心ができないのである。この法律の施行によ
つて
、
石炭
は
増産
するものなりということを納得せしめなければ、
國民
も承知いたさないであろうと思うのでありまして、私
ども
審議
に當る
委員
でさえ、これが
増産
するものなりという確信を得ないものを、
國民
がこれを
増産
するものなりと納得するものは絶對にないのであります。
かく
のごとき
意味
合いから、また本日
提出
されました
修正案
にいたしましても、ただいま
商工大臣
のお話のごとく、
原案
と大同小異なものであると言うておられるのであります。そうして私
ども
はまだこれを讀む機會も與えられないほどでありまして、この
原案
及び
修正案
につきまして、私
ども
は絶對に
増産
せざるものなりという
建前
から、ここに反對の
意思
を表明し、これを否決されんことを望むものであります。
早川崇
15
○
早川委員長代理
生
悦住貞太郎
君。
生悦住貞太郎
16
○生悦住
委員
私は
本案
につきましては
贊成
の意を表するものであります。
本案
は組織法でありまして、
増産
になるかならぬかという議論は、すでに盡されておると思います。もちろん
本案
を通過させることによ
つて
、
増産
は可能であることを斷言いたします。これにつきまして、私は
政府
に注意要項をして、ここに附帶決議に代るものを
政府
に強く要望するものであります。 一、本法の施行は
政府
において本法の
目的
達成 に必要な
資金
資材
の確保配分に關する
實施
機 構を速やかに整備し、時期的遲延を招かざる ようこれを行うこと。 二、
政府
は勞働の
生産
性昂揚が本法の
目的
達成 上必要な意義を有することに鑑み、
從業者
の 厚生對策に萬遺漏なきを期するとともに、勞 資の完全なる融合に全力を盡すこと。 三、
政府
は
關連産業
に對する
協力命令
發動にあ た
つて
は愼重を期し、いやしくも他
産業
の運 營を不當に停滯抑壓せしめるがことなきを期 すること。 四、
政府
は本法の
重要性
に鑑み、特に關係
官吏
の
責任
を明確にし、綱紀を振肅し、眞に公僕 たる本分を嚴守せしめるよう措置すること。 この四項目を強く要望して、
贊成
するものであります。
早川崇
17
○
早川委員長代理
これにて
討論
は終結いたしました。これより採決をいたします。まず
松本七郎
君より
提出
せられました
修正案
について採決いたします。この
修正案
に
贊成
の諸君は起立を願います。
早川崇
18
○
早川委員長代理
起立少數。よ
つて
この
修正案
は否決されました。 次の
原案
について採決をいたします。
贊成
の諸君は御起立を願います。次に
原案
について決をとります。
贊成
の諸君は御起立を願います。
早川崇
19
○
早川委員長代理
起立少數。よ
つて
原案
は否決されました。 この際一言御挨拶を申し上げます。これをも
つて
臨時石炭鑛業管理法案
の
審査
を終了いたしたのでありますが、顧みますれば九月二十五日
本案
が付記されて以來三箇月、その間本
委員會
といたしましては、二十八囘にわたる
委員會
を開き、さらに四日間に及ぶ
公聽會
を開きまして、長日月にわた
つて
審議
を續けてまいりました。ここに
委員長
初め
理事
及び
委員
の各位に對しまして、最後にその御
努力
に對し、厚く御禮申し上げる次第であります。 これにて散會いたします。 午後五時二十六分散會