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1947-10-25 第1回国会 衆議院 鉱工業委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十月二十五日(土曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 伊藤卯四郎君    理事 大矢 省三君 理事 岡田 春夫君   理事 生悦住貞太郎君 理事 澁谷雄太郎君       今澄  勇君    衞藤  速君       松本 七郎君    萬田 五郎君       村尾 薩男君    生越 三郎君       庄  忠人君    長尾 達生君       西田 隆男君    長谷川俊一君       三好  勇君    深津玉一郎君       淵上房太郎君    山口六郎次君       前田 正男君    高倉 定助君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君         商 工 大 臣 水谷長三郎君         國 務 大 臣 和田 博雄君  出席政府委員         石炭廳長官   菅 禮之助君         石炭廳次官   吉田悌二郎君         商工事務官   平井富三郎君         商工事務官   石坂善五郎君  委員外出席者         商 工 技 官 小岩井康朔君         專門調査員   谷崎  明君         專門調査員   保科 治朗君     ――――――――――――― 十月二十三日  日立鑛山水害復舊特別融資に關する陳情書  (第四六九號)  關東信越地區鑛山水害復舊對策に關する陳情書  (第四七  一號)  金属鑛業復興對策に關する陳情書  (第四七七號) を本委員會に送付された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  臨時石炭鑛業管理法案内閣提出)(第六四  號)     ―――――――――――――
  2. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これより會議を開きます。  前會に引續き臨時石炭管理法を議題とし、質疑を繼續いたします。淵上房太郎君。
  3. 淵上房太郎

    淵上委員 先般公聽會速記録を早く配付していただきたいとお願いいたしておきましたが、委員長、どういうふうになつておりましようか、經過を…。
  4. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 大體東京の方が印刷が容易に運びませんので、他縣の方に出して至急今印刷をやらしております。
  5. 淵上房太郎

    淵上委員 どうも質問が非常に長くなりまして恐縮でありますが、一昨日私は國家管理國營という問題に關連して質問しておりますときに、關連のないことをなるべくやめてくれという御注意がありまして、これは法文の條文の問題よりはまだ根本的の問題でありまして、國營の問題、ナシヨナリゼーシヨンという問題について、與黨三派間で御協議の最中、新聞で見れば、あるいはパブリツク・コントロールの御意見もあつたやに聽いておるのであります。決して關連のない問題ではなかつたということを申し上げて、あまり阻止はなさらぬようにお願いしたのでありますが、この機會委員長にさらに私はお願い申し上げたいと思います。連日ずつといろいろ伺つておりますが、ときどき尋ねることをお答えにならずに、顧みて他を言われるような御答辯が、この間うちもあるのであります。何遍も何遍も繰返し聽いても、のらりくらりと、ほかのことを言われるようなことがあるのでありまして、審議阻止になり、議事進行を妨げるような場合がある場合においては、大臣なり政府委員に對して、委員長からも御注意していただくようにお願い申し上げたいと思います。  資材の問題について先般來いろいろお伺いいたしたのでありますが、安本長官もお見えでありますから、重ねてお伺いしたいと思います。資材の非常に拂底しておることは、いまさら申し上げるまでもないのでありますが、二十一年度入手状況を顧みてみまするに、第一・四半期平均八五%であり、第二・四半期平均八〇%に落ち、第三・四半期の昨年の今ごろは、かなりひどくなりそうであつたので、それぞれ政府においても對策を講じておつたように記憶いたすのであります。はたせるかな、平均六〇%に落ちたのであります。從いまして、三月危機という言葉が生れてまいりまして、昨年の年末は特別の措置を講ぜられたのでありまして、第四・四半期には、比較的よくはいつたやに記憶しておるのであります。しかしながら、本年度に入りましても、依然として決してよくならぬのでありまして、二十二年の第一・四半期においては、壓延鋼材におきましては、所要量に對しまして、わずかに七三%しかはいつてない。これが第二・四半期にはいりまして五四%に落ちておるのであります。銑鐵につきましても、所要量に對して入手量は、第一・四半期が五八%、第二・四半期は三〇%に落ちておるのであります。釘については第一・四半期が八四%、第二・四半期至つて三五%に落ちておる。針金、鐵線のごときも、たとえば第一・四半期に三五%、第二・四半期が一五%に激減しておるのであります。こういうふうにあげてまいりますと、たくさん率は出ておりますが、非常に心細い状態になつておるのであります。當面石炭出炭増産ということから、こういう資材状況では實に憂慮に堪えないような状況であるのであります。よほど政府におかれましても、また國民も一緒に協力して、強力なる措置を講じて推進しなければ、とうてい所期の出炭を見ることはできないのじやないか、かように思うのであります。しかるに先般政府では、來年度から五箇年の出炭計畫を發表されたのでありますが、これに關しましては、繰返し繰返し商工當局に御所見伺つたのでありますけれども、私はまだ滿足のできるような御答辯に接し得ておらぬのであります。この五箇年計畫につきまして、たとえば二十三年度に三十三萬トン出す、この出炭のために所要資材がどれだけ要るかということをお尋ねいたしたのでありますが、それに對しまして政府から資料が出ておるのでありますが、普通鋼材については十三萬一千四百トンあればよろしい、銑鐵については三萬六千三百トン、鐵鋼製品については二萬八千六百トン、セメントにおいては十四萬三百トン、こういう數目にわたつて御發表いただいておるのであります。しかしたとえば普通鋼材につきましては、二十一年度入手量實績は六萬五千八百八十九トンでありまして、來年度所要普通鋼材十三萬トンといたしますならば、昨年の入手量約二倍を必要とするということに相なるのであります。銑鐵につきましては、二十一年度入手實績は九千百七十トンであります。來年度所要の量は三萬六千三百トンでありますので、昨年入手實績の約四倍を必要とするということになるのであります。鐵鋼につきましても、同様に約二倍、セメントにつきましても、昨年の入手實績の約四倍の數量を必要とする。こういう厖大なる資材が、はたして入手できますかどうか、これが私は今日において心配でならぬのであります。この間からも伺つたのでありますが、賠償物資として施設の撤去されるような關係もあるのではないかと思うのでありますが、これは十分見てあるのだという商工大臣お答えであるのでありまして、その點は了解いたしましたが、これだけの資材を經濟安定本部としては、來年度にはたして確保することができるかどうか、私は非常に危んでおるのであります。この所要量の見積りにつきましても、業者側から言えば、あるいはこれでとうてい足りないと言うかも知れぬと思うのでありますが、一應商工省の御計畫の數量だけを見ましても、ただいま申し上げますように、はたしてこれだけが確保できるかどうかきわめて疑問だと思うのであります。先般商工大臣は、この五箇年計畫を立てるについては、經濟安定本部と大體の了解ができており、これくらいの資材は入手できるという見透しの上で、この計畫を立てておるのだという御説明があつたのでありますが、私は安定本部長官に對して、はたして確信をもつておられるかどうか、もしもこれに確信がないといたしますならば、三千三百萬トンは晝に書いた餅に終るのでありますが、安本長官はどういうふうにお考えでありますか、お伺いいたしたいと思うのであります。
  6. 和田博雄

    和田國務大臣 お答えいたします。來年度物資需給計畫につきましては、輸出計畫とか輸入計畫とも關連いたしますので、安定本部で實はただいま愼重に檢討を加えておるところでございまして、經濟安定本部としてまだ最終的な決定には至つてはおりません。しかし來年度出炭を、三千三百トンにするということにつきましては、これはこの計畫が實際確保されますように、その資材につきましても、實はわれわれの方として、それを確保するという方針で、檢討を加えておるのでございます。ただいま數字等につきましては、ただいま申しましたように、まだ最終の決定には至つておりませんが、鋼材について昨年度數字をあげてのお話でありましたが、今年度豫定としましては、大體八萬三千トンくらいの鋼材豫定を、經濟安定本部としてはいたしておるわけでございまして、このものについて、われわれとしては一應第一・四半期では二萬一千トン、第二・四半期二萬一千トン第三・四半期二萬二千トンというのを、割當に對して配當いたしておるのでありまして、ただいまの資材の點につきましては、これは石炭が基礎でありますので、經濟安定本部としましても、必要な數字につきましては、十分檢討を加えて、ぜひ確保していきたい、こういうつもりで、あらゆる施策に檢討を加えておるのでございます。
  7. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 この際委員長から御希望を申しておきたいと思いますことは、先ほど淵上君から御要望もありましたように、政府側においても、きわめて明快なる答辯をしていただきたいということ、さらに淵上君にも御希望を申しておきたいことは、今まで審議中にかつて前例のないというほどの委員長は寛大にしまして、すでに淵上君にも今日まで六日間の質疑の繼續を許しているのであります。從いまして、重複しないように、法案を中心にして質疑をしていただきますよう、特に要望しておきます。
  8. 淵上房太郎

    淵上委員 御注意はよく拜承いたしました。ただ何遍聽いても、何日かかつても、納得がいかなければ、結局審議が終らないのでありますから、納得のいくまで御説明願いたいと思うのであります。何日かかりましても、この重大なる法案のことでありまするから、納得させていただくような答辯をお願いしなければ、いたずらに囘數を重ね日を重ねるだけであります。どうぞ委員長におかれましても、さよう委員會運營をお考え願いたいと思うのであります。  ただいま安本長官から御説明がありましたが、この乏しき中に非常なお骨折りを願い御苦心を願つて資材の確保を期するという御決意でありまして、まことに心強く思つておりまするけれども、ただいまの御答辯模様では、できるだけ確保したい、そのつもりでおるのだ、最善の努力をするのだという御趣旨に拜承するのであります。從いまして、三千三百萬トンは、資材がなければ出せないぞということに結論が相なるのであるます。繰返し先般から伺つておりまするが、そういう結論しかつかみ得ないのでありまして、まことに殘念に存じます。これは重ねてお伺いしてもこれ以上の御答辯はできぬかと思うので、しばらくこのまま保留いたしまして、次に進みたいと思います。  先般もちよつとお伺して、まだ結論に達していないのでありますが、來年度は新坑から二十萬トンを出す計畫だということでありますが、新坑は掘進して出炭するまでに相當の日子がかかるのが普通であります。資材の面から大體二十萬トンは出せるという御説明があつたのでありますが、新坑は在來坑に比較して、もちろん厖大資材が要るのでありまして、どれくらいの資材が要るか、御説明をお願いしたいと思います。
  9. 石坂善五郎

    石坂政府委員 新坑開發用資材として、ただいま安定本部と折衝中の數字は、昭和二十三年度の分として普通鋼材九千四百トン、銑鐵三千四百トン、鐵鋼二次製品千百トン、セメント二萬四千四百トン、抗木三十九萬七千石、一般用材五萬九千石ということになつております。
  10. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 淵上君に申し上げますが、大藏大臣和田國務大臣がお見えになつておりますから両大臣に對する質疑の方からお先きに願います。
  11. 淵上房太郎

    淵上委員 それに先立つてまず關連することをお伺いしたいのです。先般岡田委員から質問がありまして、坑夫の勤勞所得税について質問があつたのであります。それからその後新聞によつて、大體どういうふうの取扱いにしようかという政府では御協議模様をこちらほら拜見しておるのでありますが、私はこの際まず商工大臣にお伺いしたいと思うのであります。炭鑛坑内夫の仕事というものは、申すまでもなく非常な重勞働でありまして、先般七月二日でございましたか、加藤勘十君の質問の際に言われておりましたが、日本は世界に類例のない高率災害死傷者數を出しておる。石炭萬トンあたり災害による死亡者の數が、英米においては二人ないし四人程度のものであるのに、わが國では實に十一人ないし十四人という驚くべき高率を示しておる。負傷者も三人について二人というような數字であるということを、加藤君は言われておりましたが、このたび石炭廳の御説明によりますと、さらに高率であるので、私は非常に驚いておるのでります。一年に千人あたり災害による死亡者が、十九年度においては四人八分、二十年度においては三人五分、二十一年度においては二人七分。百萬トンあたりにつきましては、十九年度において死亡者が四十名、二十年度において四十八名、二十一年度において四十一名。加藤君の數字に比較してはるかに高率を示しておるのであります。申し上げるまでもなく、坑内の重勞働であることはもちろんでありますが、殊に落磐のおそれもあり、ガス發生心配もあるのでありまして、私はこの際、直接間接を問わず、坑内夫勤勞所得税を全免してもらいたい、かように政府要望したいのであります。これは先般も申しますように、どうも坑内夫になりたがらぬ。殊に勞組の幹部なんかの人は、坑内夫はほとんどやらぬのでありまして、坑内夫増産意欲を高揚せしめるために、特にそれくらいの奮發はしなければならぬ。これはすなわち炭鑛從業者全員希望である。あるいは經營者側から言いましても、出炭能力があがることは當然でありまして、喜ぶべきことであります。私は八千萬國民要望として、政府坑内夫勤勞所得税は全免するという措置に出られることを、お願いしたいと思うのであります。水谷商工大臣は、こういう坑内夫勤勞所得税全免につきまして、大藏大臣と御交渉なさいましたことがあるかどうか、お尋ねいたします。
  12. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの御意見は、なかなかむずかしい問題でございまして、社會黨といたしましても、第九十議會、第九十一議會におきまして、自由黨石橋さんが大藏大臣をやつておられましたときにも、勤勞所得税のある程度の免税點の引上ということも唱えて修正案を出したのでありますが、當時の石橋大藏大臣は、それをお容れになりませんでした。ことほどさように、勤勞所得税免税というものは、今の財政上、税制上におきましても、これはとうてい不可能なことでございますがゆえに、從つてわれわれといたしましては、坑内夫所得税についての特別措置考えておりますが、ただいま淵上さんが申されましたように、全免ということは、商工大臣としても、かつて一度も考えたことはございません。從つて大藏大臣に對して、そういうことを折衝したことはございません。
  13. 淵上房太郎

    淵上委員 私は、ただいま申しますように、ひとつ全免してもらいたいということを、政府においてもう一遍御考究になつたらいかがかということを提唱いたしたいのであります。大藏大臣にお尋ねいたします、坑内夫勤勞所得税は、かりに年一人一萬圓といたしましても、坑内夫が二十二、三萬か四、五萬くらいしかおりませんので、わずかに二十四、五萬圓であります。練達堪能な大藏大臣は、それくらいなへそくり財源がないくらいで豫算編成がおできにならぬこともあるまいと思います。石炭増産重要性に鑑みまして、本年から早速坑内夫勤勞所得税の全免をやつていただいたらいかがかと思うのでありますが、大藏大臣の御所見を伺いたいと思います。
  14. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 お答えいたします。現下の財政は、この戰爭中十年間の赤字財政、さらに終戰以來極端なインフレーシヨン、物價騰貴による赤字財政によつて、非常な危殆に瀕しておるのであります。私は、財政が囘復をして、正常なる状態に置かれた場合におきましては、軍備その他の費用などというものは、從來要つたものは、要らなくなるのであります。これを文化、あるいは生産増強、あるいは勤勞階級の税の負擔の輕減というような方面に差向けていつて、そうして最も平和日本にふさわしい財政、税の負擔というようなこともいたしてみたいという理想はもつておるのでありますが、現状におきましては、地方財政は申すに及ばず、中央の財政も困窮をきわめておるのであります。しかして収入の面におきましては、租税収入収入の大部分をなしておるのであります。また租税収入の中におきましても、勤勞所得者に對する税というのも、相當大きな部分を占めておるのでありまして、これをただいま坑内夫に對する勤勞所得税の全免というお話がありましたが、この數字についても、さように小さくなつておらぬかと思うのであります。これはそういうことをいたしますれば、波及するところは大きな部門にも及ぶのでございまして、こういう窮迫した財政のもとにおいては、これを實行することはできないと思うのであります。しかし勤勞所得者に對する負擔の輕減ということは、十分考えたい、こういう現在におきましても、事情の許す限り、財政の許す限りは考えたいと思いまして、今囘の追加豫算あたりましては、議が確定いたしますれば、こういうような方法をとりたいと思うのであります。すなわち勤勞所得税に對する控除を二割から二割五分に引上げるのでございます。そうしますと、大體五萬圓から課税というくらいになるのであります。それから扶養家族控除を、月一人二十圓を四十圓に引上げるのでございます。そういたしますと、月に大體百四十二圓の輕減となると思うのであります。この輕減は大體年収十五萬圓くらいの勤勞所得者は均霑ができると思うのであります。そうしてなお百四十二圓の輕減は、七月に遡及してやりたいと思つております。從つて七月、八月、九月、十月の額だけをこれは六百圓弱になると思いますが、お返しをしたいと思うのであります。これはあるいは十一月か、早い機會において支拂いと差引き拂いをしてお返しをしたい、かように考えておる次第でございます。それからなお今囘の追加豫算では、まだはつきりではありませんけれども、それは遠からずきまると思いますが、きまりますと、勤勞所得者に對しても、高率所得者に對しては、税率引上げをするのでありますけれども、七萬圓未滿のものに對しては、税率引上げない、こういうふうにいたしたのであります。そこで普通の勤勞所得者は、増税の負擔をしなくてもよいようになると思います。なお炭鑛におきまして、坑内に勤勞されるところの人の超過所得についての税の輕減ということをただいま考えておるのでありますが、その方法等は目下研究中であり、なおその筋にも交渉中でございます。これも何かの方法でいずれできるようになるのではないか、こう思つておる次第であります。
  15. 淵上房太郎

    淵上委員 私は坑内夫勤勞所得税を、それが財源として何十萬圓になるか知らぬが、思い切つて全免するという態度まで、ひとつ腹をきめていただく必要がある。これがすなわち當面増産奨勵に一つの有力なる方法だ、かように思うのでありますが、さらにひとつ商工省當局大藏省も御研究おき願いたいのであります。  次に特定産業向け石炭販賣價格の價格差の問題であります。これは數量は大體本年度は一千萬トンだということでありますが、かりに三千萬トン計畫で一千萬トンだとすれば、來年度は一割増の一千百萬トンくらいかと想像いたします。そうしますと、基準價格六百圓引いた差額三百六十圓の一千百萬トン分でありますから、約四十億補給金が要るのであります。これは間違いなく、來年度豫算に計上していただけるものだと思います。これがもしやれないようなことがありますと、結局資材ができなくなるのであります。この點念のため大藏大臣にお伺いしたいと思いますが、必ず補給金は四十億ばかりは計上できることになつておるかどうかをお伺いしたいと思います。
  16. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 二十三年度豫算につきましては、まだきまつておらぬのであります。方針もきまつておらぬのでありまして、ここではつきり御返事をすることはできないと思うのであります。ただ今日のような情勢が續き、なお財政が許す範圍においては考慮もいたしたいと考えておる次第であります。
  17. 淵上房太郎

    淵上委員 これは本年竝びに來年度の問題でありますが、單に考慮するというくらいでは、結局石炭生産のために必要の資材ができなくなるのでありますので、ぜひともひとつ計上していただかなければならぬと思うのであります。さらにもう一つお尋ねいたしたいと思いますが、二十三年度からの石炭五箇年計畫におきまして、先般政府からの御提出による資料によりますれば、企業設備資金が百二十八億要るというのであります。増加運轉資金が十六億圓要ることになつているのであります。なおまた炭住資金が九十七億、合計しますと二百四十一億圓という資金が、その三口で要るのであります。まずお尋ねいたしたいのは復興金融金庫石炭のために融通せしめる資金額は、どれくらいに本年度はおとりになつているのか、どれぐらい融通せしめ得られるか、それをお尋ねいたしたいと思います。
  18. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 今年度石炭に對する資金額は、實は復興金融金庫につきましては、過日國會の御協贊を經て、三百億の増資をいたしているというような次第でございます。この三百億は本年度内にすべて使つてしまうと思うのであります。そのほか復興金融金庫といたしましては、囘収の資金が相當出てくるのであります。こういうものを加えますと、やはりこの年度内に使い得る金は、五百億は超えるだろうと思うのであります。そして配分といたしましては、大體三月ごとに大體の計畫を立てて、配分をいたしているのでありまして、さらに毎月毎月にも情勢に應じて調整をとつているような次第であります。ただいまは第三・四半期について、その配分をいたしているのであります石炭年度内までの資金は、これくらいの用意がしてございますので、十分賄い得ると思うのであります。それからさらにもし不足を見るようなことがございますれば、さらに増資とか、あるいは日銀資金の解放というようなことから、この貸出ができるのでございまして、この所要金額を毎月毎月いくらにしていくかということは、今後の情勢によつてみなければなりませんが、その所要金額がきまれば、それを十分カヴアーするだけの資金は、供給ができると申して差支えないと思うのであります。
  19. 淵上房太郎

    淵上委員 大藏大臣に對する質問は、一應これでよろしゆうございますから、どうぞ……。  新坑の二十萬トン質問關連する質問を、先ほどからいたしておりましたが、先ほどお示しの資材は、私は既設鑛、在來鑛にお使いになつた方が、かえつて出炭の上からいいますと、效果が上がるんじやないかと、かように私は考えておりますが、商工大臣はどういう考えをおもちになつておりますか。
  20. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの淵上さんの御意見は、現在の資材その他の關係から、新坑の開發に手をつけるよりも、舊來炭鑛施設充實という點に重點をおく方がいいじやないかというお尋ねでありましたが、これはこの間の經營者會議の場合におきましても、ある經營者からそういうようなお言葉をいただきましたのですが、先に示しました五箇年計畫によりましても、やはりある程度の新坑の開發ということに手を染めなければ、出炭のカーヴが上がつていかないのでございまして、われわれといたしましては、その舊來炭鑛施設充實と新坑開發というものを、どのように適當に調整しなければならぬかという點に、留意いたしましてやつていきたい、このように考えておる次第でございます。
  21. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 淵上君にお尋ねしますが、和田國務大臣に對する質疑は終りましたか。
  22. 淵上房太郎

    淵上委員 あとで關連して出ますが……。
  23. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 なるべく和田國務大臣に對する質疑からお先に願います。
  24. 淵上房太郎

    淵上委員 二十萬トン石炭がすぐ來年にでも出るということを前提に立てたところの構想のようでございますが、一體二十三年度のうちに、かりに一萬トンずつ出る山が二十としますと二十萬トンになりますが、どことどこからお出しになるつもりですか。私は新坑で第一年度からそうすぐに出るところはないと思いますが、具體的にどういう御計畫でおられますか。
  25. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 山の名前を示せということでございますが、それは今ここで言うことは差控えたいと思います。大體二十三年度におきましては、出炭炭鑛七、掘進炭鑛二十二、これによる出炭は二十萬トンという目途のもとにやつていきたい。このように考えている次第でございます。
  26. 淵上房太郎

    淵上委員 出炭炭鑛七鑛と申されますとすでに著炭して出ているところで新坑でないかと思いますが、これはやはり新坑のつもりでおられるのかお聽きします。
  27. 吉田悌二郎

    ○吉田政府委員 出炭炭鑛と申ましすのは、やはり新坑を開發いたしまして炭の出るのが七、出ないのが二十二、こういう意味でございます。
  28. 淵上房太郎

    淵上委員 著炭しているのですか。
  29. 吉田悌二郎

    ○吉田政府委員 全然新しい坑區を開發いたしまして、來年度のうちに炭の出るのが七つという豫定でございます。
  30. 淵上房太郎

    淵上委員 今の御説明によりますと、掘進が二十二鑛これは來年から出る山ではなくして、著炭の七鑛から二十萬トン出るという御構想でありますか。
  31. 吉田悌二郎

    ○吉田政府委員 炭の賦存状況により炭層に沿つてつていきます場合には、炭が出ますけれども炭層に沿わずに、掘る場合がございます。そういう場合には、掘進で來年度に出ないようになります。
  32. 淵上房太郎

    淵上委員 掘進の二十鑛は來年度出ない山と解釋してよろしいですか。
  33. 吉田悌二郎

    ○吉田政府委員 さようでございます。
  34. 淵上房太郎

    淵上委員 出る山が七鑛、七鑛から二十萬トンとれるつもりでおられるか、承つておきます。
  35. 吉田悌二郎

    ○吉田政府委員 さような豫定でございます。
  36. 淵上房太郎

    淵上委員 この七鑛の名前は控えたいという大臣の御説明でございますが、どういうわけでお控えになるか、發表されて構わぬと思いますが、どこどこでございますか。
  37. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 それは豫定でございますので、今正確に名前を申し上げない方がよいと思います。
  38. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 靜肅に願います。
  39. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 靜肅に願います。
  40. 淵上房太郎

    淵上委員 ただいまの御説明の二十萬トンは、私は出ないのを出るという數字をあげられたにすぎないと思うのですが、もう少し明快なる御説明を願いたい。
  41. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 この出炭炭鑛七の點でありますが、これは鑛業權その他いろいろな點がありまして、今何んでございますが、後刻差支えない程度で、滿足いただけるかどうかしりませぬが、お答えしたいと思つております。
  42. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 質疑の繼續を願います。
  43. 淵上房太郎

    淵上委員 秘密會にして、ひとつお教えいただきたい。
  44. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 暫時休憩し、理事會を開きます。     午前十一時三十分休憩     ―――――――――――――     午前十一時四十五分開議
  45. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 休憩前に引續き會議を開きます。水谷商工大臣
  46. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの御質問の點は、この程度でひとつ御勘辯を願いたいと思うのですが、二十三年度出炭炭鑛の七は、計畫している山は遠幌地區で五萬トン、三井、福住二萬トン、太平洋地區で五萬トン、赤平で二萬トン、沖の山一萬トン、小倉一坑で二萬トン、杵島五坑で三萬トン。合計二十萬トン
  47. 淵上房太郎

    淵上委員 新坑を開發なさいますには、これにかかるために、御承知のように各般の設備を整えてかかつていかなければならない。人間もまたそこにいかなきやならぬ。住宅も考えなければならぬ。ただいま遠幌で五萬トンという御計畫でありますが、その山について五萬トン來年度出すだけの準備として、どれだけの手配ができているかをお伺いいたします。五萬トン一年に出すには、月に少くとも何千トンずつかの平均になりましようが、どれだけのかかるための設備ができるか、その計畫をお示し願いたい。
  48. 小岩井康朔

    ○小岩井説明員 遠幌地區は、現在夕張の炭鑛の一部で、鑛區があるのでありますが、夕張炭鑛といたしましては、現在夕張鑛がだんだん出炭が少くなつてまいりますので、この地域の開發をしようという考えをもつておられまして、著々計畫は進んでいるようでありますが、政府といたしましては、この地域は非常に優秀な地域でありまして、今後早急に新坑として開發の必要がありますので、とりあえず來年度から出炭を五萬トンくらいに見込みまして、現在の夕張炭鑛出炭計畫よりも急速な出炭態勢にもつていこう、こういう考えでおります。資材、住宅につきましても、大體炭鑛側の計畫を十分斟酌いたしまして、それよりも増強のできる住宅なり資材なりの計畫を進めるつもりであります。大體すでに計畫の一部を著工いたしまして、來年度におきまして五萬トン大丈夫出炭できる、こういう確信をもつております。
  49. 淵上房太郎

    淵上委員 たとえばまず從業員は何人くらい要るかお知らせ願いたい。人間の數はどういうふうに御計畫になつておりますか、それをまず伺います。
  50. 小岩井康朔

    ○小岩井説明員 細かい開發に對する人間の數、これももちろん計畫してございますが、ただいまちよつとこちらに資料を持つておりませんので、ただいま取寄せまして人數の御説明をいたしたいと思います。
  51. 淵上房太郎

    淵上委員 ただいま大臣のお示しになりました七坑につきまして十分聽き取れなかつたのでありますが、各山の名竝びに設備規模、どういう御計畫であられるか、はつきりした數字をなるべく早く御提出願うことにいたしたいと思います。委員長からしかるべくお手配願いたいと思います。しかしこの新坑二十萬トンにつきましても、さらに繼續して審議をいたしたい、かように私は考えておるのでございます。委員長よろしゆうございますか。
  52. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御要求の資料は、できるだけ早く政府から提出いたさせます。
  53. 淵上房太郎

    淵上委員 できるだけ早くでは困るのであります。先ほどお話のように、大分まだ審査しなければならぬ問題が殘つておりますし、それからまた、いろいろ各方面から、また私もさらに伺いたいのであります。委員の諸君も順番が早くくるのをおまちになつておりますので、月曜の日にでもひとつお出し願いまして、それによつて次會にさらに質問を繼續いたしたい。さようにいたしたいと思います。  炭價の問題につきまして伺いたいと思います。最近米價も千七百圓から俵代、奨勵金合して千八百圓にするというように御決定になつたように、新聞で拜見したのであります。そうしますと、五百五十圓の米が千八百圓になると、約三倍二分くらいの値上り方になつておるわけであります。この考え方からいたしますれば、石炭の方も三百四十六圓で現にあつたのであります。これを三倍二分にすれば、千五百五圓くらいにしてしかるべきだと思うのでありまして、經濟安定本部におかれましては、あくまでも物價體系を堅持していかれるという御方針は、ごもつともでありまするが、ほんとうに必要やむを得ない場合におきましては、ただいまの米價の改訂のごとく、炭價につきましても、御考慮を願わなければならぬのじやないかと思うのであります。先般御發表になりました増炭非常對策要綱の基本方針の第二項には、炭價の引上げはやらないということを、はつきりお示しになつておりますけれども、これは理想であつて、先般この委員會でも私もお尋ねしたのでありますが、現在かりに千三百圓とか、あるいは千四百圓とかかかるものといたしましても、掘れば掘るだけ三百圓も四百圓も損害がいく、そういうことでは結局石炭は出ない。増炭の緊急重要な觀點から考えまして、安本長官は特に御考慮をなさいます餘地はないかどうかを、まず伺いたいと思います。
  54. 和田博雄

    和田國務大臣 炭價につきましては、この片山内閣ができまして、新しい物價體系を立てますときに、七月ですか、物價について第一次に發表した中で、最初に炭價の改訂をやつて、それからずつとほかのものを改訂してきたわけでありまして、その際に、いろいろの要素を織りこみまして、原價計算してやつたわけでありまして、今炭價をかえるという考えは、新しい物價體系の堅持という建前からいたしましてございません。それから米の方は、これはやはり新しい物價體系の一環としてきめたわけでありまして、二十二年度の新しい産米できめた。こういうことに相なつておるのでございまして、ただいまわれわれの方といたしましては、各炭鑛につきまして、原價の監査をやつておる次第でございます。當分價格體系堅持という見地からいきまして、炭價をかえるという考えはございません。
  55. 淵上房太郎

    淵上委員 物價體系の七月五日に發表になりましたあの直後に、たとえば坑木につきましては、當時石百六十五圓であつたものが、二倍に上つておるのであります。火藥につきましても、非常に上つた。物價體系の堅持されることは必要であろうし、また政府としても極力これを堅持していかれるという御方針も一應わかるのでありますが、すでに今申しますように、坑木なり火藥なりは、その後に上げておられる。火藥は一トン十二、三圓であつたものが七十八圓に上つておるのであります。九百五十六圓八錢の炭價に比較しますと、〇・0八%約一割近くの値段を占めるのであります。火藥は一トンの石炭に一發ないし二發要るそうでありますが、今申しますように、炭價の約八分は火藥代になるのであります。物價體系確立後においても、すでに坑木なり火藥なりは引上げを行われておるのでありまして、ただいま安本長官お話のように、炭價は引上げないと言われることは、私は石炭が出ないということになると思うのでありまして、これはどうしても何かひとつ考慮をするという態度にお出にならなければ、いかぬのじやないかと思うのでありますが、火藥あるいは坑木については、すでに七月五日以後に上つておるのであります。炭價につきましても、絶對にと言わずして、もう少し何とか考慮の餘地があるというふうにお考えにならないものでございましようか、重ねてお伺いしたいと思います。
  56. 和田博雄

    和田國務大臣 お答えいたします。この炭價をきめますときには、原價の中にはいつてきますもので價格が改訂されるものは、すべて實は織りこみ濟みなのでございまして、從いまして、ただいまのお話のように、炭價を改訂いたすということは、やらない考えでおります。
  57. 淵上房太郎

    淵上委員 現在の九百五十六圓八錢の炭價の中には、給料賃金、雜給、賞與、手當、こういうものが五百二十七圓であります。それから福利厚生費が五十三圓であります。兩方合わせまして炭價の約六〇%は人件費になつておるのであります。現在のこの物價情勢ではとうていやつていけないというので、勞働組合からいろいろ要求が出ておるやに聞くのでありますが、これによりますれば、坑内夫がまず平均八千圓、坑外夫が六千圓、相當の要求が出ておるのであります。こういう全部をそのまま御承認にはならないかもしれません。あるいはお話合いである程度は妥協ができるかもしれないと思うのでありますが、人件費はさらにだんだん殖えていかなければならぬ。そういたしますれば、この話ができなければ石炭は掘る人が掘らなくなる。それでもなお物價體系を堅持して、石は出なくてもかまわぬ。物價體系だけは畫に描いた餅をそのままいつまでも温存していく。石が出なくてもかまわぬというお考えになつておりますか、重ねてお伺いしたいと思います。
  58. 和田博雄

    和田國務大臣 私は増産に對します考え方で、少し御意見を異にしておるわけでありまして、ただ炭價をどんどんかえていつて、賃金を自由に上げていく、炭價をまた上げていく。こういうことが、このインフレーシヨンにおいてつくならば、増産がいくというような簡單なものではないのであります。これはぐるぐるまわりを結局やつていくことになるわけでありますから、實は炭價をきめますときに、生産費につきましては、その當時の平均的な賃金額に、石炭鑛業連盟と全炭協との協定によつて平均賃金に一二%を加えた額を賃金といたしまして、炭價を決定しておる次第でありまして、しかもその操業度は、月産二百十五萬トンという程度に想定してあつたわけであります。そこでわれわれといたしましては、これはやはり經營の方も十分合理化していただいて、増産をやつていく。こういう方面にどうしてもやつていかなければ、片方でインフレーシヨンを促進する政策をとりながら増産を行つていく。こういうことは、結局において増産にならない。こういうような考え方をもつておるわけでございますので、今度の價格體系というそのもとにおいて、經營の合理化を行い、そしてこの間も四日間にわたりまして、企業者の方や勞働組合の方々ともお話をいたしたわけでありますが、そのときにも十分にわれわれの方としての考え方を申し上げたわけでありまして、ただいまのところ、やはりこの炭價をもちまして増産をやつていただきたいと考えておる次第でございます。
  59. 淵上房太郎

    淵上委員 勞働組合側からの要求は、現在の約三倍になつておるのであります。先ほど申しました現在の九百五十六圓八錢の中に、人件費が六〇%を占めておるということは、五百七十三圓が人件費だということになるのでありまして、これを約三倍にみますと、千七百十九圓になる。これが人件費。それを六十分の百に逆算しますと、炭價は三千圓であつてしかるべきだという一應の見方もあるのであります。殊にこの勞組の要求は、日本鑛山勞働組合等も一緒にはいつておるのでありまするが、商工大臣の所屬せられておられまする社會黨におかれましては、今までの日鑛あたりの支援を受けておられると思うのでございますが、商工大臣はこの要求に對して、どういうふうにお考えになりますか、お尋ねいたしたいと思います。
  60. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 前にも繰返して申し上げました通り、炭價の問題が經營者側にとつては、非常な重大な問題であるとともに、勞働賃金の問題が、勞働組合側に對して非常に重大な問題であることは繰返し述べた通りでございますが、われわれといたしましては、今和田安本長官が申されましたように、炭價というものは、當面かえる考えをもつておりません。從つてその炭價において賄える程度の勞働賃金の値上げに對しましては考慮することができまするが、それ以上の點に對しましては、われわれといたしましては、ただいま考慮はいたしておりません。
  61. 淵上房太郎

    淵上委員 ただいま御説明のように、考慮はしておる、もしもみんながほんとうに生活できるようにするために、ある程度上げなければならぬということで――お上げになる必要があると思うのでありまするが、お上げになりますれば、結局炭價に響いてこなければならぬのでありまするが、引上げについて考慮されると言われまする商工大臣は、炭價についてはどういう影響を及ぼすかをお考えになつておりますか、いかがでございますか。
  62. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 私の言葉が惡かつたのかどうかわかりませんが、現在の炭價に影響せない範圍においてということを申し上げたのでありまして、勞働賃金の引上げによつて、また炭價を引上げるというようなことは、申したはずはないのでございます。
  63. 淵上房太郎

    淵上委員 この要求は勞働者憲章として立法された勞働基準法の、勞働條件の原則である勞働を對象として支拂わるる賃金は、勞働者が人たるに値いする生活を營むための必要を充たすものでなければならぬということを基本理念としたものである。すなわちその額は、基準賃金によつて勞働者及びその家族が、結局において生活を維持するに足るものでなければならぬ。これはその通りであります。ただしそのときどきにおいて妥當と認められる生計費は、勞働者の立場から増産に責任をもてる生計費でなければならぬ。日本經濟の現状に立脚し、生産力を増強することによつて産業の復興と相まち、われわれの生活の向上をはかることを目途としたのであつて、要求書にも書いてありますように、經濟再建の成否は、炭鑛勞働者の奮起に負うところが大であることを思い、今日まで苦しさにたえ、乏しきを忍んで、眞劍に生産闘爭を展開してきたが、遂に生活の破綻を來し、その責任の完遂が不可能になつてきた。それゆえに賃金を上げてくれ、それは坑外夫が平均收入が三千九百二十圓、坑内夫、間接夫が月收四千八百二十五圓、坑内の直接夫が月收六千二百七十圓、しかもこれは税金を含まない。こういう要求であるので、さらに退職手當の支給の要求も出ているのであります。さらにまた結婚資金等も出ているのであります。これはある程度結局お考えにならなければならぬことになるのでありますが、私はある程度認められることによつて、初めて石炭が出てくる、生産ができる。かように思うのでありまして、炭價に影響しない範圍で考慮するということは、それはできぬのではないかと思うのですが、商工大臣の言われるように、炭價に影響を及ぼさない範圍で要求を入れることができるという御確信がおありになりますか、商工大臣にお伺いいたします。
  64. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいま淵上さんの言われる勞組の要求全部を容れて炭價に影響せないというお考えならば、私はそれは百パーセントに勞組の要求が容れられればこれは炭價に影響すると思います。しかしながら現在の日本の經濟の状況におきましては、經營者竝びに勞組の要求というものを、百パーセントあるいはそれに近い要求には、應じかねるような状態であるのでありますので、私は繰返し前に述べたように言うのでありまして、お説のように、勞組の要求を百パーセントに容れれば、それは炭價に影響するということは認めます。
  65. 淵上房太郎

    淵上委員 百パーセントに容れられたらそれこそ大變でありますが、今申しますように、ほんとうに責任をもつて生計ができ、石炭の生産に從事するというためには、百パーセントはもちろんいけなくても、ある程度承認されなければならぬのじやないかという見透しをもつのであります。もしもこれが容れられなくて、それがために石炭の生産が止まるというようなことになつたら、それこそたいへんであるのであります。ただいまお話のように百パーセント承認されぬでも、ある程度承認されるということは、必ず炭價に影響を及ぼしてくる。そうすると、結局これを改訂せざる限り、經營者側はもう石炭の生産ができないということに、必ずなると思います。これは今交渉繼續中でありましようが、私はこれがために減産になつて當面の問題として、石炭の生産が非常に低下してくるということになりますれば、その責任は一體だれがもつことになりましようか。商工大臣にお伺いいたしたいのであります。
  66. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 勞賃をどのようにするかということは、これはあくまで經營者勞働組合が、自主的に協定すべき問題でありまして、政府からとやかく言うべき筋合でございません。ただ政府の立場といたしましては、炭價は當面引上げないということだけは、繰返して申し添えておきます。
  67. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 淵上君にはなはだ遺憾でありますけれども、御注意申し上げたいと思うのですが、その問題等については、何囘も何囘も重複繰返されておるようでありますから、なるべく御進行を願いたいと思います。
  68. 淵上房太郎

    淵上委員 今もお言葉がありましたが、當面これを引上げない、また要綱にも「當面之を行わない」と書いてあります。當面というのはさしあたりということであつて、近い將來、そのうちにはまた引上げてもよろしいという意味に解釋してよろしゆうございますか。
  69. 和田博雄

    和田國務大臣 近い將來には引上げてもいいというようにお讀みくだすつては困るのでありまして、やはり新らしい物價體系は、全體としてこれを考慮しなければならないのであります。今の日本のインフレーシヨンあるいは經濟の實情に應じて、全面的にやはり考うべき問題であつて、すぐ將來にこれをかえるかどうかという問題ではないのでありまして、政府としましては、この體系をどうしてもできるだけ維持していきたい。こういう考えでおりまするので、そういうふうに御了承願いたいのであります。
  70. 淵上房太郎

    淵上委員 この間發表の對策要綱にも「當面」という言葉がはいつておるのであります。ただいま商工大臣も「當面」という言葉をお使いになつておるのでありまして、今安本長官のように絶對的に引上げないと言われるならば、當面という字よりは、日本には絶對的という言葉がありますので、そういうふうにお書きになつた方が、われわれ國民は讀みやすく、はつきりわかります。私が心配しますのは、この字句の問題ではありません。石炭の生産が止つたら困るので、生産を止めずに勞組との話合がつくお見込がありますかということを聽いておるのでありますが、これは何とかいけるだろうという御答辯があるだろうと想像いたしますが、これはそうこだわらずに、物價體系の堅持ももちろん必要でありますけれども、當面石炭の生産ということも、ほんとうに物價體系の方針よりは、さらにこれこそ當面大事な問題であります。ほんとうに大所高所から、愼重に再檢討なさる必要がある、かように私は思うのであります。委員長に御相談しますが、今日はどれくらいやつたら……。
  71. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 淵上君の御相談も委員長伺いますけれども、たびたび御注意したように、もう少し質疑を新たに發表するようにひとつ御進捗願います。そうしませんと、質疑が、委員長が伺つておりまして、ほとんど重複に重複を重ねているようでありますから、その點ひとつ……。委員長といたしましても、質疑の點に對しては、先ほど申し上げましたように、十分寛大にいたしておるのでありますから、他の委員諸君の質疑も、非常につきかえておりますので、質疑に對しては、なるべく新たに發表するように御希望いたします。
  72. 淵上房太郎

    淵上委員 炭價の問題はきようはじめて聽いております。決して同じことを繰返しているのではありません。要するに石炭の生産が止りはしないかという觀點から、きようは安本長官にも來ていただいて、そしてまず炭價の問題から掘下げてかかつているのでありまして、決して同じことを何日も繰返しているわけではありません。なおまた御答辯が同じことを繰返されておりまして、納得がいきませんので、きわめて重大な問題であるので、聽いておるのでありまして、同じことを毎日やつているわけではないのであります。
  73. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御繼續願います。
  74. 淵上房太郎

    淵上委員 まだ時間が大分かかるのですが、食事にしていただいたらいかがでしよう。
  75. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 和田國務大臣に對する質疑は終りましたか。
  76. 淵上房太郎

    淵上委員 終りました。
  77. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 それでは本日の會議はこの程度で止めて、次會は明後二十七日月曜日の午前十時より開會することにいたします。    午後零時十六分散會