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淵上委員 どうも私は
大臣の
答辯は、まだ
滿足できないのであります。東京でもそうでありますが、田舎の方でも、電力
關係の從業員で、そういう
勞働組合にはい
つておる人ではない私の知
つている人が何人もございます。私この間もどうだ、お前たちは
國家管理の仕事に從事しておるから、とにかく
國家の仕事をや
つておるのだと
思つて働いておるのか。そうですか。こういう状況です。何も勞組の
關係のない人がそういう調子なんです。要するにこれは
水谷商工大臣のように仁義感の強い道徳の高い人ならば、なるほどそうでございましようが、一般の
勞働者はなかなかそうはいかぬのであります。御
理想通りの
國家管理に
なつたとたんに、
國家的誇りをもち、自覺をもち、精勵恪勤するわけにはいかぬだろうと思います。從いまして、先ほど申しましたように、責任を負わせることも妥當でないが、
水谷商工大臣の放送されておるような
國家的自覺と誇りをもたせるということも、また現實にはこれは繪に畫いた餅になりはしないかということを、私は
心配しておるので、この
質問をしておるのであります。これ以上繰返しましても、これ以上の御
説明はなさらないかと思いますので、一應この問題はこれで打切ります。
次に拘束八時間の問題についてお伺いをいたします。
勞働者の
生産意欲の問題であります。
委員長にひとつ私から注意しますが、私の聽いてることは、この管理法案に關する問題ばかりであります。よく
委員長もどういうことを聽いて、どういう
答辯があるかということをよくお聽き願いたい。發言の邪魔をせぬように十分御注意を願いたい。わかりましたね。
勞働能率の低下、職場規律の
質問が常に論議されておる。終戰後のこの急激なる民主主義
國家への轉換にあたりまして、現實には國民にはまだ十分なる反省訓練ができていないのであります。先般も申し上げますように、民主主義はまだ履き違えられておるのであります。自己の
主張のみをいたしまして、義務の觀念が薄い、
炭鑛の現場におきましても、監督者も勞働攻勢に押しまくられて、そうして以前のような指導監督はできないのが實情であるのであります。ある新聞の掲載でございますが、御
承知であろうと思いますが、麻生の綱分
炭鑛というのがございます。この作業時間は三時間十八分という調べを發表しておりまして、採鑛の時間が
ちようど四一%にしか當らないのであります。私ども、この筑豐地方では、
事實はどうか知らぬが、
炭鑛は坑内は三時間しか働いていないという風評が一般に傳わ
つておる、これが常識のようにな
つておるようなわけでありますが、そういうところでも、
九州はごらんのように、非常に成績がいい。ここにまじめに働いておる勞務者もおるのであります。眞劍にな
つて、なき
資材の中から
石炭の
増産に敢闘しておられる經營者がたくさんおるのであります。しかるに北海道は鑛齢も若く、切羽までの所要時間も少くて濟むのですが、これも岡田委員の
説明によれば、實働が五時間十三分で、箱待ちが十三分と言われますが、故障のために三十一分使い、往復時間が五十八分で、これを合わせると七時間近くな
つたのであります。まだ八時間にはならぬのであります。北海道の成績の惡いことについては、西田委員からもこの間
質問があ
つて、お答えがあ
つたのであります。この間本月三日に總
司令部の經濟科學局
石炭顧問のチヤス・ガツツチヨークという人が道廰に行
つて、
關係者を五十人ばかり集めて、
石炭増産のための教育をやられたのであります。新聞の報ずるところによれば、こういう話をしたそうです。「北海道の數箇所の
炭鑛の
石炭生産は、目標の半分にも達せず、それより二百
萬トンも足りない。多くの採炭夫は八時間勞働といいながら、多くは五時間から七時間で持場を離れ、しかも日給の全額を要求している。四十二萬八千に及ぶ
炭鑛從業員は、現在食糧、衣料、住宅、家具などを最優先に與えられているのに、他の何百萬の
勞働者は
石炭が十分
生産され、工場が動き、物が作られるまで、食糧、衣料品などの人並の配給についておあずけをく
つているのだ。この
日本再建の危機に際して、
生産の低下を進め、不當な賃金を要求し、勞働時間の短縮を要求するものは
日本人の敵である」こういう話をしたそうであります。
炭鑛勞務者の生活のよくないことは、先般の公聽會においても、
勞務者側の公述人が
言つておられたのでありますが、敗戰後の、しかも戰災後の
日本の現在の實情において、一般勞務者に比して、はたして
炭鑛勞務者がみじめな状態であるかどうか、よほど研究問題だと思います。私はむしろ
炭鑛勞務者は
——なるほどみじめなひどい山もあるでありましようが、大體論としては、ほかの勞務者に比して、相當優遇されておると思います。六合三勺の配給のほかに、坑内の
勞働者は一合に相當する乾パンもいただいておる。
政府におかれましては、特別の留意を拂
つておると思います。酒、タバコの嗜好品も特配する。鹽も、この間
商工大臣の言われるように、北海道にはどしどし送る、かように言われております。住宅につきましても、なるほど足りないが、その増設については、
政府初め
關係方面では格段の努力を拂
つておられる。
國家が不足がちの食糧とか生活必需品を、他の國民の分を犠牲にしてまでも、特に
炭鑛に向けております。
商工大臣が先日、北海道の能率の低い原因は、
生産意欲の低下であると言われましたが、出炭不足の原因が、勞務者の働きが足りないということが言われることは、まさしく現在の
日本の勞務者の恥辱であり、
勞働組合の恥辱であると私は思います。殊にガツツチヨーク氏の言うがごとく、
日本人の敵であるとまで言われることは、けだし勞務者竝びに
勞働組合の名譽でも何でもない。もし責任感の稀薄というならば、これは
炭鑛勞働者だけではないではないかと言われるとするならば、なるほど今の
日本の一般國民の共通的の問題であるかもしれません。しかし概して
政府も格段の補助をせられて、
炭鑛勞務者を優遇されておるのでありますから、少くとも拘束八時間だけは、十分働き得るだけの覺悟と決意があ
つてしかるべきだ。國民はこれを
炭鑛勞務者に要求しておると思います。
大臣は全般論としまして、拘束八時間がはたして勵行されておるか否か、どういうふうにお
考えにな
つておるかを聽きたいと思います。