○谷村説明員 本問題に關しましては、實は内部的に國内手續といたしまして、豫算
關係で大藏省と折衝の問題が殘
つております。また外部
關係といたしまして、いわゆる
關係方面に對する了解を得るという問題が殘
つております。從いまして、私がここで申し上げますことは、ただ物價廳内における
一つの作業としてどの程度に考え、どの程度に進行しておるかという程度のことでお許し願いたいと思うのであります。なお數字の點に關しましては、
關係方面と
關係がございますし、十分まとま
つたものとも申し上げられないので、必ずしもそれだけの金額をどういうふうにどうするということについてのはつきりした方針が、今
政府部内として最終的にきま
つたものというふうにおとりいただかないようにお願いいたします。それだけ
前提として申しまして、時間の
關係もございましようから、概略のことを申し上げたいと思います。
ただいま
委員が申されましたように、
肥料價格、すなわち硫酸アンモニア、石灰窒素、過燐酸石灰、この三つの
價格は、本年の一月から新
價格にすることに準備をいたしまして、物價廳内においていろいろ作業を進め、かつ一應の成案を得まして
關係方面と交渉してまい
つたのであります。その際大體において昨
年度の値段よりは、硫安について申し上げるならば、平均
生産者
價格が二千六百圓でありましたものが三千二百圓見當まで上るというとここで案を立ててお
つたのであります。しかしながら、いろいろな
事情がございまして、特に今年一月以降しばしば重大な原價要素の改訂がございました。たとえば昨年の十二月の末に
石炭の値段が變りました。それから今年にはいりまして四月に
電力料金、またコークスの
價格、五月にはいりまして
硫化鑛の値段、こういうように相次いで變
つてまいりました。その間また勞務費その他の經費等においても非常な變動を起してまい
つております。それで一月から七月までの
價格をどういうふうにきめるかということにつきまして、
關係方面との間にもなかなか話が進捗しなか
つたという
状況で、心ならずも物價廳といたしましては、ついに新
物價體系を設定するまで、一月、七月の
肥料の
生産者の
價格は設定し得ない
状況に相
なつた次第であります。そこで新
物價體系で、一應硫安で申し上げますならば八千圓という平均
生産者
價格がきまりましたけれども、七月十五日に改訂をみます間、約六箇月半というものを、二千六百圓ベースの硫安の平均
生産者
價格で各工場にすえおいたということに對しては、どうしても何らかの手段を講じなければ、この際は
肥料工場の
生産の點から考えましても、それからただいま
委員が申されましたように、いろいろな
赤字生産を強行されてお
つたというような點をカバーしてやらなければならない
状況にな
つてまいりました。それでただいま物價廳としてはいろいろな物資の
價格改訂が遅れておりましたり、またうまく改訂が進捗しなか
つたりいたしてはおりますけれども、特に
肥料工業と申しますものは、ただいま非常に重要な國造産業であるというようなこと、また
肥料工業はその製品をほとんど全面的に公定
價格でも
つてすべて出しておるということ、その他いろいろな工業の
重要性から考えまして、
石炭、鐵鑛というようなものと竝びまして
價格未
決定による工業の過去の
經營者あるいは
生産者の損失の補償ということをいたそうということに
決定いたしておるのであります。その金額をどのくらいにするか、またどういうふうな形で補償をしてやるかというようなことにつきましては、
關係方面なりまた内部的には大藏省なりといろいろ話合わなければならないのでありますけれども、一應物價廳といたしましては、ただいまのところ、本來今年の一月に一月、七月の値段というものを立てたならばどうであ
つたろうかという形において、實質的には
價格を遡及せしめるという
方法において處理いたしていきたい、こう考えておるのであります。各社、各工場の經營實績を檢討いたしまして、そしていくら収支決算の結果、損が出ておるかという損質の實體をつかんで、それに對して補償いたすといたしますことは、非常に時間もかかり、かつむずかしい作業でありますので、一應ただいまのところは、もし一月に
價格が物價廳が検討いたしましたような程度においてきま
つたといたしましたならば、どの程度に補償しなければならないのかという形において、損失補償の實をあげていきたいと思
つておるのであります。そしてそれを數学的にやや申し上げますならば、硫安を例にとりますと、當時平均二千六百圓ベースの
價格でありましたものが、私どもの方で一月から七月までの
價格といたしましては三千二百十九圓ベースという、平均三千二百十九圓という
價格を一應立てたわけであります。しかしながらその後におきまして、先ほど申し上げましたような
電力料金の改訂、コークスの値上りあるいは
硫化鑛の値上り、さらに勞務費等の値上り、そうい
つたようなものが逐次上
つてまいりましたものを三千二百十九圓のベースに加えまして、トンあたりいくらかづつ増してまいる。たとえるならば
電力料金が上
つたことによりまして、硫安トンあたり百七十圓ならば百七十圓、これは數字は假定でありますからそのつもりでお聽き願いたいのでありますが、
電力料金が上
つたから四月以降はさらに百七十圓加えるとか、カーバイトが上
つたから五月以降は硫安五百何がしかを加えるとか、なわかますが三月十日以降なおまた値段が上
つたからそれに對してトンあたり七圓何ぼを加えるとかいたしまして、總體といたしまして硫安
關係でもし一月七日の
價格をみてやるという形にすればいくらになる、石灰窒素におきましてはいくらになる、化燐酸石灰におきましてはいくらになる、こういう計算をただいま立てておるわけであります。ただこの問題は非常にむずかしい
關係が
關係方面とありますので、今後どの程度にわれわれが今庶幾しておりますものが實現するかということにつきましては、必ずしも樂觀されないのでありますが、大體そういう計算をいたしまして、大ざつぱに申し上げて六億圓以上の金額を三
肥料價格の未
決定による
補給金としてただいま考えておるわけであります。何ゆえに
化學工業特に
化學肥料に對してかような
補給金を、豫算に組んでまで、國庫から出すことにいたしたかということについては、物價廳としては、いろいろの來歴がありまして、お許しを得ますならば、その間の經緯を若干御説明申し上げたいと思いますが、實は昨年の十一月に、米の
生産者
價格を
決定いたしたことがあります。その際の
閣議決定では、米の
生産者
價格は、こういうようにきめるけれども、そのためには硫安、石灰窒素、過燒酸石灰の値段を大幅に引上げてやろうということをいたしております。そのための
補給金というか、引下げに要する金額として、約八億圓程度の金額を考えてお
つたのであります。しかしそれはその後
關係方面との折衝その他の
關係からなかなか實現いたしませんで、かえ
つてその後の
状況においては、
肥料の
生産者
價格はどんどん上
つてきそうな傾向にな
つてまいりました。その際たとえば八億圓の金を使
つて一應消費者
價格を引下げる方がよろしいが、また
生産者
價格がポンと上
つては、豫算がよけい要るわけであり、あるいは逆戻りになるしいたしますので、いろいろ考えまして、今年一月
價格を立てる際には、一應
肥料の
生産者
價格は二千六百圓ベースから三千二百十九圓ベースくらいまで上るかもしれませんが、しかしできるだけ消費者
價格は二千六百圓ベースのままにすえおいて、少くとも春肥くらいは舊
價格のままでできるだけや
つていきたい。そのために
生産者
價格が上
つても、消費者
價格をすえおく費用として、八億圓が使えるならば使いたい。そういう考えで一月七月の
價格形成を考えてお
つた次第であります。結果ははからずも
肥料の
價格をずつとすえおいてきた結果に
なつたのでありますが、前年十一月にさような經緯がありまして、一應八億圓なにがしという金が
肥料の
生産者
價格は上るが、消費者
價格を抑えておくために、このくらい豫定しておりますという話がありました。だからこの際硫安の
生産者
價格を補償するために、八億圓の範圍内で、その程度の金を用意することは、國庫としてもできることではなかろうか、そういうような經緯があるわけであります。大體いまのところで申しますと、
補給金がどれくらい出るか、また出るとすれば、いつごろ出るかということで、その時期は、いろいろな折衝の
關係がありまして、どうしても九月にはいることになろうかと思います。はなはだ雜駁なことでありますが、説明を終ります。