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1947-08-22 第1回国会 衆議院 皇室経済法施行法案特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年八月二十二日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 森 三樹二君    理事 岡野 繁藏君 理事 苫米地英俊君       赤松 明勅君    尾崎 末吉君       高岡 忠弘君    古島 義英君       本田 英作君    村上 清治君       黒岩 重治君    東井三代次君  出席政府委員         法制局次長   井手 成三君         宮内次長   加藤  進君         宮内事務官  塚越 虎男君     ————————————— 本日の會議に付した事件  皇室經濟法施行法案内閣提出)(第三一號)  日本國憲法八條規定による議決案内閣提出)     —————————————
  2. 森三樹二

    森委員長 ただいまより會議を開きます。  前囘に引續き質疑にはいります。委員の發言を許します。本田英作君。
  3. 本田英作

    本田委員 私はごく簡單な事項につきまして二、三お尋ねしたいと思います。内廷費というものの中に、人件費ははいつていないことになつておりますか。
  4. 加藤進

    加藤(進)政府委員 お答えいたします。内廷費の中には、陛下が私の立場でお使いになる、たとえばお祭に奉仕する人がございます。これは役人ではございませんので、そういう人の人件費は多少はいつております。
  5. 本田英作

    本田委員 別にお名前をおつしやらぬでもいいですが、皇族の方で、この法律施行によつて臣籍降下せられるお方々將來生活方途と申しますか、將來どういうことをしていかれるかというようなことが、もし御答辯ができるならば、お答えできる範圍でお聽きしたいと思います。新聞に御十一家方々で、今度この法律施行せらると、臣籍降下せられるように出ておりましたが、そういうお方々臣籍に御降下なさるについて、將來どういう方途日常生活をなさるかということですから、一々具體的名前をおつしやらぬでも結構でありますが、差支えない範圍でお願いいたします。
  6. 加藤進

    加藤(進)政府委員 お答えいたします。それぞれに御事情もお違いになりまするし、お年も、年をとつた方もあり、これから學校におはいりになつて修業してという方もありますので、各宮家について事情は違うのでございますが、大體三十くらいまでのお若い方は、それぞれ學校にはいつて、それからお考えになることと思います。お年をおとりになりました方は、これからどうということもございませんので、それぞれに方途をお考えになつておるようでございますが、まだどの宮樣も、はつきりこういう途を主としてとるというところまでは行つておりません。宮内府といたしましては、これはむしろ從來の御縁故によりまして、私事といたしましてお世話することになると思いますが、まずこの施行法によりまして手におはいりになりました金を保全いたしていく、それが有利でかつ確實なように運用されていくというような方に、まずお世話を申し上げなければならぬと存じております。
  7. 本田英作

    本田委員 ちよつと申し上げていいかどうかわかりませんが、李王家は十一家の中にはいつておるのでございましようか、それを一つ
  8. 加藤進

    加藤(進)政府委員 李王樣の方は、これは全然別でございます。李王樣は五月三日に、憲法施行と同時に皇室令が廢止されましたので、ただいま王族としての身分を失われておるわけでございます。これは今囘の議決案件法律とは、まつたく關係考えております。
  9. 本田英作

    本田委員 私はそれだけで結構でございます。
  10. 黒岩重治

    黒岩委員 本法案の第二條、第三條、第四條、第五條、第七條、第八條に示されました金額を御決定になられましたところの根據を、お示し願いたいと思います。
  11. 加藤進

    加藤(進)政府委員 第二條第一項から申し上げます。現在の物價状態では、五萬圓という金額は、さほど高價でもございませんが、これを何でとりましたかと申しますと、大體家具その他の家庭用品のうちの高價なものを想定いたしまして、これを一應の標準といたしまして金額定めました。こういうようなものは皇室財産を増加するものとも考えられませんので、これについて一々皇室經濟會議の議にかけるのは、むしろその煩にたえないというので、まず第二條第一項の價額は五萬圓としたのであります。ただいまのは受ける側、つまり獻上を受ける側から申しましたが、賜與についても同樣でございます。なおこれはよけいな證明でございますが、新しい物價の體系によりますと、物品價格戰前價格の六十五倍となつておりますから、まず今の五萬圓價額は、戰前の千圓足らずの値になると存じますので、まず五萬圓を相當と考えたのであります。  次に第二條第二項の十萬圓について申し上げます。この額は皇室經濟會議の議にかけるものでございまするが、價格を想定するにつきましては、現代日本作家美術作品、繪とか彫刻とか、工藝品のようなものでございますが、この一點の最高價格をまず十萬圓考えて、そういたしました。骨董品はこの價格をはるかに超えますが、現在作家作品としては、この程度價格適當だと考えます。この種の美術品文化日本將來から考えましても、獻上が豫想されます。先ほど申し上げました家庭用品より額が上だという點もございますが、日常使いになるというわけでもございません、財産的價値もある程度考えまして、五萬圓の倍額をとりました。今のは獻上についてお話しましたが、賜與についても同樣の考えであります。  第三條で價額を十五萬圓といたした理由でございますが、この價額同一人の同一年度内における財産の授受の最高限定めたものでございます。前の五萬圓の三倍、十萬圓の一倍半程度標準といたしまして、合わせて皇族歳費基準となる定額は二十萬圓でございますので、こういうことを考えて合わせまして二十萬圓から若干減らしました十五萬圓適當と認めたのであります。  次に第四條につきまして、天皇皇后、太皇太后皇太后については、法第二條第二項の金額萬圓を三倍とした理由でございまするが、これらの方々は、一般皇族と違いまして、國の象徴である天皇及びその親近者としての特別な地位を御持ちになりますので、その點を考えまして三倍までといたし、これを皇室經濟會議の議にかけることといたしました。  次に第五條價額を百二十萬圓といたした理由でございまするが、法第四條に規定いたしまする皇族は、内廷費用でございますが、これは天皇と最も親近關係においでになる方でございまして、一體として考えるのを適當とする場合が多いのでございます。賜與讓受につきましても各人を分離して考えられないものが少くありません。それでこれらの方については、通じて價額を想定することといたしまして、額は現在天皇内廷皇族が合わせて御八方になりますので、これを十五萬圓を八倍いたしまして百二十萬萬ということにいたしたのでございます。  次に第七條定額八百萬圓でございまするが、この内譯を申しますると御内帑費用が、いろいろの場合の賜わり等を含めまして三百二十八萬圓となつております。この天皇内帑と申しますのは、天皇皇后兩陛下の御内帑皇太后及び東宮の御内帑と申しております。そのほかに皇子の御養育費といたしまして四十五萬圓、それから供御及び供膳費、これは御食事とか御會食なさる費用でございまするが、これを七十五萬圓、御旅行費百三十萬圓、これは兩陛下について申しますれば、やや公的の場合と、またまつたく私的の場合とございますが、その中のごく私的の場合の御旅行費を見たのでございます。なお兩陛下のほかに皇太后東宮殿下皇子等の御旅行はもちろんこの中に含まれております。次に祭祀費用でございますが、これは二十一萬圓をみました。これは主として陛下は皇祖御歴代、皇族方を御祀りになつておる内廷祭典關係費用でございます。次に用度費で八十三萬圓、これは備品、消耗品車馬等費用でございます。その他に雜費といたしまして百十八萬圓をあげておりますが、これが先ほどお尋ねのありました祭祀をはじめ内廷等陛下個人として使つておる人の人件費その他雜費のほかに若干の豫備費を含めたのでございます。以上合計いたしまして八百萬圓になります。  次に第八條定額二十萬圓根據でございますが、これは親王が御結婚になつて親王妃となられて、第二方の御一家皇族として相當の品位を保ちながら生活に要する經費考えてみますと、現在までの實際所要經費その他を考え合わせますと、まづ少くとも年額四十萬圓という數字が出てくるのでございます。その内譯を御參考に申し上げますと、使用人に對する給與が十五、六萬圓、御生活費とか、交際費とか、用度費とか、旅行費とか、營繕費とかいうような經費が合わせて二十四、五萬圓になります。しかしこの四十萬圓の中には、皇族のほんとうの個人的の私の經費も含んでありますから、その大體の七五%を皇族としての品位保持のために出す年金考えますると、親王及び親王妃の御二方の年金三十萬圓となりますので、この額を皇室經濟法第六條により、つまり親王妃親王の半分と考えますると、成人なすつた親王定額二十萬圓ということに相なるのでございます。  以上で一應御答辯といたします。
  12. 赤松明勅

    赤松(明)委員 ちよつと速記を待つてください。
  13. 森三樹二

    森委員長 ちよつと速記を止めてください。   〔速記中止
  14. 森三樹二

    森委員長 速記を始めてください。
  15. 赤松明勅

    赤松(明)委員 憲法第八十八條によつて舊皇室財産はすべて國有財産なつた。すなわち財産税を徴收されたその後は國有財産なつた。ところでその國有財産皇室經濟法の第一條に「皇室公用に供し、又は供するものと決定した國有財産(以下皇室用財産という。)は、これを國有財産法公用財産とし、これに關する事務は、宮内府で、これを掌る。」とありますが、國有財産にはなつたけれども、それ全部が、要するに皇室公用財産というものになつたのかどうか、その點を承りたい。
  16. 塚越虎男

    塚越政府委員 ただいまお尋ねの、皇室用財産ということにつきましては、この皇室經濟法の附則の第二項に「この法律施行の際、現に皇室の用に供せられている從前皇室財産で、國有財産法國有財産なつたものは、第一條第二項の規定にかかわらず、」——つまり普通でありますれば、皇室經濟會議の議を經ることになるのでありますが、それにもかかわらず「皇室經濟會議の議を經ることなく、これを皇室用財産とする。」という、經過的な規定があるのでございます。從いまして、當時日本國憲法施行の際において、現に皇室の用に供せられている從前皇室財産は、すべて一應皇室用財産となるという建前でございます。しかしながら思召しもございまして、皇室財産の中で、民生の安定あるいは産業の復興のために寄與し得るものについては、これをできるだけそういう用途に使うようにというような思召しもございましたので、この日本國憲法施行の際に檢討いたしまして、その中から若干はずしまして、これを皇室用財産でないものといたしたのであります。それには、たとえば新宿御苑でありますとか、あるいは日光の御用邸、鹽原の御用邸というようなものがございます。なおそういうふうに整理をして、結局皇室用財産となりましたものは、お手もとにお配りいたしました資料にございますような内容のものになつております。  なお念のために申し上げますと、この皇室用財産範圍をきめるにつきましては、この皇室經濟法案審議をいたしました當時の、帝國議會審議の、經過等に鑑みまして、關係の方を委員といたしまして、皇室用財産調査委員會というものを設けまして、その審議を經たものであることを申し上げておきます。
  17. 森三樹二

    森委員長 速記を止めてください。   〔速記中止
  18. 森三樹二

    森委員長 速記を始めてください。
  19. 赤松明勅

    赤松(明)委員 皇室經濟法内廷費宮廷費、すなわち第四條と第五條とは、ほぼ相よつた内容をもつておる。ところで、第四條の内廷費は、いわゆる今提出せられておる皇室經濟法施行法案の中に、この第四條の内廷費をとらえて、この中で價額を決定することがきめられておる。ところが、宮廷費は官内府で經理すると、皇室經濟法ではうたつてつて施行法においては、この價額というようなものはうたわれていない。この點についての見解はどうですか。
  20. 井手成三

    井手政府委員 この内廷費の方は、これはこの法文にございますように、日常の御費用でございまして、まつたく私的な立場における費用を計上したものでありまして、國から呈上しますのは、言葉は惡いのでありますが、一定渡し切り經費というような考えで、この中で御賄いを願いたいと考えておるのであります。しかるに宮廷費の方は、國の象徴たる天皇もしくはそのまわりの方におきましても、公の立場において、たとえば儀典費というような例でありますが、憲法が制定され、國家が大きな祭典を行う。あるいはまた日本講和會議ができて、國際關係において普通の地位にもどるというようなおめでたいようなときに、特に大きな儀典か行われるということは、憲法によりまして、天皇儀典をお行いになるということが書いてある。從つてその年度内に必要の關係事項が減つたり殖えたりいたしますので、毎年豫算におきまして、來年度はどういうような儀典が行われるか、來年度天皇がどういうような國の大きな行事を行わせられるかということを一々御協贊を願う。從つて一定價額をきめるということは、公の地位の御行動としては明示せられているので、一々その必要に應じて計上していく、そして議會の御協贊をいただく。こういうぐあいに考えて、定額をきめなかつた次第であります。
  21. 赤松明勅

    赤松(明)委員 いわゆる國有財産であつて、しかもいわゆる皇室用財産なつたところの宮城、諸建物、こういうようなものが戰災によつて相當荒廢しておる。しかもこれに對する復興計畫といつたようなものについては、いまだかつて聞かないが、當局としては、この復興に對する意圖をどういうふうにお考えになつておるか、この點を伺いたいと思います。
  22. 加藤進

    加藤(進)政府委員 お答えいたします。ただいまの状況から考えまして、御指摘になりました通りに、宮殿が燒失いたしましたので、萬事手狹であり、御不便でもあることは事實でありますが、と申しまして、現在のような國の状態から考えまして、天皇の國の象徴としての御行動、あるいは御威嚴にふさわしくないという程度までにもいつていないかと存じます。將來國力の進展に伴いましては、そのときの状況にふさわしい復興計畫をお願いするということに相なるとは存じまするが、現在の段階におきましては、宮殿再興の計畫はいまだにもつておりません。
  23. 赤松明勅

    赤松(明)委員 しからば、現在の状態のもとでは、いわゆる國の象徴としての天皇、あるいは皇族の御居住、しかも、たとえそれが認證であるにしても、何にしても、政務を見られる。その場合における御日常生活というものに對しては、結局支障がないというよりも、ある程度品位は保てると見てよろしうございますね。
  24. 加藤進

    加藤(進)政府委員 さようでございます。
  25. 赤松明勅

    赤松(明)委員 本提出法案の第八條、法第六條第一項の定額の問題ですが、これは憲法關係があるかと思いますが、いわゆる現在の皇族のうちで、新憲法による皇族として殘られるお家と申しますか、それはどこどこであるか。そして親王、内親王というような、いわゆる皇族としてお殘りになる數は現在どのぐらいあるか、これを伺いたい。
  26. 加藤進

    加藤(進)政府委員 お殘りになります宮家は、秩父宮家高松宮家三笠宮家御三家であります。秩父宮家殿下妃殿下の二方、高松宮家殿下妃殿下の二方であり、三笠宮家殿下妃殿下のお二方にお子樣方であります。
  27. 赤松明勅

    赤松(明)委員 なお舊憲法下におけるいわゆる御皇族方で、新憲法によつて昔なら御降下でしよう、臣籍ということはないわけですが、これは大體お何家で、お何人ぐらいですか。
  28. 加藤進

    加藤(進)政府委員 十一家で、御人數から申しますと五十一方でございます。
  29. 赤松明勅

    赤松(明)委員 第九條に「前二條定額による内廷費及び皇族費は、國會議決による歳出豫算定めによらないで、又は定めのない間に、これを支出し、又は支出の手續をすることはできない。」こうなつておるが、この豫算金額はいわゆる本年度豫算で決定しておるわけですか。追加豫算として今議會に提案されるものの中に含まれておるということになるわけですか。この國家豫算と、この金額との關係について承つておきたい。
  30. 塚越虎男

    塚越政府委員 内廷費の八百萬圓月割の十一箇月分ですから、これは七百三十三萬三千円。これについては當初豫算に計上せられております。それから皇族費につきましては、實は皇族身分離脱關係が新憲法施行前であるという豫想でありましたために、當初豫算におきましては、お殘りになるいわゆる三直宮方々年金のみを計上しておりました。殘餘のものにつきましては、つまり皇族離脱の場合の一時金額及びその御離脱までの年金額につきましては、今度の國會追加豫算として御審議をいただくべく、目下大藏省の方にその豫算につきまして要求をいたしております。
  31. 赤松明勅

    赤松(明)委員 このいわゆる皇族籍離脱なさる方々の一時金額ということになるわけですね。たとえば現在お殘りになる方の分はきまつてつたということですが、しからば本豫算年度内にこの施行法というものがきまると、ただちに御離脱なさらない以前のものには、二十萬圓ずつというこの基本額が、いわゆる品位保持のためにということで渡され、その後において離脱されるということになつた場合には、一體どういうふうになるのか、この點についてはどうですか。いわゆる二重支拂になるおそれはないか。それとも一囘渡したら、それから後に離脱なさるということになつても、もうお渡ししなくても濟むのか、この點についてのお考えはどうですか。
  32. 塚越虎男

    塚越政府委員 大體歳費としての皇族費は、月割でお支拂いをいたしております關係からいたしまして、御離脱なつた後におきましては、歳費は支給をいたしません。從つて二重拂いになるということはございません。
  33. 赤松明勅

    赤松(明)委員 しからば、現在はまだ月割でお支拂いになつておるということですね。この五十一方に對しても……。
  34. 塚越虎男

    塚越政府委員 實はその施行法案の九條の趣旨もございまして、御直宮御三方につきましては、當初豫算において計上いたした關係もありますので、その月割額をお支拂いいたしておりますが、そのほかの皇族方につきましては、この豫算國會審議を經まして、決定した後において支拂いをすべく豫定しております。
  35. 赤松明勅

    赤松(明)委員 この支拂は遡つて支拂うべく豫定しておるか、それともきまつたいわゆる法の效力を發生した折、それから後ということであるか。たとえば現在における皇族方々の御身分というものは同一のものである。しかもお殘りになるからということは、なるほど皇室に近いということにはなるけれども、同じ皇族としての立場において、一方はもらつておるけれでも一方はもらつていない。しかも日本の現在までの、過去におけるところの皇族というものは、少くとも皇室の藩屏、それがいい意味においても、惡い意味においても、國民象徴として新憲法によつて決定した天皇周圍にある方として、その品位保持のためには、一般人とは異なつ費用も、あるいは生活の限界もあつたはずである。これに對する不公平な取扱いになつておるとするならば、これに對する何らかの便法を考える必要はないか。たとえば、本法がそのまま通過すると假定して、その通過以後において、いわゆる月割なら月割というものにして、しかもその離脱される時期がいつになるのか、これは後で聽きたいと思つておるが、その離脱期間離脱をするのならば少くとも二十萬圓は渡すけれども離脱されない以前においては、結局金はやらないのだ。もしこの法律が通過しないような場合における、直宮三家を除くところの皇族が、一體何をもつてして、その皇族そのもの品位を保つか。餓死線上を彷徨するということであつてはならない。こういう面について、當局はどうお考えになつておるかを承つておきたい。
  36. 塚越虎男

    塚越政府委員 まことにごもつともな御意見でございまして、實はこの皇室經濟法施行法案というのが今度の國會に出ておりますが、それまでの暫定的な措置といたしまして、この前の最終の議會におきまして、皇室經濟法施行に關する法律というものが出ております。その法律によりまして、皇族方に對しては十五萬圓という基準によりまして皇族費支拂い得るという規定がございます。そして今度の施行法は八月一日から適用されるということになりますので、從つて日本國憲法施行のときから、五月、六月、七月分、これにつきましては十五萬圓基準にいたしまして、御承知のように王はその十分の七というようないろいろな皇室經濟のに規定しております、その規定に從いました年金を差上げることになつております。
  37. 赤松明勅

    赤松(明)委員 わかりました。そこで五十一方の皇籍の御離脱というその時期については、どういうふうにお考えになつておるか、それを承りたい。
  38. 加藤進

    加藤(進)政府委員 實は皇族の籍をお離れになるという御希望は、前から表明されておりまして、これは今年の初めあたりから伺つてつたのであります。その關係から、先ほど塚越事務官から申しましたように、あの時期におきましては四月ごろと考えまして、豫算にも計上しなかつたのであります。それがいろいろの事情で、やむを得ず延び延びになつております。現在におきましては、この法案が通過し、かつ先ほど申し上げました追加豫算議決になりました後で、はじめて皇族の籍を離れるということが可能になつておる次第であります。この時期は、まず九月一ぱいまでにこれらのことが終るといたしますれば、十月までにはまず實現いたしたいと存じております。今申しましたように、法案成立豫算成立、それからその後におきましても皇室經濟會議等の議を經る次第でございますから、現在においては、まず十月末までぐらいには實現いたしたいというくらいのお答えしかできない次第であります。
  39. 赤松明勅

    赤松(明)委員 大體において、諸般の事情が整えば、直宮御三家を除いて、五十一方の現在の方が、一般國民として同一の權利と義務とのもとに皇族籍離脱される。宮内府として、離脱なさつた皇族方に對し、この法律が通過するとすれば一時賜金としてお渡しできる。しかし今日の物價高のもとに、そういつた一時賜金というものは、どの程度生活と、どの程度期間生活を支へ得られるか、こういうことになる。しかもこれは假説ではあるけれども離脱なさつたにしてみても、日本人の人情として、感情として、少くとも皇族であつたということは、誓くの期間は、おそらく忘れられないに違いない。しかもその皇族方々離脱なさつた直後において、路頭に迷うというようなことがありとすれば、その累をわれわれ國民の特徴であると言うところの天皇に及ぼす大きな影響がありはしないか、こういう點について職業安定法とかいうものもあるが、しかし宮内そのものは、皇族に對する一つ責任において、皇族離脱のその後における生活に對しても心配をすることが、正しいのではないか。法には關係はないけれども、こういつた點について、どういうお考えをおもちになつておるかということを承つておきたい。
  40. 加藤進

    加藤(進)政府委員 ただいまの御質問は、まことに私ども身にしみて感じます。現在におきまして、皇族方國民敬慕の情にふさわしい御生活をお送りになるということが、現在までのわれわれに責任があると同じように、道義におきましては、皇族の籍をお離れになりました後も、この責任續くものと存じております。但し、これは法の上から申しますれば、赤松さんの御指摘なさつたように、まつたく個人におなりになりますので、この御自由なる意思は尊重せねばなりません。そこで私ども道義的責任と、宮樣方の御降下後の自由な御意思との合致點におきまして、先ほど申し上げましたように財産の安定、あるいはいかなる御職業を選べばよろしいかということにつきましては、今から十分の御忠告も申し上げ、また宮樣の顧問としてしかるべき人の御選定にも應じております。但し、どこまでもわれわれの道義的の責任と、宮樣の御自由の責任との合致點におきまして、この點は私どもも十分努力をいたしますが、社會におかれます各位の方も、どうか今まで通りの敬慕の情に基いて、それぞれ適當なる御忠告を、われわれにもお話しくださるとよろしいと存じます。
  41. 森三樹二

    森委員長 ほかに御質疑の方はございませんか。  別に御發議もないようでございますから、本日はこれにて散會いたします。次會の委員會は、追つて公報をもつてお知らせいたします。    午前十一時二十二分散會