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1947-08-19 第1回国会 衆議院 皇室経済法施行法案特別委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十二年八月十九日(火曜日) 午前十時三十九分
開議
出席委員
委員長
森 三樹二君
理事
岡野 繁藏君
理事
苫米地英俊
君 赤松
明勅
君 松本 七郎君 高岡 忠弘君 園田 直君 古島 義英君 本田 英作君 黒岩 重治君
東井
三代次君
出席國務大臣
國務大臣
齋藤
隆夫君
—————————————
八月十四日
皇室經濟法施行法案
(
内閣提出
)(第三一號)
日本國憲法
第
八條
の
規定
による
議決案
(
内閣提出
) の
審査
を本
委員會
に付託された。
—————————————
本日の
會議
に付した事件
皇室經濟法施行法案
(
内閣提出
)(第三一號)
日本國憲法
第
八條
の
規定
による
議決案
(
内閣提出
)
—————————————
森三樹二
1
○
森委員長
これより
會議
を開きます。 去る十四日、本
委員會
に付託されました
内閣提出
、
皇室經濟法施行法案
及び
日本國憲法
第
八條
の
規定
による
議決案
を
一括議題
として
審査
に入ります。まず
兩案
の
趣旨
について、
政府
の
説明
を求めます。
齋藤國務大臣
。
—————————————
齋藤隆夫
2
○
齋藤國務大臣
ただいまから御
審議
をお願いいたします
皇室經濟法施行法案
について御
説明
申し上げます。 本
法案
は、
皇室經濟法
の
施行
に必要な
事項
を
規定
いたすことを、
内容
といたしておりますので、まず本
法案
に關連する
限度
において、
皇室經濟法
の御
説明
をいたしてから、本
法案
の
内容
を御
説明
いたしたいと存じます。 新
憲法施行
前は、
皇室
の
經濟
は國の
經濟
のほかにあるものとして、ただ
年額
四百五十
萬圓
が
國庫
から
皇室
に支出せられて、その經費の一部に充てられるほかは、
帝室林野會計
による
收入等
によつて賄われる、獨立の
經濟
と
なつ
ておりました。しかるところ、
日本國憲法
は、その第八十
八條
において「すべて
皇室財産
は、國に屬する。すべての
皇室
の
費用
は、
豫算
に計上して
國會
の
議決
を經なければならない。」旨を
規定
し、
皇室
に關する
經濟
が、國の
經濟
の一部となるべきことを明確にいたしました。 またその第
八條
において「
皇室
に
財産
を讓り渡し、又は
皇室
が、
財産
を讓り
受け
、若しくは
賜與
することは、
國會
の
議決
に基かなければならない。」旨を
規定
し、
皇室
を一方
當事者
とする
財産
の
授受
について、
制限
を設けました。
皇室經濟法
は主としてこの二
箇條
に基いて
規定
することを要する
事項
を
中心
とし、
皇室
の
經濟關係
に關する
事項
をとりまとめて
規定
いたしているのであります。その第
二條
においては
憲法
第
八條
の
規定
を
受け
て、
皇室
を一方
當事者
とする
財産
の
授受
について、その
授受
の性質の點から考え、あるいはその
財産
の
價額
の點から考えて、一件
ごと
に
國會
の
議決
を要せずに行い得るもの、
國會
の
議決
は必要としないが、
皇室經濟會議
の議を經ることを必要とするものについて
規定
いたしましたが、その一件の
價額
は別の
法律
をもつて
規定
すべきものといたしております。さらに同條においては、一件
ごと
の
價額
としては、今申し上げましたように
一定
の
制限額
を超えないが、これが短時日の間に反復して行われるようなことがあれば、法の
趣旨
を沒却するに至るべきことを考慮して、かかる事態を防止すべき
規定
を置いておるのてあります。 第三條においては、
豫算
に計上せられる
皇室
の
費用
は、
内廷費
、
宮廷費
及び
皇族費
の
三つ
であることを
規定
し、第四條以下の三
箇條
においてこの
三つ
についてそれぞれの
規定
を設けております。すなわち
内廷費
とは、
天皇竝びに皇后
、
皇太后
、皇太子、その他
内廷
にある
皇族
の日常の
費用
、その他の
諸費
に充てられるものとして、
國庫
から支出すべきものと定めておりますが、その年々の
定額
は、別の
法律
で定めることに
規定
いたしております。次に
宮廷費
は、
内廷諸費
以外の
宮廷諸費
に充てられるべきものと
規定
しておりますが、その
金額
は毎
年度
の
豫算
により定まるものであります。また
皇族費
については、
皇族
に對する
年額
として支出されるもの及び
皇族
がその身分を離れる際に一時
金額
として支出されるものの二つがあることを
規定
いたしておりますが、これはいずれもこれらの
方々
の
品位保持
の費に充てらるべきもので、その
金額
は別の
法律
によつて定められる
定額
を基礎として計算されるべき旨を
規定
いたしております。 以上申し上げましたように、
皇室經濟法
において、別の
法律
で定めるべきものと
規定
いたしました諸點を
規定
するとともに、その他同
法施行
のため必要な
規定
を集めたのが、ただいまより御
審議
をお願いいたします
皇室經濟法施行法案
であります。 この
施行法
については、
政府
といたしましては、先般の第九十二
囘帝國議會
に
提案
をいたすべきものかとも考えたのでありますが、
事柄
の
重要性
に鑑み、會期の
都合
その他を勘案いたしまして、本格的な
法律案
はこれを第一
囘國會
に讓ることといたしまして、前の
議會
ではとりあえず
暫定法
たる
皇室經濟法
の
施行
に關する
法律案
を
提出
して、これが
議決
されたのでありまして、本格的な
立法
は、これを第一
囘國會
に
讓つたの
であります。この點は、
右法律
の
規定
中にも「
日本國憲法施行
後の最初の
國會
において定められるまで」というような字句をもつて明らかにされているのでありまして、今囘ここに
皇室經濟法施行法案
の
提出
をいたし、御
審議
を仰ぐこととした次第であります。 以下本
法案
の逐條につき、その
内容
を御
説明
申し上げます。 第一條には、まずこの
法律
の
目的
を明らかにいたしました。第
二條
には、
皇室
を一方
當事者
とする
財産
の
授受
のうち、その一件
ごと
の
價額
として、
國會
の
議決
も
皇室經濟會議
の
議決
をも必要としないものの
金額
を五
萬圓
、
皇室經濟會議
の
議決
は必要とするが、
國會
の
議決
は必要としないものの
金額
を十
萬圓
といたしました。いずれも從前の
賜與進獻
の
實際
と、
現下
の物
價状況等
を考慮して定めたものであります。 次に
皇室經濟法
第
二條
第三項によりますれば、一件
ごと
の
價額
としては、この
法律
の第
二條
に
規定
した
金額
の
制限
を超えないものについても、これが反復的に行われる場合において、一年に滿たない
期間
内において
一定
の
價額
に達した以後は、
個々
の
授受ごと
に、
國會
の
議決
を要することと定めているのでございますが、
皇族
一人について、その
一定
の
價額
を十五
萬圓
と定めましたのが、この
法律案
の第三條であるのであります。これまた
現下
の
物價
その他
諸般
の
事情
を考慮して決定した額であります。第四條においては、
天皇
及び
皇后
、太
皇太后
、
皇太后
については、第
二條
において十
萬圓
と定めた
金額
、すなわち
國會
の
議決
を要せず、
皇室經濟會議
の
議決
のみで
授受
し得る
財産
の
價額
を、十
萬圓
の三倍三十
萬圓
と定めました。これの
立法理由
は、
天皇
及び三后の特別の地位を考慮いたした結果であります。 第
五條
においては、
天皇
及び
内廷
にある
皇族
については、
個々
の
授受
について
國會
の
議決
を要せずして行われ得る
賜與進獻
の
通計額
の一年内の
限度
を、百二十
萬圓
といたしました。このように
一般皇族
と異なり、
天皇
及び
内廷
にある
皇族
については、御一人御一人でなく、全員を通じて計算するものとした
理由
は、
内廷費
についても
皇族費
と異なり、これを一括して計上しておりますように、
天皇
を
中心
とする一つの
御世帶
を
中心
として
事柄
を考えることを
適當
と考え、また
實際
上、
賜與
の場合に
天皇
、
皇后兩陛下
から行つたものが多く、その
内部的分擔
を明らかにするのは、かえつて
實情
に即しないものと考えたことによるものであります。また
金額
の點は、第
二條
に
規定
した一年間における
財産讓受け
の
通計額
の
限度
である十五
萬圓
に、
天皇
及び
内廷皇族
の
方々
の數を乘じてこれを定めたものであります。第六條は、
皇室經濟法
中において、一年間における
財産授受
の
合計額
とか、同一の者について一年間に行われる
財産
の
授受
というような
規定
がありますので、その始期、終期を明らかにして運用の適切を期せんとしたものであります。 第七條及び第
八條
はそれぞれ
内廷費
及び
皇族費
の
定額
の
規定
であります。いずれも從來の
實際物價
の状況、今後の
皇室
の
あり方等
を總合勘案して算出いたした額であります。ただ
皇族費
の
定額
は、
暫定法
たる
皇室經濟法
の
施行
に關する
法律
においては、一
應十五萬圓
とせられておりましたが、
物價
の現状その他
諸般
の
事情
を考慮いたしまして、
皇族費
の
定額
を、この
法律
においては二十
萬圓
といたすこととなりました。 第九條は、この
法律
により
内廷費
及び
皇族費
は、
具體的
に
定額
を定められるわけではありますが、その
金額
が
豫算
に計上せられ、
國會
の
議決
を經た後に、はじめて支出せられ、
支出手續
がとられるべきものである旨を
規定
したものでありまして、
憲法
第八十
八條後段
「すべて
皇室
の
費用
は、
豫算
に計上して
國會
の
議決
を經なければならない。」との
規定
に對應するものであります。 その他附則においては、
昭和
二十二
年度
については、この
法律
が八月一日から適用されること、その他の
施行
上必要な
規定
を設けております。 以上概略の御
説明
を申し上げました。可分の御
審議
を御願いいたします。 次に
日本國憲法
第
八條
の
規定
による
議決案提案
の
理由
を御
説明
いたします。 ただいま御
説明
致しました
皇室經濟法施行法案
第
五條
によりますれば、これらの
方々
が一年内になされる
賜與
または讓り
受け
の
財産
の
價額
が百二十
萬圓
、本
年度
は八十
萬圓
でございますが、この額に達しますれば、その後の
期間
においてなされる
賜與
または讓り
受け
については、その
價額
の多寡にかかわらず、
國會
の
議決
を經ることを要するものと
なつ
ております。しかしながら
天皇
初めこれらの
皇族
が、特に
災害
の場合の
罹災民
に對するお
見舞
あるいは各種の御
奬勵
のために
賜與
される價格は、今後明年三月末までの
期間
において、百二十
萬圓
近くに上ることが見込まれておりまして、上述の八十
萬圓
をその他の一般的な
賜與
に充當いたしますとすれば、これらお
見舞
、御
奬勵
のための
賜與
は、その
たびごと
に個個に
國會
の
議決
を煩わすことになるのであります。しかるにこれらの
賜與
は、
災害
に對するお
見舞
のように、その都度
實際
の必要に當面して一々
國會
の
議決
を經ることが、
事實
上困難である場合も多く、またその
賜與せん
とする
目的
も定まつていますので、あらかじめ
價額
を
限り一括國會
の御
議決
をいただきたいと存ずるのであります。
皇室經濟法施行法案
第
五條
の
價額
中に、これらの
目的
の明らかな
賜與
、すなわちお
見舞
、御
奬勵
のための
賜與
の
價額
を加え、
國會
の
議決
を要しない
通計額
の
限度
を高めることを法定することも考えられるのでありますが、
日本國憲法
第
八條
の
趣旨
に、できるだけ副う意味で、これらの
賜與
については、今後各
年度ごと
に一括して
國會
の御
議決
を煩わすという方法によりたいものと考えた次第であります。 以上が御
議決
を願う
理由
の
大要
でございます。何とぞよろしく御
審議
あらんことをお願いいたします。 なお本案の
内容
は、數字に關するこまかしいことでありまするから、それらの點につきましては、
法制局長官
、
法制局次長
、その他
政府委員
において、詳しく御質問に應じて御
説明
があると思います。
大要提案
の
理由
は右のような次第であります。
森三樹二
3
○
森委員長
ただいま
政府
より
兩案
の
趣旨
をお伺いいたしました。 これより
兩案
について
質疑
を行うのでありますが、
都合
により
質疑
は次會といたしまして、本日はこれで散會いたします。次會の期日は追
つて公報
をもつてお知らせいたします。 午前十一時一
分散會