○清水
政府委員 國立遺傳學研究所の設置につきましては、この問題が人口問題、食糧問題、優生問題、その他いろいろ重要な問題の解決に對しまして、きわめて重要な研究所であることと認めまして、文部省におきましてぜひこの實現を期したいと考えまして、來年度豫算に該豫算を計上いたしております。ぜひこれを實現すべく努力いたしたいと考えておるのであります。
請願の御
趣旨にもありましたように、わが國の遺傳學の研究は、醫學、生物學、あるいは農學、動物、植物、いろいろな面にわかれまして小さく發達をいたしておるのでありまして、國家全體を考えましても專門講座としては大學に二講座あるだけであります。ほかの講座は他の講座において兼ねて遺傳學をや
つておるという状況でございます。にもかかわらず、遺傳學だけは全國的に遺傳學者が協力いたしまして、遺傳學の發達は世界的な水準に達しておるものと考えられるのであります。またこの遺傳學上の問題では、わが國の學者が世界的に新しい發見をいたしまして、名聲を得ておられる方も數少くないのであります。ただこの研究を國家のために十分活用いたしますためには、全國各大學にばらばらにあります遺傳學の研究を總合いたしまして、國家的見地から十分これを活用するようにいたさなければならないと考えるものであります。たとえば農作物にいたしましとも、その品種改良の根本は遺傳學に基くものであります。あるいは水産、林産すべてが遺傳學の根本原理の活用によ
つて、異常な展開を期待し得るほど學問的研究は進みつつあるのであります。こういうことから考えましても、ぜひここに總合的な國立の研究所をつくりたいということは、遺傳學界多年の懸案であつたのでありまして、國家經濟の非常に窮屈なときでございますけれ
ども、なおこの際やらなければ、時を失して悔いを後に殘すようなことになると考えるのであります。遺傳學研究所の設立につきましては、
政府としましてもできるだけの力をいたしたいと考えておる次第であります。大體
政府側の意向を申し上げます。